建設業法【第4章の2:建設業者の経営に関する事項の審査等】逐条解説
建設業を営むうえで建設業法をはとても重要な法律です。
建設業法は建設業を営む方にとって大切な法律ですが、とっても読みにくいんです。
このような思いの方へ向けて、
わかりにくい建設業法について建設業許可を取扱う行政書士が建設業法についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと
「建設業法 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等」
について確実に理解が深まります。
まず、「建設業法 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等」は次のような構成になっています。
- 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等
- 経営事項審査
- 経営状況分析
- 経営状況分析の結果の通知
- 経営規模等評価
- 営規模等評価の結果の通知
- 再審査の申立
- 総合評定値の通知
- 手数料
- 登録
- 準用規定
- 経営状況分析の義務
- 秘密保持義務
- 国土交通大臣又は都道府県知事による経営状況分析の実施
- 国土交通省令への委任
「建設業法 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等」は、
「経営事項審査」いわゆる「経審(けいしん)」について明記されています。
「経営事項審査」は公共工事の入札へ参加するためには必須ですので、将来事業拡大を目指す建設業者様には重要な内容です。
「建設業法 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等」では「経営事項審査」に関する事項が明記されています。
「建設業法 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等」は将来、公共工事の入札を検討されている建設業者様にとっては必須の内容です。経審を経ないと入札参加資格を得られないので、本章の内容は確実に理解しておきましょう。
ただし、一部「登録経営状況分析機関」に関する事項が含まれますので、「登録経営状況分析機関」に関する事項は読み飛ばしOKです。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
建設業法 第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等
建設業者の経営に関する事項の審査等
建設業法 第27条の23(経営事項審査)
第二十七条の二十三 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
【引用元:建設業法】
2 前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。
一 経営状況
二 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項
3 前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。
<逐条解説>
第27条の23では「経営事項審査」について明記されています。
経営事項審査
経営に関する客観的事項について審査
- 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事
- 発注者から直接請け負う建設工事
経営事項審査の評価内容
- 経営状況
- 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項
公共工事の元請けとなるには経営事項審査が必要。
建設業法 第27条の24(経営状況分析)
第二十七条の二十四 前条第二項第一号に掲げる事項の分析(以下「経営状況分析」という。)については、第二十七条の三十一及び第二十七条の三十二において準用する第二十六条の六の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録経営状況分析機関」という。)が行うものとする。
【引用元:建設業法】
2 経営状況分析の申請は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を登録経営状況分析機関に提出してしなければならない。
3 前項の申請書には、経営状況分析に必要な事実を証する書類として国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
4 登録経営状況分析機関は、経営状況分析のため必要があると認めるときは、経営状況分析の申請をした建設業者に報告又は資料の提出を求めることができる。
<逐条解説>
第27条の24では「経営状況分析」について明記されています。
経営状況分析
- 登録経営状況分析機関が行います。
- 経営状況分析申請書を登録経営状況分析機関へ提出しなければいけません。
経営状況分析は登録経営状況分析機関がおこなう。
建設業法 第27条の25(経営状況分析の結果の通知)
第二十七条の二十五 登録経営状況分析機関は、経営状況分析を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該経営状況分析の申請をした建設業者に対して、当該経営状況分析の結果に係る数値を通知しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の25では「登録経営状況分析機関による経営状況分析の結果の通知」について明記されています。
登録経営状況分析機関による経営状況分析の結果の通知
経営状況分析を行ったときは遅滞なく経営状況分析結果を通知しなければいけません。
あたりまえのことだね。
建設業法 第27条の26(経営規模等評価)
第二十七条の二十六 第二十七条の二十三第二項第二号に掲げる事項の評価(以下「経営規模等評価」という。)については、国土交通大臣又は都道府県知事が行うものとする。
【引用元:建設業法】
2 経営規模等評価の申請は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事に提出してしなければならない。
3 前項の申請書には、経営規模等評価に必要な事実を証する書類として国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
4 国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価のため必要があると認めるときは、経営規模等評価の申請をした建設業者に報告又は資料の提出を求めることができる。
<逐条解説>
第27条の26では「経営規模等評価」について明記されています。
経営規模等評価
- 経営規模等評価は国土交通大臣または都道府県知事が行います。
- 経営規模等評価の申請は建設業の許可をした国土交通大臣または都道府県知事に提出します。
- 経営規模等評価の申請には必要な事実を証する書類添付する必要があります。
- 国土交通大臣または都道府県知事は必要な書類の提出を求めることができます。
経営規模等評価は建設業の許可をした国土交通大臣または都道府県知事が担当。
建設業法 第27条の27(経営規模等評価の結果の通知)
第二十七条の二十七 国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該経営規模等評価の申請をした建設業者に対して、当該経営規模等評価の結果に係る数値を通知しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の27では「国土交通大臣または都道府県知事による経営規模等評価の結果の通知」について明記されています。
国土交通大臣または都道府県知事による経営規模等評価の結果の通知
経営規模等評価を行ったときは遅滞なく経営規模等評価結果を通知しなければいけません。
あたりまえのこと。
建設業法 第27条の28(再審査の申立)
第二十七条の二十八 経営規模等評価の結果について異議のある建設業者は、当該経営規模等評価を行つた国土交通大臣又は都道府県知事に対して、再審査を申し立てることができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の28では「再審査の申立」について明記されています。
再審査の申立
- 建設業者は再審査を申し立てることができます。
対象
- 経営規模等評価の結果について異議のある建設業者
申立先
- 経営規模等評価を行つた国土交通大臣又は都道府県知事
経営規模等評価の結果について異議がある場合、再審査の申立てができる。
建設業法 第27条の29(総合評定値の通知)
第二十七条の二十九 国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があつたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該建設業者に対して、総合評定値(経営状況分析の結果に係る数値及び経営規模等評価の結果に係る数値を用いて国土交通省令で定めるところにより算出した客観的事項の全体についての総合的な評定の結果に係る数値をいう。以下同じ。)を通知しなければならない。
【引用元:建設業法】
2 前項の請求は、第二十七条の二十五の規定により登録経営状況分析機関から通知を受けた経営状況分析の結果に係る数値を当該建設業者の建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事に提出してしなければならない。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、第二十七条の二十三第一項の建設工事の発注者から請求があつたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該発注者に対して、同項の建設業者に係る総合評定値(当該発注者から同項の建設業者に係る経営状況分析の結果に係る数値及び経営規模等評価の結果に係る数値の請求があつた場合にあつては、これらの数値を含む。)を通知しなければならない。ただし、第一項の規定による請求をしていない建設業者に係る当該発注者からの請求にあつては、当該建設業者に係る経営規模等評価の結果に係る数値のみを通知すれば足りる。
<逐条解説>
第27条の29では「総合評定値の通知」について明記されています。
総合評定値の通知
- 経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があったときは、遅滞なく、総合評定値を通知しなければいけません。
- 建設工事の発注者から請求があったときは、遅滞なく、建設業者に係る総合評定値を通知しなければいけません。(ただし、建設業者が総合評定値の請求をしていない場合は経営規模等評価の結果のみ通知すればよいです。)
総合評定値とは
経営状況分析の結果に係る数値及び経営規模等評価の結果に係る数値を用いて国土交通省令で定めるところにより算出した客観的事項の全体についての総合的な評定の結果に係る数値
総合評定値の請求
登録経営状況分析機関から通知を受けた経営状況分析の結果に係る数値を当該建設業者の建設業の許可をした国土交通大臣または都道府県知事に提出して行います。
総合評定値は建設業者からも発注者からも請求されるよ。
建設業法 第27条の30(手数料)
第二十七条の三十 国土交通大臣に対して第二十七条の二十六第二項の申請又は前条第一項の請求をしようとする者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の30では「経営規模等評価の申請・総合評定値の請求の手数料」について明記されています。
経営規模等評価の申請・総合評定値の請求の手数料
実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければなりません。
経営規模等評価の申請・総合評定値の請求は手数料がかかる。
建設業法 第27条の31(登録)
第二十七条の三十一 第二十七条の二十四第一項の登録は、経営状況分析を行おうとする者の申請により行う。
【引用元:建設業法】
2 国土交通大臣は、前項の規定により登録を申請した者(以下この項において「登録申請者」という。)が、電子計算機(入出力装置を含む。)及び経営状況分析に必要なプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)を有し、かつ、第二十七条の二十三第一項の規定により経営事項審査を受けなければならないこととされる建設業者(以下この項において単に「建設業者」という。)に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないときは、その登録をしなければならない。この場合において、登録に関して必要な手続は、国土交通省令で定める。
一 登録申請者が株式会社である場合にあつては、建設業者がその親法人であること。
二 登録申請者の役員(持分会社にあつては、業務を執行する社員)に占める建設業者の役員又は職員(過去二年間に当該建設業者の役員又は職員であつた者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。
三 登録申請者(法人にあつては、その代表権を有する役員)が建設業者の役員又は職員(過去二年間に当該建設業者の役員又は職員であつた者を含む。)であること。
3 登録は、登録経営状況分析機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 登録年月日及び登録番号
二 登録経営状況分析機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
三 登録経営状況分析機関が経営状況分析を行う事務所の所在地
<逐条解説>
第27条の31では「登録経営状況分析機関の登録要件」について明記されています。
登録経営状況分析機関の登録要件
- 登録申請者が電子計算機・経営状況分析に必要なプログラムを有していること
- 経営事項審査を受ける建設業者に支配されていないこと
- 登録申請者が株式会社である場合、建設業者がその親法人でないこと。
- 登録申請者の役員に占める建設業者の役員または職員の割合が2分の1以下であること。
- 登録申請者が建設業者の役員又は職員でないこと。
登録経営状況分析機関登録簿記載事項
- 登録年月日・登録番号
- 登録経営状況分析機関の氏名・名称・住所・法人代表者の氏名
- 登録経営状況分析機関が経営状況分析を行う事務所の所在地
登録経営状況分析機関が建設業者に支配されていると登録できないよ。
建設業法 第27条の32(準用規定)
第二十七条の三十二 第二十六条の六、第二十六条の八から第二十六条の十七まで及び第二十六条の二十から第二十六条の二十二までの規定は、登録経営状況分析機関について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の32では「準用規定」について明記されています。
登録経営状況分析機関への準用規定
登録講習実施機関に関する事項が準用されています。
登録講習実施機関に関する事項を準用。
建設業法 第27条の33(経営状況分析の義務)
第二十七条の三十三 登録経営状況分析機関は、経営状況分析を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、経営状況分析を行わなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の33では「登録経営状況分析機関の義務」について明記されています。
登録経営状況分析機関の義務
経営状況分析を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、経営状況分析を行わなければいけません。
当然のこと。
建設業法 第27条の34(秘密保持義務)
第二十七条の三十四 登録経営状況分析機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、経営状況分析の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の34では「登録経営状況分析機関の秘密保持」について明記されています。
登録経営状況分析機関の秘密保持
役員や職員、過去に役員や職員であった人は、経営状況分析の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはいけません。
登録経営状況分析機関には秘密保持が求められるよ。
建設業法 第27条の35(国土交通大臣又は都道府県知事による経営状況分析の実施)
第二十七条の三十五 国土交通大臣又は都道府県知事は、第二十七条の二十四第一項の登録を受けた者がいないとき、第二十七条の三十二において準用する第二十六条の十二の規定による経営状況分析の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があつたとき、第二十七条の三十二において準用する第二十六条の十六の規定により第二十七条の二十四第一項の登録を取り消し、又は登録経営状況分析機関に対し経営状況分析の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、登録経営状況分析機関が天災その他の事由により経営状況分析の業務の全部又は一部を実施することが困難となつたとき、その他国土交通大臣が必要があると認めるときは、経営状況分析の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。
【引用元:建設業法】
2 国土交通大臣は、都道府県知事が前項の規定により経営状況分析を行うこととなる場合又は都道府県知事が同項の規定により経営状況分析を行うこととなる事由がなくなつた場合には、速やかにその旨を当該都道府県知事に通知しなければならない。
3 国土交通大臣又は都道府県知事が第一項の規定により経営状況分析の業務の全部又は一部を自ら行う場合における経営状況分析の業務の引継ぎその他の必要な事項については、国土交通省令で定める。
4 第二十七条の三十の規定は、第一項の規定により国土交通大臣が行う経営状況分析を受けようとする者について準用する。
5 都道府県知事は、第一項の規定により経営状況分析の業務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた経営状況分析の業務の全部若しくは一部を行わないこととするときは、その旨を当該都道府県の公報に公示しなければならない。
<逐条解説>
第27条の35では「国土交通大臣又は都道府県知事による経営状況分析の実施」について明記されています。
国土交通大臣又は都道府県知事による経営状況分析の実施
- 登録経営状況分析機関がいないとき
- 天災等により登録経営状況分析機関が業務の実施が困難なとき
登録経営状況分析機関が業務出来ない場合は国土交通大臣・都道府県知事が代わりに実施するよ。
建設業法 第27条の36(国土交通省令への委任)
第二十七条の三十六 この章に規定するもののほか、経営事項審査及び第二十七条の二十八の再審査に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第27条の36では「経営事項審査に関する事項の国土交通省令への委任」について明記されています。
経営事項審査に関する事項の国土交通省令への委任
経営事項審査に関する事項は国土交通省令への委任されています。
経営事項審査に関する事項は国土交通省令への委任。