【岡山県の経営事項審査の手引き】を行政書士が徹底解説!
岡山県で経営事項審査(経審)を取得するためには経営事項審査の手引きは必ず確認する必要があります。
経営事項審査も建設業許可と同じく都道府県ごとに手引きや要領が用意されていますが、各都道府県で若干の違いがあります。
必ず経営事項審査(経審)を取得したい都道府県の手引きや要領を確認してください。
このような思いの方へ向けて、
岡山県の経営事項審査(経審)について建設業許可を取扱う行政書士が「岡山県」の「経営事項審査の手引き」についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと
「岡山県の経営事項審査の手引き」
について全体像の理解が深まります。
まず、「岡山県」の「経営事項審査の手引き」は次のような構成になっています。
- 1 経営事項審査の概要
- 2 岡山県知事許可業者に係る申請手続き
- 3 申請書類及び提出先等(岡山県知事許可業者)
- 4 国土交通大臣許可業者に係る経営事項審査
- 5 申請書類の記入要領
- 6 指定審査におけるその他確認事項
- 7 指定審査における持参書類一覧
- 8 参考資料
「岡山県」の「経営事項審査の手引き」は、おもに「経営事項審査」と「申請書類の記入要領」が重点的に書かれています。
「経営事項審査」は建設業として公共工事への入札へ参加するためには必須の審査です。
経営事項審査は審査要件を満たしていれば正しく申請書類を提出して要件を証明することで審査結果を取得できます。
不安な方は、専門家(行政書士)を利用することをお勧めします。
「経営事項審査申」は建設業者であれば取得しておく必要が将来的にますます高くなっていきます。
経営事項審査をうけたくても、一から手引きを読むのは難しいと思うので、まずは、当サイトのような解説を見て、経営事項審査申請の全体像を理解しておいてください。
全体像をつかむと、個別の内容もより、具体的に理解できます。
ただし、時間的に余裕がない方は、行政書士へ依頼することをお勧めします。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
岡山県 経営事項審査の手引き
1 経営事項審査の概要
経営事項審査とは
- 「公共工事」を直接請負うために「建設業者」が必ず受けなければならない審査
- 有効期限があるため毎年決算後4か月以内を目安に経営事項審査を受審する必要がある
経営事項審査の総合評定値
- 経営事項審査の総合評定値(P点)=「経営規模等評価結果」+「経営状況分析結果」
入札参加資格審査
- 総合評定値(客観点数)+独自の基準で算出した主観点数を加減算 → 格付け
注意事項
虚偽記載は監督処分の対象となり、場合によっては建設業法第50条に基づき懲役・罰金等の刑事罰に処せられ、建設業の許可は取消しになります。(取消し後5年間許可を受けることはできません。)
(1)審査基準日
原則として、経営事項審査を申請する日の直前の事業年度終了の日(直前の決算日)が審査基準日となります。
また、新規設立業者で決算期が到来していない場合には、個人にあっては事業開始の日、法人にあっては会社設立の日が審査基準日となります。
なお、特殊な事例(譲渡、合併、分割、相続)で経営事項審査を受審する場合は、事前に監理建設業班までお問い合わせください。
(2)有 効 期 間
経営事項審査の有効期間は、経営事項審査結果通知のの審査基準日から1年7か月
有効期間が切れ目なく継続するケース(下表は決算後3か月で申請)
申請が遅延したため、公共工事を請け負うことができない期間が発生するケース(下表は決算後6か月で申請)
(3)審 査 項 目
経営事項審査項目
- ①経営規模(X)・・・25%・15%
- ②経営状況(Y)・・・20%
- ③技術力(Z)・・・・25%
- ④社会性等(W)・・・15%
総合評定値(P)=0.25(X1) + 0.15(X2) + 0.2(Y) + 0.25(Z) + 0.15(W)
2 岡山県知事許可業者に係る申請手続き
経営状況分析
- (一財) 建設業情報管理センター等の登録経営状況分析機関
経営規模等の審査
- 許可行政庁(岡山県)
総合評定値の通知
- 許可行政庁(岡山県)
(1)手続きの流れ
- 【事業年度終了報告(変更届)】
- 事業年度終了後4か月以内に県監理課建設業班へ提出
- 県監理課で受付印が押印された届け出の副本を受領
- 【経営状況分析申請】
- 「経営状況分析申請書」を登録経営状況分析機関へ提出
- 「経営状況分析結果通知書」を受領
- 【経営規模等評価申請及び総合評定値請求】
- 「経営規模等評価申請及び総合評定値請求書(経営事項審査申請書)」を県民局建設部管理課へ提出
- 指定審査(現地審査)の実施通知(ハガキ)を受領
- 【指定審査(現地審査)】
- 実施通知で指定された日時・会場で指定審査を受審
- 審査には申請内容の確認書類を持参
- 審査終了後、審査会場で受付印が押印された申請の副本を受領
- 指定審査には、行政書士の方だけでは受審できません。
- 【経営事項審査結果通知・審査結果の公表】
- 指定審査の3~4週間後に、経営事項審査結果通知書(経営規模等評価結果・総合評定値通知書)を郵送で受領
- 結果通知日から約30日後、一般財団法人建設業情報管理センターのサイトで結果通知書の内容が公表される
- 結果通知書の原本送付は、届け出済みの主たる営業所所在地へ郵送
- 結果通知日から30日以内の申立てに限り修正できる可能性があり
手続きの流れ
(2)申請の期日等
会社の決算日(審査基準日)から4か月以内に申請が必要
3 申請書類及び提出先等(岡山県知事許可業者)
主たる営業所の所在地を所管する県民局建設部管理課へ、郵送又は持参により提出
申請書類提出から指定審査までの間、問合せ対応のため、申請書類の控えを手元に保管しておいてください。
(1)申請書類一覧
《作成方法》
- 提出書類の様式は、県監理課のホームページでダウンロード可能
- 下記①~⑫の順で書類を揃え、2セット(正本・副本)作成し、それぞれを黒ひもで綴じる。
- 下記提出書類のほかに、添票(ダウンロード可)を1部作成し、申請書類2セットと併せて提出。
- 行政書士が代理申請を行う場合は、申請書類正本綴りに委任状及び申請者の印鑑証明書(証明日が申請書提出日から遡って3か月以内のもの)の原本を綴じ込んでください。
申請書類一覧
①申請書表紙(岡山県様式)
- 表題が「令和3年経営事項審査提出書類」となっている表紙を使用
②経営規模等評価申請書・総合評定値請求書(20001帳票)
- 正本、副本ともに申請者印を押印
③工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高(20002帳票)
④工事種類別完成工事高付表(別記様式第1号)
- 業種間積み上げを行う場合にのみ作成のこと
⑤その他の審査項目(社会性等)(20004帳票)
⑥技術職員名簿(20005帳票)
- 名簿記載の技術職員が多数(概ね15名以上)の場合
- 技術職員名簿に記載している者の下記写しを併せて提出
- 健康保険証(被保険者の記号・番号及び保険者番号をマスキングしたもの)
- 直近の標準報酬決定通知書及びその前年の同通知書
- 資格を証明する書類
- ※提出書類は指定審査当日に返却されます。
- 技術職員名簿に記載している者の下記写しを併せて提出
⑦経営状況分析結果通知書(登録経営状況分析機関発行のもの)
- 正本には結果通知書の原本、副本には結果通知書の写しを添付のこと
⑧審査手数料証紙貼付書(岡山県様式)
- 審査手数料(8,500円+(2,500円×業種数))分の岡山県収入証紙を貼付
- 正本に添付(副本への写しの添付は不要)
- 申請者名を記入
⑨工事経歴書(建設業法施行規則別記様式第2号)
⑩「消費税及び地方消費税確定申告書(控え)」の写し
- 電子申告を行った者については「税務署の受信通知」も併せて添付してください。
- 電子申告ではなく書面で確定申告を行っている場合は、税務署の受付印が押印されている申告書(控え)の写しを添付
⑪保有建設機械一覧表(岡山県建設機械様式1)(岡山県建設機械様式1-2)
- その他の審査項目(社会性等)
- 「建設機械の保有状況」に台数を計上している場合にのみ作成のこと
(保有機械に対応した様式を使用)
(様式1、様式1-2あわせて最大15台まで記入可)
- 「建設機械の保有状況」に台数を計上している場合にのみ作成のこと
⑫保有建設機械の証拠書類(各法令に基づくもの)
- その他の審査項目(社会性等)
- 「建設機械の保有状況」に台数を計上している場合にのみ提出
(2)申 請 手 数 料
県知事許可業者は県収入証紙を貼付
(3)申請書類の提出先及び指定審査会場一覧
岡山県土木部監理課建設業班
〒700-8570
岡山市北区内山下2-4-6
電話:086-226-7463
ファックス:086-224-2217
(4) 特殊な経営事項審査について
特殊な事例(譲渡、合併、分割、相続)で経営事項審査を受審する場合は、事前に監理課建設業班へ相談が必要です。
4 国土交通大臣許可業者に係る経営事項審査について
令和2年4月1日以降、経由事務が廃止。
大臣許可建設業者に係る上記書類は直接中国地方整備局へ提出
5 申請書類の記入要領
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
工事種類別完成工事高付表
その他の審査項目(社会性等)
技術職員名簿
・実務経験要件の緩和について
実務経験要件の緩和
実務経験による資格取得として通常10年の経験を要するところ、技術的に共通性がある業種から実務経験年数の振り替えを認め、実質的に実務経験年数が短縮されること
1 実務経験の振り替えが可能な業種
(1)一式工事から専門工事への実務経験振り替え
(2)専門工事間での実務経験振り替え
2 実務経験年数振り替えの条件(両方を満たすこと)
- 申請業種→8年を超える実務経験が必要
- 申請業種の実務経験+振り替えする業種の実務経験=12年以上
3 実務経験要件の緩和の効果
(例1)一式工事から専門工事への実務経験振替の場合→最大2年の期間短縮
- 土木一式で10年の実務経験、とび・土工で8年の実務経験(計18年)
- 土木一式の実務経験4年をとび・土工工事に振り替えすることで要件緩和成立
(例2)専門工事間での実務経験振替の場合→最大4年の期間短縮
- 大工工事で8年の実務経験、内装仕上工事で8年の実務経験(計16年)
- 双方の実務経験4年を双方に振り替えすることで要件緩和成立
工事経歴書
・小規模公共工事に係る完成工事高確認書類
6 指定審査におけるその他確認事項
1 経営事項審査申請書と消費税確定申告書との整合
- 経営事項審査申請書記載の完成工事高合計 ≦ 消費税確定申告書の課税標準額
- 消費税確定申告書が最終の申告であることの確認
- 消費税納税証明書(その1)(証明書発行日が指定審査実施日から遡って3か月以内のもの)を提示
- 申告書上の課税額と納税証明書上の課税額が整合することを確認
- 消費税の確定申告を書面で行っている場合
- 原本性の確認
- 税務署の受付印が押印されている確定申告書の控えを提示
- 免税事業者の場合
- 納税証明書の税額表示が「無」と記載されていることを確認
- 原本性の確認
2 建設業法に基づき作成した決算書(事業年度終了報告及び経営分析添付)と法人税確定申告の際に作成した決算書との整合
- 双方の売上高、営業利益、経常利益が整合することを確認
3 経営事項審査申請書と事業年度終了報告(建設業許可変更届)との整合
- 経営事項審査申請書記載の完成工事高合計と事業年度終了報告損益計算書の完成工事高が整合している
- 同申請書記載の営業利益と同損益計算書の営業利益が整合している
4 建設業法遵守の確認
- 経営事項審査申請書類(技術職員名簿、工事経歴書)、指定審査提示書類(賃金台帳、工事台帳)等から、工事現場における技術職員の適正配置等を確認
7 指定審査における持参書類一覧
①経営事項審査申請書と各種税務申告、建設業許可変更届等との整合を確認するための書類
- 指定審査実施の通知(ハガキ)(原本)
- 消費税及び地方消費税の納税証明書(その1)(原本)
- 消費税及び地方消費税確定申告書(税務署の受付印がある控え)
- 会社の決算書(法人税確定申告時に作成したもの。個人事業主の場合は所得税青色申告決算書)
- 建設業許可申請書(新規・追加・更新)及び許可変更届(県の受付印がある控え)
- 令和2年経営事項審査結果通知書(経営規模等評価結果・総合評定値通知書)(原本)
- 令和2年経営事項審査申請書(経営規模等評価申請書・総合評定値請求書及びその添付書類)(県の受付印がある控え)
②「技術職員名簿」を確認するための書類
- 技術職員の資格を証明する書類(写し可)
- 資格の合格証明書
- 関係学科の卒業証明
- 大臣認定書
- 基幹技能者講習修了
- 能力評価(レベル判定)結果通知書
- 監理技術者資格者
- 監理技術者講習修了証 他
- 実務経験証明書(経営事項審査申請用様式他)(原本)
- 技術職員の生年月日、常時雇用及び恒常的雇用を確認する書類
③「その他の審査項目(社会性等)」を確認するための書類
- 各審査項目の状況を証明する書類等
④完成工事高を確認するための書類
- 工事請負契約書(原本)
- 注文書(原本)及び請書の写し
- 受発注が電子商取引による場合は、電子商取引に係る協定(原本)及び印した注文書
- JV工事の場合は、JV協定書(原本)
- 工事台帳
- 代表者印
岡山県の経営事項審査の手引きのまとめ
経営事項審査の手引きの内容を細かく記載すると、個別の表がたくさんあり、頭が混乱してしまします。
まずは、概要を確実におさえて、どのようにすれば評点が上がるのかを理解したうえで、細かい項目について押さえていく必要があります。
経審の評点を上げるには、個々の建設業者さまの経営状況を十分に理解したうえでアドバイスする必要が行政書士に求められていると思います。
建設業者さまも、信頼できる行政書士に相談することによって経審のポイントアップが期待できます。
どの行政書士でも出来るわけではありませんので、建設業関連の業務を専門にしている行政書士へ依頼することが大切です。