建設業法【第2章:建設業の許可 第4節:承継】逐条解説
建設業を営むうえで建設業法をはとても重要な法律です。
建設業法は建設業を営む方にとって大切な法律ですが、とっても読みにくいんです。
このような思いの方へ向けて、
わかりにくい建設業法について建設業許可を取扱う行政書士が建設業法についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと
「建設業法 第2章 建設業の許可 第4節 承継」
について確実に理解が深まります。
まず、「建設業法 第2章 建設業の許可 第4節 承継」は次のような構成になっています。
- 第2章 建設業の許可
- 第4節 承継章
- 譲渡及び譲受け並びに合併及び分割
- 相続
- 第4節 承継章
「第2章 建設業の許可 第4節 承継」は、
「譲渡・譲受・合併・分割」と「相続」について書かれています。
「建設業法 第2章 建設業の許可 第4節 承継」は建設業許可に関する承継について明記されています。
「建設業法 第2章 建設業の許可 第4節 承継」は建設業許可(一般建設業の許可・特定建設業の許可)に関する承継(譲渡・譲受・合併・分割・相続)についてどのような場合に承継できるかを明記しています。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
建設業法 第2章:建設業の許可
第4節 承継
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)1項
第十七条の二 建設業者が許可に係る建設業の全部(以下単に「建設業の全部」という。)の譲渡を行う場合(当該建設業者(以下この条において「譲渡人」という。)が一般建設業の許可を受けている場合にあつては譲受人(建設業の全部を譲り受ける者をいう。以下この条において同じ。)が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、譲渡人が特定建設業の許可を受けている場合にあつては譲受人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)において、譲渡人及び譲受人が、あらかじめ当該譲渡及び譲受けについて、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、譲受人は、当該譲渡及び譲受けの日に、譲渡人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
【引用元:建設業法】
一 譲渡人が国土交通大臣の許可を受けているとき 国土交通大臣
二 譲渡人が都道府県知事の許可を受けているとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ 譲受人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ 譲受人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
<逐条解説>
第17条の2:1項では「建設業の全部」の譲渡について明記されています。譲渡人の建設業者の地位を譲受人が承継できます。(一部例外がある点に注意)
建設業の全部の承継
承継できるパターン①
(譲渡人)一般建設業の許可 → (譲受人)一般建設業の許可
承継できるパターン②
(譲渡人)特定建設業の許可 → (譲受人)特定建設業の許可
承継できないパターン①
(譲渡人)一般建設業の許可 → (譲受人)特定建設業の許可
承継できないパターン②
(譲渡人)特定建設業の許可 → (譲受人)一般建設業の許可
譲渡の認可先
- (譲渡人)大臣許可 → 国土交通大臣
- (譲渡人)知事許可 → 都道府県知事【原則】
- (譲受人)大臣許可 → 国土交通大臣【例外】
- (譲受人)他の都道府県の知事許可 → 国土交通大臣【例外】
都道府県知事・国土交通大臣から譲渡の認可を受ければ建設業許可は承継できるんだ。一部例外もあるので注意が必要だね。
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)2項
2 建設業者である法人が合併により消滅することとなる場合(当該建設業者である法人(以下この条において「合併消滅法人」という。)(合併消滅法人が二以上あるときは、そのいずれか)が一般建設業の許可を受けている場合にあつては当該一般建設業の許可を受けている合併消滅法人以外の合併消滅法人又は合併存続法人(合併後存続する法人をいう。以下この条において同じ。)が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、合併消滅法人(合併消滅法人が二以上あるときは、そのいずれか)が特定建設業の許可を受けている場合にあつては合併存続法人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)において、合併消滅法人等(合併消滅法人、合併により消滅することとなる法人であつて合併消滅法人でないもの及び合併存続法人をいう。)が、あらかじめ当該合併について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、合併存続法人又は合併により設立される法人は、当該合併の日に、合併消滅法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
【引用元:建設業法】
一 合併消滅法人(合併消滅法人が二以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣の許可を受けているとき 国土交通大臣
二 合併消滅法人が二以上ある場合において、当該合併消滅法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき 国土交通大臣
三 合併消滅法人が二以上ある場合において当該合併消滅法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は合併消滅法人が一である場合において当該合併消滅法人が都道府県知事の許可を受けているとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ 合併存続法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ 合併存続法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
<逐条解説>
第17条の2:2項では法人の合併について明記されています。合併消滅法人の建設業者の地位を合併存続法人が承継できます。(一部例外がある点に注意)
法人の合併
承継できるパターン①
(合併消滅法人)一般建設業の許可 → (合併存続法人)一般建設業の許可
承継できるパターン②
(合併消滅法人)特定建設業の許可 → (合併存続法人)特定建設業の許可
承継できないパターン①
(合併消滅法人)一般建設業の許可 → (合併存続法人)特定建設業の許可
承継できないパターン②
(合併消滅法人)特定建設業の許可 → (合併存続法人)一般建設業の許可
譲渡の認可先
- (合併消滅法人)大臣許可 → 国土交通大臣
- (合併消滅法人)知事許可(異なる都道府県) → 国土交通大臣
- (合併消滅法人)知事許可(同一の都道府県) → 都道府県知事【原則】
- (合併存続法人)大臣許可 → 国土交通大臣【例外】
- (合併存続法人)他の都道府県の知事許可 → 国土交通大臣【例外】
譲渡と同様に都道府県知事・国土交通大臣から合併の認可を受ければ建設業許可は承継できるんだ。譲渡と同様に一部例外もあるので注意が必要だね。
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)3項
3 建設業者である法人が分割により建設業の全部を承継させる場合(当該建設業者である法人(以下この条において「分割被承継法人」という。)(分割被承継法人が二以上あるときは、そのいずれか)が一般建設業の許可を受けている場合にあつては当該一般建設業の許可を受けている分割被承継法人以外の分割被承継法人又は分割承継法人(分割により建設業の全部を承継する法人をいう。以下この条において同じ。)が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、分割被承継法人(分割被承継法人が二以上あるときは、そのいずれか)が特定建設業の許可を受けている場合にあつては分割承継法人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)において、分割被承継法人等(分割被承継法人、分割によりその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継させる法人であつて分割被承継法人でないもの及び分割承継法人をいう。)が、あらかじめ当該分割について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、分割承継法人は、当該分割の日に、分割被承継法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
【引用元:建設業法】
一 分割被承継法人(分割被承継法人が二以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣の許可を受けているとき 国土交通大臣
二 分割被承継法人が二以上ある場合において、当該分割被承継法人の全てが都道府県知事の許可を受けており、かつ、当該許可をした都道府県知事が同一でないとき 国土交通大臣
三 分割被承継法人が二以上ある場合において当該分割被承継法人の全てが同一の都道府県知事の許可を受けているとき、又は分割被承継法人が一である場合において当該分割被承継法人が都道府県知事の許可を受けているとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ 分割承継法人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ 分割承継法人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
<逐条解説>
第17条の2:3項では法人の分割について明記されています。分割被承継法人の建設業者の地位を分割承継法人が承継できます。
(一部例外がある点に注意)
内容的には「合併」が「分割」に変わっただけで内容は同じです。
法人の分割
承継できるパターン①
(分割被承継法人)一般建設業の許可 → (分割承継法人)一般建設業の許可
承継できるパターン②
(分割被承継法人)特定建設業の許可 → (分割承継法人)特定建設業の許可
承継できないパターン①
(分割被承継法人)一般建設業の許可 → (分割承継法人)特定建設業の許可
承継できないパターン②
(分割被承継法人)特定建設業の許可 → (分割承継法人)一般建設業の許可
譲渡の認可先
- (分割被承継法人)大臣許可 → 国土交通大臣
- (分割被承継法人)知事許可(異なる都道府県) → 国土交通大臣
- (分割被承継法人)知事許可(同一の都道府県) → 都道府県知事【原則】
- (分割承継法人)大臣許可 → 国土交通大臣【例外】
- (分割承継法人)他の都道府県の知事許可 → 国土交通大臣【例外】
合併と同様に都道府県知事・国土交通大臣から分割の認可を受ければ建設業許可は承継できるんだ。
合併と同様に一部例外もあるので注意が必要だね。
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)4項
4 第七条及び第八条の規定は一般建設業の許可を受けている譲渡人、合併消滅法人又は分割被承継法人(以下この条において「譲渡人等」という。)に係る前三項の認可について、第八条及び第十五条の規定は特定建設業の許可を受けている譲渡人等に係る前三項の認可について、それぞれ準用する。この場合において、第七条及び第八条中「許可を受けようとする者」とあり、並びに第十五条中「特定建設業の許可を受けようとする者」とあるのは、「第十七条の二第一項に規定する譲受人、同条第二項に規定する合併存続法人若しくは合併により設立される法人又は同条第三項に規定する分割承継法人」と読み替えるものとする。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第17条の2:4項では許可基準と欠格要件の準用について明記しています。
譲渡における許可基準と欠格要件の準用
一般建設業の許可の場合
一般建設業の許可の基準(第7条)と欠格要件(第8条)を読み替えて適用します。
特定建設業の許可の場合
特定建設業の許可の基準(第15条)と欠格要件(第8条)を読み替えて適用します。
要するに、譲受人や合併存続法人や分割承継法人などの譲渡人等は建設業許可の基準を満たし、欠格要件に該当しないことが求められています。
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)5項
5 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項から第三項までの認可をするに際しては、当該認可をしようとする承継に係る建設業の許可又は譲受人、合併存続法人若しくは分割承継法人が受けている建設業の許可について第三条の二第一項の規定により付された条件(この項(次条第三項において準用する場合を含む。)の規定により変更され、又は新たに付された条件を含む。第二十九条第二項において同じ。)を取り消し、変更し、又は新たに条件を付することができる。この場合においては、第三条の二第二項の規定を準用する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
建設業法第17条の2:5項では、国土交通大臣又は都道府県知事が承継に認可をするにあたり、変更したりすることができると明記されています。
承継の認可に条件を付し、及びこれを変更できる者
- 国土交通大臣・・・大臣許可
- 都道府県知事・・・知事許可
条件や変更に関する制限
※建設工事の適正な施工の確保及び発注者の保護を図るため必要な最小限度のものに限る
※許可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
そもそも、新規の許可と承継の認可は違うから必要があれば条件を付したり、変更したりできるのは当然だね。
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)6項
6 第一項から第三項までの規定により譲渡人等の建設業者としての地位を承継した譲受人等(建設業の全部を譲り受けた者、合併存続法人若しくは合併により設立された法人又は分割により建設業の全部を承継した法人をいう。以下この条において同じ。)が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、当該承継の日に、譲受人等は、当該各号に定める建設業について国土交通大臣の許可を受けたものとみなし、譲受人等に係る都道府県知事の許可は、その効力を失う。
【引用元:建設業法】
一 国土交通大臣の許可を受けている譲受人等が都道府県知事の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき 当該都道府県知事の許可に係る建設業(当該国土交通大臣の許可に係る建設業と同一の種類のものを除く。)
二 都道府県知事の許可を受けている譲受人等が国土交通大臣の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき 当該都道府県知事の許可に係る建設業(当該国土交通大臣の許可に係る建設業と同一の種類のものを除く。)
三 都道府県知事の許可を受けている譲受人等が他の都道府県知事の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき 当該都道府県知事の許可に係る建設業及び当該他の都道府県知事の許可に係る建設業
四 建設業の許可を受けていない譲受人等が、同時に、国土交通大臣の許可を受けている譲渡人等の地位及び都道府県知事の許可を受けている譲渡人等の地位を承継したとき 当該都道府県知事の許可に係る建設業(当該国土交通大臣の許可に係る建設業と同一の種類のものを除く。)
五 建設業の許可を受けていない譲受人等が、同時に、都道府県知事の許可を受けている二以上の譲渡人等の地位を承継したとき(当該許可をした都道府県知事が同一であるときを除く。) 当該都道府県知事の許可に係る建設業
<逐条解説>
建設業法第17条の2:6項では、譲受時に国土交通大臣許可を受けたとみなすパターンにて明記されています。
譲受時に国土交通大臣許可を受けたとみなすパターン
- (譲受人)大臣許可
- (譲渡人)知事許可
- (譲受人)知事許可
- (譲渡人)大臣許可
- (譲渡人)他の都道府県の知事許可
- (譲受人)許可なし
- (譲渡人)大臣許可
- (譲渡人)2以上の都道府県の知事許可
譲受時に国土交通大臣許可を受けたとみなすパターンは結局は大臣許可が必要になるパターンだね。
建設業法 第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)7項
7 第一項から第三項までの規定により譲受人等が譲渡人等の建設業者としての地位を承継した場合における承継許可等(当該承継に係る建設業の許可及び当該譲受人等が受けている建設業の許可(当該承継前に自ら受けたものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)に係る許可の有効期間については、当該承継の日における承継許可等に係る許可の有効期間の残存期間にかかわらず、当該承継の日の翌日から起算するものとする。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
建設業法第17条の2:6項では、承継した許可の有効期限について、承継の日の翌日から起算すると明記されています。
譲渡等により承継した許可の有効期限
建設業の許可を承継した場合、既に取得している建設業の許可も承継した建設業の許可と同様に、承継の日の翌日から起算されます。つまり、すべての建設業の許可の有効期限が新たにスタートします。
建設業の許可を承継した場合、承継した許可の有効期限だけでなく、既に持っている許可の有効期限も更新されるんだね。
建設業法 第17条の3(相続)1項
第十七条の三 建設業者が死亡した場合において、当該建設業者(以下この条において「被相続人」という。)の相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により被相続人の営んでいた建設業の全部を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この条において単に「相続人」という。)が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするとき(被相続人が一般建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を、被相続人が特定建設業の許可を受けていた場合にあつては相続人が当該特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合を除く。)は、その相続人は、国土交通省令で定めるところにより、被相続人の死亡後三十日以内に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。
【引用元:建設業法】
一 被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき 国土交通大臣
二 被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき 当該都道府県知事。ただし、次のいずれかに該当するときは、国土交通大臣とする。
イ 相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき。
ロ 相続人が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき。
<逐条解説>
第17条の3:1項では相続について明記されています。個人で建設業の許可を取得している場合の被相続人の建設業者の地位を相続人が相続できます。(一部例外がある点に注意)
相続
相続できるパターン①
(被相続人)一般建設業の許可 → (相続人)一般建設業の許可
相続できるパターン②
(被相続人)特定建設業の許可 → (相続人)特定建設業の許可
相続できないパターン①
(被相続人)一般建設業の許可 → (相続人)特定建設業の許可
相続できないパターン②
(被相続人)特定建設業の許可 → (相続人)一般建設業の許可
相続の認可先
- (被相続人)大臣許可 → 国土交通大臣
- (被相続人)知事許可 → 都道府県知事【原則】
- (相続人)大臣許可 → 国土交通大臣【例外】
- (相続人)他の都道府県の知事許可 → 国土交通大臣【例外】
相続は個人の場合だね。法人の場合は承継だよ。
建設業法 第17条の3(相続)2項
2 相続人が前項の認可の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその認可を受ける日又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした建設業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第17条の3:2項は重要です。被相続人が死亡してから相続の認可を受けるまでは相続人が被相続人の建設業の許可を取得していることになります。
つまり、「相続認可の申請」が重要です。
相続の認可までの期間における建設業の許可のゆくえ
相続人が相続の認可の申請をしていれば、認可の結果がでるまでは、相続人が被相続人の建設業の許可を取得していることになります。
「相続認可の申請」をしていないと認められないよ。
建設業法 第17条の3(相続)3項
3 第七条及び第八条の規定又は同条及び第十五条の規定は一般建設業の許可を受けていた被相続人又は特定建設業の許可を受けていた被相続人に係る第一項の認可について、前条第五項の規定は第一項の認可をしようとする承継に係る建設業の許可又は相続人が受けている建設業の許可について、それぞれ準用する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
建設業法第17条の3:3項では、国土交通大臣又は都道府県知事が承継に認可をするにあたり、変更したりすることができると明記されています。
相続における許可基準と欠格要件の準用
一般建設業の許可の場合
一般建設業の許可の基準(第7条)と欠格要件(第8条)を読み替えて適用します。
特定建設業の許可の場合
特定建設業の許可の基準(第15条)と欠格要件(第8条)を読み替えて適用します。
相続の認可に条件を付し、及びこれを変更できる者
- 国土交通大臣・・・大臣許可
- 都道府県知事・・・知事許可
条件や変更に関する制限
※建設工事の適正な施工の確保及び発注者の保護を図るため必要な最小限度のものに限る
※許可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。
譲渡と同じく、新規の許可と相続の認可は違うから必要があれば条件を付したり、変更したりできるのは当然だね。
建設業法 第17条の3(相続)4項
4 第一項の認可を受けた相続人は、被相続人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
建設業法第17条の3:3項では、承継できる要件を満たした場合に建設業者としての地位を承継できる点を明記しています。
相続の認可を受けた場合
被相続人の建設業者としての地位を承継できる。
相続における建設業者の地位の承継を明記してるね。
建設業法 第17条の3(相続)5項
5 前条第六項及び第七項の規定は、前項の規定により被相続人の建設業者としての地位を承継した相続人について準用する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
建設業法第17条の3:5項では、国土交通大臣許可を受けたとみなす点と許可の有効期限を準用しています。
相続時に国土交通大臣許可を受けたとみなすパターン
- (被相続人)大臣許可
- (相続人)知事許可
- (被相続人)知事許可
- (相続人)大臣許可
- (相続人)他の都道府県の知事許可
- (被相続人)許可なし
- (譲渡人)大臣許可
- (相続人)2以上の都道府県の知事許可
相続により承継した許可の有効期限
建設業の許可を承継した場合、既に取得している建設業の許可も承継した建設業の許可と同様に、承継の日の翌日から起算されます。つまり、すべての建設業の許可の有効期限が新たにスタートします。
相続での承継も譲渡での承継と同じ点が多いね。