建設業法【第3章:建設工事の請負契約 第1節:通則】逐条解説
建設業を営むうえで建設業法をはとても重要な法律です。
建設業法は建設業を営む方にとって大切な法律ですが、とっても読みにくいんです。
このような思いの方へ向けて、
わかりにくい建設業法について建設業許可を取扱う行政書士が建設業法についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと
「建設業法 第3章 建設工事の請負契約 第1節 通則」
について確実に理解が深まります。
まず、「建設業法 第3章 建設工事の請負契約 第1節 通則」は次のような構成になっています。
- 第3章 建設工事の請負契約
- 第1節 通則
- 建設工事の請負契約の原則
- 建設工事の請負契約の内容
- 現場代理人の選任等に関する通知
- 不当に低い請負代金の禁止
- 不当な使用資材等の購入強制の禁止
- 著しく短い工期の禁止
- 発注者に対する勧告等
- 建設工事の見積り等
- 工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供
- 契約の保証
- 一括下請負の禁止
- 下請負人の変更請求
- 工事監理に関する報告
- 請負契約とみなす場合
- 第1節 通則
「建設業法 第3章 建設工事の請負契約 第1節 通則」は、
「建設工事の請負契約」について書かれています。
「建設業法 第3章 建設工事の請負契約 第1節 通則」は建設工事の請負契約についての基本事項や禁止事項が明記されています。
「建設業法 第3章 建設工事の請負契約 第1節 通則」では「建設工事の請負契約」に関する事項が明記されています。これは建設業法の目的でもある下請保護を目的とした内容でもありますが、発注者保護に関する内容も含まれています。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
建設業法 第3章:建設工事の請負契約
第1節 通則
建設業法 第18条(建設工事の請負契約の原則)
第十八条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第18条では請負契約の原則について明記しています。
建設工事の請負契約の原則
対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。
「対等な立場」、「公正な契約」、「信義に従い」、「誠実に履行」どの言葉も大切な表現です。
建設業法 第19条(建設工事の請負契約の内容)1項
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
【引用元:建設業法】
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項
<逐条解説>
第19条:1項では請負契約の締結時の記載内容について明記しています。
請負契約締結時の決まり事
- 書面作成
- 署名または記名押印
- 相互交付
請負契約締結時の記載内容
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
- 前払い、出来高払いをする場合は、支払の時期及び方法
- 一方からの設計変更、着手の延期、工事の中断があった場合の、工期の変更や請負代金の変更、損害額の算出方法
- 天災や不可抗力による工期の変更や損額額の算出方法
- 価格変動による、請負代金の額や工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
- 注文者が資材の提供や機材の貸与をする場合はその内容、方法に関する定め
- 検査時期、完成時期
- 工事完成後の請負代金の支払い時期
- 品質不良等による定め
- 債務不履行や履行遅滞による損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
- その他国土交通省令で定める事項
建設工事は工事代金が大きいから契約時における記載事項も法律に明記されているんだね。
建設業法 第19条(建設工事の請負契約の内容)2項
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条:2項では請負契約の記載の事項を変更する場合の取り決めを明記しています。
請負契約の記載の事項を変更する場合の決まり事
- 変更内容の書面作成
- 署名または記名押印
- 相互交付
請負契約締結時の決まり事と同じだね。
建設業法 第19条(建設工事の請負契約の内容)3項
3 建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条:2項では書面によらない請負契約について明記しています。
書面によらない請負契約
- 契約の相手方の承諾
- 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法
- 国土交通省令で定めるもの
まだまだ普及していないけど電子署名による契約のことかな・・・
建設業法 第19条の2(現場代理人の選任等に関する通知)1項
第十九条の二 請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、当該現場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法(第三項において「現場代理人に関する事項」という。)を、書面により注文者に通知しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の2:1項では現場代理人を置く場合の規定について明記されています。
現場代理人を置く場合
- 現場代理人の権限に関する事項
- 現場代理人の行為に対して請負人に対する意見の申出の方法
※請負人はこれらを書面で注文者へ通知しなければいけません。
現場代理人は会社の代表者にかわって現場を代表する人なので取り決めが厳格化されているのかな。
建設業法 第19条の2(現場代理人の選任等に関する通知)2項
2 注文者は、請負契約の履行に関し工事現場に監督員を置く場合においては、当該監督員の権限に関する事項及び当該監督員の行為についての請負人の注文者に対する意見の申出の方法(第四項において「監督員に関する事項」という。)を、書面により請負人に通知しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の2:2項では監督員を置く場合の規定について明記されています。
監督員を置く場合
- 監督員の権限に関する事項
- 監督員の行為に対して請負人に対する意見の申出の方法
※請負人はこれらを書面で請負人へ通知しなければいけません。
監督員は現場代理人と同じく取り決めが厳格化されています。たしかに、注文者に代わって、現場を監督する人だから重要だね。
建設業法 第19条の2(現場代理人の選任等に関する通知)3項
3 請負人は、第一項の規定による書面による通知に代えて、政令で定めるところにより、同項の注文者の承諾を得て、現場代理人に関する事項を、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより通知することができる。この場合において、当該請負人は、当該書面による通知をしたものとみなす。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の2:3項では現場代理人を置く場合の注文者への通知を電子情報による通知に代える規定です。
現場代理人を置く場合の注文者への通知
- 電子情報処理組織を使用する方法
- その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるもの
※これらに該当する場合は請負人が注文者へ現場代理人を置く場合の通知をしたとみなされます。
現場代理人を置く場合の通知は必ずしも書面でしなければいけないわけではないんだな。
建設業法 第19条の2(現場代理人の選任等に関する通知)4項
4 注文者は、第二項の規定による書面による通知に代えて、政令で定めるところにより、同項の請負人の承諾を得て、監督員に関する事項を、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより通知することができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による通知をしたものとみなす。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の2:4項では監督員を置く場合の請負人への通知を電子情報による通知に代える規定です。
監督員を置く場合の請負人への通知
- 電子情報処理組織を使用する方法
- その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるもの
※これらに該当する場合は注文者が請負人へ監督員を置く場合の通知をしたとみなされます。
現場代理人と同じく、監督員を置く場合の通知も必ずしも書面でしなければいけないわけではないんだな。
建設業法 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の3は注文者の請負人に対する禁止事項です。
注文者の請負人に対する禁止事項①
注文者としての取引上の地位を不当に利用して、通常、工事に必要とされる原価未満で請負契約を締結してはいけない。
不当な値下げによって立場上弱者となる請負業者が不利益を被ることを防止しています。
下請保護の考えに基づく禁止事項だね。
建設業法 第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
第十九条の四 注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の4も前条と同じく注文者の請負人に対する禁止事項です。
注文者の請負人に対する禁止事項②
注文者としての取引上の地位を不当に利用して、機器や資材の購入先を指定したり、購入させたりして、請負人の利益を害してはいけない。
不当な指示によって請負人の利益を害する行為を禁止しています。
「請負契約の締結後」という条件が付きます。請負契約の締結前であれば注文者からの指示を踏まえて見積を提示したり、契約を注視したりすることができるからです。
これも、下請保護の考えに基づく禁止事項だね。
建設業法 第19条の5(著しく短い工期の禁止)
第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の5では著しく短い工期の禁止につて明記されています。
注文者の請負人に対する禁止事項③
通常必要とされる工期と比べ、著しく短い工期を指定してはいけません。
具体的に言うと、通常の工期が3年なのに、6ヶ月なんていう極端に短い工期を指定してはいけないということです。
またまた、下請保護の考えに基づく禁止事項だね。
建設業法 第19条の6(発注者に対する勧告等)1項
第十九条の六 建設業者と請負契約を締結した発注者(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二条第一項に規定する事業者に該当するものを除く。)が第十九条の三又は第十九条の四の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の6:1項では発注者が第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)、または、第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)に違反した場合、都道府県知事等は勧告できると明記されています。
発注者の規定違反による勧告①
- 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
- 第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
発注者が上記2つの禁止事項に違反した場合は建設業許可をした都道府県知事、国土交通大臣は必要な勧告をすることができるとあります。
発注者の禁止事項違反による勧告によって建設業者が保護されているんだね。
建設業法 第19条の6(発注者に対する勧告等)2項
2 建設業者と請負契約(請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに限る。)を締結した発注者が前条の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の6:2項では発注者が第19条の5(著しく短い工期の禁止)に違反した場合、都道府県知事等は勧告できると明記されています。
発注者の規定違反による勧告②
- 第19条の5(著しく短い工期の禁止)
発注者が上記の禁止事項に違反した場合は建設業許可をした都道府県知事、国土交通大臣は必要な勧告をすることができるとあります。
発注者の禁止事項違反による勧告によって建設業者が保護されているんだね。
建設業法 第19条の6(発注者に対する勧告等)3項
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の勧告を受けた発注者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の6:3項では、1項、2項で明記した勧告に従わない場合に、公表できると明記されています。
発注者に対する勧告
- 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
- 第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
- 第19条の5(著しく短い工期の禁止)
上記の違反により勧告をうけた発注者が勧告に従わない場合は、その旨を公表できるとあります。
公表により、公にされる点で勧告に従うように牽制しています。
勧告だけで終わると、無視される場合もあるから、従わない場合に公表するという牽制がされているんだね。
建設業法 第19条の6(発注者に対する勧告等)4項
4 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項又は第二項の勧告を行うため必要があると認めるときは、当該発注者に対して、報告又は資料の提出を求めることができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第19条の6:4項では、違反した発注者が勧告に従わない場合に必要がある場合は報告又は資料の提出を求めることができると明記されています。
発注者に対する勧告時の求め
勧告に従わない発注者に対して、必要がある場合は、報告又は資料の提出を求めることができます。
発注者が勧告に従わない理由があれば提出すれば考慮してもらえるかも。
建設業法 第20条(建設工事の見積り等)1項
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第20条1項では建設業者に課された努力目標が明記されています。
建設業者に課された努力目標
建設工事の見積もりに明記する項目
- 工事の種類ごとの材料費・労務費・経費の内訳
- 工事の工程ごとの作業及びその準備日数
努力目標だけど一般的にみても見積もりに含めないといけない項目だね。
建設業法 第20条(建設工事の見積り等)2項
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第20条2項では見積もりに関する事項が目記されています。あくまでも基本的事項です。
建設業者に課された義務
注文者からの請求がある場合は契約成立前に見積書を交付しなければいけません。
あたりまえだね。
建設業法 第20条(建設工事の見積り等)3項
3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項第一号及び第三号から第十六号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第20条3項では注文者が随意契約や入札を行う場合に「建設工事の請負契約の内容」を具体的に提示しなければいけないと明記されています。
注文者が具体的に提示しなければいけない「建設工事の請負契約の内容」
随意契約・入札を行う場合の規定です。
「建設工事の請負契約の内容」
- 工事内容
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
- 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
- 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
- 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
- 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
- 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
- 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
- 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
- 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
- その他国土交通省令で定める事項
随意契約や入札の場合は民間取引と比べて明記しなければいけない事項が多いね
建設業法 第20条の2(工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供)
第二十条の二 建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を提供しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第20条の2では「工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供」について明記されています。
注文者の工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供
1.地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるとき
※請負契約締結前に!
2.必要な情報提供をしなければいけない。
予め分かっていることは請負業者へ伝える必要があるということだね。請負契約締結前という点が重要。
建設業法 第21条(契約の保証)1項
第二十一条 建設工事の請負契約において請負代金の全部又は一部の前金払をする定がなされたときは、注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求することができる。但し、公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二十七年法律第百八十四号)第二条第四項に規定する保証事業会社の保証に係る工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第21条:1項では注文者の前金払の保証について明記されています。
注文者が請負業者へ工事代金の前金払をする場合
建設業者に対して前金払をする前に保証人を立てることを請求できます。
前金払をする場合で保証人が不要な条件
- 軽微な建設工事
- 保証事業会社の保証がある場合
前金を支払ったあとで請負業者が工事をやめてしまった場合の保険だね。
建設業法 第21条(契約の保証)2項
2 前項の請求を受けた建設業者は、左の各号の一に規定する保証人を立てなければならない。
【引用元:建設業法】
一 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払の保証人
二 建設業者に代つて自らその工事を完成することを保証する他の建設業者
<逐条解説>
第21条:2項では前金払の保証人の要件について明記されています。
前金払の保証人の要件
- 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払の保証人
- 金銭的保証
- 建設業者に代つて自らその工事を完成することを保証する他の建設業者
- 工事完成保証
前金払の保証人は金銭的な保証と工事の完成の保証の2種類あるんだね。
建設業法 第21条(契約の保証)3項
3 建設業者が第一項の規定により保証人を立てることを請求された場合において、これを立てないときは、注文者は、契約の定にかかわらず、前金払をしないことができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第21条:3項では保証人を立てるのを拒んだ場合について明記されています。
前金払の保証人を立てることを請求したにもかかわらず保証人を立てない場合
契約の定めにかかわらず、前金払をしないことができます。
注文者が法律にのっとって依頼しているのに建設業者が応じてくれない場合は注文者は前金払はしなくてもいいよ。
建設業法 第22条(一括下請負の禁止)1項
第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第22条:1項では一括して下請負へ出すことを禁止すると明記されています。
一括下請負禁止
いかなる方法でも一括して下請負へ出すことは禁止されています。
請負代金の中抜き防止!
建設業法 第22条(一括下請負の禁止)2項
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第22条:2項では一括して下請として請け負ってはいけないと明記されています。
一括下請負禁止
下請として建設業者から一括下請をうけてはいけません。(発注者からの一括下請はOK)
請負代金の中抜き防止!
建設業法 第22条(一括下請負の禁止)3項
3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第22条:3項では一括下請負禁止の例外規定を明記しています。
一括下請負禁止の例外
民間工事であり(多数の者が利用する施設や政令で定められた施設以外)で、発注者の書面による承諾を得た場合一括して請負禁止が適用除外となります。
発注者がOK出しているし、不特定多数に影響がある施設ではない場合は、発注者がOKなら一括下請負してもいいよという事。
建設業法 第22条(一括下請負の禁止)4項
4 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第22条:4項では一括下請負の了承の承諾を書面ではなく電子情報処理組織等を利用してもいいと明記されています。
一括下請負禁止の例外(書面による承諾の代わり)
電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、発注者の承諾をする旨の通知とすることができます。
電子情報処理組織等を利用した承諾でもOK!
建設業法 第23条(下請負人の変更請求)1項
第二十三条 注文者は、請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、その変更を請求することができる。ただし、あらかじめ注文者の書面による承諾を得て選定した下請負人については、この限りでない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第23条では注文者保護の観点から請負人が選定した下請負が著しく不適当な場合に変更を請求できると明記されています。
建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人
注文者は請負人に対して、「建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人」である場合は下請負人の変更を請求できます。
ただし、事前に下請負人の選定に関して注文者が書面による承諾をしている場合は対象外となります。
きちんと工事できない業者へ下請負にだされると注文者としては困るからね。
建設業法 第23条(下請負人の変更請求)2項
2 注文者は、前項ただし書の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項ただし書の規定により下請負人を選定する者の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項ただし書の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第23条:2項では下請負人の選定に関する書面による承諾は電子情報処理組織等を利用してもいいと明記されています。
下請負人の選定に関する書面による承諾の例外(書面による承諾の代わり)
電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、発注者の承諾をする旨の通知とすることができます。
電子情報処理組織等を利用した承諾でもOK!
建設業法 第23条の2(工事監理に関する報告)
第二十三条の二 請負人は、その請け負つた建設工事の施工について建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第十八条第三項の規定により建築士から工事を設計図書のとおりに実施するよう求められた場合において、これに従わない理由があるときは、直ちに、第十九条の二第二項の規定により通知された方法により、注文者に対して、その理由を報告しなければならない。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第23条の2では請負人の責任として建築士から設計図書のとおりに工事をするように求められた場合であっても、従わない理由がある場合は、定められた方法により注文者へ報告しなければいけないと明記されてます。
工事監理に関する報告
請負人の責任:工事監理に関する注文者への報告
※建築士から設計図書のとおりに工事をするように求められても、工事監理上従わない理由がある場合
注文者への報告の方法
第19条の2
【引用元:建設業法】
第2項
注文者は、請負契約の履行に関し工事現場に監督員を置く場合においては、当該監督員の権限に関する事項及び当該監督員の行為についての請負人の注文者に対する意見の申出の方法(第四項において「監督員に関する事項」という。)を、書面により請負人に通知しなければならない。
工事に支障をきたすなど理由がある場合は決められた方法で注文者へ報告しなければいけないよ。自分で判断しない事!
建設業法 第24条(請負契約とみなす場合)
第二十四条 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第24条では請負契約の範囲について明記されています。
請負契約の範囲
委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約
報酬を得て建設工事の完成を目的とする契約が対象。