建設業法【第8章:罰則】逐条解説
建設業を営むうえで建設業法をはとても重要な法律です。
建設業法は建設業を営む方にとって大切な法律ですが、とっても読みにくいんです。
このような思いの方へ向けて、
わかりにくい建設業法について建設業許可を取扱う行政書士が建設業法についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと
「建設業法 第8章 罰則」
について確実に理解が深まります。
まず、「建設業法 第8章 罰則」は次のような構成になっています。
- 第8章 罰則
「建設業法 第8章 罰則」は、「建設業法違反をした場合の罰則」について書かれています。
「建設業法 第8章 罰則」では建設業法違反時の罰則の具体的な内容を明記しています。
「建設業法 第8章 罰則」は条文自体を読んでも何の違反か分かりにくいので、その点を重視してどのような違反に対してどのような罰則が科されるかをわかりやすく解説していきます。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
建設業法 第8章 罰則
罰則
建設業法 第45条 1項
第四十五条 登録経営状況分析機関(その者が法人である場合にあつては、その役員)又はその職員で経営状況分析の業務に従事するものが、その職務に関し、賄賂ろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第45条:1項では「登録経営状況分析機関等の贈賄」について明記されています。
録経営状況分析機関等の贈賄
対象
登録経営状況分析機関またはその職員で経営状況分析の業務に従事するもの
罰則
贈賄をした場合、3年以下の懲役
贈賄により不正等をした場合は、7年以下の懲役
贈賄は懲役。
建設業法 第45条 2項
2 前項に規定する者であつた者が、その在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことにつき賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第45条:2項では「登録経営状況分析機関等であった者の贈賄」について明記されています。
登録経営状況分析機関等であった者の贈賄
対象
登録経営状況分析機関またはその職員で経営状況分析の業務に従事するものであったもの
罰則
贈賄をした場合、3年以下の懲役
従事した者の贈賄も懲役。
建設業法 第45条 3項
3 第一項に規定する者が、その職務に関し、請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第45条:3項では「登録経営状況分析機関等の依頼を受けた贈賄」について明記されています。
登録経営状況分析機関等の依頼を受けた贈賄
対象
登録経営状況分析機関またはその職員で経営状況分析の業務に従事するものであったもの
罰則
依頼を受けて贈賄をした場合、3年以下の懲役
お願いされても贈賄はダメ。
建設業法 第45条 4項
4 犯人又は情を知つた第三者の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第45条4項では「賄賂の没収」について明記されています。
賄賂の没収
賄賂は没収されます。また、没収できない場合は、その金額を追徴されます。
賄賂は没収。
建設業法 第46条 1項
第四十六条 前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第46条:1項では「贈賄の相手方」について明記されています。
贈賄の相手方
賄賂を供与し、または、その申込み、約束をした者は3年以下の懲役、または200万円以下の罰金となります。
贈賄の相手方も罰則あり。
建設業法 第46条 2項
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第46条:2項では「贈賄の相手方の自首」について明記されています。
贈賄の相手方の自首
贈賄の相手方が自首したときは、その刑を減軽し、または、免除することができます。
贈賄を請けたら自首。
建設業法 第47条 1項
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
一 第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者
二 第十六条の規定に違反して下請契約を締結した者
三 第二十八条第三項又は第五項の規定による営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者
四 第二十九条の四第一項の規定による営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者
五 虚偽又は不正の事実に基づいて第三条第一項の許可(同条第三項の許可の更新を含む。)又は第十七条の二第一項から第三項まで若しくは第十七条の三第一項の認可を受けた者
<逐条解説>
建設業許可をはじめて調べる方、必読!
第47条:1項では「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となる者」について明記されています。
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となる者
- 建設業許可を受けないで許可が必要な建設工事を請負った者
- 特定建設業許可を受けないで特定建設業の許可が必要な建設工事の下請契約をした者
- 営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者
- 営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者
- 虚偽又は不正の事実に基づいて建設業許可、または、譲渡や譲受、相続の認可を受けた者
明らかにやってはいけないことをやると罰則があるよ。
建設業法 第47条 2項
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第47条:2項では「罪を犯したものの情状」について明記されています。
罪を犯したものの情状
「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となる」罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができます。
懲役と罰金の併科がある。
建設業法 第48条
第四十八条 第二十七条の七第一項又は第二十七条の三十四の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第48条では「1年以下の懲役または100万円以下の罰金になるパターン①」について明記されています。
1年以下の懲役または100万円以下の罰金になるパターン①
- 指定試験機関の役員や職員、過去にこれらの役職にあった者が、試験事務に関して知り得た秘密を漏らした場合
- 登録経営状況分析機関の役員や職員、過去にこれらの役職にあった者が、経営状況分析の業務に関して知り得た秘密を漏らした場合
機密保持違反は1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
建設業法 第49条
第四十九条 第二十六条の十六(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)又は第二十七条の十四第二項(第二十七条の十九第五項において準用する場合を含む。)の規定による講習、試験事務、交付等事務又は経営状況分析の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした登録講習実施機関(その者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員、指定試験機関若しくは指定資格者証交付機関の役員若しくは職員又は登録経営状況分析機関(その者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員(第五十一条において「登録講習実施機関等の役職員」という。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第49条では「1年以下の懲役または100万円以下の罰金になるパターン②」について明記されています。
1年以下の懲役または100万円以下の罰金になるパターン②
基準
- 登録講習実施機関の行う講習の登録の取り消しとなる規定違反
- 指定試験機関の指定を取り消すことになる規定違反
対象
- 登録講習実施機関等の役職員
登録講習実施機関等の役職員による規定違反は罰金。
建設業法 第50条 1項
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
一 第五条(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による許可申請書又は第六条第一項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出した者
三 第十一条第五項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなかつた者
四 第二十七条の二十四第二項若しくは第二十七条の二十六第二項の申請書又は第二十七条の二十四第三項若しくは第二十七条の二十六第三項の書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者
<逐条解説>
第50条:1項では「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となるパターン」について明記されています。
6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となるパターン
- 建設業許可申請書等を虚偽記載をし提出した者
- 変更届等の書類を提出しなかった者、または、虚偽記載をし提出した者
- 経営業務の管理責任者・専任技術者の基準を満たさなくなったことの届出をしなかった者
- 経営状況分析の申請・経営規模等評価の申請の各種書類に虚偽記載をし提出した者
建設業許可・経営事項審査に関する書類の虚偽記載は罰則が重い。
建設業法 第50条 2項
2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第50条:2項では「罪を犯したものの情状」について明記されています。
罪を犯したものの情状
「6年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる」罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができます。
懲役と罰金の併科がある。
建設業法 第51条
第五十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした登録講習実施機関等の役職員は、五十万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
一 第二十六条の十二(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)の規定による届出をしないで講習若しくは経営状況分析の業務の全部を廃止し、又は第二十七条の十三第一項(第二十七条の十九第五項において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けないで試験事務若しくは交付等事務の全部を廃止したとき。
二 第二十六条の十七(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)又は第二十七条の十の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
三 第二十六条の二十(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)若しくは第二十七条の十二第一項(第二十七条の十九第五項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第二十六条の二十一(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)若しくは第二十七条の十二第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
<逐条解説>
第51条では「登録講習実施機関等の役職員の50万円以下の罰金」について明記されています。
登録講習実施機関等の役職員の50万円以下の罰金
- 業務の休廃止・試験事務の休廃止の届出や認可をうけていない場合
- 帳簿の備え付け、帳簿の記載の規定に違反した場合
- 登録講習実施機関・指定試験機関への虚偽報告や立入検査の拒否をした場合
登録講習実施機関等の役職員が必要な報告や立入検査を拒否した場合は罰則。
建設業法 第52条
第五十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
【引用元:建設業法】
一 第二十六条第一項から第三項まで又は第二十六条の三第六項の規定による主任技術者又は監理技術者を置かなかつた者
二 第二十六条の二の規定に違反した者
三 第二十九条の三第一項後段の規定による通知をしなかつた者
四 第二十七条の二十四第四項又は第二十七条の二十六第四項の規定による報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者
五 第三十一条第一項、第四十一条の二第四項又は第四十二条の二第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
六 第三十一条第一項、第四十一条の二第四項又は第四十二条の二第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
七 第四十一条の二第三項の規定による命令に違反した者
<逐条解説>
第52条では「100万円以下の罰金となるパターン」について明記されています。
100万円以下の罰金となるパターン
- 主任技術者又は監理技術者を置かなかつた者
- 一式工事・付帯工事をする場合に自ら主任技術者を配置して工事をするか、建設業許可を持った業者へ請け負わすこととする規定に違反した者
- 許可取消後に2週間以内に注文者へその旨を通知をしなかった者
- 登録経営状況分析機関・国土交通大臣・都道府県知事が経営状況分析や経営規模等評価の申請をした建設業者に報告・資料の提出を求めた場合に応じなかった者等
- 監督官庁からの報告等の求めに対し、報告をせず、または、虚偽の報告をした者
- 監督官庁からの立入検査等の求めに対し、検査を拒み、妨げ、または、忌避した者
- 建設資材製造業者等が勧告に対して必要な措置をとるよう命じた命令に違反した者
100万円以下の罰金となるパターン。
建設業法 第53条
第五十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
【引用元:建設業法】
一 第四十七条 一億円以下の罰金刑
二 第五十条又は前条 各本条の罰金刑
<逐条解説>
第53条では「法人に罰金刑が科される条件」について明記されています。
法人に罰金刑が科される条件
1億円以下の罰金刑
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となる者
- 建設業許可を受けないで許可が必要な建設工事を請負った者
- 特定建設業許可を受けないで特定建設業の許可が必要な建設工事の下請契約をした者
- 営業停止の処分に違反して建設業を営んだ者
- 営業の禁止の処分に違反して建設業を営んだ者
- 虚偽又は不正の事実に基づいて建設業許可、または、譲渡や譲受、相続の認可を受けた者
各パターンの罰金刑
6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となるパターン
- 建設業許可申請書等を虚偽記載をし提出した者
- 変更届等の書類を提出しなかった者、または、虚偽記載をし提出した者
- 経営業務の管理責任者・専任技術者の基準を満たさなくなったことの届出をしなかった者
- 経営状況分析の申請・経営規模等評価の申請の各種書類に虚偽記載をし提出した者
100万円以下の罰金となるパターン
- 主任技術者又は監理技術者を置かなかつた者
- 一式工事・付帯工事をする場合に自ら主任技術者を配置して工事をするか、建設業許可を持った業者へ請け負わすこととする規定に違反した者
- 許可取消後に2週間以内に注文者へその旨を通知をしなかった者
- 登録経営状況分析機関・国土交通大臣・都道府県知事が経営状況分析や経営規模等評価の申請をした建設業者に報告・資料の提出を求めた場合に応じなかった者等
- 監督官庁からの報告等の求めに対し、報告をせず、または、虚偽の報告をした者
- 監督官庁からの立入検査等の求めに対し、検査を拒み、妨げ、または、忌避した者
- 建設資材製造業者等が勧告に対して必要な措置をとるよう命じた命令に違反した者
両罰規定。
建設業法 第54条
第五十四条 第二十六条の十三第一項(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第二十六条の十三第二項各号(第二十七条の三十二において準用する場合を含む。)の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。
【引用元:建設業法】
<逐条解説>
第54条では「20万円以下の過料となるパターン」について明記されています。
20万円以下の過料となるパターン
- 財務諸表等を備えず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、虚偽の記載をし、または、正当な理由がないのに財務諸表等の閲覧請求を拒んだ者
財務諸表に関する事項は20万円以下の過料。
建設業法 第55条
第五十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
【引用元:建設業法】
一 第十二条(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出を怠つた者
二 正当な理由がなくて第二十五条の十三第三項の規定による出頭の要求に応じなかつた者
三 第四十条の規定による標識を掲げない者
四 第四十条の二の規定に違反した者
五 第四十条の三の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿若しくは図書を保存しなかつた者
<逐条解説>
第55条では「10万円以下の過料となるパターン」について明記されています。
20万円以下の過料となるパターン
- 廃業届の届出を怠った者
- 正当な理由がなくて調停への出頭の要求に応じなかった者
- 標識を掲げない者
- 表示の制限に違反した者
- 帳簿を備えず、帳簿に記載せず、帳簿に虚偽の記載をし、または、帳簿、図書を保存しなかった者
20万円以下の過料となるパターン。