経営事項審査のポイントを行政書士が解説!【最新の改正法にも対応】
経営事項審査(経審)のポイントをザックリ解説!
このような思いの方へ向けて、
建設業許可を取扱う行政書士が「経営事項審査(経審)のポイント」を解説します。
この記事を読むと
「経営事項審査(経審)の重要ポイント」
が理解できます。
経営事項審査(経審)をうけたくても、一から手引きを読むのは難しいと思うので、まずは、当サイトのような解説を見て、建設業許可の全体像を理解しておいてください。
全体像をつかむと、個別の内容もより、具体的に理解できます。
ただし、時間的に余裕がない方は、行政書士へ依頼することをお勧めします。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
経営事項審査(経審)
経営事項審査
「公共工事」を「発注機関」から直接請負う「建設業者」が必ず受けなければならない審査
「公共工事」
- 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(軽微な建設工事を除く)
「発注機関」
- 国、県その他の地方公共団体等の発注者
「建設業者」
- 建設業法第3条第1項の許可を受けた者
経営事項審査(経審)の申請手続き
経営事項審査の事務手続きの全体像(兵庫県の例)
経営事項審査(経審)取得までの流れ(兵庫県の例)
建設業知事許可を受けてた建設業者は「所管土木事務所」の「審査日」に「申請書類」「提示書類」を持参し、経営事項審査を受ける必要があります。
審査過程において、関係書類の提出依頼や立入検査等を実施する場合があります。
審査期間
- おおむね1ヶ月(審査日から概ね1ヶ月後に経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書が発送されます。)
- 提出書類等に訂正等が無い場合
経営事項審査の流れ
- ① 申込み(審査日の予約)
- 「申請者」は、「郵便往復はがき」または「FAX」で所管土木事務所あてに経営事項審査の申請等の申込み(毎事業年度経過後2か月以内を目処)
- ② 経営事項審査指定日の通知
- 所管土木事務所は、申請者に審査日を郵便往復はがきでの申請の場合は「返信はがき」で、FAXでの申請のの場合も後日FAX等で通知
- 審査日については申込み状況によっては変更になる場合があります。
- 審査指定日に受審できない場合は、速やかに所管土木事務所まで申出が必要。
- 所管土木事務所は、申請者に審査日を郵便往復はがきでの申請の場合は「返信はがき」で、FAXでの申請のの場合も後日FAX等で通知
- ③ 申請(経営事項審査の受審)
- 申請者は、審査指定日に提出書類及び必要な提示書類を持参の上、審査を受ける。
- ④ 立入調査等
- 審査過程で、申請内容に疑義が生じた場合等には、必要に応じて関係書類の提出を求めたり、営業所への立入調査等を実施することがあります。
- ⑤ 経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の送付
- 「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」は、提出書類等に訂正等がある場合を除き、審査日から概ね1か月後の送付
経営事項審査(経審)に必要な書類
経営事項審査(経審)取得に必要な金額
経営状況分析の手数料は、登録経営状況分析機関へ確認します。(審査手数料に含まれません。)
経営事項審査(経審)の有効期間
経営事項審査の有効期間は、経営事項審査結果通知のの審査基準日から1年7か月
経営事項審査(経審)の評点
総合評定値(P)
総合評定値(P)とは、経営状況(Y)の結果と経営規模等評価(X1、X2、Z、W)の結果により算出した各項目を総合的に評価するものです。
具体的な計算式は下記の通りです。
総合評定値(P)=0.25×(X1)+0.15×(X2)+0.2×(Y)+0.25×(Z)+0.15×(W)
(上限:2,143 下限:-18 小数点以下四捨五入)
X1、X2、Y、Z、Wとよくわからない記号が出てきていますが、それぞれの意味をこれから説明していきます。
- X:経営規模
- Y:経営状況
- Z:技術力
- W:社会性
各記号の前の掛け算の値は全体に対する割合になります。
つまり、総合評定値(P)に影響を与えるのは
- X:経営規模・・・40%
- Z:技術力 ・・・25%
- Y:経営状況・・・20%
- W:社会性 ・・・15%
となり、経営規模が大ききれば総合評定値(P)は高くなります。
経営規模(X1)※全体の25%のウェイト
完成工事高(業種別)
許可を受けた建設業の業種毎の直前 2 年又は直前 3 年の年間平均完成工事高をもと算出する。
最大:2268(1,000億円以上の場合)
経営規模(X2)※全体の15%のウェイト
X2 =(自己資本額の点数+利益額の点数)÷ 2
自己資本額
自己資本の額、又は平均自己資本額(2期平均)をもとに算出する。
最大:2114(3,000億円以上の場合)
利益額
利払前税引前償却前利益(営業利益+減価償却実施額)の 2年平均の額をもとに算出する。
最大:2447(300億円以上の場合)
経営状況(Y)※全体の20%のウェイト
ここからは詳細確認する程度にしておいて、細かい数値は知っていても活用することが難しいので、こんなものなんだという程度の理解で充分です。
経営状況(Y)の評点=1.67×経営状況点数(A)+583
経営状況点数(A)=-0.4650×(Y1)-0.0508×(Y2)+0.0264×(Y3)+0.0277×(Y4)
+0.0011×(Y5)+0.0089×(Y6)+0.0818×(Y7)+0.0172×(Y8)+0.1906
純支払利息比率(Y1)※Y全体の29.9%のウェイト
(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
(上限:5.1%、下限:-0.3%)
負債回転期間(Y2)※Y全体の11.4%のウェイト
(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
(上限:18.0ヶ月、下限:0.9ヶ月)
総資本売上総利益率(Y3)※Y全体の21.4%のウェイト
売上総利益÷総資本(2期平均)×100
(上限:63.6%、下限:6.5%)
売上高経常利益率(Y4)※Y全体の5.7%のウェイト
経常利益÷売上高×100
(上限:5.1%、下限:-8.5%)
自己資本対固定資産比率(Y5)※Y全体の6.8%のウェイト
自己資本÷固定資産×100
(上限:350.0%、下限:-76.5%)
自己資本比率(Y6)※Y全体の14.6%のウェイト
自己資本÷総資本×100
(上限:68.5%、下限:-68.6%)
営業キャッシュフロー(Y7)※Y全体の5.7%のウェイト
営業キャッシュ・フロー÷1億(2年平均)
(上限:15.0億円、下限:-10.0億円)
利益剰余金(Y8)※Y全体の4.4%のウェイト
利益剰余金÷1億
(上限:100.0億円、下限:-3.0億円)
技術力(Z)※全体の25%のウェイト
Z =技術職員数の点数×0.8+元請完成工事高の点数×0.2
技術職員数(業種別)
許可を受けた建設業の種類毎に次の算式により「技術職員数値」を算出する。
技術職員数値=1級監理受講者数×6
+1級技術者数×5
+基幹技能者数×3
+2級技術者数×2
+その他技術者数×1
最大:2335(15,500人以上の場合)
元請完成工事高(業種別)
許可を受けた建設業の種類毎の直前 2 年又は直前 3 年の年間平均元請完成工事高をもとに算出する。
最大:2491(1,000億円以上の場合)
社会性(W)※全体の15%のウェイト
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9)×10×190/200
労働福祉の状況(W1)
雇用保険加入の有無、健康保険及び厚生年金保険加入の有無、建設業退職金共済制度加入の有無、退職一時金制
度又は企業年金制度導入の有無、法定外労働災害補償制度加入の有無により算出する。
建設業の営業年数(W2)
建設業の許可又は登録を受けて営業を行っていた年数をもとに算出する。
防災協定締結の有無(W3)
国、特殊法人等又は地方公共団体との間で災害時の防災活動等について定めた防災協定を締結している場合に 15点加点される。
法令遵守の状況(W4)
審査対象年に建設業法第28条の規定により指示され、又は営業の全部若しくは一部の停止を命ぜられたことがある場合に減点される。
建設業の経理に関する状況(W5)
「建設業経理状況=監査受審状況の点数+公認会計士等数の点数」で算出する。
研究開発の状況(W6)
研究開発費の額の平均の額をもとに算出する。
建設機械の保有状況(W7)
建設機械の保有台数より算出する。
ISOの登録状況(W8)
ISO規格登録の状況により算出する。
若年技術者の育成及び確保の状況(W9)
若年技術者の人数と前回審査時の技術職員名簿人数から増加した若年技術者の人数により算出する。
経営事項審査(経審)の更新時期
経営事項審査の有効期間は、経営事項審査結果通知のの審査基準日から1年7か月
有効期間が切れ目なく継続するケース(下表は決算後3か月で申請)
申請が遅延したため、公共工事を請け負うことができない期間が発生するケース(下表は決算後6か月で申請)
経営事項審査(経審)のまとめ
経営事項審査は建設業法で決められています。
https://smart-gyosei.com/kensetsu/kensetsu-gyouhou/#toc224
経営事項審査は経審の結果がよくなるように申請書類を注意して作成する必要があります。(虚偽記載ではなくて、ルールに従って最適な結果を得ることができるように記載するという意味です)
そのため、どの項目を重点的に注意を払うか、どの項目が見落としやすいかという点に気を付けることができるまで、経審の計算等を理解しておく必要があります。
単純に経審を受けるだけであれば、申請書類を提出すればいいのですが、本来の目的である入札参加を考えると数値が良い結果を得られるように注意する必要があります。
本業が忙しくて細かいことまで調べることが難しい建設業者さまは、お近くの経審を取扱う行政書士へお問合せください。