建設業許可のポイントを解説!【最新の改正法にも対応】
建設許可のポイントをザックリ解説!
建設業許可は都道府県ごとに手引きが用意されていますが、正直言って分かりにくい!
このような思いの方へ向けて、
建設業許可を取扱う行政書士が「建設業許可のポイント」を解説します。
この記事を読むと
「建設業許の重要ポイント」
が理解できます。
建設業許可が欲しくても、一から手引きを読むのは難しいと思うので、まずは、当サイトのような解説を見て、建設業許可の全体像を理解しておいてください。
全体像をつかむと、個別の内容もより、具体的に理解できます。
ただし、時間的に余裕がない方は、行政書士へ依頼することをお勧めします。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
建設業許可が必要な3つのパターン
500万円以上の工事の請負い
建設業許可がないと「軽微な建設工事」しか請け負う事ができません。
軽微な建設工事
- 建築一式工事
- 工事1件の請負代金が1,500万円未満(税込み)の工事
- 延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
- 建築一式工事以外の建設工事
- 工事1件の請負代金が500万円未満(税込み)の工事
「軽微な建設工事」より大きな金額の工事を請け負うためには建設業許可が必要なんだね。
元請からの要請
近年、コンプライアンス(法令遵守)が求められてきており、建設業許可を持っていない業者との契約に難色を示す元請業者も増えてきています。
建設業許可を持っていないとたとえ「軽微な建設工事」であっても発注してもらえない可能性があるっていう事?
そうですね。すべてが該当するとは言いませんが、元請の立場に立ってみるとわかると思います。下請の金額が500万未満とか1500万未満とか、いちいち計算して下請業者を探しますか?
間違って金額が超えてしまったら、元請も処分の対象になる可能性があります。
わざわざリスクをとってまで発注しないね。
建設業許可業者はたくさんいるからね。
公共工事への参加
将来的に公共工事へ参加したいと思われる方は、建設業許可の取得は必須です。
公共工事に参入するためには次の3つの条件
- 入札参加資格申請・・・・・経営事項審査が必須
- 経営事項審査(経審)・・・建設業許可が必須
- 建設業許可
建設業許可が入札参加資格を取得するための土台になるんだね。
建設業許可証とは
建設業許可証とは一体何でしょう?
実は、「建設業許可証」というものはありません。
建設業許可の看板は「許可票」であり、建設業許可の証明書は「許可証明書」です。
ただ、一般的に建設業許可を取得したことを「建設業許可証」を取ったといわれることもあります。
許可票
建設現場に設置する許可票
営業所に設置する許可票
有効期間は5年
建設業許可の有効期限は5年です。
許可の更新期限を過ぎても更新申請していないと「不許可営業」となり処分の対象になります。
建設業許可取得に必要な5つのポイント
ポイント1.経営業務の管理責任者
①実務経験要件
- 次のいずれかに該当すること(実務経験)
- 常勤の役員等のうち一人が、次のいずれかに該当する者
- 建設業で5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業で5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
- 建設業で6年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
- 常勤の役員等のうち一人が、次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること
- 建設業で2年以上、役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
- 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業で2年以上役員等としての経験を有する者
- 国土交通大臣が上記に掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの
- 常勤の役員等のうち一人が、次のいずれかに該当する者
令和2年10月1日施行の主な改正点
- 業種での実務経験が撤廃されました。
建設業であればすべての業種で実務経験として認められます。 - 建設業以外の役員経験も実務経験として一部認められるようになりました。
- 建設業で2年の役員等の経験があれば補佐者を配置することにより経営業務の管理責任者要件を満たせるようになりました。
②保険加入要件
3保険への保険加入が必須です。
- 次のいずれかに該当すること(保険加入要件)
- 健康保険加入(適用事業所の場合)
- 厚生年金保険加入(適用事業所の場合)
- 雇用保険加入(適用事業所の場合)
ポイント2.専任技術者
A.一般建設業許可の専任技術の要件(建設業法第7条)
- 指定学科で高卒後5年以上、または、大卒後3年以上の実務経験
- 10年以上の実務経験
- 国土交通大臣が認定した者
B.特定建設業許可の専任技術の要件(建設業法第15条)
- 国家資格者
- 指導監督的実務経験を有する者
- 大臣特別認定者
- 国土交通大臣認定者
- 指定建設業7業種で過去に特別認定講習の効果評定合格者または国土交通大臣が定める考査合格者
ポイント3.誠実性
請負契約に関して誠実性を有していること
- 許可を受けようとする者が請負契約に関して不正、または、不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと
- 法人の場合:その法人・役員等・支店
- 個人の場合:本人・支配人
ポイント4.財産的要件
請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 財産的要件を満たしているかの判断材料(倒産することが明白である場合を除く)
- 既存の企業・・・申請時の直前の決算期における財務諸表
- 新設の企業・・・創業時における財務諸表
ポイント5.欠格要件
- (ア) 許可申請書・添付書類に重要事項について虚偽記載や重要事実の記載がない場合
- (イ) 許可申請者・その役員等・令第3条の使用人が次に掲げるものに1つでも該当する場合
- ① 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ないもの
- ② 建設業許可を取消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 不正手段で許可を受けたこと(法第 29 条第1項第5号)
- 営業停止処分に違反したこと等(同第6号)
- ③ 建設業許可の取消し処分の通知を受け、処分前に廃業届の届出日から5年未満者
- 不正の手段により許可を受けたこと(法第 29 条第1項第5号)
- 営業停止処分に違反したこと等(同第6号)
- ④ 建設業許可の取消し処分の通知の日の60日以内前に下記であった者で届出の日から5年未満の者
- 法人の役員等
- 令第3条の使用人
- 個人の令第3条の使用人
- ⑤ 営業停止中の者
(法第 28 条第3項又は第5項の規定による営業停止) - ⑥ 営業禁止中の者
(法第 29 条の4の規定による営業禁止) - ⑦ 禁錮以上の刑を受け、下記に該当する者
- 執行中
- 執行猶予中
- 執行後5年未満
- ⑧ 下記に該当する者
- 建設業法、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの
- 暴対法に違反し、暴力行為法の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられた下記の者
- 執行中
- 執行猶予中
- 執行後5年未満
- ⑨ 暴力団員・暴力団員を辞めて5年未満の者
- ⑩ 未成年者でその法定代理人が上記①~⑨・⑪のいずれかに該当するもの
- ⑪ 法人で役員等、または、令第3条の使用人のうちに、①~④・⑥~⑨までのいずれかに該当する者
- ⑫ 個人で支配人、または、令第3条の使用人のうちに、①~④・⑥~⑨までのいずれかに該当する者
- ⑬ 暴力団員・暴力団員を辞めて5年未満の者がその事業活動を支配する者
建設業許可の種類
大臣許可と知事許可
大臣許可
- 2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合
知事許可
- 1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとする場合
特定建設業と一般建設業
特定建設業
- 発注者から直接請負う1件の建設工事
- 下請代金の額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上(税込み)となる下請契約を締結
一般建設業
- 特定建設業以外
建設業許可の29業種
2の一式工事と27の専門工事の一覧
土木工事業(一式工事) | 鋼構造物工事業 | 熱絶縁工事業 |
建築工事業(一式工事) | 鉄筋工事業 | 電気通信工事業 |
大工工事業 | 舗装工事業 | 造園工事業 |
左官工事業 | しゆんせつ工事業 | さく井(さくせい)工事業 |
とび・土工工事業 | 板金工事業 | 建具工事業 |
石工事業 | ガラス工事業 | 水道施設工事業 |
屋根工事業 | 塗装工事業 | 消防施設工事業 |
電気工事業 | 防水工事業 | 清掃施設工事業 |
管工事業 | 内装仕上工事業 | 解体工事業 |
タイル・れんが・ブロック工事業 | 機械器具設置工事業 |
建設業許可の種類ごとに必要な重要ポイント
岡山県の手引きをもとにポイントをまとめています。
建設業許可を維持するために必要なこと(重要)
・建設業許可を維持するために覚えておく事→建設業法
建設業許可取得後にやらなければいけないこと
標識の掲示
建設現場に設置する許可票
営業所に設置する許可票
毎年やらないといけないこと
決算変更届等
毎事業年度終了後4か月以内
- 毎事業年度(決算期)を経過したとき(決算の変更届) 毎事業年度終了後
- 使用人数に変更があったとき
- 令第3条の使用人(営業所長)の一覧表に変更があったとき 4か月以内
- 定款に変更があったとき
- 健康保険等の加入状況に変更があったとき
5年毎にやらないといけないこと
更新申請
- 建設業許可の有効期間は5年(期間満了日が日曜日等の休日であってもその日)
- 5年ごとの更新を受けなければ建設業許可は失効します。
- 建設業許可の更新ができる期間は有効期間の満了日の3ヶ月前から30日前までに申請
発生時にやらなければいけないこと
変更届出書を提出しなければならない変更事由と提出期限
事実の発生したときから2週間以内
- 常勤役員等・常勤役員等を直接補佐する者に変更・その氏名に変更があったとき
- 専任技術者に変更等・その氏名に変更があったとき
- 令第3条の使用人(営業所長)に変更があったとき
- 常勤役員等・常勤役員等を直接補佐する者・専任技術者が欠けた場合
- 欠格要件に該当することとなった者があったとき
事実の発生したときから30日以内(株主等に変更があった場合には、変更を覚知してから30日以内)
- 商号・名称に変更があったとき 事
- 既存の営業所の名称、所在地・業種に変更等があったとき
- 資本金額(出資総額)に変更があったとき
- 役員等(法人の役員、顧問、相談役・総株主の議決権の5/100以上を有する株主若しくは出資の総額の5/100以上に相当する出資をしている者)に変更があったとき
- 個人の事業主、支配人・法人の役員等の氏名に変更があったとき
- 支配人に変更があったとき
許可を受けた建設業を廃止した等の場合
30日以内に廃業届を提出
建設業許可のまとめ
建設業許可の取得には様々なハードルがあります。
しかし、許可を取得できる要件を満たしているのであれば、許可取得を進めていくべきだと思います。
許可取得には費用面や維持することに負担が生じますが、事業を拡大し、安定経営を目指せるという点で、デメリットを上回るメリットがあります。
自社が許可要件をクリアしているかどうか不明な方は、お近くの行政書士へお問合せください。