【ドローン】無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領の解説
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領をご存じですか?
ドローン飛行を許可する基準を知っておくと申請時に注意が必要なポイントがよくわかります。
基本的には審査要領を元に許可を出すかどうかが判断されるので非常に重要です。
そこで・・・
チェック
- ドローン飛行許可の許可基準を教えてほしい!
- 自分が許可基準を満たしているか確認しておきたい。
- 審査要領をみたけどよくわからないのでわかりやすく説明してほしい。
なんて悩んでいませんか?
このようなお悩みをお持ちの方へドローン飛行許可申請を担う行政書士がドローンをとりまく手続きを徹底解説します。
この記事を読むと
「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」
がよくわかります。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領
航空法上のドローン飛行許可や承認を得るために申請を行うのですが、役所がどのような基準で審査されるかをきちんと理解していますか?
「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」という書面で審査の基準が公開されているので少し長いですが、一度はお読み頂くことをお勧めします。
特に、個別申請の対象となる飛行を行う場合は、申請前に必ず一読しておきましょう。
ここでは、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」の内容について概要をお伝えしていきます。
審査要領は頻繁に改定されるため、必ず最新の審査要領を国土交通省のサイトから確認してください。
1.目 的
ドローン(厳密には無人航空機)の飛行に関する許認可等(許可・承認)の審査基準を定めることを目的にしています。
2.申請
2-1 申請の方法
- 許可等の申請は申請書による(DIPSからのオンライン申請も可能)
- 飛行開始予定日の 10 開庁日前までに申請すること
- 10開庁日前に出せば必ず間に合うというものではないので期日をすぎることもあります。
- 特に、補正が入った場合は補正対応後の申請から10開庁日になるので、当初予定していた飛行予定日は過ぎてしまうこともあります。
- 更新は期間の満了の日の 40 開庁日前から 10 開庁日前までに申請すること
- 申請は最寄りの空港事務所長又は空港出張所長を経由して行わせることができます
申請先
法第 132 条第1項第1号に掲げる空域における飛行の許可の申請(空港周辺の上空)
- 当該飛行を行おうとする場所を管轄区域とする空港事務所長
法第 132 条第1項第2号に掲げる空域における飛行の許可の申請(人口集中地区DID上空)
- 当該許可を必要とする行為を行おうとする場所を管轄区域とする地方航空局長
法第 132 条の2第1項第5号から第 10 号までに掲げる方法によらない飛行の承認の申請
- 当該許可を必要とする行為を行おうとする場所を管轄区域とする地方航空局長
2-2 申請書記載事項の確認
法第 132 条に定める飛行禁止空域における飛行に係る許可
飛行禁止空域における飛行に係る許可申請時の記載事項は下記の通り。
- 氏名及び住所
- 無人航空機の製造者、名称、重量その他の無人航空機を特定するために必要な事項
- 飛行の目的、日時、経路及び高度
- 飛行の目的
- 飛行の日時
- 飛行の経路
- 飛行の高度
- 飛行禁止空域を飛行させる理由
- 無人航空機の機能及び性能に関する事項
- 無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項
- 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項
- その他参考となる事項
法第 132 条の2第1項第5号から第 10 号までに定める飛行の方法によらない飛行に係る承認
飛行の方法によらない飛行に係る承認申請時の記載事項は下記の通り。
- 氏名及び住所
- 無人航空機の製造者、名称、重量その他の無人航空機を特定するために必要な事項
- 飛行の目的、日時、経路及び高度
- 飛行の目的
- 飛行の日時
- 飛行の経路
- 飛行の高度
- 法第 132 条の2第1項第5号から第 10 号までに掲げる方法によらずに飛行させる理由
- 無人航空機の機能及び性能に関する事項
- 無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項
- 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項
- その他参考となる事項
変更申請又は更新申請
変更申請又は更新申請時の記載事項は下記の通り。
- 氏名及び住所
- 無人航空機の製造者、名称、重量その他の無人航空機を特定するために必要な事項
- 飛行の目的、日時、経路及び高度
- 飛行の目的
- 飛行の日時
- 飛行の経路
- 飛行の高度
- 飛行禁止空域を飛行させる理由又は法第 132 条の2第1項第5号から第 10 号までに掲げる方法によらずに飛行させる理由
- 無人航空機の機能及び性能に関する事項
- 無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力に関する事項
- 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制に関する事項
- その他参考となる事項
3.許可等の手続き
3-1 許可等の処分
- 許可等の際には、許可書又は承認書を交付する
つまり、書面(電子書面含む)で許可書が発行されるというわけです。
3-2 許可等の条件
- 許可等を行うにあたっては、条件を付すことができる
- 航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全に影響を及ぼすような重要な事情の変化があった場合は、許可等を取り消し、又は新たに条件を付すことができる
- 許可等を行った飛行について、飛行実績の報告を求めることができる
飛行実績の提出は任意となりましたが、飛行実績の報告を求められた場合は速やかに提出できるようにしておかなければいけません。
3-3 許可等の期間
- 一回の許可等の期間は、原則として3ヶ月以内
- 申請内容に変更を生ずることなく、継続的に無人航空機を飛行させることが明らかな場合には、1年を限度として許可等を行う→基本的に1年の包括申請で申請する形で問題ございません。
- 緊急用務空域を飛行させる場合は、真に必要な日時又は期間及び時間帯に限り許可を行う
3-4 申請内容に変更が生じた場合の取扱い
- 改めて申請を行わせる
3-5 許可等を行った内容の公表
- 許可等を行った場合には、速やかに、次に掲げる事項を航空局ホームページに掲載する
- 飛行の主体者
- 飛行の概要
- 飛行の経路
- 使用する無人航空機
- 許可又は承認の事項
- 許可又は承認の期間
4.許可等に係る基本的な基準
4-1 無人航空機の機能及び性能
- 全ての無人航空機に共通する機能及び性能
- 最大離陸重量 25kg 以上の無人航空機の機能及び性能
4-2 無人航空機の飛行経歴並びに無人航空機を飛行させるために必要な知識及び能力
- 飛行を予定している無人航空機の種類(飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船のいずれか)別に、10 時間以上の飛行経歴を有する
- 自動操縦により飛行させることができる無人航空機の場合、10 時間の飛行経歴に代えて、予定する飛行の方法並びに機体の機能及び性能を勘案し安全飛行のために十分と認められる飛行経歴とすることができる
- 航空法関係法令に関する知識
- 安全飛行に関する知識
- 気象に関する知識
- 無人航空機の安全機能(フェールセーフ機能 等)
- 取扱説明書等に記載された日常点検項目
- 自動操縦システムを装備している場合には、当該システムの構造及び取扱説明書等に記載された日常点検項目
- 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
- 飛行形態に応じた追加基準
- 飛行前に、次に掲げる確認が行えること。
- 周囲の安全確認(第三者の立入の有無、風速・風向等の気象 等)
- 燃料又はバッテリーの残量確認
- 通信系統及び推進系統の作動確認
- 遠隔操作により飛行させることができる無人航空機の場合には、飛行能力に加えて、GPS(Global Positioning System)等による位置の安定機能を使用することなく、次に掲げる能力を有すること
- 安定した離陸及び着陸ができること。
- 安定して次に掲げる飛行ができること。
- 上昇
- 一定位置、高度を維持したホバリング(回転翼航空機に限る。)
- ホバリング状態から機首の方向を 90°回転(回転翼航空機に限る。)
- 前後移動
- 水平方向の飛行(左右移動又は左右旋回)
- 下降
- 自動操縦により飛行させることができる無人航空機の場合には、飛行能力に加えて、次に掲げる能力を有すること。
- 自動操縦システムにおいて、適切に飛行経路を設定でき ること。
- 自動操縦システムによる飛行中に不具合が発生した際に、無人航空機を安全に着陸させられるよう、適切に操作介入ができること。なお、操作介入が遠隔操作による場合には、遠隔操作の飛行能力を有すること
4-3 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
次に掲げる事項を遵守しながら無人航空機を飛行させることができる体制を構築すること。
- 第三者の上空で無人航空機を飛行させないこと。
- 飛行前に、気象、機体の状況及び飛行経路について、安全に飛行できる状態であることを確認すること。
- 無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止すること。
- 多数の者の集合する場所(5-6で規定する場所を除く。)の上空を飛行することが判明した場合には即時に飛行を中止すること。
ただし、5-6と同様の安全上の措置を講じている場合は、この限りでない。 - アルコール又は薬物の影響により、無人航空機を正常に飛行させることができないおそれがある間は、飛行させないこと。
- 飛行目的によりやむを得ない場合を除き、飛行の危険を生じるおそれがある区域の上空での飛行は行わないこと。
- 飛行中の航空機を確認し、衝突のおそれがあると認められる場合には、地上に降下させることその他適当な方法を講じること。
- 飛行中の他の無人航空機を確認したときは、当該無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させること。その他衝突のおそれがあると認められる場合は、地上に降下させることその他適当な方法を講じること。
- 不必要な低空飛行、高調音を発する飛行、急降下など、他人に迷惑を及ぼすような飛行を行わないこと。
- 物件のつり下げ又は曳航は行わないこと。業務上の理由等によりやむを得ずこれらの行為を行う場合には、必要な安全上の措置を講じること。
- 飛行目的によりやむを得ない場合を除き、視界上不良な気象状態においては飛行させないこと。
- 無人航空機の飛行の安全を確保するため、製造事業者が定める取扱説明書等に従い、定期的に機体の点検・整備を行うとともに、点検・整備記録を作成すること。ただし、点検・整備記録の作成について、趣味目的の場合は、この限りでない。
- 無人航空機を飛行させる際は、次に掲げる飛行に関する事項を記録すること。ただし、趣味目的の場合は、この限りでない。
- ・飛行年月日
- ・無人航空機を飛行させる者の氏名
- ・無人航空機の名称
- ・飛行の概要(飛行目的及び内容)
- ・離陸場所及び離陸時刻
- ・着陸場所及び着陸時刻
- ・飛行時間
- ・無人航空機の飛行の安全に影響のあった事項(ヒヤリ・ハット等)
- 無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失又は航空機との衝突若しくは接近事案が発生した場合には、次に掲げる事項を速やかに、許可等を行った国土交通省航空局次世代航空モビリティ企画室、地方航空局保安部運用課又は空港事務所まで報告すること。なお、夜間等の執務時間外における報告については、24 時間運用されている最寄りの空港事務所に電話で連絡を行うこと。
- ・無人航空機の飛行に係る許可等の年月日及び番号
- ・無人航空機を飛行させた者の氏名
- ・事故等の発生した日時及び場所
- ・無人航空機の名称
- ・無人航空機の事故等の概要
- ・その他参考となる事項
- 無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失又は航空機との衝突若しくは接近事案の非常時の対応及び連絡体制があらかじめ設定されていること。
- 飛行の際には、無人航空機を飛行させる者は許可書又は承認書の原本又は写しを携行すること。ただし、口頭により許可等を受け、まだ許可書又は承認書の交付を受けていない場合は、この限りでない。なお、この場合であっても、許可等を受けた飛行であるかどうかを行政機関から問われた際に許可等の年月日及び番号を回答できるようにしておくこと。
次に掲げる事項等を記載した飛行マニュアルを作成すること
- 無人航空機の点検・整備
- 無人航空機を飛行させる者の訓練
- 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
5.飛行形態に応じた追加基準
5-1 法第132 条第1項第1号関係(空港周辺の上空)
- 機体について、航空機からの視認をできるだけ容易にするため、灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行うこと。
- 安全を確保するために必要な体制について、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- 飛行を行う日の前日までに、その飛行内容について飛行する場所を管轄する空港事務所長等(以下「管轄事務所長等」という。)へ、審査要領に掲げる項目を通知すること。なお、予め管轄事務所長等から通知先を指定された場合には、指定された機関へ通知を行うこと。
- 日時及び空域を確定させて申請し許可を取得した場合には、申請内容に応じて航空情報を発行することとするため、飛行を行わなくなった場合には、速やかに管轄事務所長等に対し、その旨通知すること。
5-2 法第 132 条第1項第2号関係(人口集中地区DIDの上空)
- 無人航空機の落下による第三者に対する危害を防止するため、人又は家屋の密集している地域の上空であっても、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、この場合において、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 未満の無人航空機を飛行させる場合には、次に掲げる基準に適合すること。
- やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 以上の無人航空機を飛行させる場合には、次に掲げる基準に適合すること。
5-3 法第 132 条の2第1項第5号関係(夜間飛行)
- 機体について、無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できるよう灯火を有していること。ただし、無人航空機の飛行範囲が照明等で十分照らされている場合は、この限りでない。
- 無人航空機を飛行させる者について、次に掲げる基準に適合すること。
- 夜間、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
- 必要な能力を有していない場合には、無人航空機を飛行させる者又はその関係者の管理下にあって第三者が立ち入らないよう措置された場所において、夜間飛行の訓練を実施すること。
- 安全を確保するために必要な体制について、次に掲げる基準に適合すること。
- 日中、飛行させようとする経路及びその周辺の障害物件等を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
- 飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
- 離着陸を予定している場所が照明の設置等により明確になっていること。
5-4 法第 132 条の2第1項第6号関係(目視外飛行)
- 機体について、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- 無人航空機を飛行させる者について、審査用量に掲げる基準に適合すること。
- 安全を確保するために必要な体制について、審査要領に掲げる基準に適合すること。
5-5 法第 132 条の2第1項第7号関係(物件との距離)
- 無人航空機の落下による第三者に対する危害を防止するため、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、この場合において、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 未満の無人航空機を飛行させる場合には、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 以上の無人航空機を飛行させる場合には、審査要領に掲げる基準に適合すること。
5-6 法第 132 条の2第1項第8号関係(イベント上空)
- 無人航空機の落下による第三者に対する危害を防止するため、催し場所上空であっても、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、この場合において、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 未満の無人航空機を飛行させる場合には、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 以上の無人航空機を飛行させる場合には、審査要領に掲げる基準に適合すること。
5-7 法第 132 条の2第1項第9号関係(危険物輸送)
- 機体について、危険物の輸送に適した装備が備えられていること。
- 無人航空機を飛行させる者について、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
- 安全を確保するために必要な体制について、次に掲げる基準に適合すること。
- 真に必要と認められる飛行であること。
- 飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
- 飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
- 飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。
5-8 法第 132 条の2第1項第10号関係(物件投下)
- 機体について、不用意に物件を投下する機構でないこと。
- 無人航空機を飛行させる者について、審査要領に掲げる基準に適合すること。
- 安全を確保するために必要な体制について、審査要領に掲げる基準に適合すること。
6.その他
- この要領を実施するために必要な細目的事項については、次世代航空モビリティ企画室長が別に定める。
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領のまとめ
審査要領はとても長く、細かく記載されています。
本記事でもすべてを紹介できず、一部「審査要領」を確認という表記にしている箇所もあります。
しかし、唯一、役所側の審査基準がわかる資料ですので、難易度が高い申請にかかわらず、一度は確認しておいた方がよい資料です。
国土交通省のサイトの無人航空機のページの一番上にリンクがあるので、国土交通省としても、申請者には一度は確認しておいてほしい資料として掲載していると思いますので、申請する方は、少し時間をとって内容を理解しておきましょう。