ドローンを飛行させるための手続きをわかりやすく解説!
ドローンを取り巻く法制度は、近年大きく変わっていきました。
念願のドローンを購入して、はやく飛ばしたい!これからドローンを使っていろんな場所で空撮したい!と思われているかもしれませんが、一旦冷静になって、ドローンを取り巻く法制度について確認していきましょう。
法律は、知らないでは済まされないため、知らず知らずのうちに、法律違反をしてしまう恐れがあります。
そこで・・・
チェック
- ドローンを飛ばすまでの手続きは?
- ドローン登録制度と飛行許可承認制度の違いは?
- ドローン飛行許可承認が必要となる対象は?
- ドローンを飛行させるための手続きは?
- ドローンを飛行させてた後の手続きは?
これらの内容はすでにご存じでしょうか。
ドローンを取り巻く法制度についてまだ自信がない方へドローン飛行許可申請を担う行政書士がドローンをとりまく手続きを徹底解説します。
この記事を読むと
「ドローンを飛行させる前の手続きから飛行後の手続きまで」
がよくわかります。
皆様のこのような疑問を解決します。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
無人航空機を屋外で飛行させるために必要な手続き
機体重量(機体本体+バッテリー)が100g以上の機体は、飛行許可承認が必要な飛行(特定飛行)をしない場合でも機体登録は必須です!
2022年6月の大きな変更点
飛行する前①
- 機体登録(ドローン登録システム)を行い、登録記号を取得
- 機体へ登録記号を表示させる(登録記号を取得しただけでは飛行できません)
- 飛行時にはリモートID必須(例外あり)
飛行する前②
- 100g以上のドローンは航空法の規制対象となり、飛行方法により特定飛行をする場合は、許可承認申請が必要です。
無人航空機を屋外で飛行させるために
無人航空機とは
(定義)
人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの
(具体例)
電波を発信するドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等
(重要)
令和4年6月20日以降は、無人航空機の機体重量が100g以上は無人航空機となります。
重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)100g未満のものは「模型航空機」となり無人航空機にたいする規制の対象外となります。
無人航空機の登録制度
令和4年6月20日から機体登録、登録記号の表示、識別措置(リモートID)が義務化されました。
※登録記号・・・JUから始まる12桁の番号
機体重量が100g以上のドローンを屋外で飛行させる場合はどこで飛行させるにしても必ず2つのことが必要となります。
- 登録記号の表示
- リモートIDの搭載※
※リモートIDの免除をもらっている人は免除期間は除きます。
「趣味で飛行させるだけだから「登録記号」取得していないけどいいか・・・」と軽い気持ちで飛行させないようにくれぐれもご注意ください。航空法違反です。
無人航空機の飛行許可承認制度
令和4年6月20日から、新たに100g~199gの機体が「無人航空機」に加わり、飛行許可承認の対象となります。
航空法上の飛行申請が必要となる飛行禁止空域、飛行の方法等
ドローン飛行許可が必要な場所
(A)~(C)の空域のように、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域や、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域において、無人航空機を飛行させる場合には、あらかじめ、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
(A)空港等の周辺の空域
空港等の周辺の空域は、空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域です。
飛行エリアが空港等の周辺空域に該当するかどうかは、「高さ制限回答システム」などを使って、具体的な飛行高度を確認しておきましょう。
飛行高度制限高を超える場合は許可申請が必要となります。
空港周辺の許可は申請したからといって認めてもらえるものではないため、空港ごとにその都度判断を仰ぐ必要がありますので、飛行予定日を確定する前に、かならず確認しておきましょう。
また、実際の飛行の際は、「高さ制限回答システム」で確認した制限高ギリギリでの飛行はしないように注意が必要です。突風等の影響により、制限高を超える恐れもありますので、必ずジオフェンス機能を使って余裕のある高度を最大高度に指定して飛行するようにしましょう。
さらに、空港周辺飛行で注意が必要な点として、高度だけではなく、飛行場所も注意が必要です。
小型無人機等飛行禁止法による対象空港周辺では空港の敷地・区域やその周辺概ね300mの地域では高度や機体重量に関係なく、一切飛行させることはできません。そのため、高さ制限のためのジオフェンス機能を空港周辺のエリアに入らないように横方向のジオフェンス機能も設定しておく必要もありますね。
<対象空港>
・新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港(令和2年7月15日告示公布、令和2年7月22日施行)
・広島空港、長崎空港(令和5年4月6日告示公布、同日施行)
(B)地表又は水面から150m以上の高さの空域
地表又は水面から150m以上の高さの空域を飛行させる場合には、許可申請の前に空域を管轄する管制機関と調整を行う必要があります。
手続き上、航空管制との事前調整のやり取りが発生するため、飛行予定日までは十分期間を設けて調整を開始するようにご注意ください。
(C)人口集中地区の上空
人口集中地区は、5年毎に実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域です。
ドローンの飛行方法
飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルールを守らなくてはいけません。
遵守事項となる飛行の方法
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
上記の4つの内容を守れない場合は飛行不可です。(内容みれば当たり前のことです)
承認が必要となる飛行の方法
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
「8.はイベント上空飛行」「9.10.は農薬散布等」のことです。
ドローンを購入してから飛行完了までの流れ
それでは実際にドローンを購入してから飛行完了までどのような流れになるか見ていきましょう。
参考例として100g以上の機体で特定飛行をする場合のパターンで説明していきます。
①機体登録
機体を購入したら、機体登録の手続きを行います。
DIPS2.0へログインし「無人航空機の登録申請」を行います。
機体登録時の注意点は、登録する製造番号は間違わないように十分ちゅういしてください。
製造番号を間違えると、そもそも機体登録したことになりませんし、内蔵リモートIDの場合はリモートIDとの連携ができませんので注意が必要です。
もし製造番号を間違えてしまった場合は、正しい製造番号で再登録が必要となり、誤って登録した機体は削除する必要があります。
②リモートID連携
機体登録が完了し、登録記号「JUから始まる12桁の番号」が発番されたら、リモートIDの連携を行います。
内蔵リモートIDの場合
DJI機の場合は下記のサイトが参考になります。
https://store.dji.com/jp/guides/drone-law
外付けリモートIDの場合
外付けリモートIDの場合は、購入したリモートID付属の説明書の手順で連携してください。
参考までに国交省のマニュアルをご覧ください。
https://www.dips-reg.mlit.go.jp/app/page/manual_4_1.html
③飛行許可・承認申請
特定飛行をする場合は、飛行許可・承認申請が必要です。
DIPS2.0へログインし「飛行許可・承認申請へ」へ進みます。
許可がおりるまでの目安は申請日から10開庁日後ですが、実際は混雑状況によって大きく変動しますので、飛行予定は十分余裕のある日にちで計画するように注意が必要です。
④飛行場所の確認および調査
無事、飛行許可・承認がおりて特定飛行ができるようになりましたが、実際の飛行場所が航空法だけの許可で飛行できるかどうかは調査しておく必要があります。
公園などの場合は管理者、港の場合は港湾管理者の許可が別途必要になる場合がありますので、必ず飛行計画をする際に、個別の許可が必要かどうか事前に調整する必要があります。
航空法の許可承認を得ていても、公園管理者の許可がなければ、公園内で飛行することはできません。
⑤飛行計画の通報
飛行場所の事前調査が完了し、ドローンを飛ばす前準備ができれば、実際に飛行する内容をDIPS2.0を使って登録する必要があります。
DIPS2.0へログインし、「飛行計画の通報へ」へ進みます。
飛行計画の通報をすることで、同じエリアに同じ時間帯に飛行するドローンがないか確認し、近くを飛行するドローンも合わせて確認することができます。
飛行計画の通報も特定飛行をする場合は義務ですので、必ず登録してから飛行する必要があります。
⑥飛行日誌の作成および記録
飛行計画の通報まで完了し、後は飛行するだけとなりました。
その前に「飛行日誌」の準備が必要です。
飛行日誌への記録も義務ですので必ず準備し、飛行前後に記録する必要があります。
飛行日誌の詳細は国交省の無人航空機の飛行日誌の取扱要領をご確認ください。
さいごに
新しくドローンを購入して飛行させるまでの間に準備しなければいけないことが沢山あることがお分かりいただけましたでしょうか。
ほとんどの項目が、対応しておいた方がよいという内容ではなく、法律上、対応しなければいけないものとなり、違反した場合、罰則の適用があります。
個人での飛行時も同じですが、特に法人でお客様から依頼を受けてドローンを飛行している場合、法令違反していることがわかると会社の信頼性に大きな影響を与えます。
近年、ドローンの法制度をあいまいなままで飛行させた結果、逮捕者も出ている状況です。決められたルールを守って飛行させれば法律上は何も問題はありませんので、安全飛行に集中することができます。
すこしでも無人航空機を屋外で飛行させるために必要な手続きにご不安な方は当事務所へ一度ご相談ください。