建設業法改正で重要な16のポイント!【2020年10月施行】
令和2年10月施行の建設業法改正のポイントはご存知でしょうか?
建設業法は建設業を営む方にとって大切な法律です。
令和2年10月施行の改正は経営業務の管理責任者の要件などかなり抜本的に改正されます。
このような思いの方へ向けて、
わかりにくい建設業法について建設業許可を取扱う行政書士が改正建設業法についてわかりやすく解説します。
この記事を読むと
「令和2年10月施行の改正建設業法のポイント」
について確実に理解が深まります。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
建設業法改正の16のポイントを解説!(2020年10月施行)
建設業法改正(2020年10月施行)の具体的な内容は
で解説されています。
さらに要網としては
に詳しく掲載されています。
https://smart-gyosei.com/kensetsu/nyuusatsu-keiyaku-kaisei-202010
ここでは、よりわかりやすく、重要な点を明確にしながら、16の改正ポイントにつてい解説していきます。
1.許可基準の見直し
(第七条関係)
建設業の許可基準のうち、五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者を置くこととする基準を、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合することに改めるものとすること。
<解説>
改正建設業法では経営業務の管理責任者の要件が「5年以上経営業務の管理責任者としての経験」から「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」に変更になりました。
経営業務の管理責任者の要件
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの
※具体的な要件については後日追記致します※
建設業許可取得に関する一番みんなが気になる点だね。
2.許可を受けた地位の承継
(第十七条の二関係)
建設業の譲渡及び譲受け並びに合併及び分割の際に、あらかじめ国土交通大臣等の認可を受けたときは、譲受人等は建設業の許可を受けた地位を承継するものとすること。(第十七条の三関係)
建設業者が死亡した場合において、国土交通大臣等の認可を受けたときは、相続人は建設業の許可を受けた地位を承継するものとすること。
<解説>
譲渡・合併・分割・相続時に建設業許可が譲受人に承継できます。ただし、国土交通大臣等の認可が必要となります。
建設業許可の承継
譲渡・合併・分割時はあらかじめ国土交通大臣等の認可を受けておくことで、建設業許可を承継できます。
相続時は、国土交通大臣等の認可を受けることで、建設業許可を承継できます。
ただし、いづれも、承継できる区分には注意が必要です。
国土交通大臣等の認可をうければ建設業許可を承継できるよ。
3.請負契約における書面の記載事項の追加
(第十九条関係)
建設工事の請負契約における書面の記載事項に、工事を施工しない日又は時間帯の定めに関する事項等を追加するものとすること。
<解説>
第19条関係の請負契約締結時の記載内容に「工事を施工しない日又は時間帯の定めに関する事項等」が追加されました。
請負契約締結時の記載内容
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
- 前払い、出来高払いをする場合は、支払の時期及び方法
- 一方からの設計変更、着手の延期、工事の中断があった場合の、工期の変更や請負代金の変更、損害額の算出方法
- 天災や不可抗力による工期の変更や損額額の算出方法
- 価格変動による、請負代金の額や工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
- 注文者が資材の提供や機材の貸与をする場合はその内容、方法に関する定め
- 検査時期、完成時期
- 工事完成後の請負代金の支払い時期
- 品質不良等による定め
- 債務不履行や履行遅滞による損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
- その他国土交通省令で定める事項
「工事を施工しない日又は時間帯の定めに関する事項等」の追加
4.著しく短い工期の禁止
(第十九条の五関係)
注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないものとすること。(第十九条の六関係)
国土交通大臣等は、発注者が1に違反した場合において特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して勧告することができるものとし、その者が当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができるものとすること。
<解説>
著しく短い工期の禁止につての禁止が明記されました。
注文者の請負人に対する禁止事項
通常必要とされる工期と比べ、著しく短い工期を指定してはいけません。
具体的に言うと、通常の工期が3年なのに、6ヶ月なんていう極端に短い工期を指定してはいけないということです。
下請保護の考えに基づく禁止事項だよ。
5.工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供
(第二十条の二関係)
注文者は、契約を締結するまでに、建設業者に対して、その発生のおそれがあると認めるときは、工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象に関する情報を提供しなければならないものとすること。
<解説>
「工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供」について明記されました。
注文者の工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供
1.地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるとき
※請負契約締結前に!
2.必要な情報提供をしなければいけない。
予め分かっていることは請負業者へ伝える必要があるということだね。請負契約締結前という点が重要。
6.下請代金の支払方法
(第二十四条の三関係)
元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないものとすること。
<解説>
労務費の現金払いについての配慮をする必要があります。
下請代金の支払い方法
元請負人は労務費に関する部分は、現金で支払うように配慮する必要があります。
労務費は人件費とほぼ同じなんで給与に関することは現金で払えるように考えてほしいということだね。
7.不利益な取扱いの禁止
(第二十四条の五関係)
元請負人は、その違反行為について下請負人が国土交通大臣等に通報したことを理由として、当該下請負人に対して、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
<解説>
違反事実を監督官庁へ通知した際に元請負人から下請負人への不利益な取扱いを禁止することが明記されました。
監督官庁へ違反事実の通知による不利益の禁止
次の違反事実を下請負人が監督官庁へ通知した場合に元請負人による不利益な取り扱いを受けることを禁止しています。
- 不当に低い請負代金の禁止
- 不当な使用資材等の購入強制の禁止
- 下請代金の支払の超過
- 検査及び引渡し時期の超過
- 特定建設業者の下請代金の支払期日超過
違反を監督官庁へ通知されたことによる報復の禁止だね。
8.建設工事従事者の知識及び技術又は技能の向上
(第二十五条の二十七関係)
建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならないものとすること。
<解説>
建設工事の従事者に対して知識、技能の向上に努める必要があると明記されました。
設工事の従事者の責務
建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならないものとすること。
第25条の27:2項に上記内容が明記されることとなりました。
あえて法律に書くことかなとも思うけどね。生産性を向上させるための目的として書いたのかな。
9.監理技術者の専任義務の緩和
(第二十六条関係)
工事現場に監理技術者を専任で置くべき建設工事について、当該監理技術者の職務を補佐する者としてこれに準ずる者を専任で置く場合には、当該監理技術者の専任を要しないものとすること。
<解説>
これまで監理技術者は専任のものでなければいけませんでしたが、専任の要件が緩和されました。
監理技術者の専任要件の緩和
監理技術者の職務を補佐する者としてこれに準ずる者を専任で置く場合は監理技術者の専任が緩和されます。
人材不足により監理技術者が足りなくなると工事ができなくなるからだね。
10.主任技術者の配置義務の合理化
(第二十六条の三関係)
特定の専門工事につき、元請負人が工事現場に専任で置く主任技術者が、下請負人が置くべき主任技術者の職務を併せて行うことができることとし、この場合において、当該下請負人は、主任技術者の配置を要しないものとすること。
<解説>
特定の専門工事の場合、元請負人の専任の主任技術者が下請負人の主任技術者の職務を兼務できるようになり、その場合、下請負人には専任の主任技術者の配置が不要となりました。
専任の主任技術者の配置を要しない要件
- 特定の専門工事(※1)
- 元請負人の専任の主任技術者が下請負人の主任技術者の職務を兼務できる
(※1)特定の専門工事
土木一式工事又は建築一式工事以外の建設工事のうち、その施工技術が画一的であり、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図る必要があるものとして政令で定めるものであつて、当該建設工事の元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額。以下この項において同じ。)が政令で定める金額未満となるものをいう。ただし、元請負人が発注者から直接請け負つた建設工事であつて、当該元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が第二十六条第二項に規定する金額以上となるものを除く。
元請負人の専任の主任技術者がかわりに兼務してくれればいいんだね。
11.技術検定制度の見直し
(第二十七条関係)
技術検定を第一次検定及び第二次検定に分け、国土交通大臣はそれぞれの検定の合格者に合格証明書を交付するとともに、合格者は政令で定める称号を称することができるものとすること。
<解説>
これまで最終合格者に技士の称号があたえられていましたが、検定を2回に分けそれぞれの合格者に技士補、技士の称号があたえられるようになりました。
検定制度
1級〇〇試験
1次試験合格→(称号)1級〇〇技士補
2次試験合格→(称号)1級〇〇技士
2級〇〇試験
1次試験合格→(称号)2級〇〇技士補
2次試験合格→(称号)2級〇〇技士
令和3年4月1日に施行だよ。
12.復旧工事の円滑かつ迅速な実施を図るための建設業者団体の責務
(第二十七条の四十関係)
建設業者団体は、災害が発生した場合において復旧工事の円滑かつ迅速な実施が図られるよう、建設業者と関係機関との連絡調整その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
<解説>
建設業者団体の責務として災害復旧工事を迅速に行えるように建設業者との調整等の措置を講ずるよう努めることが明記されました。
建設業者団体の責務
災害が発生した場合において復旧工事の円滑かつ迅速な実施が図られるよう、建設業者と関係機関との連絡調整その他の必要な措置を講ずるよう努めること。
迅速な災害復旧のための改正だね。
13.工期に関する基準の作成等
(第三十四条関係)
中央建設業審議会は、建設工事の工期に関する基準を作成し、その実施を勧告することができるものとすること。
<解説>
中央建設審議会は建設工事の工期に関する基準の作成と勧告ができるようになりました。
中央建設審議会の権限
建設工事の工期に関する基準を作成し、その実施を勧告することができるものとする
これまでは工期に関する基準は明記されていなかったんだね。
14.標識の掲示義務の緩和
(第四十条関係)
建設業者が工事現場に標識を掲げなければならない義務について、発注者から直接請け負った建設工事のみを対象とするよう改めるものとすること。
<解説>
工事現場に掲げる標識は発注者から直接請負った建設工事のみでよくなりました。
工事現場に標識を掲げる要件
発注者から直接請け負った建設工事のみを対象
元請のみ標識を掲げればいいので大幅に簡略化されたね。
15.建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等
①国土交通大臣等は、建設業者等に指示をする場合において、当該指示に係る違反行為が建設資材に起因するものであると認めるときは、これを引き渡した建設資材製造業者等に対しても、再発防止のため適当な措置をとるべきことを勧告することができるものとすること。
(第四十一条の二関係)
国土交通大臣等は、①の勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、その旨を公表し、又は当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。
<解説>
違反等により指示をする場合、違反が建設資材に起因する場合は、建設資材の製造者等に対しても再発防止等の勧告ができるようになりました。
国土交通大臣等による指示に関連する勧告
違反等により国土交通大臣等が指示をだす場合、違反が建設資材に起因する場合は、建設資材の製造者等に対しても再発防止等の勧告ができるようになりました。
また、勧告に従わない場合は公表等も出来るようになります。
違反業者への関与範囲の拡大。
16.その他所要の改正を行うものとすること
<解説>
最後は決まり文句のようなもので所要の改正をしたということです。
今回の改正に係る内容(文言等)を改正していますよという意味だと考えられます。
法改正時の決まり文言のようなもの。
(2020年10月施行)建設業法改正のまとめ
2020年10月施行の建設業法改正では「建設業の働き方改革の促進」「建設現場の生産性の向上」「持続可能な事業環境の確保」を目的に改正がされています。
経営業務の管理責任者の要件の変更や現場への専任の主任技術者の配置の緩和など実務上でも改正内容がわかる大改正ですので、個別に不明点があれば専門家に聞いてみましょう。