「電気工事士の資格があるから、建設業許可もそのまま取れますよね?」——電気工事業の事業者からよくいただく質問ですが、実はこれは正確ではありません。「電気工事士免状」(電気工事士法に基づく個人の技能資格)と「建設業許可・電気工事業」(建設業法に基づく事業者の許可)は、根拠となる法律が異なる別の制度です。1件税込500万円以上の電気工事を請けるには建設業許可が必要になりますが、電気工事士の資格を持っているだけでは建設業許可は下りません。本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、電気工事業の対象範囲・電気工事士免状との違い・営業所技術者(旧:専任技術者)になれる資格と実務経験・登録電気工事業者制度との関係・費用と期間の目安までを整理します(許可要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)もご覧ください)。
※ 業種区分の該当・要件充足は個別の工事内容や実態で判断が分かれます。最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
1. 電気工事業とは——対象になる工事の範囲
電気工事業(略号「電」)は、建設業許可29業種のひとつで、次のような工事を幅広く含みます。
- 発電設備工事(発電機・タービン等の設置に伴う電気設備工事)
- 変電設備・送配電設備工事
- 構内電気設備工事(建物内の照明・コンセント・動力配線等)
- 太陽光発電設備の電気配線工事
- 電気通信設備と一体になった弱電設備工事 など
現場では「電気屋」「電気設備業者」といった呼び方をされることが多く、住宅・店舗の配線から工場・プラントの電気設備まで幅広く関わる業種です。500万円未満の工事だけを請けている間は許可不要ですが、元請の規模が大きくなる・大型物件や公共工事に関わるようになるタイミングで「許可業者でないと発注できない」と言われるケースが目立ちます。
2. まぎらわしい境界線:電気工事士免状と建設業許可(電気工事業)の違い
電気工事業でもっとも混同されやすいのが、「電気工事士免状」と「建設業許可(電気工事業)」の違いです。この2つは根拠となる法律が異なります。
| 電気工事士免状(第一種・第二種) | 建設業許可(電気工事業) | |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 電気工事士法 | 建設業法 |
| 対象 | 個人の技能資格(配線工事等の作業を行うための免状) | 事業者(会社・個人事業主)に対する営業許可 |
| 取得方法 | 試験合格・免状交付(建設業許可とは無関係に単独で取得できる) | 経営業務の管理責任者・営業所技術者・財産的基礎など複数の要件をすべて満たして取得 |
つまり、電気工事士免状は「人」が現場で作業を行うための資格であり、建設業許可(電気工事業)は「事業者」が1件500万円以上の電気工事を請け負うための許可です。電気工事士免状は、建設業許可における営業所技術者の要件を満たす資格のひとつとして使えます(第一種は取得だけで、第二種は資格取得後3年間の実務経験を積めば要件を満たします。詳しくは4章)。しかし、それはあくまで「使える資格の一つ」であり、免状を持っているだけで自動的に建設業許可が下りるわけではありません。
- 電気工事士免状を持っているだけでは、経営業務の管理責任者や財産的基礎(自己資本500万円以上等)といった別の要件を満たさない限り、建設業許可(電気工事業)は取得できません。
- 逆に、事業者が建設業許可(電気工事業)を取得していても、それだけで個々の作業者が電気工事士の資格を有していることにはなりません。実際に配線工事等の作業に従事する作業者は、別途、電気工事士法上の資格(第一種・第二種電気工事士等)が必要です。
「電気工事士は持っているが会社としての許可がまだ」「許可はあるが自社の電気工事士の配置は別問題」——どちらも整理が必要な典型的なケースです。判断に迷う場合は、無料相談で個別に確認するのが確実です。
3. 電気工事業 許可の要件(経管・営業所技術者)
建設業許可(電気工事業)の核心は、ほかの業種と同じく2つの「人」の要件です。
- 経営業務の管理責任者(経管):建設業に関し5年以上の経営経験(原則、役員等・個人事業主としての経験)を持つ常勤役員等を置くこと。詳しくは経営業務の管理責任者の要件・証明をご覧ください。
- 営業所技術者:営業所ごとに置く技術者。電気工事業に対応する資格か、電気工事業での実務経験で満たします(詳しくは4章)。
加えて、適切な社会保険への加入、財産的基礎(一般建設業なら自己資本500万円以上等)、誠実性、欠格要件に該当しないことなどが必要です。
なお、電気工事業は建設業法上の「指定建設業」(土・建・電・管・鋼・舗・園の7業種)のひとつです。一般建設業の営業所技術者は資格または実務経験で満たせますが、特定建設業の特定営業所技術者は、指定建設業では実務経験の積み上げだけではなれず、1級の国家資格・技術士・大臣認定者のいずれかが必須という違いがあります(詳しくは4章)。
4. 営業所技術者になれる資格・実務経験
指定学科は電気工学・電気通信工学の2学科です(建築学等は対象外)。指定学科は名称が完全に一致していなくても、内容・実態が同程度であれば認められます。
資格ルート(営業所技術者になれる主な資格)
| 資格 | 根拠法令等 | 一般/特定 | 実務経験の要否 |
|---|---|---|---|
| 1級電気工事施工管理技士 | 建設業法(技術検定) | 一般+特定(指定建設業として特定営業所技術者にもなれる) | 不要(資格のみで可) |
| 技術士(電気・電子部門)/総合技術監理(電気電子) | 技術士法(登録証) | 一般+特定 | 不要 |
| 2級電気工事施工管理技士 | 建設業法(技術検定) | 一般のみ | 不要 |
| 第一種電気工事士 | 電気工事士法(免状) | 一般 | 不要(取得のみで可) |
| 第二種電気工事士 | 電気工事士法(免状) | 一般 | 資格取得後3年間の実務経験が必要(実務経験証明書の添付要) |
| 電気主任技術者(1種〜3種) | 電気事業法(免状) | 一般 | 資格取得後5年間の実務経験が必要(同上) |
| 登録基幹技能者 | 講習修了証 | 一般 | 受講した講習の種類により対象業種が異なるため個別確認要 |
※ 電気通信主任技術者・工事担任者は「電気通信」業種の資格であり、電気工事業の営業所技術者要件には該当しません(混同注意)。
学歴・実務経験ルート
- 指定学科(電気工学・電気通信工学)修了+実務経験:高校・中等教育学校卒=5年以上/高専・短大・大学卒=3年以上
- 指定学科なし+実務経験のみ:10年以上
- 専修学校専門課程(指定学科)修了+実務経験:5年以上(専門士・高度専門士は3年以上)
重要な注意点(電気工事業は指定建設業):1級・2級の第1次・第2次検定合格+3年/5年の実務経験という代替ルート(施工管理技士補等の実務経験による代替)は「指定建設業及び電気通信工事業を除く」と定められています。電気工事業は指定建設業に該当するため、このルートは使えません。
特定建設業の場合:電気工事業で特定建設業許可を取るときは、指定建設業に該当するため、実務経験(指導監督的実務経験)の積み上げだけでは特定営業所技術者になれません。1級電気工事施工管理技士・技術士(電気・電子部門)・大臣認定者のいずれかが必須です。
実務経験の年数は、同一期間に他業種と並行して計上することはできません。証明方法の詳しい流れは営業所技術者の実務経験10年を証明する方法をご覧ください。
5. 電気工事業ならではの関連制度:登録電気工事業者制度との関係
電気工事業には、建設業許可とは別に、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」(電気工事業法)に基づく登録・通知の制度が関わります。
※ 以下は、岡山県「建設業許可の手引」および「審査要領」には記載がない、一般的な法制度としての説明です。建設業許可(電気工事業)の要件そのものではないため、岡山県での実際の運用・要否の最新確認は所管窓口または無料相談でご確認ください。
- 電気工事業を営もうとする者は、建設業許可の有無にかかわらず、原則として電気工事業法に基づき、経済産業大臣または都道府県知事への登録(一般用電気工作物等を扱う場合)が必要とされる制度です。
- 建設業許可(電気工事業)を受けている事業者が電気工事業を営む場合は、通常の「登録」ではなく「みなし登録電気工事業者」として、都道府県知事への通知(開始の届出)で足りる特例が置かれている、というのが一般的な理解です。ただし、この場合も主任電気工事士の設置・標識掲示・帳簿の備付けなど、電気工事業法上の規制自体は適用が続きます。
- 逆に、建設業許可を持たずに軽微な電気工事のみを行う事業者は、建設業許可は不要でも、電気工事業法上の登録(または通知)義務は別途生じ得ます。
つまり、「建設業許可(電気工事業)」と「電気工事業法上の登録・通知」は所管法令が異なる別制度であり、電気工事の施工を実際に業として行う場合は、原則として両方の手続きが関わり得ます。どちらが必要か・両方必要かは事業の実態によって異なるため、個別確認をおすすめします。
6. 費用と期間(岡山県・知事許可の目安)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 岡山県知事許可(新規・一般)の法定手数料 | 90,000円 |
| 業種追加(既存許可に電気工事業を足す)の法定手数料 | 50,000円 |
| 行政書士報酬(代行) | 事務所により異なる(当事務所は要件判断・営業所技術者設計・電子申請代理込みのフルサポート) |
| 申請から許可まで | おおむね2ヵ月程度(標準処理期間・書類の状況による) |
※ 金額・期間は時点や個別事情で変わります。500万円未満の工事のみを続ける場合は許可不要です。最新の費用は無料相談でお見積りします。
7. 許可のその先——公共工事・経審・成長
電気工事業は、建物・プラントを問わず幅広い現場で必要とされる基盤業種であり、公共工事の入札でも安定した需要があります。ここに入るには建設業許可+経営事項審査(経審)+入札参加資格が必要です。
- 経審では、技術職員・社会保険加入・売上・自己資本などが点数化されます。1級電気工事施工管理技士等の資格者を配置するほど、経審のランクが受注の幅を左右します。
- 「あと数点でランクが上がる」場面では、資格の追加・決算の見せ方・社会保険の整備で改善できる余地があります。
- 経審は毎年の受審が実務上ほぼ必須で、事業年度終了報告(決算変更届)も毎年必要です。
許可 → 元請からの信頼獲得・受注拡大 → 経審 → 公共工事 → 毎年の更新管理、という流れで事業は伸びます。当事務所はこの一連を建設業特化で継続サポートしています(毎年の更新・期限管理をまとめてお任せできる顧問契約(月5,500円〜の3プラン)もあります)。
まとめ
電気工事業の建設業許可でまず整理すべきなのは、「電気工事士免状」(電気工事士法・個人の技能資格)と「建設業許可・電気工事業」(建設業法・事業者の許可)は別制度であるという点です。電気工事士免状は営業所技術者の要件を満たす資格の一つとして使えますが(第一種は取得のみ・第二種は3年実務が必要)、それだけで建設業許可が下りるわけではなく、経営業務の管理責任者や財産的基礎など別の要件もすべて満たす必要があります。加えて電気工事業は指定建設業のため、特定建設業の要件や実務経験の代替ルートにも独自の注意点があります。登録電気工事業者制度との関係も含め、自社がどの要件を満たせるかは、まずは無料相談で整理してみてください。
電気工事業の許可・営業所技術者の要件を無料相談で確認しませんか
お電話(070-8567-3197/平日9〜18時)・メール・LINE からお気軽にご相談ください。岡山県全域に対応しています。
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