

クロス(壁紙)張り、床材・カーペット工事、天井仕上げ、畳・ふすま・表具、家具工事、防音工事——内装仕上工事業(略号「内」)は対象になる工事の種類が多く、事業者数も多い業種です。「うちは内装屋というより畳店だけど関係あるの?」「大工もやるが内装もやる、どちらの許可?」といった相談も少なくありません。1件税込500万円以上の内装仕上工事を請けるなら建設業許可が必要になり、要件の核はほかの業種と同じく経営業務の管理責任者(経管)と営業所技術者(旧:専任技術者)の2つの「人」です。本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、内装仕上工事業の対象範囲・大工工事業/建具工事業との境界線・営業所技術者になれる資格と実務経験・費用と期間の目安、そして大工工事業との実務経験の相互振替までを整理します(許可要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)もご覧ください)。
※ 業種区分の該当・要件充足は個別の工事内容や実態で判断が分かれます。最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
内装仕上工事業とは——対象になる工事の範囲
内装仕上工事業(業種コード19・略号「内」)は、建設業許可29業種のひとつで、木材、石膏ボード、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事を対象とします。具体的には次のような工事が含まれます。
- インテリア工事(内装デザイン・造作を含む仕上げ工事)
- 天井仕上工事(天井材の張り・仕上げ)
- 壁張り工事(クロス・壁紙・ボード等の壁仕上げ)
- 内装間仕切工事(間仕切り壁の設置)
- 床仕上工事(床材・カーペット・ビニール床タイル等)
- たたみ工事・ふすま工事(畳・ふすまの製作・施工)
- 家具工事(造作家具の取付け等)
- 防音工事(内装材による防音仕上げ)
このように対象工事の幅が広いため、クロス(壁紙)職人、床材・カーペット施工業者、天井仕上業者、畳店、表具店・ふすま店、防音工事業者など、業態の異なる多くの事業者が「内装仕上工事業」の枠組みに含まれます。500万円未満の工事のみを請けている間は許可不要ですが、元請や発注者から一定規模以上の工事で許可を求められるタイミングで検討が必要になります。
まぎらわしい境界線:大工工事業・建具工事業との違い
内装仕上工事業は、近い業種との線引きで迷いやすい業種でもあります。代表的な2つを整理します。
大工工事業との違い
- 大工工事業(略号「大」)は、「木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事」(大工工事・型枠工事・造作工事など)が対象です。
- 目安としては、木材で構造・下地・造作をつくるのが大工工事業、壁紙・床材・天井材・畳等で仕上げるのが内装仕上工事業という区分になりますが、実際の工事では重複する場面も多く、工事経歴書の作成時にとび・土工工事、大工工事、内装仕上工事が誤って「一式工事」として計上されてしまう例もあるため注意が必要です。
- なお、大工工事業と内装仕上工事業は指定学科(都市工学・建築学)が完全に同一で、後述のとおり実務経験の相互振替が双方向で認められている、行政実務上とくに関係の深い業種の組み合わせです(5章で解説)。
建具工事業との違い
- 建具工事業(略号「具」)は、「工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事」(金属製建具取付工事、サッシ取付工事、金属製カーテンウォール取付工事、シャッター取付工事、自動ドア取付工事など)が対象です。
- 「ふすま」「たたみ」は語感から建具工事と混同されがちですが、ふすま工事・たたみ工事は内装仕上工事業側の例示に明記されています。
- 建具工事業の指定学科は「建築学・機械工学」で、内装仕上工事業(都市工学・建築学)とは建築学の1学科しか重なりません。また、実務経験の相互振替の対象にも建具工事業は含まれておらず、一級建築士であっても建具工事業の営業所技術者にはなれません。この点から、建具工事業は内装仕上・大工とは資格制度上区別された業種として扱われていることが分かります。
その他の紛らわしいポイント
- 「畳製作・畳工」は独立した”畳工事業”のような業種区分ではなく、内装仕上工事業に含まれる技能検定として扱われます(4章で解説)。見落とされやすいポイントです。
- 500万円以上の専門工事を2つ以上有機的に組み合わせた1つの工事(例:電気工事700万円+内装仕上工事800万円=1,500万円のリフォーム工事)は、建築一式工事と判断されることもあります。「内装仕上だけの工事」なのか「一式工事の一部」なのかは、契約・工事内容の実態で判断が分かれます。
判断に迷う工事内容は、無料相談で個別に確認することをおすすめします。
内装仕上工事業 許可の要件(経管・営業所技術者)
建設業許可(内装仕上工事業)の核心は、ほかの業種と同じく2つの「人」の要件です。
- 経営業務の管理責任者(経管):建設業に関し5年以上の経営経験(原則、役員等・個人事業主としての経験)を持つ常勤役員等を置くこと。詳しくは経営業務の管理責任者の要件・証明をご覧ください。
- 営業所技術者:営業所ごとに置く技術者。内装仕上工事業に対応する資格か、内装仕上工事業での実務経験(原則10年)で満たします(4章で詳述)。
加えて、適切な社会保険への加入、財産的基礎(一般建設業なら自己資本500万円以上等)、誠実性、欠格要件に該当しないことなどが必要です。
営業所技術者になれる資格・実務経験
内装仕上工事業の営業所技術者は、主に次のいずれかで満たします。
資格で満たす(資格ルート)
内装仕上工事業に対応する主な資格は次のとおりです(本記事作成時点の手引きに基づく整理です。資格区分・実務経験の年数要件、技能検定の名称表記は最新の手引きで個別にご確認ください)。「◎」は一般建設業に加え特定建設業の営業所技術者にもなれる資格、「○」は一般建設業のみ対応する資格です。
| 資格 | 区分 | 備考 |
|---|---|---|
| 一級建築士 | ◎ | |
| 二級建築士 | ○ | 一般建設業のみ |
| 建築施工管理技士 1級 | ◎ | |
| 建築施工管理技士 2級「仕上げ」 | ○ | 追加の実務経験は不要(内装仕上工事業に固有の優遇) |
| 建築施工管理技士 2級「建築」 | ○ | 合格後5年以上の実務経験が必要 |
| 建築施工管理技士 2級「躯体」 | ○ | 合格後5年以上の実務経験が必要 |
| 建築施工管理技士補 1級 | ○ | 合格後3年以上の実務経験が必要 |
| 建築施工管理技士補 2級 | ○ | 合格後5年以上の実務経験が必要 |
| 技能検定「内装仕上施工」「カーテン施工」「天井仕上施工」「床仕上施工」「表装」「表具」1級 | ○ | 追加の実務経験は不要 |
| 同 2級 | ○ | 合格後3年以上の実務経験が必要(平成15年度以前の合格は1年) |
| 技能検定「畳製作」「畳工」1級 | ○ | 追加の実務経験は不要 |
| 同 2級 | ○ | 合格後3年以上の実務経験が必要 |
| 登録基幹技能者 | ○ | 該当する登録基幹技能者講習の修了者に限る |
とくに実務上見落とされやすいとされるのが次の2点です。
- 建築施工管理技士2級「仕上げ」は、内装仕上工事業に限って合格後の追加実務経験が不要とされています(同じ2級でも「建築」「躯体」は合格後5年の実務経験が別途必要。現行制度での適用は個別にご確認ください)。
- 「畳製作」「畳工」の技能検定は、内装仕上工事業の資格として認められるとされています。畳店・表具店のように「自分は内装屋ではない」と感じている事業者でも、この技能検定を持っていれば営業所技術者になれる可能性がありますので、詳しくは個別にご確認ください。
学歴+実務経験で満たす
- 指定学科(都市工学・建築学)を卒業したうえで、高校・中等教育学校卒は5年以上、高専・短大・大学卒は3年以上の実務経験。
- 専修学校専門課程の指定学科を修了した場合は5年以上(専門士・高度専門士は3年以上)の実務経験。
実務経験のみで満たす
- 内装仕上工事業で原則10年以上の実務経験を、工事請負契約書・注文書・請求書・確定申告書・厚生年金記録などの客観的書類で証明する。
実務経験の年数は、同一期間に他業種と並行して計上することはできません。証明方法の詳しい流れは営業所技術者の実務経験10年を証明する方法をご覧ください。
大工工事業との実務経験の相互振替(双方向)
内装仕上工事業には、大工工事業との間で実務経験を相互に振り替えられるという、専門工事どうしでは珍しい制度があります(以下は本記事作成時点の手引きに基づく整理であり、具体的な適用条件・運用実態は個別にご確認ください)。
- 建築一式工事の実務経験は、大工・屋根・内装仕上・ガラス・防水・熱絶縁・解体の各業種へ一方向で振り替えることができます。
- これに対し、大工工事業と内装仕上工事業の実務経験は双方向で相互に振り替え可能とされています。指定学科が都市工学・建築学で完全に一致していることとあわせ、行政実務上この2業種の技術的な共通性が公式に位置づけられています。
- 振替を使う場合、当該業種+他業種の実務経験を合算して12年以上(かつ各業種で最低8年超)あれば要件を満たせるとされています。例えば「大工工事8年+内装仕上工事8年=合計16年」という組み合わせが手引に例示として挙げられています(合算のルールや運用の詳細は個別にご確認ください)。
「大工もやるが内装の仕事の方が多い」「内装中心だが下地の大工仕事もこなしてきた」というように、実務経験が2業種にまたがっている事業者にとっては有力な選択肢です。どの期間・どの内容の経験を、どちらの業種の実務経験として計上できるかは書類の整理方法によって変わるため、営業所技術者の実務経験10年を証明する方法もあわせてご覧のうえ、個別にご相談ください。
費用と期間(岡山県・知事許可の目安)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 岡山県知事許可(新規・一般)の法定手数料 | 90,000円 |
| 業種追加(既存許可に内装仕上を足す)の法定手数料 | 50,000円 |
| 行政書士報酬(代行) | 事務所により異なる(当事務所は要件判断・営業所技術者設計・電子申請代理込みのフルサポート) |
| 申請から許可まで | おおむね2ヵ月程度(標準処理期間・書類の状況による) |
※ 金額・期間は時点や個別事情で変わります。500万円未満の工事のみを続ける場合は許可不要です。とくに業種追加の法定手数料は最新の手数料条例で必ずご確認のうえ、正確な金額は無料相談でお見積りします。
許可のその先——公共工事・経審・成長
内装仕上工事業は事業者数が多く、公共施設の改修・リフォーム工事など公共工事の入札でも一定の需要がある業種です。ここに入るには建設業許可+経営事項審査(経審)+入札参加資格が必要です。
- 経審では、技術職員・社会保険加入・売上・自己資本などが点数化されます。内装仕上工事業で実績を積み、営業所技術者になれる資格(一級建築士・施工管理技士・内装仕上施工技能士等)を確保するほど、経審のランクが受注の幅を左右します。
- 「あと数点でランクが上がる」場面では、資格の追加・決算の見せ方・社会保険の整備で改善できる余地があります。
- 経審は毎年の受審が実務上ほぼ必須で、事業年度終了報告(決算変更届)も毎年必要です。
許可 → 元請・発注者からの信頼獲得・受注拡大 → 経審 → 公共工事 → 毎年の更新管理、という流れで事業は伸びます。当事務所はこの一連を建設業特化で継続サポートしています(毎年の更新・期限管理をまとめてお任せできる顧問契約(月5,500円〜の3プラン)もあります)。
まとめ
内装仕上工事業は、クロス・床材・天井・畳・ふすま・表具・家具・防音など対象工事の幅が広く、事業者数も多い業種です。まず自分の仕事がどこまで内装仕上工事業に当たるか(大工工事業・建具工事業との線引き)を整理し、そのうえで営業所技術者(一級建築士・施工管理技士・内装仕上施工技能士等の資格か、内装仕上工事業での実務経験10年、または大工工事業との相互振替)と経営業務の管理責任者の要件を満たせるかを確認するのが出発点です。「畳店だから関係ない」「表具店だから対象外」と思い込まず、まずは無料相談で整理してみてください。
内装仕上工事業の許可・営業所技術者の要件を無料相談で確認しませんか?
お電話(070-8567-3197/平日9〜18時)・メール・LINE からお気軽にご相談ください。岡山県全域に対応しています。
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