Column|建設業許可

公共工事に入りたい|建設業許可が入札参加への第一歩【岡山】

公共工事に入りたい|建設業許可が入札参加への第一歩【岡山】

「そろそろ公共工事もやりたい」と考えたとき、最初にやるべきことは入札の情報を集めることではありません。建設業許可を取ることです。 建設業法上、公共工事とは「経営事項審査を受けなければ請け負うことができない建設工事」と定義されており(岡山県『建設業許可の手引』令和7年9月1日改訂 PDF p.192。以下、ページ番号は同手引PDFの通しページです)、その経営事項審査(経審)は、そもそも建設業の許可を受けた業者のための制度です。岡山県の手引も「許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です」と明記しています(同 PDF p.24)。

つまり公共工事への参入は、許可 → 毎年の事業年度終了報告 → 経営事項審査 → 発注機関ごとの入札参加資格 → 入札という、順番の決まった関門を通っていく話です。どれか1つを飛ばして先に進むことは、通常できません。本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、「なぜ許可が第一歩なのか」「関門はいくつあり、どの順番か」「岡山県で発注者はどこまで広がるか」「毎年何が回り続けるのか」「そもそも公共工事に入るべきなのか」を、岡山県の一次資料に基づいて整理します。

※ 本記事は制度の順番と入口の考え方を整理するものです。個別の許可要件の充足・入札参加の可否は、事業実態や発注機関ごとの定めによって判断が分かれます。最終判断は有資格者(行政書士)や各発注機関にご確認ください。

1. 公共工事に入るまでの「4つの関門」——全体地図

まず、全体像を1枚の地図にします。公共工事を受注するまでに通る関門は、次の順番で並んでいます。

順番関門何をするか誰に対して頻度
第1関門建設業許可経営業務の管理責任者・営業所技術者(旧:専任技術者)・財産的基礎などの要件を満たして許可を受ける岡山県知事(土木部監理課建設業班)取得は1回、以後5年ごとに更新
第2関門事業年度終了報告(決算変更届)決算後に工事経歴書・財務諸表等を提出する岡山県知事(同上)毎年(決算日から4か月以内)
第3関門経営事項審査(経審)会社の規模・経営状況などの客観的な審査を受ける登録経営状況分析機関(経営状況分析)/岡山県知事(経営規模等評価・総合評定値請求)公共工事を受注し続けるなら毎年
第4関門入札参加資格審査発注機関の入札に参加する資格を得る発注機関ごとに個別発注機関が定める周期
ゴール入札・受注指名・公告に応じて入札する発注機関都度

※ 第3関門の経審は、経営状況分析(登録経営状況分析機関に申請)と、経営規模等評価・総合評定値請求(許可行政庁である岡山県知事に申請)の二本立てで、提出先が分かれます。手続きの詳細は経審(経営事項審査)をご覧ください。

ここで押さえておきたいポイントが3つあります。

(1)順番は、原則として入れ替えられない。 経審は許可業者の制度であり、工事の入札参加資格審査は経審の結果(総合評定値)を前提とするのが一般的です。したがって「先に入札参加資格だけ取っておく」という順番は、通常は取れません(取扱いは発注機関の定めによります)。

(2)第1関門だけが"1回きり"ではない。 許可は5年ごとの更新ですが、第2関門の事業年度終了報告は毎年、第3関門の経審も公共工事を続けるなら毎年回ってきます。公共工事は「一度乗ったら降りられない年次サイクル」に入るということです(詳しくは5章)。

(3)第4関門は"1つ"ではない。 入札参加資格は発注機関ごとに別々です。岡山県の資格を取ったからといって、市町村の入札に参加できるわけではありません(詳しくは3章)。

本記事が扱うのは、この地図のうち第1関門と、そこから第2〜第4関門への接続部分です。第3関門・第4関門の中身(経審の評点の仕組み、入札参加資格審査申請の書類や受付の運用)は、それぞれ経審申請を岡山で依頼するなら入札参加資格サービスをご覧ください。

2. なぜ建設業許可が第一歩なのか(法律上の定義から)

「公共工事に建設業許可が要る」という話は、なんとなくは知られています。しかし、なぜ要るのかを制度の言葉で押さえておくと、後の判断がぶれません。

2-1. 公共工事の法律上の定義そのものが「経審」を含んでいる

岡山県『建設業許可の手引』には、次のように書かれています。

建設業法において、公共工事とは「経営事項審査を受けなければ請け負うことができない建設工事」を指しますが、発注した工事が公共工事に当たることとなる発注者については建設業法施行令第45条及び建設業法施行規則第18条において定められており…

(岡山県『建設業許可の手引』令和7年9月1日改訂 PDF p.192)

注目すべきは、公共工事が「工事の中身」ではなく「経審を受けなければ請け負えない工事」という手続要件で定義されている点です。道路工事だから公共工事、庁舎だから公共工事、という決まり方ではありません。誰が発注したかで決まり(3章)、そして受注するには経審が必要という構造になっています。

2-2. 経審は「許可業者のための制度」である

では経審を受けるには何が要るか。手引は次のように案内しています。

10 公共工事への入札参加を希望する場合

許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です。

(同 PDF p.24)

主語が「許可を受けた業者が」であることが決定的です。さらに手引は、特定建設業許可取得後の留意事項という見出しの下で、次のようにも書いています。

また、許可が失効した場合は、その業種については何ら許可を有しない状態となり、経営事項審査も無効となりますので、長期間にわたり入札に参加できなくなる可能性があるなど、大きな影響が想定されます。

(同 PDF p.12)

許可が消えれば経審も無効になる。この一文は、許可と経審が対等に並ぶ2つの制度ではなく、許可が土台で、その上に経審が乗っているという関係を示しています。だからこそ「第一歩は許可」なのです。

2-3. ここでよくある誤解

公共工事への参入を考え始めた段階でよくある誤解を3つ挙げておきます。

  • 誤解1:「500万円未満の工事しか請けないから許可は要らない。公共工事も小さいものから入ればいい」
    前半は正しく、後半に落とし穴があります。建設業許可が不要になるのは軽微な建設工事の範囲に限られ、その範囲は建築一式工事は税込1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事、それ以外の工事は税込500万円未満とされています(手引 PDF p.5)。この規定に発注者による例外はありませんから、発注者が国や自治体であっても、軽微な建設工事の範囲であれば許可なしで請け負える場合があります(軽微な工事(500万円未満)とは?許可が不要になる範囲)。問題は、その範囲に収まる仕事だけで公共工事の受注を組み立てられるかです。公共工事は工種ごとに入札参加資格を得て競争入札で受注するのが基本であり、入札の土俵に乗る段階で許可と経審が前提になります。「小さい工事から入る」という発想では、競争入札に応札できる案件は限られます。※どの工事が軽微な建設工事に当たるかは、個別の請負代金・工事内容によって判断が分かれます。
  • 誤解2:「元請にならないなら関係ない」
    公共工事の下請に入る場合、許可が要るかどうかは請け負う金額(軽微な建設工事に当たるか)で決まります。ただし、公共工事の下請には、民間工事にはない上乗せ規制(施工体制台帳の作成義務など)が元請側にかかるため、元請が下請の許可の有無を厳しく確認する場面が増えます(7章)。「元請から許可を求められた」という段階の方は元請から建設業許可を求められたら|下請が取る手順、ゼネコンの協力会社登録・取引口座開設を目指す方はゼネコンの協力会社になるには|取引口座開設と建設業許可もあわせてご覧ください。
  • 誤解3:「営業を先にかければ入れる」
    公共工事は営業力で入るものだと考えている方がいます。しかし入札参加資格は申請して審査を受けて得るものであり、資格がなければそもそも入札の土俵に乗れません。しかも資格は発注機関ごとに別(3章)。営業活動より先に、制度の関門を通す必要があります。

2-4. 「軽微な公共工事だけ」で回せるか——現実的な検討

誤解1の裏返しとして、「税込500万円未満の公共発注の仕事だけを積み上げていく」という戦略が成り立つかどうかを、もう少し踏み込んで考えておきます。

制度上、軽微な建設工事の範囲であれば許可は不要です。実際、除草・清掃・小修繕といった小規模役務に近い発注や、少額の随意契約は各機関で存在します。しかし、この戦略には次のような制約があります。

  1. 入口が「入札」ではなく「発注機関の裁量」になる。 競争入札の案件に応札するには、その機関の入札参加資格が必要です。資格を持たない状態で受けられるのは、機関側の運用に委ねられた少額の発注に限られます。ここは制度上の権利ではなく機会であり、自社で計画的に積み上げられる性質のものではありません。
  2. 金額の上限が固定される。 軽微な建設工事は1件あたりの請負代金で判断されます。年間の売上規模を伸ばそうとすると件数を増やすしかなく、少額案件ほど1件あたりの管理コスト(見積・書類・現場往復)の比率が高くなります。

つまり「軽微な公共工事だけ」は、現在の売上を少し補う戦術としては成立し得ても、公共工事を柱にする戦略にはならないということです。逆に言えば、公共工事を柱にすると決めたなら、許可・経審・入札参加資格を一度に設計してしまったほうが、遠回りになりません。

まだ許可自体をお持ちでない場合は、まず自社が要件を満たせるかの確認からです。要件の全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断に整理しています。

3. 岡山県で「公共工事の発注者」はどこまで広がるか

ここが、公共工事に憧れている段階の方が最も知らない論点です。

3-1. 「公共工事の発注者」は法令で列挙されている

前述のとおり、公共工事に当たるかどうかは発注者が誰かで決まります。そして、その発注者は建設業法施行令第45条・建設業法施行規則第18条で定められており、岡山県の手引にも一覧が掲載されています(PDF p.192〜193)。手引が挙げている発注者には、たとえば次のようなものが含まれます。

  • 国/地方公共団体(=岡山県、県内の市町村)
  • 地方独立行政法人/国立大学法人/大学共同利用機関法人
  • 地方住宅供給公社/地方道路公社/土地開発公社
  • 土地改良区/土地改良区連合/土地区画整理組合
  • 水害予防組合/水害予防組合連合/港務局
  • 日本下水道事業団/日本年金機構/日本放送協会/日本中央競馬会/日本司法支援センター
  • (独)都市再生機構/(独)住宅金融支援機構/(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構/(独)国立病院機構/(独)国立高等専門学校機構 ほか多数の独立行政法人
  • 国立研究開発法人(土木研究所・建築研究所・農業・食品産業技術総合研究機構 など)
  • 社会保険診療報酬支払基金/地方公共団体金融機構/地方公共団体情報システム機構
  • 沖縄振興開発金融公庫/(株)日本政策金融公庫/(株)国際協力銀行

ここで気づいていただきたいのは、「公共工事=県と市役所の工事」ではないということです。土地改良区土地区画整理組合地方住宅供給公社国立大学法人の発注する工事も、法令上は公共工事として整理されます。

3-2. 岡山でこの一覧はどう「現れる」か

この発注者一覧は、抽象的な法令用語の羅列に見えます。しかし岡山で実際に建設業を営んでいると、次のような形で目の前に現れます。

一覧上の発注者岡山での典型的な現れ方関係しやすい業種
土地改良区/土地改良区連合農業用水路・ため池・農道・揚排水機場などの改修工事とび・土工・コンクリート、土木一式、水道施設 ほか
土地区画整理組合区画整理区域内の造成・道路・排水路の整備土木一式、とび・土工・コンクリート、舗装 ほか
地方住宅供給公社/地方公共団体公営住宅・公社住宅の改修、外壁・防水・給排水の更新建築一式、防水、塗装、管 ほか
国立大学法人大学構内の施設改修・空調更新・構内舗装建築一式、管、電気、舗装 ほか
独立行政法人(病院機構・高専機構 等)病院・学校施設の改修、設備更新建築一式、管、電気、内装仕上 ほか

ここで重要なのは、「これも公共工事だ」と認識されていないことがあるという点です。たとえば農業土木を手がける事業者にとって土地改良区は日常的な取引先ですし、造成まわりの事業者にとって区画整理組合は珍しい相手ではありません。しかし発注者が「県」や「市」でないために、一括下請負の全面禁止や施工体制台帳の義務(7章)といった公共工事の上乗せルールが自社の案件にかかっていることに気づいていない——という事態が起こり得ます。

※ 上の表は、法令上の発注者区分と業種の一般的な対応を整理した一例で、この組み合わせに限られるという趣旨ではありません。個別の工事がどの業種の許可を要するか、どの上乗せルールの対象になるかは、契約内容と発注機関の区分によって判断が分かれますので、自社の案件に即して個別にご確認ください。

3-3. 岡山県内だけでも、資格申請の相手は1つではない

入札参加資格は、発注機関ごとに個別に申請するものです。岡山県の資格を得ても、それは岡山県が発注する工事のためのものであり、岡山市の工事に入りたければ岡山市に、倉敷市の工事に入りたければ倉敷市に、それぞれ資格の申請が必要になります。

では、岡山で「相手」は何件あるのか。ざっと数えると次のようになります。

  • 岡山県(1)
  • 県内の市町村……岡山県の手引が県民局の担当区域として掲げる県内市町村を数えると、15市10町2村の合計27市町村です(PDF p.168)。人口規模の大きい岡山市・倉敷市・津山市はもちろん、町村部にも独自の発注があります。
  • 一部事務組合・広域事務組合……消防・ごみ処理・し尿処理・火葬場などを複数市町村が共同で運営する組織。施設の改修工事を独自に発注します。
  • 公社・土地改良区・区画整理組合など……3-1の一覧に挙げた法人。

つまり、県内に営業エリアを限っても、理屈のうえでは30を優に超える発注機関が存在します。もちろん全部に登録する必要はありませんが、「営業エリアをどこまで広げるか」=「維持しなければならない入札参加資格の数」という関係になっている点は、許可を取る前の段階で意識しておくと、後の負担の見積りが現実的になります。

手引自身も、この点について次のように案内しています。

詳しくは、県ホームページ及び入札参加を希望する自治体のホームページ等を確認してください。

(同 PDF p.24)

「入札参加を希望する自治体の」という表現は、参加したい先ごとに確認と手続きが要ることの裏返しです。

※ 各発注機関の受付時期・申請方法・有効期間・格付の運用は、岡山県『建設業許可の手引』には記載がありません。発注機関ごとに定められているため、本記事では個別の日程や区分を断定しません。岡山県の入札参加資格については入札参加資格サービスをご覧ください。

なお、手引には「県内ほとんどの自治体で、許可証明書が入札参加資格審査申請の添付書類から除かれています」という記載もあります(PDF p.23)。添付書類は機関ごとに違うということであり、ここでも「参加したい先の定めを見に行く」という原則は変わりません。

4. 逆算のタイムライン——起点は「決算日」

「今日から数えて、いつ公共工事に入れますか」。これは最も多くいただく質問の1つです。正確な答えは会社ごとに違いますが、逆算に使える確定した期間と、変数を切り分けておくと、現実的な計画が立てられます。

4-1. 一次資料で確定している期間は2つだけ

項目期間出典
許可申請の受付から許可まで特に問題がないケースで概ね2か月程度手引 PDF p.16(「標準処理期間◯日」という日数規定はありません)
事業年度終了報告の提出期限決算日から4か月以内手引 PDF p.22

なお、営業所調査については「許可申請受付後、半月程度で所轄の県民局から実施の連絡」があるとされていますが、手引は営業所調査が早く終わっても許可が早くなるわけではない(本庁の調査は別途進行する)とも明記しています(PDF p.16〜17)。つまり、調査を急いでもらっても許可日は前倒しにならないということです。

一方で、経営事項審査の所要期間、入札参加資格審査の受付時期・審査期間については、手引に記載がありません。これらは発注機関等の定めによるため、本記事では日数を断定しません。

4-2. 変数は「準備期間」と「決算をまたぐかどうか」

逆算するときに効いてくるのは、次の2つです。

変数1:申請前の準備期間。 許可申請は、書類を整えてから提出するものです。岡山県は事前審査を一切行わない運用であり、手引にも「事前審査は一切行いません。 正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください」と書かれています(PDF p.16)。準備期間の長短は、結局のところ「必要な証明書類がどれだけ手元に残っているか」でほぼ決まります。経営業務の管理責任者の経験を5年分証明する契約書等、営業所技術者の実務経験を証明する資料など、過去の書類の残り方が最大の変数です(建設業許可の必要書類一覧営業所技術者の実務経験10年を証明する方法)。

変数2:決算日をまたぐかどうか。 ここが公共工事ルート特有の論点です。第2関門の事業年度終了報告は「決算日から4か月以内」、第3関門の経審は決算を1つの区切りとして受けるものですから、この連鎖の起点は会社の決算日にあります。決算日は年に1度しか来ません。したがって、許可がいつ下りるか次の決算日がいつかの位置関係によって、公共工事の土俵に立てるタイミングは大きく動きます。

4-3. 決算日をまたぐと、何が「1年」ずれるのか

この点は、公共工事を目指す場合にだけ効いてくるので、独立して説明します。

事業年度終了報告は、許可を受けた後に到来した決算について提出するものです。そして経審は、その事業年度終了報告で提出した内容(工事経歴書・財務諸表)を土台にして受けることになります。したがって、

  • 決算日の直前に許可が下りた場合……まもなく到来する決算について事業年度終了報告を出し、そのまま経審へ進める。
  • 決算日の直後に許可が下りた場合……次の決算日まで、経審の土台になる報告の機会が来ない。

という違いが生じます。同じ「許可取得」でも、決算日との位置関係が数か月違うだけで、入札の土俵に立てる時期が実質的に1年近くずれ得るということです。ここに、許可申請の準備期間(変数1)が加わります。

だからこそ、公共工事を目指す会社の場合、「いつ申請するか」は書類が揃った順ではなく、決算日から逆算して決めるほうが合理的です。

4-4. 逆算の考え方

以上を踏まえると、逆算は次の順序で考えることになります。

  1. 自社の決算日を確認する(連鎖の起点はここ)
  2. 決算日から4か月以内に事業年度終了報告を出せる状態にしておく
  3. その事業年度終了報告の内容をもとに経審を受ける
  4. 経審の結果をもって、参加したい発注機関ごとに入札参加資格を申請する
  5. その手前に、許可申請の準備期間+概ね2か月の審査を置く

「思い立ってから最短で」を狙うなら、逆算の出発点は入札の公告ではなく、自社の決算日と、許可申請に必要な証明書類の在庫です。この2つを最初に確認するだけで、計画の精度は大きく変わります。

※ 公共工事に参入するまでの総所要期間は、決算期・書類の整い方・参加したい発注機関の定めによって大きく異なります。「◯か月で入れます」といった断定はできません。個別の逆算は無料相談でご一緒に整理します。

5. 毎年回り続ける期限の連鎖と、止まったときに起きること

公共工事に参入するということは、毎年回る手続きのサイクルに乗るということです。ここを軽く見ていると、せっかく取った許可も経審も、あっけなく止まります。

5-1. 年次サイクルの全体像

決算日
  ↓ 4か月以内
事業年度終了報告(毎年・手数料不要)
  ↓
経営事項審査(公共工事を続けるなら毎年)
  ↓
入札参加資格(発注機関ごと・各機関の定める周期)
  ↓
入札・受注
  ↓(5年に1度、別軸で)
建設業許可の更新

このほかにも、役員・営業所・経営業務の管理責任者・営業所技術者などに変更があれば、その都度の変更届が必要です。特に、経営業務の管理責任者や営業所技術者を欠く状態になった場合は変更後2週間以内の届出が必要とされています(手引 PDF p.22)。

5-2. 止まったときに何が起きるか——3つの実害

(1)変更届の提出漏れがあると、更新・追加の申請が受け付けられない

手引は、更新申請の注意点として次のように書いています。

【変更届の提出漏れがある場合】事業年度終了報告等の変更届が法定期限内に提出されていない場合、更新申請等の受付はできません。 また、変更届を提出しないまま、変更前の情報で許可を受けた場合、監督処分を受けることになるため、注意してください。

(同 PDF p.155)

「更新のときにまとめて出せばいい」という発想が通用しない、ということです。さらに手引は、変更届について「期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります」とも明記しています(PDF p.22)。

(2)許可が失効すると、経審まで無効になる

2章で引用したとおり、許可が失効すれば「その業種については何ら許可を有しない状態となり、経営事項審査も無効となりますので、長期間にわたり入札に参加できなくなる可能性がある」とされています(PDF p.12)。なお手引は、この記述を特定建設業許可取得後の留意事項として掲げていますが、「許可が業種ごとに失効すれば、その業種の経審の効力に影響する」という関係の構造自体は、一般建設業でも変わりません。

許可の期限管理は、公共工事の売上そのものの管理だということです。許可の有効期間・更新の受付期限といった数値面は建設業許可の費用はいくら?岡山市で建設業許可を取るにはに整理していますので、そちらをご確認ください。

(3)経営業務の管理責任者・営業所技術者が「欠けた」瞬間に土台が揺らぐ

手引は「欠く」状態について、退職・死亡はもちろん「毎日出勤することができなくなった場合も含みます。病気や事故等で長期入院されるような場合には、社会保険等の資格が継続されていても、「欠く」状態とみなされます」としています(PDF p.22)。公共工事を柱にしている会社ほど、この1人の不在が受注機会全体に響きます。経営業務の管理責任者の確保に不安がある場合は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?もご覧ください。

5-3. だから顧問契約が効く

公共工事のルートに乗ると、管理しなければならない期限は「5年に1度の更新」だけではなくなります。毎年の事業年度終了報告(決算日から4か月以内)、毎年の経審、発注機関ごとの入札参加資格の更新、役員変更等の都度の届出——これらが同時並行で走ります。しかも、1つの遅れが次の関門をブロックする連鎖構造です。

当事務所の顧問契約は、月額5,500円(税込)からの3プランをご用意しています。事業年度終了報告・経審・入札参加資格の更新まで含むのは最上位のフルプラン(月額15,000円(税込))で、下位のプランは対象業務の範囲が異なります。※いずれも税込の目安であり、業種数・営業所数など案件内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。

公共工事を「続ける」ための体制は、許可を取る段階から考えておくと無理がありません。

6. 許可を取る段階の判断が、数年後の入札を縛る

第1関門を通るときの判断のうち、後になって効いてくるものを挙げます。ここが、単なる「許可の取り方」の記事と、公共工事を見据えた記事の分かれ目です。

6-1. 許可業種の選び方が、将来の入札工種を縛る

入札は工種ごとに行われるのが一般的で、多くの発注機関では、参加を希望する工種に対応する建設業許可と、その業種の経営事項審査の結果が求められます。どの工種にどの許可業種が対応するかは、発注機関の定めによります。「まずは1業種で」と絞って取得した数年後に、狙いたい工事の工種が許可業種の外にあった、というのはよくある話です。

たとえば、次のような組み合わせは相性の面でつまずきやすい一例です(あくまで一般的な傾向で、どの許可業種が求められるかは狙う工事・発注機関ごとに異なりますので、個別にご確認ください)。

  • 舗装だけで取った場合……道路の打換えには対応できても、側溝・擁壁・法面といった土木一式やとび・土工・コンクリートの領域に及ぶ発注には手が出しにくい。
  • 建築一式だけで取った場合……公共施設の改修は、実態としては内装仕上・防水・塗装・管・電気といった専門工事に分解して発注されることがあり、一式の許可だけでは応札できる工種が限られる。
  • とび・土工・コンクリートだけで取った場合……造成や外構には強いが、舗装・水道施設が独立して発注される案件を取りこぼす。

もちろん、後から業種追加をすることはできます(法定手数料50,000円)。ただし、業種追加にも営業所技術者の要件充足が必要であり、その業種の実務経験や資格を、その時点で誰かが持っていなければならないという壁は変わりません。しかも手引は、実務経験について「この期間はひとつの業種について必要な年数であり、同一期間に複数の業種を並行して計上することはできません」と明記しています(手引 PDF p.165)。「10年やってきたから、関連する3業種を全部押さえられる」ということにはならないわけです。「後で足せばいい」と考えていた業種が、いざというときに足せないことがあります。

判断材料:自社が将来入りたい工事の工種を先に洗い出し、いま社内にいる人材の資格・実務経験で押さえられる業種と、将来に人を確保しないと押さえられない業種を分けておく。そのうえで、同一期間の重複計上ができないという制約を前提に、誰のどの期間をどの業種に充てるかを設計する。これは許可を取る段階でしかできない設計です。

6-2. 一般か特定か

発注者から直接請け負う建設工事について、下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が、建築工事業は8,000万円以上、その他の工事業は5,000万円以上となる下請契約を締結して施工する場合は、特定建設業の許可が必要です(手引 PDF p.10。金額はいずれも消費税及び地方消費税を含む額で、元請負人が提供する材料等の価格は含めません)。裏を返すと、一般建設業の許可では「合計で5,000万円未満(建築一式工事については8,000万円未満)までしか下請に出すことができない」ことになります(手引 PDF p.6)。

この基準は、民間工事・公共工事を問いません。 公共工事だから特別に低い(あるいは高い)基準がある、ということではない点に注意してください。なお手引は、施工体制台帳の説明の中でも「一般建設業者では元請として上記金額以上の工事を下請に出すことは禁じられています」と注記しています(PDF p.198)。

公共工事で元請を目指すなら、この線引きは避けて通れません。ただし特定建設業には、より高い財産的基礎(資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上など)と技術者要件が求められ、手引も「特定建設業の取得には、一般建設業より高度な技術力及び資金力を有する必要があり、これらの要件を確保できなくなった際には特定建設業の許可を維持できなくなります」「特定の要件を欠いたときに当然に一般許可に移行するものではなく、改めて新規許可申請(別の業種で一般許可を有している場合には追加許可申請)を行う必要があります」と警告しています(PDF p.12)。最初から特定を狙うか、一般で実績を積むかは、財務の見通しと人材計画の話です。

※ 金額基準・要件は法令改正により変わり得ます。自社がどちらの許可を取るべきかは、想定する元請・下請の構成によって判断が分かれますので、個別にご相談ください。

6-3. 財産的基礎は「毎年見られる」ものになる

一般建設業の財産的基礎は、自己資本500万円以上などの要件で判断されますが、手引には「要件の確認については、原則として既存の企業については直近の事業年度終了報告の、新規設立の企業については創業時の財務諸表により行います」と書かれています(PDF p.10)。

つまり、毎年提出する事業年度終了報告の財務諸表が、そのまま要件確認の材料になるということです。公共工事のルートでは、この財務諸表が経審の材料にもなります。「申請のときだけ数字を整える」という発想が通用しない領域だと理解しておくのが安全です。財産的基礎の考え方は建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備に整理しています。

6-4. 社会保険と技術者は「後から」では間に合わない

適切な社会保険への加入は許可の要件であり、公共工事の世界ではさらに厳しく見られます。また、技術者については、税込4,500万円(建築一式工事については9,000万円)以上の公共性のある工作物の工事では、主任技術者又は監理技術者は工事現場ごとに専任でなければならないとされています(手引 PDF p.21、p.181)。手引は「このような工事に配置された技術者は、その工期が終了するまでの間、現場を離れることが認められませんので、他の工事と掛け持ちして配置することはできない」としつつ、「ただし、監理技術者に関し、これを補佐する者(1級技士補等)を置いたときなど、技術者が2現場まで兼務できる場合があります」という例外も併記しています(PDF p.181)。原則は専任、例外的に兼務の余地がある、という整理です。

手引が挙げる「公共性のある工事」は次のようなものです(PDF p.181)。

  • 国、地方公共団体発注の施設又は工作物
  • 鉄道、索道、道路、上下水道などの公共性のある施設又は工作物
  • 電気事業用施設、ガス事業用施設
  • 学校、図書館、寺院、工場、病院、デパート、事務所、ホテル、共同住宅など

個人住宅以外の工事についてはほとんどのものが該当するとされている点に注意してください。そして手引は、さらに厳しい指摘をしています。許可上の営業所技術者等は営業所に常勤していなければならない以上、こうした専任性を求められる工事へ配置することは原則としてできない、というものです(PDF p.181)。

つまり、営業所技術者と、現場に張り付く専任の主任技術者・監理技術者は、原則として兼ねられないということです。同じ論点は業種ごとにも現れますので、建築一式工事での整理は建築一式工事の建設業許可もあわせてご覧ください。1人しか有資格者がいない状態で公共工事の元請を目指すと、ここで行き詰まりやすくなります。手引は「事業年度終了報告時に、大きな工事と掛け持ちしていることが分かる例が散見されます」とも書いており(PDF p.181)、毎年の報告が事後チェックとして機能していることも読み取れます。

判断材料:公共工事を本格的にやるなら、営業所に据える技術者と、現場に出す技術者を別々に確保するという人員計画が必要になります。これは許可申請の設計段階から織り込むべき論点です。

7. 公共工事だけが持つ「連携と跳ね返り」の仕組み

同じ会社が同じ工事をしても、発注者が公共だというだけでルールが変わります。 民間工事の感覚のまま公共工事に入ると、悪意がなくても違反になり得ます。

※ 手引では、公共工事の範囲が章ごとに異なる規定で定められています(発注者一覧=建設業法施行令第45条・同施行規則第18条/一括下請負=公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の適用対象/監督処分基準=国・地方公共団体・法人税法別表第一の公共法人等が発注者の工事)。個々のルールが自社の案件に及ぶかは、当該発注機関の区分で確認が必要です。

(前提)一括下請負の全面禁止と、施工体制台帳の義務

まず、多くの解説で触れられる2点を短く確認します。

  • 一括下請負(丸投げ)……民間工事(共同住宅の新築を除く)では発注者の書面による承諾で適用除外になり得ますが、公共工事では建設業法第22条第3項が適用されず、全面的に禁止されています(手引 PDF p.185)。承諾を取れば大丈夫、という民間工事の逃げ道は存在しません。
  • 施工体制台帳……民間工事では特定建設業者が元請として一定額以上を下請に出す場合に作成義務が生じるのに対し、公共工事では下請負額の大小によらず全ての工事で作成義務があり、さらに写しを発注者に提出しなければなりません(手引 PDF p.198)。

この2点について、元請側にかかる義務の詳細と、下請として求められる対応(再下請負通知書・作業員名簿・実質的関与の判断基準など)はゼネコンの協力会社になるには|取引口座開設と建設業許可に詳しく整理しています。

本章で本当にお伝えしたいのは、その先にある「連携」と「跳ね返り」の3つの仕組みです。

(1)一括下請負の疑いは、発注者から許可行政庁へ通知される

また、公共工事については、一括下請負と疑うに足りる事実があった場合、発注者は、当該工事の受注者である建設業者が建設業許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知することとされ、建設業法担当部局と発注者とが連携して厳正に対処することとしています。

(同 PDF p.188)

発注者と許可行政庁(岡山県知事)が情報を共有する仕組みが公共工事にはある、ということです。「現場のことは発注者との間で収まる」という前提は成り立ちません。民間工事では、発注者が許可行政庁に通知するという回路そのものが用意されていない点と対照的です。

(2)違反があると、経審の完成工事高から外される

なお、一括下請負を行った建設業者は、当該工事を実質的に行っていると認められないため、経営事項審査における完成工事高に当該建設工事に係る金額を含むことは認められません

(同 PDF p.188)

監督処分とは別に、次の経審の点数の材料が減るという形でも跳ね返ります。公共工事の実績づくりのつもりでやったことが、実績として計上できなくなるということです。しかも経審は毎年受けるものですから、1つの案件の扱いが、翌年以降の入札の土俵の高さに直接効いてくるという構造になっています。5章で述べた「年次サイクル」は、期限管理の話であると同時に、評価の積み上げの話でもあるわけです。

(3)営業停止処分は「公共工事に係るもの」に限定して行われることがある

監督処分基準には、次のように書かれています。

建設工事の請負契約に関する不正行為等に対する営業停止処分は、公共工事(中略)の請負契約(当該公共工事について下請契約が締結されている場合における各下請契約を含む。)に関して不正行為等を行った場合はその営業のうち公共工事に係るものについて、それ以外の工事の請負契約に関して不正行為等を行った場合はその営業のうち公共工事以外の工事に係るものについて、それぞれ行うものとする。

(同 PDF p.200)

公共工事で起こしたことは、公共工事の営業を止める形で返ってくるという設計です。民間工事の売上が残るから軽い、という話ではありません。公共工事を売上の柱にするほど、この処分の重みは増します。

※ 監督処分・罰則の内容は事案の態様や情状によって判断されます。本記事では具体的な処分の程度や法定刑を断定しません。監督処分基準は手引 PDF p.200付近に掲載されています。

この3つは、いずれも「許可を取った後」の話です。 しかし、許可を取る段階で知っているかどうかで、体制の作り方が変わります。公共工事は「取れば終わり」ではなく「守り続ける」領域だということを、入口の時点で押さえておいてください。

8. 公共工事に「入る」か「入らない」か——維持コストで考える判断フレーム

最後に、ここまでの内容を意思決定の形に落とします。公共工事に入ることは、必ずしもすべての会社にとって正解ではありません。「入らない」という選択も含めて比較できる形にしておくのが、本記事の締めくくりです。

8-1. 公共工事ルートに乗ると、毎年いくらの維持コストが発生するか

年次サイクル(5章)を外部に委託した場合の費用は、おおよそ次のように積み上がります(当事務所の報酬・税込の目安)。

項目頻度報酬の目安(税込)
事業年度終了報告(決算変更届)毎年44,000円
経審 経営状況分析毎年33,000円
経審 経営規模等評価・総合評定値請求毎年55,000円
毎年の小計132,000円
入札参加資格の更新発注機関の定める周期ごと33,000円
建設業許可の更新(法人)5年に1回66,000円+法定手数料50,000円

つまり、公共工事を続けるための「毎年の固定費」は、外部委託ベースでおよそ13万円前後(+発注機関の定める周期ごとの入札更新、5年に1回の許可更新)ということになります。これに対し、顧問契約のフルプラン(月額15,000円(税込)=年間180,000円)は、これらに月次相談と期限管理を含めて定額化するものです。

※ 金額はいずれも税込の目安であり、業種数・営業所数・決算の状況など案件内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。法定手数料は改定される場合があります。

8-2. 「入らない」場合と比較する

比較すべきは、この維持コストと、公共工事から得られる粗利です。判断の軸を挙げます。

判断軸公共工事に入る民間・下請中心で回す
年次の固定手続き事業年度終了報告+経審+入札参加資格更新が毎年〜隔年で発生事業年度終了報告のみ(許可業者の場合)
売上の安定性発注が公表され、支払い条件が制度化されている。年度単位で計画が立てやすい元請・施主の状況に左右されやすい
価格決定力入札=価格競争が基本。評点が積み上がるまでは不利になりやすい交渉次第。関係性で単価を維持できる場合がある
事務負担上乗せ規制(7章)への対応と書類が増える相対的に軽い
参入の立ち上がり許可→決算→経審→資格審査と、年単位の助走が必要取引が決まればすぐ

目安としての考え方:公共工事から見込める年間の粗利が、上記の維持コストと社内の事務負担を明確に上回るなら「入る」。そうでないなら、まずは民間・下請で許可を活かし、体力がついてから経審に進むという順序も十分に合理的です。許可自体は公共工事のためだけのものではなく、元請からの要求やゼネコンの協力会社登録にも効きますから、「許可は取るが経審は当面受けない」という中間の選択肢も現実的です。

ただし、入るなら早いほうが有利という側面もあります。というのも、4-3で見たとおり、この関門の連鎖の起点になる決算日は、年に1度しか来ないからです。参入の判断を1つの決算日ぶん先延ばしにすると、事業年度終了報告→経審→入札参加資格という一連の流れの起点そのものが、まるごと次の年へずれ込みます。「いつか」と考えている段階で、決算日から逆算した具体的な年を決めてしまうことをおすすめします。

8-3. 岡山県で許可を申請するときの実務は、こちらへ

なお、第1関門である許可申請そのものの実務——提出先(岡山県土木部監理課建設業班・県庁6階。県民局では受け付けていません)、受付後の営業所調査、法定手数料や当事務所の報酬を含む費用の総額——については、次の記事に詳しく整理しています。

岡山県は事前審査を一切行わず、書類を完全に整えた状態での提出を求めています(手引 PDF p.16)。窓口で相談しながら少しずつ完成させていく、という進め方ができないため、手戻りがそのまま決算日・経審のスケジュールに響きます。営業所調査で何を求められるかも事案により異なります。当事務所にご依頼いただいた場合は、書類の設計に加えて、受付後に所轄の県民局から実施される営業所調査についても、事前の準備確認(看板・机・電話・賃貸借契約書など確認物のそろえ方)と当日の同席(立会い)まで報酬に含めてご支援しますので、お問い合わせからご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q建設業許可を取れば、すぐに公共工事の入札に参加できますか?
Aいいえ。岡山県『建設業許可の手引』は「許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です」としています(PDF p.24)。許可はあくまで第1関門で、その先に経営事項審査と、発注機関ごとの入札参加資格審査があります。順番を入れ替えることは、通常できません。
Q岡山県の入札参加資格を取れば、県内の市町村の工事にも参加できますか?
Aいいえ。入札参加資格は発注機関ごとに必要です。手引も「入札参加を希望する自治体のホームページ等を確認してください」と案内しています(PDF p.24)。参加したい発注機関の数だけ、申請と維持の手間がかかると考えてください。詳しくは入札参加資格サービスをご覧ください。
Q公共工事の発注者は、国と自治体だけですか?
Aいいえ。公共工事に当たる発注者は建設業法施行令第45条・建設業法施行規則第18条で定められており、手引にも一覧が掲載されています(PDF p.192〜193)。国・地方公共団体のほか、地方独立行政法人、国立大学法人、地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社、土地改良区、土地区画整理組合、日本下水道事業団、各種の独立行政法人・国立研究開発法人なども含まれます。
Q500万円未満の公共工事なら、許可がなくても請け負えますか?
A軽微な建設工事(建築一式工事は税込1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事、それ以外の工事は税込500万円未満)については、許可がなくても請け負うことができるとされています(手引 PDF p.5)。この規定に発注者による例外はありませんので、発注者が国や自治体であっても同様です。ただし、競争入札に参加するには発注機関の入札参加資格が必要で、その前提として経営事項審査が求められるのが一般的です。個別の工事が軽微な建設工事に当たるかは請負代金・工事内容によって判断が分かれますので、迷われる場合はご相談ください。
Q許可の更新を忘れるとどうなりますか?経審にも影響しますか?
A許可の有効期間は許可日から5年間で、更新許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておく必要があります(建設業法施行規則第5条。手引 PDF p.21)。更新せずに有効期間が満了すると、改めて新規に許可を取得することになります。また手引は、特定建設業許可取得後の留意事項として、許可が失効した場合について「その業種については何ら許可を有しない状態となり、経営事項審査も無効となりますので、長期間にわたり入札に参加できなくなる可能性がある」としています(PDF p.12)。許可が業種ごとに失効すればその業種の経審の効力に影響するという構造は、一般建設業でも変わりません。
Q公共工事の下請でも、民間工事と同じ感覚でやって問題ありませんか?
A公共工事には民間工事にない上乗せ規制があります。たとえば一括下請負(丸投げ)は、民間工事なら発注者の書面による承諾で適用除外になる場合がありますが、公共工事では建設業法第22条第3項が適用されず全面的に禁止されています(手引 PDF p.185)。また、公共工事では下請負額の大小によらず全ての工事で施工体制台帳等の作成が義務付けられ、その写しを発注者に提出する必要があります(同 PDF p.198)。民間工事と同じ運用のままでは違反となり得るため、体制の見直しをおすすめします。

まとめ

公共工事に入りたいと考えたときの結論は、まず建設業許可を取ることです。建設業法上、公共工事は「経営事項審査を受けなければ請け負うことができない建設工事」と定義され、その経審は許可を受けた業者の制度だからです。許可が失効すれば経審も無効になる——という関係が、順番を動かせないことを示しています。

そのうえで、この記事でお伝えしたかったのは次の5点です。

  1. 関門は4つあり、順番が決まっている(許可 → 事業年度終了報告 → 経審 → 発注機関ごとの入札参加資格)。しかも第2・第3関門は毎年回り続ける。
  2. 軽微な建設工事の範囲なら、発注者が公共でも許可なしで請け負える場合はある。しかし入札の土俵に乗る段階で許可と経審が前提になるため、「小さい公共工事だけ」では戦略にならない。
  3. 公共工事の発注者は「県と市役所」だけではない。土地改良区・土地区画整理組合・公社・国立大学法人なども法令上の発注者であり、入札参加資格は発注機関ごとに別々に必要になる。
  4. 逆算の起点は決算日。一次資料で確定している期間は「許可=概ね2か月」「事業年度終了報告=決算日から4か月以内」の2つで、あとは準備期間と決算日の位置関係が効く。決算日をまたぐかどうかで、参入が実質1年ずれ得る。
  5. 公共工事には民間工事にない仕組みがある。一括下請負の疑いは発注者から許可行政庁へ通知され、違反分は経審の完成工事高から外され、営業停止処分は公共工事に係るものに限定して行われることがある。

そして、これらすべての前提として、許可を取る段階の判断(業種の選び方、一般か特定か、技術者の配置計画)が数年後の入札を縛ります。公共工事は「取ってから考える」より「入口で設計する」ほうが、結果的に早く・安全に到達できる領域です。まずは自社が許可要件を満たせるかの確認から始めてみてください。

公共工事に入るために、自社が今どの関門にいるかを無料相談で整理しませんか

決算日から逆算していつ動くべきかを、建設業特化の行政書士が一緒に整理します。「うちの業種で入札できる工種はどれか」「経審まで見据えるとどの業種で許可を取るべきか」など、迷っている段階でも構いません。お電話(070-8567-3197)・メール・LINE からお気軽にどうぞ。

Contact

お困りごとは、まず無料相談から

070-8567-3197

岡山県全域対応(岡山市・倉敷市ほか)/オンライン相談は全国対応。
電話受付:平日 9:00〜18:00(土日祝を除く)(土日祝を除く)
LINE・お問い合わせフォームは24時間受付(返信は営業時間内に順次)。
ご相談無料・秘密厳守。