

建設業許可がなくても請け負える工事は、建設業法施行令第1条の2第1項の「軽微な建設工事」に限られます。金額のラインは、建築一式工事なら1件の請負代金が1,500万円に満たない工事または延べ面積150㎡に満たない木造住宅工事、それ以外の28業種なら1件の請負代金が500万円に満たない工事です。そして、この金額は消費税及び地方消費税を含んだ額で判定し、注文者や元請業者が材料を支給する場合はその材料費も含めて判断します(岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.5)。つまり、税抜の見積書に書いた数字が480万円でも、税込にすれば500万円を超え、支給材料があればさらに上乗せされる——「うちは500万円未満しかやっていない」という自己認識が、判定基準に当てはめると崩れるケースは珍しくありません。
本記事は、岡山県で建設業に特化する行政書士事務所が、「軽微な建設工事に当たるかどうか」の判定だけに絞って整理したものです。許可の要件そのものは建設業許可の6つの要件(取れるか診断)、費用は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安と法定費用の内訳で解説しています。判定の結果「許可が必要だった」と分かった方が、次に自社の要件を確認し許可取得へ進むまでの手順は、別記事で改めて扱います。
※ 個々の工事が軽微な建設工事に当たるかどうかは、契約の形態・工事の実態・支給材料の有無などによって判断が分かれます。本記事は一般的な整理であり、最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
1. 軽微な建設工事とは——金額ラインの正確な定義
建設業を営もうとする者は、原則として業種ごとに建設業の許可が必要です。ただし例外として、工事1件の請負金額が次に当たるもの(「軽微な建設工事」)については、許可がなくても請け負うことができるとされています。
| 工事の種類 | 許可がなくても請け負える範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円に満たない工事、又は 延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事 |
| その他の工事(建築一式以外の28業種) | 1件の請負代金が500万円に満たない工事 |
※金額はいずれも消費税及び地方消費税を含む額。注文者や元請業者が材料を支給する場合は材料費も含めて判断する。
(出典:岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.5)
ここで最初に確認しておきたいのが、条文が「満たない」=未満で書かれている点です。
- 500万円ちょうどの工事は「軽微な建設工事」ではありません。「500万円未満」であって「500万円以下」ではないため、税込でぴったり500万円になった時点で許可が必要な工事になります。
- 実際、岡山県の監督処分の基準でも、無許可で「工事1件の請負代金の額が500万円以上(建築一式工事にあっては、請負代金の額が1,500万円以上又は延べ面積が150平方メートル以上の木造住宅工事)」を請け負った場合が処分の対象として明記されています(手引 PDF p.207)。
もうひとつ、条文の主語は「工事1件」です。会社の年間売上高でも、1年間に受注した合計額でもありません。1件あたりの請負代金で判定するので、年商が数千万円あっても1件あたりが常に500万円未満に収まっていれば、その部分だけを見れば軽微な建設工事の範囲に収まります。逆に、年商が小さくても1件でもラインを超えれば、その1件のために許可が必要です。ここが「規模が小さいから許可は要らないはず」という感覚と法律のズレが生まれる最初のポイントです。
そして注意すべきは、許可は業種ごとに与えられるという点です。建設業許可は29業種に分かれており(土木一式、建築一式、大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体/手引 PDF p.5)、たとえば塗装工事業の許可を持っていても、防水工事で500万円以上を請け負えば防水工事業の許可が別に必要になります。「許可は持っている」ことと「その工事について許可を持っている」ことは別問題です。
この「業種ごと」という原則は、一式工事の許可を持っていれば専門工事もカバーできる、という誤解と表裏の関係にあります。この点は §6-2 で改めて扱います。
1-1. 建設業法の「金額ライン」は4本ある——混同マップ
判定の相談でもっとも多い混乱は、建設業法に出てくる「金額」が1種類だと思い込んでいることから起きます。実際には、性質のまったく異なる金額ラインが少なくとも4本あり、税込か税抜か・材料を足すのか引くのか・何を単位に数えるのかが、それぞれ違います。まずここを一枚で押さえてください。
| # | 何を決める金額か | 金額ライン | 判定の単位 | 材料の扱い | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 建設業許可が必要か(軽微な建設工事/本記事の主題) | 税込500万円(建築一式は税込1,500万円、または延べ面積150㎡未満の木造住宅) | 工事1件ごと | 注文者・元請が支給する材料費も含める | 手引 PDF p.5 |
| ② | 一般建設業の許可のままで下請に出せるか | 合計税込5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満) | 元請として直接請け負った1件の工事について、下請に出す総額 | 元請負人が提供する材料等の価格は含めない | 手引 PDF p.6 |
| ③ | 現場に配置する技術者の専任が必要か | 税込4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)の公共性のある工作物の工事 | 工事1件ごと | (手引に記載なし) | 手引 PDF p.21 |
| ④ | 許可を取るための財産的基礎を満たすか | 500万円 | 事業者ごと(申請時点の財務) | ―(工事の金額ではない) | 手引 PDF p.9〜10 |
同じ「500万円」でも、①は1件の工事の請負代金、④は会社の財産の状況です。同じ「材料」でも、①は足し、②は引きます。同じ言葉が、どの判定の話かによって正反対の結論を導く——これが建設業法の金額判定でもっとも事故が起きやすい構造です。
本記事が扱うのは①だけです。②は §3-2 で対比のかたちで、④は §9 で混同を解くために触れますが、いずれも詳細は別記事に委ねます。③(技術者の専任)は許可を取得した後の配置義務の話であり、許可の要否とは無関係です。なお③に関連して、現場に配置する主任技術者・監理技術者は、その建設工事の業種について営業所の営業所技術者(旧:専任技術者)になることができる資格及び経験を有する必要があるとされています(手引 PDF p.21)。営業所技術者の要件そのものは営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年証明で解説しています。
※ ①〜④はいずれも岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)に記載された金額です。金額・基準は法令改正で変わり得ますので、実際の判定は契約時点の最新の手引でご確認ください。
2. 判定の実務①:金額は「税込」で見る
手引 PDF p.5 の注記は明確です。「※金額はいずれも消費税及び地方消費税を含む額」。実務でもっとも多いつまずきが、ここです。
2-1. 税抜の見積書だけを見て判断してしまう
建設業の見積書は税抜金額を大きく書き、消費税額を末尾に足す形式が一般的です。しかし判定に使うのは税込の総額です。
(税抜金額だけを見ると判定を誤る例)
| 見積書の税抜金額 | 消費税を加えた税込の請負代金 | 軽微な建設工事か(建築一式以外) |
|---|---|---|
| 税抜でおよそ450万円未満 | 税込でも500万円に届かないことが多い | ○ 範囲内(ただし追加工事・支給材料が出ると一気に超える) |
| 税抜で450万円台 | 消費税を加えると税込500万円に達し得る | △ 税込の総額で要確認(税込500万円以上なら許可が必要) |
| 税抜でおよそ460万円以上 | 税込では明確に500万円を超える | × 許可が必要 |
※税抜金額から税込金額への換算に用いる消費税及び地方消費税の税率は、契約時点の法令によって決まります。税率は法令改正で変わり得ますので、上の税抜金額の目安も含め、実際の判定は必ず契約時点の税率で税込の総額を計算してご確認ください。
重要なのは、「税抜でいくらまでなら大丈夫か」という発想を採らないことです。税抜金額を出発点にすると、消費税を加えるだけでラインに届いてしまい、しかも追加工事や支給材料が乗れば一気に超えます。判定は必ず税込の総額で行ってください。「税抜499万円で受けよう」という判断は、税込にすればすでに500万円を大きく超えており、無許可で請け負えば建設業法第3条第1項に違反する受注となり得ます(岡山県の監督処分の基準では、軽微ではない工事を無許可で請け負った場合の処分基準が定められています/手引 PDF p.207。詳しくは §4)。
2-2. 自社の消費税の取扱いによって判定基準は変わらない
判定の基準は請負代金の額そのものであって、自社がどのような消費税の会計処理をしているかではありません。手引の注記は「消費税及び地方消費税を含む額」とだけ書かれており、事業者の課税区分によって基準が変わるという例外は置かれていません。免税事業者だから税抜で見てよい、ということにはならない点に注意してください。
なお、許可取得後に毎年提出する事業年度終了報告(決算変更届)では、工事経歴書(様式第二号)の見出しに「( 税込 ・ 税抜 )」の選択欄があり、消費税及び地方消費税の会計処理方式のいずれかに丸を付けて申告する扱いになっています(手引 PDF p.47)。同様に「直前3年の各事業年度における工事施工金額」(様式第三号)についても「『税込』又は『税抜』のどちらかに○印を付すこと」とされています(審査要領 PDF p.10)。「書類上の会計処理方式の選択」と「軽微な建設工事かどうかの判定基準」は別の話であり、後者は事業者の選択にかかわらず常に税込です。ここを混同すると、工事経歴書の作り方と許可の要否判断の両方がずれていきます。
※ 消費税の課税区分・会計処理方式の選択や申告そのものについては、顧問税理士にご確認ください。本記事は建設業法上の金額判定についての説明です。
2-3. 端数処理を判定に持ち込まない
工事経歴書の作成では、請負代金の額について原則として千円未満の端数を切り捨てて記載する取扱いがあります(審査要領 PDF p.8)。これはあくまで書類の記載ルールであって、許可が必要かどうかの判定で端数を切り捨てて500万円未満に収めてよい、という意味ではありません。判定は契約上の請負代金の額そのもので行います。
2-4. 「軽微かどうか」の判定は、許可を取った後の書類の作り方にも直結する
この判定は、許可を取るかどうかを決めるためだけのものではありません。許可取得後に毎年提出する工事経歴書の書き方が、軽微な建設工事に当たるかどうかで変わります。
- 工事経歴書には、報告対象年度内に完成した当該業種の工事請負額の概ね7割を超えるところまで、請負代金の大きい順に記載します。ただし、軽微な建設工事については10件を超えて記載することを要しません(手引 PDF p.51、審査要領 PDF p.8)。記載を省略する軽微な建設工事は「小口工事」としてまとめて記載できますが、まとめた件数の明記が必要です(手引 PDF p.51)。
- ただし土木一式工事・建築一式工事については、軽微な工事の有無にかかわらず当該業種の完成工事高の総額の少なくとも7割を超えるところまで記載することとされ、小口工事としてまとめることはできません(審査要領 PDF p.8)。
- その他工事の施工金額の合計が税込500万円を超える場合は、その他工事についても工事経歴書を作成し、請負金額の大きいものから順に10件以上記載するか、合計金額の7割以上を記載します(審査要領 PDF p.9)。
つまり、「これは軽微な工事か」という同じ問いを、許可を取る前は要否の判定として、取った後は書類の作成単位として、毎年使い続けることになります。判定の考え方を今のうちに社内で共有しておく価値は、ここにもあります。
3. 判定の実務②:注文者・元請の支給材料は請負代金に含めて判断する
手引 PDF p.5 の注記の後半、「注文者や元請業者が材料を支給する場合は材料費も含めて判断する」——この一文が、実務では税込判定と並ぶ落とし穴です。
3-1. 「手間だけ」の契約が対象になるケース
現場では、元請が主要な資材を手配し、下請は施工の手間だけを請け負う形がよくあります。この場合、契約書に書かれる請負代金は施工分だけになりますが、判定では支給された材料の分も含めて考える必要があります。
(考え方の例)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 契約書に記載された請負代金(税込) | 420万円 |
| 元請から支給された材料の相当額(税込。額の見方の個別性は 3-3 参照) | 120万円 |
| 判定に用いる額 | 540万円 → 500万円以上=許可が必要 |
契約書の数字だけを見れば420万円ですから、当事者双方が「軽微な建設工事の範囲だ」と誤解したまま進んでしまいます。材料費の比重が高い工種ほど、このズレは大きく出ます。手間だけの請負代金では500万円に届かなくても、支給材料を加えた総額では軽く超える、という構図です。材料支給が前提の取引をしている事業者は、一度すべての案件を「材料込み」で見直すことをおすすめします。
3-2. 「一般建設業の5,000万円」の判定とは逆なので混同しない
ここは、建設業に長く関わっている方ほど混同しやすいポイントです。手引には、材料の扱いが逆になる別のルールも書かれています。
| 何を判定するか | 材料の扱い | 出典 |
|---|---|---|
| 許可が必要か(軽微な建設工事か) | 注文者・元請業者が支給する材料費も含める | 手引 PDF p.5 |
| 一般建設業の許可で、元請として(発注者から直接請け負った)1件の工事について下請に出せる上限(合計5,000万円未満、建築一式は8,000万円未満・いずれも税込) | 元請負人が提供する材料等の価格は含めない | 手引 PDF p.6 |
つまり、「許可が要るかどうか」を見るときは材料を足し、「一般許可のままで下請に出せるか」を見るときは元請提供材料を引く、という真逆の扱いになります。同じ「材料」という言葉でも、どの判定の話をしているかで結論が反転しますので、社内で共有するときは必ずセットで整理してください。
なお、この5,000万円のルールについては、あわせて次の2点を押さえてください。手引 PDF p.6 は「元請(発注者から直接請け負う)一件の工事について、下請に出す額の総額により必要な許可の種類が異なります」と書いています。
- 対象は、元請として発注者から直接請け負った工事に限られます。下請の立場で請け負った工事を再下請に出す場合は、この制限の対象ではありません。下請中心の事業者が「うちも5,000万円で引っかかるのでは」と心配されることがありますが、まずは自社が元請なのかどうかを確認してください。
- 自社の請負額そのものには制限はありません(手引 PDF p.6)。一般建設業の許可でも、請け負う金額の上限はなく、制限されるのは「下請に出す総額」だけです。
3-3. 支給材料の「額」の見方は個別性が高い
岡山県の手引・審査要領は「材料費も含めて判断する」と定めているものの、支給材料をいくらとして評価するかという具体的な算定方法までは書かれていません。
したがって、ラインの近くにある案件は、契約前の段階で個別に確認するのが安全です。特に、契約書上の請負代金が税込400万円台で、かつ支給材料がある——という組み合わせは、判定が変わり得る典型的な要注意ゾーンだと考えてください。判断に迷う案件は無料相談でお持ちください。契約前に個別にご確認いただければ、必要に応じて岡山県土木部監理課建設業班への照会もご提案しながら、実態に即して整理します。
4. 判定の実務③:契約を分けても合算される——分割の限界
「500万円を超えそうだから、2本の契約に分けて300万円ずつにすればよい」——これは実務でよく聞く発想ですが、契約書の本数を分けることで金額ラインを回避できる、という前提は成り立ちません。建設業法施行令第1条の2第2項は、工事の完成を二以上の契約に分割して請け負った場合の請負代金の額について定めを置いており、岡山県はこれを監督処分の基準に明記しています。
岡山県が公表している「岡山県建設業者等の不正行為等に対する監督処分の基準」は、建設業法第3条第1項および建設業法施行令第1条の2第1項に違反して、無許可で1件あたり500万円以上(建築一式工事は請負代金1,500万円以上、または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事)の工事を請け負った場合について、3日以上の営業停止処分を行うと定めています。そのうえで同基準は、施行令第1条の2第2項を根拠に、同一の無許可業者が1つの工事の完成を二以上の契約に分割して請け負ったときは、各契約の請負代金の額を合計した額をこの判断額として用いるという扱いも明記しています(手引 PDF p.207)。
ポイントは3つです。
- 同一の無許可業者が、1つの工事の完成を2つ以上の契約に分割して請け負った場合は、各契約の請負代金を合計した額で判定される。
- 合計額がラインを超えていれば、無許可受注として監督処分の基準に該当します(同基準は3日以上の営業停止処分と定めています/手引 PDF p.207)。ただし岡山県の運用では、施工金額が税込5,000万円(建築一式工事の場合は1億円)未満の無許可営業については、初回の違反は業務改善報告書を徴取して業務の改善を求めるものとされています。特に悪質であると考えられる違反は、初回から監督処分の対象です(審査要領 PDF p.36)。処分・是正の手続の詳細は、別記事「無許可で500万円以上を受注してしまったら|今すぐ取るべき対処【岡山】」で扱います。
- これは「取り締まる側の基準」として岡山県が公表している文書に書かれている、ということ。つまり分割は発覚したときの処分基準に、あらかじめ織り込まれている手口です。
同じ考え方は、一括下請負(丸投げ)の禁止の説明にも現れています。手引 PDF p.21 は、契約を細かく分ける、他人の名義を用いる——といった形をとっていても、実態として一括下請負に当たるものは一切禁止だとしています。一括下請負の禁止そのものは一式工事と専門工事の違い|一式を取れば全部できる誤解【岡山】で詳しく扱っています。
「契約書上どう見えるか」ではなく「実態がどうか」で判断する——この考え方が、建設業法の運用に一貫して置かれています。本記事の判定でも見るべきは契約書の本数ではなく、ひとつの工事の完成に向けて実際にいくらの請負代金が動いているかです。
4-1. 合算して判定されると考えるべき典型
岡山県の手引・審査要領には、「ここまでは別の工事として扱ってよい」という線引きの基準は示されていません。当事務所は、金額ラインを避けることを目的として契約を分ける、という前提での検討自体をお勧めしていません。
次のような事情がある案件は、契約書が何本に分かれていても、合算して判定されるものとして準備してください。
- ひとつの目的物を完成させるための工事である
- 同時期・連続した工期で施工される
- 当初から総額が決まっており、形式的に分けただけである
- ひとつの発注を、便宜上分けている
そもそも、「分けられるかどうか」を先に考える発想そのものが危険です。分けたい動機が「500万円を超えたくない」であるなら、その時点で実態は1つの工事だと自認していることになります。この判断が必要になる場面に来ているなら、それは許可の取得を検討すべきタイミングだと捉えるほうが、結果的に事業を守れます。判断に迷う案件は、契約を締結する前にご相談ください。
4-2. 追加工事・変更契約で後から超えてしまう場合
当初契約が税込450万円で始まり、施主の希望で追加工事が発生して合計が520万円になった——このケースも、実質的には同じ論点です。ひとつの工事の完成について複数の契約が積み上がった形になるため、上記の合算の考え方が及び得ます。
なお、建設業法第19条は請負契約の当事者に対し、契約の締結に際して所定の事項を書面に記載して相互に交付することを義務づけており、原則として契約書の作成が義務づけられています。契約内容を変更する場合も、変更内容を注文書・請書の双方に明記して署名または記名押印する等の対応が必要とされています(手引 PDF p.183〜184)。「口頭で追加を受けて、金額は最後にまとめて請求」という進め方は、書面の面でも金額判定の面でも、リスクが二重になります。
追加工事が出やすい工種で、当初契約が税込450万円を超えている案件は要注意です。少しの追加でラインを越えます。
5. 判定の実務④:建築一式の「1,500万円未満」と「150㎡未満」の読み方
建築一式工事だけは基準が2本立てになっています。ここは実務での誤解が最も多い論点です。
手引 PDF p.5 の書きぶりは、次のとおりです。
・建築一式工事・・・・・1,500 万円に満たない工事、又は延べ面積が 150 ㎡に満たない木造住宅工事
文言どおりに読めば「又は」ですから、①1,500万円に満たない工事、②延べ面積150㎡に満たない木造住宅工事——このいずれかに当たれば軽微な建設工事、という構造に読めます。
ところが、同じ手引の中でも、この基準の書きぶりは揃っていません。
- 岡山県の監督処分の基準(手引 PDF p.207)は、処分対象となる無許可受注の範囲を「請負代金の額が1,500万円以上又は延べ面積が150平方メートル以上の木造住宅工事」と記載しています。これは「軽微ではない工事」の側を要約して書いたものですが、文言だけをそのまま裏返すと、①の基準を超えた時点で対象になるようにも読めてしまいます。
- 工事経歴書の記載要領(手引 PDF p.51)に至っては、軽微な建設工事を「工事1件の請負代金の額が建築一式工事にあっては税込1,500万円未満の工事、建築一式工事以外の建設工事にあっては税込500万円未満の工事」とだけ再掲しており、150㎡の要件そのものが省略されています。
つまり、同じ手引の中に少なくとも3通りの書きぶりが存在します。要約された記載だけを見ると誤読しやすい領域だ、というのが実態に近い理解です。
そのうえで、延べ面積150㎡未満の木造住宅であっても、請負代金が税込1,500万円以上となる案件については、許可が必要な工事として扱うことも含め、契約前に個別にご確認いただくことをお勧めします。監督処分の基準(手引 PDF p.207)が請負代金1,500万円以上を処分対象として掲げており、書きぶりの幅によって生じるリスクを負うのは、受注した事業者側だからです。
- 150㎡未満の木造住宅で請負代金が1,500万円以上になる案件は、自己判断で「軽微だから許可は不要」と結論づけず、契約前に個別にご確認ください。
- なお、業種の区分に疑義がある場合については、手引 PDF p.162 に、工事台帳・現場写真・施工体制台帳・施工体系図等の資料を示して個別に監理課建設業班へ相談するよう明記された相談ルートが用意されています。そもそもどの業種の工事なのかが決まらなければ、要否も決まりません。
- そもそも、木造住宅の新築を1,500万円以上で継続的に受注できる体制にあるなら、事業の実態としては許可を取得したほうが取引上も安全です。
また、②の基準には「木造住宅」という限定が付いています。木造以外の構造の住宅、住宅以外の用途の建物には②は使えず、①の1,500万円のラインだけで判定することになります。「150㎡未満だから大丈夫」という感覚が通用するのは、あくまで木造の住宅に限られる、と押さえてください。
そして、建築一式工事そのものの範囲にも注意が必要です。手引 PDF p.162 は、次の①②のいずれかに該当するものが建築一式工事と判断されるとしています。
① 建物の躯体(柱、梁など の建物本体の構造を支える部分)に変更を加える場合(耐震補強を含む。)。
②は、500万円以上の(=軽微ではない)専門工事を2つ以上、有機的に組み合わせた1件の建築工事です。手引はその例として、電気工事700万円と内装仕上工事800万円を合わせて総額1,500万円になる1件のリフォーム工事を挙げています(手引 PDF p.162)。この2類型を判定の道具としてどう使うかは、前述の「一式工事と専門工事の違い|一式を取れば全部できる誤解【岡山】」で詳しく扱っています。
「一式」という言葉から連想される「いろいろやる工事」ではありません。個別の専門工事として施工が可能な工事は、一式工事ではなく各専門工事に該当します(手引 PDF p.162)。「うちは建築一式だから1,500万円まで大丈夫」という誤解のまま専門工事を500万円以上で請けている、というのが典型的な事故パターンです。
6. 判定の実務⑤:複数業種が混ざる工事・そもそも建設工事ではない仕事
6-1. 附帯工事は「主たる工事」の部分で判断される
ひとつの現場で複数の工種が動く場合、金額をどう見るかが問題になります。手引 PDF p.162 は、主たる工事として請け負った専門工事のなかに附帯的に発生する他の専門工事(附帯工事)が含まれていても、判断の対象になるのは主たる工事の部分であって、それをもって一式工事と認められることはない、としています。この附帯工事の考え方はリフォーム工事に必要な建設業許可はどの業種かが章を割いて扱っています。
これは一式工事に当たるかどうかの説明ですが、「主たる工事の部分で判断する」という考え方が示されている点が重要です。主たる工事が何かを特定し、その業種の許可の要否を見る、という順序になります。附帯工事の範囲や、附帯工事として施工できる限度については本記事では扱いませんので、個別の案件でご相談ください。
6-2. 一式の許可を持っていても、専門工事は別
これも手引 PDF p.162 に明記されています。土木一式工事(土木工事業)の許可を持っていても、土木系の専門工事を500万円以上で施工するには、その専門工事の許可が別に要ります。建築一式工事(建築工事業)と建築系の専門工事についても、まったく同じ扱いです(手引 PDF p.162)。一式と専門工事の関係そのものは、前述の「一式工事と専門工事の違い|一式を取れば全部できる誤解【岡山】」が核心に据えて解説しています。
一式の許可は「上位互換」ではありません。専門工事を500万円以上(税込)で請け負うなら、その業種の許可が要ります。業種追加が必要になるケースの多くはここから発生します。
6-3. そもそも「建設工事」ではない仕事は、金額がいくらでも許可の対象外
見落とされがちですが、そもそも建設工事に当たらない業務は、500万円を超えても建設業許可の対象ではありません。手引 PDF p.162 は、次に例示するようなものは「建設工事」には該当せず「兼業事業」に当たる、としています。
○草刈り、雑木伐採 ○樹木のせん定、庭木管理 ○緑地・公園の管理
○機械・設備等の保守・点検、部品(電球、パッキン等の消耗品)の交換等
○溝掃除(水路の堆積物の除却等) ○除雪
○測量・コンサルタント業務 ○試掘
○土砂の撤去 ○土砂の仮置き(土のう製作・設置を含む)
○産業廃棄物の運搬処分 ○浄化槽清掃 ○工事現場の清掃 ○路面清掃
○不動産販売(土地・建売住宅の販売) ○委託管理業務 ○建設資材の販売・賃貸等
○船舶、自動車、建設機械等に係る作業 ○道路パトロール ○警備
このリストは、判定の場面では二方向に効きます。
- 許可の要否:たとえば除雪業務や草刈り業務を1件600万円で受注しても、それ自体は建設工事ではないため、建設業許可の対象にはなりません。
- 許可取得後の実績計上:手引は同じ箇所で、これらを「誤って完成工事高に含めて計上した場合は、事業年度終了報告書の訂正及び経営分析のやり直しが必要になります」と注意しており、さらに経営事項審査の虚偽申請となる場合には監督処分の対象になるとも明記しています(手引 PDF p.162)。
つまり、許可を取る前は「この売上は建設工事ではないから許可の要否には関係しない」、許可を取った後は「この売上を完成工事高に混ぜてはいけない」という、同じ線引きが両側で効くわけです。将来的に経営事項審査(経審)まで進む予定があるなら、今のうちから、建設工事の売上と兼業事業の売上を区分して把握できるようにしておくと、事業年度終了報告や経営事項審査で完成工事高を整理する際の手戻りを防げます(会計処理の方法そのものは顧問税理士にご確認ください/→経審申請を岡山で依頼するなら)。
7. 判定フローと自己診断チェックリスト
7-1. 判定フロー
案件ごとに、上から順に確認してください。
- そもそも建設工事か?(6-3の兼業事業リストに当たるものは、金額にかかわらず建設業許可の対象外)
→ 建設工事でなければ、この案件について許可の要否を考える必要はありません。 - 主たる工事はどの業種か?(一式工事か、専門工事か。一式の許可があっても専門工事は別/手引 PDF p.162)
- 請負代金を税込に直す。(手引 PDF p.5)
- 注文者・元請から支給される材料があれば、その分を足す。(手引 PDF p.5)
- 同じ工事について他に契約がないか確認し、あれば合計する。(手引 PDF p.207)
- 合計額をラインに当てる。
- 建築一式工事:1,500万円以上か(150㎡未満の木造住宅であっても、税込1,500万円以上となる案件は許可が必要な工事として扱うことも含め、契約前に個別にご確認ください/§5参照)
- それ以外の業種:500万円以上か
- ラインに達していれば、その業種の建設業許可が必要です。
7-2. 自己診断チェックリスト(1つでも当てはまれば要確認)
- 税抜金額に消費税を加えると税込500万円に達する見積り(おおむね税抜450万円台以上)を出したことがある
- 元請や施主から材料の支給を受けている案件がある
- 同じ現場について、契約を2本以上に分けて締結したことがある
- 当初契約のあとに追加工事が出て、合計が500万円を超えたことがある
- 「500万円を超えないように」金額を調整した見積りを作ったことがある
- 一式工事の許可はあるが、専門工事を500万円以上で請けたことがある
- 木造住宅で、延べ面積150㎡未満・請負代金1,500万円以上の案件がある
- 取引先から「許可はお持ちですか」と確認されたことがある
- 公共工事の入札に将来参加したいと考えている
チェックが付いた項目があれば、過去の案件の棚卸しをおすすめします。すでにラインを超えた受注をしてしまっている場合の対処は、無許可で500万円以上を受注してしまったら|今すぐ取るべき対処【岡山】で扱います。
当事務所では、社内の運用基準として、税込450万円を超える見込みのある案件は、全件、契約前にご確認いただくことをお勧めしています。税込500万円のラインは、税抜の見積りに消費税を加える・支給材料を足す・追加工事が発生する・関連する契約が合算される——といった要素のいずれかが乗るだけで、思いのほか早く届くためです。「500万円までまだ余裕がある」という感覚のまま進めるのではなく、450万円を超えそうな時点で一度立ち止まる運用が、結果的に事業を守ります。
8. 「軽微な工事しかしない」でも許可が必要になる場面
金額のラインを下回っていても、事業を続けるうえで許可が必要になる場面があります。ここは受注機会の問題であり、法律上の要否とは別の軸です。
8-1. 元請・取引先から許可を求められる
もっとも多いのがこれです。工事金額にかかわらず、元請の社内基準として「建設業許可のある業者にしか発注しない」という運用は珍しくありません。ゼネコンの協力会社登録や取引口座の開設で許可の有無を条件にされるケースも同様です。
8-2. 公共工事に参加したい
手引には明確に書かれています。公共工事の入札に参加するには、まず建設業の許可を受けた業者であることが前提で、そのうえで経営事項審査を受け、さらに公共事業を発注する自治体の入札参加資格を得ておく必要があります(手引 PDF p.24)。
入口が「許可を受けた業者」である点がポイントです。金額が小さい工事しか請けていなくても、公共工事に入るつもりなら許可は出発点になります。手順の全体像は公共工事に入りたい|建設業許可が入札参加への第一歩【岡山】で解説します。
8-3. 業種によっては、建設業許可とは別の登録等が関わる
金額の大小にかかわらず、業種ごとに建設業法以外の法令に基づく登録・届出等が関わる場合があります。代表的なのが解体工事業と電気工事業です。
たとえば解体工事を請け負う場合、建設業許可がなくても別途の登録が必要になることがあり、無登録での営業は罰則の対象となり得ます。「金額が小さいから何も要らない」とは限りません。軽微な建設工事しか請けていない事業者ほど、この点の確認が抜けやすいところです。
※ これらは岡山県「建設業許可の手引」「審査要領」の記載範囲外の制度です。詳細と最新の運用は各業種の記事および所管窓口でご確認ください。
8-4. 許可がないのに「許可があるように見せる」ことはできない
軽微な建設工事だけを請け負っている事業者が見落としがちなのが、表示の規制です。手引 PDF p.194 は、建設業法第40条の2の規定により、許可を受けていない者が許可を受けていると誤認されるおそれのある表示をしてはならないとして、次の3つを挙げています。
① 建設業の許可を全く受けていない者が、一般建設業又は特定建設業の許可を受けているように表示すること
② 一般建設業の許可のみを受けている者が、特定建設業の許可を受けているように表示すること
③ 一般又は特定建設業の許可を受けている者が、その許可建設業以外の業種の建設業について許可を受けているように表示すること
逆に、許可を受けた建設業者には標識(許可票)の掲示義務があり、店舗および建設工事の現場(元請工事のみ)ごとに、公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません(手引 PDF p.21、p.194)。ホームページや名刺、看板の表現は、許可の有無・種類・業種と一致している必要があります。「まだ許可はないが、営業上そう見えたほうが有利だから」という理由での表示は、規制の対象です。
8-5. 過去の無許可受注は、書類の側から表に出る
判定を先送りにしないほうがよい理由が、岡山県の運用にもうひとつあります。許可を取得した後、毎年の事業年度終了報告や業種追加・更新の申請では工事経歴書を提出しますが、岡山県の審査要領は、そこに記載された工事についてその業種の許可を有していないのに許可が必要な軽微でない工事を受注していた場合には、業務改善報告書を徴した上で申請等を受け付けると定めています(審査要領 PDF p.8)。
つまり、過去の無許可受注は「黙っていれば分からない」ものではなく、その後の申請書類の中から見える形で表に出てくる構造になっています。ラインを超えた受注に心当たりがある場合は、申請の前段階で状況を整理しておくことが重要です。
是正の手順・監督処分の基準・業務改善報告書の具体的な運用については、別記事「無許可で500万円以上を受注してしまったら|今すぐ取るべき対処【岡山】」で詳しく扱います。本記事はあくまで判定の正典として、金額ラインの当てはめに絞ります。
9. 混同注意:財産的要件の500万円とはまったくの別物
本記事で扱ってきた500万円は「請負金額」の線引きです。建設業の世界にはもうひとつ有名な500万円があります——許可要件としての財産的基礎の500万円です。この2つはまったくの別物ですが、金額が同じであるために非常に混同されやすく、相談の場でもよく整理が必要になります。
| 軽微な建設工事の500万円(本記事) | 財産的要件の500万円 | |
|---|---|---|
| 何の金額か | 1件の工事の請負代金(税込) | 会社(事業)の財産の状況(自己資本額等) |
| 役割 | 許可が必要かどうかの境界線 | 許可を取るための要件のひとつ |
| 判定の対象 | 案件ごと(工事1件ごと) | 事業者ごと(申請時点の財務) |
| 何を見るか | 契約書・見積書・支給材料・分割契約の有無 | 500万円以上の資金調達能力(預金残高証明等)/自己資本の額が500万円以上あること 等 |
| 出典 | 手引 PDF p.5 | 手引 PDF p.9〜10 |
| 詳しい解説 | 本記事 | 建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備【岡山】 |
言い換えると、こうです。
- 請負金額の500万円は「この工事を受けるのに許可は要るか」の話。
- 財産的要件の500万円は「そもそも許可を取れるか」の話。
「500万円未満の工事しかしていないのに、500万円の残高証明が要ると言われた」という相談は、この2つが同じ500万円だと思い込んでいることから生まれます。財産的要件については、残高証明の証明日の考え方や複数金融機関の合算など固有の実務がありますので、建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備【岡山】をご覧ください(複数の金融機関の残高証明書を合算する場合の扱いは審査要領 PDF p.28 にも定めがあります)。
10. 岡山県で許可を取ると決めたときの入口
判定の結果「自社は既にラインを超えている」「近いうちに超える」と分かった場合、次の一手は3つに整理できます。
- 自社が許可を取れる状態か確認する → 建設業許可の6つの要件(取れるか診断)
- 必要な書類を把握する → 建設業許可の必要書類一覧|新規・一般
- 過去にラインを超えた受注がある場合の整理をする → 別記事「無許可で500万円以上を受注してしまったら|今すぐ取るべき対処【岡山】」
この段階で、岡山県の運用として押さえておいていただきたい前提がひとつあります。岡山県では、建設業許可の申請書・変更届の受付は出先機関ではなく本庁の土木部監理課建設業班で行われており(手引 PDF p.168)、その提出窓口では事前審査は一切行われません(手引 PDF p.16)。書類を完全に整えたうえで提出することが求められ、窓口で相談しながら書類を仕上げていくという進め方はできません。
これは、判定の段階にとって無視できない意味を持ちます。「この工事は軽微に当たるか」を県の窓口で気軽に確認しながら進める、という運用にはなっていないということです。要否の見極めは、申請の前——できれば契約の前——に済ませておく必要があります。判定の段階から専門家に確認しておく価値は、この一点に集約されます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 建設業許可がなくても請け負えるのは「軽微な建設工事」——建築一式工事は1,500万円に満たない工事または延べ面積150㎡に満たない木造住宅工事、それ以外の業種は500万円に満たない工事(手引 PDF p.5)。「未満」なので、税込500万円ちょうどは許可が必要です。
- 判定は必ず税込の総額で行います。税抜金額を基準に「500万円未満に収める」という発想は採らないでください。税抜金額に消費税を加えると、想定より早く税込500万円に達します。
- 注文者・元請が支給する材料費も含めて判断します。手間だけの契約でも、材料込みで見ると超えているケースがあります。なお、元請として直接請け負った1件の工事について一般建設業の許可で下請に出せる上限(合計5,000万円未満)を見るときは、元請提供材料を含めません——扱いが逆なので混同に注意(自社の請負額そのものに制限はありません/手引 PDF p.6)。
- 契約を分けても合算されます。岡山県の監督処分の基準は、同一の無許可業者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負った場合、各契約の合計額で判断すると明記しています(手引 PDF p.207)。追加工事・変更契約で後から超えるパターンも同じ論点です。
- 建築一式の基準は、同じ手引の中でも書きぶりが揃っていません(p.5 は「又は」、p.207 は非軽微側の要約、p.51 は150㎡要件を省略)。150㎡未満の木造住宅であっても請負代金が税込1,500万円以上になる案件は、許可が必要な工事として扱うことも含め、契約前に個別にご確認ください。この形の案件は自己判断で結論を出さないでください。
- 一式の許可は上位互換ではありません。専門工事を500万円以上で請けるならその業種の許可が要ります。逆に、草刈り・除雪・測量・産廃運搬・保守点検などは建設工事ではないため、金額にかかわらず許可の対象外です(手引 PDF p.162)。
- 建設業法の「金額」は1種類ではありません。許可の要否(税込500万円・材料を足す)/一般許可の下請発注上限(5,000万円・材料を引く)/現場技術者の専任(4,500万円)/財産的基礎(500万円)——判定の単位も材料の扱いも別物です(§1-1の混同マップ)。
- 金額を下回っていても、元請の要求・公共工事への参加を考えるなら許可が前提になります。また、過去の無許可受注は工事経歴書から表に出ます(審査要領 PDF p.8)。
- 財産的要件の500万円(自己資本・残高証明)とはまったくの別物です。混同したまま準備を進めないでください。
判定に迷う案件がひとつでもあるなら、それは「たまたま今回だけ」ではなく、同じ判定を毎回しているということです。棚卸しは早いほど選択肢が残ります。
「この工事は500万円未満か」——判定だけのご相談も歓迎です
「支給材料込みだとどうなるか」「過去の受注は大丈夫か」——岡山県の建設業に特化した行政書士が個別に確認します。無料相談は30秒入力のフォームから。LINEでのご質問は、見積書の金額をお手元にご用意のうえどうぞ。お電話は070-8567-3197。
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