

岡山市内に営業所を置く建設業者が取得するのは、「岡山県知事許可」です。「岡山市長の建設業許可」というものは存在しません。 岡山市は政令指定都市ですが、建設業許可の区分は「同一の都道府県内にのみ営業所を設ける=都道府県知事許可」「複数の都道府県に営業所を設ける=国土交通大臣許可」の2つだけで、市町村単位の許可という制度そのものがないためです(岡山県「建設業許可の手引」PDF p.6)。
そして岡山市の事業者にとって実務上いちばん重要なのは、次の2点です。
- 申請書の提出先は、岡山市北区内山下2-4-6 の県庁6階「岡山県土木部監理課建設業班」。県内どこの事業者でもここに一元されており、県民局では受け付けていません(手引 PDF p.16・p.168)。
- ただし、申請受付後の「営業所調査」を担当するのは所轄の県民局であり(手引 PDF p.17)、岡山市(北区・中区・東区・南区の全4区)を担当区域とするのは「備前県民局 建設部 管理課」です(手引 PDF p.168)。
つまり岡山市の事業者は、「書類を出す先は市内の県庁、事務所を見に来るのは備前県民局」という二段構えになります。本記事では、この動線と、岡山市に多い自宅兼事務所・賃貸オフィスでつまずきやすい営業所の要件を中心に解説します。
※ 本記事は記事作成時点の岡山県の運用(令和7年9月1日改訂の手引・審査要領)に基づく一般的な解説です。許可の可否や要件の充足は、事務所の形態・経歴・書類の揃い方など個別の実態によって判断が分かれます。金額・期間はいずれも目安であり、制度改正や運用変更で変わることがあります。最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
1. 岡山市の建設業者が取るのは「岡山県知事許可」——市長許可は存在しない
「岡山市で仕事をしているから、岡山市に許可をもらうのですか」——よくいただくご質問ですが、そうではありません。建設業許可の区分は、手引 PDF p.6 に次のとおり定められています。
| 許可の区分 | 対象 |
|---|---|
| 都道府県知事許可 | 同一の都道府県内にのみ営業所を設けて建設業を営む場合 |
| 国土交通大臣許可 | 複数の都道府県に営業所を設けて建設業を営む場合 |
手引は続けて、「したがって、岡山県内のみに営業所を設ける場合には岡山県知事許可となり、岡山県内に主たる営業所を置き、他の都道府県にも営業所を置く場合には国土交通大臣許可となります」と明記しています(PDF p.6。大臣許可の場合は許可申請書等を直接、中国地方整備局に提出)。つまり判断の基準は「営業所がどの都道府県にあるか」だけであり、工事をする場所とは関係ありません。
1-1. 「どこで工事をするか」は許可の区分に影響しない
ここが実務でもっとも誤解される点です。岡山市に営業所があり岡山県知事許可を持っている事業者が、広島県や香川県の現場で工事をすることは差し支えありません。逆に、岡山市内の工事しか受けていなくても、たとえば広島市にも営業所を構えているのであれば大臣許可の対象になります。「営業所の所在地」で決まり、「施工場所」では決まらない——この原則を押さえておいてください。
1-2. 政令指定都市でも建設業許可の窓口は市に下りていない
岡山市は政令指定都市であり、都市計画や一部の建築行政では市が独自の権限を持っています。そのため「建設業許可も市の窓口だろう」と考えてしまうケースがあるのですが、建設業許可については岡山市に事務が下りていません。
これは手引 PDF p.168 の「岡山県の事務所と市町村コード」の表からも読み取れます。この表では岡山市北区(コード101)・中区(102)・東区(103)・南区(104)の4区がすべて「備前県民局 建設部 管理課」の担当区域として整理されており、岡山市が独立した許可行政庁として登場することはありません。
1-3. そもそも許可が必要かどうかの線引き
なお、建設業許可がなくても請け負える「軽微な建設工事」の範囲は、手引 PDF p.5 に次のとおり定められています。
| 工事の種類 | 許可がなくても請け負える範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が税込1,500万円に満たない工事、又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事 |
| その他の工事(建築一式工事以外) | 1件の請負代金が税込500万円に満たない工事 |
裏返すと、建築一式工事以外は、1件の請負代金が税込500万円以上になる工事を請け負う場合に許可が必要です。建築一式工事については、上表のいずれかに当たれば軽微な建設工事として許可は不要で、そのいずれにも当たらない場合にはじめて許可が必要になります(「延べ面積150㎡以上の木造住宅工事だから許可が要る」という理解は誤りで、請負代金が税込1,500万円に満たなければ軽微な建設工事です)。金額はいずれも税込で、注文者や元請業者が材料を支給する場合は材料費も含めて判断します(手引 PDF p.5)。
この線引きの判定は、税込か税抜か、支給材料をどう扱うか、契約を分割した場合はどうなるかなど実務上の論点が多いため、軽微な工事(500万円未満)の判定で詳しく扱っています。また、許可を取るための要件(経営業務の管理責任者・営業所技術者(旧:専任技術者)・財産的基礎など)の全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断をご覧ください。本記事では、岡山市の事業者に固有の手続きの動線に絞って進めます。
2. 提出先は岡山市内の県庁6階|本庁一元と「事前審査は一切なし」の意味
2-1. 提出先(郵送の送付先も同じ)
手引 PDF p.16 が定める許可申請書の提出先は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階) |
| 所在地 | 〒700-8570 岡山市北区内山下2-4-6 |
| 直通電話 | 086-226-7463 |
| 窓口受付時間 | 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く) |
| 郵送 | 郵送による提出も受付(送付先は同じ) |
提出先が岡山市内にあることは、受付後に書類の訂正等の連絡があった場合の対応が速いという実務上の利点があります。 県庁は岡山市北区内山下、市の中心部です。ただし後述のとおり岡山県は事前審査を一切行わない運用のため、やり取りの回数を減らせるかどうかは県庁までの距離ではなく、持ち込む前に書類が完成しているかで決まります。距離の近さは、書類の完成度を代替するものではありません。
2-2. 県民局では受け付けていない(本庁一元)
ここが本記事でもっとも強調したい訂正点です。手引 PDF p.168 には、次のようにはっきり書かれています。
岡山県では、所在地に応じて3つの県民局建設部ごとに担当区域を設けており、建設業に関わる事務の一部を行っています。なお、建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています。(手引 PDF p.168)
「岡山市だから備前県民局に申請する」という理解は誤りです。県民局が担うのは後述する営業所調査などの「事務の一部」であって、申請書・変更届の受付は本庁に一元されています。なお、変更届出書・廃業届の提出場所も許可申請と同じです(手引 PDF p.22〜23)。許可を取った後の届出も、引き続き県庁の監理課建設業班が窓口になります。
2-3. 「事前審査は一切行いません」——相談しながら仕上げることはできない
岡山県の運用でとくに注意が必要なのが、手引 PDF p.16 の次の一文です。
事前審査は一切行いません。 正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。(手引 PDF p.16)
つまり、「とりあえず持って行って、窓口で教えてもらいながら直す」という進め方ができない運用です。県庁が近い岡山市の事業者ほど「近いから何度でも行けばいい」と考えがちですが、岡山県の運用はそれを想定していません。
2-4. 窓口閉鎖の時刻で審査は打ち切られる
さらに手引 PDF p.16 は、審査時間についても踏み込んで書いています。
11時30分から13時00分まで及び16時30分から翌開庁日の9時00分までの間は窓口を閉じるとともに、審査を休止します。 特に、新規、更新、追加、般特新規申請の場合、更に十分な時間的余裕を持ってお越しください。原則として、審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了します。(手引 PDF p.16)
新規申請の書類一式は、窓口での書面審査にそれなりの時間がかかります。 審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻で打ち切られるため、提出のタイミングによっては、その日のうちに受付まで進まず日を改めることになります。県庁が市内にあることは、この点を自動的に解決してくれるわけではありません。
当事務所が代理申請でお引き受けする場合は、審査に要する時間を見込んだ時間帯に提出し、受付まで完了させたうえでご報告しています。行政書士が代理申請を正式に行った場合には、県から申請書類等を代理人宛てに発送を受けることもできます(手引 PDF p.19)。
2-5. 岡山市の事業者でも郵送を選べる
持参が前提というわけではありません。手引 PDF p.16 は「時間的な余裕がある申請等については郵送による提出も受け付けています」としており、窓口へのご持参のほか、郵送でも提出できます(郵送の送付先も県庁6階の監理課建設業班で、持参の場合と同じです)。なお、法人成りや事業譲渡(事業承継等の認可申請)が絡む場合は手続きの取り扱いが変わることがありますので、あらかじめ方式の確認が必要です(法人成りで建設業許可は引き継げる?)。
2-6. 提出部数は「計6部」だが、証明書を6通取る必要はない
申請書は黒ひも等でつづり、閲覧用3部(正1・副2)+非閲覧用3部(正1・副2)=計6部を提出します(手引 PDF p.15)。6部と聞くと添付する証明書も6通ずつ必要に思えますが、そうではありません。登記事項証明書・身分証明書・残高証明書等は正本に原本、副本にコピーで足り、納税証明書は原本の提出すら不要とされています(手引 PDF p.15)。ここを誤解すると証明書の取得実費が何倍にも膨らみます。必要書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般にまとめています。
3. 岡山市を担当するのは備前県民局——ただし担うのは「営業所調査」
3-1. 備前県民局の担当区域
手引 PDF p.168 の表により、3つの県民局の担当区域は次のとおり確定しています。岡山市は全4区が備前県民局の担当です。
| 県民局 | 担当区域(市町村・コード) |
|---|---|
| 備前県民局 建設部 管理課 | 岡山市北区(101)/岡山市中区(102)/岡山市東区(103)/岡山市南区(104)/玉野市(204)/備前市(211)/瀬戸内市(212)/赤磐市(213)/和気町(346)/吉備中央町(681) |
| 備中県民局 建設部 管理課 | 倉敷市・笠岡市・井原市・総社市・高梁市・新見市・浅口市 ほか(県南西部) |
| 美作県民局 建設部 管理課 | 津山市・真庭市・美作市 ほか(県北) |
出典:手引 PDF p.168
北区も南区も、区によって担当が分かれることはありません。 岡山市内に営業所があれば、どの区でも備前県民局が所轄となります。
なお、営業所が倉敷市にある場合は所轄が備中県民局に変わり、水島のプラント構内工事では業種の選び方が最大の分岐になります。倉敷市の事業者の方は倉敷市で建設業許可を取るには|水島のプラント下請で許可を求められた時の手順をご覧ください。
3-2. 県民局が担うのは「事務の一部」——申請の窓口ではない
繰り返しになりますが、備前県民局は申請の窓口ではありません。県民局が建設業許可に関して担う役割のうち、新規申請で避けて通れないのが営業所調査です。手引 PDF p.16 は、申請受付後、許可要件の確認のため県民局による営業所調査があり、それとは別に本庁の土木部監理課でも所要の調査を行い、全ての許可要件を充足していると認められると許可される、と説明しています。つまり調査は「県民局の営業所調査」と「本庁の調査」の二本立てです。
営業所調査については、許可申請受付後、半月程度で所轄の県民局から実施の連絡が行われます(手引 PDF p.17)。岡山市の事業者であれば、備前県民局建設部管理課から連絡が入ることになります。
⚠️ なお、備前県民局の住所・電話番号・受付時間は、手引・審査要領のいずれにも記載がありません(記載があるのは名称と担当区域のみ)。本記事では推測で連絡先を書くことはしません。連絡は県民局側から入りますので待つ形で差し支えありませんが、こちらから問い合わせる必要がある場合は岡山県のホームページで最新の連絡先をご確認ください。
3-3. 営業所調査が早く終わっても、許可は早くならない
期待を持ちやすい点なので、先に釘を刺しておきます。手引 PDF p.16 は「営業所調査が終わったからといって本庁における調査が終わっているとは限りませんので、仮に営業所調査が申請受付後から間もなく実施されたとしても、許可が早く取得できるということはありません」と明記しています。営業所調査は「通過点」であって「ゴール直前」ではありません。調査が済んだ翌週に許可が下りるといった見込みでスケジュールを組むと、元請への回答がずれます。
3-4. 変更届でも営業所調査が必要になることがある
営業所調査は新規申請だけの話ではありません。手引 PDF p.26 は、変更届の場合について「営業所調査が必要な変更事項があれば、6部とも預かり、調査完了後に副本2部を返却しますが、営業所調査が不要な変更事項であれば……」と記載しています。営業所の移転など、調査を要する変更では副本の返却時期が変わるという運用です。
岡山市内で事務所を移転した場合はこれに該当し得ます。移転のタイミングと届出の段取りは、あらかじめ設計しておくほうが安全です。
4. 営業所調査で実際に見られるもの(岡山市の事務所事情に即して)
ここからが、岡山市の事業者にとって本記事のいちばん実利のある部分です。手引 PDF p.17 は、新規申請の場合の調査確認事項・提出書類等を列挙したうえで、冒頭に極めて重い一文を置いています。
※いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません。(手引 PDF p.17)
要件を満たしていても、現地で確認できなければ許可されないということです。
4-1. 営業所の所在確認のために必要なもの
手引 PDF p.17 が挙げているのは次のものです。
看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)等。営業所は居住部分と共用することはできません。
賃貸借契約を締結している場合には、契約書上で営業活動に利用することが認められていることが必要です(営業所変更の場合も確認は必要となります。)。(手引 PDF p.17)
岡山市の事業者に効いてくるのは「看板」と「賃貸借契約書」の2点です。 市街地の賃貸オフィスやテナントビルでは、ビル入口に社名プレートはあっても自社区画に「容易に確認できる」看板が出ていないことがあり、自宅を営業所にしている場合は表札しかないというケースも珍しくありません。賃貸借契約書はさらに見落とされがちで、「借りている」ことが確認できればよいのではなく、「契約書上で営業活動に利用することが認められている」ことが必要とされています。居住用として結んだ契約書には事業用途を認める条項がないどころか、住居専用と明記されていることがあります。
この2つは、いずれも「思い立ってすぐ」には整わないものです。 看板は作成に日数がかかり、賃貸借契約の用途は貸主との交渉が必要になります。申請を決めた段階で最初に着手すべきなのが、実はこの2点です。
4-2. 所在確認以外に確認されるのは「原本」——書類の中身は各記事へ
営業所調査で確認されるのは、営業所の所在だけではありません。手引 PDF p.17〜18 は、あわせて次の4点について原本の提示を求めるとしています。
| 調査当日に確認されること | 求められるものの性質 | 詳しい解説 |
|---|---|---|
| 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の経験 | 経営を管理した5年以上の期間すべてについて、登記事項証明書・社会保険関係書類・確定申告書の控え等に加え、請負工事実績(工事請負契約書の原本、又は注文書の原本+請書の写し) | 経営業務の管理責任者とは |
| 営業所技術者の資格又は実務経験 | 資格なら免状・合格証明書等の原本。実務経験なら様式第9号に記入した工事1件ごとの契約書原本等 | 実務経験10年証明 |
| 経営業務の管理責任者(経管)・営業所技術者の現在の常勤性 | 社会保険・雇用保険の通知書等の原本(個人事業主本人が経管又は営業所技術者となる場合は不要) | 建設業許可の6つの要件 |
| 財務内容 | 確定申告書の控え(税務署収受印のある原本等)・決算書原本 | 財産的要件(500万円) |
共通しているのは「原本」であることです。実務上の山場は請負工事実績で、5年(営業所技術者を実務経験で証明する場合は最長10年)の期間について、契約書や注文書+請書の原本が手元に残っているかが分かれ目になります。書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧にまとめています。
なお、後期高齢者で社会保険の加入義務がない方や、建設国保(岡山県建設国民健康保険組合等)の組合員の方については、社会保険に代わる書類の組合せが手引に定められています(手引 PDF p.17〜18)。「健康保険証が組合のものだから常勤性を証明できない」ということはありませんが、必要な組合せは加入している組合・従業員数によって異なりますので、ご相談時に整理します。
さらに手引 PDF p.19 は「その他確認すべき事項のために必要と認めた書類(個別に指示します。)」としています。列挙されたものだけで終わるとは限らないという点は、心づもりとして持っておいてください。
⚠️ なお、営業所調査の訪問形態(来所か臨場か)・所要時間・立会者・写真撮影の有無については、手引にも審査要領にも記載がありません。 本記事では推測を書きません。実施の連絡があった際に、担当者の指示に従ってください(手引 PDF p.17 は「調査においては、許可要件確認のため必要な書類の提出等を求めますので、担当者の指示に従ってください」としています)。
5. 自宅兼事務所・賃貸マンションの落とし穴(審査要領が定める営業所の実体要件)
岡山市には、自宅の一室を事務所にしている一人親方・小規模事業者、市街地の賃貸マンションやテナントビルの一室を事務所にしている法人が数多くあります。この形態でつまずくポイントが、岡山県の「審査要領」に具体的に書かれています。 手引だけを読んでいると見落とす部分なので、章を分けて扱います。
5-1. 大前提:「通常は居住の用に供しているもの」は営業所とみなされない
まず手引 PDF p.6 の営業所の定義です。
営業所とは 本社、本店、支店等名称のいかんを問わず、建設業を営むための常設の事務所をいい、看板の表示等、外観上営業所としての形態を備えていることはもちろんのこと、見積り・契約等の実態的な業務を常時行っている場所を指します。したがって、現場作業所や連絡事務所、通常は居住の用に供しているものなどは、営業所とはみなされません。
ただし、少額の工事についての営業しか行わない事務所も営業所には含まれます。(手引 PDF p.6)
ポイントは3つです。①外観上の形態(看板)、②見積り・契約等の実態的な業務を常時行っていること、③現場事務所や連絡事務所、居住用の場所は営業所ではないこと。
5-2. 審査要領が定める「実体的な要件」——すべて具備が必要
岡山県の審査要領は、営業所として実体があると認められるための要件をア〜オの5項目で定め、「次の要件を全て具備することが必要である(テレワークで無人の状態が多い営業所であっても同様とする。)」としています(審査要領 PDF p.4〜5)。
ア 常時契約行為を締結するために必要な営業所としての建物が存すること
ここに3つの注記が付いています。
| 注記 | 内容(審査要領 PDF p.4) |
|---|---|
| 注1)公営住宅 | 公営住宅は営業所として認めない。 公営住宅法第27条第3項及び岡山県営住宅条例第27条等の規定により、住宅以外の用途に使用することができないため |
| 注2)マンションなど | 民間の賃貸マンション等については、契約書又は賃貸人の同意書等により、同所で営業を行うことを認めていることが確認できること。許可後は、公衆の見やすい場所に建設業の許可票を掲示することができること |
| 注3)他法令の許認可 | 建築確認申請や農地転用申請等、他法令に基づく許認可手続きが完了しているかは建設業許可の審査の前提とはしない。ただし許可後に営業所建物が他法令に違反する建築物であり、監督行政庁から行政処分を受けた場合等には、許可を取消しすることがある |
注1は決定的です。公営住宅を営業所にすることはできません。 書類の工夫でどうにかなる話ではないため、該当する場合は営業所とする場所そのものを検討し直す必要があります。
注2も岡山市の事業者に直結します。 賃貸マンションを事務所にしている場合、契約書または賃貸人の同意書等で営業を行うことが認められていると確認できなければなりません。契約書に用途の定めがない、あるいは住居専用となっている場合は、貸主から同意書をもらうという対応が必要になり、貸主の意向次第では時間がかかります。あわせて注2は、許可後に建設業の許可票を「公衆の見やすい場所」に掲示できることまで求めており、分譲マンションの管理規約や賃貸物件のルールで掲示物が制限される場合はこの点が問題になり得ます(標識の掲示は、店舗及び建設工事の現場〈元請工事のみ〉ごとに必要な義務。様式は手引 PDF p.194〜197〈冊子 p.190〜193〉に掲載され、色及び材質に規定はなく各自で作成・手引 PDF p.21)。
イ 同一の営業所において複数の建設業者が存在しないこと
ただし、例外として、一つの建物の内部が壁により別室として完全に仕切られており、人的にも設備的にも別の事業者であることが明確になっていると認められる場合は、同一の建物内でも差し支えない。(審査要領 PDF p.4〜5)
親族で別会社を営んでいる、知人の会社と同じフロアを使っている——といったケースは岡山市内でもよくあります。同居それ自体が直ちに不可なのではなく、「壁により別室として完全に仕切られている」ことと「人的にも設備的にも別事業者であることが明確」であることの両方が求められる、という整理です。パーティションで区切っただけ、電話やFAXを共用している、といった状態は要件を満たしません。なお審査要領は続けて、法人の役員が2社以上の代表者を兼務することはできるが、1社で常勤の役員となっていれば、その他の法人では非常勤の役員でなければならないとしています(同 PDF p.5)。
ウ 住居と兼ねる場合は、居住用スペースと営業用スペースが明確に区分されていること
自宅兼事務所でもっとも重要な規定です。
住居と建設業の営業所を兼ねている場合は、居住用のスペースと建設業の営業に使用するスペースが明確に区分されていること(出入口についても別であることが望ましい。ただし、居住専用のスペースを通ることなく営業所に行ける場合は、出入口の区分が明確にされていなくても、申請書を受理する。)。(審査要領 PDF p.5)
手引 PDF p.17 の「営業所は居住部分と共用することはできません」と、この審査要領の規定は矛盾ではありません。整理すると次のようになります。
| 状態 | 取り扱い |
|---|---|
| 居住部分と共用している(居間の一角に机を置いている等) | 不可 |
| 居住用スペースと営業用スペースが明確に区分されており、出入口も別 | 望ましい形 |
| 区分されており、出入口は別でないが居住専用スペースを通らずに営業所へ行ける | 申請書を受理すると明記 |
この「居住専用のスペースを通ることなく営業所に行けるか」という基準は、実務上きわめて有用です。 玄関を入ってすぐの部屋を事務所にしていて、居間や寝室を通らずに入れるのであれば、出入口が1つでも受理されると審査要領自身が述べています。逆に、生活空間の奥にある部屋の場合はこの基準を満たしません。
自宅で営業所を構える一人親方の方は一人親方が建設業許可を取るには、個人か法人かで迷っている方は個人事業主の建設業許可もあわせてご覧ください。
エ 必要な程度の什器・備品を備えていること
常時契約を締結する場所であること、建設業法第40条の3で定める帳簿(契約書を含む。)を保存していること及び営業所技術者等が常駐すること等を踏まえ、そのために必要な程度の什器、備品を備えていること。(審査要領 PDF p.5)
手引が挙げる「机」だけでなく、帳簿を保存できること、営業所技術者が常駐することを前提とした備えが求められています。書類を保管する場所がないというのは、要件上の弱点になり得ます。
オ 連絡先とする電話回線——ここが最も引っかかりやすい
審査要領は電話回線について、認めるもの/認めないものを明示的に列挙しています(審査要領 PDF p.5、及び携帯電話については PDF p.3〜4)。
| 可否 | 内容 |
|---|---|
| ✅ 認める | 申請者名義の携帯電話(法人の場合は当該法人名義の契約に限る)を連絡先とすること |
| ✅ 問題ない | 留守番電話。ただし返答の連絡がない場合は、郵送による連絡や立入検査により営業所の実態について確認を行う |
| ⛔ 認めない | 1つの電話回線(FAXを含む)を複数の業者で共有すること(ペーパーカンパニーを排除するため) |
| ⛔ 認めない | 他者名義の電話回線を借用すること |
| ⛔ 認めない | 転送電話(テレワークによる業務に使用する場合を除く) |
| ⛔ 認めない | 電話代行、秘書サービス等の利用 |
実務でとくに多いのが、「共有」と「転送」です。 親族の会社と同じ事務所で1本の電話・FAXを使っているケースは共有に該当し、イ(複数業者の同居)の論点とセットで問題になります。また、事務所に固定電話を引いたうえで携帯へ転送している運用も、テレワークによる業務に使用する場合を除いて認められません。「常に現場に出ているので転送にしている」という状態は、見直しが必要です。
一方で、法人名義の携帯電話は連絡先として認められています。固定電話を新設しなければならないと思い込んでいる方が少なくありませんが、名義さえ法人(個人事業主なら申請者本人)であれば携帯電話で差し支えないというのが岡山県の運用です。
5-3. 登記上の本店と実際の営業所が違う場合
岡山市内でよくあるのが、登記上の本店は自宅(あるいは以前の所在地)のままで、実際の営業は別の事務所で行っているというケースです。審査要領はこう定めています。
本店が建設業について指導監督を行わない場合は、申請書に記載する主たる営業所については、登記上の本店等ではなく、建設工事の請負契約を常時締結する事務所のうち主たる事務所を記載する。(審査要領 PDF p.4)
さらに、申請者欄及び別紙二の主たる営業所欄には、常時建設工事の請負契約を締結する営業所のうち主たる営業所を記載するとしています(審査要領 PDF p.4)。「登記どおりに書けばよい」わけではないという点に注意してください。
5-4. マンション・ビルの部屋番号の書き方
細かいようで窓口で問題になりやすい論点です。審査要領は具体例を挙げています。
例えば、岡山市北区内山下○-○-○旭川ビル305号が建設業法上の営業所の所在地の場合、申請書の「主たる営業所の所在地」(項番11)の記載については、番地までか、○-○-○-305 のいずれかに記載とすること(その他の箇所の所在地の表記については、マンション名及び号室が記載されていても差し支えない。)。(審査要領 PDF p.3〜4)
審査要領がわざわざ岡山市北区内山下の住所を例に使っているとおり、これはまさに市街地のビル・マンションに入居する事業者向けの規定です。項番11の主たる営業所の所在地には、ビル名を書かず「番地まで」か「○-○-○-305」の形式で記載する、という運用になります。
5-5. 岡山市に多い立地パターン別|先に潰しておくべき論点
ここまでの手引・審査要領の規定を、岡山市の事業者に多い3つの立地パターンに当てはめて整理します。どのパターンでも共通して日数がかかるのが「看板」と「賃貸借契約(用途)」の2点です。
| 立地パターン | 先に確認すべき論点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 市街地のテナントビル・賃貸オフィス | ①自社区画に容易に確認できる看板があるか(ビル入口の集合プレートのみでは足りない可能性)/②契約書上で営業活動に利用することが認められているか/③項番11は番地まで又は「○-○-○-305」形式/④同一フロアに別の建設業者がいる場合は壁による完全な仕切りと人的・設備的な分離 | 手引 p.17、審査要領 p.3〜5 |
| マンションの一室 | ①公営住宅は営業所として認められない/②民間賃貸は契約書又は賃貸人の同意書等で承諾を確認/③許可後に許可票を公衆の見やすい場所に掲示できるか(管理規約の確認) | 審査要領 p.4(注1・注2) |
| 自宅兼事務所(戸建て) | ①居住用スペースと営業用スペースが明確に区分されているか/②居住専用のスペースを通ることなく営業所に行けるか/③帳簿を保存できる什器・備品があるか/④電話回線が共有・借用・転送・電話代行になっていないか(法人名義の携帯電話は可) | 手引 p.17、審査要領 p.5(ウ・エ・オ) |
いずれのパターンでも、登記上の本店をそのまま「主たる営業所」として書けるとは限らない点は 5-3 のとおりです。
6. 申請から許可までの流れと期間|岡山市の事業者の逆算スケジュール
6-1. 全体の流れ
ここまでを、岡山市の事業者の動線として時系列に並べます。
| 段階 | 場所・主体 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 準備 | 自社/依頼先 | 要件の確認、証明資料の収集、看板・賃貸借契約(用途)・電話回線の整備 |
| ② 法定手数料の納付 | 収納専用窓口 | POS納付連絡票を印刷し持参して支払い、納付済証を受け取る(手引 PDF p.14) |
| ③ 申請書の提出 | 県庁6階 監理課建設業班(岡山市北区内山下)または郵送 | 計6部。事前審査なし・窓口閉鎖時刻で審査終了(手引 PDF p.15〜16) |
| ④ 受付・書面審査 | 同上 | 不備がなければ受付。受付後にも訂正等の連絡があり得る(手引 PDF p.16) |
| ⑤ 営業所調査 | 備前県民局 建設部 管理課 | 受付後半月程度で実施の連絡(手引 PDF p.17) |
| ⑥ 本庁の調査 | 土木部監理課 | 営業所調査とは別に並行(手引 PDF p.16) |
| ⑦ 許可 | — | 全要件充足で許可。許可通知書及び申請書副本を郵送(手引 PDF p.19) |
⑦について重要な注意があります。 手引 PDF p.19 は「許可されると、許可通知書及び申請書副本を郵送します。再発行はできませんので、大切に保存してください。」としています。
6-2. 期間の目安は「概ね2か月程度」
申請が受け付けられてから許可になるまでは、様々な調査やデータ処理を必要としますので、特に問題がないケースで概ね2か月程度かかります。(手引 PDF p.16)
⚠️ 手引には「標準処理期間◯日」という形での日数規定はなく、上記の実務上の目安として書かれているだけです。本記事でも日数の断定はしません。そしてこの2か月は「受け付けられてから」の期間である点が重要で、書類の準備期間は含まれません。実務上は、証明資料の収集と営業所の整備にかかる期間+2か月程度で考える必要があります。
6-3. 元請から期限を切られている場合の逆算
「今月中に許可を取ってほしい」と元請から言われる、というご相談は珍しくありません。逆算すると、許可(目標日)← 受付から概ね2か月 ← 書類が完全に整っていること(事前審査は一切なし)← 経管・営業所技術者の原本資料の収集(実務経験で証明する場合は長期化しやすい)となり、これと並行して看板の作成・賃貸借契約の用途確認・電話回線の整備(営業所調査で確認される)が必要になります。
つまり「申請してから2か月」ではなく、「準備を始めてから2か月+α」が現実的な見通しです。元請要求への具体的な対応の進め方は元請から建設業許可を求められたら|下請が取る手順で詳しく解説しています。
6-4. 受領票——審査中であることを示す書類
元請に対して「申請中である」ことを示したい場面では、受領票が使えます。手引 PDF p.15 は、新規・更新・追加・般特新規許可申請を行った際に、申請が受付され審査中であることを証明する書類として受領票を挙げています。ただし運用が細かく、申請書にはつづり込まず1枚のみを別途提出し、提出は当日限り(郵送の場合は同封されていることが条件)とされています(手引 PDF p.15)。
受領票は、後から単独で交付を受けることができません。 元請に申請中であることを示す必要が生じそうな場合は、申請時にあわせて提出しておく必要があります。ご依頼の際に「元請に申請中であることを示したい」とお伝えいただければ、受領票の提出まで含めて手配します。
7. 費用の目安|法定手数料・実費・報酬の3層
費用は、①岡山県に納める法定手数料 ②証明書等の取得実費 ③行政書士に依頼する場合の報酬の3層に分かれます。ここでは岡山市の事業者が押さえるべき骨格だけを示し、内訳の詳細は費用の記事へ委ねます。
7-1. 法定手数料(岡山県知事許可)
| 許可申請の種類 | 岡山県知事許可 |
|---|---|
| 新規(許可換え含む)・般特新規 | 90,000円 |
| 更新・追加 | 50,000円 |
出典:手引 PDF p.14
押さえるべきルールは3つです(いずれも手引 PDF p.14)。①手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(1業種でも複数業種でも新規なら90,000円)。②変更届出書の提出に手数料は不要です。③複数の申請を同時に行う場合はそれぞれの額の合計額になります(例:一般許可追加5万円+特定許可新規9万円=14万円)。
7-2. 納付方法——納付済証を貼り付ける方式です
手引 PDF p.14 が定める手順は、①岡山県手数料等(POS)納付連絡票を監理課ホームページから印刷 → ②収納専用窓口に持参して支払う → ③納付済証を受け取る → ④納付済証を許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に貼り付けて提出、というものです。
⚠️ インターネット上の古い解説や他県向けのテンプレートには、現在の岡山県では行われていない旧方式の納付手順が残っているものがあります。他県の様式や古い書式をそのまま使わないでください。本記事では一貫して「法定手数料」と表記しています。
この方式が意味するのは、法定手数料は申請書を提出する前に納付を済ませている必要があるということです。納付済証が貼られていない申請書は完成していません。
7-3. 当事務所の料金(税込目安)
(A)=行政書士報酬/(B)=法定手数料
| 業務内容 | (A)報酬 | (B)手数料 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 建設業許可申請(法人・新規) | 132,000円 | 90,000円 | 222,000円 |
| 建設業許可申請(個人・新規) | 110,000円 | 90,000円 | 200,000円 |
| 建設業許可申請(法人・更新) | 66,000円 | 50,000円 | 116,000円 |
※ 上記は主な業務の抜粋です。般・特新規、許可換え新規、業種追加、個人・更新、各種変更届(事業年度終了報告・経管・営業所技術者・役員等)を含む全業務の料金は建設業許可サービスページをご覧ください。表示はすべて税込の目安で、案件の内容(役員数・業種数・実務経験の証明の難易度・営業所数など)により変動しますので、正確な金額は事前にお見積りします。上記に加えて、証明書の取得実費が別途必要です。実費を含めた総額の内訳は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安と法定費用の内訳にまとめています。
7-4. 証明書の取得実費
⚠️ 各証明書1通あたりの交付手数料は、岡山県の手引・審査要領には記載がありません(交付する法務局・市区町村・金融機関がそれぞれ定めているためです)。本記事では単価を断定しません。実費の額を左右するのは、主に法人か個人かと役員の人数です。前述のとおり計6部だからといって6通取得する必要はありません(手引 PDF p.15)。財産的基礎(自己資本500万円・残高証明)の準備については建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備をご覧ください。
7-5. 許可証明書は備前県民局でも受け取れる(1通750円)
岡山市の事業者にとって実利のある運用です。許可証明書は、県庁土木部監理課(持参又は郵送)のほか、主たる営業所所在地を所管する県民局建設部管理課(持参のみ)でも交付を受けられ、岡山市であれば備前県民局で受け取れます。証明手数料は1通750円です(手引 PDF p.23)。ただし許可証明書の交付を県民局で受ける場合は、当該県民局のホームページから証明願をダウンロードする必要があり、県民局によって様式が異なります(同 PDF p.23)。監理課の様式を備前県民局に持ち込んでも通らない可能性がある、という運用上の注意点です。
ただし、取りに行く前に確認していただきたい点があります。手引 PDF p.23 は、岡山県内のほとんどの自治体では許可証明書が入札参加資格審査申請の添付書類から外されていると注意を促し、真に必要かどうかを申請先の自治体のホームページ等で確認するよう求めています。発注者側では要らなくなっている書類を「念のため」で取ってしまうのが、実費の典型的な取りこぼしです。払わずに済む費用の整理は、前述の費用記事にまとめています。
8. 許可の後|入札参加資格は「発注者ごと」と、維持のために続く5つの義務
8-1. 入札参加資格は「発注者ごと」——県の資格と市の資格は別の話
「許可を取れば公共工事に入れる」という理解は不正確です。手引 PDF p.24 によれば、許可業者が公共工事の入札に参加するには、経営事項審査を受けることと、その公共事業を発注する自治体の入札参加資格を持っていることの2つが要ります。
見落とされやすいのは「公共事業を発注する自治体の」という限定で、手引は入札参加資格を発注者ごとのものとして定めています。したがって、岡山県の入札参加資格を持っていることと、岡山市が発注する工事の入札参加資格を持っていることは、別の話になります。
⚠️ ただし、岡山市の入札参加資格の受付時期・区分・申請方法については、岡山県の手引・審査要領に記載がありません。本記事では推測を書きませんので、岡山市のホームページでご確認いただくか、無料相談でお尋ねください。
建設業許可 → 経営事項審査(経審)→ 発注者ごとの入札参加資格 → 入札という順序と、それぞれに要する期間の考え方は公共工事に参加するには|建設業許可からの第一歩で扱っています。経審そのものについては経審申請を岡山で依頼するならと経審(経営事項審査)のサービスページを、入札参加資格の申請代行については入札参加資格のサービスページをご覧ください。
8-2. 許可を取った後に続く5つの義務
許可は取って終わりではありません。岡山市の事業者も含め、許可業者に共通して続く義務を一覧にします。
| 項目 | 内容 | 期限 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 標識(許可票)の掲示 | 店舗及び建設工事の現場(元請工事のみ)ごとに掲示 | 許可を受けたとき | 手引 PDF p.21 |
| 技術者の配置 | 主任技術者又は監理技術者を工事現場に配置。税込4,500万円(建築一式は9,000万円)以上の公共性のある工作物の工事は着工から竣工まで現場ごとに専任(掛け持ち不可) | 施工の全期間 | 手引 PDF p.21 |
| 事業年度終了報告 | 変更届出書の提出(毎年) | 決算日から4か月以内 | 手引 PDF p.22 |
| 各種変更届/経管・営業所技術者を欠いた場合 | 代わりの方がいなければ許可を失う | 指定された期限内/変更後2週間以内 | 手引 PDF p.22 |
| 許可の更新 | 有効期間は許可日から5年間 | 満了の日の30日前までに受付(3か月前から提出可) | 手引 PDF p.21 |
※このほか、廃業届は30日以内(一部業種のみの廃業は営業所技術者の変更届が必要なため2週間以内)です(手引 PDF p.22〜23)。また、受注した建設工事を一括して他人に請け負わせる一括下請負(丸投げ)は禁止され、契約を分割したり他人の名義を用いていても実態が該当するものは一切禁止とされています(同 PDF p.21)。
とくに注意していただきたいのが、次の一文です。
期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません。 また、監督処分や罰則の対象にもなります。(手引 PDF p.22)
毎年の事業年度終了報告を溜め込むと、5年後の更新でつまずきます。 また「欠く」状態の定義も重く、手引 PDF p.22 は退職・死亡はもちろん、毎日出勤することができなくなった場合も含むとし、長期入院の場合は社会保険等の資格が継続されていても「欠く」状態とみなされると明記しています。小規模な事業者ほど経管と営業所技術者を代表者が兼ねているため、このリスクは直接的です。これらの期限をまとめてお任せいただける顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)もご用意しています。
なお、手引 PDF p.19 は「官公署に提出する書類の作成代行を業務として行うことは、行政書士にのみ認められています」「第三者に申請作業を委託する場合には相手方が行政書士として登録されている者であることを確認してからにしましょう」と注意喚起しています。
よくある質問(FAQ)
まとめ
岡山市内に営業所を置く建設業者が取得するのは岡山県知事許可であり、「岡山市長の許可」という制度は存在しません(手引 PDF p.6)。政令指定都市であっても建設業許可の事務は市に下りておらず、岡山市の全4区は備前県民局の担当区域として整理されています(手引 PDF p.168)。
手続きの動線は二段構えです。申請書・変更届の提出先は、岡山市北区内山下2-4-6の県庁6階「岡山県土木部監理課建設業班」に一元されており、県民局では受け付けていません(手引 PDF p.16・p.168)。一方で、受付後半月程度で実施の連絡が来る「営業所調査」を担当するのは、岡山市の場合は備前県民局建設部管理課です(手引 PDF p.17)。
そして岡山市の事業者がもっともつまずきやすいのが、その営業所調査です。確認されるのは看板(容易に確認できるもの)・机・電話及びファクシミリ・営業所の賃貸借契約書(原本)で、手引は「いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません」と明記しています(PDF p.17)。さらに審査要領は、公営住宅の可否・賃貸マンションでの同意書・同一営業所の複数業者・住居兼用時の区分・電話回線について具体的な線引きを定めています(審査要領 PDF p.4〜5)。
期間は、特に問題がないケースで受付から概ね2か月程度(手引 PDF p.16)。ただし岡山県は事前審査を一切行わず、窓口閉鎖の時刻で審査が終了する運用です。看板の作成、賃貸借契約の用途確認、電話回線の整備はいずれも日数がかかります。申請を決めた時点で最初に着手すべきなのは、実はこの「営業所まわり」——これが、岡山市の事業者に本記事でもっともお伝えしたい点です。
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事務所の形態(自宅兼用/賃貸オフィス/マンション)と看板・電話回線の状況をお聞かせいただければ、営業所調査で問題になりそうな点をお伝えします。「自宅の一室でも営業所にできる?」といったご質問だけでも構いません。お電話(070-8567-3197)・メール・LINE からどうぞ。
