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営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の3ルート【岡山】

営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の3ルート【岡山】

建設業許可の準備で、経営業務の管理責任者(経管)と並んでよく行き止まりになるのがこれです。

「経管は社長本人で満たせる。でも、営業所技術者(旧:専任技術者)になれる人がいない」。

結論から言えば、打ち手は3つあり、検討すべき順番も決まっています

  1. 実務経験ルートを再点検する(社内に「10年やっている職人」がいないか。学歴や検定合格による短縮が効かないか。監理技術者資格者証で代替できないか)
  2. 既存社員に資格を取らせる(合格から申請までに要する時間と、資格によっては合格後にさらに実務経験年数が必要になる型に注意)
  3. 有資格者を常勤で採用する(人件費と常勤性の立証が伴う。在籍出向・派遣という形は、許可は取れても工事が受けられなくなる場合がある)

そして、多くの会社が申請の直前まで気づかないもう1つの論点があります。営業所技術者は、原則として工事現場に配置できません(手引 PDF p.181)。主任技術者としてはもちろん、一般作業員としても同じです。つまり「現場の主力である職人を営業所技術者に据える」という設計は、その人を現場から引き上げることとセットになります。誰を営業所技術者にするかは、資格の有無だけでは決められません。

本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、3つの確保ルートの中身と検討順序採用時に常勤性で詰まる点、そして確保したあとに許可を失わないための設計を、岡山県の手引・審査要領の記述に沿って整理します。許可要件そのものの全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断にまとめています。

※ 営業所技術者の要件充足は、資格の種類・実務経験の内容・書類の残り方という個別の実態によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の会社・特定の方について結論を保証するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。

1. 営業所技術者とは|「いない=取れない」はどこまで正しいか

まず、この要件が制度上どういう位置づけにあるのかを、正確に押さえます。ここを曖昧にしたまま人探しを始めると、探す対象を間違えます。

1-1. 「営業所ごと」に置く技術者であって、現場に置く技術者ではない

岡山県の手引は、この要件の趣旨をこう説明しています。

「建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門知識が必要になります。建設業の請負契約に関する見積、入札、契約締結等の業務の中心は各営業所にあることから、建設業を営む全ての営業所の許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を持つ技術者を専任で配置することが必要です。」(手引 PDF p.8)

キーワードは「見積、入札、契約締結等の業務の中心は各営業所にある」です。営業所技術者は、契約の入口を技術的に担保する人として置かれます。現場を回す人(主任技術者・監理技術者)とは、制度上の役割が別です。この区別は7章で決定的な意味を持ちます。

そして手引は、この要件が欠けた場合の効果を明記しています。

「許可を取得した後に、営業所技術者等が退職し、後任者がいない場合は、要件の欠如として当該許可は取り消されます。(建設業法第 29 条第1項第1号)」(手引 PDF p.8)

「いないと取れない」は正しく、しかも「いなくなると失う」という点まで含めて正しいというのが、この要件の性質です。だからこそ、確保の話は「取得できるか」だけでなく「維持できるか」までを含めて設計する必要があります(9章)。

1-2. 「専任」の定義——常勤して、専らその職務に従事すること

「専任」とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することをいいます。著しく遠距離で通勤不可能/他の営業所で専任の職務/他法令で専任を要する立場、のいずれかに当たると原則として専任と認められません(手引 PDF p.8)。この3類型の具体的な当てはめと、他社役員との兼務・遠隔地居住・出向・非常勤役員・個人事業との兼業といった判定が割れる境界事例は、他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?に整理しています。本記事では、確保の意思決定に必要な範囲だけを扱います。

確保の判断に直結する点を1つだけ補足します。3つ目の類型は、兼業を持つ会社で実際に問題になります。管理建築士・専任の宅地建物取引士等、他の法令により特定の事務所に専任を要する立場にある人が営業所技術者等を兼任できるのは、同一法人、かつ、同一事業所の場合に限られます(審査要領 PDF p.21)。

ただし、この規定が答えているのは「専任性を妨げないか」という一点だけです。 その人が営業所技術者になれるか(資格・経験の要件を満たすか)は、まったく別の判定になります。「兼任できるから技術者にできる」ではありません。兼任の可否と要件の充足は、必ず分けて確認してください。

1-3. 1人が複数の業種を担当できる——ただし条件がある

意外に知られていない実務上の要点です。営業所技術者等は営業所ごとに選任する必要がありますが、必要な資格を有する場合は1名が複数の業種を担当できます(手引 PDF p.79)。どの資格がどの業種までカバーするかは営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格で確認してください。

「必要な資格を有する場合」という条件付きである点が肝心です。実務経験で担当する場合は話が変わります。1人が複数業種を実務経験で担当する場合、期間の重複は認められません(手引 PDF p.82。手引の資格一覧編にも同趣旨の記載があります=手引 PDF p.165)。2業種なら合計20年、3業種なら原則として合計30年です。期間の数え方と証明の実務は実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証に整理しています。

「うちのベテランは何でもやってきたから、3業種まとめて取れるだろう」という発想は、実務経験ルートでは成立しません。 ここは、業種を絞る判断(今回はどの業種で申請するか)に直結します。

1-4. 6要件のうちの1つ——全体像はハブ記事へ

営業所技術者は、建設業許可の要件のうちの1つです。ほかに経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(常勤役員等の設置と適切な社会保険への加入)、誠実性、財産的基礎、欠格要件があります(手引 PDF p.7-10)。要件の全体像と自社の当てはめは建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断を先にご覧ください。本記事はそれを繰り返さず、営業所技術者だけを扱います。

なお、経管の側で詰まっている場合の打ち手は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?に、社会保険の加入が要件である点は建設業許可に社会保険の加入は必須?にまとめています。

2. まず判定する|営業所技術者になれる5つの入口

「いない」と判断する前に、制度上の入口を全部当ててください。手引は、一般建設業の営業所技術者になれる要件を5つ挙げています(手引 PDF p.9)。

入口内容必要な実務経験
① 国家資格土木施工管理技士、建築士、技能士等一定の国家資格を有すること資格により追加の実務経験が必要な場合あり
② 学歴+実務経験許可を受けようとする業種について、高等学校・専修学校の専門課程を卒業+5年以上/大学(短期大学を含む)・高等専門学校・専修学校の専門課程(専門士又は高度専門士を称するものに限る)を卒業+3年以上。在学中に所定の学科を修了していること5年又は3年
③ 1級の検定合格+実務経験1級の技術検定(第1次・第2次のいずれか)に合格し、合格後に施工の経験を積んでいること(指定建設業・電気通信工事業は対象外)3年
④ 2級の検定合格+実務経験2級の技術検定について③と同じ扱い(対象外の業種も同じ)5年
⑤ 実務経験10年許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があること10年

(出典:手引 PDF p.9)

2-1. ②〜⑤はすべて「実務経験の立証」を伴う

見落とされやすいのがここです。①の純粋な国家資格ルート以外は、契約書の原本等で請負工事実績を立証する必要があります(手引 PDF p.9。様式第9号「実務経験証明書」の添付が必要)。入口ごとの書類の重さの違いは営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格に整理しています。

つまり、「2級に合格しているから大丈夫」ではありません。 合格後5年分の工事について、契約書の原本等で立証できて初めて要件を満たします。この差は、確保にかかる時間とコストを大きく分けます(資格取得後に一定期間の実務経験が必要な資格については4章参照)。

2-2. 特定建設業を狙う場合は、要件が別に定められている

元請として一定額以上を下請に出す予定があるなら、特定建設業の許可が必要です。特定建設業には別途、より高い財務要件と技術者要件(一級相当の特定営業所技術者)が定められています(手引 PDF p.11)。一般で取るか特定で取るかは確保の手段そのものを左右する分岐ですので、詳細は個別にご確認ください。

2-3. どの資格がどの業種に使えるかは、資格一覧表で確認する

「①国家資格」の中身、つまりどの資格がどの業種の営業所技術者に対応するかは、手引の資格一覧表(PDF p.163-167)に業種別のマトリクスとして掲載されています。この一覧の読み方と業種別の対応関係は、営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格にまとめています。資格と業種の対応を誤ると「その資格では技術者になれない」という実害に直結するため、記憶や他社の事例ではなく、必ず現物の一覧表で確認してください。

3. ルート①|実務経験ルートを再点検する(追加コストゼロで最初に当てる手)

3つのルートのうち、最初に当てるべきはこれです。理由は単純で、追加のコストが発生せず、今日から着手でき、しかも「実はもう満たしていた」という結果があり得るからです。

3-1. 「実務経験」に含まれるものは、思っているより広い

手引の様式第9号の記載要領は、実務経験の範囲をこう定義しています。

「【『実務経験』とは】建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験はもちろんのこと、これらの技術を習得するためにした見習中の技術的経験も含まれます。また、建設工事の雑務のみの経験は含まれませんが、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験も含みます。」(手引 PDF p.82)

ここで効くのは2点です。

  • 見習期間が入る。 「一人前になってから」ではなく、技術を習得するための見習中の技術的経験も含まれます。入社1年目から数え直すと、10年に届くケースがあります。
  • 設計に従事した経験も入る。 施工に出ていなくても、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験は含まれます。

一方で、「建設工事の雑務のみ」は含まれません。事務・運搬・片付けだけの期間は計上できません。この線引きは、経歴の棚卸しをする段階で当てておくべきものです。

3-2. 年数は「記憶」ではなく、社会保険の加入履歴と工期で決まる

再点検で最初に突き当たる壁です。手引は、実務経験年数について「原則として社会保険加入期間の年月を記入してください」と定めています(手引 PDF p.82)。さらに、記載した工事の工期と次の工期の間の空白期間が3か月以内なら実務経験は継続しているとみなし、4か月以上あればその期間を控除して指定年数を計算するともしています(手引 PDF p.83)。

つまり、在籍していた年数がそのまま実務経験年数になるわけではありません。 再点検の第一歩は、本人の記憶や履歴書の年数ではなく、①社会保険の加入履歴を取り寄せる ②その期間に並べられる工事を工期で拾う——この2つを突き合わせることです。ここでズレが出れば、そのまま「あと何年何か月足りないのか」が数字になります。逆に、この作業をしないまま「たぶん足りる」で申請の準備を始めると、書類を集め切った段階で年数不足が判明します。

なお、許可を受けようとする業種と技術的な共通性がある他の業種での実務経験を、一定の範囲で通算できる枠も別途あります(手引 PDF p.167)。適用の可否は経歴と過去の申請内容の両方を見ないと判断できないため、個別にご確認ください。

期間計算の細目、様式第9号(実務経験証明書)の書き方、集めるべき書類の具体は営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年を証明する方法に譲ります。本記事が扱うのは、その手前の「足りるかどうかの判定材料」までです。

3-3. 監理技術者資格者証で代替できることがある

再点検で見落とされやすい近道です。監理技術者資格者証があれば、実務経験証明書に代えられる場合があります(審査要領 PDF p.23/手引 PDF p.82)。有効期限が切れていても実務経験の認定には使えるとされているため、「昔は現場を回していたが、いまは監理技術者証を更新していない」という方が社内にいるなら、まず手元の資格者証の記載を確認してください。

取扱いの詳細(資格者証のどの記載を見るか、有資格コードを記入するときの注意点、常勤性は別途確認される点)は実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証にまとめています。再点検の段階では、「資格者証が手元にあるか/期限切れでも捨てていないか」を確認するだけで十分です。

3-4. 学歴による短縮が効かないか

2章の入口②です。許可を受けようとする業種について所定の学科(指定学科)を在学中に修了していれば、必要な実務経験は10年ではなく、高等学校若しくは専修学校の専門課程を卒業した後5年以上、または大学(短期大学を含む)・高等専門学校若しくは専修学校の専門課程(専門士又は高度専門士を称するものに限る)を卒業した後3年以上に短縮されます(手引 PDF p.9)。

10年に届かない社員でも、この短縮が効けば一気に射程に入ります。 再点検の段階でやるべきことは1つ、社員の最終学歴と学科名を書き出しておくことです。どの学科が指定学科に当たるかは業種ごとに定められており、学科名がリストと一致しない場合の取扱いもあるため、業種別の当てはめは営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格で確認してください。

3-5. 再点検で「あと少し足りない」と分かったときの分岐

再点検の結果は3つに分かれます。

  1. 満たしている → 実務経験証明書(様式第9号)の作成へ進みます。証明の手続と書類の集め方は営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年を証明する方法に詳しくまとめています。
  2. 年数は足りているが、証明する書類が揃わない → 前の勤務先が倒産している、契約書が残っていない、といったケースです。当時の使用者から証明を受けられないときは、同業他者2者による証明という代替ルートが用意されています(手引 PDF p.82)。代替立証の組み立て方は実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証へ。
  3. 年数そのものが足りない → 4章(資格取得)と5章(採用)の比較に進みます。このとき、「あと何年何か月足りないか」を月単位で出しておくことが重要です。1年未満なら待つ判断が合理的な場合もありますし、3年以上なら採用に舵を切る判断になります。

4. ルート②|既存社員に資格を取らせる(時間を買う手)

再点検で足りなかった場合、次に検討するのが社内での資格取得です。人件費が増えず、社内に技術が残るという意味で、採用より筋がよい選択です。ただし「合格=即申請」ではない点に注意が必要です。

4-1. 「合格しただけでは足りない」型があることを、計画の前提に置く

②のルートで最初に確認すべきはここです。資格の種類によっては、合格・免許交付のあとにさらに一定期間の実務経験を積まなければ営業所技術者になれません。 岡山県の審査要領は、該当する資格を名指しして「要件を満たしているか十分注意すること」と促しており、資格取得の時期によって必要な実務経験期間が異なる場合があるとも付言しています(審査要領 PDF p.23)。手引も、資格によっては資格取得後一定の実務経験が必要なため様式第9号(実務経験証明書)の添付が必要になる、としています(手引 PDF p.79・p.82)。

したがって、資格取得の計画は「試験に受かるまでの期間」だけでは組めません。「受かってから何年必要か」を先に確定させてください。 該当する資格と上乗せ年数の中身は営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格にまとめています。ここを読み違えると、合格を待って動き出したのに、そこからさらに数年待つことになります——つまりこの確認は、②で行くか③(採用)へ切り替えるかの分岐そのものです。

4-2. 申請日は「合格発表の日」ではなく「書類が揃う日」から逆算する

②を選ぶときに効く、もう1つの判断軸です。「合格したので来月申請したい」という進め方を考えたくなりますが、資格を証明する書類は、合格したその日に手元へ来るとは限りません。

岡山県の審査要領は、資格の種類ごとに「何をもって資格を確認するか」「いつまでなら合格通知書で足りるか」を個別に定めています(審査要領 PDF p.23)。同じ「合格通知書」でも、資格によって使えるものと使えないものがあり、交付までに数か月を要する資格もあります。 資格ごとの取扱いは営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格に一覧化しているので、対象の資格を必ずそちらで確認してください。

本記事の観点で押さえるべきは1点です。②のルートを工程表に落とすときの起点は、「合格見込みの日」ではなく「その資格の証明書類が手元に揃う日」だということ。 ここを取り違えると、③(採用)へ切り替える判断が丸ごと数か月遅れます。

なお、資格を証明する書類の写しは、原本を直接コピーした書面を添付します。写しを再度コピーしたものや不鮮明なものは認められません(手引 PDF p.79)。原本は後日の県民局調査で確認されます。

4-3. 資格取得ルートを選ぶときの現実的な判断

資格取得は「時間を買う」手です。判断の材料は次の3点に絞られます。

  1. 試験の実施サイクルと、合格後に必要な実務経験年数の合計が、許可が必要になる時期に間に合うか
  2. 合格しなかった場合の代替手段を用意しているか(1回で決まる前提の計画は組まない)
  3. その社員が営業所に常勤できる立場か(現場の主力を営業所技術者にすると、7章の問題が発生します)

3点目は特に重要です。「資格を持っている=営業所技術者にできる」ではありません。 その人を営業所に固定できるかどうかが、実際の分かれ目になります。

5. ルート③|有資格者を常勤で採用する(お金で解決する手・ただし条件付き)

社内で解決できない場合の最後の手段が採用です。確保のスピードは最も速い一方、継続的な人件費と、常勤性の立証という2つの負担が伴います。

5-1. 採用した人の「現在の常勤性」はこう確認される

採用した営業所技術者の常勤性は、健康保険証(有効期限内のもの)や標準報酬決定通知書などで確認されます(手引 PDF p.18・p.79)。審査要領も、営業所技術者等一覧表(様式第1号 別紙四)に記載された営業所技術者等について厚生年金標準報酬決定通知書等で常勤性を確認すると定めています(審査要領 PDF p.6)。法人か個人か、従業員が何人かで必要な書類は変わるため、事業形態ごとの一覧は建設業許可に社会保険の加入は必須?でご確認ください。

採用直後に申請する場合、ここが工程上のボトルネックになります。 手引は法人の確認書類として被保険者標準報酬決定通知書と被保険者資格取得確認通知書の原本を並べており、いずれか一方があればよいという書き方をしています(手引 PDF p.18)。採用したら、まず社会保険の資格取得手続を済ませ、交付された通知書を確保しておく——これが申請の前提工程になります。

あわせて、これらの書類のほか賃金台帳・出勤簿等でも確認されます(手引 PDF p.18)。採用日以降の勤怠と給与の記録も、申請までに整えておく必要があるということです。「人は決まったが、社会保険の手続と記録がまだ」という状態では、申請の準備は完了しません。

5-2. 建設国保に加入している場合の取扱い

建設業では建設国保(全国建設工事業国民健康保険組合、岡山県建設国民健康保険組合等)の加入者が珍しくありません。この場合は制度上、政府管掌の健康保険の被保険者になれないため、常勤性の確認書類が入れ替わります(手引 PDF p.18・p.79)。

採用の実務で押さえておくべきは1点だけです。組合員証だけでは足りず、厚生年金側の書類(標準報酬決定通知書等)か、その人が記載された建設国保の加入証明書が別に要ります(手引 PDF p.79)。事業形態ごとの組み合わせは建設業許可に社会保険の加入は必須?に整理していますので、建設国保の会社で採用を進める場合は先にそちらをご確認ください。

5-3. 候補者の比較軸|「岡山県知事許可業者での営業所技術者経験」があるか

採用候補を並べて比べるとき、岡山県には1つ効く条件があります。審査要領には「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等であったことの確認申立書」という様式が定められており、現に岡山県知事許可を有する建設業者において過去に経管又は営業所技術者等であった者が新規許可申請等に係る営業所技術者等に就任しようとする場合、この申立書の提出によりその経験に係る調査を省略するとされています(審査要領 PDF p.16)。

採用の意思決定にどう効くかは、次の1点です。同じ資格・同じ年数の候補者でも、この運用に乗るかどうかで、申請にかかる立証の手間と時間が変わります。 実務経験ルートの候補者を比較するなら、履歴書の年数だけでなく「その経験が、岡山県知事許可業者の営業所技術者等として届け出られていたものか」を確認してください。

もう1点、法人成りの場面でも使えます。審査要領は「現に許可を有する」ことについて、廃業届の提出と併せた申請(法人成に伴い、個人を廃業して法人で新規申請など)でも利用することができるとし、ただし廃業届は受理日を許可の取消しの日として取り扱うため、確認申立書を使用した申請は廃業届と必ず同時に提出することと定めています(審査要領 PDF p.16)。「先に廃業届だけ出しておく」という段取りは取れません。

適用の条件(過去に提出された申請書等でどこまで確認できれば足りるか)は営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格に整理しています。使えるかどうかは過去の提出書類の中身に依存するため、採用を決める前に確認しておくべき項目です。

5-4. 後期高齢者を採用する場合

75歳以上の方を営業所技術者に迎えるケースもあります。この年齢では被用者を対象とした社会保険に加入できないため、後期高齢者医療資格確認書等の提示・直前5年分の賃金台帳と源泉徴収票の提示・常勤していること等についての申立書の提出という組み合わせで常勤性を確認する扱いになっています(審査要領 PDF p.15)。書類の中身と様式は建設業許可に社会保険の加入は必須?に整理しています。

採用の観点で効くのは、そこに置かれた救済です。新たに雇用されて給与の支払い実績がない場合は、賃金台帳・源泉徴収票の提示を省略できるとされています(審査要領 PDF p.15)。高齢の有資格者を迎える設計は、この点で現実味があります。

5-5. ⛔ 在籍出向・派遣という形は、許可は取れても工事が受けられなくなる

採用の代わりに「他社から人を借りる」という発想は、ここで止まります。 在籍出向・派遣では、現場に配置する主任技術者になれないため、その業種の受注が事実上止まります——手引は、営業所技術者等の要件を満たす者が在籍出向社員等しかいない場合、許可自体は取得・継続できても現場に配置する技術者がいないため、請負金額の多寡を問わず全く請負契約を行うことができないと明記しています(手引 PDF p.182)。

出向者の常勤性がどう認定されるか、企業集団内の出向という例外に当たるかを含め、出向・派遣の判定は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?にまとめています。採用の代替として出向を検討するなら、先にそちらをご確認ください。

5-6. 採用を決める前に潰しておく5点

採用は、決めてしまうと後戻りしにくい選択です。条件交渉に入る前に、次の5点を順に確認してください。いずれも一次資料に根拠があります。

  1. その資格・経験は、申請しようとする業種に対応しているか(手引 PDF p.163-167 の資格一覧表で確認。業種と資格の対応を取り違えると、採用しても要件を満たしません)
  2. 実務経験ルートなら、契約書の原本等を提示できるか(手引 PDF p.9・p.165。「これらが揃わないときは、実務を経験したことの証明ができない」と明記されています)
  3. 岡山県知事許可業者での営業所技術者経験があるか(審査要領 PDF p.16 の確認申立書が使える可能性。使えれば経験の調査が省略されます)
  4. 社会保険をこちらで適用できる形か(在籍出向・派遣は 5-5 の問題に直結。社会保険の資格取得手続を済ませられる雇用形態かを確認)
  5. その人を営業所に常勤させられるか(7章。現場に出す前提の採用なら、営業所技術者としては使えません)

順番の話:この5点は、候補者と条件を詰めるに当てるものです。順番が逆になると、断りにくくなってから問題が見つかります。

6. 3ルート比較表と検討の順序|自社はどれから当たるべきか

3つのルートを、意思決定に必要な観点で並べます。

観点①実務経験ルートの再点検②既存社員に資格を取らせる③有資格者を常勤で採用する
向いている会社勤続の長い職人がいる/工業高校・高専・大学の指定学科出身者がいる/監理技術者資格者証を持つ社員がいる若手が育っている/許可が必要になる時期に余裕がある期限が迫っている/社内に候補が皆無/特定建設業を狙う
主な根拠手引 PDF p.9・p.82-83・p.165・p.167/審査要領 PDF p.23手引 PDF p.9・p.79・p.82/審査要領 PDF p.23手引 PDF p.18・p.79・p.182/審査要領 PDF p.6・p.15-16
追加コストゼロ(書類収集の手間と時間のみ)受験料・講習費用・学習時間継続的な人件費(許可を維持する限り発生)
時間の読みやすさ高い(書類の現存確認で数週間〜)低い(試験サイクル+合格後に必要な実務経験年数)中(採用活動の期間+社会保険手続)
最大の関門社会保険加入期間との突き合わせと、契約書原本の現存合格後にさらに実務経験年数が要る型の存在(審査要領 PDF p.23)常勤性の立証と、在籍出向・派遣では現場に技術者を置けない問題(手引 PDF p.182)
撤退の容易さ高い(体制を変えない)高い(社内投資として残る)低い(人を入れた後に要件を満たさないと分かると損失が大きい)
社内に残るもの経歴の棚卸し結果(次の業種追加で再利用できる)技術力・資格保有者人材(ただし退職リスクは残る)

6-1. 検討の順序は ① → ②・③

まず①の再点検を、必ず先に行ってください。 追加コストがゼロで、結果が「実は満たしていた」になる可能性があり、しかも仮に足りなくても「あと何年何か月足りないか」という数字が出ます。この数字がなければ、②と③のどちらを選ぶかも決められません。

②と③の選択は、「いつまでに許可が必要か」で分かれます。

  • 期限に余裕がある(元請からの要請時期が先/来期以降の事業計画で必要になる)→ ②が有利です。人件費が増えず、社内に技術が残ります。
  • 期限が迫っている(すでに元請から求められている/受注できる案件が動いている)→ ③を検討します。ただし 5-5 の在籍出向・派遣の問題と、7章の現場配置の問題を必ず織り込んでください。

許可取得の期限が元請の要請に紐づいている場合の考え方は、元請から建設業許可を求められたら|下請が取る手順に整理しています。

6-2. ②と③は「二者択一」ではない

実務上もっとも合理的なのは、③で目先の許可を確保しながら、②を並行して走らせる設計です。採用した技術者が退職した瞬間に許可を失う構造(9章)を、社内での資格取得によって解消していく——という組み立てです。特に③を選ぶ会社は、採用の時点で「2人目」の計画をセットで持つことをおすすめします。

7. 見落とされる分岐点|営業所技術者は原則、工事現場に出せない

ここが、本記事でもっともお伝えしたい実務上の分岐点です。「誰を営業所技術者にするか」は、資格の有無だけで決めてはいけません。

7-1. 手引の明記——主任技術者としても、一般作業員としても配置できない

「(3)営業所技術者等の取扱い

工事現場への配置禁止

営業所技術者等については、『建設業許可事務ガイドラインについて』(中略)により『営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む。)して専らその職務に従事することを要する者』とされています。したがって、営業所技術者等を工事現場に配置することは原則的にはできません。これは主任技術者及び監理技術者としては無論のこと、一般作業員としても同じです。」(手引 PDF p.181)

「一般作業員としても同じ」という一文が、実務では重い意味を持ちます。少人数の会社で「資格を持っているのは現場に出ている親方だけ」という状態は珍しくありませんが、その親方を営業所技術者にすると、制度上は現場から引き上げることになります

7-2. 例外——近接した現場であれば兼任できる場合がある

例外は用意されています。

「② 例外的に工事現場へ配置できる場合

技術者の専任性が求められない工事であって、当該営業所において請負契約が締結された建設工事で、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあるもの(直接かつ恒常的な雇用関係にあることが必要)については、『営業所に常勤して専らその職務に従事』しているものとして兼任が認められています(例外を適用した兼任が認められるのは、技術者の現場専任を必要としない範囲の少額工事に限られます。)。」(手引 PDF p.181-182)

ただし、手引は続けて限定的に解釈するという姿勢を明記しています。

「③ 営業所と近接した工事現場とは

どのくらいの距離について『工事現場と営業所が近接』していると認められるかについては、営業所及び工事現場の所在地により個別に判断せざるを得ないため、一律にこのくらいの距離ならよいとは言いがたいものがあります。いずれにせよ、営業所技術者等を工事現場に兼任して配置することは例外的に承認されていることですから、限定的に解釈することとなります

なお、隣接県を超えて配置された場合は、原則として、遠方に配置されたものと判断されますので注意してください。」(手引 PDF p.182)

手引が示しているのは「隣接県を超えれば原則として遠方」という外側の線だけで、「どこまでなら近接か」の基準は示されていません。 距離の数値基準はなく、しかも「限定的に解釈することとなります」と明記されている以上、隣接県の中なら例外に入る、という読み方はできません。当てはめは営業所と工事現場の所在地により個別に判断されます。

7-3. 「専任を要する工事」の線引き

例外の前提である「技術者の専任性が求められない工事」とは何か。手引はこう定めています。

「工事一件の請負代金が税込4,500万円(建築一式工事については9,000万円)以上の公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物の建設工事(個人住宅を除くほとんどの工事)については、主任技術者及び監理技術者は、その工事現場ごとに専任でなければならないこととされています(建設業法第26条第3項)。つまり、このような工事に配置された技術者は、その工期が終了するまでの間、現場を離れることが認められませんので、他の工事と掛け持ちして配置することはできないわけです(ただし、監理技術者に関し、これを補佐する者(1級技士補等)を置いたときなど、技術者が2現場まで兼務できる場合があります。)。また、後述しますが、許可上の営業所技術者等は営業所に常勤でなければなりませんので、このような専任性を求められる工事に配置することは原則できません。」(手引 PDF p.180-181)

手引は「公共性のある工事」の例として、国・地方公共団体発注の施設又は工作物、鉄道・索道・道路・上下水道などの公共性のある施設又は工作物、電気事業用施設・ガス事業用施設、学校・図書館・寺院・工場・病院・デパート・事務所・ホテル・共同住宅などを挙げています(手引 PDF p.181)。

なお、岡山県の審査要領は、宅地造成工事について「個人住宅の団地の宅地造成(団地内の私道を含む)は、金額がいくら大きくとも技術者の専任は不要であるが、当該造成地に集合住宅や公共性のある建築物があれば専任が必要となる」と具体例を示しています(審査要領 PDF p.9)。

7-4. 違反したときに何が起きるか|工事経歴書で検出される3類型

「④ 営業所技術者等が専任義務に違反した場合

営業所技術者等を遠方の現場に配置するということは、営業所に常勤して専らその職務に専念していることになりません。この場合も建設業法に基づく監督処分を受けることになります。」(手引 PDF p.182)

岡山県の審査要領は、事業年度終了報告等で提出される工事経歴書の審査で、この点をチェックすることを明記しています。

「(3)工事経歴書の提出があった際、配置技術者について、次の違反があった場合には、業務改善報告書を徴した上で申請等を受け付ける。

① 技術者の専任が必要な工事(法第26条第3項)に、営業所技術者等を配置していた場合

② 専任が必要な工事に配置している技術者を、その工事の工期内に、他の工事にも技術者として配置していた場合

営業所技術者等を隣接県を超える遠方の工事に技術者として配置していた場合」(審査要領 PDF p.7)

毎年提出する工事経歴書から、営業所技術者を現場に出していたことが分かるという構造です。許可を取った後、事業年度終了報告のたびに確認されると考えてください。なお、業務改善報告書は岡山県が定める是正の枠組みであり、その提出をもって申請等が受け付けられる運用です(審査要領 PDF p.36)。ここでは制度の紹介にとどめます。

7-5. だから、実質的に「2人目」が要る

7-1 から 7-4 を通すと、こういう結論になります。

  • 営業所技術者を1人しか確保できない会社は、その1人を営業所に固定するか、現場に出すかの二者択一を迫られます。
  • 例外(近接・少額工事)を使う設計は可能ですが、限定的に解釈されるうえ、税込4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上の公共性のある工事には使えません(手引 PDF p.180-181)。
  • 主任技術者になるには「一般建設業の営業所技術者等になることができる資格及び経験」が必要です(手引 PDF p.180)。つまり、営業所技術者になれる人がもう1人いれば、その人を現場に配置できます。

そして、そもそも主任技術者の配置は、小さい工事なら省いてよいというものではありません。手引はこう明記しています。

「許可を受けた業種については元請・下請の別や請負金額の多寡を問わず技術者配置の義務がありますので、元々は許可を要しない小規模の工事であっても、それぞれきちんと配置しなければなりません。」(手引 PDF p.180)

「そもそも許可が要らない規模の小さい工事なら、技術者を置かなくてよい」という逃げ道はありません。 許可を取った業種の工事である限り、元請・下請の別も金額の大小も問わず主任技術者が要ります。ここに、営業所技術者を現場から引き上げたあとの穴が出ます。2人目は「大きな工事を取るため」ではなく、「いま回している工事を止めないため」に要る——というのが、この一文の含意です。

「営業所に1人、現場に1人」——公共工事や規模の大きい民間工事を狙うなら、これが実質的な最低ラインです。 3ルートの比較(6章)でどれを選ぶにせよ、2人目をいつまでにどう用意するかを同時に決めておくことをおすすめします。

8. 岡山県での手続き|提出先・営業所調査・費用と期間の逆算

営業所技術者を確保できたら、申請です。岡山県固有の手続きを押さえておきます。

8-1. 提出先は本庁一元——県民局は申請窓口ではない

岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)

〒700-8570 岡山市北区内山下2-4-6/直通 086-226-7463

窓口受付時間 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)

申請書・変更届の受付は、本庁の土木部監理課建設業班に一元化されています(手引 PDF p.168)。出先機関である県民局は受付窓口ではなく、確保した営業所技術者の書類を持ち込んでも申請にはなりません。窓口へのご持参のほか、郵送での提出も受け付けられています(郵送の場合の送付先も同じ/手引 PDF p.16)。

そして岡山県は、申請前の事前審査を一切行っていません(手引 PDF p.16)。正本・副本の部数、日付の記入、納付済証の貼付まで漏れなくそろえ、完成させた状態で提出するのが前提です。

「とりあえず出してみて、足りなければ言ってもらう」という進め方はできません。 営業所技術者の要件は、資格の対応・実務経験の年数・証明書類のすべてが噛み合って初めて成立します。窓口に持ち込む前に決着させておく必要があります。

なお、11:30〜13:00 および 16:30〜翌開庁日9:00 は窓口を閉じ、審査を休止します。原則として審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了するため、新規・更新・追加・般特新規の申請は十分な時間的余裕を持って臨む必要があります(手引 PDF p.16)。

8-2. 営業所調査で、営業所技術者について何が確認されるか

申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡が来ます(手引 PDF p.17)。申請=本庁、営業所調査=所轄の県民局という役割分担です。

営業所技術者に関して確認されるのは、国家資格等の場合は免状・合格証明書等の原本、実務経験の場合は様式第9号(実務経験証明書)に記載した工事の契約書原本等です(手引 PDF p.17-18)。契約書の原本が揃わないときに何で代えられるかは実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証にまとめています。

あわせて営業所そのものも確認されます。看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)等で、営業所は居住部分と共用することができません。賃貸借契約を締結している場合は、契約書上で営業活動に利用することが認められている必要があります。手引は「いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません」と明記しています(手引 PDF p.17)。営業所そのものの要件は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?にまとめています。

なお、営業所調査が早く終わったからといって、許可が早く取得できるわけではありません(本庁の調査が別途進行するため/手引 PDF p.16)。

8-3. 費用の内訳

営業所技術者の確保が絡む案件で発生する費用を、内訳で示します。

(A)法定手数料(岡山県知事許可・手引 PDF p.14)

許可申請の種類岡山県知事許可
新規(許可換え含む)・般特新規90,000円
更新・追加50,000円
  • 手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(何業種でも同額)
  • 変更届出書の提出には手数料は不要です
  • 複数の申請を同時に行う場合は合算されます(例:一般許可追加5万円+特定許可新規9万円=14万円)
  • 納付は岡山県手数料等(POS)納付連絡票で行い、受け取った納付済証を正本の「(様式第1号の)別紙三」に貼付します(手引 PDF p.14)。手順の詳細は実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証

(B)当事務所の報酬(税込の目安・案件内容により変動します)

業務内容報酬法定手数料合計
建設業許可申請(法人・新規)132,000円90,000円222,000円
建設業許可申請(個人・新規)110,000円90,000円200,000円
建設業許可申請(業種追加)55,000円50,000円105,000円
変更届(専任技術者)資格要件22,000円22,000円
変更届(専任技術者)実務経験3年44,000円44,000円
変更届(専任技術者)実務経験5年55,000円55,000円
変更届(専任技術者)実務経験10年77,000円77,000円

新規申請で実務経験による証明が必要になる場合は、3年 44,000円/5年 55,000円/10年 77,000円(いずれも税込)を加算します。実務経験ルート(3章)を選ぶと、証明の工数がそのまま費用に乗るという構造です。逆に言えば、国家資格ルート(①の純粋な資格保有者)であれば、この加算は発生しません。「資格者を採用するか、実務経験で証明するか」は、申請費用の面でも差が出ます。

証明書等の実費は当事務所が立て替え、後日精算します。法定手数料90,000円は依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します。 金額・期間は時点や個別事情により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。

当事務所は代理申請まで行います(書類作成の代行にとどまりません)。また、営業所調査の準備確認と当日の同席は報酬に含みます。営業所技術者の確保が絡む案件は、調査で確認される書類(資格の原本・契約書の原本)の準備が成否を分けるため、ここを含めています。行政書士登録番号は第20300974号です。

8-4. 期間の逆算

  • 申請が受け付けられてから許可までは、特に問題がないケースで概ね2か月程度(手引 PDF p.16)
  • 営業所調査の連絡は、申請受付後半月程度(手引 PDF p.17)

ただし「概ね2か月」は、書類が完全に整った状態で受け付けられてからの話です。 営業所技術者の確保が絡む案件では、その手前が長くなります。

工程何をするか長さを左右するもの
0. 棚卸し社員の資格・学歴・勤続年数・社会保険加入履歴の突き合わせ社会保険の加入記録を取り寄せられるか
1a. 実務経験ルート契約書原本・注文書原本及び請書の写しの収集、実務経験証明書の作成書類が現存するか/前の勤務先の協力が要るか
1b. 資格取得ルート受験・合格・証明書類の入手試験サイクル+合格後に必要な実務経験年数+証明書類が手元に揃うまでの時間(資格によっては数か月/審査要領 PDF p.23)
1c. 採用ルート採用活動・社会保険の資格取得手続候補者の確保/資格取得確認通知書が出るまで
2. 申請書の作成・提出様式一式の作成、法定手数料の納付、本庁へ持参又は郵送事前審査がないため、完成させてから提出
3. 営業所調査受付後半月程度で県民局から連絡。資格の原本・契約書の原本を確認原本が揃っているか
4. 許可特に問題がないケースで、受付から概ね2か月程度

逆算すると、実務経験ルートで書類収集から始める場合、申請前の工程のほうが長くなるのが通例です。 元請から許可取得を求められている場合は、早めに着手してください。

9. 確保したあと|空白1日で廃業届になる構造と、許可のその先

苦労して営業所技術者を確保した会社ほど、取得後のリスクが高い——これは経管不在から出発した会社と同じ構造です。最後にここを整理します。

9-1. 「欠く」状態の定義は、想像より広い

「(3)常勤役員等(経営業務の管理責任者等)、営業所の営業所技術者等が欠けた場合

常勤性を要する経営業務の管理責任者等や営業所技術者等を欠く状態になった場合、代わりになる方がいなければ許可を失うことになりますので、十分注意してください(変更届は、変更後2週間以内に提出しなければなりません。)。

なお、『欠く』状態とは、退職、死亡した場合はもちろんのこと、毎日出勤することができなくなった場合も含みます。病気や事故等で長期入院されるような場合には、社会保険等の資格が継続されていても『欠く』状態とみなされますので十分に注意してください。」(手引 PDF p.22)

在籍していても、毎日出勤できなくなれば「欠く」状態です。 高齢の技術者や、健康に不安のある方に依存している体制は、この定義に照らして点検しておく価値があります。

9-2. ★1日でも空白があれば廃業届——岡山県の運用

そして、これがもっとも見落とされる論点です。

「なお、経管・営業所技術者等が死亡・退職し、次の経管・営業所技術者等が就任するまでの間に1日でも空白の期間が生じる場合には、法第29条第1項第1号(経管・営業所技術者等に係る基準を満たさなくなった場合)に該当するため、廃業届の提出が必要である。」(審査要領 PDF p.33)

「後任を探している間」という猶予は制度上ありません。 退職日と後任の就任日が1日でも離れれば、その時点で要件を満たさなくなります。手引も「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等を欠いた場合(中略)許可要件を欠くこととなるため、速やかに廃業届を提出する必要があります」と明記しています(手引 PDF p.23)。

したがって、営業所技術者の交替は「日付を接続させる」設計が必須です。 退職の申し出を受けてから動き出すのでは間に合いません。ここでも、6-2 で述べた「2人目」の重要性に戻ります。

関連して、役員が営業所技術者を兼ねている場合の注意もあります。退任する役員が営業所技術者等である場合は、その人が会社に常勤の職員として残ることが必要で、退職又は非常勤職員等となる場合は営業所技術者等の変更届と同時に役員の変更届を出すことになります(審査要領 PDF p.33)。世代交代の場面での当てはめは他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?にまとめています。

9-3. ★岡山県固有|特定と一般を行き来するときは、技術者の交替に順序がある

1級の技術者が抜けて特定建設業を維持できなくなったとき、「一般に落として営業を続ける」という打ち手が思い浮かびます。ただし岡山県の審査要領は、その場合の手続の順序を定めています。

「③ 特定建設業から一般建設業に変更する申請(般特新規・業種追加)に併せて営業所技術者等を変更する場合は、現在の技術者で申請を行い、許可後、技術者を変更すること

 なお、現在の営業所技術者等が退社し、有資格者がいなくなるために一般建設業に変更する場合は、廃業届が必要となる

④ 一般建設業から特定建設業に変更する申請(般特新規・業種追加)に併せて営業所技術者等を変更する場合は、一般建設業者として技術者の変更を行い、同時に変更後の技術者により特定建設業許可の申請を行うこと。」(審査要領 PDF p.21)

読み替えると、こうなります。

  • 特定 → 一般に落とす場合:まず現在の技術者のまま申請を行い、許可が下りてから技術者を交替させます。申請と同時に技術者を入れ替える段取りは取れません。
  • ただし、技術者が退社して有資格者がいなくなったことを理由に一般へ落とそうとする場合は、廃業届が必要になります。 つまり「特定が維持できなくなったら一般に落とせばよい」という打ち手は、一般建設業の営業所技術者になれる人が別に確保できている場合にのみ成立します。
  • 一般 → 特定に上げる場合:先に一般建設業者として技術者の変更を行い、同時に変更後の技術者で特定建設業の申請を行います。

この③の後段が、本記事のテーマそのものです。 特定建設業を持つ会社ほど、営業所技術者の層が1級の1人に依存していないかを点検してください。層が1人しかない状態は、「特定を維持できない」ではなく「許可そのものを失う」に直結します。

9-4. 変更届の期限と、遅延したときの扱い

営業所技術者を交替させる場合の変更届は、変更後2週間以内です(手引 PDF p.22)。手続としては、表紙、様式第22号の2(変更届出書)、様式第1号 別紙4(営業所技術者等一覧表)、様式第8号(営業所技術者等証明書)、資格を証明する書類の提出および社会保険関係書類の提示が必要になります。技術者を交替させる場合は、従前の技術者を削除し、新技術者を追加する手続が必要なため、様式第8号は2枚必要です(審査要領 PDF p.21)。

期限を落とすとどうなるか。手引は「期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります」と明記しています(手引 PDF p.22)。岡山県の審査要領は、経管・営業所技術者等の変更届について「届出書の提出日が法定の提出期限の2倍を超えて遅延した場合には、業務改善報告書の提出を受けた上で、届出を受付する」としています(審査要領 PDF p.36)。

なお、変更届に法定手数料は不要です(手引 PDF p.22)。

9-5. 許可のその先——維持と、公共工事への展開

営業所技術者を確保して許可を取った後、毎年・数年ごとに次の手続が発生します。

  • 事業年度終了報告:決算日から4か月以内に、事業年度終了の変更届出書の提出が必要です(手引 PDF p.22)。この報告に添付する工事経歴書から、7-4 で述べた技術者の配置状況が確認されます
  • 更新許可申請:許可の有効期間は許可日から5年間。更新許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておく必要があります(建設業法施行規則第5条/手引 PDF p.13・p.21)。申請は有効期間満了の日の3か月前から可能です
  • 営業所技術者の変更届:交替のたびに、変更後2週間以内(手引 PDF p.22)

公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審と、公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です(手引 PDF p.24)。経審では技術職員名簿を作成するため、営業所技術者を含む技術者の資格が評点に直結します。経審の流れは経審申請を岡山で依頼するならにまとめています。

これらの期限をまとめて管理するために、当事務所では顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。

プラン月額(税込)主な内容
ライト5,500円必要な業務の範囲に合わせてご案内します
スタンダード11,000円必要な業務の範囲に合わせてご案内します
フル15,000円事業年度終了報告(44,000円相当)+経審 経営状況分析(33,000円相当)+経審 経営規模等評価・総合評定値請求(55,000円相当)+入札参加資格更新(33,000円相当・2年に1回)+月次相談・期限管理

期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問契約の範囲、申請の代理実行はスポット報酬という切り分けです。更新業務だけで毎年132,000円、入札参加資格更新が2年に1回33,000円かかるところ、フルプランなら月15,000円(年180,000円)の定額になります。金額は税込の目安で、案件内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。

新規で許可を取る際に必要な書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般に、設立したばかりの会社が営業所技術者と経管をどう揃えるかは設立したばかりの会社で建設業許可は取れる?にまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q社内に資格を持っている人がいません。建設業許可は諦めるしかありませんか?
A諦める前に3つのルートを検討する価値があります。①実務経験ルートの再点検(許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があれば営業所技術者になれます。指定学科を修了していれば5年または3年に短縮され、1級・2級の検定合格があれば合格後3年・5年で足ります)、②既存社員に資格を取らせる、③有資格者を常勤で採用する、という3つです。まずは①から当ててください。追加コストがかからず、社会保険の加入履歴と勤続年数を突き合わせるだけで「あと何年足りないか」が数字で出ます。なお実務経験には、技術を習得するための見習中の技術的経験や、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験も含まれます(手引 PDF p.82)。
Q資格を持っている職人を営業所技術者にすれば、その人は今までどおり現場に出られますか?
A原則として出られません。手引は「営業所技術者等を工事現場に配置することは原則的にはできません。これは主任技術者及び監理技術者としては無論のこと、一般作業員としても同じです」と明記しています(手引 PDF p.181)。例外として、技術者の専任性が求められない工事で、当該営業所で請負契約が締結され、工事現場と営業所が近接して常時連絡をとりうる体制にあるものについては兼任が認められますが、限定的に解釈され、隣接県を超えて配置された場合は原則として遠方と判断されます(手引 PDF p.181-182)。規模のある工事を受注する予定があるなら、営業所に置く人と現場に出る人を分けて考えてください。
Q他社から出向で技術者に来てもらえば、許可は取れますか?
A許可自体は取得できる可能性がありますが、それだけでは工事を受けられなくなる場合があります。在籍出向・派遣では現場に配置する主任技術者になれないため、その業種で要件を満たす人が在籍出向社員等しかいないと、請負金額の多寡を問わず請負契約を行うことができないと手引が明記しています(手引 PDF p.182)。出向者の常勤性がどう認定されるか、企業集団内の出向という例外に当たるかといった判定は、常勤性の記事に整理しています。個別の事情によって判断が分かれるため、構成が固まる前にご相談ください。
Q2級の検定に合格しました。すぐに営業所技術者になれますか?
A業種と資格によります。技術検定は合格しただけでは足りず、級によって合格後に一定年数の実務経験を求められる場合があります(2級なら合格後5年以上/手引 PDF p.9)。また岡山県の審査要領は、第2種電気工事士、電気主任技術者、給水装置工事主任技術者、職業能力開発促進法による2級資格などについて、資格取得後(免許等の交付後)一定期間の実務経験が必要な点に十分注意するよう促しており、資格取得の時期により必要な実務経験期間が異なる場合があるとしています(審査要領 PDF p.23)。加えて、証明書類がいつ手元に揃うかも申請日を左右します。岡山県の審査要領は資格の種類ごとに証明書類の取扱いを定めており、資格によっては交付までに数か月を要します(審査要領 PDF p.23)。どの資格が使えるか、いつから申請できるかは業種と資格によって異なるため、個別にご確認ください。
Q営業所技術者が辞めることになりました。後任を探す時間はありますか?
A制度上の猶予はありません。岡山県の審査要領は「経管・営業所技術者等が死亡・退職し、次の経管・営業所技術者等が就任するまでの間に1日でも空白の期間が生じる場合には、法第29条第1項第1号に該当するため、廃業届の提出が必要である」と定めています(審査要領 PDF p.33)。手引も、常勤性を要する営業所技術者等を欠く状態になった場合、代わりになる方がいなければ許可を失うとし、「欠く」状態には退職・死亡だけでなく毎日出勤することができなくなった場合も含まれる(長期入院は社会保険等の資格が継続していても「欠く」状態とみなされる)としています(手引 PDF p.22)。変更届は変更後2週間以内です。退職の申し出を受けてから動くのでは間に合わないため、日付を接続させる形で後任を確保する設計が必要です。なお、役員が営業所技術者を兼ねている場合、役員を退いても常勤の職員として残れば営業所技術者を続けられます(審査要領 PDF p.33)。

まとめ

「営業所技術者(旧:専任技術者)になれる人がいない」は、建設業許可でよくある行き止まりですが、当たる順番が決まっているというのが結論です。

  • まず①実務経験ルートの再点検。追加コストがゼロで、今日から着手できます。見習中の技術的経験も設計に従事した経験も含まれ(手引 PDF p.82)、指定学科の修了があれば10年ではなく5年・3年に短縮されます(手引 PDF p.9)。監理技術者資格者証があれば、有効期限が切れていても実務経験の認定に使えます(審査要領 PDF p.23)。ただし年数は原則として社会保険加入期間で数え、工期の空白が4か月以上あれば控除されます(手引 PDF p.82-83)。
  • 足りなければ②資格取得か③採用。分岐は「いつまでに許可が必要か」です。②は合格後にさらに実務経験年数が必要な型(審査要領 PDF p.23)と証明書類の交付時期に注意。③は在籍出向・派遣だと現場に技術者を置けず、実質的に請負契約ができなくなるという落とし穴があります(手引 PDF p.182)。
  • 岡山県ならではの近道が1つ。岡山県知事許可業者で過去に営業所技術者だった方を迎える場合、「確認申立書」の提出により経験に係る調査が省略され、常勤性の確認のみになります(審査要領 PDF p.16)。採用候補を比較する際の判断材料になります。
  • そして、営業所技術者は原則として工事現場に出せません(手引 PDF p.181)。主任技術者としても一般作業員としても同じです。近接した少額工事という例外はありますが限定的に解釈され、隣接県を超えると遠方と判断されます(手引 PDF p.182)。規模のある工事を狙うなら「営業所に1人、現場に1人」が実質的な最低ラインです。
  • 確保したあとは、空白を作らないこと。次の営業所技術者が就任するまでに1日でも空白があれば、廃業届の提出が必要になります(審査要領 PDF p.33)。

どのルートを選ぶかは、「誰が、どの業種で、どの書類で立証できるか」でほぼ決まります。記憶の年数ではなく、社会保険の加入履歴と契約書の現存状況から逆算するのが現実的です。「うちはどのルートなら現実的か」を、まずは無料相談で棚卸ししてみてください。要件の全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断から確認できます。

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