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建設業許可の社会保険要件|未加入だと取れない?適用除外の判断【岡山】

建設業許可の社会保険要件|未加入だと取れない?適用除外の判断【岡山】

「うちは社会保険に入っていないけれど、建設業許可は取れますか」——新規取得の場面で、経営業務の管理責任者・営業所技術者(旧:専任技術者)に続いて論点になりやすいのがこれです。

結論を先に言います。

  1. 加入義務がある保険に入っていなければ、建設業許可は受けられません。 「適切な社会保険に加入していること」は、岡山県の手引が掲げる許可要件のひとつだからです(手引 PDF p.8)。これは令和2年10月から要件になったもので、新規だけでなく更新でも同じです(審査要領 PDF p.19)。
  2. ただし「未加入」と「適用が除外される」はまったく別物です。 手引の要件は「全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行っていること(ただし、適用が除外される場合を除く。)」と書かれています(手引 PDF p.8)。そもそも加入義務がない会社・事業主は、入っていないまま申請できます。
  3. したがって最初にやるべきことは「加入」ではなく「自社に加入義務があるかの確定」です。 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つは、それぞれ適用の判断基準が違います。法人か個人か、従業員が何人か、建設国保に入っているか——ここが整理できていないと、そもそも申請書に何と書けばよいかが決まりません。

そして、実務でいちばん時間を失うのはここです。加入義務があるのに未加入だった場合、「届出をした」だけでは申請できません。 岡山県が求める裏付け資料は原則として保険料の領収書等であり、しかもその領収書には有効期間が定められています(手引 PDF p.72)。つまり、加入 → 保険料の納付 → 領収書の取得 → 有効期間内に申請、という順序と日程を先に組む必要があります。

本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、①要件としての位置づけ ②3つの保険の適用判断 ③様式第7号の3で県が見ているもの ④裏付け資料と有効期限 ⑤未加入のまま進めた場合の帰結 ⑥加入から申請までの逆算を、手引と審査要領の記述に沿って整理します。許可要件の全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断にまとめていますので、そちらとあわせてご覧ください。

※ 社会保険の適用の有無は、事業形態・従業員数・雇用契約の内容という個別の実態によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の事業者について結論を保証するものではありません。社会保険の適用の有無そのものは年金事務所・岡山労働局の所管ですので、そちらでご確認ください。 そのうえで、建設業許可の可否・要件を満たすかどうかの最終判断は、有資格者(行政書士)にご確認ください。

1. まず位置づけ|「適切な社会保険に加入していること」は許可要件の一部

1-1. 手引のどこに書かれているか

意外に知られていませんが、社会保険は独立した章に置かれているわけではありません。岡山県の手引は、一般建設業の許可要件を次の順で並べています(手引 PDF p.7-10)。

区分要件
(1)経営業務の管理を適正に行うに足りる能力①建設業に関し経営業務の管理経験等を有する常勤役員等を置くこと②適切な社会保険に加入していること
(2)営業所技術者等営業所ごとに一定の資格又は経験を持つ技術者を専任で置くこと
(3)誠実性請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
(4)財産的基礎500万円以上の資金調達能力・自己資本500万円以上・許可を受けて5年継続営業のいずれか
(5)欠格要件に該当しないこと建設業法第8条各号のいずれにも該当しないこと

つまり、社会保険は(1)「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」の②として置かれています(手引 PDF p.8)。経管(常勤役員等)と同じ枠のなかに入っている、という構造です。

これは条文の並び順の話にとどまりません。「人を雇って工事を請け負う体制が整っているか」を見る要件群のなかに社会保険が置かれているということであり、後述するとおり、常勤性の確認・経験年数の確認・決算書の内容確認と、実際に何本も接続しています。

各要件の全体像と、自社が満たせているかの見取り図は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断に整理しています。本記事はそのうち「適切な社会保険に加入していること」だけを深掘りします。

1-2. いつから要件になったのか

岡山県の審査要領は、次のように明記しています(審査要領 PDF p.19)。

「令和2年10月から、適切な社会保険に加入していることが許可の要件となった。健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行っていることが必要である。更新申請においても、適切な社会保険に加入していない場合は許可することができないので注意すること。

ここで押さえておきたいのは後半です。「令和2年より前から許可を持っている会社は関係ない」という理解は誤りで、更新のたびに確認されます。許可を持っている会社が保険から抜けた場合、次の更新で止まることになります。

1-3. 提出する様式は「様式第7号の3 健康保険等の加入状況」

社会保険の状況を申告する様式は、様式第7号の3「健康保険等の加入状況」です。岡山県の必要書類一覧では、新規申請・更新申請・追加申請/般特新規申請のいずれにも「○」が付いており、常に必要な書類として扱われています(手引 PDF p.169)。

手引の様式解説も、必要になる場面を次のように示しています(手引 PDF p.71)。

  • 新規・更新・追加・般特新規申請の場合
  • 保険の加入状況に変更が生じた場合
  • 従業員数のみに変更がある場合は、決算終了後4か月以内に提出する事業年度終了報告の際に併せて添付

つまりこの様式は、「取るとき」だけでなく「持ち続けるあいだ」も繰り返し出すことになる様式です。9章で改めて触れます。

なお、この様式は令和2年10月1日以降の提出分から様式が変わっています(旧様式:様式第20号の3)。手引は「新様式で提出してください」と明記しています(手引 PDF p.71)。古いひな型を使い回している事業者は、その時点で差し替えが必要です。

必要書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般にまとめています。

2. 3つの保険の「適用」判断|法人か個人か、従業員が何人か

2-1. 要件の条文は「適用事業所であることの届出」

1-2で引いた審査要領と同じ内容が、手引にも許可要件として置かれています。対象は健康保険・厚生年金保険・雇用保険の3つで、条文の末尾には次のただし書が付きます(手引 PDF p.8・p.71)。

「(前略)届出を行っていることが必要です(ただし、適用が除外される場合を除く。)。

読み解くポイントは3つです。

  1. 対象は3つ——健康保険・厚生年金保険・雇用保険。労災保険は、この要件の文言には含まれていません。
  2. 求められているのは「届出を行っていること」——適用事業所(適用事業)に該当するなら、その届出が済んでいることが要件です。
  3. 「ただし、適用が除外される場合を除く。」——このただし書が本記事の中心です。適用が除外されるなら、入っていないことが要件違反にはなりません。

2-2. 岡山県の手引が示す「強制適用」の目安

手引は、経管や営業所技術者の常勤性を確認する文脈で、社会保険の強制適用について次のように書いています(手引 PDF p.60)。

「社会保険適用事業所(建設業関係では全ての法人と、5人以上の従業員を雇用する個人経営の事業所が強制適用事業所です。詳しくは、年金事務所で確認してください。)」

同趣旨の記載は、営業所技術者等一覧表の解説にもあります(手引 PDF p.46)。「建設業関係では全ての法人と5人以上の従業員を雇用する個人事業主が強制適用事業所」という整理です。

したがって、健康保険・厚生年金保険については、おおまかに次のように分かれます。

事業形態健康保険・厚生年金保険
法人(手引の文言は「全ての法人」)強制適用事業所(手引 PDF p.46・p.60)
個人事業主で従業員5人以上強制適用事業所(手引 PDF p.46・p.60)
個人事業主で従業員4人以下適用が除外される場合として様式にコード「2」を記入(手引 PDF p.69・p.70)

ただし、この表はあくまで手引が示している目安です。手引は、上に引いた同じ括弧の中に続けて「詳しくは、年金事務所で確認してください」と書いています(手引 PDF p.60)。適用の有無を最終的に判断するのは建設業の許可行政庁ではなく、年金事務所・労働局です。 自社が「全ての法人」に当たるから必ず強制適用になる、と決めつけて様式にコード「1」や「2」を書き込む前に、個々の事業所についての判断は必ず所管の窓口で確認してください。手引が要件の文言に「ただし、適用が除外される場合を除く。」というただし書を置き(手引 PDF p.8)、様式の備考欄に「加入義務がないかを確認し」と書かせている(手引 PDF p.69)のは、この当てはめを申請者側に確認させる建て付けだからです。

2-3. 雇用保険の「適用が除外される場合」

雇用保険は、健康保険・厚生年金とは別の物差しで判断します。手引の記載要領は、様式の「雇用保険」欄について次のように定めています(手引 PDF p.70)。

「適用事業となつたことについて公共職業安定所の長に対して届出を行つている場合は『1』を、従業員が1人も雇用されていない場合等の雇用保険法の適用が除外される場合等は『2』を、(中略)継続事業の一括の認可に係る営業所については『3』を記入すること。」

さらに手引の記入例は、雇用保険で「2」(適用除外)になる例として次を挙げています(手引 PDF p.69)。

  • 全員が役員の場合
  • 営業所が雇用保険非該当承認を受けている場合 など

ここで注意していただきたいのは、手引が挙げているのはあくまで様式のコード「2」の記入例だということです。「全員が役員の場合」の後ろにも「など」が付いています(手引 PDF p.69)。加入義務があるかどうかは雇用保険法の適用の問題であり、手引自身も同じページで「加入義務がないかを確認し」と求めています。確認先は岡山労働局と明示されています(手引 PDF p.69)。したがって「法人だから3つとも入っていないと駄目だ」という思い込みは、この時点で崩れます。ただし、その裏返しで「役員だけの会社だから雇用保険は要らない」と自己判断してコード「2」を書き込むのも、同じくらい危険です。 手引が挙げているのは記入例であって、加入義務の有無そのものを判定したものではないからです。コード「2」を書く前に、岡山労働局に確認してください(3-2のとおり、確認した理由・部署名・確認日時は様式の余白に書くことになります)。まして、アルバイトを1人でも雇っている場合は、雇用保険の側で判断が変わり得ます。

なお、非該当承認については、「事業所非該当承認通知書の写し」を「承認申請をしている場合」に添付する、と必要書類一覧に明記されています(手引 PDF p.169)。条件は「承認を受けている場合」ではなく「承認申請をしている場合」です。 承認がまだ下りていない申請中の段階でも添付の対象になりますので、「通知書がまだ来ていないから不要」と判断しないでください。

2-4. 「適用除外だから何も出さなくてよい」ではない

ここが最初の落とし穴です。適用が除外される場合でも、様式第7号の3そのものは提出します(手引 PDF p.169・新規/更新/追加のいずれも「○」)。加入していないことを申告するために様式を出す、という構造です。

そのうえで、後述する3章のとおり、適用除外を主張する場合には様式の余白に理由・確認先・確認日時を書くことが求められます(手引 PDF p.69)。「入っていないから空欄で出す」では通りません。

2-5. 個人事業主・一人親方の場合

個人事業主については、事業主本人が経管や営業所技術者になる場合の取扱いが別に定められています。手引は、県民局調査での常勤性確認について「個人事業主本人が常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等となる場合、雇用保険及び社会保険関係の書類は不要です」と明記しています(手引 PDF p.18)。事業主本人は自分を雇用しているわけではないため、雇用関係を示す書類で常勤性を測る仕組みになっていない、という整理です。

一人親方として働いてきた方が許可を取る場合の全体像(個人で取るか法人にするか、実務経験をどう組み立てるか)は一人親方が建設業許可を取るには個人事業主の建設業許可|個人で取る?法人化してから取る?に整理しています。本記事は社会保険の論点に絞ります。

3. 「未加入」と「適用除外」は別物|様式第7号の3で岡山県が見ているもの

様式第7号の3は、一見すると数字を書き込むだけの1枚です。ところが、岡山県の手引と審査要領は、この1枚についてかなり細かい運用を定めています。ここを外すと補正が発生し、日程が後ろにずれます。

3-1. 「保険加入の有無」欄は人数ではなくコードを書く

手引の記入例は、「保険加入の有無」欄について次のように注記しています(手引 PDF p.69)。

「この点線部分へは、人数ではなく次のコードを記載する。

1:適用事業所、適用事業の届出を行っている場合

2:適用が除外される場合

3:一括適用の承認を受けている場合(「事業所整理記号等」欄は「本店一括」などと記入)」

「2」の具体例として挙げられているのは次のとおりです(手引 PDF p.69)。

  • 健康保険について建設国保に加入(「事業所整理記号等」欄は「建設国保」と記入)
  • 従業員4人以下の個人事業主 など
  • 雇用保険について、全員が役員の場合営業所が雇用保険非該当承認を受けている場合 など

この「2」という枠があること自体が、「未加入=即アウト」ではないことの制度上の答えです。よくある誤解として「保険に入っていない欄があると許可が下りない」というものがありますが、正しくは「加入義務があるのに『2』を主張している場合に問題になる」です。

3-2. ★適用除外を主張するなら、余白に「理由・確認先・確認日時」を書く

ここが、他ではまず解説されていない岡山県固有の運用です。手引の記入例は、備考欄について次のように指示しています(手引 PDF p.69)。

「この欄には、合計欄の( )内の人数とその上の人数とに差がある場合であって、適用除外を主張される場合には、加入義務がないかを確認し、適用除外となる理由並びに確認先(部署名も記載すること)及び確認日時をこの欄に記入すること。

【確認先】(1)健康保険・厚生年金保険 → 日本年金機構の年金事務所 (2)雇用保険 → 岡山労働局」

読み替えると、こういうことです。

  • 総従業員数と、そのうちの役員・個人事業主本人の数に「差がある」=役員以外の従業員がいる、という状態で
  • それにもかかわらず適用除外を主張するなら
  • 自分で年金事務所・岡山労働局に確認したうえで、その理由・確認した部署名・確認日時を様式に書け、という運用です。

つまり岡山県は、適用除外の当否を自分では判定せず、「所管窓口で確認した事実」を書かせることで担保しています。 ここを空欄のまま出すと、当然ながら確認を求められます。逆に言えば、適用除外で進める場合、年金事務所・労働局への確認は「やっておいたほうがよい」ではなく「様式に書く材料として必要」だということです。確認した日時と部署名は、その場でメモしておいてください。

3-3. 従業員数の記載ルール——岡山県の細かい運用

「合計欄の( )内の人数とその上の人数」と書きましたが、この従業員数をどう記載するかにも定めがあります。手引の様式解説は次のとおりです(手引 PDF p.71)。

「【従業員数】常勤・非常勤を問わず、役員、個人事業主本人、建設業以外に従事する従業員も含めた総従業員数を記載し、( )内には、そのうち役員又は個人事業主本人(個人事業主の同居の親族である従業員を含む。)の数を再掲してください。」

審査要領も同じ内容を定めたうえで、さらに踏み込んだ運用を書いています(審査要領 PDF p.19-20)。

「この取扱いにおいて、法人の場合であって、役員ではないが役員の同居親族従業員であって雇用保険の加入対象外となる者については、従業員数には含めるが、( )内には含めないこととし、様式余白にその旨を記載する。

法人で、役員の同居親族を従業員として雇っている——建設業ではありふれた形です。この場合、その人は分子(総従業員数)には入るが、( )内には入らない。そしてその旨を様式の余白に書く必要があります。3-2の「差がある場合」の話と直結しており、書いておかないと「従業員がいるのに雇用保険が2になっている」という見え方になります。

一方で、こういう定めもあります(審査要領 PDF p.20)。

「『営業所の名称』の欄には、営業所一覧表(別記様式第一号別紙二)に記載された営業所のみについて、営業所一覧表に記載された順番で記載すること。兼業のみの営業所は、この様式に記載しないため、当該営業所に勤める従業員は、この表に記載する必要はない。

手引の「建設業以外に従事する従業員も含めた総従業員数」(手引 PDF p.71)と、審査要領の「兼業のみの営業所に勤める従業員は記載不要」(審査要領 PDF p.20)は、対象が違います。建設業を行う営業所に所属していれば、その人が建設業以外の仕事をしていても数に入る。建設業を行っていない(兼業のみの)営業所は、そもそも様式に載せないので、そこの従業員も載せない——という切り分けです。手引の記入例にも「建設業を行っていない営業所は記載不要です」と明記されています(手引 PDF p.69)。

建設業と兼業を両方やっている会社では、ここの整理を先にやっておく価値があります。

3-4. 「事業所整理記号等」欄の書き分け

記入例は、番号欄についても書き分けを示しています(手引 PDF p.69)。

保険書くもの
健康保険「事業所整理記号-事業所番号」/健康保険組合の場合は組合名建設国保に加入の場合は「建設国保」
厚生年金保険「事業所整理記号-事業所番号」
雇用保険「労働保険番号」

審査要領は、この雇用保険欄について注意喚起をしています(審査要領 PDF p.20)。

「雇用保険については『事業所番号』と書き間違えていないか、労災保険や一般拠出金の労働保険番号と間違えていないか注意すること。」

わざわざ審査要領に書かれているということは、そこで実際につまずく申請が相応にあるということです。 手元の書類のどの番号を写すのかを、書き始める前に確定させてください。

なお、健康保険法第34条第1項・厚生年金保険法第8条の2第1項の一括適用の承認を受けている営業所、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第9条の継続事業の一括の認可に係る営業所は、コード「3」を記入し、「事業所整理記号等」欄には「本店(○○支店等)一括」と記載します(手引 PDF p.69・p.70)。複数営業所を持つ会社では確認が必要な項目です。

3-5. 記号や番号が変わったときは、裏付け書類の添付が必要

審査要領は、記載内容の変更についても定めています(審査要領 PDF p.20)。

「記載内容のうち、労働保険番号や事業所整理記号、事業所整理番号の変更については、社会保険料の領収済額通知書や雇用保険の概算確定保険料の申告書、新規適用の通知書の写しの添付が必要である。」

「雇用保険のみ加入の有無が変更になった場合又は、健康保険・厚生年金の加入の有無が変わった場合であっても3保険について記載する。

「変わったのは1つだけだから、そこだけ書けばよい」ではありません。様式には常に3保険とも書く。ただし裏付け資料は変更のあったものだけでよい、という運用です(審査要領 PDF p.20)。

4. 添付する資料と有効期限|性格の違う2種類の書類を混同しない

ここが本記事でもっとも実務的な章です。社会保険に関して岡山県に出す書類は、性格の異なる2種類があります。 これを1種類だと思っていると、窓口で足りなくなります。

4-1. 2種類の書類——「会社が入っているか」と「その人が常勤か」

#何を証明するか代表的な書類扱い
A事業所として保険に加入しているか(様式第7号の3の裏付け)健康保険・厚生年金=保険料の領収書等/雇用保険=保険料申告書+領収書提出(非閲覧用3部すべての一番後ろにつづり込む・手引 PDF p.72)
Bその人が常勤しているか(経管・補佐者・営業所技術者の常勤性)健康保険被保険者証(有効期限内)又は直近の厚生年金標準報酬決定通知書の写し提示のみ(つづらず1部だけ・手引 PDF p.151・p.169)

Aについて、手引は次のように明記しています(手引 PDF p.72)。

※令和2年10月1日以降、提示ではなく「提出」資料に変更されています。非閲覧用3部全ての一番後ろにつづり込んでください。

「※書類はいずれも写しで構いませんが、原本の存在を確認した上で、原本を直接コピーした書面を提示してください。不鮮明なものの提出は認められません。

Bについては、必要書類一覧が「③確認資料(☆つづらず1部のみ提示)」の枠に置いています。内容は「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)、常勤役員等を直接に補佐する者、営業所技術者等の健康保険被保険者証(有効期限内のもの)又は直近厚生年金標準報酬決定通知書の写し」です(手引 PDF p.169)。手引本文にも「常勤であることを確認するために社会保険の写し等を提示します。確認のみのため、つづらず一部だけ提示してください」とあります(手引 PDF p.151)。

Aは「つづり込んで提出」、Bは「つづらずに提示」。 綴じ方まで違います。ここは実際に申請書を組む段階で最初につまずくところなので、書類を集める時点で分けておいてください。

補佐者体制(常勤役員等を直接に補佐する者)を組む場合、Bの対象に補佐する者も含まれます(手引 PDF p.169)。補佐者体制そのものの要件は経管を補佐者体制で満たすには|常勤役員等を直接に補佐する者に整理しています。

4-2. Aの中身——保険ごとに必要なもの

手引は、加入している場合に必要な資料を保険ごとに列挙しています(手引 PDF p.72)。

1 健康保険・厚生年金

  • 健康保険・厚生年金の両方を年金事務所で加入している場合 → 年金事務所発行の保険料領収書
  • 健康保険は健康保険組合に加入している場合 → 健康保険組合発行の保険料領収書+年金事務所発行の保険料領収書(厚生年金分)
  • 健康保険は建設国保に加入の場合 → 加入者全員が記載された加入証明書(発行から3か月以内)又は加入者全員分の組合員証の写しいずれも提示で可)+年金事務所発行の保険料領収書(厚生年金分)

2 雇用保険

  • 自社で申告納付 → 労働(雇用)保険の保険料申告書+その申告書により納付した保険料の領収書(写し可)
  • 口座振替 → 保険料申告書+口座振替結果のお知らせハガキ(写し可)。手引はわざわざ「口座振替日のお知らせ、ではないので注意してください」と注記しています
  • 電子納付 → 右上に労働局の受付番号の入った保険料申告書のみ
  • 労働保険事務組合に委託 → 事務組合発行の保険料納入通知書(写し可)+その通知書により納付した領収書(写し可)

また、様式の見本には「雇用保険に係る申告書でなければなりません(労災保険のみのものは不可)」という注記が付いています(手引 PDF p.74)。労働保険は労災と雇用がセットで動くため、手元の申告書が労災のみのものになっていないかを確認してください。

4-3. ★有効期間——ここで申請日が決まる

本章でもっとも見落とされやすいのがこれです。 手引は、各書類の有効期間を次のように定めています(手引 PDF p.72)。

書類有効期間
納入証明書発行日が3か月以内のもの
健康保険・厚生年金の保険料領収書発行日が2か月以内のもの
それ以外のもの直近のもの

つまり、健康保険・厚生年金の領収書は「2か月以内」という、かなり短い窓を持っています。書類一式を半年かけて集めるような進め方をすると、最初に取った領収書が申請時点で期限切れになります。

これは、残高証明書の「受付日から1か月以内」(手引 PDF p.9)と並んで、申請日から逆算して取得タイミングを決めるべき書類です。残高証明の段取りは建設業許可の残高証明書はいつ・いくら必要?基準日と有効期限に整理していますので、両方を同じカレンダーの上に置いて考えてください。

4-4. 領収書が無い・出ないときの代替

「領収書を失くした」「そもそも発行されない」というケースにも、手引と審査要領が答えを用意しています。

  • 領収書を紛失した場合は、年金事務所や組合などが発行した納入証明書で代えることができます。雇用保険については、岡山労働局で取得した「労働保険(労災・雇用)加入・労働保険料等納付証明書」で代えることも可能です(手引 PDF p.72)
  • 概算保険料額との相殺により、雇用保険料の今期納付額が0円の場合は、その内容がわかる申告書の写しのみの提出で構いません(手引 PDF p.72)
  • 「労働(雇用)保険の保険料申告書」を金融機関に提出した場合、申告書に確認印・受付印が無くても、金額・会社情報・労働保険番号等が金融機関の領収印のある領収書と一致すれば、確認資料として認められます(申告書と領収書が両方あることが前提・審査要領 PDF p.20)
  • 口座引落しの場合は、引落し後の通知ハガキを領収書の代わりに添付します(口座引落としのお知らせ(納入通知)は不可)。領収書及び通知ハガキが存在しない場合は、通帳の写しでも可とされています(審査要領 PDF p.20)
  • 電子申請で納付した場合は領収書の発行がないため、労働局の受付番号(申告書右上に印字)が記載された申告書のみの提出でも可(審査要領 PDF p.20)
  • 雇用保険については、「雇用保険加入・雇用保険料等納付証明願(様式1・2・5・6のうちいずれか)」に労働局の証明を受けたものの添付でもよい(審査要領 PDF p.20)

代替手段はかなり用意されています。 「領収書が見当たらないから申請できない」と止まる必要はありませんが、代替書類の取得にも日数がかかるという点は工程に織り込んでください。

5. 未加入のまま申請・維持するとどうなるか

5-1. 申請の段階——許可できない

1-2で見たとおり、審査要領は更新申請でも、適切な社会保険に加入していなければ許可することができないと明記しています(審査要領 PDF p.19)。新規はもちろん、更新でも同じです。「今回だけ見逃してもらう」という余地が制度上ありません。

しかも岡山県は、申請書の受付にあたって事前審査を一切行わない運用です(手引 PDF p.16)。窓口で相談しながら足りない部分を埋めていく、という進め方ができません。社会保険の状態は、書類を持って行く前に決着させておく必要があります。

5-2. 許可を取得した後——要件を欠く状態になる

許可を取った後に社会保険から抜けた場合、その状態は手引が定める「①許可要件を欠く場合」に当たります。手引は、この見出しのもとで「適切な社会保険への加入を怠った場合」を明示しているからです(手引 PDF p.23)。

社会保険への加入を怠ることは、経管や営業所技術者等を欠くこと・役員等が欠格要件に該当することと同じ列に並べられています。 そして、他の許可要件を欠いた場合と同じく、速やかに廃業届が必要になります(手引 PDF p.23)。「保険料が苦しいので一時的に抜ける」という選択が、許可の維持と直結していることを意味します。

なお、法令違反は監督処分の対象で、事案によっては建設業法第47条等の罰則が適用され得ます(手引 PDF p.23)。欠格要件そのものの読み方と、欠格要件に該当したときの手続は建設業許可の欠格要件とは|破産・前科があっても取れる?に整理しています。

5-3. 加入状況が変わったら2週間以内に届出

審査要領は、変更届の期限を次のように定めています(審査要領 PDF p.19)。

保険の加入状況(事業所整理記号等を含む。)に変更が生じた場合、変更が生じた日から2週間以内に届出が必要である。前回提出済の当該様式に記載されている従業員数のみについて、変更が生じた場合には、直後の事業年度終了報告に添付して提出すること。」

手引の変更届出事項の一覧でも、「健康保険等の加入状況」の提出期限は2週間以内とされています(手引 PDF p.30・p.170)。

5-4. ★ただし、この変更届の遅れには業務改善報告書を求めない

ここは実務家として押さえておく価値のある例外です。岡山県は、変更届の提出が法定期限の2倍を超えて遅延した場合、原則として業務改善報告書の提出を求めたうえで届出を受け付ける運用をとっています(審査要領 PDF p.36)。ところが、社会保険に関してはこう定めています。

「(11)加入状況の変更に伴う変更届について、提出遅延による業務改善報告書は徴収しないこととする。」(審査要領 PDF p.20)

「(5)健康保険等の加入状況の変更届については、変更事由の発生日の把握が困難であること、変更事由の届出から正式な事業所整理記号が決定するまでに2週間以上要するなどのことから、業務改善報告書は徴さない。」(審査要領 PDF p.37)

理由まで明記されています。変更事由の届出をしてから正式な事業所整理記号が決まるまでに2週間以上かかるので、2週間以内の届出が物理的に成立しない場面がある——という現実に合わせた運用です(審査要領 PDF p.37)。この「2週間以上」は変更届についての記述であり、新規に適用事業所の届出をした場合の所要期間を定めたものではない点に注意してください。

ただし、これは「届け出なくてよい」という意味ではありません。 期限内提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等ができず、監督処分や罰則の対象にもなる、という原則は変わっていません(手引 PDF p.22)。遅れた場合のペナルティが緩和されているだけで、届出義務は生きていると理解してください。

5-5. 雇用保険の加入対象者が0人になったとき

もうひとつ、実務でよく起きるのが「従業員が辞めて役員だけになった」というケースです。審査要領はこう定めています(審査要領 PDF p.20)。

「(9)雇用保険について、加入対象の従業員が0人となった場合、変更届を提出するか否かは任意とする。

ただし、適用除外となったことを届け出る場合、あらためて従業員を雇用した際には再度適用事業所となったことの変更届が必要である。」

提出は任意。ただし、いったん適用除外を届け出たなら、次に人を雇ったときにまた届け出る必要がある、という対になった運用です。「出す/出さない」を選べる代わりに、出したなら以後の管理も自分で追うことになります。従業員の増減が読めない会社では、この選択自体が管理コストの分かれ目になります。

6. 加入から申請までの順序|逆算スケジュールと、設立直後の救済ルート

6-1. 順序を間違えると、書類が出ない

社会保険が未整備の状態から許可申請までを組む場合、順序は次のようになります。

段階やること根拠・注意
適用の有無を確定する(年金事務所・岡山労働局)適用除外を主張するなら、確認した理由・部署名・確認日時を様式余白に書く(手引 PDF p.69)
適用があるなら適用事業所(適用事業)の届出を行う要件は「届出を行っていること」(手引 PDF p.8)
事業所整理記号・労働保険番号が確定するのを待つ様式には「事業所整理記号-事業所番号」「労働保険番号」を書くため、番号の確定を待つ必要がある(手引 PDF p.69)。なお岡山県は変更届について「変更事由の届出から正式な事業所整理記号が決定するまでに2週間以上要する」としている(審査要領 PDF p.37。新規適用の所要期間を定めたものではない)
保険料を納付し、領収書等を受け取る提出資料は原則として保険料領収書等(手引 PDF p.72)
有効期間内に申請する健保・厚年の領収書は発行日が2か月以内(手引 PDF p.72)
申請受付 → 県民局の営業所調査(受付後半月程度) → 許可(概ね2か月程度手引 PDF p.16-17

②と④のあいだにギャップがある、というのがこの表の要点です。「加入手続きをした」だけでは、原則として提出できる資料が手元に生まれません。保険料を1回でも納付して領収書が出る状態にするまでを、工程に入れてください。

6-2. ★法人設立直後で番号が出ていない場合の救済ルート

とはいえ、「会社を作ったばかりで、社会保険の手続き中。番号がまだ出ていない」という状況は現実に起こります。岡山県はこの場面についても定めを置いています(審査要領 PDF p.20)。

「(12)法人設立後すぐに新規申請し、社会保険への加入手続き中で番号が不明な場合、その旨を審査の際に申し出た上で、様式の記入欄は空欄で提出する。県民局調査等が終わった段階で加入番号を確認できる書類を提出するとともに、様式の記入欄へ番号を記入するか、番号を記入した差替え用の様式3部を提出すること。

これは、知っているかどうかで申請に着手できる時期が変わる運用です。 番号が出るまで申請そのものを待つ必要はなく、

  1. 審査の際にその旨を申し出る(黙って空欄で出すのではありません)
  2. 様式の記入欄は空欄で提出
  3. 県民局調査等が終わった段階で、加入番号を確認できる書類を提出
  4. あわせて記入欄へ番号を記入するか、番号を記入した差替え用の様式を3部提出

という手順が用意されています。設立直後の会社が許可を急ぐ場合の、数少ない前倒し手段です。

ただし、この定めは万能ではありません。射程は原文どおり「法人設立後すぐに新規申請し、社会保険への加入手続き中で番号が不明な場合」に限られます(審査要領 PDF p.20)。押さえておきたい線引きは3つです。

  • 空欄にできるのは「様式の記入欄」=番号を書く欄だけです。様式第7号の3そのものの提出が免除されるわけではありません(手引 PDF p.169 では新規・更新・追加/般特新規のいずれにも「○」が付いています)。
  • この定めが置かれているのは審査要領です。 申請者向けの『建設業許可の手引』側には同趣旨の記載が見当たりません。手引だけを読んでいると、この扱いがあること自体に気づけません。 原文が「その旨を審査の際に申し出た上で」としているのは、申請者から先に説明することが前提だからです(審査要領 PDF p.20)。
  • 後追いで求められるのは「加入番号を確認できる書類」の提出と、番号の記入(又は番号入りの差替え様式3部)の両方です。原文は「提出するとともに」でつないでいるため、どちらか一方では足りません(審査要領 PDF p.20)。

言い換えると、この定めが正面から扱っているのは「番号が不明」という一点です。4-3で見たとおり、健康保険・厚生年金の保険料領収書には発行日が2か月以内という有効期間があり(手引 PDF p.72)、確認資料をいつ取得するかという段取りは、この定めとは別に組んでおくのが安全です。

なお、設立したばかりの会社が財産的基礎・経管・営業所技術者をどう揃えるかという全体設計は設立したばかりの会社で建設業許可は取れる?新設法人の要件に整理しています。本記事は社会保険の段取りだけを扱います。

6-3. 順序の逆転が起きやすい2つのパターン

実務で順序が崩れやすいのは、次の2パターンです。

パターン①:先に人を採用してしまう

営業所技術者を確保するために有資格者を採用したものの、社会保険の手続きが後回しになっている——という形です。採用した方の常勤性は、健康保険被保険者証(有効期限内)又は直近の厚生年金標準報酬決定通知書の写しで確認されます(手引 PDF p.169)。保険の手続きが済んでいなければ、この提示ができません。技術者の確保そのものの進め方は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法に整理しています。

パターン②:元請から期限を切られている

「今月中に許可番号が要る」と言われてから動き出すケースです。社会保険が未整備なら、①適用の確定 →②届出 →③記号決定 →④納付・領収書 →⑤申請 →⑥概ね2か月、という工程がまるごと前段に乗ります。逆算すると、社会保険の整備は申請そのものより前に置くべき作業です。

いずれの場合も、「いつ何が要るか」を先に紙に落とすことで、手戻りの大半は防げます。

7. 社会保険の記録は他の様式・決算書にも効く|使用人数・法定福利費

社会保険は「要件のひとつ」で終わりません。同じ社会保険の記録が、他の様式や決算書とも突き合わされます。 ここを知らずに書類を組むと、要件は満たしているのに様式どうしが食い違う、という事故が起きます。

7-1. 年数を測る物差しにもなる(詳細は別記事)

まず前提として、社会保険の記録は、実務経験年数や経管(常勤役員等)の経験年数を測る物差しにも使われます。 実務経験証明書(様式第9号)の「使用された期間」「実務経験年数」の始期は原則として社会保険の資格取得年月日以降とされ、未加入期間を年数に入れるには出勤簿・賃金台帳・源泉徴収票・所得証明書といった別の書類で雇用の事実を示す必要があります(手引 PDF p.82/審査要領 PDF p.24)。常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の経験年数についても同じ考え方が及び、未加入期間の常勤性は社会保険加入記録・賃金台帳・源泉徴収票・出勤簿等で個別に判断されます(審査要領 PDF p.11)。書類が揃わないときに何で代替できるか実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証に、経管の経験年数の測り方は経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法に整理していますので、そちらをご覧ください。

7-2. 「使用人数」の様式でも社会保険が基準になる

様式第4号「使用人数」の解説には、次の一文があります(手引 PDF p.55)。

常勤(社会保険加入者等)である方のみ計上してください。

この様式は、主任技術者等として工事現場に配置できる方と、営業所の営業所技術者になっている方の人数を書くものです(手引 PDF p.55)。ここでも「常勤かどうか」の目印として社会保険が使われています。 様式第7号の3の従業員数(常勤・非常勤を問わず全員/手引 PDF p.71)とは数え方が逆なので、両方の様式を同時に作るときは取り違えに注意してください。

様式数える範囲
様式第7号の3(健康保険等の加入状況)常勤・非常勤を問わず、役員・個人事業主本人・建設業以外に従事する従業員も含めた総従業員数(手引 PDF p.71)
様式第4号(使用人数)常勤(社会保険加入者等)である方のみ(手引 PDF p.55)

7-3. ★決算書とも突き合わされる——法定福利費という裏付け

これは、社会保険の論点として意外に語られない部分です。加入状況は、決算書の内容とも整合が取られます。

手引は、完成工事原価報告書について次のように書いています(手引 PDF p.130)。

「工事に従事した職員に係る法定福利費や福利厚生費を労務費と合算して税務申告してしまう例が多いようですが、建設業法による勘定科目分類の規定上は『Ⅳ 経費』欄に計上することとなっています。完成工事原価報告書で労務費が計上される場合には、少なくとも労務費の支払対象となった作業員に係る法定福利費(社会保険等の事業主負担分等)については、経費(『うち人件費』は再掲)の欄に計上されることになります。

さらに、記入例の注記はもっと直接的です(手引 PDF p.103)。

法人及び従業員5人以上の個人事業の場合は、少なくとも法定福利費が計上されることになるので、ここが0となることはありません。

つまり、様式第7号の3で「加入している」と申告しながら、決算書の法定福利費が0——という組み合わせは、書類の上で矛盾します。 逆に、法定福利費が計上されていれば、事業主負担が発生している=社会保険に入っている、という裏付けになります。

もうひとつ、区分の話も押さえておいてください。役員報酬・従業員給料手当・法定福利費等のうち、建設工事および兼業事業にかかる経費は「売上原価」に、それ以外は「販売費及び一般管理費」に別々に計上します。同一人が建設工事・兼業事業だけでなく販売や一般管理にも従事した場合は、適宜あん分して計上します(手引 PDF p.130)。事業年度終了報告を毎年出し続けるうえで、最初にここを整えておくと後がずっと楽になります。

8. 例外的な取扱い|建設国保・後期高齢者・法人成りのタイミング

建設業では、一般的な会社と違う保険の入り方が制度上用意されています。岡山県はその3つのパターンについて、それぞれ明文の運用を持っています。

8-1. 建設国保に加入している場合

建設業の事業者で最も多い例外がこれです。審査要領は、制度の理由から書いています(審査要領 PDF p.11)。

「② 全国建設工事業国民健康保険組合、岡山県建設国民健康保険組合又は全国土木建築国民健康保険組合(1種)等国民健康保険組合、国左官タイル塗装業国民健康保険組合の事業所で使用されている者は、健康保険法第3条第1項(6号該当=建設国保)の規定により、政府管掌の健康保険の被保険者となることができないため、(後略)」

「健康保険に入れない」のではなく「入れない制度になっている」という位置づけです。したがって、次のように扱われます。

様式の書き方(手引 PDF p.69・審査要領 PDF p.20)

  • 「保険加入の有無」欄は「2」(適用が除外される場合)
  • 「事業所整理記号等」欄には「建設国保」と記入
  • 協会けんぽや健康保険組合に加入している場合は「1」

確認資料(手引 PDF p.72・審査要領 PDF p.20)

  • 加入者全員が記載された加入証明書(発行から3か月以内)又は加入者全員分の組合員証の写し——いずれも提示で可
  • 審査要領も「建設国保に加入の場合、確認資料については提示を原則とし、提出の必要はない」と明記
  • なお、厚生年金保険については別途、年金事務所発行の保険料領収書が必要です(手引 PDF p.72)

常勤性の確認(審査要領 PDF p.11・手引 PDF p.18)

事業形態常勤性の確認書類
法人/常時5人以上の従業員を使用する個人事業主当該組合員証(有効期限内)及び厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書又は厚生年金被保険者資格取得確認通知書(※個人事業主本人が経管となる場合を除く)
常時使用する従業員が5人未満の個人事業主当該組合員証(有効期限内)雇用保険被保険者資格取得確認通知書又は雇用保険被保険者証(※個人事業主本人が経管となる場合を除く)

さらに、審査要領は70歳以上についての例外も置いています。「経管等が高齢(70歳以上)のため厚生年金の被保険者になることができない者については、当該経管等が記載された建設国保の加入証明書の提示で確認する」(審査要領 PDF p.11)。

建設国保は「未加入」ではありません。 制度上そうなっているだけで、様式の書き方と確認資料さえ間違えなければ、通常どおり申請できます。ここを「保険に入っていないから許可は無理だ」と誤解して相談に来られない方がいるとしたら、それはかなりもったいない話です。

8-2. 後期高齢者(75歳以上)の場合

経管や営業所技術者が75歳以上の場合、被用者を対象とした社会保険には加入できません。この場合、社会保険に代わる書類で常勤性を確認します(審査要領 PDF p.15・手引 PDF p.77)。

  1. 後期高齢者医療資格確認書又はマイナンバーカードのうちいずれか1点(提示のみ
  2. 許可申請(変更届)の直前の5年間の賃金台帳及び源泉徴収票(当該期間内に社会保険に加入していた場合は、当該期間に係る部分は社会保険の加入履歴に代えることができる)(提示のみ
  3. 常勤していること等についての申立書提出

申立書の様式は手引に収録されており、「75歳以上の後期高齢者であるため被用者を対象とした社会保険には加入できませんが、当社に常勤で勤務しており、かつ、健康状態等について担当業務を行うについて支障がないものであることに相違いない」ことを申し立てる形式です(手引 PDF p.77)。この申立書は非閲覧用に3部ともつづり込みます(手引 PDF p.77)。

補足として、審査要領は「申請又は届出業者における経管・営業所技術者等の勤務期間が上記期間(5年)に満たない場合は、当該後期高齢者が雇用されてから申請までのすべての期間に係る書類の提示を求める。(新たに雇用され給与の支払い実績がない経管・営業所技術者等については、賃金台帳等の提示は省略することができる。)」としています(審査要領 PDF p.15)。

先代が高齢で、経管を続けている——という構成もあります。この場合、社会保険ではなく賃金台帳・源泉徴収票の5年分が常勤性の証拠になるため、帳簿の保存状態がそのまま申請の可否に効いてきます。

8-3. ★法人成り(事業承継)のときの加入日——ここは取消しに直結する

これは、社会保険の論点のなかでもっとも実害が大きい箇所です。個人事業から法人へ承継する場合について、審査要領はこう定めています(審査要領 PDF p.36)。

「(3)申請から承継までの常勤性に関する注意点

承継元における経管又は営業所技術者等が承継先においても経管又は営業所技術者等となる場合、事業承継するまでは、承継元で常勤性を維持する必要がある。

法人の社会保険の加入日は、事業承継日とすること。事業承継日の前後に社会保険に加入すると、承継元又は承継先における常勤性が失われ、許可の取消しの対象となるので注意すること。

法人成の場合で経管・営業所技術者等を個人事業主時代から変更しない場合でも同様である。」

「加入日が事業承継日と1日でもずれると常勤性が失われる」という、極めてタイトな運用です。しかも、経管も技術者も同じ人のまま法人化する場合でも同じと明記されています。

  • 承継日より前に法人で加入すると → その期間、承継元(個人)での常勤性が崩れる
  • 承継日より後に法人で加入すると → その期間、承継先(法人)での常勤性が崩れる

いずれも許可の取消しの対象とされています。法人成りの手続きは、登記・税務・社会保険がそれぞれ別の期日で動くため、社会保険の資格取得日だけが後追いになりやすいのが実情です。ここは、法人設立と承継のスケジュールを組む段階で先に押さえるべき論点です。

ただし、建設国保には例外が置かれています(審査要領 PDF p.36)。

「(4)承継元の個人事業主が建設国保に加入しており、法人成後も建設国保に加入する場合の取扱い

この場合は、上記(3)の例外として、承継日前に法人として建設国保に加入することを認める。 認可申請に当たっては、承継日後の提出書類として『被保険者変更届』又は『事業所変更届』の写し(法人設立日から14日以内に事業主が申請するもの)を提出すること。」

建設国保のままで法人成りする場合だけ、承継日前の加入が認められる——というかなり具体的な救済です。届出の期限(法人設立日から14日以内)まで指定されているので、該当する場合は設立日から逆算して手続きを組んでください。

本記事が扱うのは、この「社会保険の加入日をいつに置くか」という段取りの側です。同じ規定を常勤性が切れるかどうかという側から見た論点(承継までは承継元で常勤性を維持する、他社役員との兼務や遠隔地居住で常勤性が割れる、など)は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?に整理していますので、そちらをご覧ください。また、法人成りで許可を引き継げるかどうかという全体像は法人成りで建設業許可は引き継げる?に整理しています。

8-4. 「保険に入っているのに常勤と認められない」ケースがある

最後に、境界の話に一言だけ触れておきます。社会保険に加入していても、加入先が別会社であれば、その会社での常勤が推定されます。審査要領は、同一事務所・同一建物内に他の法人があり、申請している法人以外の法人で健康保険に加入している場合は、基本的にそちらでの常勤が推定されるため、申請のあった建設業者で常勤しているものとは認められない、と定めています(審査要領 PDF p.11)。

「保険に入っていること」と「この会社で常勤していること」は別の話だ、ということです。他社役員との兼務、遠隔地からの通勤、出向といった判定が割れるケースについては、他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?に整理しています。本記事ではこれ以上踏み込みません。

9. 岡山県での手続きと、取得後の維持|提出先・営業所調査・費用と期間

9-1. 申請先は本庁一元——県民局では受け付けない

申請書も変更届も、受付を行っているのは本庁の土木部監理課建設業班だけです(手引 PDF p.168)。県民局は建設業に関わる事務の一部を担いますが、申請の窓口ではありません。提出先は県庁6階の同班で、郵送でも受け付けています(手引 PDF p.16)。本記事は書面(窓口へのご持参・郵送)による申請を前提に整理しています。

そして岡山県は、申請書の事前審査を一切行っていません。正本・副本を必要部数そろえ、日付の記入や納付済証の貼付に漏れがないことを確かめ、書類を完全に整えた状態で提出することが求められます(手引 PDF p.16)。

これは社会保険の段取りにそのまま跳ね返ります。適用の有無を所管窓口で確定させ、届出と保険料の納付を済ませ、様式第7号の3を書き終えてから申請する——この順序を崩せない、ということです。適用除外の理由・確認先・確認日時を様式の余白に書かせる運用(手引 PDF p.69)も、これと表裏一体です。窓口で「これは適用除外になりますか」と相談する場ではありません。

9-2. 常勤性は県民局の営業所調査で確認される

申請が受け付けられると、受付後半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡があります(手引 PDF p.17)。この調査で、経管・営業所技術者の現在の常勤性が確認されます(手引 PDF p.18)。

  • 法人の場合……社会保険(健康保険証(有効期限内のもの)被保険者標準報酬決定通知書又は被保険者資格取得確認通知書の原本)。これらの書類のほか、賃金台帳、出勤簿等でも確認
  • 個人の場合……雇用保険(被保険者資格取得等確認通知書又は雇用保険被保険者証の原本)、(従業員5人以上の場合のみ)社会保険(法人の場合と同じ)、賃金台帳 等
  • 個人事業主本人が経管又は営業所技術者となる場合……雇用保険及び社会保険関係の書類は不要

申請時に「提示」した書類とは別に、調査の場でも原本が求められるという二段構えです。申請書を出したら書類をしまい込む、という進め方をすると、調査の連絡が来てから探し直すことになります。

なお、営業所調査では、社会保険以外に営業所の所在確認(看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本等)も行われます(手引 PDF p.17)。営業所そのものの要件は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?営業所の要件と写真に整理しています。営業所調査が早く終わったからといって、許可が早く取得できるわけではありません(本庁の調査が別途進行するため・手引 PDF p.16)。

9-3. 費用と期間

法定手数料(手引 PDF p.14)

許可申請の種類岡山県知事許可
新規(許可換え含む)・般特新規90,000円
更新・追加50,000円
  • 手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)
  • 変更届出書を提出する場合、手数料は不要です(手引 PDF p.14)。社会保険の加入状況が変わったときの変更届も、この扱いです
  • 納付方法は、岡山県手数料等(POS)納付連絡票を印刷して収納専用窓口に持参して支払い、納付済証を許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に貼り付けて提出します(手引 PDF p.14)

期間

  • 申請受付から許可まで、特に問題がないケースで概ね2か月程度(手引 PDF p.16)
  • 営業所調査の連絡は受付後半月程度(手引 PDF p.17)
  • 更新は、有効期間満了の日の30日前までに受付(書類上不備がなく、受付印が押印された状態)を済ませる必要があります(手引 PDF p.13)。申請は満了の日の3か月前から可能です(手引 PDF p.13)

社会保険の整備から始める場合は、この「概ね2か月」の手前に、適用の確認・届出・記号決定・保険料の納付という段階が乗ります。金額・期間はいずれも目安であり、時点や個別事情により変動します。

新規許可全体の費用感は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安に整理しています。

当事務所の報酬(税込・目安)

業務内容報酬法定手数料合計
建設業許可申請(法人・新規)132,000円90,000円222,000円
建設業許可申請(個人・新規)110,000円90,000円200,000円
建設業許可申請(法人・更新)66,000円50,000円116,000円
建設業変更届出(事業年度終了報告)44,000円44,000円

当事務所は、書類作成だけでなく代理申請まで行います。また、県民局による営業所調査の準備確認と同席は報酬に含みます(社会保険関係の提示書類が調査当日にそろっているかの確認を含みます)。証明書等の実費は事務所で立て替えたうえで精算し、法定手数料90,000円はご依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します。金額は税込の目安であり、案件内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。行政書士登録番号は第20300974号です。

9-4. 取得したあとの維持——社会保険は毎年出てくる

社会保険は、許可を取ったら終わりではありません。許可を持ち続けるあいだ、次の場面で繰り返し出てきます。

場面期限・内容根拠
加入状況の変更変更が生じた日から2週間以内に届出審査要領 PDF p.19/手引 PDF p.30・p.170
従業員数のみの変更直後の事業年度終了報告に様式第7号の3を添付審査要領 PDF p.19/手引 PDF p.32・p.71
事業年度終了報告決算日から4か月以内手引 PDF p.22
更新申請有効期間満了の30日前までに受付/未加入なら許可できない手引 PDF p.13/審査要領 PDF p.19
経管・営業所技術者を欠いたとき変更後2週間以内に変更届手引 PDF p.22

手引は、期限内の提出を怠った場合について「許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります」と明記しています(手引 PDF p.22)。社会保険の変更届については業務改善報告書を徴さない運用がある(審査要領 PDF p.20・p.37)とはいえ、届出そのものを落としてよいという話ではありません。

なお、常勤性を要する経管・営業所技術者を「欠く」状態になったときの扱い(長期入院のように、社会保険等の資格が継続していても「欠く」状態とみなされる場合を含みます・手引 PDF p.22)は、営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法に整理していますので、そちらをご覧ください。

こうした期限をまとめて管理するために、当事務所では顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。

プラン月額(税込)主な内容
ライト5,500円必要な業務の範囲に合わせてご案内します
スタンダード11,000円必要な業務の範囲に合わせてご案内します
フル15,000円事業年度終了報告(44,000円)+経審 経営状況分析(33,000円)+経審 経営規模等評価・総合評定値請求(55,000円)+入札参加資格更新(33,000円・2年に1回)+月次相談・期限管理

期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問の範囲ですが、申請の代理実行はスポットの報酬となります。 許可を持つ限り毎年必ず提出する事業年度終了報告(44,000円)に、公共工事の入札参加を続ける場合の経審(経営状況分析33,000円+経営規模等評価・総合評定値請求55,000円)を加えると、スポットの積み上げは年132,000円。これに入札参加資格の更新が2年に1回33,000円——という形になります。フルプランは月15,000円(年180,000円)の定額でこれらを含みます。なお、許可の有効期間は許可日から5年間(手引 PDF p.21)で、その満了ごとに行う更新申請(法人・更新)は66,000円——上記の年次業務とは別のスポット業務です。金額は税込の目安であり、案件内容により変動します。

公共工事の受注を視野に入れる場合は経営事項審査が必要になります。詳しくは経審申請を岡山で依頼するならをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q建設業許可に社会保険の加入は必須ですか?
A加入義務がある保険については必須です。岡山県の手引は許可要件として「適切な社会保険に加入していること」を掲げ、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行っていることが必要としています(手引 PDF p.8)。令和2年10月からの要件で、新規だけでなく更新申請でも未加入の場合は許可できないとされています(審査要領 PDF p.19)。ただし要件の文言には「ただし、適用が除外される場合を除く。」というただし書があり、そもそも加入義務がない場合は未加入のまま申請できます。適用の有無そのものは年金事務所・労働局の所管ですので、個別にご確認ください。
Q従業員がいない個人事業主でも、社会保険に入らないと許可は取れませんか?
A岡山県の手引は、社会保険の強制適用について「建設業関係では全ての法人と、5人以上の従業員を雇用する個人経営の事業所が強制適用事業所です。詳しくは、年金事務所で確認してください。」としています(手引 PDF p.60)。また様式第7号の3の記入例では、適用が除外される場合(コード「2」)の例として「従業員4人以下の個人事業主」を挙げています(手引 PDF p.69)。雇用保険についても「従業員が1人も雇用されていない場合等」は適用が除外される場合とされています(手引 PDF p.70)。ただし適用除外を主張する場合は、加入義務がないかを確認したうえで、その理由・確認先(部署名)・確認日時を様式に記入することが求められます(手引 PDF p.69)。
Q建設国保に加入しています。「未加入」扱いになりますか?
Aなりません。審査要領は、建設国保等の国民健康保険組合の事業所で使用されている者は、健康保険法第3条第1項(6号該当)の規定により政府管掌の健康保険の被保険者となることができない、と制度上の理由を明記しています(審査要領 PDF p.11)。様式第7号の3では「保険加入の有無」欄にコード「2」を記入し、「事業所整理記号等」欄に「建設国保」と記入します(手引 PDF p.69)。確認資料は、加入者全員が記載された加入証明書(発行から3か月以内)又は加入者全員分の組合員証の写しで、いずれも提示で足り、提出の必要はありません(手引 PDF p.72・審査要領 PDF p.20)。なお厚生年金保険については別途、年金事務所発行の保険料領収書が必要です。
Q加入手続きをしたばかりで、まだ保険料を納めていません。このまま申請できますか?
A提出資料は原則として保険料の領収書等であり、健康保険・厚生年金の保険料領収書は発行日が2か月以内のものとされています(手引 PDF p.72)。したがって、届出だけでは提出できる資料がそろわないのが通常です。ただし、法人設立後すぐに新規申請し、社会保険への加入手続き中で番号が不明な場合については、その旨を審査の際に申し出たうえで様式の記入欄を空欄で提出し、県民局調査等が終わった段階で加入番号を確認できる書類を提出するとともに、様式の記入欄へ番号を記入するか、番号を記入した差替え用の様式3部を提出する、という取扱いが定められています(審査要領 PDF p.20)。個別の進め方はご相談ください。
Q許可を取った後に社会保険をやめると、どうなりますか?
A手引は「適切な社会保険への加入を怠った場合」を、経管・営業所技術者を欠いた場合や欠格要件に該当した場合と同じ列に並べ、許可要件を欠くことになるため速やかに廃業届が必要だと定めています(手引 PDF p.23)。また、建設業法及び関連諸法令への違反は監督処分の対象とされ、事案によっては第47条等の罰則が適用される可能性があります(手引 PDF p.23)。加入状況に変更が生じた場合は、変更が生じた日から2週間以内に届出が必要です(審査要領 PDF p.19)。なお岡山県は、この変更届の提出遅延について業務改善報告書を徴さない運用としていますが(審査要領 PDF p.20・p.37)、届出義務そのものが無くなるわけではありません。

まとめ

「社会保険に入っていないと建設業許可は取れないのか」への答えを、もう一度整理します。

  • 「適切な社会保険に加入していること」は許可要件です。 手引では「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」の②として置かれています(手引 PDF p.8)。令和2年10月からの要件で、更新でも未加入なら許可できません(審査要領 PDF p.19)。
  • ただし「未加入」と「適用が除外される」は別物です。 要件の文言には「ただし、適用が除外される場合を除く。」というただし書があります(手引 PDF p.8)。手引は健康保険・厚生年金について「全ての法人と、5人以上の従業員を雇用する個人経営の事業所が強制適用事業所」とし、雇用保険のコード「2」(適用が除外される場合)の記入例として「全員が役員の場合」「営業所が雇用保険非該当承認を受けている場合」などを挙げています(手引 PDF p.46・p.60・p.69)。いずれも当てはめは所管窓口の判断であり、手引自身が「詳しくは、年金事務所で確認してください」「加入義務がないかを確認し」としています(手引 PDF p.60・p.69)——まずここを確定させてください。
  • 適用除外を主張するなら、年金事務所・岡山労働局で確認したうえで、理由・確認先(部署名)・確認日時を様式の余白に書きます(手引 PDF p.69)。これが岡山県固有の運用です。空欄では通りません。
  • 「加入した」だけでは書類が出ません。 提出資料は原則として保険料の領収書等で、健康保険・厚生年金の領収書は発行日が2か月以内という有効期間があります(手引 PDF p.72)。加入 → 納付 → 領収書 → 有効期間内に申請、という順序で日程を組んでください。
  • 設立直後で番号が出ていない場合は、その旨を申し出たうえで空欄提出→調査後に番号を提出、という手順が用意されています(審査要領 PDF p.20)。番号待ちで申請そのものを止める必要はありません。
  • 社会保険は要件の外側でも効きます。 実務経験年数の始期は原則として社会保険の資格取得年月日以降(審査要領 PDF p.24・手引 PDF p.82)、決算書では法人・従業員5人以上の個人事業なら法定福利費が0にならない(手引 PDF p.103)——というように、期間と実態を測る物差しとして繰り返し使われます。
  • 建設国保は「未加入」ではありません(審査要領 PDF p.11)。様式では「2」+「建設国保」と書き、確認資料は提示で足ります(手引 PDF p.69・p.72)。
  • 法人成りのときは、法人の社会保険の加入日を事業承継日に合わせてください。 ずれると承継元・承継先いずれかの常勤性が失われ、許可の取消しの対象とされています(審査要領 PDF p.36)。建設国保のみ、承継日前の加入が例外的に認められます。

社会保険は、要件そのものは一文で済むのに、実務は「適用の判定」「様式の書き方」「資料の有効期限」「加入と申請の順序」という4つの別々の問題に分かれます。 どこで詰まっているかによって打ち手がまったく変わりますので、「うちはどこから手を付ければよいか」を、まずは無料相談で棚卸ししてみてください。許可要件の全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断から確認できます。

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