Column|建設業許可

経営業務の管理責任者・営業所技術者の退職|交替届か一部廃業か【岡山】

経営業務の管理責任者・営業所技術者の退職|交替届か一部廃業か【岡山】

経営業務の管理責任者(経管)や営業所技術者(旧:専任技術者。岡山県の資料の表記は「営業所技術者等」)が辞めたとき、多くの方が最初に調べるのは「何日以内に届け出ればよいか」です。

ところが、岡山県の「建設業許可の手引」と「審査要領」を読み合わせると、日数より先に決めなければならないことが2つあります。

  1. 代わりに担当する人がいるか。 いるかいないかで、使う様式そのものが変わります。交替させるなら営業所技術者等証明書(様式第8号)が2枚必要になり(審査要領 PDF p.21)、交替すべき者がいない場合にだけ届出書(様式第22号の3)を使います(審査要領 PDF p.33・手引 PDF p.145)。1業種でも代わりに担当する人がいれば、様式第22号の3は使いません。
  2. その人が担当していた業種を、どこまで残すか。 一人の営業所技術者等が担当していた業種の全部が廃止になるのか、一部を引き続き営業するのかで、手続きが分かれます(審査要領 PDF p.21〜22)。そして、欠けた業種だけを切り離して、残りの業種の許可を守るという選択肢——一部廃業——が制度として用意されています(手引 PDF p.170 No.17・No.19)。

そしてもう1つ、切迫した局面だからこそ先に申し上げておきたいことがあります。手引・審査要領のどちらにも、「後任を確保するまでの猶予期間」を定めた記述はありません。 よく引かれる「2週間以内」は変更届の提出期限であって、後任を立てる期限ではありません(手引 PDF p.22)。ここを取り違えると、打ち手の順序を誤ります(→ §5)。

いま起きていることが次のどれに当たるかで、読む場所が変わります。まず現在地を確かめてください。

いま起きていること岡山県の資料上の扱い詳しい説明はどこか
後任が決まっており、在籍に空白が生じない変更後2週間以内に変更届(手引 PDF p.22)本記事 §1〜§3・§6・§7
死亡・退職により、後任の就任までに1日でも空白が生じる空白が生じる場合には廃業届の提出が必要(審査要領 PDF p.33)営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法(この論点の本家)
在籍は切れていないが、入院等のやむを得ない事情で出勤していなかったことが「事後に判明」した(経管)交替できる者があれば業務改善報告書を添えて変更届。交替できる者がなければ原則として自主廃業を求められ、ただし不在の期間が2か月未満であれば業務改善報告書を徴した上で営業の継続を認める(審査要領 PDF p.11〜12)許可取消のあと建設業許可を取り直せる?欠格期間(この論点の本家)

⚠️ 3行目の「2か月未満」を、「2か月までは空けてよい」と読まないでください。 審査要領のこの項目は「出勤していなかったことが事後に判明した場合」の取扱いとして書かれたもので、これから交替させる場面の猶予ではありません。計画的な交替であれば、審査要領 PDF p.33 の「空白が生じる場合には廃業届」のほうが働きます。

本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、人が欠けた時点から「許可のどこまでを残せるか」を決めるための分岐を、手引・審査要領の文言に沿って整理します。

※ 誰を後任に立てられるか、どの業種を残せるかは、会社の体制・書類の残り方・許可の構成という個別の実態によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可を前提とした一般的な整理であり、特定の会社について結論を保証するものではありません。とりわけ「間に合うかどうか」は、退職日・後任の就任日・許可業種の構成が分からなければ判断できません。 最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。

1. 起点は日数ではない——「代わりに担当する人がいるか」で様式が割れる

人が欠けたときの手続きを、多くの解説は「変更届を2週間以内に出す」の一行で済ませます。ところが岡山県の資料は、その2週間の中で使う様式を、交替者の有無で明確に書き分けています。 ここを取り違えると、期限内に窓口へ行っても書類が足りません。

1-1. 交替させる場合——営業所技術者等証明書は「2枚」になる

営業所技術者等を交替させる場合、必要になるのは様式第8号(営業所技術者等証明書)が2枚です。従前の技術者を削除する手続きと、新しい技術者を追加する手続きが、それぞれ別の証明書として必要になるためです(審査要領 PDF p.21・同旨 手引 PDF p.80)。

「1人辞めて1人入る」という出来事は、書類の上では2つの手続きとして処理されます。削除だけ、追加だけを出しても、届出は完結しません。

この場合に必要になる書類は、手引が1か所にまとめています。営業所技術者等の変更届では、表紙、様式第22号の2(変更届出書)、様式第1号 別紙4(営業所技術者等一覧表)、様式第8号(営業所技術者等証明書)、資格を証明する書類の提出と、社会保険等の提示が求められます(手引 PDF p.144)。経管の交替の場合は、表紙、様式第22号の2、様式第7号(常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書)、様式第7号別紙(常勤役員等の略歴書)等の提出と社会保険等の提示です(手引 PDF p.144)。

それぞれの様式をどう埋めるか、どこで記載漏れが起きやすいかは、本記事の担当ではありません。 人(役員等・経管)の異動に伴う変更届の書き方は建設業許可の役員変更届の書き方|経管交代は届出2本にまとめています。本記事は、そもそもどちらの様式群を使う場面なのかという分岐に集中します。

1-2. 交替すべき者がいない場合——ここではじめて様式第22号の3が出てくる

交替させる人がいない場合、様式が変わります。手引は、営業所技術者等の変更届の注意点として「ただし、営業所技術者等を削除するだけで交替する者がいない場合には、様式第22号の2(変更届出書)、様式第1号 別紙4(営業所技術者等一覧表)と様式第22号の3(届出書)が必要です」としています(手引 PDF p.144)。

審査要領は、この使い分けの境目をさらに具体的に書いています。届出書(様式第22号の3)を使うのは、営業所の廃止、一部業種の廃止等により、当該技術者について交替すべき者がいない場合であり、一部の業種を廃止しても、当該技術者が技術者として引き続き存続する場合、または交替者が存在する場合は、様式第22号の3ではなく営業所技術者等証明書(様式8号による追加・削除)を使用することとされています(審査要領 PDF p.33)。

ここが最も間違えやすい箇所です。 「技術者が1人辞めた」という事実だけでは、様式は決まりません。決めているのは、その技術者が担当していた業種を、代わりに担当する人が1人でもいるかどうかです。

  • 1業種でも代わりに担当する人がいる → 様式第8号(削除・追加)で処理する。様式第22号の3は使わない
  • その技術者の担当業種について、代わりに担当する人が誰もいない → 様式第22号の3を使う

手引の様式面にも、同じ趣旨の注記が置かれています。「削除する営業所技術者等の担当していた業種を、1業種でも代わりに担当する方がいる場合は、この様式ではなく、様式第8号(営業所技術者等証明書)を提出してください」(手引 PDF p.145)。

1-3. 様式第22号の3を出すときは、たいてい「何か」が一緒に動く

そして、様式第22号の3には、他の届出にない性質があります。この様式だけで手続きが終わることは、まずありません。

「【併せて必要となる他の変更届等】この様式を用いて変更届を提出する場合には、①許可の一部廃業手続き 又は ②従たる営業所の変更手続 が伴いますので注意してください。」(手引 PDF p.146)

論理としては当然です。 交替すべき者がいないということは、その業種について営業所技術者等が置けなくなったか、その営業所そのものを畳んだか、どちらかだからです。だからこの様式は「人が1人減った」という届出ではなく、「許可の形が変わった」という届出なのです。なお、様式そのものに付された注記は「この様式を用いる場合には、通常①許可の一部廃業手続き又は②従たる営業所の変更手続が伴います」と「通常」を付しています(手引 PDF p.145)。例外がないと断言できる書きぶりではありませんが、①でも②でもない場面を想定して進めるのは危険です。

このうち②従たる営業所の変更手続(支店を閉じる、所長が交代する等)に波及する場面は、令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件が営業所単位で扱っています。本記事が扱うのは①のほう——人が欠けたことをきっかけに、許可業種の一部を手放すかどうかという判断です(→ §3)。

なお、様式第22号の3を提出する場合には、様式第22号の2(変更届出書)と様式第1号別紙四(営業所技術者等一覧表)を添付することとされています(審査要領 PDF p.33)。様式第22号の3だけを持って窓口に行っても足りません。

1-4. 分岐を1枚にすると、こうなります

以上を、実際に決める順序で並べます。受任のご相談でも、この順にお伺いしています。

決めること選択肢使う様式群一緒に動くもの
①代わりに担当する人がいるか(1業種でも)いる様式第8号(削除・追加=2枚)+表紙/様式第22号の2/様式第1号 別紙4/資格を証明する書類資格・社会保険の確認(手引 PDF p.144)
同上いない様式第22号の3+表紙/様式第22号の2/様式第1号 別紙4①許可の一部廃業 又は ②従たる営業所の変更(手引 PDF p.146)
②その技術者の担当業種のうち、引き続き営業する業種があるか全部やめる様式第22号の3で削除(審査要領 PDF p.21)一部廃業(→ §3)
同上一部は続ける(交替者あり)様式第8号でA削除・B追加(審査要領 PDF p.22)一部廃業を伴う場合はその手続き
③経管が欠けたのか、営業所技術者等が欠けたのか経管様式第7号・様式第7号別紙 等(手引 PDF p.144)退任役員が経管を兼ねる場合は役員の変更届も
同上営業所技術者等様式第8号・資格を証明する書類 等(手引 PDF p.144)役員を退任して技術者として残る場合の条件あり

③について1点だけ補足します。退任する役員が経管である場合には必ず経管の変更届を併せて提出すること、営業所技術者等である場合には当該者が会社に常勤の職員として残ることが必要であることが、審査要領に定められています(審査要領 PDF p.33)。役員の変更届だけを出して、経管や営業所技術者等の届出を落とす——これは実務で最も多い漏れ方です。役員の異動として処理する場合の書類は建設業許可の役員変更届の書き方|経管交代は届出2本、常勤の職員として残る場合の要件は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?をご覧ください。

2. 様式第22号の3は「4つの事由」で使う様式——制度は欠けることを想定している

様式第22号の3は、実物を見ると印象が変わる様式です。「技術者を削除する紙」だと思って手に取ると、届出事由が4つ並んでいることに気づきます。

2-1. 届出事由は4区分

「(1) 建設業法第7条第1号に掲げる基準〔経営業務の管理責任者〕を満たさなくなつた場合

(2) 建設業法第7条第2号又は同法第15条第2号に掲げる基準〔営業所技術者等〕を満たさなくなつた場合

(3) 営業所技術者等を削除した場合

(4) 建設業法第8条第1号及び第7号から第13号までに規定する欠格要件に該当するに至つた場合」(手引 PDF p.145)

この4区分は、それ自体が制度の設計思想を表しています。 経管の基準を満たさなくなったこと、営業所技術者等の基準を満たさなくなったこと、技術者を削除したこと、欠格要件に該当したこと——要件が欠けたという事実そのものが、届出事項として様式化されているということです。

つまり、「要件が欠けたら、それを届け出る」という前提で制度が組まれています。 欠けたことを伏せておく、という選択肢は制度の側に用意されていません。

2-2. (2)と(3)は、似ているようで場面が違う

実務で迷うのが(2)と(3)です。文言に沿って読み分けます。

  • (2)「営業所技術者等に係る基準を満たさなくなつた場合」——許可の要件として営業所技術者等を置けなくなった、という状態を指す書きぶりです。
  • (3)「営業所技術者等を削除した場合」——登録されている技術者を減らす、という手続きの側の書きぶりです。

この2つが同時に起きることもあれば、片方だけのこともあります。 たとえば、同じ業種を担当できる技術者が社内に2人いて、そのうち1人が辞めた場合、残る1人がその業種を引き続き担当できるのであれば、基準は満たしたままです。この場合は §1-2 のとおり様式第8号での削除になります。一方、辞めた1人しか担当者がいない業種であれば、その業種については基準を満たさなくなります。

どの区分に○を付けるかは、様式を埋める段階ではなく、状況を整理する段階で決まります。 様式には具体的事由を記載する欄と、削除する技術者の氏名・生年月日・営業所の名称・建設工事の種類を記載する欄が置かれています(手引 PDF p.145)。「建設工事の種類」を書かせていることからも、この様式が業種単位で効いていることが分かります。

2-3. 許可年月日の欄は「有効なもののうち最も古い許可日」

小さな点ですが、様式第22号の3の記載例には「業種の追加等で複数の許可日を有する場合は、有効なもののうち最も古い許可日を記載します」という注記が置かれています(手引 PDF p.145)。業種追加を重ねてきた会社ほど、ここで手が止まります。 直近の許可日ではありません。

2-4. ★令和7年2月1日提出分から様式が変わっている

岡山県の実務として、必ず確認していただきたい点です。手引は、様式第22号の3の記載例に「令和7年2月1日提出分から様式が変更されています。新様式を使用してください」という注意書きを置き(手引 PDF p.145)、同じ様式の解説ページでも「令和7年2月1日以降の提出分から様式が変更されています。新様式で提出してください」と重ねて念を押しています(手引 PDF p.146)。

そして、これは様式第22号の3だけの話ではありません。 交替の場合に使う様式第8号(営業所技術者等証明書)にも同じ注意書きが置かれており(手引 PDF p.79)、変更届の表紙にも「令和7年2月1日提出分から様式を変更しています。新様式を使用してください」と刷り込まれています(手引 PDF p.30)。交替で通す場合も、交替者がいない場合も、様式の版の確認からは逃げられません。

人が欠けたときの届出は、頻繁に出すものではありません。 前回の交替が数年前だった会社では、当時の様式の控えをコピーして書き直す——という進め方をしがちです。その様式が旧様式なら、書き直しになります。 岡山県は事前審査を一切行わない運用ですから(→ §7-1)、窓口で「様式が古いですね」と言われた時点で、その日は受付されません。

期限が2週間しかない手続きで、様式の版が古いために1往復増える——避けられる時間の損失です。

3. 一部廃業という選択——欠けた業種だけを切り離して、残りを守る

ここが本記事の中核です。「技術者が抜けた=許可を失う」と考えて相談に来られる方は多いのですが、岡山県の資料は、その手前に選択肢を1つ置いています。

3-1. 変更届の一覧表から、この場面に効く4行だけを抜く

手引には「変更届出事項及び提出書類等一覧表」(手引 PDF p.170)があり、19の届出事由それぞれについて提出期限と様式が定められています。その全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)にまとめてあります。 ここでは、人が欠けた場面に効く4行だけを抜き出します。

No変更届出事項提出期限①提出書類(閲覧用)で○が付く様式
13常勤役員等(経営業務の管理責任者等)2週間以内表紙/様式第22号の2(+非閲覧用の様式第7号系)
15営業所技術者等(一般・特定)2週間以内表紙/様式第22号の2/様式第1号 別紙4
17一部の許可業種について営業所技術者等を欠いたとき2週間以内表紙/様式第22号の2/廃業届(様式第22号の4)/様式第1号 別紙4
19許可業種の一部廃業2週間以内表紙/様式第22号の2/様式第22号の4/様式第1号 別紙4

No.17 に注目してください。「一部の許可業種について営業所技術者等を欠いたとき」という事由が、独立した届出事項として立っています。しかも、そこに○が付く様式には廃業届(様式第22号の4)が入っています。

制度は、「一部の業種で技術者を欠く」という事態を想定し、その処理として一部廃業を用意しているということです。この事由は、お客様が実際に○を付ける変更届の表紙にも掲げられています(手引 PDF p.30)。

3-2. No.17 と No.19 は別の行だが、出す書類は同じ

一覧表では No.17(一部の許可業種について営業所技術者等を欠いたとき)と No.19(許可業種の一部廃業)が別の行に並んでいます。ところが、①提出書類(閲覧用)で○が付く様式は、両行とも同じ4点です(表紙/様式第22号の2/様式第22号の4/様式第1号 別紙4)。提出期限も両方とも2週間以内です。

では、様式第22号の3はどこから出てくるのか。表の○ではなく、欄外の注から来ます。

「△*2:営業所技術者等を削除する場合で交替する者がいる場合は様式第8号・資格証明書・社会保険が、交替する者がいない場合は第22号の3が必要。」(手引 PDF p.170 欄外の注)

つまり、一覧表の行を見ているだけでは様式第22号の3にたどり着けません。 §1-2 で見た「交替する者がいるか」という条件が、ここでもう一度効いています。一覧表の行(何が起きたか)と、欄外の注(交替者がいるか)を掛け合わせて、はじめて書類の束が決まります。

3-3. ★一人の技術者の担当業種が「全部」廃止か「一部」残るかで、手続きが分かれる

そして、この場面でもっとも実務的な分岐がこれです。審査要領は、具体例つきで書いています。

「⑧ 営業所の一部の業種を廃止する場合において、それに伴い、一人の営業所技術者等が担当していた全ての業種が廃止されることとなった場合(例えば、当該営業所において、土、とび・土工、建築、内装の許可があり、土、とび・土工の営業所技術者等はA、建築・内装の営業所技術者等はBだったときに、土、とび・土工を廃止するという場合)には、Aの削除について様式第22号の3を提出する。

 一方、一部業種を廃止し、営業所技術者等は交替する場合で、当該技術者の担当していた業種の一部を引き続き営業する場合は、……様式8号により、A削除、B追加 とする。」(審査要領 PDF p.21〜22)

具体例の構造を、自社に当てはめて読んでください。

  • ケースA|Aさんが担当していた業種を、全部やめる場合(例:土木一式・とび土工をAさんが担当していて、その2業種を廃業する) → Aさんの削除は様式第22号の3。Bさんが担当していた建築一式・内装仕上げの許可はそのまま残ります。
  • ケースB|Aさんが担当していた業種のうち、一部は続ける場合(例:Aさんが4業種を担当していて、うち2業種を廃業し、残り2業種はBさんが引き継ぐ) → 様式第8号でA削除・B追加。様式第22号の3は使いません。

この分岐は「何業種やめるか」ではなく、「その技術者の担当業種が丸ごと消えるか、一部残るか」で決まっています。 ここを読み違えると、用意する様式が入れ替わります。

そして、この構造こそが「一部廃業」という選択肢の中身です。 技術者が1人抜けたとき、その人が担当していた業種だけを切り離せば、他の技術者が担当していた業種の許可は残ります。「許可を全部失うか、一部だけ手放すか」——これは、届出の書き方ではなく、経営の意思決定です。

3-4. 部数の作法が、全部廃業とは逆になる

一部廃業を選ぶときに、実務で最初につまずくのが部数です。手引は、廃業届の提出部数を、全部廃業と一部廃業で書き分けています。

  • 一部廃業:変更届の添付書類の一部として、表紙を付けて3部(手引 PDF p.148)
  • 全部廃業:表紙不要・1部(控えが必要な場合は2部)(手引 PDF p.148)

一部廃業は「変更届の一部」として出す——ここが要点です。だから表紙が要り、他の変更届と同じ綴り方をします。「廃業届だから1部でいい」と思って窓口に行くと、部数が足りません。

なお、様式第22号の4(廃業届)そのものの記入方法、提出義務者、全部廃業の作法は建設業許可の廃業届|様式第22号の4の書き方と全部・一部の違いにまとめています。本記事は「一部廃業を選ぶかどうか」の判断まで、様式の埋め方はそちらです。

3-5. ただし、一部廃業も廃業届です——取り返しがつきません

選択肢として提示する以上、必ずセットでお伝えしていることがあります。一部廃業も、様式第22号の4という廃業届で行う手続きであり、受付後の取下げはできません(手引 PDF p.148・審査要領 PDF p.33)。岡山県は、錯誤や悪意等による届出の受理を避けるため、窓口持参なら持参者の役職名・氏名、郵送なら電話で代表者等に事実確認を行う運用をとっています(審査要領 PDF p.33)。この届出の重さと、県が意思確認まで行っている理由は許可取消のあと建設業許可を取り直せる?欠格期間にまとめています。

「とりあえず出して、後で戻せばいい」という書類ではありません。 出す前に決着させるべきことがあります(→ §3-6)。

3-6. どの業種を切るかを決める前に、確認しておくこと

一部廃業は、業種を選んで切る手続きです。選び方の材料として、一次資料から言えることと、言えないことを分けておきます。

言えること

  • 切った業種について、許可を要しない範囲であれば建設業の営業自体は続けられます。 手引は廃業届について「この届を出した後には、建設業を一切営むことができなくなるわけではなく、許可を要しない範囲であれば建設業の営業は可能です」と説明しています(手引 PDF p.148)。許可が必要になる金額の線引きは建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。
  • 残す業種については、その業種の営業所技術者等が置けていることが前提です。営業所ごとに、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格または経験を持つ技術者を専任で配置することが求められています(手引 PDF p.8)。「1人で複数業種を担当していた」体制では、1人抜けた時点で残せる業種が想像より少ないことがあります。
  • 特定建設業の業種が含まれている場合は、扱いが別に定められています。 特定の要件を欠いたときに当然に一般許可へ移行するものではなく、改めて申請が必要とされており(手引 PDF p.12)、営業所技術者等の退職等により一部の業種で特定の要件を満たさなくなった場合の手続きも別に書かれています(手引 PDF p.13)。この分岐は本記事では展開しません。 般特新規とは|建設業許可を一般と特定で切り替える区分判定と特定建設業許可の財産的基礎|4基準の計算式と当てはめをご覧ください。なお、有資格者がいなくなるために一般建設業に変更する場合は廃業届が必要になるという定めもあります(審査要領 PDF p.21。この論点は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法が扱っています)。

言えないこと

  • 一部廃業した業種を、後から追加許可申請で取り直せるかどうか——手引・審査要領のいずれにも、この点を正面から書いた記述はありません。「また取ればいい」という前提で切る判断をしないでください。
  • 一部廃業が経営事項審査や入札参加資格にどう影響するか——両資料に、一部廃業と経審・入札の関係を定めた記述は見当たりません。公共工事を受注している会社では、切る業種の選定が入札の側に及ぶ可能性があります。発注機関の側の取扱いを、切る前に確認してください。

この2点が書かれていないからこそ、一部廃業は「急いで出す届出」ではなく「決めてから出す届出」になります。

4. 経管と営業所技術者等では、資料の書きぶりが同じではない

ここは、他ではあまり指摘されない論点です。岡山県の資料は、経管が欠けた場合と営業所技術者等が欠けた場合を、同じ言葉で書いていません。

4-1. 条文番号つきで「取り消されます」と書かれているのは、営業所技術者等のほう

手引は、営業所技術者等の説明のなかで、許可を取得した後に営業所技術者等が退職し後任者がいない場合は、要件の欠如として当該許可は取り消される旨を、建設業法第29条第1項第1号という条文番号つきで明記しています(手引 PDF p.8)。この文の主語は営業所技術者等です。 逐語の引用と、その帰結の展開は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法が本家として扱っています。

4-2. 経管については、書きぶりが3通りに分かれている

一方、経管が欠けた場合について、資料は次の3通りの書き方をしています。

出典書きぶり
手引 PDF p.22常勤性を要する経営業務の管理責任者等や営業所技術者等を欠く状態になった場合、代わりになる方がいなければ許可を失うことになります(変更届は変更後2週間以内)
審査要領 PDF p.11(経管の一時的な不在について)交替できる者がない場合は原則として自主廃業を求める(指導に従わない場合には許可取消し)
手引 PDF p.23常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等を欠いた場合……許可要件を欠くこととなるため、速やかに廃業届を提出する必要があります

3つとも同じ結論に向かっていますが、経路の書き方が違います。 手引 p.22 は結果(許可を失う)、審査要領 p.11 は県の対応(自主廃業を求める・従わなければ取消し)、手引 p.23 は事業者の義務(速やかに廃業届)です。

そして、「欠く」状態の定義は手引 p.22 に置かれており、退職・死亡だけでなく毎日出勤できなくなった場合を含み、長期入院は社会保険等の資格が継続していても「欠く」状態とみなされます(手引 PDF p.22)。この定義の詳しい当てはめは経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?が本家です。

4-3. 「常勤性について」の注記の位置

もう1点、資料の構造として押さえておくべきことがあります。導入に置いた表の3行目で触れた「経管の一時的な不在」(不在が2か月未満なら業務改善報告書を徴した上で営業の継続を認める)は、審査要領の「(4)常勤性について(★営業所技術者等についても同じ取扱い)」という項目の下位項目のひとつとして置かれています(審査要領 PDF p.11)。

つまり、県はこの★注記を(4)全体に付しています。 一方で、その下位項目である「⑤ 経管の一時的な不在について」の本文が名指ししているのは経管です。

書けるのはこの2つの事実であって、それ以上でもそれ以下でもありません。 「営業所技術者等には及ばない」とも、「⑤は営業所技術者等を対象としている」とも、資料からは言い切れません。自社の技術者について同じ扱いを期待できるかは、窓口にご確認ください。

4-4. この非対称を、楽観の根拠にしないでください

経管について「原則として自主廃業を求める(指導に従わない場合には許可取消し)」と書かれていることを、「指導が入るまでは大丈夫」と読む方がいます。 これは危険な読み方です。理由は2つあります。

  1. 手引 p.23 は、経管と営業所技術者等を並べて「速やかに廃業届を提出する必要があります」と書いています。 事業者側の義務としての書きぶりに、経管と技術者の差はありません。
  2. 審査要領 p.33 は、死亡・退職で空白が生じる場合について、経管と営業所技術者等を並べて扱っています。 空白が1日でも生じれば廃業届の提出が必要とされており(審査要領 PDF p.33)、ここにも経管と技術者の差はありません。この論点は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法が本家として詳しく扱っています。

書きぶりの違いは、県の側の処理の仕方の違いであって、事業者側の義務の軽重ではありません。 本記事がこの非対称を取り上げるのは、「経管なら少し緩い」という誤読を潰しておくためです。

5. ⛔一次資料に「書かれていないこと」——猶予・自動失効・不在中の受注

切迫した局面で検索していると、断定的に書かれた情報ほど頼りたくなります。そこで、岡山県の2つの資料を実際に探して「書かれていなかったこと」を、そのまま並べます。 本記事で最も実務的な章かもしれません。

5-1. 「後任確保までの猶予」を定めた記述は、両資料にありません

手引・審査要領のどちらにも、後任が見つかるまでの猶予を定めた記述はありません。 「◯か月は待ってもらえる」という運用が資料上に存在しない、ということです。

5-2. 「2週間以内に後任を立てればよい」とも書かれていません

繰り返しになりますが、資料にある「2週間以内」は変更届の提出期限です。手引は「(変更届は、変更後2週間以内に提出しなければなりません。)」と括弧書きで書いています(手引 PDF p.22)。変更後、です。 変更が起きたことを前提にした期限であって、変更を起こすまでの期限ではありません。

「2週間あるから、その間に探そう」という組み立ては、資料の読み方として成立しません。

5-3. 不在の間に請け負ってよい工事の範囲は、書かれていません

「経管が不在の間、この規模までなら受注していい」という線引きは、両資料にありません。手引 PDF p.148 の「許可を要しない範囲であれば建設業の営業は可能です」という記述は、廃業届を出した後の説明であり、要件を欠いたまま許可を維持している状態の説明ではありません。この2つを混ぜないでください。

5-4. 「自動的に失効する」とは、どこにも書かれていません

要件を欠いたことで許可が自動的に失効する、という定めは見当たりません。資料が書いているのは、「取り消されます」(手引 PDF p.8)「許可を失うことになります」(手引 PDF p.22)「速やかに廃業届を提出する必要があります」(手引 PDF p.23)までです。

「自動失効」と「取消し」は、その後に続く話が変わります。 許可が消えたあと、いつから・どうやって取り直せるかは許可取消のあと建設業許可を取り直せる?欠格期間にまとめています。

5-5. 休職・産休・育休・長期出張の扱いは、書かれていません

手引 p.22 が「欠く」状態として挙げているのは、退職・死亡・毎日出勤することができなくなった場合・長期入院です(→ §4-2)。休職・産休・育休・長期出張といった状態を名指しした記述は、両資料にありません。

だからといって「該当しない」とも言えません。 「毎日出勤することができなくなった場合」という定義に当てはまるかどうかの判断になります。該当し得る事情が生じた時点で、窓口または専門家にご相談ください。

5-6. 「社長が経管と技術者を兼ねて穴を埋められるか」も、書かれていません

経管と営業所技術者等を同一人が兼ねられるかどうかを述べた記述は、両資料にありません。 資料に出てくる「兼任」「兼務」は、営業所技術者等と工事現場の兼任、他法令で専任を要する者との兼任、2社以上の代表者の兼務など、別の論点についてのものです。常勤性・専任性の境界事例は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?に整理しています。

5-7. 廃業届の理由欄に「要件を欠いたため」という選択肢はありません

様式第22号の4(廃業届)の廃業等の理由欄に並ぶのは、①事業主の死亡 ②合併により消滅 ③破産手続開始の決定により解散 ④その他の事由により解散 ⑤許可を受けた建設業を廃止したため——の5つです(手引 PDF p.147)。「要件を欠いたため」という区分は様式上にありません。 どれを選ぶかについての説明も、資料には書かれていません。様式の記入は建設業許可の廃業届|様式第22号の4の書き方と全部・一部の違いが担当ですが、どの区分を使うかは窓口確認が要る箇所です。

5-8. 経管が2人いて1人が抜けたときの扱いも、書かれていません

手引は経管について「『常勤役員等』のうち一人が」次のいずれかに該当する者であることが必要、と書いています(手引 PDF p.7)。「予備の経管を届け出ておく」という制度は説明されていません。 要件を満たす人が社内に複数いること自体は体制として意味がありますが、それが届出上どう扱われるかは資料からは読み取れません。

5-9. 「3年以内」は、事業者の猶予ではありません

監督処分の基準に「不正行為等に対する監督処分に係る調査等は、原則として、当該不正行為等があった時から3年以内に行う」という定めがあります(手引 PDF p.208)。これは県が調査を始める期限であって、事業者の猶予期間ではありません。 読み替えないでください。なお、変更届の期限内の提出を怠った場合は監督処分や罰則の対象になるとされ(手引 PDF p.22)、監督処分の基準で建設業法第11条等の違反に対応するのは指示処分、罰則は建設業法第47条等の条文が示されるにとどまります(手引 PDF p.203・p.23)。この測り方は決算変更届を出していないとどうなる|未提出が溜まったときの対処にまとめています。

この章の使い方:ここに並べたのは「制度が禁止していること」ではなく、「資料に書かれていないこと」です。書かれていない以上、県の担当窓口の判断を仰ぐ領域になります。断定的に「大丈夫」と書いてある情報を見つけたら、その根拠がどの資料の何ページかを確認してください。

6. 後任を立てる手続きを軽くできる場合——確認申立書という岡山県の運用

ここからは、動ける手の話です。後任を立てる場面で、経験の立証を大幅に省略できる岡山県固有の運用があります。 ところが、この運用は「新規許可申請のときに使うもの」として紹介されがちで、変更届でも使えることがあまり知られていません。

6-1. 条文は「新規許可申請又は変更届に係る」と書いている

審査要領の「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等であったことの確認申立書」の項目は、現に岡山県知事許可を有する建設業者において、過去に経管又は営業所技術者等であった者が、「新規許可申請又は変更届に係る」経管又は営業所技術者等に就任しようとする場合、この申立書の提出により、その経験に係る調査を省略するとしています(審査要領 PDF p.16)。

「又は変更届に係る」——ここが本記事にとっての要点です。 人が欠けて後任を立てる場面は、まさに変更届です。新規許可を取るときだけの制度ではありません。

6-2. 何が省略されるのか

申立書の提出があり、対象者について過去に提出された申請書等により経管又は営業所技術者等としての経験が確認できる場合、県民局調査においては経管や営業所技術者等の経験期間の確認を省略し、常勤性の確認のみを行うとされています(審査要領 PDF p.16)。

経験期間の確認は、通常であれば最も重い作業です。 経管の経験年数については、県民局調査において1年当たり4件程度(四半期に1件以上で工期の終期と始期の間が4月以上空かないこと)の経験を契約書等に基づいて確認するという密度が定められています(審査要領 PDF p.10)。5年分となれば、それだけの契約書を集めて提示することになります。

この作業が省略できるかどうかは、2週間という期限のなかで決定的な差になります。

6-3. 「過去に提出された申請書等」の読み方

適用の幅について、審査要領はさらに具体的です。「過去に提出された申請書等」については、書類のいずれかに対象者の名前があり、その当時に経管又は営業所技術者等であったことが確認できれば経験として認めるものとし、これについて現に経管又は営業所技術者等である必要はなく、申請書等で変更前の者として確認ができる場合も可とされています(審査要領 PDF p.16)。

「変更前の者として確認ができる場合も可」——ここが実務で効きます。 過去に営業所技術者等として届け出られ、その後の変更届で削除された人でも、書類上その事実が確認できれば対象になり得るという読み方です。

6-4. まず洗うべきは「社内に残っている元・届出者」

以上から、後任を探す順序が変わります。

  1. 自社に、過去に経管または営業所技術者等として届け出ていた人が在籍していないか。 役職が変わった、担当が変わった、いったん削除された——という人が最初の候補です。
  2. その人が、どの申請書・変更届に名前が載っているか。 副本の控えが手元にあれば、確認は早く進みます。
  3. 1・2 が空振りなら、社外からの確保に切り替える。 確保のルート(実務経験の再点検・資格取得・採用・外部招へい・補佐者体制)は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法と経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?が本家です。

この順序を守るだけで、動ける速度が変わります。 社内の書類だけで完結する可能性を、社外を探し始める前に潰しておく——というだけの話ですが、急いでいるときほど飛ばされます。

6-5. ただし、条件と限界があります

  • 「現に岡山県知事許可を有する建設業者において」という条件が掛かっています(審査要領 PDF p.16)。この「現に許可を有する」ことについては、廃業届の提出と併せた申請(法人成に伴い個人を廃業して法人で新規申請する場合など)でも利用することができるとされていますが(審査要領 PDF p.16)、自社の状況が条件に当てはまるかは個別の判断になりますので、利用の可否は事前に岡山県の担当窓口へご確認ください。
  • 省略されるのは経験の調査だけです。常勤性の確認は残ります(審査要領 PDF p.16)。後任の常勤性は、経管であれば健康保険証(有効期限内のもの)又は直近の厚生年金標準報酬決定通知書の写しの提示(手引 PDF p.60)、営業所技術者等であれば同様の書類の提示(手引 PDF p.79)で確認されます。個人事業主本人が経営業務の管理責任者となる場合は不要とされています(手引 PDF p.60)。常勤性が割れやすいケースの整理は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?をご覧ください。
  • 後任が後期高齢者に当たる場合の道も、閉じてはいません。 後期高齢者に該当する方については社会保険に代えて資格確認書等・賃金台帳・源泉徴収票・申立書という組み合わせで常勤性が確認されますが、新たに雇用され給与の支払い実績がない経管・営業所技術者等については、賃金台帳等の書類の提示を省略することができるとされています(審査要領 PDF p.15)。「高齢の方を迎えるなら、前職の賃金台帳が要る」という前提で諦める必要はありません。

7. 岡山県での手続き——提出先・部数・副本の返却と、そのあとに続くもの

最後に、実際に窓口へ持って行く段の話です。変更届は、許可申請とは違う点がいくつかあります。

7-1. 提出先は本庁一元。事前審査は行われません

建設業許可申請及び変更届の受付は、出先機関ではなく本庁の土木部監理課建設業班(県庁6階)で行われており、事前審査は一切行わず、書類を完全に整えた上で提出(送付)することが求められています(手引 PDF p.168・p.16)。なお、時間的な余裕がある申請等については郵送による提出も受け付けられています(手引 PDF p.16)。本記事は書面(窓口へのご持参・郵送)による届出を前提に整理しています。

期限が2週間しかない手続きで、事前審査がない——これが人の欠員という場面で最も効く岡山県の運用です。窓口で相談しながら整えるという進め方は取れません。 §1〜§3 の分岐を、窓口に行く前に決着させておく必要があります。

7-2. 部数——閲覧用・非閲覧用をそれぞれ3部、確認資料は1部を提示

変更届の提出部数は、一覧表の冒頭注記に定められています。提出書類は①の閲覧用と②の非閲覧用を分けてつづり、それぞれ3部(通常、合計6部)を提出し、③の確認資料はつづらず1部だけ提示する(確認のみで提出不要)という組み立てです(手引 PDF p.170)。

一部廃業を伴う場合、廃業届(様式第22号の4)は変更届の添付書類の一部として、表紙を付けて3部でした(→ §3-4/手引 PDF p.148)。「廃業届は別扱い」ではなく、変更届の束の中に入る、と理解しておくと部数を間違えません。

7-3. 副本の返却は、変更届だけ扱いが違う

これは意外に知られていない運用です。

「【申請書類等の返却】許可申請の場合は、6部とも預かり、許可になったら許可通知書とともに副本2部を返却します。変更届の場合、営業所調査が必要な変更事項があれば、6部とも預かり、調査完了後に副本2部を返却しますが、営業所調査が不要な変更事項であれば、受付後直ちに副本2部を返却します。」(手引 PDF p.26)

つまり、変更届は「その場で副本が返ってくる場合」と「調査が終わるまで返ってこない場合」があります。 元請から「変更後の副本の写しを出してほしい」と求められている場面では、どちらになるかで提出できる時期が変わります。 手続きに入る前に見通しを立てておいてください。

なお、添付する証明書類については特に指定がない場合でも、受付日において発行から3か月以内のものであることが求められます(手引 PDF p.26)。先に証明書を取ってから体制を整えていると、期限切れで取り直しになります。

7-4. 変更届に法定手数料は不要です

手引は「変更届には手数料は必要ありません」と明記しています(手引 PDF p.22。同旨 手引 PDF p.14)。人の交替に伴う届出そのものに、県へ納める費用は発生しません。 かかるのは書類の作成と、証明書等の取得実費です。

当事務所の報酬は、変更届(経営業務の管理責任者)が33,000円(税込)、変更届(営業所技術者)の資格要件によるものが22,000円(税込)です。実務経験による証明が必要な場合は、証明する年数に応じて金額が変わります。税込の目安であり、案件の内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。 なお、証明書等の実費は当事務所で立て替えて後日精算する扱いです。

7-5. 期限に遅れてしまった場合

2週間の期限を過ぎてしまった場合の扱いは、手引だけを読むと過度に厳しく見えます。 実際の運用は、遅れた届出そのものの受付と、その後の許可申請の受付とで場面が分かれる二段構えになっています(手引 PDF p.153・p.155/審査要領 PDF p.36〜37)。この整理は決算変更届を出していないとどうなる|未提出が溜まったときの対処が本家です。 遅れていることに気づいた時点で、放置せずご相談ください。

なお、交替できる者がいる不在のケースでは、変更届に業務改善報告書を添えて提出する場面があります(審査要領 PDF p.11)。制度の全体像は上記の記事に譲ります。

7-6. 届け出たあとに続くもの

人の交替は、届け出て終わりではありません。許可を持ち続ける限り、更新・事業年度終了報告・そのつどの変更届という3種類の期限が走り続けます。 その全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)に、変更届を「出来事」から逆引きする地図は建設業許可の変更届|出来事から逆引き・届出漏れの点検にまとめています。

当事務所では、これらの期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問契約の範囲、申請や届出の代理実行はスポットの報酬という切り分けでご案内しています。

よくある質問(FAQ)

Q経営業務の管理責任者が退職しました。まず何をすればよいですか?
A日数より先に、2つのことを決めてください。①後任として就任できる方がいるか、②その方の就任日を、退職日と接続できるか、です。後任がいて在籍に空白が生じないのであれば、変更後2週間以内に変更届を提出します(手引 PDF p.22)。必要になるのは表紙、様式第22号の2(変更届出書)、様式第7号(常勤役員等証明書)、様式第7号別紙(常勤役員等の略歴書)等の提出と社会保険等の提示です(手引 PDF p.144)。一方、次の方が就任するまでの間に空白の期間が生じる場合には、廃業届の提出が必要とされています(審査要領 PDF p.33)。空白が生じるかどうかで進め方が変わりますので、退職日が決まった段階でご相談ください。
Q後任が見つかるまで、何か月かの猶予はありますか?
A岡山県の「建設業許可の手引」「審査要領」のいずれにも、後任を確保するまでの猶予期間を定めた記述はありません。よく引かれる「2週間以内」は変更届の提出期限であって(手引 PDF p.22)、後任を立てる期限ではありません。また、要件を欠いた場合について、手引は「速やかに廃業届を提出する必要があります」としています(手引 PDF p.23)。「◯日以内なら大丈夫」と書かれた情報を見かけたら、その根拠がどの資料の何ページかをご確認ください。
Q技術者が1人辞めて、その人が担当していた業種だけ続けられなくなりました。許可は全部なくなりますか?
A必ずしもそうではありません。岡山県の変更届出事項の一覧表には「一部の許可業種について営業所技術者等を欠いたとき」(No.17)と「許可業種の一部廃業」(No.19)という事由が独立して置かれており、いずれも提出期限は2週間以内です(手引 PDF p.170)。その技術者が担当していた業種だけを切り離せば、他の技術者が担当している業種の許可は残せる場合があります。ただし一部廃業も様式第22号の4という廃業届で行う手続きで、受付後の取下げはできません(手引 PDF p.148・審査要領 PDF p.33)。切った業種を後から取り直せるかについては両資料に記載がないため、切る前に許可業種の構成をご確認ください。
Q交替する人がいる場合といない場合で、出す書類はどう違いますか?
A営業所技術者等を交替させる場合は、従前の技術者を削除し新しい技術者を追加する手続きが必要なため、営業所技術者等証明書(様式第8号)が2枚必要です(審査要領 PDF p.21)。一方、削除するだけで交替する者がいない場合は、様式第22号の2、様式第1号 別紙4に加えて様式第22号の3(届出書)が必要になります(手引 PDF p.144)。分かれ目は「その技術者が担当していた業種を、1業種でも代わりに担当する方がいるか」です。1業種でもいれば様式第22号の3は使いません(手引 PDF p.145・審査要領 PDF p.33)。なお様式第22号の3を用いる場合には、①許可の一部廃業手続き 又は ②従たる営業所の変更手続が伴います(手引 PDF p.146)。
Q「不在が2か月未満なら営業を続けられる」と聞きましたが、後任探しに2か月使えますか?
Aその運用は、これから交替させる場面のものではありません。審査要領の該当箇所は「経管が入院等によるやむを得ない事情により、営業所に出勤していなかったことが事後に判明した場合」の取扱いとして書かれており、交替できる者があれば業務改善報告書を添えて変更届を提出し、交替できる者がなければ原則として自主廃業を求められ、ただし不在の期間が2か月未満であれば業務改善報告書を徴した上で営業の継続を認める、という構成です(審査要領 PDF p.11〜12)。在籍そのものが切れる退職・死亡の場面では、空白が生じる場合には廃業届が必要とされています(審査要領 PDF p.33)。「2か月までは空けてよい」という読み方はできません。なお、この項目が置かれている上位項目「(4)常勤性について」には「★営業所技術者等についても同じ取扱い」という注記が付いていますが、⑤の本文が名指ししているのは経管です(審査要領 PDF p.11)。自社のケースの当てはめは窓口または専門家にご確認ください。

まとめ

経管や営業所技術者等が辞めたとき、最初に決めるのは日数ではありません。

  • 交替者の有無で、様式そのものが割れます。 交替させるなら営業所技術者等証明書(様式第8号)が2枚(審査要領 PDF p.21)。1業種でも代わりに担当する人がいなければ、様式第22号の3を使います(審査要領 PDF p.33・手引 PDF p.144・p.145)。そして様式第22号の3を使う場面には、通常①許可の一部廃業 又は ②従たる営業所の変更が伴います(手引 PDF p.145・p.146)。
  • 一人の技術者の担当業種が、丸ごと消えるか一部残るかで手続きが変わります(審査要領 PDF p.21〜22)。ここから、欠けた業種だけを切り離して残りの許可を守るという選択肢が見えてきます。一覧表でも「一部の許可業種について営業所技術者等を欠いたとき」(No.17)は独立した届出事由として立っており、提出期限は2週間以内です(手引 PDF p.170)。
  • ただし、一部廃業も廃業届です。取下げはできません(手引 PDF p.148・審査要領 PDF p.33)。切った業種を追加許可申請で取り直せるか、経審・入札にどう響くかは、両資料に書かれていません。決めてから出す届出です。
  • 経管と営業所技術者等では、資料の書きぶりが違います(手引 PDF p.8/p.22/p.23・審査要領 PDF p.11)。ただしこれは県の側の処理の書き分けであって、事業者側の義務の軽重ではありません。
  • 後任確保の猶予を定めた記述は、両資料にありません。 「2週間以内」は変更届の提出期限です(手引 PDF p.22)。一方で、過去に経管・営業所技術者等として届け出られていた人を後任に立てる場合、確認申立書によって経験の調査を省略できる場合があり、この運用は変更届にも及ぶと書かれています(審査要領 PDF p.16)。社内に残っている元・届出者を最初に洗ってください。

そして、もう一段だけ先の話をします。一人の技術者・一人の経管に依存した許可は、その人の予定がそのまま許可の予定になります。 交替の設計は、辞める話が出てからではなく、体制を組むときに考えるものです。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。

いま欠員が起きている、あるいは近く起きそうだ、という段階でしたら、許可業種の構成と後任候補の有無をお聞かせください。「どこまで残せるか」から一緒に組み立てます。

「どこまで残せるか」から一緒に組み立てます

経管・営業所技術者等が辞める(辞めた)という段階で、①交替で通すか ②一部廃業で残すか ③どの業種を残せるか を、建設業特化の行政書士が一緒に整理します。初回30〜60分で方向性の見立てまでをご案内し、資料の精査・要件設計・工程表の作成は受任後に行います。「退職日が決まっているが後任が未定」「技術者が抜けて1業種だけ続けられない」など、まず1問だけ聞きたい方はLINEでどうぞ。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。

関連記事・サービス

※顧問契約の金額は税込の目安です。ご契約内容・業務範囲により変動しますので、正確な金額は事前にお見積りいたします。

Contact

お困りごとは、まず無料相談から

070-8567-3197

岡山県全域対応(岡山市・倉敷市ほか)/オンライン相談は全国対応。
電話受付:平日 9:00〜18:00(土日祝を除く)(土日祝を除く)
LINE・お問い合わせフォームは24時間受付(返信は営業時間内に順次)。
ご相談無料・秘密厳守。