Column|建設業許可

令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件【岡山】

令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件【岡山】

建設業許可の書類を作っていると、突然「令3条の使用人」という耳慣れない言葉が出てきます。

結論から言えば、令3条の使用人とは「支店長など従たる営業所の代表者」と「個人事業主の支配人」のことです。 岡山県の手引は、経営業務の管理責任者の経験を説明する箇所で、これを「令3条の使用人(支店長等従たる営業所の代表者、個人事業主の支配人等)」と言い換えています(手引 PDF p.7・※2)。根拠は建設業法施行令第3条で、条文は「支配人及び支店又は第1条に規定する営業所の代表者(支配人である者を除く。)」と定めています(手引 PDF p.86 に条文の抜粋、p.87 に解説)。

ここから実務上の結論が2つ出ます。

  1. 本店(主たる営業所)だけで営業しているなら、原則として令3条の使用人はいません。 支店や営業所を置き、そこで請負契約を締結して初めて登場する肩書きです。
  2. それでも、様式第11号(建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表)の添付は省略できません。 該当者がいない場合は「該当なし」と書くか、表全体を斜線で消して、必ず添付します(手引 PDF p.86-87)。岡山県の審査要領も「許可申請においては、該当がない場合でも、申請書への本様式の添付は省略できない」と明記しています(審査要領 PDF p.25)。

つまりこの論点は、支店を持つ会社にとっては「誰を置くか」の話であり、支店を持たない会社にとっては「添付漏れを起こさないか」の話です。両方を、岡山県の一次資料だけで整理します。

なお、そもそもその場所が建設業法上の「営業所」に当たるのか(看板・机・電話・使用権原といった物的要件)は本記事では扱いません。自宅を営業所にして建設業許可は取れる?営業所の要件と写真にまとめていますので、先にそちらをご覧ください。 本記事は「その場所が営業所であることを前提に、置く人と書類がどう増えるか」に限定します。

※ 令3条の使用人に該当するかどうか、また従たる営業所として認められるかどうかは、契約締結の権限や事務所の実態という個別の事情によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の会社について結論を保証するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。

1. 令3条の使用人とは——条文の定義と、よくある3つの誤読

1-1. 条文はこう書いてある

「令3条の使用人」は略称で、正式には建設業法施行令第3条に規定する使用人といいます。岡山県の手引は、様式第11号の記入例のページに施行令の抜粋を載せています(手引 PDF p.86)。

(支店に準ずる営業所)

第1条 建設業法(以下「法」という。)第3条第1項の政令で定める支店に準ずる営業所は、常時建設工事の請負契約をする事務所とする。

(使用人)

第3条 (中略)政令で定める使用人は、支配人及び支店又は第1条に規定する営業所の代表者(支配人である者を除く。)であるものとする。

手引はこの条文を、様式第11号の解説で次のように言い換えています(手引 PDF p.87)。

【建設業法施行令第3条の使用人とは】支配人及び支店又は常時建設工事の請負契約を締結する営業所の代表者(支配人である者を除く。)のことです。

さらに、経営業務の管理責任者の経験類型を説明する箇所では、より日常語に近い表現が使われています。「令3条の使用人(支店長等従たる営業所の代表者、個人事業主の支配人等)」(手引 PDF p.7・※2)。

3つの表現を重ねると、輪郭がはっきりします。令3条の使用人とは、①支配人、または②支店・営業所(=常時、建設工事の請負契約をする事務所)の代表者です。呼び名が支店長でも営業所長でも所長でも、判定は肩書きの語ではなく、その事務所で請負契約を締結する立場にあるかどうかで決まります。

1-2. 誤読①「使用人=従業員のこと」ではない

最も多い読み違いがこれです。「使用人」という語感から、従業員全般のことだと受け取ってしまうケースです。

実際、申請書には様式第4号「使用人数」という別の書類があり、こちらの「使用人」は文字どおり従業員を指します。様式第4号の記載要領は「『使用人』は、役員、職員を問わず雇用期間を特に限定することなく雇用された者(申請者が法人の場合は常勤の役員を、個人の場合はその事業主を含む。)をいう」と定義し、技術関係使用人と事務関係使用人の人数を営業所ごとに記載させます(手引 PDF p.54)。

同じ「使用人」でも、様式第4号は人数の統計、様式第11号は特定の地位にある人の一覧です。 名前が似ているだけで中身はまったく別物なので、様式第4号に人数を書いたから様式第11号は不要、という理解にならないよう注意してください。

1-3. 誤読②「支店長という肩書きがあれば該当する」ではない

条文が求めているのは代表者であること、つまりその事務所で対外的に請負契約を締結する立場にあることです。建設業法施行令第1条は、支店に準ずる営業所を「常時建設工事の請負契約をする事務所」と定めています(手引 PDF p.86)。契約を締結しない拠点は、そもそも建設業法上の営業所ではありません。

手引は営業所の定義について、「本社、本店、支店等名称のいかんを問わず、建設業を営むための常設の事務所をいい、看板の表示等、外観上営業所としての形態を備えていることはもちろんのこと、見積り・契約等の実態的な業務を常時行っている場所を指します。したがって、現場作業所や連絡事務所、通常は居住の用に供しているものなどは、営業所とはみなされません」と明記しています(手引 PDF p.6)。

したがって、次のような拠点は、看板に「○○営業所」と書いてあっても建設業法上の営業所ではなく、そこの責任者も令3条の使用人ではありません。

  • 工事のたびに置く現場事務所(施工管理のためだけの拠点)
  • 郵便物の受取や取次だけを行う連絡事務所
  • 資材置き場・倉庫に併設した詰所で、見積りも契約もそこでは行っていないもの

逆に、「支店として登記していないから対象外」という理解も誤りです。条文は登記の有無ではなく、常時、請負契約をする事務所かどうかを基準にしています。名刺に支店長と刷ってあるかどうかも判定基準ではありません。

1-4. 誤読③「常勤役員等(経管)や営業所技術者と同じ枠」ではない

令3条の使用人は、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)とも、営業所技術者(旧:専任技術者)とも別の枠です。3つを混同すると、必要な書類の数を読み違えます。

枠誰のことか何人必要か主な様式
常勤役員等(経管)法人なら常勤の役員、個人なら事業主又は支配人(手引 PDF p.7・※1)会社に1人(+補佐者体制の場合は補佐する者)様式第7号 又は 第7号の2
営業所技術者許可業種ごとの資格・経験を持ち、その営業所に専任で常勤する技術者(手引 PDF p.8)営業所ごとに様式第8号・別紙四
令3条の使用人支配人、支店・営業所の代表者(手引 PDF p.86-87)従たる営業所ごとに(+支配人がいればその人)様式第11号・第13号

ややこしいのは、同じ人が2つ以上の枠を兼ねることがある点です。たとえば「取締役兼○○支店長」は、役員等であり、かつ令3条の使用人でもあります。この場合の書類の省略ルールは §3-4 にまとめました。

なお、令3条の使用人としての経験は、経営業務の管理責任者の経験としてカウントできる類型に入っています(手引 PDF p.7・※2)。「前職で支店長をしていた」という経歴が経管の候補になり得るのはこのためです。ただし、経験年数の通算ルールや証明の方法は経管側の論点なので、経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法をご覧ください。本記事では扱いません。

2. 従たる営業所を置くと何が増えるのか——人の2点セットと書類の連動

支店・営業所を新しく置くと、人が2種類、同時に必要になります。ここを1つだけ用意して申請すると、そのまま止まります。

2-1. ①その営業所の営業所技術者(営業所ごとに専任・常勤)

手引は、営業所技術者について「建設業の請負契約に関する見積、入札、契約締結等の業務の中心は各営業所にあることから、建設業を営む全ての営業所の許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を持つ技術者を専任で配置することが必要です」と定めています(手引 PDF p.8)。

つまり、「本店に営業所技術者がいるから支店は不要」ではありません。 支店で営業する業種について、その支店に専任の技術者を置く必要があります。「専任」とは「その営業所に常勤して専らその職務に従事すること」であり、住所が営業所から著しく遠距離で通勤不可能な場合や、他の営業所で専任を要する職務を行っている場合は、原則として専任と認められません(手引 PDF p.8)。

岡山県の審査要領も、「住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、聞き取りを行った上で常識上通勤不可能な者については、営業所に『専任』する者とは言えないものとして取り扱う」としています(審査要領 PDF p.21)。本店の技術者を支店の名義だけ動かす、という組み方は成立しません。

もう1つ、複数拠点を持つ会社で効いてくる制限があります。審査要領は、「建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事務所に専任を要する者とされている者が営業所技術者等を兼任する場合は、同一法人、かつ、同一事業所の場合のみ可とし、同一営業所でも、別法人の場合は、兼任できないものとする」と定めています(審査要領 PDF p.21)。設計事務所や不動産部門を別法人で運営し、同じフロアに同居させている——という構成では、この点が引っかかることがあります。

どの資格が使えるかは営業所技術者になれる資格一覧|業種別の対応国家資格に、置ける人がいない場合の打ち手は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法に整理しています。遠隔地居住や兼務の境界は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?の担当です。

2-2. ②その営業所の代表者=令3条の使用人

そして、その営業所で請負契約を締結する代表者、すなわち令3条の使用人です。営業所を置く以上、そこには契約を締結する責任者がいるはずで、その人が自動的に令3条の使用人になります。

この2つは別々の人でも、同じ人でも構いません。 資格を持つ技術者がそのまま所長を務めるなら1人で足りますし、営業畑の所長と技術者を別に置くなら2人です。ただし、営業所技術者は「その営業所に常勤して専らその職務に従事する」ことが求められるため、所長職と技術者職の兼務が実態として成り立つかは、業務量を含めて設計しておく必要があります。

2-3. 新設のときに同時に動く書類

岡山県の手引には、変更届出書(様式第22号の2)の記載例が載っています。「■営業所の新設」の行を見ると、3行がセットで並んでいます(手引 PDF p.140)。

届出事項変更前変更後備考
営業所の新設―△△営業所△△営業所の新設
令3条の使用人―(氏名)〃
営業所技術者等―(氏名)〃

「営業所を作った」という届出だけでは終わらないということが、記載例の形からそのまま読み取れます。あわせて、営業所一覧表(様式第1号 別紙2)と営業所技術者等一覧表(様式第1号 別紙4)、様式第4号「使用人数」も営業所ごとの記載なので、支店を1つ増やすと同時に動く様式が一気に増えます。

新規許可申請の段階で最初から支店を申請するなら、この一式が申請書の中に組み込まれます。既に許可を持っている会社が後から支店を置くなら、変更届として提出します(期限は §7 にまとめました)。

順序の話:営業所技術者の候補と、所長に据える人の目星が付いてから物件を決める、という順序をおすすめします。逆にすると、物件の契約が先に走り、「技術者が見つからないので支店として申請できない」という宙ぶらりんの状態が生まれます。

3. 令3条の使用人に要る書類——5点セットと、兼務している場合の省略

該当者がいる場合、その人について用意する書類は次のとおりです。岡山県の「建設業の許可申請(新規・更新・追加等)に必要な書類一覧表」(手引 PDF p.169)から、令3条の使用人に関わるものを抜き出します。このうち令3条の使用人本人について用意するのは様式第11号・様式第13号・登記されていないことの証明書・身分証明書の4点で、様式第6号は申請者・役員等・令3条の使用人等をまとめて対象とする会社全体の誓約書です。

書類位置づけ提出区分
様式第11号 建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・営業所長等)の一覧表誰が該当者かを一覧にする閲覧用
様式第13号 建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店所長等)の調書該当者ごとの住所・生年月日・賞罰非閲覧用(該当者がいるとき)
様式第6号 誓約書申請者・役員等・令3条の使用人等が欠格要件に該当しないことの誓約閲覧用
登記されていないことの証明書成年被後見人・被保佐人に該当しない旨。岡山地方法務局戸籍課の窓口(郵送の場合は東京法務局後見登録課)で取得非閲覧用
身分証明書成年被後見人・被保佐人とみなされる者に該当せず、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村長の証明書。本籍地の市町村役場で取得非閲覧用

出典はいずれも手引 PDF p.169 です。登記されていないことの証明書と身分証明書は、役員等と同じく令3条の使用人(支配人・営業所長等)も対象であることが、同ページに明記されています。名称が紛らわしいので取り違えに注意してください——「登記されていないことの証明書」は法務局、「身分証明書」は本籍地の市町村役場です。本籍地が遠方にある方がいると、取得だけで日数を要します。

3-1. 2通の証明書は「原本」の扱いに注意

登記されていないことの証明書と身分証明書は、正本に原本を、副本にコピーしたものを添付します(手引 PDF p.15)。申請書は閲覧用3部(正1・副2)と非閲覧用3部(正1・副2)の計6部を提出する運用なので(手引 PDF p.15)、原本1通+写しという構成になります。

岡山県の審査要領には、実務で助かる取扱いも書かれています。

  • 同日に複数の申請・届出を受理する場合は、証明書の原本が1部提出されていれば足りる。 許可申請書と役員等の変更届が同時、更新申請と業種追加が同時、といったケースが対象です(審査要領 PDF p.30。身分証明書も同様の取扱い)。ただし、いずれかの書類に不備があって返却する場合はいずれの書類も返却され、後日同時に受け付けられます。
  • 「登記されていないことの証明書」は、医師の診断書で代えることができる。 成年後見制度適正化法による建設業法第8条の欠格要件の改正に伴う取扱いで、診断書には「契約の締結及びその履行に当たり必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができる能力を有する旨」とその根拠が記載されている必要があります(審査要領 PDF p.30-31)。診断書による場合は、申請日又は届出日前3か月以内に発行されたものであることが求められます(審査要領 PDF p.31)。

支店長候補が遠方に住んでいる、本籍地が県外にある、という場合は、この2通の取得だけで日程が動きます。書類の作成より先に、証明書の取得に着手するのが実務の順序です。

3-2. 様式第11号(一覧表)の書き方

記載するのは、営業所の名称・職名・氏名(フリガナ)です(手引 PDF p.86 の記入例)。日付は、許可申請なら申請日、変更届なら届出日、事業年度終了報告なら作成日を記載します(手引 PDF p.87)。審査要領も「作成の日付を必ず記載すること」としています(審査要領 PDF p.25)。

3-3. 様式第13号(調書)の書き方

住所・氏名・生年月日・職名・営業所名・賞罰・誓約日を記載します。手引の記入例には、次の注意が付いています(手引 PDF p.90)。

  • 本様式のうち、住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名欄については本人以外による訂正は認められません。
  • 賞罰欄は、建設業の行政処分・行政罰はもちろん、その他の賞罰についても記載する。刑罰については、罰金刑も記載する。
  • 該当する事項がない場合でも空白にせず、「特記事項なし」と記載する。賞を記載した場合は罰についても「罰なし」等と必ず記載する。
  • 単身赴任等で住民票上の住所と居所が異なる場合には、( )書きで居所も併記する。
  • 岡山県以外の住所は都道府県名から記載する。

本人以外が訂正できないという点は、実務上かなり効きます。支店長が遠方にいる会社では、誤記が1か所見つかるたびに現地とのやり取りが発生します。作成の段階で本人に内容を確認してもらう手順を組んでおくほうが、結果的に早く終わります。

3-4. 兼務している場合の省略ルール(★書類が2枚減る)

役員が支店長を兼ねているというケースは珍しくありません。この場合、様式第13号を作らずに済みます。

手引は様式第13号の解説で、「【該当者が役員等である場合】様式第12号(許可申請者の住所、生年月日等に関する調書)の役名等欄で建設業法施行令第3条に規定する使用人である旨(「取締役兼○○支店長」など)を明記すれば、この様式を改めて作成する必要はありません」としています(手引 PDF p.91)。

審査要領も同じ扱いを両側から書いています。

「建設業法施行令第3条に規定する使用人と兼務している場合は、建設業法施行令第3条に規定する使用人に関する調書(様式第13号)は省略して差し支えない。ただし、この場合、建設業法施行令第3条に規定する使用人に係る職名についてもこの様式に記載すること(〇〇支店長など)。」(審査要領 PDF p.25)

「役員が建設業法施行令第3条に規定する使用人を兼任している場合は、許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)をもってこれに代えることができる。この場合、様式第12号に職名を記載する。」(審査要領 PDF p.26)

つまり、様式第12号の役名等欄に「取締役兼○○支店長」と書けば、様式第13号は不要になります。逆に言えば、職名を書き漏らすと省略の前提が崩れます。「取締役」とだけ書いてある様式第12号では、その人が令3条の使用人であることが書類から読み取れません。ここは、兼務を採用する会社が最も落としやすい1行です。

なお、様式第13号は「様式第12号に準じて作成」することとされ、様式第11号に記載した順につづるよう指定されています(手引 PDF p.91)。複数の営業所がある会社では、綴じる順序も確認しておいてください。

4. ★該当者がいなくても様式第11号は省略できない——最も多い添付漏れ

ここが、本店1か所だけで営業している会社にも関係する論点です。

4-1. 手引が3か所で念を押している

様式第11号の記入例には、次の注記が入っています(手引 PDF p.86)。

【許可申請の場合】

・建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人又は従たる営業所の代表者)がいない場合でも、本表の添付を省略することはできません。

・「該当なし」と記載するか、本表全体を斜線で抹消してください。

解説ページでも繰り返されています。「【該当者がいない場合】『該当なし』と記載するか、記入欄に斜線を引いて記載事項のないことを明示して、必ず添付してください」(手引 PDF p.87)。

さらに、手引の「Ⅴ 申請のパターン別注意点 1 新規申請の注意点」にも、わざわざ同じ内容が置かれています。「様式第11号(建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表)該当がない場合も『該当なし』等記載して必ず添付してください」(手引 PDF p.152)。

岡山県の審査要領も同じです。「許可申請においては、該当がない場合でも、申請書への本様式の添付は省略できない」(審査要領 PDF p.25)。

同じ内容が手引に3か所、審査要領に1か所。これは裏返せば、それだけ漏れやすいということです。

4-2. 様式第11号と様式第13号は、扱いが逆になる

紛らわしいのは、同じ令3条の使用人に関する様式でも、11号と13号で「該当なし」の扱いが逆という点です。

様式該当者がいない場合出典
様式第11号(一覧表)省略できない。「該当なし」記載か全体を斜線で、必ず添付手引 PDF p.86-87・p.152/審査要領 PDF p.25
様式第13号(調書)添付不要。(様式第11号に該当者の記載がない場合は省略できる)手引 PDF p.91/審査要領 PDF p.26

覚え方としては、「一覧表は『いない』ことを示すために出す。調書は『いる人』の分だけ出す」と整理すると取り違えにくくなります。

同じ発想の様式は他にもあります。営業所一覧表(別紙2(1))も「従たる営業所がない場合、記入の必要はありませんが、添付の省略はできません」とされ、更新用の別紙2(2)では「『従たる営業所』欄の余白に該当なしと記入し、必ず添付」と指定されています(手引 PDF p.43)。審査要領も「ただし、従たる営業所を有しない場合は白紙の添付で可。(様式の添付自体は必須)」としています(審査要領 PDF p.6)。「該当がないから抜く」という判断が、岡山県の申請書では通用しない場面があると覚えておいてください。

4-3. 事業年度終了報告では扱いがまた違う

一方で、毎年の事業年度終了報告(決算変更届)では、様式第11号の扱いが変わります。

【事業年度終了報告の場合】・該当又は変更がなければ添付不要です。(手引 PDF p.86)

「なお、事業年度終了報告においては該当者がおり、変更のあるときのみの添付でよい。」(審査要領 PDF p.25)

許可申請では必ず添付、事業年度終了報告では該当かつ変更があるときだけ添付——この違いを取り違えると、逆方向の不足が起きます。事業年度終了報告の様式一覧でも「建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(変更がある場合)」と括弧書きが付いています(手引 PDF p.32)。

4-4. なぜこれが致命傷になるのか——岡山県は事前審査を行わない

添付漏れが単なる手直しで済まないのは、岡山県の窓口運用と組み合わさるためです。手引は、許可申請書の提出について次のように明記しています。

「事前審査は一切行いません。 正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。」(手引 PDF p.16)

窓口では書面審査を行い、記載事項に不備がなければ受け付けられます。逆に言えば、不備があれば受け付けられないところから始まります。しかも窓口の審査は時間が区切られており、「原則として、審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了します」とされています(手引 PDF p.16)。手引は、特に新規・更新・追加・般特新規の申請では十分な時間的余裕を持って来庁するよう求めています(手引 PDF p.16)。遠方から半日かけて出向いて、様式1枚のために出直す——という失い方をしないよう、綴じる前のチェックが要ります。

不許可・不受理になる不備の類型は建設業許可が不許可・不受理になる主な理由に、新規申請の必要書類全体は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般に整理しています。

5. 令3条の使用人は欠格要件・誠実性の対象——支店長の人選が会社全体を左右する

令3条の使用人は、単なる書類上の肩書きではありません。その人の事情が、会社全体の許可に跳ね返る立場です。

5-1. 欠格要件の対象に含まれる

手引は、建設業法第8条の欠格要件を列挙したうえで、最後にこう置いています(手引 PDF p.10)。

・役員等、支配人、従たる営業所の代表者のうちに上記事項に該当する者がいるもの

「上記事項」には、破産者で復権を得ない者、営業停止・禁止期間が経過しない者、不正の手段により許可を受けたこと等により許可を取り消されてから後5年を経過しない者(許可取消しを免れるために廃業届を提出した者を含む)、拘禁刑以上の刑や一定の法令違反による罰金の刑の執行を終わり等から5年を経過しない者、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者などが含まれます(手引 PDF p.10)。

つまり、支店長として据えた1人が欠格事由に当たると、会社の許可そのものが下りない、あるいは維持できないということです。 様式第6号の誓約書が「申請者・役員等・令3条の使用人等が欠格要件に該当しないことの誓約書」という名前になっているのも(手引 PDF p.169)、様式第13号に賞罰欄があり罰金刑まで書かせるのも(手引 PDF p.90)、この構造から来ています。

欠格要件そのものの読み方は建設業許可の欠格要件とは|破産・前科があっても取れる?に、許可を取り消された後にいつから取り直せるかは許可取消のあと建設業許可を取り直せる?欠格期間にまとめています。本記事では列挙も期間の起算も展開しません。

5-2. 誠実性の対象にも含まれる

許可要件の1つである誠実性についても、対象者に入っています(手引 PDF p.9)。

(3)誠実性

法人にあっては法人、役員等、支店長など従たる営業所の代表者及び支配人が、個人にあっては事業主及び支配人が、請負契約に関して、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。

「役員等」の定義は建設業法第5条第3号にあり、「役員(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者)又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者」とされています(手引 PDF p.9)。支店長は、この「役員等」に当たらなくても、誠実性の対象として別途名指しされているという構造です。

誠実性という要件の中身と、不正・不誠実な行為として何が想定されているかは建設業許可の誠実性の要件|不正・不誠実な行為とはの担当です。

5-3. 欠格に該当したら廃業届——「気づいたら要件を欠いていた」を避ける

許可取得後についても、手引は次のように書いています(手引 PDF p.23)。

「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等を欠いた場合、適切な社会保険への加入を怠った場合、許可を受けた者、法人の役員等又は政令で定める使用人が欠格要件に該当した場合には、許可要件を欠くこととなるため、速やかに廃業届を提出する必要があります。」

「政令で定める使用人」=令3条の使用人です。支店長が欠格事由に該当した時点で、会社は許可要件を欠くという建て付けになっています。

さらに、監督処分基準の他法令違反の項でも、「法人に係る他法令違反については、役員等若しくは政令で定める使用人又は法人自体に他法令違反が認められる場合に監督処分を行うこととする」とされています(手引 PDF p.204)。事案によっては、監督処分とともに建設業法第47条等の罰則の対象となり得る旨も手引に記載があります(手引 PDF p.23)。監督処分の基準そのものは手引 PDF p.200〜208 にまとまっていますので、深掘りが必要な場合はそちらをご確認ください。

5-4. だから、人選の順序が変わる

以上をまとめると、支店長を決めるときの確認順序は、営業力や現場実績より前に、次の点から始まります。

  1. 欠格事由に触れていないか(過去の刑罰、破産、前に在籍した会社の許可取消しの有無など)
  2. 本籍地の市町村役場で身分証明書を、法務局で登記されていないことの証明書を取得できるか(手引 PDF p.169)
  3. 様式第13号の賞罰欄に何を書くことになるかを、本人と合意できているか(手引 PDF p.90)

「支店を任せると決めてから欠格が判明する」という順序は、最も損の大きい進み方です。 打診の段階で確認しておくべき事項として扱ってください。

6. 岡山県の運用——常勤性の確認と営業所調査は「不要」、では何が確認されるのか

ここからが、他県の解説記事では出てこない岡山県固有の運用です。

6-1. 審査要領は「不要とする」と明記している

岡山県の審査要領は、様式第11号の審査基準として次の一文を置いています。

「建設業法施行令第3条に規定する使用人については、常勤性の確認、営業所調査を不要とする。」(審査要領 PDF p.25)

令3条の使用人という地位そのものについては、経管や営業所技術者のような常勤性の裏付け書類(社会保険・出勤簿・賃金台帳)を求めない、という運用です。 これは、経管・営業所技術者の常勤性が社会保険関係書類や賃金台帳・出勤簿で確認される扱い(手引 PDF p.18)とは対照的です。

6-2. ただし「営業所そのもの」と「営業所技術者」は確認される

誤解しないでいただきたいのは、これは「支店は調べられない」という意味ではないということです。確認の対象が違うだけです。

対象岡山県での確認出典
営業所(場所)申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査の連絡。看板(容易に確認できるもの)・机・電話及びファクシミリ・営業所の賃貸借契約書(原本)等を確認。いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません手引 PDF p.17
営業所技術者営業所技術者等一覧表(別紙4)に記載された者について、厚生年金標準報酬決定通知書等で常勤性を確認審査要領 PDF p.6
令3条の使用人(人)常勤性の確認・営業所調査を不要とする審査要領 PDF p.25

つまり、支店を出せば、その場所は現地で見られます。 看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本という確認項目は、本店であろうと支店であろうと同じです。営業所は居住部分と共用できず、賃貸借契約を締結している場合は契約書上で営業活動に利用することが認められている必要があります(手引 PDF p.17)。物件そのものの要件は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?営業所の要件と写真をご覧ください。

6-3. この運用が人選の設計にどう効くか

「令3条の使用人には常勤性の確認がない」という一文は、書類の枚数が減るという意味であって、誰でもよいという意味ではありません。 定義に立ち返れば、その営業所で請負契約を締結する代表者でなければ、そもそも該当しないからです。実態のない人を形式的に載せることには意味がありません。

実務的な含意は、むしろ次の点にあります。

  • 常勤性の裏付け書類を用意する負担は、営業所技術者側に集中する。 支店を出すときのボトルネックは、ほぼ例外なく技術者の確保です。人選の議論は、所長職ではなく技術者から始めるほうが、手戻りが少なくなります。
  • 兼務させると、書類は減るが常勤性の要求は厳しくなる。 支店長と営業所技術者を同一人物にすると様式は減りますが、その人には営業所技術者としての専任・常勤が求められます(手引 PDF p.8)。書類の枚数だけで兼務を選ばないでください。
  • 役員が支店長を兼ねると、様式第13号が省ける。(§3-4)ただし様式第12号の役名等欄に職名を書く必要があります。

補正で直せない不備がある:岡山県の審査要領は、補正書による補正を不可とする案件として「申請又は届出のあった営業所が許可要件を満たさないため、別の場所を営業所とするよう申請又は届出の内容を変更する場合」を挙げています(審査要領 PDF p.31)。この場合は取下げ願による取下げになります。営業所に関する見立て違いは、書類の差し替えでは吸収できないという点は、支店を出す前に押さえておくべき情報です。

7. 変更届は期限が2本走る——2週間以内と30日以内

既に許可を持っている会社が支店を新設する場合、変更届の期限に注意が必要です。1回の出来事で、期限の異なる届出事項が同時に発生します。

7-1. 期限の一覧

手引の「変更届出事項及び提出書類等一覧表」(手引 PDF p.170)と、変更届の表紙の記入例に付された提出期限の区分(手引 PDF p.30)によると、本記事に関係する届出事項の期限は次のとおりです。

届出事項提出期限
従たる営業所の名称/営業所の所在地等30日以内
従たる営業所の新設・廃止2週間以内
従たる営業所の業種追加・業種廃止2週間以内
建設業法施行令3条の使用人2週間以内
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)2週間以内
営業所技術者等2週間以内
健康保険等の加入状況2週間以内
事業年度終了報告4か月以内

支店を新設すると、「従たる営業所の新設」「令3条の使用人」「営業所技術者等」の3つが同時に発生し、いずれも2週間以内です。 §2-3 で見たとおり、記載例ではこの3行が1枚の変更届出書にまとまりますから、支店を出したら2週間と覚えてください。

注意が要るのは、同じ「従たる営業所」の話でありながら、期限が2つに割れていることです。支店の名称を変えるだけなら30日以内、支店そのものを新設・廃止するなら2週間以内です。変更届出書の表紙(手引 PDF p.30)を見ると、この2つは同じ○印番号(2番)の枠の中に並んで刷られていながら、右側の提出期限だけが別になっています。「表紙の番号2に○を付けたから30日」と番号単位で覚えると誤ります。(同じ現象は番号3にもあります。資本金の額・役員等の追加交替削除・支配人の変更は30日以内ですが、同じ枠内の令3条の使用人だけが2週間以内です。)

なお、変更届の提出に法定手数料は不要です(手引 PDF p.14「【変更届出書を提出する場合】手数料は不要です」/手引 PDF p.22「変更届には手数料は必要ありません」)。かかるのは書類の作成と証明書の取得実費、そして手間です。

7-2. 遅れるとどうなるか

手引は、変更届の提出遅延について、期限内に提出していない状態では許可の更新や業種追加などの申請ができず、あわせて監督処分や罰則の対象にもなると明記しています(手引 PDF p.22)。

その場では何も起きないように見えて、5年後の更新のときに止まる——これが変更届の怖さです。支店の開設・閉鎖・所長の交代は、日常の業務のなかでは「社内の人事」として処理されがちで、届出が漏れやすい領域です。

加えて岡山県には、遅延した場合の運用が審査要領に定められています。「商号又は名称、営業所の所在地・業種、資本金額、役員等の氏名(中略)支配人の氏名、建設業法施行令第3条に規定する使用人、経管・営業所技術者等の変更及び事業年度終了報告(提出期限の定めがあるものは全て)について、届出書の提出日が法定の提出期限の2倍を超えて遅延した場合には、業務改善報告書の提出を受ける」という趣旨の定めです(審査要領 PDF p.36)。令3条の使用人の変更は、この対象に名指しで入っています。

7-3. 所長が交代したとき・支店を閉じたとき

支店の新設だけでなく、所長の交代も令3条の使用人の変更にあたります。変更届出書の記載例では、営業所の新設・業種追加・技術者の交替などパターンごとの書き方が示されています(手引 PDF p.140)。

支店を閉じる場合は、従たる営業所の廃止にあわせて、そこに置いていた営業所技術者の扱いも整理が要ります。営業所技術者を削除する場合で交替する者がいないときは様式第22号の3(届出書)を用い、その場合には「①許可の一部廃業手続き 又は ②従たる営業所の変更手続が伴います」と手引に明記されています(手引 PDF p.146)。支店を1つ閉じるだけのつもりが、業種の一部廃業まで波及することがあるということです。閉じる前に、その支店でしか営業所技術者を置いていない業種がないかを確認してください。

8. 岡山県での手続き——提出先・営業所調査・法定手数料と期間

支店の新設を含め、岡山県知事許可の申請・届出に共通する手続きは次のとおりです。

8-1. 提出先は本庁一元。県民局は受付窓口ではない

岡山県は、所在地に応じて3つの県民局建設部ごとに担当区域を設け、建設業に関わる事務の一部を行っています。ただし、申請・変更届の受付は本庁一元です。手引は「建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています」と明記しています(手引 PDF p.168)。提出先は岡山県土木部監理課建設業班で、郵送での提出も受け付けられます(送付先は同じ)(手引 PDF p.16)。

支店が県北にあっても、申請書の提出先は変わりません。「支店の所在地を担当する県民局に出す」ではないという点は、複数拠点を持つ会社ほど誤解しやすいところです。

8-2. 事前審査は一切行わない

繰り返しになりますが、岡山県は事前審査を行いません(手引 PDF p.16)。書類を完全に整えた状態で持ち込む前提の運用です。窓口で相談しながら整えていく進め方はできない、と理解してください。

8-3. 営業所調査は所轄の県民局が行う

申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡があります(手引 PDF p.17)。調査では許可要件確認のため必要な書類の提出等を求められますので、担当者の指示に従ってください。確認項目は §6-2 の表のとおりで、物件そのものの要件は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?営業所の要件と写真をご覧ください。

申請=本庁、営業所調査=所轄の県民局という役割分担です。なお、営業所調査が早く終わったからといって許可が早く取得できるわけではありません。本庁の土木部監理課でも別途調査を行うためです(手引 PDF p.16)。

8-4. 法定手数料と納付方法

新規許可申請(許可換えを含む)・般特新規は90,000円、更新・追加は50,000円です。手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)。

納付方法は、岡山県手数料等(POS)納付連絡票をホームページから印刷し、収納専用窓口に持参して支払い、受け取った納付済証を許可申請書の正本非閲覧用の「様式第1号 別紙三」に貼り付けて提出する、という流れです(手引 PDF p.14)。

支店の新設が変更届で足りる場合、法定手数料はかかりません(手引 PDF p.14・p.22)。一方、そもそもまだ許可を持っていない段階で支店込みの新規申請を行うなら、90,000円の新規手数料の中に含まれます。支店の数で手数料が増えるわけではないという点は、拠点展開を検討する会社にとって判断材料になります。

8-5. 期間

申請が受け付けられてから許可までは、特に問題がないケースで概ね2か月程度です(手引 PDF p.16)。ただしこれは、書類が完全に整った状態で受け付けられてからの期間です。実際には、その手前——物件の確保、営業所技術者の確保、本籍地からの身分証明書や法務局の証明書の取得、支店長本人との賞罰の確認——のほうが読みにくく、事案による幅も大きくなります。

なお、費用の全体像は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安に整理しています。当事務所の変更届(役員・その他)の報酬は22,000円(税込)が目安ですが、支店の新設は営業所一覧表・営業所技術者等証明書・様式第11号・様式第13号などが同時に動くため、内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。

9. 置くか、置かないか——判断材料と、置いたあとに続く維持管理

最後に、経営判断の材料として整理します。

9-1. 「営業所として届け出る」以外の形もある

建設業法施行令第1条は、支店に準ずる営業所を「常時建設工事の請負契約をする事務所」と定めており(手引 PDF p.86)、手引も営業所を「見積り・契約等の実態的な業務を常時行っている場所」としています(手引 PDF p.6)。裏返せば、契約の締結を主たる営業所に集約すれば、拠点があっても営業所として届け出る対象にはならないという整理になります。同じ箇所で手引は「現場作業所や連絡事務所、通常は居住の用に供しているものなどは、営業所とはみなされません」と明記しています(手引 PDF p.6)。この定義に照らせば、見積りも契約も行っていない資材置き場や倉庫の詰所も、営業所には当たりません。

形営業所技術者令3条の使用人主なコスト・手間
従たる営業所として届け出るその営業所に専任で必要必要(様式第11号・第13号・証明書2通)技術者の確保が最大の関門。県民局の営業所調査の対象になる
現場事務所・連絡事務所にとどめる(契約は主たる営業所で締結)不要不要契約事務を集約する運用の徹底が要る

どちらが正しいという話ではなく、「その拠点で契約を締結する必要があるか」から決まります。 拠点に見積り・契約の権限を持たせたいなら営業所として整えるほかありませんし、施工の拠点として使うだけなら営業所にする必要はありません。先に営業所として届け出るかどうかを決め、そのうえで人を手配するという順序が、無駄が出にくい進め方です。

9-2. 他県に営業所を置くと、知事許可では収まらない

見落とされやすい点です。手引は「同一の都道府県内にのみ営業所を設けて建設業を営む場合には都道府県知事許可となります。複数の都道府県に営業所を設けて建設業を営む場合には国土交通大臣許可となります」と定めています(手引 PDF p.6)。

つまり、岡山県知事許可のまま兵庫県や広島県に営業所を置くことはできません。 大臣許可の申請書は直接、中国地方整備局に提出することとされています(手引 PDF p.6)。県外への拠点展開を検討している場合は、この分岐を最初に確認してください。県内での支店展開と県外への進出は、手続きの重さがまったく違います。

9-3. 置いたあとに続くこと

支店を置くと、維持管理の対象も増えます。

  • 標識(許可票)の掲示:許可を受けたときは、店舗及び建設工事の現場(元請工事のみ)ごとに標識を作成し、公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません(手引 PDF p.21)。支店も店舗ですから、掲示の対象です。
  • 事業年度終了報告:決算日から4か月以内に提出します(手引 PDF p.22)。様式第4号「使用人数」は営業所ごとの記載であり、様式第11号は該当者がおり変更があるときに添付します(手引 PDF p.32・p.86)。
  • 更新:許可の有効期間は許可日から5年間で、更新許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておく必要があります(手引 PDF p.13・p.21)。ここで、過去の変更届の遅延があると更新申請ができません(手引 PDF p.22)。
  • 所長の交代・支店の閉鎖のたびの変更届:期限は §7 のとおりです。

支店を持つ会社ほど、届出の発生頻度が上がります。 人の異動が本店だけの会社より多くなるためです。当事務所では、変更届・事業年度終了報告・更新の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問の範囲、申請の代理実行はスポットの報酬という切り分けです。

9-4. 拠点を増やす目的が受注拡大なら

支店の設置が公共工事や入札を見据えたものであれば、経営事項審査(経審)と入札参加資格も併せて設計するほうが合理的です。経審申請を岡山で依頼するならと入札参加資格をご覧ください。元請として受注する体制に移る場合に何が変わるかは下請から元請になるための建設業許可|変わることに、異業種から建設業に参入して拠点を構える場合の順序は異業種から建設業に参入して許可を取るにはに整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q令3条の使用人とは、結局どういう人のことですか?
A建設業法施行令第3条に規定する使用人の略称で、支配人および支店・営業所の代表者(支配人である者を除く)を指します。ここでいう営業所は「常時建設工事の請負契約をする事務所」です(手引 PDF p.86)。岡山県の手引は、これを「支店長等従たる営業所の代表者、個人事業主の支配人等」と言い換えています(手引 PDF p.7)。判定は名刺の肩書きではなく、その事務所で請負契約を締結する立場にあるかどうかで行われます。なお、様式第4号「使用人数」の「使用人」は従業員一般を指す別の概念で、こちらは役員・職員を問わず雇用期間を特に限定せず雇用された者と定義されています(手引 PDF p.54)。混同にご注意ください。
Q本店だけで営業しています。令3条の使用人はいませんが、様式第11号は出さなくてよいですか?
A提出が必要です。手引は「令第3条に規定する使用人(支配人又は従たる営業所の代表者)がいない場合でも、本表の添付を省略することはできません」と明記し、「該当なし」と記載するか本表全体を斜線で抹消するよう指示しています(手引 PDF p.86-87)。新規申請の注意点でも同じ内容が繰り返されており(手引 PDF p.152)、審査要領も「許可申請においては、該当がない場合でも、申請書への本様式の添付は省略できない」としています(審査要領 PDF p.25)。一方、様式第13号(調書)は該当者がいなければ添付不要です(手引 PDF p.91)。なお、毎年の事業年度終了報告では様式第11号の扱いが異なり、該当者がおり変更があるときのみの添付でよいとされています(審査要領 PDF p.25)。
Q支店を新しく出すと、何を用意することになりますか?
A大きく2種類の人と、それに伴う書類です。1つはその営業所の営業所技術者で、営業所ごとに専任で配置する必要があります(手引 PDF p.8)。もう1つがその営業所の代表者、すなわち令3条の使用人で、様式第11号(一覧表)と様式第13号(調書)、加えて登記されていないことの証明書・身分証明書が対象になります(手引 PDF p.169)。手引の変更届出書の記載例でも、「営業所の新設」「令3条の使用人」「営業所技術者等」の3行がセットで示されています(手引 PDF p.140)。あわせて営業所一覧表・営業所技術者等一覧表・様式第4号「使用人数」も営業所ごとの記載になります。物件が建設業法上の営業所として認められるかは別の論点で、申請受付後に所轄の県民局による営業所調査があります(手引 PDF p.17)。
Q取締役が支店長を兼ねています。書類は二重に必要ですか?
A様式第13号は省略できます。手引は「該当者が役員等である場合、様式第12号の役名等欄で令第3条に規定する使用人である旨(『取締役兼○○支店長』など)を明記すれば、この様式を改めて作成する必要はありません」としています(手引 PDF p.91)。審査要領も同じ扱いを定め、「様式第12号に職名を記載する」ことを条件としています(審査要領 PDF p.25-26)。ただし省略の前提は職名の記載です。様式第12号に「取締役」とだけ書かれていると、その方が令3条の使用人であることが書類から読み取れません。なお、様式第11号(一覧表)のほうは、該当者がいる以上そのまま作成が必要です。
Q支店長になる人について、事前に確認しておくべきことはありますか?
A欠格要件に該当しないかの確認が最優先です。手引は欠格要件の対象として「役員等、支配人、従たる営業所の代表者のうちに該当する者がいるもの」を挙げており(手引 PDF p.10)、誠実性の対象にも「支店長など従たる営業所の代表者及び支配人」が含まれます(手引 PDF p.9)。許可取得後についても、政令で定める使用人が欠格要件に該当した場合は許可要件を欠くこととなるため速やかに廃業届を提出する必要がある、とされています(手引 PDF p.23)。また、様式第13号の賞罰欄は行政処分・行政罰に加えてその他の賞罰も記載し、刑罰については罰金刑も記載する書式で、住所・氏名・生年月日・賞罰・誓約日・署名欄は本人以外による訂正が認められません(手引 PDF p.90)。本籍地の市町村役場で取得する身分証明書と、法務局で取得する登記されていないことの証明書も必要になります(手引 PDF p.169)。打診の段階でご本人と確認しておくことをおすすめします。個別の当てはめはご相談ください。

まとめ

  • 令3条の使用人とは、支配人および支店・営業所(=常時、建設工事の請負契約をする事務所)の代表者のことです(手引 PDF p.86-87)。手引は「支店長等従たる営業所の代表者、個人事業主の支配人等」と言い換えています(手引 PDF p.7)。判定は肩書きの語ではなく、その事務所で契約を締結する立場にあるかで決まります。
  • 従たる営業所を置くと、人が2種類必要になります。 その営業所に専任・常勤の営業所技術者(手引 PDF p.8)と、その営業所の代表者=令3条の使用人です。手引の変更届の記載例でも、営業所の新設・令3条の使用人・営業所技術者等の3行がセットで並びます(手引 PDF p.140)。
  • 該当者がいなくても様式第11号の添付は省略できません。「該当なし」と記載するか、表全体を斜線で消して必ず添付します(手引 PDF p.86-87・p.152/審査要領 PDF p.25)。一方、様式第13号は該当者がいなければ添付不要です(手引 PDF p.91/審査要領 PDF p.26)。11号と13号で扱いが逆です。
  • 役員が支店長を兼ねている場合、様式第12号の役名等欄に「取締役兼○○支店長」と職名を書けば、様式第13号は不要になります(手引 PDF p.91/審査要領 PDF p.25-26)。省略の前提は「職名を書くこと」です。
  • 令3条の使用人は、欠格要件(手引 PDF p.10)と誠実性(手引 PDF p.9)の対象に含まれます。支店長1人の事情が会社の許可を左右するため、人選は欠格の確認から始めてください。
  • 岡山県は、令3条の使用人については常勤性の確認・営業所調査を不要としています(審査要領 PDF p.25)。ただし営業所そのものは所轄の県民局による営業所調査の対象であり、営業所技術者の常勤性は別途確認されます(手引 PDF p.17/審査要領 PDF p.6)。
  • 支店を出したら2週間です。 従たる営業所の新設・廃止、令3条の使用人、営業所技術者等は、いずれも2週間以内(手引 PDF p.30・p.170)。一方、支店の名称を変えるだけなら30日以内で、同じ「従たる営業所」でも期限が割れます。遅延すると更新・追加申請ができなくなります(手引 PDF p.22)。

支店を出す判断は、物件の確保より前に「誰を技術者に置けるか」「所長に据える人が欠格に触れていないか」の2点で決まります。要件の全体像は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断から確認できます。

支店・営業所を増やすときのご相談は無料相談から

「支店を出したいが、何が必要になるか分からない」「支店長を誰にすべきか」「様式第11号の書き方が分からない」——建設業に特化する行政書士が、拠点展開の要件設計から個別にご案内します。申請書類の作成だけでなく、代理申請まで承ります。初回の無料相談は方向性の見立てまで(30〜60分)で、資料の精査・要件設計・工程表の作成は受任後に承ります。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。

Contact

お困りごとは、まず無料相談から

070-8567-3197

岡山県全域対応(岡山市・倉敷市ほか)/オンライン相談は全国対応。
電話受付:平日 9:00〜18:00(土日祝を除く)(土日祝を除く)
LINE・お問い合わせフォームは24時間受付(返信は営業時間内に順次)。
ご相談無料・秘密厳守。