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許可取消のあと建設業許可を取り直せる?欠格期間【岡山】

許可取消のあと建設業許可を取り直せる?欠格期間【岡山】

建設業の許可を取り消されても、建設業許可を二度と取れなくなるわけではありません。 ただし、「いつから取り直せるか」は、許可が消えた原因によってまったく違います。

岡山県の手引は、建設業法第8条各号の欠格要件を列挙しています(手引 PDF p.10)。そのうち、許可の取消しに直接関係するのは次の2つです。「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年を経過しない者(許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む。)」と、「建設業の営業停止又は禁止期間が経過しない者」です。ここで最も見落とされているのが、カッコ内の一文です。許可取消しを免れるために先回りして廃業届を出しても、この5年の起算からは逃れられないと、条文の側があらかじめ書いています。

一方で、許可が消える経路は「取消処分」だけではありません。 営業所技術者(旧:専任技術者)が退職して後任がいない、経営業務の管理責任者(経管)が不在になった、1年以上営業を休止した、更新をしないまま有効期間が満了した——いずれも許可を失う経路ですが、上に引いた欠格条項の文言とは書きぶりが異なります。まず自社がどの経路で許可を失った(失いそうな)のかを特定することが、再取得の第一歩です。

本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、①許可が消える経路の切り分け、②5年の欠格期間の条文の読み方、③廃業届で先回りしても起算が変わらない理由、④取り直しの申請を岡山県でどう進めるか、を一次資料の文言に沿って整理します。欠格要件そのものの各号の解説(破産・刑罰・暴力団関係など)は建設業許可の欠格要件とは|破産・前科があっても取れる?にまとめていますので、要件の全体像はそちらをご覧ください。

※ 許可が取り消された事案は、原因・処分の内容・時期・関係者の範囲という個別の実態によって結論が大きく変わります。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の会社・特定の方について再取得の可否や時期を保証するものではありません。とりわけ「5年がいつから起算されるか」は事案ごとに異なり、本記事の記述だけで自社のケースを判断することはできません。 最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。また、刑事事件に関わる判断は弁護士にご相談ください。

1. まず切り分ける——「許可が消えた」には3つの経路がある

相談の場でまず確認するのは、「どうやって許可が消えたのか」です。ここが違うと、その後の見通しがまったく変わります。手引・審査要領から読み取れる経路は、大きく次の3つに整理できます。

経路何が起きたか一次資料の記述
経路A|監督処分としての取消し建設業法違反等に対する監督処分として、許可行政庁が許可を取り消した手引 PDF p.23(不正手段で許可を取得した場合/営業停止処分に従わない場合は許可を取り消す)/手引 PDF p.203(情状が特に重い場合又は営業停止処分に違反した場合は建設業法第29条の規定により許可の取消しを行う)
経路B|要件の欠如・営業の休止による取消し営業所技術者等が退職して後任がいない、1年以上営業を休止した等、許可の前提が崩れた手引 PDF p.8(営業所技術者等の退職・後任なし=要件の欠如として許可は取り消される。建設業法第29条第1項第1号)/審査要領 PDF p.37(1年以上の営業休止=同項第3号)
経路C|自ら手続で終わらせた/期限が来た廃業届を提出した、または更新をせずに有効期間が満了した手引 PDF p.22(廃業届が必要な場合と30日以内の期限)/手引 PDF p.21(更新の申請をしないまま有効期間が満了すると、改めて新規で許可を取り直すことになる)

1-1. 「取消し」という言葉が2つの意味で使われている

ここでいったん、用語の混乱を解いておきます。岡山県の資料では「取消し」が2つの場面で登場します。

1つは、監督処分としての取消しです。手引は「建設業法及び関連諸法令に違反した場合は、監督処分の対象となります」としたうえで、「特に、下記に該当する場合には許可を取り消すことになりますので、注意してください。①不正手段で許可を取得した場合 ②許可行政庁の営業停止処分に従わない場合」と書いています(手引 PDF p.23)。

もう1つは、事務処理上の日付の扱いとしての「取消し」です。審査要領は、廃業届について「廃業届の受理日を許可の取消しの日として取り扱う」と定めています(審査要領 PDF p.16)。また、法人成りに伴って提出される個人事業主の廃業届についても「法人の新規許可を待たず、廃業届の受理日で許可の取消し処理を行う」としています(審査要領 PDF p.34)。

この2つは、同じ「取消し」という語でも、書かれている文脈が違います。 後者は、許可の記録上いつの時点で許可が消えたことにするかという事務の取扱いを定めた記述です。ただし、どちらの経路であっても「その日付が県の記録に残る」という点は共通しています。ここが §3 と §7 につながります。

1-2. 切り分けができないまま動くと、何を失うか

経路の特定を飛ばして再申請の準備を始めると、次の2つのどちらかに落ちます。

  • 本当は待つ必要がない期間、動かずに待ってしまう。要件の欠如で許可が消えたケースを「取り消されたのだから5年待つしかない」と自己判断して、5年近く無許可のまま営業を絞ってしまう——これは事業の側の損失が非常に大きい落ち方です。
  • 本当は待たなければならない期間に、申請してしまう。欠格に当たる状態で申請すれば許可されませんし、そもそも申請書には欠格要件に該当しないことの誓約書(様式第6号)を添えることになります(手引 PDF p.56・p.169)。

どちらの誤りも、原因の特定という最初の1手で防げます。 相談の段階で持ってきていただきたいのは、記憶の説明ではなく、処分通知・廃業届の控え・許可通知書・当時の変更届の控えという紙です。

2. 5年の欠格期間はどこから来るのか——手引 PDF p.10 の文言を読む

再取得のタイミングを左右する条文は、建設業法第8条の欠格要件です。岡山県の手引は「建設業法第8条各号のいずれか(以下のとおり)に該当するときは、許可できません」として各号を列挙しています(手引 PDF p.10)。このうち、許可の取消しに関係するのは次の2つです。

「・建設業の営業停止又は禁止期間が経過しない者

・不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年を経過しない者(許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む。)」(手引 PDF p.10)

2-1. 「取り消されてから後5年」——原因が限定して書かれている

注目していただきたいのは、この号が取消しの原因を書き分けているという点です。「取り消されてから後5年」ではなく、「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年」です。

つまり、条文の側が「どんな取消しでも一律に5年」とは書いていません。この点が、経路B(要件の欠如・営業の休止)で許可が消えたケースにとっては重要な意味を持ちます。

ただし、この文言には「等」の一語が入っています。 「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により」と書かれている以上、列挙された2つ以外に当たる取消しが含まれる余地を、条文自体が残しています。 したがって、手引の文言だけを根拠に「自社のケースは5年に当たらない」と読み切ることはできません。 ここは処分の理由がどう構成されていたかを、処分の通知そのものに当たって確認すべき部分です。

2-2. 「営業停止又は禁止期間が経過しない者」——停止期間中は申請しても許可されない

もう1つの号は、営業停止処分そのものに紐づいたものです。営業停止又は禁止の期間が経過していない間は、そもそも欠格に当たります(手引 PDF p.10)。

営業停止処分により停止を命じられる行為は、監督処分の基準で「請負契約の締結及び入札、見積り等これに付随する行為」と定義されています(手引 PDF p.202)。停止期間中に行える行為・行えない行為の例は、同基準の別表に置かれています(手引 PDF p.209)。別表の「二 営業停止期間中でも行える行為」には「処分を受ける前に締結された請負契約に基づく建設工事の施工」が挙げられており、停止されているのは契約と入札であって、施工中の工事の続行までが一律に止まるわけではないという切り分けになっています。ただし個々の行為の可否は事案によるため、処分の内容と併せてご確認ください。

なお、監督処分の基準そのもの(どの違反にどの程度の処分が対応するか)は、手引の資料編に「岡山県建設業者等の不正行為等に対する監督処分の基準」として PDF p.200〜209(末尾に上記の別表)に収録されています。本記事は再取得の時期を主題とするため、処分基準の中身には立ち入りません。自社が受けた処分の重さの評価は、処分の通知と基準を突き合わせて個別に行う必要があります。

2-3. 欠格は「会社」だけでなく「人」にも付いて回る

再取得を考えるときに最も見落とされるのがここです。手引 PDF p.10 の列挙の末尾には、役員等・支配人・従たる営業所の代表者の中に、それまでに挙げた各号のいずれかに当てはまる人がいる場合も欠格になるという号が置かれています(手引 PDF p.10)。

つまり、欠格事由は法人本体だけでなく、役員等・支配人・従たる営業所の代表者という「人」の側にも掛かります。 ここでいう「役員等」は、建設業法第5条第3号により、役員(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者)だけでなく、相談役・顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含みます(手引 PDF p.9)。岡山県は、少なくとも相談役・顧問、および総株主の議決権の100分の5以上を有する株主、出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者(個人であるものに限る)については届出が必要としています(手引 PDF p.37)。ただし、役員等の一覧表への届出の対象になることと、欠格の確認書類の対象になることは別です。 手引は、顧問・相談役・株主等(株主又は出資者)のみに該当する方について、様式第12号の賞罰欄の記載や誓約欄の記名は必要なく、「登記されていないことの証明書」「身分証明書」も不要としています(手引 PDF p.37・p.89・p.169)。

この構造の帰結は明快です。「別の会社を作って、そこで取り直せばよい」という設計は、その人が新会社の役員等・支配人・従たる営業所の代表者に入る限り、機能しません。 従たる営業所を置く場合に必要になる令3条の使用人(支店長等)も同じ対象に含まれます。この立場の中身は令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件にまとめています。

2-4. 虚偽の記載・記載の欠落でも許可されない

同じ手引 PDF p.10 には、各号の列挙に先立って、申請書やその添付書類の重要な事項に嘘の記載がある場合、あるいは重要な事実が書かれていない場合にも、許可は受けられないという定めが置かれています(手引 PDF p.10)。

再取得の申請では、この定めが特に重く効きます。 過去に許可が消えている以上、申請書のどこかに「その事実」を書く欄があるからです(→ §7-1)。書き落としは「記載が欠けている場合」に当たり得ます。 ここは §7 でまとめて扱います。

2-5. 5年の起算点は「事案で変わる」——一般化して覚えない

最後に、この章で最も強調しておきたい点です。「取消しから5年」「5年経てば大丈夫」という覚え方は、実務では危険です。

  • 5年の対象になるのは、上に引いた特定の書きぶりの取消しであって、あらゆる取消しではありません(ただし「等」があるため、限定を狭く読み切ることもできません)。
  • 手引 PDF p.10 には、取消し以外にも5年という期間が出てくる号があります。拘禁刑以上の刑や一定の法令違反による罰金の刑に関する号、暴力団員でなくなった日に関する号などです。どの5年が問題になっているのかを取り違えると、起算点そのものを間違えます。 これら各号の中身は建設業許可の欠格要件とは|破産・前科があっても取れる?の担当です。
  • 刑事手続が関係する場合、その進行と欠格期間の関係は法律事務の領域です。刑事事件に関わる判断は弁護士にご相談ください。

3. ⛔廃業届で先回りしても起算は変わらない|条文が名指ししている抜け道

ここが本記事の核です。「取り消されそうだから、その前に自分から廃業届を出しておけば、5年を回避できるのではないか」——この発想は、条文の側にすでに読まれています。

3-1. カッコ内の一文が塞いでいる

「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年を経過しない者(許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む。)」(手引 PDF p.10)

「許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む」。 この一文があるために、取消しを避ける目的で提出された廃業届は、欠格の判定上、取消しと同じ扱いを受ける建て付けになっています。「自主的に畳んだのだから前歴は残らない」という整理は、この条文の下では成り立ちません。

3-2. 廃業届は、出した後で取り下げられない

先回りの廃業届が危険なもう1つの理由は、取り返しがつかないことです。岡山県の審査要領は、廃業届について明確に定めています。

「(1)廃業届の取下げは認めない。」(審査要領 PDF p.33)

手引の様式説明も同じ趣旨を、注意書きとして繰り返しています。

「【取下げ不可】受付後の取下げはできませんので、この届を出すときには十分に注意してください。」(手引 PDF p.148)

申請書の内容であれば、補正書による補正や、取下げ願を出しての再申請という手段があります(審査要領 PDF p.31。ただし役員等に欠格要件に該当する者があり届出内容を変更する場合など、補正書による補正を不可とする案件が明示されています)。廃業届にはその余地がありません。

3-3. 岡山県は廃業届の「意思」を確認している

さらに、岡山県は廃業届の受理にあたって本人の意思確認を行う運用を明文化しています。

「(2)押印廃止に伴う届出の意思の確認

令和3年1月から建設業許可申請等に押印が不要となったことに伴い、廃業届も押印不要となったが、錯誤や悪意等による届出の受理を避けるため、窓口持参の場合は持参者の役職名や氏名、郵送の場合は電話で代表者等に対し届出が事実に相違ないものかの確認を行う。」(審査要領 PDF p.33)

「錯誤や悪意等による届出」という言葉が、県の文書に書かれているという事実は重く受け止めるべきです。廃業届は、事実として要件を欠いたときに出すべき届出であって(→ §5)、処分を避けるための手段として設計されたものではありません。

3-4. 「先に畳めば履歴が残らない」も成り立たない

もう1つの誤解が、「廃業してしまえば記録が消える」というものです。残ります。 理由は2つあります。

  1. 県の側の記録:審査要領は「廃業届の受理日を許可の取消しの日として取り扱う」としています(審査要領 PDF p.16)。日付として記録される扱いです。
  2. 申請者の側の記載義務:新規で取り直す際に提出する様式第20号「営業の沿革」は、許可を継続できなかった期間が分かるように書かせる書式です(手引 PDF p.132)。詳しくは §7-1 で扱います。

結論として、廃業届による先回りは「起算を早める効果が期待できない一方で、取り返しがつかず、記録も残る」という、割に合わない選択です。 処分の話が動き始めている局面でこそ、自己判断で書類を出す前にご相談ください。

4. 5年の文言に当たるとは限らない「許可の消え方」——要件の欠如・休業・更新切れ

§2 で見たとおり、欠格条項が5年を課しているのは「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により……取り消されてから」という書きぶりの取消しです。一方、許可が消える経路には、この書きぶりとは別に整理されているものもあり、いずれに当たるかで再取得までの見通しが変わります。

4-1. 営業所技術者等が退職し、後任がいない場合

手引は、営業所技術者の説明のなかで、はっきり書いています。

「許可を取得した後に、営業所技術者等が退職し、後任者がいない場合は、要件の欠如として当該許可は取り消されます。(建設業法第29条第1項第1号)」(手引 PDF p.8)

これは処分の重さの話ではなく、許可の前提が崩れたという話です。 同様に、常勤性を要する経管や営業所技術者を欠く状態になった場合について、手引は「代わりになる方がいなければ許可を失うことになります」と注意を促し、変更届は変更後2週間以内と定めています。あわせて「欠く」状態の定義も置かれています。

「なお、『欠く』状態とは、退職、死亡した場合はもちろんのこと、毎日出勤することができなくなった場合も含みます。病気や事故等で長期入院されるような場合には、社会保険等の資格が継続されていても、『欠く』状態とみなされます」(手引 PDF p.22)

4-2. 1年以上の営業休止

もう1つ、見落とされやすい経路です。審査元の運用として、審査要領に条文が引かれています。

「建設業法第29条第1項第3号において、『許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合』は、当該建設業者の許可を取り消さなければならないこととされている。」(審査要領 PDF p.37)

手引も、廃業届の説明に付随して「②許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合等 取消処分の対象となるので、注意してください」と書いています(手引 PDF p.23)。この経路は「何かをやらかした」わけではないのに許可を失うため、当事者の自覚がないまま進行しがちです。

4-3. 更新をしないまま有効期間が満了した

もっとも単純な経路がこれです。手引は、許可の有効期間を許可日から5年間と定め、更新の申請は、有効期間が満了する日の30日前までに受付を済ませておくよう求めています(建設業法施行規則第5条)。そのうえで、更新の申請をしないまま有効期間が満了したときは、改めて新規で許可を取り直すことになるとして、期限切れへの注意を促しています。なお、更新申請そのものは満了の日の3か月前から出すことができます(手引 PDF p.21)。

「改めて新規に許可を取得することになります」——手引はこう書いており、5年を待てとは書いていません。更新期限を落とした場合の実務上の痛手は、待つことではなく、新規として要件を一から証明し直すこと、そして法定手数料が更新の50,000円ではなく新規の90,000円になること(手引 PDF p.14)にあります。

4-4. 経路ごとの整理

以上を、再取得の見通しという観点で並べます。なお、この表は経路を切り分けるための地図であって、個別の事案の結論ではありません。

許可が消えた経路一次資料の根拠手引 PDF p.10 の「取り消されてから後5年」の文言との関係実務上の主な論点
不正の手段により許可を受けた手引 PDF p.23文言に明記されている5年の起算点の確認が最優先。虚偽記載の範囲・関係者の特定
営業停止処分に従わなかった手引 PDF p.23・p.203文言に明記されている同上。加えて営業停止・禁止期間そのものの経過(手引 PDF p.10)
情状が特に重い不正行為等手引 PDF p.203(建設業法第29条)文言の「等」に当たるかを処分理由から確認処分通知の理由の記載を精査。自己判断しない
営業所技術者等の欠如(後任なし)手引 PDF p.8(第29条第1項第1号)上記の書きぶりとは別に整理されている技術者の再確保が実質的な条件。証明書類の再構築
経管を欠く状態手引 PDF p.22/審査要領 PDF p.11-12同上交替者の有無。交替者がいない場合、審査要領は原則として自主廃業を求めるとする。ただし不在期間が2か月未満かどうかで扱いが分かれる(→ §5-2)
1年以上の営業休止審査要領 PDF p.37(第29条第1項第3号)同上「営業」の範囲の確認(→ §5-3)
更新せずに有効期間が満了手引 PDF p.21取消しではなく期間満了改めて新規申請。要件の再証明と法定手数料 90,000円
自ら廃業届を提出手引 PDF p.22・p.148「許可取り消しを免れるため」の廃業届は文言に含まれる(→ §3)取下げ不可。提出前に必ず相談

この表の使い方は1つだけです。「自社はどの行に当たるのか」を、記憶ではなく書面で確定させること。 そのうえで、5年の文言に当たり得る行であれば、処分の通知と条文を突き合わせる作業に入ります。

5. 岡山県の運用で実際に許可が消える場面|審査要領が書いている5つのケース

ここまでは制度の枠組みでした。この章では、岡山県が審査要領で明文化している、より具体的な場面を見ます。再取得を考える方にとっては「二度目を防ぐためのチェックリスト」でもあります。

5-1. 経管・営業所技術者等の交替に「1日でも空白」が生じる場合

審査要領は、役員の変更届の説明のなかで、次のように定めています。

「なお、経管・営業所技術者等が死亡・退職し、次の経管・営業所技術者等が就任するまでの間に1日でも空白の期間が生じる場合には、法第29条第1項第1号(経管・営業所技術者等に係る基準を満たさなくなった場合)に該当するため、廃業届の提出が必要である。」(審査要領 PDF p.33)

「1日でも」です。 退職日と後任の就任日が1日ずれただけで、この扱いになります。退職の日程が動く場面(定年・体調・親族の事情)は、そのまま許可の存続に直結します。 営業所技術者を確保できないときの打ち手は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法に整理しています。

5-2. 経管が一時的に不在だったことが事後に判明した場合

「⑤ 経管の一時的な不在について 経管が入院等によるやむを得ない事情により、営業所に出勤していなかったことが事後に判明した場合、次のとおり取り扱う。

ア 交替できる者あり:業務改善報告書を添付の上、変更届を提出すること。資格・経験等を調査の上、問題がなければ、変更届を受理する。

イ 交替できる者なし:原則として自主廃業を求める(指導に従わない場合には許可取消し)。ただし、不在の期間が2か月未満であれば業務改善報告書を徴した上で営業の継続を認める。」(審査要領 PDF p.11-12)

交替できる者がいない場合は原則として自主廃業を求められますが、不在の期間が2か月未満であれば、業務改善報告書を徴したうえで営業の継続が認められます(審査要領 PDF p.12)。つまり、この場面で結論を分けているのは「交替できる者がいるかどうか」と「不在の期間が2か月未満かどうか」の2点です。 不在が長引くほど選択肢が狭まる構造ですから、経管が入院等で出勤できない状態になった時点で、期間の見通しと交替者の当てを同時に立てておく必要があります。なお、ここでいう業務改善報告書は、岡山県が制度として定めている手続です(審査要領 PDF p.36-37 に取扱いの定めがあります)。

5-3. 更新のときに「営業していた」と確認できない場合

これが §4-2 の実務版です。審査要領は、更新申請の場面での確認方法まで書いています。

「更新許可申請を行うに当たって、直前5年間の各事業年度における工事施工金額の表等により、建設業に係る売上が確認できず、1年以上営業を休止していることが疑われる場合には、次のとおり取り扱う。

(1)直前5年間全く売上が計上されていない場合 …… ここでいう『営業』には、建設工事の施工に限らず、入札参加、積極的な契約の誘因等の請負契約の準備的行為あるいは前提行為等も広く含まれるものと解されており、これらの行為がなされていたか否かを判断する必要がある。この場合には、上記の営業の実態や売り上げが計上されなかった理由について、口頭により確認(郵送申請の場合には電話により確認)し、営業の有無を判断することとする。

(2)隔年で売上が計上されているような場合 口頭で、営業の実態等を聴取し、営業を休止していなかったことが確認できる場合は、更新申請を受理する。ただし、今後、建設業に係る売上が継続して計上されず、営業を行っていたと判断できない場合には、許可の取消し(更新申請不許可)を行う場合がある。」(審査要領 PDF p.37)

押さえるべき点は2つです。

  • 「営業」は施工実績だけではない。 入札参加、積極的な契約の誘因といった準備的行為・前提行為も広く含まれると解されています。受注ゼロの年があったこと自体が直ちに休止を意味するわけではありません。
  • 判断材料として口頭の聴取が入る。 郵送申請なら電話です。説明できる材料(見積書、入札参加の記録、営業活動の記録)を手元に用意しておくかどうかで結果が変わり得る場面だということです。

許可を維持したまま受注が細っている会社にとって、これは他人事ではありません。公共工事・入札の側の維持については公共工事を受注するには|建設業許可と入札参加資格もあわせてご覧ください。

5-4. 役員が被保佐人に該当した場合——「欠格に該当=即取消し」ではない

この記事のなかで、もっとも非直感的な運用がこれです。

「① 役員が被保佐人に該当した場合、建設業法上の欠格要件に該当するが、役員が刑に処せられた場合とは違い、病気等によるものであり社会的に非難されるべき理由ではないことから、許可取消しや廃業指導は行わない。

② 経管又は営業所技術者等ではない役員が高齢、病気の理由により被保佐人に該当する事実が明らかとなった場合には、該当した日から2か月以内に役員から退任させ、変更届の提出があれば特段の指導は行わない。 被保佐人の役員在任期間が2か月を超過して変更届の提出があった場合には、業務改善報告書を徴した上で受理する。

③ 経管又は営業所技術者等が被保佐人に該当した場合は、代わりに就任しうる者がいる場合には、該当した日に遡って変更届を提出すれば受理することとする。……被保佐人該当人と後任者の着任日との間に間隔が空いている場合には一旦廃業し、再度新規で許可を申請すること。」(審査要領 PDF p.30)

ここから読み取れることが3つあります。

  1. 欠格要件に該当したからといって、直ちに許可の取消しに直結するとは限らない——岡山県は、原因の性質によって取扱いを書き分けています。
  2. 「該当した日から2か月以内」「該当した日に遡って」という時間の要素が、結論を分けている——動く速度が結果を変えます。
  3. ③の末尾は、まさに本記事の主題です。 空白が空いてしまったら「一旦廃業し、再度新規で許可を申請すること」。つまり岡山県は、廃業→新規での取り直しという道筋を、運用の一部としてはっきり書いています。 取り直しは例外的な事態ではありません。

なお、欠格要件に該当するに至った場合には届出の様式が用意されています。 様式第22号の3(届出書)には「(4)建設業法第8条第1号及び第7号から第13号までに規定する欠格要件に該当するに至った場合」という区分があります(手引 PDF p.145)。該当したら届け出る、という前提で制度が組まれているということです。

5-5. 営業所の建物が他法令に違反していた場合

これも押さえておく価値があります。

「営業所の建物について、建築確認申請や農地転用申請等、他法令に基づく許認可手続きが完了しているかどうかについては、建設業許可の審査の前提とはしない。ただし、許可後に営業所建物が他法令に違反する建築物であり、監督行政庁から行政処分を受けた場合等には、許可を取消しすることがある。」(審査要領 PDF p.4)

「許可の審査では見ないが、後から問題になれば取消しがあり得る」という構造です。取り直しにあたって営業所を選び直す場合は、建物側の適法性も検討材料に入れてください。営業所の要件そのものは自宅を営業所にして建設業許可は取れる?営業所の要件と写真にまとめています。

6. 取り直すまでの間、何ができて何ができないか

再取得を待つ期間、事業をどう回すかは経営そのものの問題です。一次資料から言えることを、できること/できないことで整理します。

6-1. 許可を要しない範囲であれば、建設業の営業はできる

手引は、廃業届の様式説明のなかで明確に書いています。

「【廃業届出後の営業について】『廃業届』という名称の届となっていますが、この届を出した後には、建設業を一切営むことができなくなるわけではなく、許可を要しない範囲であれば建設業の営業は可能です。」(手引 PDF p.148)

許可を要しない範囲=「軽微な建設工事」の範囲です。金額のラインと判定方法は建設業許可が必要な500万円のラインとはに整理していますので、そちらで確認してください。ここでは金額の線引きに立ち入らず、「ゼロにはならない」という点だけをお伝えします。

ただし、この期間はラインの管理がこれまで以上に重要になります。 許可があった時期の感覚のまま受注すると、無許可での受注という別の問題が上乗せされ、再取得の申請にも影を落とします。すでに受けてしまった場合の対処は無許可で500万円以上を受注してしまったらにまとめています。

6-2. 標識は、掲示をやめるか修正する

意外に見落とされる実務です。

「許可業者であっても、許可の有効期間が満了した後や、廃業の届出を行った後には、従前から掲示していた許可票の掲示をやめたり、記載事項を速やかに修正しなければなりませんので十分に注意してください。」(手引 PDF p.195)

店舗・現場に古い許可票が残ったままになっているのは、対外的に「まだ許可がある」と示していることになります。 許可が消えた日に、真っ先に手を付けるべき項目です。

6-3. 経営事項審査・入札は、いったん切れる

手引は、特定建設業許可取得後の留意事項という文脈で、許可の失効の影響に触れています。失効した業種については許可を何も持たない状態に戻り、それに伴って経営事項審査(経審)も無効になるため、入札に長い期間参加できなくなるおそれがあるなど、影響は大きいというのが手引の書きぶりです(手引 PDF p.12)。

この記述は特定建設業の留意事項として置かれていますが、「許可が失効した業種については経営事項審査も無効になる」という影響の構造そのものは、公共工事を主戦場にしている会社にとって決定的です。 再取得の優先順位を決めるときは、許可の再取得だけでなく、経審の受審と入札参加資格の申請までを1本の工程として見積もる必要があります。経審の全体像は経審申請を岡山で依頼するならにまとめています。

6-4. 元請・取引先への説明をどう組むか

これは資料に書かれていない領域ですが、実務上は避けて通れません。許可が消えたこと自体は、取引先に伝わり得る情報です。 許可の有無は公的に確認できる状態にあり、申請書類のうち法令で閲覧対象となっているものは、受付後一定期間、県庁土木部監理課及び所轄県民局で一般の方に無料で閲覧に供されます(手引 PDF p.24)。手引自身が「閲覧用の申請書類等は、顧客・取引先・同業者・調査会社等、多数の目に留まることになります」と注意を促しています。

したがって、説明の設計は「隠す」方向では組めません。 現実的なのは、①いつ許可が消えたのか ②原因は何か ③再取得の見通しと、その間に請け負える範囲は何か——この3点を、こちらから先に整理して伝える形です。再取得の工程表を先に作ることが、そのまま取引継続の材料になります。

7. 取り直しの申請は「新規許可申請」|岡山県での手続きと、過去を書く欄

再取得の申請は、更新でも復活でもなく、新規許可申請です。手引は、更新をせずに有効期間が満了した場合について「改めて新規に許可を取得することになります」と明記しています(手引 PDF p.21)。要件は一から証明し直しになります。 6要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認してください。

7-1. ★過去を書く欄がある——様式第20号「営業の沿革」

再取得の申請で、他の申請と決定的に違うのがこの書類です。 手引の様式説明は次のように定めています。

「【『建設業の登録及び許可の状況』欄】これまで受けた建設業の許可等(更新を除く。)を記載してください。業種の追加、一部廃業だけでなく、許可の更新ができなかったり、許可要件を欠くなどにより許可を継続できなかった期間がある場合、そのことが分かるように記載してください。

【『賞罰』欄】建設業の行政処分、行政罰はもちろん、刑罰その他の賞罰の有無を明記してください。 該当がない場合は『特記事項なし』等と記載します。なお、賞を記載している場合には、『罰なし』など罰の有無も必ず記載してください。

【記載漏れ】建設業法による最初の許可又は登録、行政処分履歴の記載漏れが多いので注意してください。」(手引 PDF p.132)

「許可を継続できなかった期間がある場合、そのことが分かるように記載してください」。 これが、§3-4 で「履歴は残る」と述べた根拠です。手引の記載例にも、「専任技術者の退職に伴い、特定建設業の廃業届提出」という沿革の記入例が置かれています(手引 PDF p.131)。

そして手引自身が「行政処分履歴の記載漏れが多い」と警告しています。§2-4 で見たとおり、重要な事実の記載が欠けている場合も許可されません(手引 PDF p.10)。書き漏らしは、悪意がなくても危険な位置にあります。

7-2. 欠格要件に該当しないことの誓約書(様式第6号)

新規申請では、申請者・役員等・令3条の使用人等が建設業法第8条各号の欠格要件に該当しないことを誓約する書面(様式第6号)を提出します(手引 PDF p.56・p.169)。手引は「誓約書につきましては、申請者本人が作成するものであり、申請者による訂正以外は認められません」と注記しています(手引 PDF p.56)。

誓約である以上、事実と違えば §2-4 の「虚偽の記載」に直結します。 §1 の切り分け(自社はどの経路で許可を失ったのか)を先に済ませておくべき理由が、ここにも表れています。

7-3. 賞罰欄・証明書類——人の側の確認

役員等については、様式第12号「許可申請者(法人の役員等・本人等)の住所、生年月日等に関する調書」を作成します。手引はこの様式の「賞罰」欄について「建設業の行政処分、行政罰はもちろん、刑罰その他の賞罰の有無を明記してください」とし、あわせて「顧問、相談役、株主等(株主又は出資者)のみに該当する場合には記載不要です」としています(手引 PDF p.89)。また、役員等・本人・法定代理人および令3条に規定する使用人について、次の証明書が求められます(手引 PDF p.169。相談役・顧問・株主・出資者のみに該当する方は不要です)。

  • 「登記されていないことの証明書」(成年被後見人・被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書)または医師の診断書
  • 「身分証明書」(成年被後見人・被保佐人とみなされる者に該当せず、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村長の証明書。本籍地の市町村役場で取得)

再取得の場面では、この「人の側の確認」が実質的な関門になります。 §2-3 のとおり欠格は役員等・支配人・従たる営業所の代表者にも掛かるため、新体制の人選を決める前に、この確認を済ませておくのが順序です。誠実性の要件(請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと・手引 PDF p.9)も同じ範囲の方々に掛かります。その中身は建設業許可の誠実性の要件|不正・不誠実な行為とはにまとめています。

7-4. 経験の再証明を軽くできる場合がある——確認申立書

再取得で意外に効く岡山県固有の運用です。

「(14)常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等であったことの確認申立書

① 現に岡山県知事許可を有する建設業者において、過去に経管又は営業所技術者等であった者が、新規許可申請又は変更届に係る経管又は営業所技術者等に就任しようとする場合、この申立書の提出により、その経験に係る調査を省略する。

② 当様式の提出があり、対象者について過去に提出された申請書等により経管又は営業所技術者等としての経験が確認できる場合は、県民局調査においては、経管や営業所技術者等の経験期間の確認を省略し、常勤性の確認のみを行う。

④ 『現に許可を有する』ことについて、廃業届の提出と併せた申請(法人成に伴い、個人を廃業して法人で新規申請など)でも利用することができる。 なお、廃業届については、廃業届の受理日を許可の取消しの日として取り扱うため、確認申立書を使用した申請は廃業届と必ず同時に提出すること。」(審査要領 PDF p.16)

この仕組みが使える局面は限られます。「現に岡山県知事許可を有する建設業者において」という条件が掛かるため、許可が消えてから時間が経った再取得では使えない可能性があります。ただし、この条件が誰に掛かるのか(申請しようとする側なのか、その方が過去に在籍した建設業者なのか)は文言だけでは読み切れないため、利用の可否は事前に岡山県の担当窓口へご確認ください。 一方で、廃業届と新規申請を同時に出す構成——たとえば法人成りに伴う取り直し——では、経験の再証明という最も重い作業を大幅に省略できる可能性があります。 その場合、提出のタイミングが条件になっている点(「廃業届と必ず同時に提出」)に注意してください。法人成りに伴う許可の扱いは法人成りで建設業許可は引き継げる?にまとめています。

7-5. 岡山県での提出——本庁一元・事前審査なし

再取得の申請も、通常の新規申請と同じ手続で進みます。岡山県固有の運用として、次の点を押さえてください。

  • 提出先は本庁一元です。 手引は「建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています」と明記しています(手引 PDF p.168)。提出先は岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)で、郵送での提出も受け付けています(手引 PDF p.16)。窓口受付時間は 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)です。
  • 事前審査は一切行いません。 「正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください」(手引 PDF p.16)。再取得のように事情が込み入った案件ほど、この運用が効きます。窓口で相談しながら整えるという進め方はできません。
  • 法定手数料は新規90,000円(許可換え含む・般特新規も同額)。申請する業種の数とは関係ありません。 納付は岡山県手数料等(POS)納付連絡票を印刷して収納専用窓口に持参して支払い、納付済証を許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に貼り付けて提出します(手引 PDF p.14)。
  • 申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡が来ます。看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)等が確認され、営業所は居住部分と共用することはできません(手引 PDF p.17)。いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません。
  • 受付から許可までは、特に問題がないケースで概ね2か月程度です(手引 PDF p.16)。営業所調査が早く終わっても、本庁の調査は別途進行するため、許可が早くなるわけではありません。

取り直しであっても、県の側の手続は新規と同じです。「前に取っていたから簡単だろう」という前提は成り立ちません。

8. 再取得の順序と、費用・期間の逆算|同じことを繰り返さないために

8-1. 順序——原因の特定を、要件の再構築より先に置く

再取得は、次の順で進めます。順序を入れ替えると手戻りが大きくなります。

  1. 許可が消えた経路を書面で特定する(→ §1)。処分通知・廃業届の控え・許可通知書・変更届の控えを集める。
  2. 手引 PDF p.10 の文言に当たるかを確認する(→ §2)。当たり得る場合は、起算点を処分の内容から確認する。ここは一般論では詰められません。
  3. 人の側の欠格・誠実性を確認する(→ §2-3・§7-3)。新体制に入る役員等・支配人・従たる営業所の代表者を、決める前に確認する。
  4. 要件を再構築する(経管・営業所技術者・財産的基礎・営業所・社会保険)。§5-1 のとおり、技術者の空白は取消しの直接原因になり得るため、確保の確度が高い順に固める。
  5. 申請書を完全に整えて提出する(→ §7-5)。営業の沿革・賞罰欄の記載漏れを最後にもう一度確認する。
  6. 許可後の維持設計を同時に作る(→ §8-4)。

「いつから取り直せるか」が確定しないうちに要件の再構築に着手すると、費用と時間の投下先を誤ります。1→2 を先に終わらせてください。

8-2. 費用の内訳

再取得は新規許可申請として扱われるため、費用は新規と同じ枠組みになります。

項目金額備考
法定手数料(新規)90,000円岡山県知事許可。業種数と無関係。POS納付連絡票で納付(手引 PDF p.14)
当事務所の報酬|建設業許可申請(法人・新規)132,000円(税込)法定手数料と合わせて 222,000円
当事務所の報酬|建設業許可申請(個人・新規)110,000円(税込)法定手数料と合わせて 200,000円
実務経験による証明が必要な場合の加算3年 44,000円/5年 55,000円/10年 77,000円(税込)営業所技術者を実務経験で証明する場合
変更届(経営業務の管理責任者)33,000円(税込)取得後の維持で発生。届出そのものに法定手数料は不要(手引 PDF p.22)
変更届(営業所技術者)資格要件22,000円(税込)同上
証明書等の取得実費実費登記事項証明書・身分証明書・登記されていないことの証明書・残高証明書 等

税込の目安であり、案件の内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。 なお、法定手数料は依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します。 新規取得全般の費用感は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安にまとめています。

再取得に固有のコストは、金額表には現れません。 過去の書類の再取得(前職・取引先からの契約書の写しの入手)、人の側の確認に要する証明書の取得、そして要件を組み直す期間の機会損失です。ここは §8-3 の期間の問題と一体です。

8-3. 期間の逆算

動かせない時間の制約から逆算します。

動かせない制約内容出典
受付〜許可特に問題がないケースで概ね2か月程度手引 PDF p.16
営業所調査の連絡申請受付後半月程度で所轄の県民局から手引 PDF p.17
残高証明書受付日から1か月以内の時点の500万円以上の残高を証明したもの(複数の金融機関の証明書による場合は証明日が同日付)手引 PDF p.9
事前審査一切行わない(書類を完全に整えて提出)手引 PDF p.16

この4つを組み合わせると、「残高証明の基準日が申請受付日を基準に決まる」という制約が最後に効くことが分かります。 書類が揃う目処が立ってから残高証明を取りに行く、という順序でなければ、期限切れで取り直しになります。財産的基礎の準備そのものは自己資本500万円が足りないとき|増資・借入・残高証明に整理しています。

一方、その手前——原因の特定、5年の文言に当たるかの確認、人の側の確認、要件の再構築——にどれだけかかるかは、事案によって大きく異なります。 過去の書類がどれだけ残っているか、技術者を確保できるか、処分の内容がどう構成されていたかで変わるためです。本記事では、この手前の期間について具体的な月数を示しません。 一般化できる数字ではないからです。取得のタイミングをどう設計するかという論点は建設業許可を取るタイミング|取得を判断する目安にまとめています。

8-4. 取り直したあと、同じ経路をもう一度たどらないために

再取得を考えるときに、最後に確認しておきたいのがこの点です。 §4・§5 で見たとおり、許可が消える経路の大半は期限と人の管理に集約されます。

期限内容出典
変更後2週間以内常勤役員等(経管)・営業所技術者等の変更届。期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります手引 PDF p.22
決算日から4か月以内事業年度終了の変更届出書(毎年)手引 PDF p.22
30日以内廃業届(一部の業種のみを廃業する場合は、営業所技術者等の変更届が必要なため2週間以内)手引 PDF p.22
満了の30日前まで更新許可申請の受付(書類上不備がなく、受付印が押印された状態)。提出は満了の3か月前から可能手引 PDF p.13・p.21

とくに、経管・営業所技術者の交替に1日の空白も許されない(審査要領 PDF p.33)という点は、退職の話が出た時点で動き出さなければ間に合いません。「辞めると言われてから探す」では、空白が生じます。

当事務所では、変更届・事業年度終了報告・更新の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。ライト5,500円/スタンダード11,000円/フル15,000円(いずれも月額・税込)の3プランで、期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問の範囲、申請の代理実行はスポットの報酬という切り分けでご案内しています。一度許可を失った会社にとって、二度目を防ぐ仕組みは、報酬額以上の価値があります。

よくある質問(FAQ)

Q建設業許可を取り消されました。5年待たないと再取得できませんか?
A一律に5年とは限りません。岡山県の手引が欠格要件として掲げているのは「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年を経過しない者」という書きぶりで、取消しの原因を限定して書いています(手引 PDF p.10)。一方で、営業所技術者等が退職して後任がいない場合の取消し(手引 PDF p.8)や、1年以上の営業休止による取消し(審査要領 PDF p.37)は、これとは別に整理されています。ただし条文には「等」の一語が含まれており、自社のケースがどこに当たるかは処分の理由の記載を確認しなければ判断できません。まずは処分の通知を確認するところから始めてください。刑事事件に関わる判断は弁護士にご相談ください。
Q取り消される前に自分から廃業届を出せば、欠格期間を避けられますか?
A避けられません。手引 PDF p.10 の欠格要件は「取り消されてから後5年を経過しない者」に続けて、カッコ書きで「許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む」と明記しています。加えて、廃業届は提出後の取下げができません(審査要領 PDF p.33「廃業届の取下げは認めない」/手引 PDF p.148「受付後の取下げはできませんので、この届を出すときには十分に注意してください」)。岡山県は、錯誤や悪意等による届出の受理を避けるため、窓口持参の場合は持参者の役職名や氏名、郵送の場合は電話で代表者等に対し届出が事実に相違ないものかの確認を行うとしています(審査要領 PDF p.33)。処分の話が出ている局面で書類を出す前に、必ずご相談ください。
Q営業所技術者が退職して許可が消えました。新しい会社を作れば取れますか?
A会社を作り替えれば要件が満たされるわけではありません。まず、営業所技術者を確保できなければ、新会社でも許可の要件を満たせません(手引 PDF p.8)。また、欠格要件は法人本体だけでなく「役員等、支配人、従たる営業所の代表者のうちに該当する者がいるもの」にも及びます(手引 PDF p.10)。ここでいう役員等には、相談役・顧問その他名称を問わず法人に対し役員と同等以上の支配力を有すると認められる者が含まれます(手引 PDF p.9)。したがって、欠格に当たる方が新会社の役員等に入る構成では、同じ結果になります。なお、法人成りに伴う取り直しについては、廃業届と新規申請を同時に提出することで経管・営業所技術者等の経験調査を省略できる場合があります(審査要領 PDF p.16)。構成が固まる前にご相談ください。
Q更新を忘れて許可が失効しました。どうなりますか?
A手引は、更新の申請をしないまま有効期間が満了した場合は、改めて新規で許可を取り直すことになると定めています(手引 PDF p.21)。取消処分ではなく期間の満了ですが、実務上の負担は小さくありません。要件を一から証明し直すことになり、法定手数料も更新の50,000円ではなく新規の90,000円になります(手引 PDF p.14)。あわせて、その業種については何ら許可を有しない状態となるため、経営事項審査への影響も生じ得ます(手引 PDF p.12)。なお、更新申請は有効期間満了の日の3か月前から提出でき、満了の30日前までに受付を済ませておく必要があります(手引 PDF p.13・p.21)。
Q許可が消えている間、建設工事はまったく請け負えないのですか?
Aまったく請け負えなくなるわけではありません。手引は廃業届の説明で「この届を出した後には、建設業を一切営むことができなくなるわけではなく、許可を要しない範囲であれば建設業の営業は可能です」と明記しています(手引 PDF p.148)。ただし、許可を要しない範囲(軽微な建設工事)の判定は1件の請負代金で決まるため、許可があった時期の感覚のまま受注するとラインを超えるおそれがあります。また、許可の有効期間が満了した後や廃業の届出を行った後は、従前から掲示していた許可票の掲示をやめるか、記載事項を速やかに修正しなければなりません(手引 PDF p.195)。金額のラインは別記事に整理していますので、そちらを確認したうえで受注の可否を判断してください。

まとめ

「許可を取り消されたら、もう建設業許可は取れない」——これは誤りです。 ただし、「いつから取り直せるか」は、許可が消えた原因によって違います。

  • 5年の欠格を定めている条文は、原因を限定して書いています。 手引 PDF p.10 の文言は「不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等により建設業の許可を取り消されてから後5年を経過しない者」です。ただし「等」の一語があるため、この文言だけで自社のケースを読み切ることはできません。
  • 廃業届で先回りしても、起算は変わりません。 同じ条文のカッコ内に「許可取り消しを免れるため、廃業届を提出した者を含む」と明記されています。しかも廃業届は取下げができず(審査要領 PDF p.33・手引 PDF p.148)、岡山県は錯誤や悪意等による届出を避けるため意思確認まで行っています(審査要領 PDF p.33)。処分の話が動き始めた局面で、自己判断で書類を出さないでください。
  • 一方、許可が消える経路は取消処分だけではありません。 営業所技術者等の退職で後任がいない(手引 PDF p.8)、経管を欠く(手引 PDF p.22)、1年以上営業を休止した(審査要領 PDF p.37)、更新をせずに有効期間が満了した(手引 PDF p.21)——これらは上の文言とは別に整理されています。岡山県自身、被保佐人のケースについて「一旦廃業し、再度新規で許可を申請すること」と運用に書いています(審査要領 PDF p.30)。取り直しは例外的な事態ではありません。
  • 取り直しの申請は新規許可申請です。 要件は一から証明し直しになり、法定手数料は90,000円、受付から許可まで概ね2か月程度、申請受付後半月程度で所轄県民局の営業所調査があります(手引 PDF p.14・p.16・p.17)。そして、様式第20号「営業の沿革」には、許可を継続できなかった期間が分かるように記載する義務があります(手引 PDF p.132)。過去は書く欄があり、書き漏らしは「重要な事実の記載が欠けている場合」に当たり得ます(手引 PDF p.10)。

最初にやるべきことは1つです。「自社はどの経路で許可を失ったのか」を、記憶ではなく書面で確定させること。 ここが決まらないうちは、待つべきか動くべきかの判断ができません。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から、欠格要件の各号の中身は建設業許可の欠格要件とは|破産・前科があっても取れる?からご確認ください。なお、刑事事件に関わる判断は弁護士にご相談ください。

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