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建設業許可の代替わり|経管交代は届出・会社ごと譲るなら認可【岡山】

建設業許可の代替わり|経管交代は届出・会社ごと譲るなら認可【岡山】

「そろそろ息子に代を譲りたい」「代表を交代して、経営業務の管理責任者(経管)も自分から後継者に移したい」——建設業許可を持つ会社から、こうしたご相談をいただきます。

このとき最初に確認すべきなのは、ご自身の「代替わり」が、建設業許可の制度上どの入口に入るのかです。結論から言うと、3つに分かれます。

  1. 会社はそのまま、人だけが替わる(代表取締役の交代・経管の交代)→ 事業承継等の認可ではなく、変更届で処理します
  2. 会社ごと譲る/合併する/分割する(個人から法人への法人成りを含む)→ 事業承継等の認可の対象です。承継の効力が発生する日の2か月前までに認可申請書が受け付けられている必要があります
  3. 個人事業主が亡くなった→ 相続の認可(死亡後30日以内)と廃業届(30日以内)という2つの道が制度上あり、どちらを選ぶかの基準は岡山県の手引・審査要領のいずれにも書かれていません

つまり、多くの「代替わり」は事業承継等の認可の対象ではありません。岡山県の審査要領が定める認可の申請区分は、譲渡及び譲受け・合併・分割・相続の4つだけであり(審査要領 PDF p.34)、「会社は同じまま社長と経管が替わる」はこの4つのどれにも当たらないからです。検索していただいた言葉(事業承継・代替わり)と、制度の射程がずれている——これが、この論点でいちばん最初に押さえるべきことです。

本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、①どの入口に入るかの判定と、②入口②(認可)を選んだ場合に、承継日までに社内で決めておかなければならない条件を、岡山県「建設業許可の手引」および「審査要領」の記述だけで整理します。

※ どの入口に入るか、また認可の条件を満たせるかどうかは、会社の形態・許可業種の構成・人の配置という個別の実態によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可の建設業者が代を譲る場面を前提にした一般的な整理であって、個々の会社の結論を保証するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。

なお、後継者をどのルートで経管の要件に届かせるか(社内・身内の経験の掘り起こし/外部からの招へい/常勤役員等と補佐者による体制)は、経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?が本家として整理しています。本記事では繰り返しません。

1. 「代替わり」は制度の言葉ではない——まず3つの入口に振り分ける

1-1. まず前提:「代替わり」「後継者」は岡山県の資料に出てこない

先に、本記事の言葉づかいについてお断りしておきます。

「代替わり」「後継者」という語は、岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)にも「審査要領」(令和7年9月1日)にも、1件も出てきません。 これらは当事務所が説明の便宜のために使っている言葉であって、岡山県がその言葉で制度を定めているわけではありません。

なぜこれをわざわざ書くかというと、読者が使う言葉と制度の言葉がずれていることが、この論点の事故の原因そのものだからです。「事業承継」という言葉で検索して、事業承継等の認可制度の説明にたどり着き、「うちも認可が要るのか」と考える——しかし実際には認可の対象ではなかった、というすれ違いが起こります。逆に、認可が要る場面なのに変更届で済むと思い込んでいると、承継の効力発生日に間に合いません(§6)。

1-2. 岡山県が定める「認可の申請区分」は4つだけ

事業承継等の認可制度について、岡山県の審査要領は申請区分を4つに限定しています。

「(2)認可の申請区分は、次のとおりである。 ① 譲渡及び譲受け ② 合併 ③ 分割 ④ 相続」(審査要領 PDF p.34)

この4つに、「代表者の交代」も「役員の交代」も「経管の交代」も入っていません。 審査要領の「第三 事業承継等の認可制度」(審査要領 PDF p.34〜36)を通して読んでも、承継先の役員等一覧表の書き方(同 p.35)以外に役員の交代を扱った記述はありません。

一方で、手引の変更届出書(様式第22号の2)の記載例には、「経営業務管理責任者のみ交替し、役員の就退任がない場合」と「代表取締役の交替と同時に経営業務管理責任者も交替する場合」が、それぞれ独立した型として掲載されています(手引 PDF p.140)。会社が同一のまま人が替わる場面は、変更届で処理する——制度はそう組まれている、ということです。

1-3. ★入口判定表——「何が替わるのか」で分ける

以下の表は、替わるのが「人」なのか「事業の主体」なのかという一点で分岐させたものです。ご自身の代替わりがどの行に当たるかを、先に確定させてください(本記事では、法改正で名称が変わった「営業所技術者(旧:専任技術者)」を、以降「営業所技術者」と表記します)。

起きること制度上の扱い主な期限根拠詳細の送り先
代表取締役が交代する(会社は同じ)変更届30日以内手引 PDF p.30・p.170(変更届の表紙および変更届出事項一覧表)役員変更届の書き方
経管が交代する(会社は同じ)変更届2週間以内同上同上
代表取締役の交代と経管の交代が同時に起きる変更届(両方)役員等は30日以内・経管は2週間以内(別々の期限)手引 PDF p.30・p.170/審査要領 PDF p.33同上
会社ごと譲る(事業譲渡)事業承継等の認可承継の効力発生日の2か月前までに受付審査要領 PDF p.34本記事 §3〜§7
合併する/分割する事業承継等の認可同上審査要領 PDF p.34本記事 §3〜§7
個人事業主が法人を作って移る(法人成り)二択(法人で新規申請+個人の廃業届/事業譲渡の認可)認可を選ぶなら上と同じ手引 PDF p.23法人成りで建設業許可は引き継げる?/本記事 §7-4
個人事業主が亡くなった相続の認可(死亡後30日以内)/廃業届(30日以内)いずれも30日審査要領 PDF p.34-35/手引 PDF p.22・p.148本記事 §5
法人の代表者が亡くなった相続の認可ではない(※死亡した場合の扱いを明記した記述は資料になく、後任の選任+変更届の枠組みから読むほかない。§3-2)変更届の期限による審査要領 PDF p.33/p.34役員変更届の書き方

この表の上4行と下4行のあいだに、制度上の断層があります。 上は「許可はそのまま生きていて、記載事項が変わっただけ」、下は「許可を別の主体へ移す」。期限の考え方も、提出の方法(後述のとおり認可は電子申請ができません)も違います。手数料だけは、変更届も認可も不要という点で共通しています(§8-2)。

1-4. この記事で書けること・書けないこと

先に限界をお伝えします。岡山県は、事業承継等の認可の手続きの詳細を、別冊「建設業認可申請の手引」に切り出しています。

手引の本体には「11 事業承継等の認可制度」という節がありますが、その内容はわずか4行です。

「許可を受けている建設業の事業承継や相続を行う場合は、事前の認可を受けることで、建設業の許可を承継することができます。詳しくは、「建設業認可申請の手引」を確認してください。」(手引 PDF p.24)

同じ誘導は、電子申請の節(手引 PDF p.20)と、法人成りの説明(手引 PDF p.23)にも置かれています。手引の本体は、認可については3回にわたって別冊へ送っているということです。

したがって、本記事では次のものを書きません。いずれも別冊「建設業認可申請の手引(事業承継・相続)」(令和7年9月1日 4版)の側に定めがあり、入口の判定という本記事の役割から外れるためです(手数料が不要であることだけは §8-2 の表に記しました)。

  • 認可申請書そのものの様式番号、および必要書類の一覧
  • 認可の提出部数・処理期間(手引 PDF p.16 の「概ね2か月程度」は許可申請の処理期間であって、認可の処理期間ではありません。認可の処理期間は別冊にも定めがありません)
  • 承継後の許可番号・許可年月日・有効期間がどうなるか

「書いていないことは書かない」というのが本記事の立て方です。 そのうえで、審査要領 PDF p.34〜36 が定めている認可の条件・順序・期限・調査の扱いは、承継日を決める前に社内で判断しなければならない事項ばかりです。ここを §3 以降で扱います。

2. 入口①|会社はそのまま、人だけ替わる——認可ではなく変更届

2-1. 許可そのものは動かない

代表取締役が交代し、経管も先代から後継者へ移る。会社(法人格)が同じであれば、これは事業承継等の認可の対象ではありません。 §1-2 のとおり、認可の申請区分4つのどれにも当たらないからです。

このとき動くのは許可の記載事項であって、許可そのものではありません。手引の記載例が、まさにこの場面を独立した型として掲載しています(手引 PDF p.140)。

  • 経営業務管理責任者のみ交替し、役員の就退任がない場合
  • 代表取締役の交替と同時に経営業務管理責任者も交替する場合

後者は、代表取締役が退いて取締役として残り、取締役だった後継者が代表取締役になり、あわせて経管も先代から後継者へ移るという、まさに典型的な代替わりの形です。岡山県の手引が記載例として持っているということは、この形が制度の想定内にあるということでもあります。

なお、この2つの型の届出事項欄の埋め方・様式の構成・添付書類は、兄弟記事役員変更届の書き方|経管交代は届出2本の担当です。 本記事では「変更届で処理する」という判定の結論までにとどめます。

2-2. 落とし穴|届出は1本では済まないことがある

代替わりの場面で最も多い漏れ方が、役員の変更届だけを出して、経管の変更届を忘れることです。岡山県の審査要領は、この点を名指しで定めています。

「② 退任する役員が経管・営業所技術者等である場合
 退任する役員が経管である場合には、必ず経管の変更届を併せて提出すること。」(審査要領 PDF p.33)

さらに、代表取締役が退任する場合についても定めがあります。速やかに後任の代表取締役を選任し、新代表者名で変更届を提出する必要があるとされ、前任の代表者が経管や営業所技術者等でもあった場合には、それらの変更届も同時に提出する必要があるとされています(審査要領 PDF p.33)。

先代が「代表取締役であり、かつ経管であり、場合によっては営業所技術者でもある」という会社は、岡山県の中小の建設業者では珍しくありません。 その先代が退くと、1つの出来事から複数の届出が発生します。しかも、届出の種類ごとに期限が違います(役員等=30日以内/経管=2週間以内/営業所技術者等=2週間以内。手引 PDF p.30・p.170)。

1つの出来事が複数の届出に分解される「芋づる」の全体像は、兄弟記事建設業許可の変更届|出来事から逆引き・届出漏れの点検が横断ルールとして整理しています。事由と期限の一覧そのものは建設業許可を取った後の手続き全体像にあります。

2-3. 更新の時期と重なるときは、届出が先

代替わりは、許可の更新が近づいたタイミングで検討され始めることがよくあります。この場合の順序について、手引には定めがあります。更新の時期に経管や営業所技術者等を交代させるときは、更新の許可申請書とは切り離して、まず経管・営業所技術者等の変更届のほうを出す。そのうえで、交代したあとの状態を前提に更新の申請書を作る——という2段構えです(手引 PDF p.155)。

「更新のついでに、更新申請書の中で経管を新しい人にしておく」ということはできない、という意味になります。更新そのものの費用と時期は建設業許可の更新費用|5年ごとの法定費用と報酬の目安、更新手続の全体像は建設業許可の更新|期限・必要書類・流れをご覧ください。

2-4. 交代の日付は「つなげる」設計にする

人が替わる場面には、日付が1日でも切れると許可そのものを失うという規定があります。ただし、これは事業承継の章の規定ではありません。審査要領の変更届の章(審査要領 PDF p.33)に置かれた、経管・営業所技術者等が死亡・退職した場合の規定です。承継の話として引くと制度を取り違えるため、本記事では中身に立ち入りません。

代替わりの実務上の含意だけを述べれば、「先代の退任日」と「後継者の就任日」をつなげる設計が要る、ということです。後任がいない状態、あるいは後任の確保が間に合わない状態からの立て直しは、兄弟記事経管・営業所技術者の退職|交替届か一部廃業かと、営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?が扱っています。

なお、過去にその会社で経管だった人を呼び戻す場面には、岡山県固有の取扱いがあります。「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)又は営業所技術者等であったことの確認申立書」という書面で、いま岡山県知事許可を持っている建設業者において、かつてその会社の経管や営業所技術者等だった人が、新規の許可申請または変更届で再びその地位に就こうとするときに使えるものです(審査要領 PDF p.16)。

これは要件の免除ではなく、経験に係る調査の省略である点に注意してください。県民局調査では、経験期間の確認は省略されるものの、常勤性の確認は行われます(同)。また、この申立書は廃業届の提出と併せた申請(法人成りに伴い個人を廃業して法人で新規申請するような場合)でも利用でき、その場合は廃業届と必ず同時に提出することとされています(同)。この申立書そのものの使いどころは許可取消のあと建設業許可を取り直せる?が整理しています。

代替わりで一度退いた先代に、緊急で戻ってもらう——という場面が現実にはあり得ます。その際にこの申立書が使えるかどうかは、対象者が過去に提出された申請書等で確認できるかによります(審査要領 PDF p.16)。個別の当てはめは窓口の確認が必要です。

3. 入口②|会社ごと譲る・合併・分割——事業承継等の認可制度の骨格

ここからが、事業承継等の認可の話です。会社ごと譲る、合併する、分割する、あるいは個人事業主が亡くなって相続する——この4つが対象です。

3-1. 4区分すべてに共通する「岡山県知事に出せるかどうか」の条件

見落とされやすいのが、そもそも岡山県知事に認可申請を出せるのかという入口の条件です。審査要領は、4区分すべてについて同じ形の条件を置いています。

区分岡山県知事へ申請できる条件
① 譲渡及び譲受け譲渡人が岡山県知事許可業者であり、かつ、譲受人が国土交通大臣許可又は他の都道府県知事許可を受けていないこと
② 合併承継元(合併消滅法人)が岡山県知事許可業者であり、かつ、承継先(合併存続法人)が国土交通大臣許可又は他の都道府県知事許可を受けていないこと
③ 分割承継元(分割被承継法人)が岡山県知事許可業者であり、かつ、承継先(分割承継法人)が国土交通大臣許可又は他の都道府県知事許可を受けていないこと
④ 相続岡山県知事許可業者(個人事業主に限る)が死亡した場合で、かつ、相続人が国土交通大臣許可又は他の都道府県知事許可を受けていないこと

(審査要領 PDF p.34。いずれも「上記の場合以外は、国土交通大臣等へ申請」と定められています。)

つまり、承継先がすでに他県の知事許可や大臣許可を持っている場合、岡山県には出せません。 これは、たとえば「県外の同業者に事業を譲る」「県外に本社がある会社に吸収合併される」という話が出た瞬間に効いてきます。譲る相手が決まった段階で、その相手がどの行政庁の許可を持っているかを確認する——これが、認可の検討でいちばん最初にやることです。

3-2. ★相続の認可は「個人事業主に限る」

上表④のとおり、相続の認可の対象は「岡山県知事許可業者(個人事業主に限る)が死亡した場合」です(審査要領 PDF p.34)。

法人の代表者が亡くなった場合は、相続の認可ではありません。 ここは読者の誤解がもっとも多いところです。法人の許可は法人に対して与えられており、代表者個人に対して与えられているわけではないため、代表者の死亡は「許可の主体が変わる」場面ではないからです。

法人の代表者が亡くなった場合に何をするかは、§2-2 で見た審査要領 PDF p.33 の枠組み——速やかに後任の代表取締役を選任し、新代表者名で変更届を提出する。前任者が経管や営業所技術者等であった場合は、それらの変更届も同時に提出する——から読み取ることになります。

ただし、「法人の代表者の死亡は変更届で足りる」と明記した文言は、手引・審査要領のどちらにもありません。 そのため本記事でも断定しません。加えて、許可業種を全部廃業する場合の廃業届の提出義務者として、手引は「①許可に係る建設業者が死亡したとき:その相続人」「②法人が合併により消滅したときは:その役員であった者」「④法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散したとき:その清算人」等を挙げています(手引 PDF p.148)。法人が解散に向かうのか、後任を立てて存続するのかで、進む道が分かれるという理解が正確です。

3-3. ★事前相談は「基本的には来庁」——岡山県固有の運用

事業承継等の認可には、事前相談が制度として組み込まれています。

「(1)本制度を利用しようとする場合は、岡山県監理課建設業班に事前相談を行うこと。事前相談は基本的には来庁により受け付けることとし、その際に必要書類や手続き上の注意等の説明を行う。」(審査要領 PDF p.34)

しかも、事前相談で明らかにすべき事柄が5つ列挙されています(審査要領 PDF p.34)。

  1. 承継元及び承継先業者名
  2. 承継予定時期
  3. 承継の形態(個人→個人、個人→法人、法人の分割、吸収合併等)
  4. 営業所、経管、営業所技術者等の変更有無
  5. 承継元及び承継先業者の経営事項審査受審及び岡山県建設工事入札参加資格の有無

この5項目は、そのまま「事前相談に行く前に社内で決めておくこと」のリストになります。 特に3と4は、決まっていなければ相談が成立しない項目です。「誰に、いつ、どういう形で渡すのか」「そのとき経管と営業所技術者は誰になるのか」を先に固めておく必要がある、ということです。

ここが、岡山県の他の手続きと性格が異なる点です。岡山県は許可申請について「事前審査は一切行いません」という運用を明示しています(手引 PDF p.16)。書類を完全に整えて出す、というのが原則です。一方、事業承継等の認可については、来庁による事前相談が制度の入口に置かれている——この非対称は、認可が「申請書を作れば済む手続き」ではないことを示しています。

なお、経管の要件を「経営業務の管理責任者に準ずる地位」での経験や、常勤役員等と補佐者による体制で満たそうとする場合にも、手引は事前相談を求めています(手引 PDF p.7・p.60・p.63・p.65)。代替わりの場面は、事前相談が求められる論点が重なりやすいとお考えください。

3-4. 認可は電子申請ができない

もう1つ、実務の段取りに直結する定めがあります。

「なお、電子申請では事業承継等の認可申請を行うことはできませんので、これらの申請は「建設業認可申請の手引」…の案内に従って、書面での申請をお願いします。」(手引 PDF p.20)

許可申請や変更届は電子申請で行うことができるとされている(同ページ)のに対し、認可申請だけは書面という切り分けです。本記事は書面(窓口へのご持参・郵送)による手続きを前提に整理しています。

4. 認可を受けるための4条件——「認可申請より前」に終わらせる手続きがある

審査要領は、認可を受けるための条件を4つ挙げ、そのすべてを満たしていることが必要としています(審査要領 PDF p.34-35)。ここが本記事の中核です。

4-1. 条件①|事業承継の事実が発生する前に申請し、認可を受けること

「① 事業承継の事実が発生する前に申請し、認可を受けること
 相続以外の事業承継については、承継の事実が発生する前に、あらかじめ認可を受けることが必要である。承継の効力が発生する日(譲渡・分割・合併が行われる日)の2か月前までに認可申請書が受付される必要があるので注意すること。」(審査要領 PDF p.34)

「2か月前まで」の起点は、承継の効力が発生する日です。 譲渡契約で定めた譲渡日、分割の効力発生日、合併の効力発生日——そこから逆算します。

そして、この期限は「受付される必要がある」と書かれています。 提出すれば足りるのではなく、受け付けられた状態になっていることが求められる書きぶりです。岡山県は許可申請について事前審査を行わない運用ですから(手引 PDF p.16)、書類が整っていなければ受付に至らない可能性があるという前提で日程を組む必要があります。

4-2. 条件②|承継先が許可の基準を満たすこと

「② 事業承継後の許可業種について、承継先が許可の基準を満たすこと」(審査要領 PDF p.35)

短い一文ですが、代替わりの計画がここで止まることがあります。 承継先の会社で、経管・営業所技術者・財産的基礎・社会保険といった許可の要件が承継日時点で揃っていなければならない、という意味だからです。

要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)、経管の要件そのものは経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法にまとめています。承継先に経管になれる人がいないという状態からの打ち手は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?、1人で年数を作れないときの別ルートは経管を補佐者体制で満たすにはが本家です。本記事では、これらの要件の中身には立ち入りません。

4-3. ★条件③|建設業の全部を承継すること——一部だけ渡すなら「認可申請の日の前まで」に廃業届

ここから2つが、認可申請より前に別の手続きを終わらせておく必要があるという、順序の条件です。

「③ 建設業の全部を事業承継すること
 必ず承継元が受けていた建設業許可の全部を承継先に承継させる必要がある。承継元が受けていた建設業許可の一部のみを承継することはできない。
 一部のみを承継したい場合は、認可申請の日の前までに承継を要しない業種について廃業届を提出すること。」(審査要領 PDF p.35)

「土木は息子の会社に移すが、とび・土工は自分のところに残す」という設計は、そのままでは通りません。 一部だけ移したいなら、残す業種ではなく「渡さない業種」を、認可申請の日の前までに廃業届で落とすことになります。

つまり、代替わりの計画が「許可業種の整理」から始まるということです。しかも廃業届には、他の届出にない性質があります。受付後の取下げができません(手引 PDF p.148/審査要領 PDF p.33)。廃業届そのものの記入と作法は兄弟記事建設業許可の廃業届|様式第22号の4の書き方に整理しています。

4-4. ★条件④|一般・特定の区分が同じであること——異なるなら認可申請前に廃業

「④ 承継元と承継先が同一業種の許可を受けている場合、一般・特定の区分が同じであること
 ……承継元と承継先が同一業種で一般・特定の区分が異なる許可を有するときは、不要な方を認可申請前に廃業すること。」(審査要領 PDF p.35)

この条件の前提として、審査要領は同じ箇所で、1つの建設業者が同一業種について一般建設業と特定建設業の両方の許可を受けることはできないとしています(審査要領 PDF p.35)。この点は兄弟記事般特新規とは|建設業許可を一般と特定で切り替える区分判定が詳しく扱っています。

承継元と承継先の両方が許可を持っていて、同じ業種で一方が一般・他方が特定という場合に効く条件です。この場合も、不要な方を認可申請前に廃業するという順序になります。

条件③と④に共通するのは、「認可申請の日の前まで」「認可申請前に」という、認可より手前に置かれた締切です。承継の効力発生日の2か月前までに認可申請の受付を済ませる(条件①)としても、その手前に廃業届の処理が入る——ここを見落とすと、日程が破綻します。

4-5. 認可申請書類は「承継先について」書く

条件そのものではありませんが、書類の作り方にも岡山県固有の定めがあります。

「(4)認可申請書類は、原則として承継先に関して記入する。
 例:役員等一覧表には、承継先における役員等(新設法人の場合、就任予定の者)を記載する。常勤非常勤の別も承継日時点を想定して記入する。
なお、新設合併、新設分割の場合は、申請者欄に記載するのは被承継法人とする。(承継法人は申請時点では存在していないため、記載できない。)」(審査要領 PDF p.35)

3つのことが書かれています。

  1. 書類は原則として承継先について書く(承継元の現状を書くのではありません)
  2. 新設法人なら「就任予定の者」を書き、常勤・非常勤の別も承継日時点を想定して書く——つまり、承継日時点の役員構成と常勤性の配置が、申請の時点で決まっていなければ書けません
  3. 新設合併・新設分割の場合だけ、申請者欄に書くのは被承継法人(承継法人がまだ存在しないため)

2が、代替わりの「時間の設計」に直結します。 「誰を常勤役員にするか」「誰を非常勤にするか」を、承継日ではなく申請の時点で確定させておく必要がある、ということだからです。

5. 入口③|個人事業主が亡くなったとき——2つの道があり、断定できない

5-1. 制度としては2つの道がある

個人事業主が建設業許可を持ったまま亡くなった場合、岡山県の資料には2つの手続きが書かれています。

(a) 相続の認可

「相続については、被相続人(許可を受けている承継元)の死亡後 30 日以内に認可申請が受付されるよう提出すること。」(審査要領 PDF p.34-35)

同じ内容が、申請区分④の説明にも「被相続人の死亡後30日以内に申請すること」として重ねて書かれています(審査要領 PDF p.34)。

(b) 廃業届

手引は、廃業届が必要な場合の①として「個人で許可を受けていた場合で、当該事業主が死亡したとき」を挙げ、30日以内(一部の業種のみを廃業する場合は営業所技術者等の変更届が必要なため2週間以内)の提出を求めています(手引 PDF p.22)。提出義務がある者はその相続人です(手引 PDF p.148)。

5-2. ★どちらを選ぶかの基準は、資料に書かれていない

ここが本記事でもっとも慎重に扱うべき箇所です。

手引・審査要領のどちらにも、「相続人が事業を継ぐなら相続の認可、継がないなら廃業届」というような選択の基準は書かれていません。 併用の可否も、選び間違えた場合にどうなるかも、記述がありません。「30日」という数字が両方に出てきて、しかも起点(死亡日)も方向も同じであるため、資料だけを読んでも、どちらの30日を使うのかは決まらないのです。

したがって、本記事では次のところまでしか書けません。

  • 2つの道が制度上ある
  • どちらになるかは、岡山県監理課建設業班への事前相談で確認することになる(事業承継等の認可は事前相談が制度の入口です。審査要領 PDF p.34)
  • どちらの道でも、動ける時間は死亡から30日である

「相続人が継ぐなら必ず相続の認可です」と断定した説明は、一次資料の裏付けがありません。 ご遺族にとってきわめて重い判断であり、しかも制度側が基準を示していない領域ですから、まず窓口に確認するという手順を飛ばさないでください。当事務所にご相談いただく場合も、この確認から入ります。

5-3. 相続以外の3区分と、相続の決定的な違い

条件①(§4-1)を思い出してください。相続以外の事業承継は「承継の事実が発生する前に、あらかじめ認可を受けることが必要」とされています(審査要領 PDF p.34)。

つまり、譲渡・合併・分割は、事前に認可を受ける制度であり、相続だけが、事実(死亡)が起きた後に申請する制度です。方向が逆になっています。

区分認可のタイミング期限
譲渡及び譲受け・合併・分割事前(承継の事実が発生する前に認可を受ける)承継の効力が発生する日の2か月前までに受付
相続事後(死亡という事実の後に申請)被相続人の死亡後30日以内に受付されるよう提出

この違いが、代替わりの計画に与える意味は明確です。 譲渡・合併・分割は、日程を自分で決められる代わりに、決めた日から2か月前という締切が自動的に付いてきます。相続は、日程を選べない代わりに、30日という短い時間で動くことになります。「元気なうちに、どちらの道で渡すかを決めておく」ことの実務的な意味は、ここにあります。

なお、相続の30日を過ぎた場合にどうなるか(受理されるのか、許可が失効するのか、何らかの手続きで救済されるのか)についても、手引・審査要領には記述がありません。 本記事では推測を書きません。

6. この記事に出てくる期限——方向が逆のものが混じっている

この論点は、同じ数字が別の制度を指し、しかも数える方向が逆という事故が起きやすい領域です。本記事で触れた期限だけを、1つの表にまとめます。これ以上は展開しません(変更届の全19事由の一覧は建設業許可を取った後の手続き全体像に、出来事からの逆引きは兄弟記事建設業許可の変更届|出来事から逆引きにあります)。

期限何の期限か数える方向出典
2か月前まで譲渡・分割・合併の認可申請書が受付される期限承継の効力発生日から過去へ遡る審査要領 PDF p.34
2か月以内この期間に更新期限が来るなら、先に更新許可申請を行う認可申請の日から未来へ数える審査要領 PDF p.35
30日以内相続の認可申請被相続人の死亡日から未来へ数える審査要領 PDF p.34-35
30日以内廃業届(全部廃業・個人事業主の死亡を含む)事由の発生日から未来へ数える手引 PDF p.22・p.148
2週間以内一部の業種のみの廃業(営業所技術者等の変更届が伴うため)同上手引 PDF p.22・p.148
30日以内役員等の追加・交替・削除の変更届変更の日から未来へ数える手引 PDF p.30・p.170
2週間以内常勤役員等(経管)・営業所技術者等の変更届同上手引 PDF p.30・p.170

★最も危ないのが、1行目と2行目です。 どちらも「2か月」ですが、1行目は承継日から過去へ遡って締切を決め、2行目は認可申請日から未来へ数えて「その間に更新期限が来るか」を見ます。 数える向きが逆です。

2行目の中身は、更新と認可がぶつかったときの順序です。

「認可申請の日から2か月以内に更新期限が到来する場合は、先に更新許可申請を行い、更新許可が出てから認可申請を行うこと。認可申請後に更新許可申請を行うことは認めない。なお、合併、分割認可申請の際にも同様である。」(審査要領 PDF p.35)

「認可申請後に更新許可申請を行うことは認めない」という、明確な禁止です。承継の日程を決める前に、承継元の許可の有効期間満了日を確認しておく必要があります。この順序を費用の側から見た整理は建設業許可の更新費用にあります。

⚠️ なお、これらの期限について、末日が土日祝・閉庁日に当たる場合の取扱い、起算日を初日不算入とするかどうか、郵送の場合に消印日を提出日とみなすかどうかは、手引・審査要領のいずれにも定めが見当たりません。 期限ぎりぎりで組み立てない、というのが現実的な対応になります。

7. 認可日をまたぐ実務——県民局調査・事業年度終了報告・認可日前にできること

認可の申請を出してから、承継日を迎え、認可日を過ぎるまでのあいだにも、岡山県固有の定めがあります。ここは「申請書に書く話」ではなく「会社の動かし方の話」なので、承継日を決める段階で押さえておく必要があります。

7-1. ★県民局調査は省略されることがある——ただし法人成りは例外

岡山県では、許可申請を受け付けた後に、所轄の県民局が営業所調査を行います(手引 PDF p.16-17)。承継の場合の扱いは次のとおりです。

「(5)県民局調査
承継の前後で変更がない事項については、県民局調査は省略する。ただし、承継先が建設業許可を有していない場合は次のとおり調査を実施する。」(審査要領 PDF p.35)

そのうえで、2つのケースが名指しされています(いずれも審査要領 PDF p.35)。

  • 法人成りの場合——看板の変更や電話番号の法人名義への変更など確認が必要であるため、個人事業主時代の営業所をそのまま使う場合でも、承継日以降に営業所調査を実施する。ただし、変更のない経管や営業所技術者等に関する要件調査は省略する
  • 新設合併・新設分割の場合——承継元から所在地に変更がない場合でも、承継日以降に営業所調査を実施する

「場所は何も変わらないのだから調査はないだろう」という想定が、ここで外れます。 しかも調査は承継日以降に行われるため、承継日の時点で、看板と電話番号の名義が新しい主体のものになっている必要がある、という段取りが導かれます。看板の作り替えや電話の名義変更には日数がかかることがありますから、承継日から逆算して手配してください。

営業所調査で何が確認されるかの一般論(看板・机・電話・ファクシミリ・営業所の賃貸借契約書の原本など)は、手引 PDF p.17 に整理されています。

7-2. ★未提出の事業年度終了報告は、原則として求められない

これは、代替わりの場面で読者にとって朗報になり得る定めです。

「承継日時点で、被承継者において未提出の事業年度終了報告がある場合、原則として提出を求めない。ただし、経営事項審査を受審する(今後予定がある)場合については、被承継者の承継日までの事業年度終了報告の提出を求めるものとする。この事業年度終了報告の提出については、提出遅延があっても業務改善報告書は徴さない。」(審査要領 PDF p.35)

3つのことが書かれています。

  1. 承継日時点で承継元に未提出の事業年度終了報告があっても、原則として提出は求められない
  2. ただし、経営事項審査(経審)を受審する、または今後予定がある場合は、承継日までの分の提出を求められる
  3. その提出については、遅延があっても業務改善報告書は徴さない

3が重要です。岡山県では、一定の変更届と事業年度終了報告について、提出日が法定の提出期限の2倍を超えて遅延した場合には、業務改善報告書の提出を受けたうえで届出を受付するという運用があります(審査要領 PDF p.36-37。株主等に係るものや婚姻等に伴う氏名の変更、健康保険等の加入状況の変更届などは、この対象から外れています)。承継に伴う事業年度終了報告は、その例外として明示されているということです。

先代の代で報告が溜まっている会社は少なくありません。承継のときに「まずそれを全部片づけないと進まない」と身構える必要は、少なくとも原則としてはない——ただし経審を受ける(受ける予定がある)なら話は別、という切り分けです。公共工事を続ける会社にとっては、ここが実務の分かれ目になります。経審そのものは経審申請を岡山で依頼するならをご覧ください。

なお、未提出の事業年度終了報告が更新申請の受付にどう影響するかという別の論点は、決算変更届を出していないとどうなるが本家として整理しています。

7-3. ★認可日前に「できること」と「不適当なこと」

承継先の法人(新しい会社)が、認可が下りる前に何をしてよいのか。審査要領は次のように書いています。

「(5)認可日前の承継先法人の活動に関する注意点
 認可日前に承継先の法人が可能な活動としては、次の事柄が考えられる。
 ・承継元との建設業営業に関する譲渡契約
 ・銀行等における法人名義口座の作成
 ・法人設立届出書の所轄税務署への提出
 ・青色申告の承認申請書の所轄税務署への提出
 一方、次の事柄については、認可日前に行うことは不適当であるので、注意すること。
 ・工事の契約
 ・材料仕入れ
 ・リース資産の名義変更」(審査要領 PDF p.36)

⚠️ この規定の書きぶりに注意してください。 前半は「次の事柄が考えられる」、後半は「認可日前に行うことは不適当である」です。「これだけができる」「これは禁止されている」という限定列挙としては書かれていません。 したがって、本記事でも「一覧に載っていないことは自由にできる/絶対にできない」とは書きません。

そのうえで、実務上の含意は明確です。新会社は、認可日までは工事の契約をしないという前提で段取りを組む必要がある、ということです。「新会社の名前で受注を始めながら、並行して認可を待つ」という進め方は想定されていません。受注をどちらの名義で行うかを、承継日を挟んで整理しておく必要があります。

7-4. 法人成りで承継を選ぶなら、認可申請前に法人を作る

個人事業主が法人化する場面には、手引が二択を示しています。(a) 法人として改めて新規申請を行う(このとき個人の許可については廃業届を同時に出す)か、(b) 個人から法人への事業譲渡に係る認可申請を行うか、のいずれかです(手引 PDF p.23)。

(a) を選ぶと、法人としての許可が下りるまでのあいだは無許可の状態になります(同)——この分岐の全体像は法人成りで建設業許可は引き継げる?が本家です。本記事では繰り返しません。

ただし、認可の道を選ぶ場合の順序については、審査要領に本記事で扱うべき定めがあります。

「いわゆる法人成に関する認可申請の場合、個人事業主が認可申請前に法人を設立することが必須であり、個人事業主と設立後の法人で建設業の営業に関する譲渡契約を締結すること。」(審査要領 PDF p.36)

「認可が下りてから法人を作る」のではなく、「法人を作ってから認可を申請する」という順序が固定されています。しかも、個人事業主と設立後の法人とのあいだで建設業の営業に関する譲渡契約を締結することまで求められています。§7-3 で見たとおり、この譲渡契約は「認可日前に可能な活動」として明示されているものです。

したがって、法人成りで認可の道を選ぶ場合の逆算は、次の順序になります。 承継日を決める → 承継日の2か月前までに認可申請の受付を済ませる → その手前に法人設立の登記と譲渡契約の締結を置く。登記の日数は司法書士の領域であり、本記事の資料の範囲外ですが、認可申請より手前に登記が入るという順序だけは動かせません。

7-5. 常勤性と社会保険——ここは1日のずれが取消しに直結する

承継の場面には、常勤性が切れる瞬間が2か所あります。いずれも審査要領 PDF p.36 に定めがあります。

① 承継元の経管・営業所技術者等が承継先でも同じ役割を担う場合、事業承継するまでは承継元で常勤性を維持する必要があります。 「新会社ができたから、先に籍を移しておこう」という動き方は想定されていません。この規定を常勤性の側から見た論点は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?が整理しています。

② 法人の社会保険の加入日は、事業承継日とすることとされています。 前後にずれると、承継元または承継先における常勤性が失われ、許可の取消しの対象になると明記されています。加入日の具体的な段取りと例外的な取扱いは建設業許可に社会保険の加入は必須?が本家ですので、そちらをご確認ください。

代替わりの実務では、登記・税務・社会保険がそれぞれ別の期日で動きます。 社会保険の資格取得日だけが後追いになりやすい、というのが実情です。承継日を決めたら、その日付を全部の手続きの基準日として共有する——これが、この2つの規定から導かれる段取りです。

8. 岡山県での手続きと、代替わりの相談をいつ始めるか

8-1. 提出先は本庁一元——県民局の窓口では受け付けていない

岡山県では、建設業許可の申請書・変更届の受付は本庁に一元化されています。 手引は「建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています」と明記しています(手引 PDF p.168)。県民局は申請の窓口ではありません。

窓口へのご持参のほか、郵送での提出も受け付けられています(手引 PDF p.16)。ただし §3-4 のとおり、事業承継等の認可申請については電子申請ができません(手引 PDF p.20)。本記事は書面による手続きを前提に整理しています。

そして、岡山県は許可申請について事前審査を一切行いません(手引 PDF p.16)。書類を完全に整えて提出する運用です。一方で、事業承継等の認可については来庁による事前相談が制度の入口に置かれている(審査要領 PDF p.34)——この非対称は §3-3 で見たとおりです。

役割分担を整理すると、申請・届出の受付=本庁(土木部監理課建設業班)/営業所調査=所轄の県民局(審査要領 PDF p.35、手引 PDF p.16-17・p.168)となります。

8-2. 費用——変更届も認可も法定手数料は不要

手続き法定手数料出典
変更届(役員等・経管・営業所技術者等ほか)不要手引 PDF p.22・p.14
廃業届手引・審査要領のいずれにも定めが見当たりません(手引 p.14 の一覧表は許可申請の区分のみ)手引 PDF p.14
新規(許可換え含む)・般特新規90,000円手引 PDF p.14
更新・追加50,000円手引 PDF p.14
事業承継等の認可不要別冊「建設業認可申請の手引(事業承継・相続)」PDF p.5

認可の手数料は、岡山県の別冊「建設業認可申請の手引(事業承継・相続)」が「不要」と定めています(別冊 PDF p.5。手引 PDF p.14 の手数料一覧表には認可の行がありません)。

当事務所の報酬(いずれも税込の目安)は次のとおりです。

業務内容行政書士報酬
変更届(経営業務の管理責任者)33,000円
変更届(役員・その他)22,000円
変更届(営業所技術者)資格要件22,000円

代替わりで代表取締役の交代と経管の交代が同時に起きる場合、届出は1本では済みません(§2-2)。どの届出が何本発生するかは、先代が兼ねていた役割の数で決まります。 金額は案件の内容により変動しますので、正確な金額は事前にお見積りします。当事務所は代理申請まで行います。証明書等の実費は当事務所で立て替えて後日精算し、法定手数料はご依頼者のご負担ですが納付は当事務所が代行します。

8-3. 「時間の設計」として何が言えるか——資料が定めているのは要件の年数だけ

「代替わりの準備は何年前から始めればよいですか」というご質問をよくいただきます。この点について、岡山県の資料は何も定めていません。

資料が定めているのは、経管の要件として必要な経験の年数(5年・6年・2年)だけです(手引 PDF p.7)。その年数をどのルートで作るか、また当てはめが可能かどうかは、経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?と経管を補佐者体制で満たすにはが本家として整理しています。

そのうえで、要件年数から機械的に逆算すれば、「後継者に経管を引き継ぐつもりなら、少なくとも要件年数に相当する期間は要る」という当たりは付きます。 ただし、「◯年前から準備すべき」という目安を岡山県が示している記述はありませんので、本記事でも目安年数は書きません。実務経験や相談実績に基づく具体的な年数の断定も行いません。

一方で、資料から明確に言えることが2つあります。

  1. 役員に名前を載せただけでは、経管の経験年数は進みません。 手引は、非常勤だった期間を経験年数に含めないとし(手引 PDF p.57)、また、工事を実際に施工して完成させたことがあって初めて経験として認められ、営業していただけで受注実績がない期間は計上できないとしています(手引 PDF p.59)。在任していることと、経験を積んでいることは別です。この点の詳細は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?と異業種から建設業に参入して許可を取るにはにあります。
  2. 経管の経験は、当時の使用者による証明を要します(手引 PDF p.59)。先代が証明できる状態にあるうちに動くかどうかは、代替わりの時間の設計に直接効いてきます。証明者のルールそのものは、同じく経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?が本家です。

8-4. 相談の入口——まず「どの入口か」を確定させる

本記事の構成そのものが、そのまま相談の順序になります。

  1. 替わるのは「人」か「事業の主体」かを確定させる(§1-3 の判定表)
  2. 事業の主体が替わるなら、承継先がどの行政庁の許可を持っているかを確認する(§3-1)
  3. 承継日をいつにするかを仮に置き、そこから2か月を遡る(§4-1)
  4. その手前に廃業届・一般特定の整理・更新が入らないかを確認する(§4-3・§4-4・§6)
  5. 承継日時点の役員構成・常勤性・経管・営業所技術者の配置を決める(§4-2・§4-5)
  6. 事前相談の5項目を埋めて、監理課建設業班へ(§3-3)

当事務所の無料相談は、方向性の見立てまで(初回30〜60分)です。資料の精査・要件の設計・工程表の作成は受任後に行います。代替わりは、決めるべきことが多く、しかも順序が固定されている論点ですから、「まだ何も決まっていない」段階でご相談いただくほうが、選べる道が多く残ります。

8-5. 代替わりのあと——期限は毎年・そのつど発生し続ける

代を譲ったあとも、許可を持ち続ける限り期限は動き続けます。毎年の事業年度終了報告(決算日から4か月以内)、5年ごとの更新、そのつどの変更届——これが取得後の基本構造です(手引 PDF p.22・p.21)。全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像にまとめています。

代替わりの直後は、この期限管理がもっとも危うい時期です。 「先代が全部把握していた」という会社では、届出の期限も、次の更新の時期も、引き継がれていないことがあるからです。

当事務所では、変更届・事業年度終了報告・更新・経審・入札参加資格の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問の範囲、申請の代理実行はスポットの報酬という切り分けです。金額はいずれも税込の目安で、案件の内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。

よくある質問(FAQ)

Q社長を交代して、経営業務の管理責任者も後継者に移します。事業承継の認可は必要ですか?
A会社(法人格)が同じままであれば、事業承継等の認可の対象ではありません。岡山県の審査要領が定める認可の申請区分は、譲渡及び譲受け・合併・分割・相続の4つだけです(審査要領 PDF p.34)。代表者や経管の交代は、変更届で処理することになります。手引の変更届出書の記載例にも「経営業務管理責任者のみ交替し、役員の就退任がない場合」「代表取締役の交替と同時に経営業務管理責任者も交替する場合」が独立した型として掲載されています(手引 PDF p.140)。ただし、退任する役員が経管である場合には必ず経管の変更届も併せて提出することとされており(審査要領 PDF p.33)、届出が1本では済まないことがあります。様式の埋め方は役員変更届の記事に整理しています。
Q会社ごと息子の会社に譲る場合、いつまでに申請すればよいですか?
A相続以外の事業承継については、承継の事実が発生する前にあらかじめ認可を受けることが必要とされ、承継の効力が発生する日(譲渡・分割・合併が行われる日)の2か月前までに認可申請書が受付される必要があるとされています(審査要領 PDF p.34)。さらに、承継元が受けていた建設業許可の一部のみを承継することはできず、一部だけを承継したい場合は認可申請の日の前までに承継を要しない業種について廃業届を提出することとされています(審査要領 PDF p.35)。つまり、認可申請の2か月前という締切のさらに手前に、別の手続きが入る場合があります。日程は余裕をもって組んでください。
Q父(個人事業主)が亡くなりました。相続の認可と廃業届のどちらを選ぶべきですか?
A制度としては2つの道があります。相続の認可は被相続人の死亡後30日以内に申請が受け付けられるよう提出することとされ(審査要領 PDF p.34-35)、廃業届は個人で許可を受けていた事業主が死亡したときに30日以内の提出が必要で、提出義務があるのは相続人とされています(手引 PDF p.22・p.148)。ただし、どちらを選ぶかの基準・併用の可否・選び間違えた場合の取扱いは、手引・審査要領のいずれにも記載がありません。したがって本記事では断定しません。事業承継等の認可は岡山県監理課建設業班への事前相談が制度の入口に置かれていますので(審査要領 PDF p.34)、まず窓口にご確認ください。当事務所にご相談いただく場合も、この確認から入ります。動ける時間はいずれも30日です。
Q法人の代表者が亡くなった場合も、相続の認可になりますか?
Aなりません。審査要領は相続の認可の対象を「岡山県知事許可業者(個人事業主に限る)が死亡した場合」と明記しています(審査要領 PDF p.34)。法人の代表取締役が退任した場合については、速やかに後任の代表取締役を選任し、新代表者名で変更届を提出する必要があるとされ、変更前の代表者が経営業務管理責任者や営業所技術者等であった場合はそれらの変更届も同時に提出する必要があるとされています(審査要領 PDF p.33)。なお、「法人の代表者の死亡は変更届で足りる」と明記した記述は資料にありませんので、本記事では断定していません。法人が解散に向かう場合には、廃業届の提出義務者の定め(手引 PDF p.148)が関係してきます。
Q個人事業を法人化して許可を引き継ぐ場合、法人はいつ作ればよいですか?
A認可の道を選ぶ場合は、法人設立が先です。審査要領は「いわゆる法人成に関する認可申請の場合、個人事業主が認可申請前に法人を設立することが必須であり、個人事業主と設立後の法人で建設業の営業に関する譲渡契約を締結すること」と定めています(審査要領 PDF p.36)。また、法人の社会保険の加入日は事業承継日とすることとされ、前後にずれると承継元又は承継先における常勤性が失われ許可の取消しの対象になるとされています(同)。なお、法人成りでは「法人として改めて新規申請を行う(法人の新規申請と同時に個人許可の廃業届を提出する)」という道もありますが、その場合は法人としての建設業許可を受けるまでの間は無許可になります(手引 PDF p.23)。二択の全体像は法人成りの記事に整理しています。

まとめ

「代替わり」という言葉は、岡山県の建設業許可の資料には出てきません。まず、ご自身の代替わりが制度上どの入口に入るかを確定させることが出発点になります。

  • 会社はそのまま、人だけが替わる——事業承継等の認可ではなく変更届です。認可の申請区分は譲渡及び譲受け・合併・分割・相続の4つだけで(審査要領 PDF p.34)、代表者や経管の交代はどれにも当たりません。ただし届出は1本では済まないことがあり、退任する役員が経管である場合には必ず経管の変更届も併せて提出するとされています(審査要領 PDF p.33)
  • 会社ごと譲る・合併・分割——事業承継等の認可です。承継の効力発生日の2か月前までに認可申請書が受け付けられている必要があり(審査要領 PDF p.34)、承継先が大臣許可・他県知事許可を持っていれば岡山県には出せません(同)。認可の条件は4つで、うち2つ(建設業の全部を承継すること/一般・特定の区分が同一であること)は、認可申請より前に廃業届を出しておくという順序を作ります(審査要領 PDF p.35)
  • 個人事業主が亡くなった——相続の認可(死亡後30日以内)と廃業届(30日以内)の2つの道が制度上あります。どちらを選ぶかの基準は手引・審査要領のどちらにも書かれていませんので、本記事では断定しません。相続の認可は個人事業主に限られ、法人の代表者の死亡は相続の認可ではありません(審査要領 PDF p.34)

そして、承継日を挟む実務には岡山県固有の定めが並びます。法人成りでは個人時代の営業所をそのまま使う場合でも承継日以降に営業所調査が実施される/未提出の事業年度終了報告は原則として求められない(経審を受審する場合を除く)/認可日前の工事の契約・材料仕入れ・リース資産の名義変更は不適当とされている/法人成りの認可では認可申請前に法人を設立することが必須/社会保険の加入日は事業承継日とする——いずれも審査要領 PDF p.35-36 に定めがあります。

なお、認可申請の様式・必要書類一覧・提出部数は、岡山県が別冊「建設業認可申請の手引(事業承継・相続)」に切り出しており、手引の本体は4行で別冊へ送っています(手引 PDF p.24)。本記事では、その部分を書いていません(手数料が不要であることだけは別冊 PDF p.5 により §8-2 に記しました)。

最後に1点だけ。経管を1人に依存した状態は、その人が欠けた瞬間に許可そのものが危うくなります。 代替わりは、その依存を作り直す機会でもあります。取得の時点から2人目をどう設計するかという論点は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?に整理していますので、あわせてご覧ください。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。

代替わりは「どの入口か」を決めるところから

「息子に代を譲りたい」「会社ごと譲る話が出ている」「父が亡くなり、許可をどうすべきか分からない」——まずどの入口に入るのかを、建設業特化の行政書士が整理します。方向性の見立てまで(初回30〜60分)です。「社長交代だけなら届出でよいのか」「承継日はいつに置けばよいか」など、まず1問だけ聞きたい方はLINEでどうぞ。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。

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