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般特新規とは|建設業許可を一般と特定で切り替える区分判定【岡山】

般特新規とは|建設業許可を一般と特定で切り替える区分判定【岡山】

建設業許可を一般建設業から特定建設業へ、あるいは特定建設業から一般建設業へ切り替えたい——そのときに使う申請が「般特新規許可申請」です。

ただし、ここで最初にお伝えしなければならないことがあります。

「一般と特定の切替=般特新規」と覚えてしまうと、区分を取り違えます。 岡山県の手引を読むと、同じ「一般と特定を行き来する」という目的でも、申請区分が般特新規・業種追加・新規の3つに分かれ得ることが分かります。しかも、その分かれ目は工事の金額でも業種でもなく、いつ動くか(=いまの許可がまだ残っている時点で動くのか、全部やめてしまった後で動くのか)という時点です。

もう一点、申請書の側にも取り違えの罠があります。様式第1号(許可申請書)の項番02「申請の区分」には1〜9のコードがあり、般特新規は「3」だけではありません。「6. 般・特新規+業種追加」「7. 般・特新規+更新」「9. 般・特新規+業種追加+更新」という組合せのコードがあり、どれを書くかで申請そのものの中身が変わります。さらに、項番04と別紙2(1)の項番83・88は「書く範囲が逆」であることを、手引がわざわざ名指しで警告しています。

本記事は、岡山県で建設業に特化する行政書士が、①自社の手続きがどの申請区分になるかを時点から同定する方法と、②般特新規の申請書をどう作り分けるかの2点に絞って整理します。特定建設業の要件そのもの(財産的基礎の各基準や技術者要件の資格の中身)、費用、岡山県での申請実務の流れは、それぞれ専門の記事に譲ります。

※ 申請区分の判定は、いま受けている許可の構成(業種・一般/特定の別・許可日)と、これから何をしたいかという個別の実態によって結論が変わります。本記事は岡山県知事許可を前提とした一般的な整理であり、特定の会社について申請区分や許否を保証するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。

1. 般特新規とは——手引が定義しているのは「双方向の1本」

1-1. 定義は手引に置かれている

岡山県「建設業許可の手引」は、許可申請の種類を新規・更新・追加・般特新規・その他に分けたうえで、般特新規許可申請を次のように定義しています。

「(4)般特新規許可申請 ① 一般建設業の許可しか受けていない者が、新たに特定建設業の許可を受けようとする場合 ② 特定建設業の許可しか受けていない者が、新たに一般建設業の許可を受けようとする場合 (営業所技術者等の退職等により一部の業種について特定建設業の許可要件を満たさなくなったため、その業種について一般建設業の許可を受けようとする場合は、当該業種の廃業届(様式第 22 号の4)及び営業所技術者等の削除届(様式第 22 号の3)を併せて提出する必要があります。ただし、1級相当の営業所技術者等の不在により特定建設業を全て廃業した場合、この般特新規許可申請ではなく、(1)の新規許可申請が必要です。)」 (手引 PDF p.13)

この短い定義文のなかに、本記事が扱う論点がほぼすべて入っています。順に取り出します。

第一に、般特新規は双方向です。 ①は一般→特定(いわゆる「格上げ」)、②は特定→一般(いわゆる「格下げ」)。他県の解説記事では①だけを扱っているものが少なくありませんが、岡山県の手引は同じ1つの申請区分として①②を並べています。特定を維持できなくなって一般へ戻すときも、名前は同じ般特新規です。

第二に、①②のいずれも「しか受けていない者」という限定が付いています。 ここが、後述する業種追加との分かれ目になります(→§2-2)。

第三に、括弧書きのなかに「ただし書き」があります。 「1級相当の営業所技術者等の不在により特定建設業を全て廃業した場合、この般特新規許可申請ではなく、(1)の新規許可申請が必要です」。同じことをしたいのに、動く時点によって申請区分が変わるという、本記事の中心テーマがここに書かれています(→§2-4)。

なお、営業所技術者(旧:専任技術者)という呼称は法改正によるもので、手引の本文も現行では「営業所技術者等」を用いています。記載例のなかには旧称のまま残っている箇所もありますが、いま作成する書類では現行の呼称に従ってください。

1-2. 「一般と特定は、業種ごとに決まっている」という前提

般特新規を理解するうえで先に押さえておくべき前提が1つあります。一般建設業か特定建設業かは、会社に1つだけ与えられる属性ではなく、業種ごとに付いているということです。

手引は、複数の申請を同時に行う場合の説明のなかで、「業種別に一般許可と特定許可の両方を申請することもできます」と明記しています(手引 PDF p.14)。つまり、「とび・土工は特定、内装仕上は一般」という会社は制度上ふつうに成立します。この点は§6で改めて扱います。

したがって、般特新規を検討するときに最初にすべき作業は、いま持っている許可を「業種 × 一般/特定 × 許可日」の3列で紙に書き出すことです。この棚卸しができていないと、次章の判定は始まりません。逆に、これができていれば判定はかなりの部分まで自力で進みます。

1-3. 「般特新規」と「般・特新規」——表記が2通りある

細かい点ですが、書類を作り始めると必ず出会う話なので先に書いておきます。

様式第1号(許可申請書)一面の「申請の区分」欄では「般・特新規」と中黒(・)が入ります(手引 PDF p.33)。一方、許可申請書の表紙の選択欄は「般特新規」(中黒なし)(手引 PDF p.27)、受領票は「追加・般特新規許可申請」(手引 PDF p.29)、法定手数料の一覧表も「般特新規」(手引 PDF p.14)です。

同じものを指しているので実務上の不利益はありませんが、手引の記述を検索・引用するときに取りこぼしが起きます。「般特新規」で検索して出てこないページに「般・特新規」で書かれていることがある、と知っておいてください。

また、許可申請書の表紙は令和4年4月1日以降の提出分から様式が変更され、般特新規申請の選択項目が追加されています(手引 PDF p.28)。古い様式の控えを流用すると、そもそも選ぶ欄がありません。

1-4. 法定手数料は新規と同額

法定手数料の話は費用の記事に譲りますが、判断の前提になるので1行だけ書きます。般特新規の法定手数料は90,000円で、更新・追加の50,000円とは別の段に置かれています(手引 PDF p.14)。

「業種を増やすだけだから5万円だろう」と見込んでいたら、実際には般特新規で9万円だった——という食い違いは実際に起こります。手数料の内訳、業種数との関係、岡山県のPOS納付の手順、同時申請したときの合算については建設業許可の業種追加にかかる費用|追加申請の法定費用と期間【岡山】に整理しています。行政書士報酬の側で般特新規と業種追加に差がつく理由は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場をご覧ください。

2. ★分岐は「いつ動くか」で決まる——般特新規・業種追加・新規の3択

ここが本記事の中核です。

一般↔特定を行き来したいという同じ目的でも、申請区分は3つに分かれ得ます。 そして分かれ目は、請け負う工事の金額でも、業種の種類でも、会社の規模でもありません。「いつ動くか」という時点です。

順を追って、時間軸に沿って見ていきます。

2-1. 前提として、手引は「当然には移行しない」と書いている

出発点は、手引が特定建設業許可取得後の留意事項として置いている一文です。要旨だけ書けば、特定の要件を欠いたときに当然に一般許可へ移行することはなく、改めて申請が必要になる——ということです(手引 PDF p.12)。

「自動的に一般に切り替わる」という制度は存在しません。 手引が書いているのは、特定の要件を確保できなくなった際には特定建設業の許可を維持できなくなるということ(手引 PDF p.12)と、許可要件を欠いた場合には速やかに廃業届を提出する必要があるということ(手引 PDF p.23)までです。そのうえで一般を持ちたければ、改めて申請するしかありません。(従前の許可が具体的にどう処理されるのかまでは、県の資料に書かれていません。→§5-1)特定を維持できなくなったときに何が起きるか(許可の維持と、失効したときの入札への影響)は下請から元請になるための建設業許可が詳しく扱っていますので、そちらをご覧ください。

そのうえで、本記事にとって重要なのは、同じ一文のなかにもう一つの申請区分が括弧書きで顔を出していることです。手引は「改めて新規許可申請」と書いたすぐ後ろに、「(別の業種で一般許可を有している場合には追加許可申請)」という括弧を付けています。ここが3択の2つ目です。

なお、この「当然には移行しない」という一般則の位置づけと、特定を落としたときに費用がどう変わるかは、建設業許可の業種追加とは|岡山で許可業種を増やす手続きと要件と建設業許可の業種追加にかかる費用|追加申請の法定費用と期間【岡山】が扱っています。本記事は、そこから先の「では、いつ動けばどの区分になるのか」を書きます。

2-2. 時点①|まだ「その区分の許可しか持っていない」うちに動く

手引の定義(§1-1)をもう一度見てください。般特新規の対象は「一般建設業の許可しか受けていない者」「特定建設業の許可しか受けていない者」です。

つまり、いま自社が持っている許可がすべて一般(またはすべて特定)で、相手方の区分をまだ1業種も持っていない——この状態が、般特新規という区分が想定している入口です。

一方で、すでに相手方の区分を別業種で持っているなら、話は変わります。手引 PDF p.12 の括弧書きは「別の業種で一般許可を有している場合には追加許可申請」としており、審査要領も一般⇔特定の変更申請について一貫して「(般特新規・業種追加)」と2つを併記しています(審査要領 PDF p.21)。

同じ「一般を取りたい」でも、他の業種で一般をすでに持っているかどうかで、般特新規と業種追加に分かれるということです。手数料も40,000円違います。

判定の実務:§1-2 で作った「業種 × 一般/特定 × 許可日」の一覧を見て、これから取ろうとしている区分(一般か特定か)を、他の業種で1つでも持っているかを確認してください。持っていなければ般特新規、持っていれば業種追加の可能性が高くなります。ただし最終的な区分の決定は窓口の審査によりますので、書類を作り始める前にご確認ください。

2-3. 時点②|一部の業種だけ落とす(残りは残っている)

次の時点です。特定建設業の許可を複数業種で持っている会社で、一部の業種についてだけ特定の要件を満たさなくなった、というケース。

手引の定義の括弧書きが、まさにこれを書いています(§1-1 の引用の括弧内)。営業所技術者の退職等により一部の業種について特定建設業の許可要件を満たさなくなったため、その業種について一般建設業の許可を受けようとする場合は、当該業種の廃業届(様式第22号の4)および営業所技術者等の削除届(様式第22号の3)を併せて提出する必要があります(手引 PDF p.13)。

ここで、手引 p.13 だけを読むと誤る点が1つあります。様式第22号の3(営業所技術者等の削除届)は、無条件に必要なわけではありません。 手引は様式第22号の3の説明のなかで、この様式を使うのは交替する者がいない場合であり、従来の方の担当業種を1業種でも代わりに担当する方がいる場合は、この様式ではなく様式第8号(営業所技術者等証明書)を使用するとしています(手引 PDF p.146)。

つまり、

  • 特定の技術者が抜けて、代わりの人がまったくいない → 廃業届(22号の4)+削除届(22号の3)
  • 特定の技術者が抜けたが、一般の営業所技術者としてなら担当できる人がいる(1業種でも引き継ぐ人がいる) → 削除届ではなく様式第8号

という枝分かれになります。「p.13に書いてあるから22号の3も出す」と機械的に処理すると、様式の選択そのものを誤ります。

さらに、手引は様式第22号の3を出す場合には「許可の一部廃業手続き」または「従たる営業所の変更手続」が必ず伴うと注記しています(手引 PDF p.146)。削除届は単独で完結する届出ではない、ということです。

2-4. 時点③|全部廃業して、その区分の許可が1つも残っていない

そして3つ目の時点です。手引のただし書きは、こう書いています。

「1級相当の営業所技術者等の不在により特定建設業を全て廃業した場合、この般特新規許可申請ではなく、(1)の新規許可申請が必要です。」(手引 PDF p.13)

特定を全部やめてしまったあとで一般を取りに行くなら、それは般特新規ではなく「新規」です。

ここで、非常に重要な注意があります。「では、特定の許可が残っているうちに申請すれば般特新規になる」と書いてある明文は、手引にも審査要領にもありません。 上の一文は「全部廃業した場合は新規」と言っているだけであり、その裏返しを県が明文で保証しているわけではないのです。

本記事は、明文の側からだけ書きます。 すなわち——

特定建設業を全部廃業してしまうと、そのあと一般を取りに行く手続きは「新規許可申請」になります。 法定手数料の額は般特新規と同じ90,000円ですが(手引 PDF p.14)、申請区分が変わるということは、様式第1号 項番02に書くコードが変わり、項番05の書き方が変わり、添付書類の考え方も新規の枠組みになるということです(→§3・§4・§7)。

2-5. だから「順番」が判断材料になる

以上を、読者の意思決定の言葉に翻訳します。

特定を維持できなくなったとき、多くの会社は「まず廃業届を出して整理してから、あらためて一般を考えよう」と動きたくなります。 手引が「許可要件を欠くこととなるため、速やかに廃業届を提出する必要があります」と書いている(手引 PDF p.23)以上、その感覚は自然です。

しかし、廃業届は受付後の取下げができません(手引 PDF p.148/詳細は建設業許可の廃業届|様式第22号の4の書き方と全部・一部の違い【岡山】)。全部廃業を先に済ませてしまえば、手引の明文により、そのあとの申請は新規になります。

さらに、切替に合わせて技術者も入れ替えようとする場合、岡山県の審査要領は方向によって順序を定めています。特定→一般と、一般→特定とで、技術者を変更するタイミングが逆になる、という趣旨の規定です。しかも、有資格者がいなくなることを理由に一般へ変更する場合には廃業届が必要になるとされています。この順序の中身は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?が本家として扱っていますので、技術者の交替を伴う切替を検討している方は、書類を作り始める前に必ずそちらを確認してください(出典:審査要領 PDF p.21)。

この章の要点:一般↔特定の切替は「般特新規」1本ではありません。①相手方の区分をまだ1業種も持っていないうちに動くのか、②一部の業種だけ落とすのか、③全部廃業したあとに動くのか——この時点の違いで、般特新規・業種追加・新規に分かれます。そして、いったん全部廃業してしまうと、手引の明文により新規に変わります。 順番は、後から取り戻せません。

3. ★申請書のどこで区分を宣言するか——様式第1号 項番02の申請区分コード

申請区分が決まったら、次はそれを申請書のどこに、どう書くかです。ここは、書き間違えると申請そのものが別物になる箇所でありながら、一般の解説記事にはほとんど出てきません。

3-1. 項番02「申請の区分」は1〜9のコード

様式第1号(許可申請書)一面の左上に「申請の区分」という欄(項番02)があります。ここは1マス(手引が「カラム」と呼ぶ枠。手引 PDF p.34)の欄で、該当する選択肢の番号を1桁記入します。選択肢は次の9つです。

「1. 新  規  4. 業 種 追 加  7. 般 ・ 特新規 + 更 新  2. 許 可 換 え 新 規 5. 更  新  8. 業 種 追 加 + 更 新  3. 般 ・ 特 新 規  6. 般・特新規+業種追加 9. 般・特新規+業種追加+更新」 (手引 PDF p.33。同ページはテキスト抽出では番号と選択肢の対応が崩れるため、PDFを画像として描画して読み取った)

整理すると、こうなります。

コード申請の区分般特新規を含むか
1新規—
2許可換え新規—
3般・特新規●
4業種追加—
5更新—
6般・特新規+業種追加●
7般・特新規+更新●
8業種追加+更新—
9般・特新規+業種追加+更新●

(出典:手引 PDF p.33)

般特新規を含むコードは4つあります。 「般特新規だから3」と機械的に書くのは誤りで、同時に何をするかによって 3・6・7・9 のいずれかを選ぶことになります。

  • 一般↔特定の切替だけを行う → 3
  • 切替と同時に、別の業種の許可も増やす → 6
  • 切替と同時に、既存業種の更新も行う → 7
  • 切替・業種追加・更新を一度に行う → 9

このコード表そのものが、「般特新規は単独で出すとは限らない」という設計思想の表れです。§2 で見た時点の判断が、そのままこの1桁に落ちます。

3-2. 右隣の「許可の有効期間の調整」欄——空欄にしない

項番02の右には、「許可の有効期間の調整」という欄があります。選択肢は「1. する/2. しない」の2つで、様式の吹き出しには次の注意が付いています。

「許可の有効期間の調整 (1. す る/2. しない) ・新規等の場合で「しない」ときも「2」を必ず記入します。」 (手引 PDF p.33。視覚復元)

「しない」ときに空欄にしてはいけないという指示です。「する/しない」の意味そのものは、この申請書で許可を申請するときに、既に許可を受けている建設業の全部について更新の申請を行い、許可の有効期間の満了の日を同一とする場合が「1」、しない場合が「2」と定められています(手引 PDF p.34)。

この欄は、般特新規を更新と一冊で行うかどうかと連動します。一冊にできるのは既存の許可が失効する日の3か月前までに受け付けられる場合で、3か月を切っていると更新とは別冊になり、その回では許可日を一本化できません(手引 PDF p.153)。一本化を狙うかどうかの設計判断そのものは建設業許可の業種追加とは|岡山で許可業種を増やす手続きと要件が本家ですので、そちらをご覧ください。費用面での意味は建設業許可の更新費用|5年ごとの法定費用と報酬の目安に整理されています。

3-3. ⚠️ 様式によって「3」の意味が違う

ここが、書類を並べて作業しているときに最も事故が起きやすい箇所です。

様式第1号 項番02の「3」は般特新規です。 しかし、同じ「3」でも、別の様式ではまったく違う意味になります。

様式欄「3」の意味出典
様式第1号 一面項番02「申請の区分」般・特新規手引 PDF p.33
様式第7号(常勤役員等証明書)項番17「申請又は届出の区分」常勤役員等の更新等手引 PDF p.57
様式第7号の2 第一面項番17「申請又は届出の区分」常勤役員等の更新等手引 PDF p.63
様式第7号の2 第二面項番22「申請又は届出の区分」常勤役員等を直接に補佐する者の更新等手引 PDF p.64

様式第7号の項番17に「3」と書くのは、「般特新規だから3」ではありません。 項番17の選択肢は「1. 新規/2. 変更/3. 常勤役員等の更新等」であり、3は常勤役員等(経営業務の管理責任者等)についての区分を指しています。手引は、この欄について「更新、追加、般特新規申請の場合、『3』を記入します」と指示しています(手引 PDF p.57)。同じ数字でも、様式第1号 項番02の「3(般・特新規)」とは意味がまったく違う、ということです。

なお、この項番17について、手引と審査要領で挙げている場面が少しずれています。審査要領は「追加・般特新規の場合は、『3』と記載する」と書いており(審査要領 PDF p.12)、更新を挙げていません。手引 PDF p.57 は更新も含めた書き方をしています。どちらを根拠に書くかで説明が変わる箇所なので、実際の記入にあたっては最新の様式の記載要領をご確認ください。

3-4. 様式第8号(営業所技術者等証明書)の項番61は「1」

もう1つ、コードの取り違えが起きる様式があります。営業所技術者等証明書(様式第8号)の項番61です。

審査要領は「新規許可申請(般特新規申請を含む。)、業種の追加申請については、項番61に、『1』と記載しているか」を審査の確認事項として挙げています(審査要領 PDF p.21)。手引も同じで、新規・追加・般特新規申請の場合のコードは「1」です(手引 PDF p.78)。

申請区分としては「3(般・特新規)」なのに、様式第8号では「1(新規許可等)」を書く。 この非対称は、様式ごとに「何の区分を聞かれているのか」が違うために生じます。項番61が聞いているのはこの証明書が新規の届出なのか、技術者の追加・交替・削除なのかであって、許可申請の区分ではありません。

実務上の要点:様式ごとに「区分」欄の意味が違います。様式第1号の項番02だけが「許可申請の区分」を聞いており、それ以外の様式の区分欄は、その様式が扱う対象(常勤役員等・営業所技術者等)についての区分を聞いています。 1つの申請書のなかで数字の意味が切り替わる、と理解してください。

4. ★項番04と別紙2(1)項番83・88は「逆」——手引が名指しで警告している箇所

般特新規の申請書づくりで、手引がわざわざ「注意してください」と名指しで書いている箇所が1つあります。ここは本記事で最も実務的な価値がある部分です。

4-1. 手引の警告そのもの

「・【項番 83 及び 88 の上欄】今後営業しようとする業種(今回申請する業種だけでなく、現在許可を受け、今後も許可を継続する業種も含む。)を全て記入してください。追加・般特新規申請の場合の様式第1号(許可申請書)一面の項番 04 の記載方法(今回申請する業種のみ記載)とは異なりますので注意してください。」 (手引 PDF p.43)

読み解くと、こうです。

記入欄何を書くか
様式第1号 一面 項番04今回申請する業種のみ
別紙2(1)(営業所一覧表)項番83・88の上欄今後営業しようとする業種を全て(今回申請する業種だけでなく、現在許可を受けていて今後も継続する業種も含む)

同じ申請書の中で、書く範囲が逆になっています。 しかも別紙2(1)は様式第1号にひもづく別紙ですから、続けて書いていると自然に同じ範囲を書き写してしまいます。手引が名指しで警告しているのは、実際にそれが起きているからだと考えるのが自然です。

4-2. 別紙2(1)は「新規・追加・般特新規申請用」

もう少し補足します。別紙2(1)(営業所一覧表)は、新規・追加・般特新規申請用の様式です(手引 PDF p.43)。同じ名前の別紙2(2)は更新申請用で、別物です。

般特新規で使うのは別紙2(1)の側です。あわせて、般特新規・追加申請の場合、変更がない営業所については記入不要とされています(手引 PDF p.43)。また、従たる営業所がない場合でも、記入は不要ですが添付の省略はできません(同)。「書くことがないから外す」ではなく、「白紙に近い状態で綴じる」という扱いです。

なお、更新と同時に般特新規を行う場合の、更新側(別紙2(2))の書き分けは、更新手続きの論点です。建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点が本家として扱っていますので、そちらをご覧ください。本記事は般特新規の側の欄に限定して書いています。

4-3. 項番05は「般特新規では記載を要する」

項番04の隣、項番05は「申請時において既に許可を受けている建設業」を書く欄です。ここについて、審査要領が般特新規を名指しで書いています。

「(5)申請時において既に許可を受けている建設業(項番 05)  許可換えの 場合は空欄とする (ただし、般特新 規の場合は、記載 を要する。)。」 (審査要領 PDF p.4)

許可換え新規では空欄、般特新規では記載が必要という切り分けです。「新規」という語が付いている申請区分どうしでも扱いが違う、ということになります。

なぜこうなるのかは、§2 の時点の話と同じ理屈です。般特新規は「すでに許可を受けている状態から、別の区分の許可を受けにいく」申請なので、いま何を持っているかを書く欄が意味を持ちます。これに対して許可換え新規は許可行政庁が変わる申請なので、同じ欄の意味が変わります。項番05を空欄で出してしまうと、申請書の上では「何も持っていない会社」に見えることになります。

4-4. 様式第8号では「旧所属」と「新所属」の両方に営業所名を書く

もう1つ、般特新規に固有の書き方が営業所技術者等証明書(様式第8号)にあります。

「【追加・般特新規申請時、変更時の前後とも営業所技術者等である場合】 旧所属、新所属の両方とも営業所名を記載する 例) 同じ営業所技術者等の担当業種が増える場合」 (手引 PDF p.78)

いまも営業所技術者で、切替後も営業所技術者である——という人については、営業所が変わっていなくても旧所属・新所属の両方に営業所名を記載します。「変わっていないのだから片方でよい」と考えて片側だけ書くと、記載漏れになります。

同じページには、交替する場合の書き方(削除される方の用紙は旧所属欄に、追加される方の用紙は新所属欄に営業所名を記載)も併記されています。般特新規は「人は同じで、担当する許可の区分が変わる」ケースが多いため、この「両方書く」パターンに当たりやすい申請です。

この章の要点:般特新規の申請書で書き範囲が問われるのは、項番04(今回分のみ)・別紙2(1)項番83/88(既許可分を含めて全て)・項番05(記載を要する)・様式第8号の旧所属/新所属(両方)の4か所です。「今回申請する業種だけ」で統一しても、「全部」で統一しても、どちらも誤りになります。

5. ★「切り替えたら、いまの許可はどうなるのか」——県の資料が答えていないこと

般特新規のご相談で、ほぼ必ず出る質問があります。

「一般から特定に上げたら、いまの一般許可はどうなるんですか。消えるんですか。廃業届は要りますか。許可番号は変わりますか。」

この章では、その答えを書かない理由を書きます。岡山県の手引(210ページ)と審査要領(38ページ)を通して確認しましたが、これらの点を定めた記述が見当たらないためです。

5-1. 資料に明文が見当たらない5点

確認した結果、次の5点については、両資料に定めが見当たりませんでした。

論点状況
同一業種を一般→特定に上げたとき、従前の一般許可が自動的に消滅するのか「効力を失う」「消滅する」旨の記述が見当たらない
同一業種を一般→特定に上げるとき、従前の一般について廃業届が必要なのか般特新規の定義(手引 PDF p.13)が廃業届に言及しているのは、特定→一般で、かつ技術者要件を満たさなくなった場合だけ。一般→特定の方向について廃業届を求める記述は見当たらない(許可要件を欠いた場合に廃業届が要るという一般の定め〈手引 PDF p.23〉とは別の話)
許可番号(第○○○○○号の番号部分)が新しく発番されるのか記載要領と「許可番号・許可年月日は許可後に県が記載する」(手引 PDF p.28)以外に、発番のルールを述べた記述が見当たらない
般特新規の標準処理期間手引にあるのは「特に問題がないケースで概ね2か月程度」(手引 PDF p.16)という申請全般の目安だけで、申請区分ごとの期間は書かれていない
般特新規を電子申請できるか手引 PDF p.20 に「9 電子申請」の節はあるが、申請区分ごとの可否までは書かれていない

書かれていないことを、他県の記事や一般論から補って書くと、事実誤りになります。 本記事では、これらについて断定しません。

5-2. では、書けることは何か

明文があるのは、次の2点だけです。

(1)特定→一般で、技術者要件を失った場合の処理

§2-3 で見たとおり、営業所技術者の退職等により一部の業種について特定の要件を満たさなくなり、その業種について一般を受けようとする場合は、当該業種の廃業届(様式第22号の4)および営業所技術者等の削除届(様式第22号の3)を併せて提出します(手引 PDF p.13)。ただし削除届が必要なのは交替する者がいない場合に限られます(手引 PDF p.146)。

この規定は、方向が「特定→一般」であることに注意してください。 逆方向(一般→特定)について、同じように廃業届を求める記述は見当たりません。

(2)同一業種で一般と特定の両方は受けられない

審査要領に、次の一文があります。

「1つの建設業者が同一業種について、一般建設業と特定建設業の両方の許可を受けることはできない。」 (審査要領 PDF p.35)

この一文は、事業承継等の認可の要件を説明する箇所に置かれています。 文自体は一般則の書き方をしていますが、手引の側に同趣旨の記載は見当たりませんでした。したがって本記事では、出典が審査要領 PDF p.35であること、承継の文脈にある一文であることを明示したうえで引用しています。

この2点から言えるのは、「同一業種について一般と特定が同時に並ぶ状態は想定されていない」ということまでです。その状態を解消する具体的な処理(従前分がどう扱われるか、届出が要るか、番号がどうなるか)は、資料からは読み取れません。

5-3. 許可年月日については、間接的な手がかりがある

1つだけ、間接的な裏付けがある論点があります。許可年月日です。

手引は、更新申請で許可日の一本化をしない場合の説明として、「許可日が一つしかない場合(通常)や5年以内に般特新規申請等を行ったため、現在許可年月日が2つ以上あるが、一部の業種のみ更新する場合」という書き方をしています(手引 PDF p.156)。

つまり手引は、「般特新規を行うと許可年月日が増える」ことを前提にして書いているわけです。これは明文の定めではありませんが、実務の設計としてそう組まれていることは読み取れます。

だからこそ、§3-2 で触れた一本化(有効期間の調整)が論点になります。般特新規を単独で出せば許可日が1本増え、以後の更新がその分だけ回ってきます。更新と一冊にできる期限は失効日の3か月前までで、それを過ぎると別冊になり、その回では一本化できません(手引 PDF p.153)。

5-4. 「申請さえ出しておけば従前の許可は生きる」とは書かれていない

もう1つ、混同されやすい記述があります。審査要領には「従前の許可は有効である」という表現が1か所だけ登場します。

ただし、それは「特定建設業の更新時において財務要件を欠いた場合」に限定された取扱いです(審査要領 PDF p.27)。一般に「申請さえ受理されていれば従前の許可が生きる」という規定ではありません。 この一文の位置づけと、なぜ一般則として読めないのかは建設業許可が失効するとどうなる|更新を忘れたときの影響が詳しく検証していますので、そちらをご覧ください。

本記事の立場も同じです。般特新規の申請を出したからといって、期限のある手続き(更新など)が止まってくれるわけではありません。

なぜこの章を置いたか:般特新規は、他県の記事や一般的な解説で「一般許可は自動的に消えます」「許可番号は引き継がれます」といった説明を見かける論点です。しかし、岡山県が公開している2つの資料には、それを裏づける記述が見当たりません。 実際にどう処理されるかは、申請前に岡山県土木部監理課建設業班へご確認いただくのが最も安全な進め方です。当事務所にご依頼いただく場合は、この確認も含めて進めます。

6. 般特新規のあとは「一般と特定が併存する会社」になる

§5 で見たとおり、従前分の処理について明文はありません。ただし、「一般と特定が併存する会社になる」こと自体は、手引が前提にしています。この輪郭を整理しておきます。

6-1. 業種ごとには併有できる

§1-2 で触れたとおり、手引は複数の申請を同時に行う場合の説明として、1つの許可申請で追加申請と更新申請を同時に申請したり、業種別に一般許可と特定許可の両方を申請することもできるとしています(手引 PDF p.14)。

つまり、「A業種は特定、B業種は一般」という構成は制度上想定されています。 審査要領も、審査側のチェック観点として「一般・特定両方の申請がされている場合などは手数料が倍となる」という記述を持っており(審査要領 PDF p.6)、両方の申請が並ぶ場面があることを前提にしています。

6-2. 同一業種では併有できない

一方で、§5-2 で引用したとおり、1つの建設業者が同一業種について一般と特定の両方の許可を受けることはできないとされています(審査要領 PDF p.35・承継の文脈にある一文)。

この2つを合わせると、併存の輪郭はこうなります。

  • 業種が違えば、一般と特定は同時に持てる
  • 同じ業種では、一般と特定を同時に持つことはできない

般特新規は、この「同じ業種の区分を入れ替える」申請だと位置づけると理解しやすくなります。だからこそ、§5 の「では従前分はどうなるのか」という疑問が生じ、そして資料はそこに答えていない、という構造になっています。

6-3. 切替のあとに直すもの——許可票の表示

実務として1つだけ、切替が終わったあとの作業を挙げておきます。工事現場と店舗に掲げる許可票(標識)の表示です。

許可番号のカッコ内には、一般許可であれば「般」、特定許可であれば「特」と表示され、ハイフンの後には許可を受けた年度が入ります(手引 PDF p.194)。般特新規で区分が変われば、この表示も変わります。

許可票そのものの様式・寸法・掲示場所は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)に整理されています。また、一般建設業の許可のみを受けている者が、特定建設業の許可を受けているように表示することは建設業法第40条の2により禁止されています(手引 PDF p.194)。この禁止の中身と、元請へ回るタイミングで踏みやすい理由は下請から元請になるための建設業許可が扱っています。

「特定を申請したから」「もうすぐ許可が下りるから」という段階で表示を先に変えることはできません。 許可が下りてから直す、という順序になります。

7. 着手前チェックと、新規より軽くなる部分・軽くならない部分

申請区分が決まり、様式の書き分けも把握できたら、最後は書類です。ここでは着手前に必ず潰しておくことと、新規申請と比べて軽くなる部分・軽くならない部分を整理します。

7-1. 着手前チェック|変更届の提出漏れがあると、そもそも受け付けられない

まず、これを確認してください。変更届の提出漏れがある場合、追加・般特新規・更新の申請は受付ができないとされています(手引 PDF p.153)。要件を満たしていても、書類を完璧に作っても、その手前で止まります。

チェックすべきは、毎年の事業年度終了報告(いわゆる決算変更届)と、役員・経営業務の管理責任者・営業所技術者・営業所などに動きがあったときの変更届です。

をそれぞれご覧ください。

7-2. 新規より軽くなる部分

般特新規は「新規」という語が付いていますが、すでに許可を受けている状態からの申請なので、いくつかの点で新規申請より扱いが軽くなります。

(1)常勤性の確認範囲が狭い

営業所技術者等一覧表(様式第1号 別紙4)に記載した人のうち、常勤性を確認される範囲が申請区分によって異なります。新規・更新申請では別紙4に記載した者全員ですが、追加・般特新規申請では申請した業種を担当する方のみです(手引 PDF p.44・p.46)。

技術者が多い会社ほど、この差は大きくなります。 常勤性の確認資料を全員分そろえるのか、今回の業種の担当者だけでよいのかで、準備の量が変わります。更新側の確認範囲との対比は建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点をご覧ください。

(2)工事経歴書は申請業種のみ

工事経歴書(様式第2号)は、今回般特新規申請する業種について作成すれば足ります。ただし、施工実績がない場合でも「実績なし」等を記載して添付する必要があります(手引 PDF p.153)。空欄で外すのではなく、実績なしと書いて綴じる、という扱いです。

(3)残高証明書が不要になる場合がある

財産的基礎の確認について、般特新規申請で、許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有する者は残高証明書が不要とされています(手引 PDF p.149・p.169注1)。直近の財務諸表で自己資本の基準を満たすことが確認できる場合も同様です。残高証明書そのものの実務は建設業許可の残高証明書はいつ・いくら必要?に整理しています。

(4)経管の証明書の証明者欄を省略できる場合がある

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)について、般特新規申請の際に、既に提出した証明書の記載内容と同一の内容を証明する必要がある場合には、証明日および証明者欄の記載のみ省略できます(備考欄の記載は省略不可。省略する場合は既に提出した証明書のコピーを添付/手引 PDF p.60)。

なお、経験年数の終期については、更新・追加・般特新規申請に共通の注意があります(申請日時点まで延長する誤りが多い、という趣旨の注意が手引 PDF p.57・p.59 に置かれています)。この論点は建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点が詳しく扱っています。

7-3. 軽くならない部分——ここを「持っているから省ける」と誤解しない

一方で、すでに許可を持っていても軽くならない書類があります。むしろ、こちらの見落としのほうが多いと感じます。

書類般特新規での扱い出典
様式第1号 別紙4(営業所技術者等一覧表)今回申請する業種だけでなく、既に許可を受けている業種に係る営業所技術者等も含む全員を記入手引 PDF p.153
様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)現在許可を受けている建設業と今回申請する建設業の両方を記入手引 PDF p.153
登記されていないことの証明書般特新規申請でも添付が必要(法務局で取得)審査要領 PDF p.29
身分証明書般特新規申請でも添付が必要(役員等の本籍地の市町村役場で取得)審査要領 PDF p.30
様式第7号の3(健康保険等の加入状況)新規・更新・追加・般特新規申請の場合に添付手引 PDF p.71
様式第20号(営業の沿革)建設業の新規取得・追加取得および般特新規取得等について記載(更新については記載不要)手引 PDF p.131

§7-2の「常勤性の確認は申請業種の担当者のみ」と、この表の1行目は別の話です。 記載する範囲は全員で、常勤性を確認される範囲が申請業種の担当者のみです。「確認されないなら書かなくてよい」ではありません。ここは取り違えやすい箇所なので、あらためて分けて理解してください。

また、兼業の有無の判定資料も申請区分で変わります。般特新規申請では、直近に提出した事業年度終了報告に添付されている損益計算書で判定されます(新規申請では申請書類に添付しているもの/手引 PDF p.35)。毎年の事業年度終了報告が、そのまま審査資料として使われる構造です。この構造は決算変更届(事業年度終了報告)とは|毎年の提出義務と流れに整理されています。

さらに、前回審査時以降に社会保険の未加入期間がある場合は、当該期間の社会保険加入記録・賃金台帳・源泉徴収票・出勤簿等で常勤性が個別に判断されるとされています(審査要領 PDF p.11)。「前回通ったから今回も同じ」とは限らない部分です。

7-4. 一般→特定なら、書類が1枚増えることがある

一般から特定へ上げる場合、特定側の営業所技術者を誰で立てるかによって、様式第10号(指導監督的実務経験証明書)が追加になることがあります。

本記事では、どの業種でどの資格ならこの様式が必要になるのかには踏み込みません。 その判断は特定建設業の技術者要件そのものであり、特定建設業許可の財産的基礎|4基準の計算式と当てはめ【岡山】と下請から元請になるための建設業許可が扱います。

本記事としてお伝えするのは、「特定側の要件は、既存の許可があっても新しい基準で立て直すことになる」という一点です。だからこそ、般特新規は業種追加より重い手続きになり、報酬にも差が出ます(→§8-3)。

なお、審査要領が「申請書に財務諸表が含まれないので直近の事業年度終了報告書で財産的要件を判断する」としているのは、特定建設業に係る申請のうち「更新及び業種追加」についてであり、般特新規はそこに挙げられていません(審査要領 PDF p.26)。般特新規で財務諸表がどう扱われるかを名指しした記述は見当たらないため、本記事では断定しません。建設業法の様式で作った財務諸表そのもの(決算書との違い・勘定科目の考え方)は建設業許可の財務諸表|様式・勘定科目と決算書との違い【岡山】をご覧ください。

8. 岡山県での進め方と、当事務所にご依頼いただく場合

8-1. 岡山県は「窓口で相談しながら整える」進め方を想定していない

般特新規は、申請区分の同定・様式の書き分け・特定側の要件という3つが同時に絡む申請です。それだけに、窓口で確認しながら仕上げたいと考えたくなります。

しかし岡山県は、事前審査を一切行わず、書類を完全に整えた上で提出(送付)するよう求めています(手引 PDF p.16)。加えて、手引は般特新規を名指しして次のように書いています。

「特に、新規、更新、追加、般特新規申請の場合、更に十分な時間的余裕を持ってお越しください。」(手引 PDF p.16)

わざわざ名指しされている、ということ自体が情報です。 窓口での書面審査に時間がかかる申請区分として、県が明示的に注意を促しているわけです。同じページには、原則として審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了する旨も書かれています。

つまり、区分を間違えたまま窓口へ持ち込むと、その日の審査時間をまるごと失います。 §2〜§4 で扱った判定と書き分けを、持ち込む前に決着させておく必要があるのは、この運用のためです。

8-2. 提出先・費用・期間(詳細はそれぞれの記事へ)

岡山県知事許可の申請書の提出先は岡山県土木部監理課建設業班(県庁)で、手引は受付を出先機関ではなく本庁で行っている旨を明記しています(手引 PDF p.168)。窓口へのご持参のほか、郵送での提出も受け付けられています(手引 PDF p.16)。本記事は、書面(窓口へのご持参・郵送)による申請を前提に整理しています。

法定手数料は岡山県手数料等(POS)納付連絡票による納付です(手引 PDF p.14)。申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡があります(手引 PDF p.17)。申請受付から許可までは、特に問題がないケースで概ね2か月程度とされています(手引 PDF p.16。ただしこれは申請全般の目安で、般特新規について書かれた数字ではありません)。

これらの岡山県での申請実務の詳細(納付の手順、営業所調査で確認されるもの、期間の内訳)は、下請から元請になるための建設業許可と建設業許可の取得期間はどれくらい?にまとめています。不備で止まらないための観点は建設業許可が不許可・不受理になる主な理由をご覧ください。

8-3. 当事務所にご依頼いただく場合

当事務所の般・特新規の報酬は110,000円(税込目安)で、これに法定手数料90,000円が加わります。金額は案件の内容により変動しますので、正確な金額は事前にお見積りします。報酬が新規と業種追加の中間になる理由(特定側の要件を新しい基準で立て直すため作業が新規に近くなること)は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場に整理しています。

役割としては、書類作成の代行にとどまらず、代理申請まで行います。 所轄県民局による営業所調査の準備確認と当日の同席も報酬に含みます。 法定手数料はご依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します。 証明書等の実費は当事務所が立て替え、精算します。他事務所から引き継いでのご依頼にも対応します。行政書士登録番号は第20300974号です。

無料相談は方向性の見立てまで(初回30〜60分)とし、資料の精査・要件設計・工程表の作成は受任後に進めます。般特新規の場合、初回でお伺いするのは主に次の3点です。

  1. いま持っている許可の一覧(業種 × 一般/特定 × 許可日)
  2. これから何をしたいか(どの業種を、どちらの区分にしたいか)
  3. いつまでに必要か(更新期限が近いか、廃業届をすでに出していないか)

この3点で、§2 の3択のどれになるかの見当が付きます。

8-4. 切り替えたあとの期限は増える

最後に、維持の話を1点だけ。般特新規で許可日が増えれば、更新というイベントもその分だけ回ってきます(→§5-3)。事業年度終了報告や変更届の期限は、区分が変わっても引き続き毎年・そのつど発生します。

取得後に発生する期限の全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)にまとめています。期限の案内(いつ何を出すか)を継続的に受け取りたいという場合は、顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご検討ください。期限管理(いつ何を出すかの案内)は顧問の範囲、申請の代理実行はスポット報酬という切り分けでご案内しています。

よくある質問(FAQ)

Q般特新規とは何ですか。一般から特定へ上げるときだけの申請ですか?
A双方向です。岡山県の手引は、①一般建設業の許可しか受けていない者が新たに特定建設業の許可を受けようとする場合、②特定建設業の許可しか受けていない者が新たに一般建設業の許可を受けようとする場合——の両方を「般特新規許可申請」と定義しています(手引 PDF p.13)。特定を維持できなくなって一般へ戻すときも、申請区分の名前は同じ般特新規です。ただし「切替=般特新規」と覚えると取り違えます。別の業種で相手方の区分の許可をすでに持っていれば業種追加、その区分を全部廃業したあとであれば新規になります。
Q特定を全部やめてしまってから一般を取り直す場合も、般特新規ですか?
A般特新規ではありません。手引は「1級相当の営業所技術者等の不在により特定建設業を全て廃業した場合、この般特新規許可申請ではなく、(1)の新規許可申請が必要です」と明記しています(手引 PDF p.13)。法定手数料の額は般特新規と同じ90,000円ですが(手引 PDF p.14)、申請区分が変わるため、様式第1号 項番02に書くコードや項番05の書き方、添付書類の考え方が変わります。廃業届は受付後の取下げができませんので(手引 PDF p.148)、動く順番はご相談のうえで決めることをおすすめします。
Q一般から特定に切り替えたら、いまの一般許可は自動的に消えるのですか。廃業届は必要ですか?
A岡山県の手引と審査要領には、この点を定めた記述が見当たりません。両資料に書かれているのは、①特定から一般へ移す場合で、営業所技術者等の退職等により一部の業種について特定の要件を満たさなくなったときは、当該業種の廃業届(様式第22号の4)および営業所技術者等の削除届(様式第22号の3)を併せて提出すること(手引 PDF p.13。ただし削除届が必要なのは交替する者がいない場合に限られます/手引 PDF p.146)、②1つの建設業者が同一業種について一般建設業と特定建設業の両方の許可を受けることはできないこと(審査要領 PDF p.35。事業承継の認可要件を説明する文脈にある一文です)——の2点です。逆方向(一般から特定)についての処理や許可番号の扱いは書かれていないため、本記事では断定しません。申請前に岡山県土木部監理課建設業班へご確認ください。
Q様式第1号の「申請の区分」には何と書けばよいですか?
A項番02にコードを記入します。選択肢は1〜9で、般特新規を含むのは「3. 般・特新規」「6. 般・特新規+業種追加」「7. 般・特新規+更新」「9. 般・特新規+業種追加+更新」の4つです(手引 PDF p.33)。同時に何をするかによってコードが変わります。また、右隣の「許可の有効期間の調整」欄は「1. する/2. しない」で、しないときも「2」を必ず記入します(同)。なお、様式第7号の項番17の「3」は「常勤役員等の更新等」という別の意味なので、様式をまたいで同じ数字を書き写さないようご注意ください(手引 PDF p.57・p.63)。
Q般特新規では、新規申請より書類は少なくて済みますか?
A軽くなる部分と、軽くならない部分があります。軽くなるのは、常勤性の確認範囲が「申請した業種を担当する方のみ」になること(手引 PDF p.44・p.46)、工事経歴書が申請する業種のみでよいこと(実績がなくても「実績なし」等を記載して添付は必要/手引 PDF p.153)、許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があれば残高証明書が不要になること(手引 PDF p.149)などです。一方、営業所技術者等一覧表(別紙4)は既許可業種の担当者も含む全員を記載し、様式第3号は現在許可を受けている建設業と今回申請する建設業の両方を記入します(手引 PDF p.153)。登記されていないことの証明書・身分証明書も般特新規で必要です(審査要領 PDF p.29・p.30)。「持っているから省ける」と考えると足りなくなります。

まとめ

般特新規について、本記事でお伝えしたことを整理します。

  • 般特新規は双方向の1本の申請です。一般→特定も、特定→一般も、岡山県では同じ「般特新規許可申請」として定義されています(手引 PDF p.13)。
  • ただし「切替=般特新規」ではありません。 相手方の区分を別業種ですでに持っていれば業種追加、その区分を全部廃業したあとなら新規になります(手引 PDF p.12・p.13、審査要領 PDF p.21)。分かれ目は金額でも業種でもなく、いつ動くかという時点です。
  • いったん全部廃業してしまうと、手引の明文により新規に変わります。 廃業届は受付後の取下げができません。順番は後から取り戻せません。
  • 申請区分は様式第1号 項番02の1桁で宣言します。 般特新規を含むコードは「3」だけでなく「6(+業種追加)」「7(+更新)」「9(+業種追加+更新)」の4つあります(手引 PDF p.33)。右隣の「許可の有効期間の調整」欄は、しないときも「2」を必ず記入します。
  • 項番04と別紙2(1)項番83・88は書く範囲が逆です。 手引が名指しで「注意してください」と書いている箇所です(手引 PDF p.43)。項番05は般特新規では記載を要します(審査要領 PDF p.4)。様式第8号では旧所属・新所属の両方に営業所名を書きます(手引 PDF p.78)。
  • 「切り替えたら従前の許可はどうなるのか」に、県の2つの資料は答えていません。 自動消滅するのか、廃業届が要るのか、許可番号が変わるのか——いずれも明文が見当たりません。書けるのは、特定→一般で技術者要件を失った場合の廃業届+削除届(手引 PDF p.13・p.146)と、同一業種で一般・特定を併有できない旨(審査要領 PDF p.35・承継の文脈)の2点だけです。実際の処理は、申請前に監理課へご確認ください。

般特新規は、判定を誤ると書類一式を作り直すことになる申請です。そして岡山県は事前審査を行いません。手引がわざわざ般特新規を名指しして「更に十分な時間的余裕を持ってお越しください」と書いているのは、そのためだと考えられます(手引 PDF p.16)。

自社の手続きがどの区分になるか、いつ動くのが有利かは、いま持っている許可の構成によって変わります。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。まずは許可の一覧を手元に置いて、無料相談で棚卸ししてみてください。

般特新規か、業種追加か、新規か——無料相談で切り分けます

「一般から特定に上げたい」「特定を維持できないので一般に戻したい」——般特新規・業種追加・新規のどれに当たるか、いつ動くのが有利かを、建設業特化の行政書士が個別に整理します。「うちは般特新規ですか、業種追加ですか」「廃業届を先に出してしまったのですが」など、まず1問だけ聞きたい方はLINEでどうぞ。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。

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