

建設業許可を取った会社に、翌年から必ず発生する仕事があります。決算が終わるたびに、県へ「事業年度終了報告」を出すことです。
結論から言えば、次の3点を押さえておけば足ります。
- 期限は「決算日から4か月以内」。毎年です。(手引 PDF p.22)
- 県に納める法定手数料は不要です。かかるのは書類を作る手間だけです。(手引 PDF p.14・p.22)
- これを出していないと、5年後の更新申請も、途中の業種追加申請も受け付けてもらえません。(手引 PDF p.22・p.153・p.155)
「毎年の紙仕事」と受け取られがちですが、実態はそうではありません。この届出に添付する財務諸表は、次の申請で財産的基礎を判定する材料になり、工事経歴書は、営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験を証明するときの土台になります。つまり、毎年の事業年度終了報告は「5年後の更新と、その先の経営事項審査(経審)のための積み立て」です。ここを雑に作ると、後の申請で必ず跳ね返ってきます。
なお、この届出は一般に「決算変更届」と呼ばれています。ただし岡山県の手引・審査要領には、この呼び方は一度も出てきません(§1-1)。本記事では、岡山県の資料を引用・参照する場面では「事業年度終了報告」に統一します。
※ 本記事は岡山県知事許可を前提とした一般的な整理です。提出書類の要否や記載方法は、法人・個人の別、許可業種、経営事項審査を受けるかどうか、決算の内容といった個別の実態によって判断が分かれます。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。
すでに何期分か出していないという状態の方は、本記事ではなく決算変更届を出していないとどうなる|未提出が溜まったときの対処をご覧ください。未提出のまま溜まった状態から、どの年度から、どの順序で作り直すかは論点がまったく別で、そちらが本家です。本記事は「これから毎年きちんと出す」ための記事です。
1. 「決算変更届」という呼び名と、この届出の位置づけ
1-1. 岡山県の資料に「決算変更届」という語はない
まず用語の整理から入ります。ここを曖昧にしたまま県の資料を読むと、目次で該当箇所を見つけられません。
いわゆる決算変更届(岡山県の資料上は「事業年度終了報告」)——本記事ではこの橋渡しを1回だけ行い、以降は資料の言葉に合わせます。「決算変更届」「決算届」「決算報告書」という呼称は、岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)にも「審査要領」(令和7年9月1日)にも出てきません。
ただし、では「事業年度終了報告」が正式名称なのかというと、そう言い切ることもできません。岡山県自身が、同じ届出を場面ごとに違う言い方で呼んでいるからです。
| 岡山県の資料上の呼び方 | どこに出てくるか |
|---|---|
| 事業年度終了報告 | 手引 PDF p.22 の見出し「(2)事業年度終了報告(毎年、提出が必要)」 |
| 事業年度終了の変更届出書 | 手引 PDF p.22 の本文「決算日から4か月以内に、事業年度終了の変更届出書の提出が必要です。」 |
| 事業年度終了報告書 | 手引 PDF p.122・p.162 |
| 変更届出書(事業年度終了届用) | 手引 PDF p.170「変更届出事項及び提出書類等一覧表」の列見出し |
| 事業年度終了に係る変更届出書(中表紙) | 審査要領 PDF p.8 |
つまり、「正式名称は◯◯です」と断定できる状態ではありません。 実務では「決算変更届」で通じますし、県の窓口でも意味は伝わります。本記事が「事業年度終了報告」に統一するのは、それが唯一正しいからではなく、手引を開いたときに同じ言葉で探せるようにするためです。
なお、手引で「決算報告」という語が出てくるのは PDF p.120 の1か所だけですが、これは事業報告書の記入例に付された吹き出し(「今回の決算報告対象年度分については…」)であって、届出の名称ではありません。
1-2. 位置づけは「変更届出書の一種」
この届出は、独立した制度ではありません。許可取得後に提出する「変更届出書」の一種です。
手引 PDF p.22 は「5 変更届出書の提出」という節を立て、その(1)で変更届の一般原則を述べたうえで、(2)として事業年度終了報告を置いています。
(1)変更届が必要
許可取得後、許可申請書及び添付書類等の内容に変更が生じた場合は、指定された期限内に変更届出書の提出が必要です。
(2)事業年度終了報告(毎年、提出が必要)
決算日から4か月以内に、事業年度終了の変更届出書の提出が必要です。
(手引 PDF p.22)
同じ(1)の中で手引は、期限までに変更届を出していない会社は許可の更新や業種追加などの申請ができず、監督処分や罰則の対象にもなる、と続けています(手引 PDF p.22)。この帰結の詳細は §2-4 で扱います。
実際、この届出に使う中表紙(後述§3-1)の右上には、根拠として 法第11条2項・法第11条3項 が印字されています(手引 PDF p.32)。商号変更や役員変更の届出と、条文上は同じ枠組みの中にあるということです。
変更届の中で、事業年度終了報告だけが「事由の発生」ではなく「毎年」で回ってくる——これがこの届出の性格です。ほかの変更届は、商号を変えた・役員が替わった・営業所を移したといった出来事があってはじめて必要になりますが、事業年度終了報告は何も起きていなくても、決算が来れば必ず発生します。取得後の期限が全体としてどう並ぶのかは建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)に一覧があります。
1-3. 法定手数料は不要
費用の面から先に安心していただくと、この届出に県へ納める法定手数料はかかりません。
手引 PDF p.14 の手数料一覧表は、許可申請について「新規(許可換え含む)・般特新規 90,000円/更新・追加 50,000円」と定めたうえで、その直後に 「【変更届出書を提出する場合】手数料は不要です。」 と明記しています。手引 PDF p.22(5)も「変更届には手数料は必要ありません。」と重ねて書いています。
ここで注意していただきたいのは、90,000円・50,000円という金額は許可申請のものであって、変更届の額ではないという点です。同じページに並んでいるため、「決算変更届にも数万円かかる」と誤解されることがありますが、県へ納める金額は0円です。
実費としてかかるのは、添付する事業税納税証明書などの取得費用(§4-4)と、書類作成の手間です。行政書士にご依頼いただく場合の報酬は、当事務所では事業年度終了報告 44,000円(税込目安)としています。金額の考え方は建設業許可の費用はいくら?に、毎年・数年ごとに発生する費用を年額へ均した見方は建設業許可の維持にかかる年間費用に整理しています。
2. 提出期限——決算日から4か月以内(毎年)
2-1. 起算は「決算日から」
期限は決算日から4か月以内です。根拠は手引 PDF p.22 の本文「決算日から4か月以内に、事業年度終了の変更届出書の提出が必要です。」です。
細かい点ですが、岡山県の資料の中でも起算点の言い回しが3通りあります。
- 「決算日から4か月以内」(手引 PDF p.22 本文)
- 「事業年度終了(決算後4か月以内に提出)」(手引 PDF p.32 中表紙の右上の印字)
- 「決算終了後4か月以内に提出する事業年度終了報告」(手引 PDF p.71 様式第7号の3の解説)
いずれも実質は同じことを言っていますが、社内資料や見積書で根拠を示すなら、地の文として明確に書かれている手引 PDF p.22 を典拠にするのが安全です。
2-2. 決算日別の目安
月末決算を前提にした場合の目安を挙げます。
| 決算日 | 提出期限の目安 |
|---|---|
| 3月31日 | 7月31日 |
| 5月31日 | 9月30日 |
| 9月30日 | 1月31日 |
| 12月31日 | 4月30日 |
⚠️ この表はあくまで目安です。 手引・審査要領のいずれにも、期限の日数の数え方(初日を算入するのか)や、末日が土日祝・閉庁日に当たった場合の取扱いについての定めがありません。 郵送で出した場合に消印日を提出日とみなすのか(発信主義か到達主義か)についても、両資料に記載がありません。
したがって実務上は、末日ぎりぎりを狙わないのが唯一の答えになります。特に3月決算は7月末が期限で、県庁の窓口も混み合う時期です。決算が固まった段階で着手し、期限の2週間前には提出できる状態にしておく——この運用にしておけば、数え方の議論そのものが発生しません。
2-3. 許可を取った年の扱い
見落とされやすいのが、許可を取った直後の1回目です。
審査要領 PDF p.32 は③として、新規の許可申請を出したあとに新たな決算を迎えた会社は、許可が下りてから、その決算期分の事業年度終了報告を提出しなければならないと定めています。
申請してから許可が下りるまでの間に決算日が来た場合、その期の分も、許可が出たあとに提出する必要があるということです。手引は、申請が受け付けられてから許可になるまでについて「特に問題がないケースで概ね2か月程度かかります」と書いています(手引 PDF p.16)。決算月と申請月が近いと、この「またぎ」が普通に起こります。
「その期はまだ許可を持っていなかったのだから不要では」と考えたくなりますが、審査要領はそう書いていません。許可取得後に、その決算期分を出すという整理です。取得のタイミングを決める際の材料としては建設業許可を取るタイミング|取得を判断する目安もあわせてご覧ください。
2-4. 出さなかった場合はどうなるか(結論だけ)
手引 PDF p.22 は、期限内の提出を怠っている業者について、許可の更新・追加申請等はできず監督処分や罰則の対象にもなる、としています。同じ趣旨は手引 PDF p.153(追加申請・般特新規申請の注意点)と手引 PDF p.155(更新申請の注意点)にも繰り返し置かれており、手引の中で3回書かれている論点です。
このうち更新申請の注意点を述べた手引 PDF p.155 は、変更届の提出漏れがある場合について、事業年度終了報告等の変更届が法定期限内に提出されていないときは、更新申請等の受付はできないと定めています。さらに同じ箇所で、変更届を提出しないまま、変更前の情報で許可を受けた場合には、監督処分を受けることになるため注意するように、としています(手引 PDF p.155)。受付を断られるだけで終わらず、そのまま許可を受けてしまった場合にも処分の対象になるという二段構えの書き方です。
罰則については、手引 PDF p.23 に「建設業法第47条等の罰則の適用により拘禁刑又は罰金刑に処せられる可能性があります」という記載があるのみで、具体的な年数や金額は手引・審査要領のどちらにも書かれていません。 本記事でも数値は示しません。
すでに未提出分が溜まっている場合の具体的な対処——何年分を、どの順序で、どう作るのか、当時の資料が残っていない場合どうするのか——は決算変更届を出していないとどうなる|未提出が溜まったときの対処にまとめています。本記事ではこれ以上踏み込みません。
3. 提出書類の一式と様式番号——中表紙の(1)〜(11)
3-1. ⛔ 「決算変更届=様式第22号の2」は岡山県では誤り
他県向けに書かれた解説記事でよく見かける説明に、「決算変更届は様式第22号の2を使う」というものがあります。岡山県ではこれは誤りです。
岡山県で事業年度終了報告に使うのは、〔事業年度終了報告用〕の中表紙で、これは様式番号のない岡山県独自の書式です。手引の目次でも「5 建設業許可申請書の変更届出書(事業年度終了報告用:中表紙)」と、様式番号付きの変更届出書とは別立てで掲載されています(手引 PDF p.3)。手引 PDF p.170 の一覧表でも、この列の様式番号欄は「―」です。
では様式第22号の2は何かというと、商号・所在地・資本金の額・役員等・常勤役員等(経営業務の管理責任者等)・営業所技術者等の変更に使う変更届出書です(手引 PDF p.3 目次35)。事業年度終了報告とは用途が違います。
紙の構成は2枚重ねになります。
- 表紙(変更届用)——岡山県独自様式。右肩に変更届出事項の一覧があり、今回提出する内容の番号に○を付けます。事業年度終了報告もこの一覧の中に項目として載っています(手引 PDF p.30)。令和7年2月1日提出分から様式が変わっているので、古いファイルを使い回さないよう注意してください(手引 PDF p.31)。
- 中表紙(事業年度終了報告用)——こちらも様式番号なし。令和2年10月1日提出分から様式が変わっています(手引 PDF p.32)。
表紙と中表紙で、様式が変わった時期そのものが違う(令和7年2月/令和2年10月)という点は、実務でつまずきやすいところです。さらに財務諸表は令和4年4月1日以降の提出分から様式・記載要領が変更されています(手引 PDF p.130)。ひとつの届出の中に、変更時期の違う3世代の様式が同居していることになります。様式は県のホームページから毎年ダウンロードし直してください。
3-2. 中表紙に列挙された11項目
中表紙には、提出書類が(1)〜(11)として印字されています(手引 PDF p.32)。様式番号は中表紙自体には印字されていないため、手引の各様式の解説ページから対応させると次のようになります。
| No. | 中表紙の記載 | 様式番号 | 出典(手引 PDF) |
|---|---|---|---|
| (1) | 工事経歴書 | 様式第2号 | p.49・p.51 |
| (2) | 直前3年の各事業年度における工事施工金額 | 様式第3号 | p.53 |
| (3) | 使用人数 | 様式第4号 | p.55 |
| (4) | 健康保険等の加入状況(従業員数に変更がある場合) | 様式第7号の3 | p.71 |
| (5) | 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(変更がある場合) | 様式第11号 | p.87 |
| (6) | 貸借対照表及び損益計算書 | 法人=様式第15号・第16号/個人=様式第18号・第19号 | p.123・p.130・p.169 |
| (7) | 株主資本等変動計算書及び注記表(法人の場合) | 様式第17号・第17号の2 | p.130・p.169 |
| (8) | 事業報告書(株式会社の場合) | 岡山県が標準的記載項目を提示(会社法施行規則準拠) | p.122 |
| (9) | 附属明細表(資本金の額が1億円を超える又は貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の株式会社の場合) | 様式第17号の3 | p.32・p.169 |
| (10) | 法人(個人)事業税納付済額証明書 | 様式なし(県民局税務部等で取得) | p.149 |
| (11) | 定款(変更がある場合) | 様式なし | p.149 |
11項目すべてを毎年出すわけではありません。 (4)(5)(11)は括弧書きのとおり変更があったときだけ、(7)(8)(9)は法人・株式会社・一定規模の株式会社という条件付きです。手引 PDF p.170 の一覧表でも、事業年度終了報告の行には「△*3=変更があった場合のみ必要」「△*12=従業員数の変更があった場合のみ必要」「△*4=資本金の額が1億円超、又は負債の部の合計額が200億円以上の法人についてのみ必要」という注記が付いています。
毎年必ず作るのは、(1)工事経歴書・(2)直前3年の工事施工金額・(3)使用人数・(6)財務諸表・(10)事業税納付済額証明書——このあたりが芯になります。
3-3. 中表紙の記載要領——許可業種は「全部」書く
中表紙の記載要領には、次の2点が書かれています(手引 PDF p.32)。
許可業種については完工実績の有無にかかわらず、許可を有する工事業種を全て記載すること。
(1)から(11)までの事項については今回提出するものの番号を○で囲むこと。
「今期はこの業種の工事をしていないから書かない」は誤りです。 実績ゼロの業種も含めて、許可を持っている業種は全部書きます。
ただし、書くのは「届出書の提出日現在に許可を受けている業種」です。ここは事業年度の途中で業種を追加したり廃業したりした場合に効いてきます。
ただし、事業年度終了報告に添付する変更届出書(中表紙)に記載するのは、届出書の提出日現在に許可を受けている業種だけですので注意してください。
(手引 PDF p.49)
審査要領 PDF p.8(9)も同じことを言っています。中表紙は「提出日現在」の許可業種/工事経歴書は「対象事業年度」に許可があった業種——基準がずれている、というのがこの論点の正体です(工事経歴書側は§5-6)。
なお、許可番号・許可年月日の欄について、複数の許可日がある場合は、有効なもののうち一番古い許可日を記載するのが原則です(手引 PDF p.30・p.32)。業種追加を重ねて許可日が複数ある会社では、ここを取り違えると表紙から直しになります。
3-4. 提出部数は原則6部
変更届も許可申請と同じく、閲覧用3部(正1・副2)+非閲覧用3部(正1・副2)=計6部が原則です(手引 PDF p.25・p.170)。
○ 黒ひも等でつづり、次のように提出してください。
提出書類を閲覧用と非閲覧用に分け、閲覧用3部(正1、副2)+非閲覧用3部(正1、副2)= 計6部を提出
(届出内容によっては、閲覧用のみ又は非閲覧用のみの場合もあるため、その場合には該当する方を3部だけ提出してください。)
(手引 PDF p.25)
つづり方にも指定があります。様式番号の順に黒ひも等でつづってから提出し、複数の届をまとめて出すときは届出ごとに並べることとされています(手引 PDF p.25)。副本は正本のコピーで構いません。
訂正の方法も決まっています。修正液・修正テープは使えず、二重線で訂正します(手引 PDF p.25)。ただし表紙に限っては修正液等を使ってもよいという例外があります(手引 PDF p.31)。
4. 法人と個人で、何がどう違うのか
事業年度終了報告は、法人と個人事業主で提出物の一部が入れ替わります。手引 PDF p.170 の一覧表も「16 ①事業年度終了報告(個人)/②事業年度終了報告(法人)」と行を分けています。
4-1. 財務諸表の様式が別
いちばん大きな違いがここです。
| 書類 | 法人 | 個人 |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 様式第15号 | 様式第18号 |
| 損益計算書(法人は完成工事原価報告書を含む) | 様式第16号 | 様式第19号 |
| 株主資本等変動計算書 | 様式第17号 | ― |
| 注記表 | 様式第17号の2 | ― |
| 附属明細表 | 様式第17号の3(資本金1億円超、又は負債の部の合計額が200億円以上の株式会社のみ) | ― |
(手引 PDF p.169 の様式番号一覧・手引 PDF p.123 の個人用財務諸表)
個人は貸借対照表と損益計算書の2点だけです。法人は最低でも4点(15号・16号・17号・17号の2)になります。
なお、この財務諸表について押さえておくべき点が1つあります。
・【作成基準、様式】税務署に申告した直近の決算書を基に、個人/法人の別に指定された様式を用いて作成してください。内容が一緒でも独自様式では認められません。
(手引 PDF p.130)
税務署に出した決算書をそのまま添付することはできません。 建設業法の指定様式に組み替える必要があり、勘定科目の分類も税務申告のものとは一致しません。ここが「税理士に決算書を作ってもらったのだからそのまま出せるはず」という思い込みでつまずく最大のポイントです。組み替えの具体的な作業内容には本記事では踏み込みません。
4-2. 事業報告書は「株式会社のみ」
中表紙(8)の事業報告書は、株式会社のみが対象です(手引 PDF p.32)。
株式会社では、建設業法上、毎年提出する事業年度終了報告書に事業報告書を添付することとされていますが、どのようなことを記載したらよいのか分からないという質問がよくありますので、会社法施行規則に定める標準的な記載項目をお示ししています。
なお、言うまでもありませんが、会社法上の事業報告書を別途作成されている場合には、本様式ではなく当該報告書を添付していただけば結構です。
(手引 PDF p.122)
つまり、すでに会社法上の事業報告書を作っている会社は、それを添付すればよいということです。作っていない会社のために、岡山県が標準的な記載項目のひな型を用意してくれている、という関係になります。
ただし、そのひな型を使わずに任意の様式を用いる場合には、県が明示的に注意を促しています。
・この様式を利用されず、任意の様式をお使いいただくことは全く差し支えありませんが、株主の状況に係る記載欄のない任意の様式を用いる場合、株主等の届出の状況を確認しにくくなるため、届出漏れによる監督処分を受ける可能性が高まる点につきましては留意してください。
(手引 PDF p.121)
「株主の状況」欄のない事業報告書を使うと、株主等の変更届の出し忘れに気づけない——県はそう言っています。手引は、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主(又は出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている者)として申請・届出をした「メンバー」に増減等の変更が生じた場合には、様式第14号(株主(出資者)調書)を添えて役員等の変更があった旨を届け出る必要がある、としています(手引 PDF p.93)。逆に、メンバーが変わらず保有株式数(出資額)だけが動いた場合は変更届は不要です(同)。この見落としを防ぐという意味でも、岡山県のひな型を使ったほうが安全側に倒れます。
4-3. 附属明細表の「主語」が資料ごとに違う
細かいですが、実務では確認が要る点です。附属明細表(様式第17号の3)が必要になる範囲について、岡山県の資料は3か所で微妙に主語が違います。
| 出典 | 書きぶり |
|---|---|
| 手引 PDF p.32(中表紙) | 「資本金の額が1億円を超える又は貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の株式会社の場合」 |
| 手引 PDF p.170(一覧表 注4) | 「資本金の額が1億円超、又は負債の部の合計額が200億円以上の法人についてのみ必要」 |
| 審査要領 PDF p.27 | 「小会社(資本金1億円以下、かつ、負債の部が合計額が200億円未満)でない株式会社の場合は、附属明細表も併せて提出すること」 |
数値の基準は同じですが、「株式会社」なのか「法人」なのかで表現が揺れています。該当しそうな規模の会社は、県の窓口へ個別に確認してください。中小規模の建設業者であれば、通常は該当しません。
4-4. 納税証明書は「法人事業税」か「個人事業税」か
中表紙(10)の「法人(個人)事業税納付済額証明書」は、法人なら法人事業税、個人なら個人事業税の証明書です。
- 取得先:所轄の県民局税務部又は地域事務所地域総務課(審査要領 PDF p.29)。過去3年分は各県民局税務部又は各地域事務所で取得できますが、それ以前のものは各県民局税務部でしか取得できず、請求方法や手数料も異なるため、事前に確認してから請求してください(手引 PDF p.149)。
- 記載内容:課税額及び納付済額が明記されている必要があります。「***」のみの表示は不可です(手引 PDF p.149)。
- 入札の完納証明書とは別物:審査要領 PDF p.29 は「県の入札参加資格申請書の添付書類とされている完納証明書とは異なるので注意すること」と明記しています。入札用に取った証明書を使い回すことはできません。
- 原本でなくてよい:納税証明書は原本提出が不要で、正本にコピーを添付しても構いません(手引 PDF p.15)。審査要領 PDF p.29 も「令和3年9月から原本提出は不要としたため、全て写しでも差し支えない」としています。
- 決算未到来でも省略不可:最初の決算を終えていない場合でも省略できません。新設法人等は「決算未到来につき課税なし」等と記載した証明書を、個人事業主は「課税なし」等と記載した証明書を添付します(手引 PDF p.149)。
なお、個人事業税の納税証明書には年度の記載しかなく、具体的な期間が書かれていません(審査要領 PDF p.29(5))。これは複数年度分をまとめて出す場面で問題になる論点なので、決算変更届を出していないとどうなる|未提出が溜まったときの対処側で扱います。
5. 工事経歴書(様式第2号)でつまずく点
事業年度終了報告の作業時間の大半は、工事経歴書に費やされます。ここが本記事でもっとも実務的な章です。
5-1. 実績がない業種も必ず作る
まず大前提です。
・【実績がない業種も必ず作成する】完成工事の実績の有無にかかわらず、許可申請の場合は許可を受けようとする業種について、事業年度終了報告の場合は許可を受けている業種について、作成してください。実績のない業種が複数ある場合、複数の業種の略号を1枚の工事経歴書にまとめて記載してください。
(手引 PDF p.51)
審査要領 PDF p.9(13)も「事業年度終了報告を行うに当たり、当該業種の完成工事高が『0』でも、許可業種の工事経歴書は必要である」と同じことを書いています。実績ゼロの業種が複数あるなら、略号をまとめて1枚に書けばよいという省略が認められています。
ここは許可申請のときと扱いが違います。新規・追加・般特新規の申請では、許可を受けようとする業種の工事経歴書だけでよいとされています(審査要領 PDF p.8(9))。ただし同じ項は、様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)については、許可を有している全ての業種及び今回受けようとする業種に区分して金額を記載することとも定めています。「前回の申請ではこの業種だけ作った」という記憶のまま事業年度終了報告に取りかかると、業種を落とします。
5-2. 7割ルールと、軽微な工事10件の上限
記載量のルールが、この様式の中心です。
・【工事は全て記載するのか】工事経歴書には、報告対象年度内に完成した工事請負額の7割を超えるところまで金額の大きいものから順に記載してください。
ただし、建設業法施行令第1条の2第1項に規定する軽微な建設工事(工事1件の請負代金の額が建築一式工事にあっては税込 1,500 万円未満の工事、建築一式工事以外の建設工事にあっては税込 500 万円未満の工事)については、10 件を超えて記載する必要はありません。記載を省略する軽微な建設工事については、小口工事としてまとめて記載していただいても構いませんが、まとめた件数を明記してください。
(手引 PDF p.51)
手引はご丁寧に具体例まで置いています。
例)大工工事にて 500 万円以上の工事が 2 件、軽微な工事が 30 件ある場合
500 万円以上の工事 2 件、軽微な工事 10 件を個別に記載し、小口工事 20 件をまとめて記載する。
(手引 PDF p.51)
ただし一式工事(土木一式・建築一式)は例外です。 軽微な工事の有無にかかわらず、請負代金の額の総額の7割を超えるところまで記載する必要があり、小口工事としてまとめることはできません(手引 PDF p.51/審査要領 PDF p.8(8))。土木一式・建築一式の許可を持っている会社は、ここで作業量が跳ね上がります。
なお「7割」の書きぶりは資料ごとに少しずつ違います。手引の解説(PDF p.51)は「7割を超えるところまで」、様式第2号の法定記載要領(手引 PDF p.48)は「おおむね7割」、審査要領(PDF p.8)は「概ね7割」です。ちょうど7割で切ってよいという断定はできないので、実務では余裕を持って超えるところまで書きます。
また、法定記載要領には請負代金の額の合計額が1,000億円を超える場合は、超える部分の完成工事について記載を要しないという上限も置かれています(手引 PDF p.48)。
5-3. 「その他工事」の500万円ライン——境界値は断定しない
許可を持っていない業種の施工実績は「その他」工事に計上します(手引 PDF p.51)。この「その他」工事の総額が一定額を超えると、その他業種分の工事経歴書も作ることになります。
ここで岡山県の2資料の書きぶりが割れています。
| 出典 | 書きぶり |
|---|---|
| 手引 PDF p.51・p.52 | 「その他」工事の総額が 500万円(税込)以上の場合、請負金額の大きいものから順に明細を10件以上記載するか、合計の7割を超えるまで記載。総額が500万円(税込)未満なら作成不要 |
| 審査要領 PDF p.9(12) | その他工事の施工金額の合計が 税込500万円を超える場合は、工事経歴書を作成し、大きいものから順に10件以上記載するか、合計金額の7割以上記載 |
ちょうど500万円のときに結論が逆になります。 「以上」なら作成必要、「超える」なら作成不要です。境界に当たった場合は自己判断せず、県の窓口に確認してください。本記事でも境界値の断定はしません。
なお、「その他の建設工事の施工金額」欄には、各業種の小計で発生した千円未満の端数と、許可を有しない業種の小口工事を計上します(手引 PDF p.52)。千円未満の端数は工事ごとに切り捨て、その分を「その他工事」で調整するという処理です(手引 PDF p.49/審査要領 PDF p.8(7))。
5-4. 「完成日」は引渡しの日——工期末日でも入金日でもない
計上する工事の判定基準です。ここは間違えると年度がまるごとずれます。
・【計上すべき完成工事】原則として申請又は届出をする日の属する事業年度の直前の事業年度に完成日を迎えた工事を記載してください。
完成日とは、完了検査を終えて注文者に目的物を引き渡した日であって、請負契約書上の工期末日や工事代金の入金日ではありません。
なお、工事進行基準を採用している場合には、完成日又は契約書上の工期末日を記載してください。
(手引 PDF p.49)
契約書の工期末日ではなく、入金日でもなく、引き渡した日です。決算期末をまたぐ工事で、工期は3月末だが引渡しが4月にずれ込んだ、という案件は翌期の計上になります。会計上の売上計上時期と食い違うこともあるため、財務諸表との突合(§6-4)で必ず確認が必要になる箇所です。
着工・完成年月の欄についても同様で、契約書記載の日付ではなく、実際に着手した日と、工事が終了して発注者に引き渡した日を記載します(手引 PDF p.50/審査要領 PDF p.9(14))。
5-5. 注文者名・工事名に個人名を出さない
意外に多い差し戻し理由です。
・【記載方法の変更】注文者や工事名の記載に当たっては、個人名が特定されないように注意し、例えば、注文者欄は「個人1」、工事名欄は「個人1邸新築工事」などと記載してください。
(手引 PDF p.49)
手引 PDF p.47 の様式の吹き出しには「※イニシャルの使用もできません。」という注記も置かれています。一方、審査要領 PDF p.9(17) は「数字の代わりにアルファベットを用いる際は、個人名のイニシャルではないことを確認した上で受付する」としており、アルファベットそのものが禁止されているわけではありません。ただし、個人名のイニシャルは使えないという点は両資料で一致しています。番号で通すのが安全です。
この配慮が必要な理由は§8-5(閲覧制度)で説明します。この書類は一般の閲覧に供されるからです。
5-6. 事業年度の途中で業種を追加・廃業した場合
§3-3 で触れた「中表紙は提出日現在」との対比です。
・【事業年度途中の追加・廃業】対象となる事業年度の途中で業種の追加や廃業があった場合、その追加又は廃業した業種分も他の許可を受けている業種と同じように様式第2号(工事経歴書)及び様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)を作成してください。
(手引 PDF p.49)
工事経歴書と様式第3号は「対象事業年度に許可があった業種」を全部作る/中表紙には「提出日現在の許可業種」だけを書く——この2つを取り違えると、業種の数が合わなくなります。業種追加を検討している場合の全体像は建設業許可の業種追加とは|岡山で許可業種を増やす手続きと要件をご覧ください。
5-7. 兼業事業は工事経歴書に載せない
これも頻出です。建設工事に当たらない売上は、工事経歴書にも様式第3号にも載せません。 損益計算書(様式第16号・第19号)の兼業事業売上高に計上します(手引 PDF p.49)。
手引 PDF p.162 は「建設工事」に該当せず「兼業事業」に当たるものを列挙しています。
○草刈り、雑木伐採 ○樹木のせん定、庭木管理 ○緑地・公園の管理 ○機械・設備等の保守・点検、部品(電球、パッキン等の消耗品)の交換等 ○溝掃除(水路の堆積物の除却等) ○除雪 ○測量・コンサルタント業務 ○試掘 ○土砂の撤去 ○土砂の仮置き(土のう製作・設置を含む) ○産業廃棄物の運搬処分 ○浄化槽清掃 ○工事現場の清掃 ○路面清掃 ○不動産販売(土地・建売住宅の販売) ○委託管理業務 ○建設資材の販売・賃貸等 ○船舶、自動車、建設機械等に係る作業 ○道路パトロール ○警備
(手引 PDF p.162)
審査要領 PDF p.7(1)も「工事以外のもの(草刈、樹木・緑地・公園の管理、機械設備の保守点検、清掃、建材の販売、自動車・船舶等への作業など)は計上しないこと」としています。
そして、間違えたときの重さが明記されています。
誤って完成工事高に含めて計上した場合は、事業年度終了報告書の訂正及び経営分析のやり直しが必要になりますので御注意ください。
☆なお、経営事項審査の虚偽申請となる場合には監督処分の対象となります。
(手引 PDF p.162)
除雪・草刈り・保守点検を「工事」として計上している——建設業以外の売上も立てている会社では、実際にありうる誤りです。経審を受けるのであれば、訂正と経営状況分析のやり直しまで発生します。
5-8. 一式工事と専門工事の取り違え
手引が名指しで注意している論点です。
・【一式工事と専門工事】専門工事であるにもかかわらず、一式工事として計上されている例が多いので注意してください(特にとび・土工、大工、内装仕上工事で多いようです。)。
(手引 PDF p.49)
手引は同じページで、一式工事を「土木工作物(建築物)一式の完成・引渡しを目的とし、総合的な企画・指導・調整に基づいて当該土木工作物(建築物)を建設する工事」と説明しています(手引 PDF p.49)。そのうえで資料編では、個別の専門工事として施工が可能な工事は一式工事ではなく各専門工事に該当すること、主たる工事に附帯工事(附帯的に発生する他の専門工事)が含まれていても、主たる工事の部分で判断されるため一式工事とは認められないことが明記されています(手引 PDF p.162)。この切り分けは一式工事と専門工事の違いに、29業種そのものの区分は建設業許可29業種の一覧と選び方に整理しています。
工事名だけでは業種が判断しにくい場合の対処も定められています。契約書上の工事名の後に( )書きで工事内容を具体的に補記し、それでも判断しにくいとき(特に土木一式工事・建築一式工事)は、現場写真、設計図、工事台帳、施工体制台帳、施工体系図等の資料の提示を求められます(手引 PDF p.50)。郵送の場合は各1部を同封します。
5-9. ★工事経歴書は「県が技術者配置を確認する場」でもある
ここが、本記事でもっともお伝えしたい落とし穴です。工事経歴書は、単なる売上の報告書ではありません。 岡山県は、この書類を配置技術者の適正さを点検する材料として使っています。
審査要領 PDF p.7(3)は、工事経歴書の提出があった際に配置技術者について次の違反があった場合には、業務改善報告書を徴した上で申請等を受け付けると定めています。挙げられている違反は3類型で、1つ目は法第26条第3項で技術者の専任が求められる工事に営業所技術者等を配置していたケース、2つ目は専任が必要な工事に配置した技術者を、その工事の工期中に別の工事の技術者としても配置していたケース、3つ目は営業所技術者等を隣接県より遠い工事現場の技術者として配置していたケースです(審査要領 PDF p.7)。
さらに、許可を持っていない業種で、許可が必要な軽微でない工事を受注していたことが工事経歴書から判明した場合も、業務改善報告書を徴したうえで受け付けるとされています(審査要領 PDF p.8(5))。配置技術者が在籍出向者や派遣社員など、直接的かつ恒常的な雇用関係にない者だった場合も同様です(審査要領 PDF p.8(4))。
手引の側も、同じことを別の角度から書いています。
② 専任義務に違反した場合
事業年度終了報告時に、大きな工事と掛け持ちしていることが分かる例が散見されます。掛け持ちをしているということは、適正な技術力レベルを欠いたままでの施工が行われているということになり、建設業法に基づく監督処分等を受けることになります。
(手引 PDF p.181)
「散見されます」と県が書いている、つまり実際に見つかっているということです。工事経歴書の配置技術者欄を、実態と違う名前で埋めて辻褄を合わせようとすると、他の年度や他の書類と突き合わせた段階で矛盾が出ます。
なお、業務改善報告書は岡山県の審査要領に定められた仕組みで、制度としてはここまでのご紹介に留めます。実際に該当しそうな場合は、書類を作る前にご相談ください。
5-10. 一度報告した業種は、あとから変えられない
この年の工事経歴書に書いた内容は、将来の申請を縛ります。
なお、事業年度終了報告において、その他工事以外の業種として報告した工事について、業種を変更して記載することはできませんので注意してください。
(手引 PDF p.153)
実務経験証明書(様式第9号)の吹き出しにも同趣旨の注記があります。
・同じ工事について過去に事業年度終了報告、他の技術者の実務経験証明等で報告したものと違う業種で記載することは認められません。
(手引 PDF p.81)
つまり、「今年は塗装として報告した工事を、3年後に防水の実務経験として使う」ということはできません。 営業所技術者の実務経験を実績で積み上げていこうとしている会社にとって、これは重い制約です。将来どの業種を追加したいのかを見据えて、毎年の工事経歴書の業種区分を決める——ここが、事業年度終了報告を「毎年の紙仕事」として片付けてはいけない最大の理由です。
5-11. 配置技術者の工期途中交替
工期の途中で配置技術者が替わった場合の書き方も定められています。
配置技術者の工期途中での交替は、慎重かつ必要最小限とする必要があり、認められる場合としては配置技術者の死亡、傷病又は退職など真にやむを得ない場合等とされています。これらの理由により工期中途で変更した場合は、技術者名を二段書き(変更前の技術者を上段、変更後の技術者を下段)にして変更年月日を記入します(手引 PDF p.50/審査要領 PDF p.9(11))。
また、「配置技術者」欄の主任技術者・監理技術者の区分は、監理技術者資格者証取得の有無ではなく、監理技術者の配置を必要とする工事か否かで区分します(手引 PDF p.50)。ここも取り違えの多い箇所です。
6. 「日付」と「基準日」が様式ごとに違う
事業年度終了報告の中には複数の様式が入りますが、書き込む日付の意味が様式ごとに違います。 一括して「作成日」で埋めると誤りになります。
6-1. 日付の基準を並べる
| 様式 | 事業年度終了報告での「日付」 | 出典 |
|---|---|---|
| 様式第4号(使用人数) | 作成日 | 手引 PDF p.55 |
| 様式第7号の3(健康保険等の加入状況) | 届出日 | 手引 PDF p.71 |
| 様式第11号(令3条使用人の一覧表) | 作成日 | 手引 PDF p.87 |
・【日付】申請の場合は申請日を記載してください。事業年度終了報告の場合は作成日を記載してください。
(手引 PDF p.55/様式第4号)
・【日付】申請の場合は申請日を必ず記載してください。事業年度終了報告の場合は届出日を必ず記入してください。
(手引 PDF p.71/様式第7号の3)
・【日付】申請の場合は申請日を記載し、変更届の場合は届出日を記載してください。ただし、事業年度終了報告の場合は作成日を記載してください。
(手引 PDF p.87/様式第11号)
様式第11号だけは「変更届なら届出日、ただし事業年度終了報告なら作成日」という二段構えになっています。同じ届出の中で3つの様式が3通りの指定になっているので、まとめて処理せず1枚ずつ確認してください。
6-2. 「人数」の基準日は決算日
日付とは別に、中身の基準日があります。使用人数(様式第4号)が典型です。
(3)新規申請・更新申請等に添付する場合は申請時点の人数を、事業年度終了報告に添付する場合は当該決算日時点の人数を記載する。
(審査要領 PDF p.10)
日付欄は「作成日」、人数は「決算日時点」——ここを混ぜると、書類を作った日の人数を書いてしまいます。
6-3. 「従業員数」の数え方が様式で違う
さらに厄介なのが、同じ「人数」でも様式によって数える範囲が違うことです。
| 様式 | 数える範囲 | 出典 |
|---|---|---|
| 様式第4号(使用人数) | 常勤(社会保険加入者等)である方のみ/建設業に従事している人数のみ(兼業分は含めない)/単なる労務者は含めない/法人の代表者・個人事業主も含める | 手引 PDF p.55/審査要領 PDF p.10 |
| 様式第7号の3(健康保険等の加入状況) | 常勤・非常勤を問わず、役員・個人事業主本人・建設業以外に従事する従業員も含めた総従業員数(( )内に役員又は個人事業主本人の数を再掲) | 手引 PDF p.71 |
同じ会社の同じ時点の話なのに、様式第4号と様式第7号の3で人数が一致しないのが正常です。「数字が違うから直そう」として揃えてしまうと、どちらかが誤りになります。
なお、様式第4号については、事務職員であっても土木施工管理技士・建築士等の有資格者であれば技術関係使用人として記載して差し支えないとされています(審査要領 PDF p.10(4))。有資格者ではないが現場業務と事務の両方を行う職員は、主たる業務を行う箇所に記載します。
6-4. 数字は突合される——様式第3号と財務諸表
様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)は、財務諸表と数字が一致していなければなりません。
■要チェック!!■ この点線部分の金額は、様式第16号(損益計算書)の完成工事高と完全に一致させてください。※個人の場合は、様式第19号と一致させてください。
(手引 PDF p.52)
審査要領 PDF p.27 は、県側のチェック箇所として次を挙げています。
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額の施工金額合計と、損益計算書の完成工事高が等しいこと
- (法人)完成工事原価報告書の原価合計と、損益計算書の完成工事原価が等しいこと
- 負債純資産合計と資産合計が等しいこと
- (個人)損益計算書の事業主利益と、純資産の部の事業主利益が等しいこと
さらに、工事経歴書と様式第3号の間にも突合があります。
工事経歴書における各業種の完成工事高の合計が、直前3年の各事業年度における工事施工金額の表(様式第3号)の業種の合計金額の概ね7割以上になっているか、または等しいかを確認すること。
(審査要領 PDF p.8)
工事経歴書 → 様式第3号 → 損益計算書という3段の整合が取れてはじめて受け付けられる、という構造です。株式会社の場合は、様式第3号の一部の金額を事業報告書とも一致させる必要があります(手引 PDF p.52)。1か所を直すと3か所に波及するため、後から数字をいじると崩れます。
6-5. 様式第3号の期間と、税込・税抜の統一
様式第3号には、決算が終了している直近3年分の決算期を、上から古い順に記載します。様式は6期分書けるようになっていますが、これは6か月決算の法人や決算期を変更した場合のためのもので、通常は上から3期分を使います。決算期変更をした場合は最低4期分の記載が必要です(手引 PDF p.53)。
消費税の処理は統一が必要です。
・【(税込・税抜)欄】消費税及び地方消費税の会計処理方式を選択(いずれかに〇)しますが、その際、この様式第2号(工事経歴書)、様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)、財務諸表は全て税込、税抜のどちらかに統一してください。
(手引 PDF p.50)
ただし、手引だけを読んで「経審を受けないなら税込でよい」と単純化しないでください。 審査要領 PDF p.26 は「経営事項審査を受審しない場合は、消費税について、税込処理でも税抜処理でも差し支えない。ただし、消費税課税業者の場合は、原則として税抜き方式で記載する」としており、手引より一段強い書き方になっています。課税事業者であれば税抜が原則、と理解しておくのが安全です。
なお、事業年度によって会計処理方式が変わる場合は、「(税込・税抜)」欄には○を記載せず、「事業年度」欄の余白に事業年度ごとに「税込」又は「税抜」と記載します(手引 PDF p.53)。ここも2資料で書きぶりが揃っていません。審査要領 PDF p.10(5) は同じ場面について「○をせず、又は双方に○をし、各期に個別に『税抜』『税込』を記載する」としており、手引が認めていない書き方を選択肢に挙げています。免税事業者から課税事業者に変わった年度をまたぐ会社はここに該当しますので、迷ったら窓口で確認してください。
7. この届出が、後の申請の土台になっている
事業年度終了報告を「毎年出すだけの書類」と考えていると見落とすのが、この届出が後の申請の判定材料としてそのまま使われるという点です。岡山県の資料は、複数の場面でこの届出を参照しています。
7-1. 財産的基礎の確認資料になる
一般建設業の許可要件のひとつである「自己資本の額が500万円以上あること」について、手引 PDF p.10 は、この要件を確認する財務諸表を、既存の企業なら原則として直近の事業年度終了報告に添付したもの、新しく設立した企業なら創業時のものとしています。
すでに許可を持っている会社の財産的基礎は、直近の事業年度終了報告で判断されるということです。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)に、直近の決算で自己資本が足りない場合の打ち手は自己資本500万円が足りないときにまとめています。
特定建設業ではさらに直接的です。
① 特定建設業に係る申請(更新及び業種追加)については、申請書に財務諸表が含まれないので、申請者からの直近の事業年度終了報告書により、財産的要件を満たしているかどうかを判断する。
(審査要領 PDF p.26)
特定建設業の更新・業種追加では、申請書に財務諸表が入りません。 代わりに、毎年出している事業年度終了報告が財務要件の判定に使われます。
7-2. 業種追加の「継続して営業した実績」の確認資料になる
業種追加を考えている会社にとって重要な記述です。
なお、「継続して営業した実績」について、「既存の企業にあっては申請時の直前の決算期における財務諸表によって基準を満たしているかどうかの判断となる。」(ガイドライン)とあり、財務諸表が事業年度終了報告の添付資料として提出されることから、業種追加の申請の審査に当たっては、「許可を受けて継続して営業した実績」は許可取得後の事業年度終了報告で確認を行う。
(審査要領 PDF p.28)
事業年度終了報告を出していること自体が、「継続して営業した実績」の証明になっている、という構造です。
7-3. 経管・技術者の経験年数の「終期」を決める
経験年数の延長についても、事業年度終了報告が基準になります。
・更新・追加・般特新規申請の場合、経験期間の始期は変更しないでください。また、終期を延長する場合は、直近の事業年度終了報告により建設業の実績を確認できる期間までとしてください。
(手引 PDF p.59)
手引 PDF p.57 の記入例の吹き出しには「(申請日時点まで延長する誤りが非常に多いので注意してください)」という注意まで添えられています。経験年数の終期は「申請日」ではなく「直近の事業年度終了報告で実績を確認できるところまで」です。
審査要領 PDF p.10 も「追加、般特新規及び更新申請において、既提出の事業年度終了報告から毎年工事実績が認められる場合は、申請者において経験年数を延長して申請を行っても差し支えない」としています。毎年きちんと出していれば、そのぶん経験年数を伸ばせるという関係です。
7-4. 「兼業の有無」の判定に使われる
許可申請書(様式第1号)の項番14「兼業の有無」も、事業年度終了報告を見て判断されます。
※更新、追加及び般特新規申請については、直近に提出した事業年度終了報告に添付されているもの、新規申請については申請書類に添付しているものを指します。
(手引 PDF p.35)
損益計算書の兼業事業売上高に記載があれば、必ず「1(有)」としなければなりません。去年の届出の中身が、来年の申請書の記載を決めるわけです。
7-5. 出していないと、更新も業種追加もできない
そして、§2-4 で触れた点に戻ります。手引は3か所で同じことを書いています。
- 手引 PDF p.22:期限内に出していなければ、許可の更新・追加申請等はできない(監督処分・罰則の対象にもなる)
- 手引 PDF p.153:「② 変更届の提出漏れがある場合/追加、般特新規、更新申請の受付はできません。」
- 手引 PDF p.155:「事業年度終了報告等の変更届が法定期限内に提出されていない場合、更新申請等の受付はできません。」
5年後の更新は、5年目に慌ててどうにかなるものではありません。 毎年の事業年度終了報告が揃っていることが受付の前提です。更新手続きそのものの流れ・必要書類・注意点は建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点に、更新に間に合わなかった場合に何が起きるのかは建設業許可が失効するとどうなる|更新を忘れたときの影響にまとめています。
8. 岡山県での手続き——提出先・部数・返却・閲覧
8-1. 提出先は本庁一元
建設業許可の申請書・変更届は、岡山県の場合すべて本庁で受け付けます。
(8)許可申請書提出先(郵送の場合についての送付先も同じです。)
岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)
〒700-8570 岡山市北区内山下2-4-6
直通電話 086-226-7463
窓口受付時間 9:00~11:30、13:00~16:30(閉庁日を除く。)
(手引 PDF p.16)
手引 PDF p.168 は「建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています」と明記しています。県民局に持ち込んでも受け付けてもらえません。 事業年度終了報告の提出方法・提出部数・提出場所は「許可申請の場合と同じ」(手引 PDF p.22)なので、この提出先がそのまま当てはまります。
窓口へのご持参のほか、郵送での提出も受け付けられています(手引 PDF p.16)。本記事は書面(窓口へのご持参・郵送)による提出を前提に整理しています。なお、手引 PDF p.20 には「9 電子申請」の節があり、許可申請や変更届出を電子申請で行うことができる旨と県ホームページへの案内が置かれていますが、具体的な手順は手引には記載されていません。
8-2. 事前審査は行われない
岡山県は事前審査を一切行いません(手引 PDF p.16)。「途中まで作ったので見てほしい」という持ち込みはできず、書類を完全に整えたうえで提出するのが前提です。窓口が閉まる時刻をもって、原則として審査の途中でもその日の審査は終了します。
手引は「記載事項に不備がなければ申請は受け付けられます」(手引 PDF p.16)という書き方をしています。裏を返せば、不備があればその場では受け付けられません。遠方から窓口へ持参する場合、これはそのまま往復の手間になります。郵送を使うか、書類の完成度を上げてから動く——現実的な選択肢はこのどちらかです。
8-3. 受領票は変更届では使えない
許可申請では「建設業法第3条の規定による許可申請(受領)」という受領票の様式があり、申請書受付時に県の受付印を押して切り取り線から下を返してもらえます。これは、許可が出るまで申請書の副本が返ってこないためです。
この受領票は、変更届では使用できません(手引 PDF p.29)。事業年度終了報告を出しても、「受け付けました」という証明書は別途発行されないということです。
8-4. 副本は受付後すぐに返ってくる(ことが多い)
その代わり、副本の返却は早い扱いになっています。手引 PDF p.26 の【申請書類等の返却】によれば、許可申請では6部すべてを県が預かり、許可が下りた時点で許可通知書と一緒に副本2部が戻ってきます。変更届では、営業所調査を要する変更事項が含まれていれば許可申請と同じく6部を預かって調査が終わってから副本2部を返し、営業所調査の要らない変更事項だけなら受付後すぐに副本2部を返す、という扱いです。許可申請から許可通知書と副本が戻ってくるまでの流れは建設業許可の申請を行政書士に依頼したら|依頼後の流れで扱っています。
営業所調査が不要な変更事項であれば、受付後すぐに副本2部が返ってきます。 これが手引の書いている範囲です(手引は「事業年度終了報告は営業所調査が不要」と明言しているわけではないので、本記事もこの記述の範囲に留めます)。
副本は事業年度終了報告の控えとして、次の申請のときに参照する重要な資料になります。手引は許可申請について「許可されると、許可通知書及び申請書副本を郵送します。再発行はできませんので、大切に保存してください」と念を押しています(手引 PDF p.19)。変更届の副本についてこれと同じ文言が置かれているわけではありませんが、手元に返ってきた控えが唯一の記録になるという点は変わりません。毎年ファイルに綴じて保管する運用を、社内かご依頼先のどちらかで決めておいてください。
8-5. 提出した書類は「一般の閲覧に供される」
§5-5 で個人名を書かない理由がここです。
受け付けた書類のうち、法令で閲覧対象となっているものは、受付後一定期間、県庁土木部監理課及び所轄県民局で一般の方に無料で閲覧に供することとなります。
閲覧用の申請書類等は、顧客・取引先・同業者・調査会社等、多数の目に留まることになりますので、その点をあらかじめ承知おきの上、作成してください。
(手引 PDF p.24)
工事経歴書は、閲覧用の3部に含まれます。 つまり、どの発注者からいくらの工事を受注したかが、取引先にも同業者にも調査会社にも見られる前提で作る書類だということです。だからこそ個人名は「個人1」と書くことになっていますし、逆に法人の発注者名はそのまま出ます。
これは不利益な話ばかりではありません。元請や発注者の側が、下請候補の実績や財務状況を閲覧で確認するという使われ方もします。§4-2 で引いた事業報告書の記入要領のページで、県が「この書類に限らず、建設業許可に関する申請書・変更届等は受付窓口等で一般に公開しますので、それを前提に、できるだけ詳細に記載されることをお勧めしています」(手引 PDF p.122)と書いているのは、この裏返しです。
8-6. 添付する証明書には有効期間がある
事業税納税証明書などの添付書類にも期限があります。添付する証明書類は、個別に期限の指定がないものであっても、受付日の時点で発行から3か月以内のものでなければならない、と手引は定めています(手引 PDF p.149・p.26 に同旨)。
発行日ではなく「受付日において3か月以内」です。書類作成に手間取って提出が遅れると、先に取った証明書が期限切れになり、取り直しになります。証明書の取得は書類全体の完成が見えてから——これが実費を二重に払わないための段取りです。取り直しで証明書の実費が二重にかかる話は建設業許可の更新費用|5年ごとの法定費用と報酬の目安で扱っています。
8-7. 誤りが見つかったとき
提出後に誤りが判明した場合の扱いも定められています。手引 PDF p.20 の節「申請及び届出内容に補正を要する場合の取扱い」によれば、提出済みの許可申請や変更届出に誤りがあって県から補正指示を受けたときも、自社で誤りに気づいたときも、とる手続きは「補正書による補正」です。ただし、その誤りが県ホームページで公開されている「補正不可一覧表」に載っている内容に当たるときは補正書では直せず、「取下げ願による取下げ」になります。どのような誤りが不受理や取下げにつながるのかは建設業許可が不許可・不受理になる主な理由にまとめています。
補正は、補正書と誤りの部分を補正した正しい書類を各3部提出します(審査要領 PDF p.31)。補正箇所が多岐にわたる場合等は、取下げのうえ再提出になります。「あとで直せばいい」で済まない誤りがあるということです。
9. 経審を受ける場合の位置づけと、毎年の体制づくり
9-1. 経審用の工事経歴書は「別物」
公共工事に進む会社が最も注意すべき点です。経営事項審査(経審)を受けるときに添付する工事経歴書は、事業年度終了報告用とは記載要領が違います。
※経営事項審査を受審する際に添付する工事経歴書とは記載要領が異なりますので、経営事項審査受審用の工事経歴書の作成に当たっては、必ず「経営事項審査申請の手引」を参照してください。
(手引 PDF p.51)
審査要領 PDF p.8 も同旨です。事業年度終了報告用の記載要領で経審用を作ってはいけません。
消費税の扱いも変わります。
ただし、経営事項審査用の工事経歴書や財務諸表は、消費税課税業者の場合は、必ず消費税及び地方消費税相当額を控除した「税抜」、免税業者等で税抜方式を採用しない場合は、「税込」で作成しなければなりません。
(手引 PDF p.50)
さらに、経審を受審する場合は「紛失等により契約書等との照合ができないものの実績を『その他』工事として計上しても構わない」といった扱いの違いもあります(手引 PDF p.51)。同じ決算期の数字でも、事業年度終了報告用と経審用で2種類の書類を作ることになる——これが公共工事に進んだ会社の毎年の実務です。
経審そのものの流れ・費用・スケジュールは経審申請を岡山で依頼するならにまとめています。許可を取ってから入札に参加するまでの道筋は、手引 PDF p.24 が「許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です」と整理しているとおりです。手続面は入札参加資格もご覧ください。
9-2. 毎年の作業を、どこまで社内で持つか
事業年度終了報告は、税理士の決算業務が終わってから、4か月の期限までの間に片付けるという時間の制約がある仕事です。3月決算であれば期限は7月末ですが、決算の確定が後ろにずれるほど、届出に使える時間はそのぶん短くなります。決算が固まるのを待ってから動き始めると、実質的に使える時間はごくわずかになりかねない——これがこの仕事の構造です。
社内で持つ場合の負荷は、おおむね次のように分かれます。
| 作業 | 負荷が上がる条件 |
|---|---|
| 工事経歴書(様式第2号) | 許可業種が多い/一式工事の許可がある/件数が多い/兼業事業がある |
| 直前3年の工事施工金額(様式第3号) | 業種が5つ以上(複数枚になる)/決算期を変更した(最低4期分) |
| 財務諸表(様式第15〜19号) | 税務申告の勘定科目と建設業法の分類が食い違う/完成工事原価報告書を作り慣れていない |
| 事業報告書 | 株式会社であること(会社法上の事業報告書がなければ新規作成) |
| 事業税納付済額証明書 | 県民局まで取りに行く手間(過去分は取得先が限られる) |
当事務所にご依頼いただく場合、事業年度終了報告は44,000円(税込目安)です。案件の内容により変動しますので、正確な金額は内容をお伺いしたうえで事前にお見積りします。報酬に含まれる業務範囲の考え方は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場をご覧ください。
9-3. 顧問契約という選択肢
毎年の届出に加えて、5年ごとの更新、都度の変更届、公共工事に進むなら経審と入札参加資格——期限のある手続きが複数走り始めた段階で、期限管理そのものを外に出す選択肢が出てきます。
当事務所では顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。ライト(月額5,500円)・スタンダード(月額11,000円)・フル(月額15,000円)の3段階で、フルには事業年度終了報告・経審(経営状況分析/経営規模等評価・総合評定値請求)・入札参加資格更新までが含まれます。
ここで切り分けを1つだけ明確にしておきます。「いつ何を出すのか」という期限管理のご案内は顧問契約の範囲ですが、申請・届出を代理で実行する部分は、プランに含まれない場合はスポットの報酬をいただく形になります。どのプランがどこまでを含むかは顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)に整理しています。
年額に均してどちらが有利かは、公共工事に進むかどうかと、毎年の維持業務がどれだけ発生するかで変わります。この換算は建設業許可の維持にかかる年間費用で扱っています。
9-4. 落とさないための最小限の仕組み
最後に、社内でやるにしてもご依頼いただくにしても共通して効く3点を挙げます。
- 決算日から逆算した2つの日付をカレンダーに入れる。 「決算日+2か月(着手日)」と「決算日+4か月(期限)」の2点です。着手日を先に入れておかないと、税理士の決算完了待ちのまま時間が溶けます。
- 副本を毎年同じ場所に綴じる。 手元に返ってきた控えが唯一の記録になります(§8-4)。次の年の工事経歴書は前年の副本を見ながら作ることになりますし、更新申請でも参照します。
- 工事経歴書の業種区分を、その年のうちに確定させる。 一度報告した業種は後から変えられません(§5-10)。将来どの業種を追加したいかを見据えて、その年の工事をどの業種で報告するかを決めてください。ここは判断が要る場面なので、迷ったらご相談ください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
事業年度終了報告について、押さえるべき点を整理します。
- 期限は決算日から4か月以内、毎年(手引 PDF p.22)。末日が閉庁日に当たった場合の扱いや、日数の数え方についての定めは手引・審査要領のいずれにもありません。期限ぎりぎりを狙わない運用にするのが唯一の答えです。
- 県に納める法定手数料は不要(手引 PDF p.14・p.22)。かかるのは書類作成の手間と、事業税納税証明書等の実費です。
- 提出物は中表紙の(1)〜(11)。ただし毎年必ず作るのは工事経歴書・直前3年の工事施工金額・使用人数・財務諸表・事業税納付済額証明書が中心で、健康保険等の加入状況・令3条使用人の一覧表・定款は変更があったときだけです。
- 「決算変更届=様式第22号の2」は岡山県では誤り。使うのは〔事業年度終了報告用〕の中表紙(岡山県独自様式・様式番号なし)で、様式第22号の2 は商号・所在地・資本金・役員等・常勤役員等・営業所技術者等の変更用です。
- 法人と個人で財務諸表の様式が違い、事業報告書は株式会社のみ、附属明細表は一定規模の株式会社のみです。税務署に出した決算書をそのまま添付することはできません(手引 PDF p.130)。
- 作業の山場は工事経歴書。実績ゼロの業種も作る/7割ルールと軽微な工事10件の上限/一式工事は小口にまとめられない/完成日は引渡しの日/個人名は「個人1」/兼業事業は載せない——このあたりが定番のつまずきどころです。
- 様式ごとに日付と基準日が違う(様式第4号=作成日・人数は決算日時点/様式第7号の3=届出日/様式第11号=作成日)。従業員数の数える範囲も様式で違うため、無理に数字を揃えないでください。
- そして最も重要なのが、この届出が後の申請の土台になるという点です。財産的基礎の判定(手引 PDF p.10・審査要領 PDF p.26)、業種追加の継続営業実績の確認(審査要領 PDF p.28)、経管・技術者の経験年数の終期(手引 PDF p.59)——すべて事業年度終了報告を見て判断されます。一度報告した工事の業種は、後から変更できません(手引 PDF p.153・p.81)。
毎年の1回を丁寧に積み上げておけば、5年後の更新も、業種追加も、経審も、その延長線上で進みます。逆に、この1回を雑に済ませると、5年後にまとめて跳ね返ってきます。毎年の届出は、5年後の申請の準備です。
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