

「行政書士に頼んだあと、自分たちは何をすればいいのか」——ご依頼を検討されている方から、金額や期間と同じくらい多くいただくご質問です。
結論から申し上げます。当事務所にご依頼いただいた場合、書類の作成から岡山県への提出(代理申請)、そして申請後の営業所調査への準備確認・同席までを当事務所が行います。 そのうえで、お客様側でどうしてもお願いすることになる作業は、大きく次の4つに集約されます。
- ご本人でなければ書けない・直せない欄への記載(岡山県の審査要領は、代理人でも訂正できない書類と欄を明示しています)
- ご本人名義でなければ取得できない書類の請求(身分証明書・残高証明書など)
- 営業所の「実物」を整えていただくこと(看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本)
- 手元にある原本を探して出していただくこと(契約書・注文書・決算書・社会保険関係書類など)
このうち、進行を最も左右するのが4番目です。書類は当事務所で作れますが、過去の契約書や決算書の原本は、お客様の会社の中にしか存在しません。
本記事では、無料相談から許可通知書が届くまでの流れを工程順にたどり、各工程で当事務所が行うこと/お客様にお願いすること/その作業がどのくらいの手間になるかを、岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)と「審査要領」(令和7年9月1日)の記載に沿って整理します。以下、出典は「手引 PDF p.○」「審査要領 PDF p.○」と表記します。
なお、報酬の額とその内訳は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場、法定手数料・実費を含む総額は建設業許可の費用はいくら?、取得までにかかる期間の内訳は建設業許可の取得期間はどれくらい?にそれぞれまとめています。本記事はこの3点には立ち入らず、「工程」と「役割分担」だけを扱います。
※ 本記事は岡山県知事許可・一般建設業の書面(窓口へのご持参・郵送)による申請を前提とした一般的な整理です。許可の可否や要件の充足は、事業者ごとの経歴・組織・書類の残り方という個別の実態によって判断が分かれます。記載の運用・期間・費用は時点により変動します。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。
1. 依頼のスタート地点|無料相談で分かること・分からないこと
1-1. 無料相談は「方向性の見立て」まで
当事務所の無料相談は、初回30〜60分程度を目安にお時間をいただき、現時点の情報で、どの方向に進むのが現実的かの見立てをお伝えするところまでを行います。
具体的には、次のようなことをその場で整理します。
- 御社の工事が、そもそも許可の必要な規模に達しているか(金額の線引きの確認)
- 経営業務の管理責任者(経管)の候補が誰になりそうか、その方の経歴で年数が届きそうか
- 営業所技術者(旧:専任技術者)を資格で立てられるか、実務経験で立てることになりそうか
- 財産的基礎をどう示すか(直近の決算書で足りるのか、残高証明書が要りそうか)
- 現在の事務所が、営業所として認められる形になっているか
- どのくらいの時間軸で動くことになりそうか
一方で、次のことは無料相談の範囲では確定しません。
- 資料を1点ずつ精査したうえでの要件設計(誰にどの要件を担わせるか、どの期間をどう証明するか)
- 必要書類を洗い出したうえでの工程表(いつ何を取得し、いつ提出するか)
- 実務経験の年数が本当に通算できるかの裏付け確認
これらは、契約後(受任後)に、実際の資料を拝見してから行います。理由は単純で、要件の充足は「記憶」ではなく「残っている書類」で決まるからです。「10年やってきた」というお話と、「10年分の契約書原本が残っている」ことは別の事実であり、後者を確認しない限り工程表は書けません。
無料相談を有効に使うために:相談の場に、①現在の登記の状態が分かるもの(法人の場合)、②直近の決算書、③技術者候補の資格者証、④営業所の賃貸借契約書、⑤過去の工事の契約書・注文書が「どのくらい残っているか」の感触——このあたりを持ち込んでいただけると、見立ての精度が上がります。すべて揃っていなくても構いません。「何が無いか」が分かること自体が、方向性を決める材料になります。
1-2. なぜ「相談しながら窓口で整える」ことができないのか
ここは岡山県の運用として、はっきり押さえておく必要があります。手引は、許可申請書の提出について次のように明記しています。
事前審査は一切行いません。 正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。(手引 PDF p.16)
つまり、「とりあえず持って行って、足りないところを教えてもらう」という進め方が、制度上そもそも用意されていません。 岡山県に提出するのは、閲覧用3部(正1、副2)+非閲覧用3部(正1、副2)=計6部という完成品です(手引 PDF p.15)。
さらに、申請書・変更届の提出先は岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)に一元化されています。手引は「建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています」と明記しており(手引 PDF p.168)、県民局は申請の窓口ではありません(県民局が担当するのは、後述の営業所調査です)。窓口受付時間は9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)で、時間的な余裕がある申請等については郵送での提出も受け付けられています(手引 PDF p.16)。
「完成品を一度で持ち込む」ことが前提の窓口である以上、設計を先に固め、書類を完成させてから動くという順序にならざるを得ません。これが、受任後にまず要件設計と工程表を作る理由です。
1-3. 依頼先の確認——手引が「先に確認しなさい」と書いていること
金額の比較より前に手引が求めている確認事項があります。
官公署に提出する書類の作成代行を業務として行うことは、行政書士にのみ認められています(別途法律で定めのある場合を除きます。)。公認会計士・税理士等の資格を有する者でも、別途行政書士会への登録を経なければ行政書士として活動することは禁じられています。第三者に申請作業を委託する場合には相手方が行政書士として登録されている者であることを確認してからにしましょう。(手引 PDF p.19)
確認の手がかりは、申請書そのものにもあります。手引は、様式第1号(許可申請書)の記入要領で「【行政書士が書類作成を代行した場合】本様式下部に氏名及び登録番号(行政書士証票の番号)を記載の上、必要に応じて押印してください」と定めています(手引 PDF p.35)。また審査要領は、表紙について「行政書士が書類作成を代行した場合、表紙の作成者氏名欄に行政書士氏名(事務所名がある場合は併記)を記載の上、必要に応じて行政書士職印を押印すること」としています(審査要領 PDF p.3)。
つまり、御社の申請書には、作成を担当した行政書士の氏名と登録番号が記載されます。 誰の名前で出る申請なのかは、依頼前に確認してよい事項です。当事務所の行政書士登録番号は第20300974号で、書類作成を代行する場合はこの欄に事務所名・氏名・登録番号を記載します。
2. 「書類作成の代行」と「代理申請」は別物です
2-1. 手引は委託を2段階で説明している
依頼後の流れを理解するうえで、最初に押さえておくべき区別がこれです。手引は次のように書いています。
行政書士には申請書類の作成を委託するほか、申請手続きそのものを委託し、行政書士の責任において代理申請をすることもできます。この場合は委任を行う申請者による委任状が必要なほか、いくつかの条件があります。(手引 PDF p.19)
①書類作成の代行と②代理申請は別物であり、②には委任状が必要です。同じ「依頼」という言葉でも、どちらまでを引き受けるかで、お客様が動く量がまったく変わります。
当事務所は、書類作成の代行にとどまらず、委任状に基づく行政書士の責任における代理申請までお引き受けします。 岡山県土木部監理課建設業班への提出は当事務所が行いますので、ご依頼者ご自身が県庁の窓口へ出向いていただく必要はありません。
2-2. 代理申請にすると、県からの書類の宛先が変わる
これは事務上の実利に直結します。手引は次のように定めています。
なお、この代理申請を正式に行われた場合には、当課から申請書類等を送付する際に代理人宛てに発送することができますが、そうでない場合は代理人宛てに送付することはできません。代理人への返送を希望される場合は、郵便事故を防ぐため、返送用の書類に「代理人返送分」と書いた付箋を貼るとともに、返送先を記載して切手を貼付した封筒等を併せて提出してください。なお、簡易書留など、追跡できる郵送方法(レターパック等)に限ります。普通郵便分の切手のみを封筒に貼付してある場合には、代理人宛に返送できません。(手引 PDF p.19)
「書類作成だけを頼んだ」形にすると、県からの連絡や書類はお客様のもとに届きます。受け取ったお客様が、その内容を行政書士に転送するというワンクッションが常に挟まるということです。補正の指示が来たときに、この一手間が効いてきます。
2-3. 委任状はどう扱われるか
審査要領は、代理申請の場合の委任状の綴じ方まで指定しています。
代理申請を行う場合は、委任状の原本を非閲覧用の正本に添付し、写しを副本に添付する。(審査要領 PDF p.3)
つまり委任状は、閲覧に供される側ではなく非閲覧用に綴じられます。申請書類のうち法令で閲覧対象となっているものは、受付後一定期間、県庁土木部監理課および所轄県民局で一般の方に無料で閲覧に供され、手引は「閲覧用の申請書類等は、顧客・取引先・同業者・調査会社等、多数の目に留まることになりますので、その点をあらかじめ承知おきの上、作成してください」と注意を促しています(手引 PDF p.24)。どの書類が閲覧側に入るのかは、依頼者にとって無関心ではいられない論点です。
お客様にお願いする作業(この段階):委任状へのご記名。なお、令和3年1月から、従来押印が必要であった様式については押印が不要となっています(手引 PDF p.15)。書式は当事務所でご用意し、記載内容をご説明したうえでお渡しします。所要は、内容のご確認を含めて数分程度が目安です。
2-4. 「代理申請まで」に含めているもの
当事務所では、次の範囲を申請の報酬に含めてお引き受けしています。
| 範囲 | 具体的な中身 |
|---|---|
| 要件設計 | 誰に経管・営業所技術者を担わせるか、どの期間をどう証明するかの組み立て |
| 書類の作成 | 申請書一式(閲覧用3部・非閲覧用3部)の作成・製本 |
| 証明書類の段取り | 何を・何通・どこで取得するかの整理と、取得の代行(ご本人名義に限られるものは §5-2 のとおり) |
| 法定手数料の納付 | POS納付連絡票による納付の代行(§7-1) |
| 代理申請 | 委任状に基づく、行政書士の責任における提出 |
| 補正への対応 | 県からの連絡の受領と、補正書による補正の対応 |
| 営業所調査 | 事前の準備確認(何を揃えるべきかの確認)と、当日の同席 |
このうち営業所調査の準備確認と当日の同席は、事務所によっては別料金・オプションになりやすい項目です。当事務所では申請の報酬に含めています。 報酬の額そのもの、および「一般に別料金になりやすい業務は何か」という見積書の読み方は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場にまとめています。
3. 受任後の全工程|どの段階で、誰が何をするか
ここからが本記事の中心です。受任後の流れを9つの工程に分け、当事務所が行うこと/お客様にお願いすること/お客様側の作業の重さを並べます。
3-1. 工程一覧
| # | 工程 | 当事務所 | お客様にお願いすること | お客様側の作業の重さ |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ヒアリング・資料の棚卸し | 質問シートの提示、現物の確認 | 手元の書類を「あるもの/無いもの」に仕分けていただく | 重い(探す時間が読めない) |
| 2 | 要件設計・工程表の作成 | 要件の組み立て、取得すべき書類の確定 | 方針のご確認・ご決定 | 軽い(打ち合わせ1回程度) |
| 3 | 証明書類の取得 | 取得の代行、取得先・請求方法のご案内 | ご本人名義でしか取れないものの請求(§5) | 中〜重い(本籍地が遠方だと郵送往復) |
| 4 | 申請書類の作成 | 様式一式の作成、6部の製本 | ご本人でなければ書けない欄への記載(§4) | 中(1回にまとめれば短時間) |
| 5 | 法定手数料の納付 | POS納付連絡票による納付の代行 | 手数料相当額のご準備 | 軽い |
| 6 | 代理申請(提出) | 県庁窓口への持参または郵送 | なし | なし |
| 7 | 受付後の補正対応 | 県との連絡、補正書の作成・提出 | ご本人でなければ直せない欄の訂正(§4-3) | 軽い〜中(発生した場合のみ) |
| 8 | 営業所調査 | 事前の準備確認、当日の同席 | 営業所の実物と原本のご準備・当日のご対応(§6) | 重い(実物が要る) |
| 9 | 許可通知書・副本の受領 | 受領と内容確認、控えの保管 | 原本の保管(再発行されません) | 軽い |
この表で読み取っていただきたいのは、「お客様の負担が重いのは1・3・8の3か所に集中している」という点です。 逆にいえば、この3か所さえ段取りできれば、依頼後の進行はほぼ止まりません。 以下、§4〜§6でこの3か所を分解します。
3-2. 工程1(資料の棚卸し)が最も重い理由
受任直後にお願いする「資料の棚卸し」が、実務上いちばん時間を食います。理由は3つあります。
理由①:探す対象が「過去」にあるから。 経管の経験を証明するには、経営を管理した5年以上の期間すべてについて、商業登記事項証明書・社会保険関係書類(加入履歴等)、個人事業主なら確定申告書の控え、そして請負工事実績として工事請負契約書(原本)又は注文書(原本)及び請書(写し)等が確認されます(手引 PDF p.17)。5年前・10年前の書類がどこにあるかは、社内で探してみるまで分かりません。
理由②:「無いこと」が判明するのに時間がかかるから。 「たぶんあるはず」で止まっている書類が、実は無い——これが分かるのが遅れると、その分だけ設計のやり直しが後ろにずれます。棚卸しは「見つける作業」であると同時に「無いと確定させる作業」です。
理由③:代替手段の検討にさらに時間が要るから。 原本が出てこない場合、証明の立て方そのものを組み替える必要が生じます。実務経験の証明書類が揃わないときの代替の考え方は実務経験の証明書類が揃わないとき|廃業・紛失時の代替立証に整理しています。
進め方のご提案:受任後の最初の1週間は、書類作成ではなく「棚卸し」に充てることをおすすめしています。当事務所からは、何を探せばよいかを一覧にしてお渡しします。会社の中で書類の在処を知っているのは、多くの場合ごく限られた方です。その方の時間を、最初にまとめて確保していただくのが、結果的にいちばん速く進みます。
3-3. 「工程表」を作る意味——期限が2系統から迫るケース
新規取得の場合、動く時間軸は基本的に1本です。しかし、次のようなケースでは期限が2系統から迫ります。
- 元請から期限を切られている(取引開始日・現場の着手日が決まっている)
- すでに許可をお持ちで、更新の期限が近い(更新は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませる必要があります/手引 PDF p.13。手続の詳細は建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点へ)
- 決算期をまたぐ(新規許可申請後に新たな決算を迎えた場合、許可取得後にその決算期に係る事業年度終了報告の提出が必要になります/審査要領 PDF p.32)
工程表は、この「一番きつい期限」から逆算して作ります。 そして、逆算して間に合わないと分かった場合には、その事実を早い段階でお伝えします。間に合わない可能性を伏せたまま着手しないというのが、当事務所の方針です。取得までにかかる時間の内訳と、期間が延びる原因は建設業許可の取得期間はどれくらい?で扱っています。
4. お願いする作業①|ご本人でなければ訂正できない欄がある
4-1. 岡山県は「代理人が直せない箇所」を明文で列挙している
ここは、他ではあまり書かれていない、しかし実務上きわめて重要な岡山県固有の運用です。審査要領は、代理申請の説明に続けて次のように定めています。
なお、許可申請書等の修正について委任を受け、その旨の委任状の提出のあった代理人については、代理人による書類の訂正を認めるが、次の内容については、本人以外による訂正は認めない。
ア 様式第6号 誓約書のうち、誓約日及び署名
イ 様式第7号別紙(常勤役員等の略歴書)、様式第7号の2別紙一及び別紙二(常勤役員等及び当該常勤役員を直接補佐する者の略歴書)のうち、現住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名
ウ 様式第12号 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書のうち、住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名
エ 様式第13号 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書のうち、住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名
オ 業務改善報告書のうち、日付の誤記以外の修正
(審査要領 PDF p.3)
つまり、委任状で修正の権限まで委任していても、上記の欄だけは代理人が触れません。 誓約や賞罰の申告といった、本人の意思表示そのものにあたる部分だからです。
4-2. これが依頼後の進行に与える影響
この規定には、2つの実務的な帰結があります。
帰結①:署名等が必要な方の人数だけ、手を借りる場面が増える。 様式第12号(許可申請者の住所、生年月日等に関する調書)は役員等について作成する書類です。役員が複数いる会社では、その人数分の記載が必要になります。役員の方に「集まっていただく機会」を1回作れるかどうかが、この工程の速さを決めます。
帰結②:受付後に補正が生じたとき、訂正が本人待ちになる。 これが本当に効いてくる場面です。上記アからエの欄に誤りが見つかった場合、当事務所が代わりに直すことができません。 ご本人にご対応いただく必要があり、その方が現場に出ている、出張中である、といった事情がそのまま補正の遅れになります。
だからこそ、当事務所では、この4様式については記載内容を作成の段階で入念に確認します。 「後で直せばよい」が効かない書類だからです。
4-3. 訂正の方法にもルールがある
訂正が生じたときの方法も決まっています。
- 記入ミスを訂正する場合は、訂正箇所に二重線を引いて訂正する。ホワイト(修正液・修正テープ等)は使用できません(手引 PDF p.15)
- ただし表紙に限り、修正液・修正テープ等で修正しても差し支えない(手引 PDF p.28、審査要領 PDF p.3)
- 申請書はペン又はボールペンで作成する(鉛筆及び消せるボールペンは不可)。提出部数分すべて同じものを作成し、コピー等を利用しても構わない(手引 PDF p.15)
- 写しを添付する場合は明瞭にコピーする。写しをさらにコピーしたもの等、文字が不鮮明な場合は不可(手引 PDF p.26)
「消せるボールペンは不可」「修正液は表紙だけ」というのは、細かい話に見えて、署名をいただく場面では毎回関係してくるルールです。署名をお願いするときには、当事務所から筆記具の指定を含めてご案内します。
お客様にお願いする作業(この段階):誓約書・略歴書・調書への署名等のご記載。1回にまとめれば、お一人あたり数分から十数分程度が目安の作業です。ただし対象者全員分が必要になるため、人数の多い会社では「日程を合わせること」自体が作業になります。 受任後の早い段階で、対象となる方をお知らせします。
5. お願いする作業②|ご本人名義でしか取れない書類と、その所要
5-1. 取得先が分散している
建設業許可の申請では、複数の役所から証明書を集めます。しかも取得先がばらばらです。
| 証明書 | 取得先 | 出典 |
|---|---|---|
| 商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書) | 法務局(登記官が認証したものに限る) | 手引 PDF p.150 |
| 登記されていないことの証明書 | 岡山地方法務局(郵送なら東京法務局) | 手引 PDF p.150 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 | 手引 PDF p.150 |
| 納税証明書(法人事業税・個人事業税) | 各県民局税務部、各地域事務所 | 手引 PDF p.149 |
| 残高証明書 | 取引金融機関 | 手引 PDF p.149-150 |
| 卒業証明書(卒業証書は不可) | 卒業した学校 | 手引 PDF p.149・p.169 |
※ 卒業証明書は、営業所技術者を学校卒業+実務経験で立てる場合に添付するものです。提出書類一覧表には「営業所技術者等の卒業証明書(卒業証書は不可)」と明記されています(手引 PDF p.169)。手元にある卒業証書をコピーしても使えません。
「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」の2点は、次の方について両方の提出が必要とされています(手引 PDF p.150-151)。
- 個人事業主(代表者)
- 法人の役員
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である役員の法定代理人
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人、支店又は営業所の代表者)
ただし、顧問・相談役、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主、出資総額の100分の5以上を出資している出資者、その他の役員と同等以上の支配力を有する方については不要です。また、取締役から代表取締役(建設業の代表者)に就任した場合などは、既に取締役就任時や許可申請時に確認済のため不要とされています(手引 PDF p.150)。
なお、外国籍の方については身分証明書の提出は不要ですが、生年月日および外国籍が分かる住民票等の写し(3か月以内に発行されたもの・国籍が記載されたものに限る)を提示することとされています(同)。
小さいながら実務で効く注意点として、「登記されていないことの証明書」を取得する際、本籍地欄への記載は不要とされています(手引 PDF p.150)。
5-2. 当事務所が取得を代行するもの/お客様名義でお願いするもの
証明書の取得は、原則として当事務所が代行します。 ただし、名義や請求権者の関係で、お客様ご本人にお願いすることになるものがあります。
| 区分 | 具体例 | 進め方 |
|---|---|---|
| 当事務所が取得を代行 | 商業登記事項証明書、登記されていないことの証明書 ほか | 当事務所で請求し、実費は事務所が立て替え、後日ご精算いただきます |
| 委任状に基づく受領のお手伝い+ご案内 | 県税の納税証明書 | 取得先・請求方法をご案内し、交付請求そのものはお客様名義で行っていただきます |
| ご本人・御社にお願い | 身分証明書(本籍地の市区町村役場)、残高証明書(取引金融機関) | 請求方法・記載内容・タイミングを当事務所からご指定します |
証明書の取得にかかる実費は、当事務所がいったん立て替え、後日ご精算いただく運用です。法定手数料は依頼者のご負担ですが、納付の手続そのものは当事務所が代行します(§7-1)。
なお、証明書1通あたりの交付手数料は、交付する窓口(法務局・市区町村役場・県民局など)がそれぞれ定めており、岡山県の手引・審査要領には定めがありません。 正確な単価は各交付窓口の最新の料金でご確認ください。実費がどのような構造で増減するかは建設業許可の費用はいくら?にまとめています。
5-3. 所要が読みにくいのは「身分証明書」と「残高証明書」
身分証明書は本籍地でしか取得できません。 役員の本籍が県外・遠方にある場合、その方の身分証明書は本籍地の役場から取り寄せることになり、往復の郵送日数と手配の手間が発生します。 役員のうちお一人でも本籍地が遠方なら、書類収集の期間はその方に律速されます。
そのため当事務所では、受任後の最初のヒアリングで「役員の方の本籍地がどこか」を必ず伺います。 ここは金額よりも工程に効く質問です。
残高証明書は、要求される「時点」が独特です。 手引は次のように定めています。
【有効期間】残高証明書は、受付日から1か月以内の時点の残高が500万円以上であることを証明したものでなければなりません。また、2以上の金融機関の残高証明書の合計が500万円以上となる場合は、証明日を必ず同日付としてください(発行日ではありません。)。1か月を経過した場合及び2以上の金融機関の証明日が異なる場合は、再取得する必要が生じますので注意してください。(手引 PDF p.150)
「発行から1か月以内」ではなく「1か月以内の時点の残高」である点が、間違えられやすいところです。審査要領も「証明書の発行日が1か月以内という意味ではないので注意すること」とわざわざ注記しています(審査要領 PDF p.28)。複数の金融機関を合算する場合に証明日を同日付に揃える必要がある点も、金融機関へ依頼するときの伝え方に直結します。残高証明書の準備の実務は建設業許可の残高証明書はいつ・いくら必要?にまとめています。
なお、残高証明書がそもそも不要になる場合もあります。直近の財務諸表により500万円以上の自己資本を有することが確認できる場合、また更新・追加・般特新規申請で許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有する場合は、改めての添付が不要とされています(手引 PDF p.149)。財産的基礎の考え方そのものは建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備をご覧ください。
5-4. 「早く取る」が正解にならない理由
証明書には有効期限があります。
- 各種証明書(特に指定がない場合):受付日において発行から3か月以内のもの(手引 PDF p.149・p.26)
- 残高証明書:受付日から1か月以内の時点の残高を証明したもの(同)
起算点が「提出日」でも「作成日」でもなく受付日である点に注意が必要です。書類に不備があって受付が後ろにずれれば、その分だけ期限に食い込みます。
したがって、証明書の取得は「早ければ早いほどよい」わけではありません。 書類全体の完成が見えていない段階で先に取ると、期限切れで取り直しになり、実費を二重に払うことになります。当事務所では、書類の完成見込みから逆算して取得のタイミングを指定します。 ご自身で先に取得されている証明書がある場合は、取得日を必ずお知らせください。 使えるかどうかの判断が変わります。
また、納税証明書には年数による取得先の違いがあります。手引は「岡山県知事許可の場合、法人事業税又は個人事業税の納税証明書が必要です。過去3年分は、各県民局税務部又は各地域事務所で取得可能ですが、それ以前のものについては、各県民局税務部でしか取得することができず、請求方法や手数料も異なりますので、あらかじめ、各県民局税務部へ確認の上、請求してください」としています(手引 PDF p.149)。あわせて、課税額および納付済額が明記されている必要があり(「***」のみの表示は不可)、最初の決算を終了していない新設法人でも省略はできず、「決算未到来につき課税なし」等と記載した証明書(個人事業主で課税がない場合は「課税なし」等と記載したもの)を添付することとされています(同)。設立直後の会社での取得については設立したばかりの会社で建設業許可は取れる?もあわせてご覧ください。
6. お願いする作業③|営業所の「実物」と、原本の取り出し
6-1. 申請の半月後に「第2ラウンド」が来る
申請書を提出したら終わり、ではありません。岡山県では、申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡があります(手引 PDF p.17)。
ここで押さえておきたいのは、申請の受付は本庁(土木部監理課建設業班)、営業所調査は所轄の県民局という役割分担です(手引 PDF p.168)。「県民局から連絡が来た」ことに驚かれる方がいらっしゃいますが、これは正規の流れです。
そして手引は、調査の場では許可要件の確認に必要な書類の提出等を求めるので担当者の指示に従うこと、そして確認できるものが一つでも欠けていれば、許可は受けられないことを明記しています(手引 PDF p.17)。
この注記が、営業所調査を「形式的な確認」ではなく「実質的な関門」にしています。
6-2. 営業所の「実物」——書類では代えられないもの
新規申請の場合、営業所の所在確認のために必要なものとして手引が挙げているのは次のとおりです(手引 PDF p.17)。
- 看板(容易に確認できるもの)
- 机
- 電話及びファクシミリ
- 営業所の賃貸借契約書(原本) 等
あわせて、次の2点が明記されています。
- 営業所は居住部分と共用することはできません。
- 賃貸借契約を締結している場合には、契約書上で営業活動に利用することが認められていることが必要です(営業所変更の場合も確認は必要となります)。
ここは、当事務所が代わりに用意できない領域です。 看板を掲げる、机と電話・ファクシミリを置く、住居部分と区画する——いずれも御社で物理的に整えていただく必要があります。だからこそ、当事務所では受任後の早い段階で営業所の状況を確認し、足りないものをお伝えします。 調査の連絡が来てから慌てて用意する形にならないようにするためです。
賃貸借契約書は、「原本があるか」に加えて「使用目的の記載がどうなっているか」まで確認が必要です。居住用として契約されたままの物件を事務所として使っている場合は、契約の内容から検討し直す必要が出てきます。自宅を営業所とする場合の考え方は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?にまとめています。
6-3. 原本の提示——「どこにあるか」を先に把握する
営業所調査では、書類の原本の確認が中心になります。手引が挙げている確認書類を、お客様側の作業として整理すると次のようになります(手引 PDF p.17-19)。
| 確認事項 | 準備いただくもの(主なもの) | 出典 |
|---|---|---|
| 経管の過去の経営を管理した経験 | 法人の役員等なら商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)、社会保険関係書類(加入履歴等)、出勤簿、賃金台帳等/個人事業主なら確定申告書の控え(税務署収受印のあるもの、又は申告書等情報取得サービスで取得した税務署提出日が分かる控え)、所得証明等 | 手引 PDF p.17 |
| 経管の請負工事実績 | 工事請負契約書(原本)又は注文書(原本)及び請書(写し)、又は建設業の許可通知書等(事案により工事台帳等でも確認) | 手引 PDF p.17 |
| 営業所技術者の資格 | 免状、合格証明書等(いずれも原本) | 手引 PDF p.17 |
| 営業所技術者の実務経験 | 様式第9号(実務経験証明書)に記入された工事の請負契約書(原本)又は注文書(原本)及び請書(写し)等(事案により工事台帳、賃金台帳等でも確認) | 手引 PDF p.18 |
| 経管・営業所技術者の現在の常勤性 | 法人なら社会保険(有効期限内の健康保険証、被保険者標準報酬決定通知書又は被保険者資格取得確認通知書の原本)、賃金台帳、出勤簿等/個人なら雇用保険(被保険者資格取得等確認通知書又は雇用保険被保険者証の原本)等 | 手引 PDF p.18 |
| 財務内容 | 確定申告書の控え(税務署での収受印のある原本、又は申告書等情報取得サービスで取得した税務署提出日が分かる控え)、決算書原本等 | 手引 PDF p.18 |
| その他 | その他確認すべき事項のために必要と認めた書類(個別に指示します。) | 手引 PDF p.19 |
最後の行が曲者です。 「個別に指示します」とある以上、事前に想定しきれない追加の求めが生じ得るということです。ここに備えるには、関連しそうな原本の所在を、あらかじめ社内で把握しておくしかありません。
なお、常勤性の確認資料については、申請時にもつづらず1部だけ提示する扱いになっています(手引 PDF p.151)。提出書類一覧表でも「③の確認資料 つづらず1部だけ提示してください(確認のみで提出不要)」と整理されており(手引 PDF p.169)、提示だけで返却されるものと提出して手元を離れるものが分かれています。原本を預けっぱなしにするわけではない、という点は安心材料としてお伝えしておきます。
6-4. 当日は当事務所が同席します
営業所調査の当日は、当事務所が同席します。 準備確認と同席は、申請の報酬に含めてお引き受けしている範囲です(§2-4)。
同席する意味は、その場で書類の所在を説明できることにあります。調査は「許可要件が実在するかの確認」であり、申請書のどの記載がどの原本に対応しているかを説明できる人がいるかどうかで、進み方が変わります。書類を作った側が同席していれば、その説明はその場で完結します。
お客様にお願いする作業(この段階):①営業所の実物(看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本)を整えておくこと、②上表の原本を当日すぐ出せる状態にしておくこと、③当日、事情を説明できる方に立ち会っていただくこと。所要は調査当日の対応時間に加えて、事前の準備に相応の時間をみておいてください。とくに「原本を探す」時間は読みにくいため、調査の連絡を待たずに着手することをおすすめします。
6-5. 「調査が早く終わったから、もうすぐ許可」ではない
依頼後の心理として最も誤解されやすい点なので、明記しておきます。手引は次のように書いています。
営業所調査が終わったからといって本庁における調査が終わっているとは限りませんので、仮に営業所調査が申請受付後から間もなく実施されたとしても、許可が早く取得できるということはありません。(手引 PDF p.16)
営業所調査(県民局)と本庁の調査は、別々に進みます。 調査が済んだ時点で「あとは通知を待つだけ」と受け取ると、そこからの体感が長くなります。期間そのものの内訳は建設業許可の取得期間はどれくらい?をご覧ください。
7. お金の流れ|法定手数料の納付代行と、実費の立替・精算
7-1. 法定手数料は「提出前」に動く
依頼後のスケジュールで見落とされやすいのが、法定手数料を納めるタイミングです。岡山県の納付方式は次のとおりです。
【手数料の支払方法】許可申請手数料は岡山県手数料等(POS)納付連絡票をホームページから印刷し、収納専用窓口に持参して支払います。 支払い後、納付済証を受け取り、許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に納付済証を貼り付けた上で提出してください。(手引 PDF p.14)
そして、提出時には「日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください」とされています(手引 PDF p.16)。
つまり、法定手数料の納付は「提出の前」に完了していなければなりません。 書類が完成してから提出するまでの間に、必ずこの支払いが挟まる構造です。納付の手順そのものと、費用が出ていく時期の全体像は建設業許可の費用はいくら?に整理していますので、本記事ではこの納付を誰が動くのかだけを扱います。
この納付手続は、当事務所が代行します。 法定手数料は依頼者のご負担ですが、POS納付連絡票の印刷から収納専用窓口での支払い、納付済証の受領と別紙三への貼付までを当事務所で行います。 お客様が県庁へ足を運ぶ必要はありません。
なお、別紙三(手数料貼付用紙)には取扱いのルールがあり、納付済証はすべてこの様式に貼り付けること、他の様式の裏面とせず必ず別葉とすること、副本に添付する必要はないことが定められています(手引 PDF p.42)。
法定手数料の額(新規と更新・追加で異なること、業種数と無関係であること、同時申請では合算されること)は建設業許可の費用はいくら?に、更新の場合の費用設計は建設業許可の更新費用|5年ごとの法定費用と報酬の目安に整理しています。
7-2. 実費は立て替え、後日ご精算
証明書の取得実費は、当事務所がいったん立て替え、後日ご精算いただく形をとっています。ご依頼者に、証明書ごとに窓口へ出向いて支払っていただくことはありません(ご本人名義での請求が必要なものは §5-2 のとおりです)。
お金の性質を整理すると、次の3つに分かれます。
| 性質 | 中身 | 支払先 | 当事務所の関与 |
|---|---|---|---|
| 法定手数料 | 岡山県に納める許可申請手数料 | 岡山県 | 納付を代行(ご負担は依頼者) |
| 実費 | 証明書の交付手数料、郵送費 等 | 法務局・市区町村役場・県民局・金融機関・郵便局 など | 立替 → 後日ご精算 |
| 行政書士報酬 | 要件設計・書類作成・代理申請・調査同席などの作業対価 | 当事務所 | — |
変更届の提出には法定手数料が不要である点も、あわせて押さえておくと後の見通しが立ちます(手引 PDF p.14・p.22)。取得後に発生する届出の全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)にまとめています。
7-3. 金額の確定について
報酬の額は、案件の内容(実務経験による証明の要否、役員の人数、営業所の数、書類の揃い方、証明者の状況など)によって変わります。内容をお伺いしたうえで、事前にお見積りします。 料金の考え方と当事務所の実額は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場をご覧ください。
金額に関する具体的な支払条件は、案件の内容によって異なるため、個別のお見積り・ご契約の際にご説明します。
8. 提出してから許可通知が届くまで|依頼者側で起きること
8-1. 「提出」と「受付」は別
工程6(提出)を終えても、その日のうちに手続が完了するとは限りません。手引によれば、提出された許可申請書はまず窓口で書面審査にかけられ、記載事項に不備がなければそこで受付となります。ただし窓口の書面審査は限られた時間の中で行われるため、受付が済んだ後になって、書類の訂正などを追加で求める連絡が入ることがあると明記されています(手引 PDF p.16)。
加えて、窓口の時間にも定めがあります。11時30分〜13時00分の昼の時間帯と、16時30分以降は翌開庁日の9時00分まで、窓口が閉まるとともに審査も休止されます。新規・更新・追加・般特新規の各申請については、いつも以上に十分な時間的余裕をもって来庁するよう求められており、原則として審査の途中であっても、窓口が閉まる時刻になった時点で審査は打ち切りとなります(手引 PDF p.16)。
書面審査に時間がかかれば、その日のうちに受付まで至らないことがあるという構造です。当事務所が窓口へ持参する際に時間的な余裕をみているのは、この規定があるためです。
8-2. 審査中、申請書の控えは手元に残らない
これは依頼者側で戸惑いやすい点です。手引は次のように定めています。
【申請書類等の返却】許可申請の場合は、6部とも預かり、許可になったら許可通知書とともに副本2部を返却します。(手引 PDF p.26)
つまり、審査中は申請書の控えが手元にありません。 提出したことを示す書類が要る場合のために、受領票という様式が用意されています。手引によれば、受領票は新規・更新・追加・般特新規の許可申請をしたときに、その申請が受付済みで審査中であることを県が証明する書類です。発行してほしい場合は、指定の様式に必要事項を書き込み、窓口へ持参するか送付します(郵送なら返送用封筒を同封)。県は申請書の受付後にこれへ押印し、破線より下の部分を返してくれます。受領票は申請書にはつづり込まず1枚だけを別に出す扱いで、出せるのは申請当日に限られ、郵送申請なら申請書に同封されていることが条件です(手引 PDF p.15)。受領票そのものの説明は建設業許可を取るタイミング|取得を判断する目安に詳しくまとめています。
受領票は希望者のみ・提出は当日限りという扱いです。様式には「持参者」の欄があり、代理人が持参する場合はその情報を記載します(手引 PDF p.29)。様式そのものにも、「申請(新規、更新、追加、般特新規)の場合、許可が出るまで、申請者控用の申請書副本はお返しできません」「そのため、県が申請書を受け付けたことを証明する書類として、申請書受付時に本様式へ県の受付印を押印し、切取線から下をお返しするものです」と説明が印刷されています(手引 PDF p.29)。
元請に「申請済みであること」を示す必要がある場合には、この受領票が使えます。手引が「提出は当日限りです」としている以上、申請書の提出と同時に出しておく必要がある書類ということになります(手引 PDF p.15)。必要になりそうな場合は、提出前にお知らせください。
8-3. 審査中に会社側で変化が起きたら、すぐ連絡が要る
これは依頼者側の協力が不可欠な場面です。受領票の様式には「申請の受付後、許可までの間に役員等の変更があった場合は速やかに監理課まで連絡してください」と明記されています(手引 PDF p.29)。
その理由は審査要領に書かれています。受付日から許可が下りるまでの間に、役員等や所在地の変更をはじめ申請内容に変わった点が生じたときは、速やかに県の担当者へ連絡したうえで変更届を出さなければなりません。そして変更届の審査が終わるまでは、本体である許可申請の審査は止められ(保留)、変更届の審査が済んだ後に、県の担当者がその変更を許可申請の側へ職権で反映(職権訂正)してから、ようやく許可申請の審査が再開されます(審査要領 PDF p.31-32)。
審査が「保留」になる、と明文で書かれています。ただし、「県民局等の調査の結果、役員が欠格要件に該当するなど、許可要件を満たさないことが判明した事項について、その内容を変更することは認めない」というただし書きもあります(審査要領 PDF p.32)。
さらに、申請書の受付日より前の日付で発生していた変更が審査中に判明した場合は、変更届および業務改善報告書を提出するとともに、許可申請書については補正書および訂正書類の提出により修正することとされています(審査要領 PDF p.32)。
お客様にお願いする作業(この段階):審査中に役員の交代・住所の変更・営業所の移転などが起きたら、すぐに当事務所へご連絡ください。 「許可が出てから届け出よう」は通用しません。ご連絡さえいただければ、県への連絡と変更届の対応は当事務所で行います。所要はご一報のみですが、この一報の有無が、審査の止まる期間を左右します。
8-4. 補正には「直せるもの」と「直せないもの」がある
受付後に誤りが見つかった場合、直し方は「補正書による補正」と「取下げ願による取下げ」の2つに分かれます。誤りの内容が県ホームページで公開されている「補正不可一覧表」に該当すると、補正書では直せず取下げになります(手引 PDF p.20)。補正で直せない=取下げて出し直しであり、取下げになれば審査は最初からやり直しです。
どの誤りがどちらに振り分けられるのか——不受理・不許可の類型と、補正できる/できないの分かれ目は建設業許可が不許可・不受理になる主な理由に整理していますので、そちらをご覧ください。本記事では、依頼後の工程にどう効くかだけを述べます。
ひとつだけ挙げておくと、一旦許可申請を行った業種を申請者の都合で審査中に変更することは、補正書による補正ができない案件とされています(審査要領 PDF p.31)。「とりあえず出して、あとで業種を足す・差し替える」が効かないということです。依頼後の工程で当事務所がいちばん時間をかけるのが要件設計(工程2)なのは、ここに理由があります。 申請前に業種の選択を固めきることが、そのまま取下げの回避になります。
補正の連絡そのものは、代理申請を正式に行っていれば当事務所が受けられます(§2-2)。ただし、§4-1 で見たとおり、誓約書・略歴書・調書の一部の欄はご本人でなければ訂正できません。 補正がその欄に及んだ場合は、お客様にご対応いただくことになります。補正で最も時間を食うのは、書類を作り直す時間ではなく、この「本人待ち」の時間です。
8-5. 許可通知書と副本を受け取る——再発行はされない
許可されると、次のようになります。
許可されると、許可通知書及び申請書副本を郵送します。再発行はできませんので、大切に保存してください。(手引 PDF p.19)
「再発行はできません」という一文は、5年後の更新、その先の業種追加、経営事項審査、入札参加資格まで影響します。副本は、次回以降の申請で自社の許可内容を確認する基礎資料になるからです。
当事務所では、申請時の資料と作成した書類の控えを保管します。 そのうえで、許可通知書と副本の原本は、お客様のもとで大切に保管していただくようお願いしています。どこに保管したかを、次の更新まで覚えていられる場所に置いてください。
なお、許可申請書の表紙の左肩にある許可番号および許可年月日の欄は、「許可後に岡山県土木部監理課で記載しますので、申請者は何も記載しないでください」とされています(手引 PDF p.28)。許可番号と許可年月日は、許可が出て初めて確定する——依頼後によくいただく「番号はいつ分かりますか」というご質問への答えは、ここにあります。
9. よくある場面|他事務所からの引き継ぎ・同時申請・許可を取った後
9-1. 他の事務所に依頼したが、途中で止まっている
当事務所は、他事務所からの引き継ぎのご依頼にも応じています。
引き継ぎの場合、まず確認するのは「今どの段階にあるか」です。
| 段階 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 資料の収集だけが済んでいる | 集まっている資料で要件を立証しきれるか(設計から見直します) |
| 書類がほぼ完成している | 記載内容の裏付けが原本で取れるか。記載した工事は後日の県民局調査で原本確認を受けるため(手引 PDF p.18)、点検は一から必要です |
| すでに申請済みで補正・取下げの局面 | 補正書で直せる誤りか、補正不可の類型(§8-4)に当たって取下げが必要か |
お願いする作業:現時点の書類一式と、県から連絡があればその内容をお見せください。この2つがあれば、引き継いだ場合の作業範囲をご説明できます。なお、前の事務所との契約関係(お支払い済みの報酬の扱いなど)は、お客様と当該事務所との間の問題になりますので、その点はご承知おきください。
9-2. 複数の申請・届出を同時に出すとき
許可申請と変更届を同時に出す、更新と業種追加を同時に出す——こうした場面には、依頼後の工程に効く運用があります。審査要領によれば、許可申請書と役員等の変更届を同時に出す場合や、更新申請と業種追加申請を同時に行う場合など、同じ日にそれぞれを受理する扱いになるときは、証明書の原本は1部だけ付いていれば足ります。ただし、どちらか片方に不備があれば返却となり、その場合はもう片方も一緒に返され、後日あらためて両方を同時に受け付ける、と定められています(審査要領 PDF p.30)。
前半は朗報です(証明書の原本が1部で足りる=取得通数が減ります)。問題は後半で、片方に不備があると、両方まとめて返却されます。
これは、更新の期限が迫っている案件では致命的になり得ます。 更新許可申請は、有効期間満了の日の30日前までに受付(書類上不備がなく、受付印が押印された状態)を済ませておく必要があります(手引 PDF p.13)。同時に出したもう一方の書類の不備が原因で、更新の受付日が後ろにずれるという事態が構造的に起こり得るということです。
したがって、同時申請の案件では、当事務所は「両方が同時に完成していること」を提出の条件にします。 片方だけ先に仕上がっても、待ちます。この判断の意味は、上の規定を知っていて初めて分かるものです。更新を落としたときに何が起きるかは建設業許可が失効するとどうなる|更新を忘れたときの影響をご覧ください。
9-3. 許可が出た後——ここからが「続く」手続
許可通知書が届いた時点で、ご依頼の1件は完了です。しかし、会社としての手続はここから続きます。
- 毎年:事業年度終了報告(いわゆる決算変更届)。決算日から4か月以内の提出が必要です(手引 PDF p.22)。詳しくは決算変更届(事業年度終了報告)とは|毎年の提出義務と流れへ。
- 都度:役員・営業所・経管・営業所技術者などに変更があったときの変更届。事由ごとに提出期限が異なります。
- 5年ごと:更新。
- 新規申請の直後に注意が要る場面:新規許可申請後に新たな決算を迎えた場合、許可取得後にその決算期に係る事業年度終了報告の提出が必要とされています(審査要領 PDF p.32)。申請から許可までの間に決算日をまたいだ会社は、許可が出た直後に最初の事業年度終了報告が来るということです。ここは見落とされやすいため、当事務所からご案内します。
これらの期限の全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)に、1年あたりでいくらかかるかは建設業許可の維持にかかる年間費用にまとめています。
当事務所では、顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。
| プラン | 月額(税込) | 位置づけ |
|---|---|---|
| ライト | 5,500円 | 月次相談+期限管理(いつ何を出すかのご案内) |
| スタンダード | 11,000円 | 上記に加え、対象業務を拡げたプラン(内容は個別にご案内します) |
| フル | 15,000円 | 事業年度終了報告・経審(経営状況分析/経営規模等評価・総合評定値請求)・入札参加資格更新(2年に1回)+月次相談・期限管理 |
切り分けを1点だけ明確にしておきます。「期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問契約の範囲、申請の代理実行はスポットの報酬」です。ライト・スタンダードで期限のご案内を受けつつ、実際の申請はその都度ご依頼いただく形も可能です。
公共工事へ進まれる場合は、経審申請を岡山で依頼するなら・入札参加資格もあわせてご覧ください。手引も「許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です」としています(手引 PDF p.24)。
よくある質問(FAQ)
まとめ
建設業許可の申請を行政書士に依頼したあと、実際に何が起きるのかを工程順にたどってきました。要点を整理します。
- 無料相談は「方向性の見立て」まで(初回30〜60分程度)。資料を精査したうえでの要件設計・工程表は受任後に行います。岡山県は事前審査を一切行わない運用であり(手引 PDF p.16)、窓口で相談しながら整える進め方が制度上ないため、設計を先に固める必要があります。
- 「書類作成の代行」と「代理申請」は別物です(手引 PDF p.19)。当事務所は委任状に基づく代理申請までお引き受けし、県庁窓口への提出も行います。正式に代理申請を行えば、県からの書類を代理人宛てに受け取れます。
- お客様にお願いする作業は4つに集約されます。①ご本人でなければ訂正できない欄への記載(審査要領 PDF p.3 が誓約書・略歴書・調書の該当欄を明示)、②ご本人名義でしか取れない書類の請求(身分証明書は本籍地、残高証明書は取引金融機関)、③営業所の実物(看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本/居住部分と共用不可)、④手元の原本の取り出し(契約書・注文書・決算書・社会保険関係書類)。
- 進行を最も左右するのは原本の探索です。経管の経験は5年以上の期間すべてについて確認され(手引 PDF p.17)、営業所調査では確認できるものが一つでも欠けていれば許可は受けられないとされています(同)。受任後の最初の1週間を棚卸しに充てることをおすすめします。
- 法定手数料の納付は提出の前に完了している必要があり(手引 PDF p.14・p.16)、この納付は当事務所が代行します。証明書の実費は立替のうえ後日ご精算です。
- 提出=受付ではありません(手引 PDF p.16)。審査中は申請書の控えが手元に残らず(手引 PDF p.26)、必要なら受領票(希望者のみ・当日限り/手引 PDF p.15)を使います。審査中に役員等の変更があれば審査は保留になるため(審査要領 PDF p.31-32)、変化が起きたらすぐご連絡ください。
- 許可通知書と申請書副本は再発行されません(手引 PDF p.19)。保管の体制と、その後の期限管理までを見据えておくと、5年後に困りません。
「依頼したら、あとは全部おまかせ」とまでは申し上げません。お客様にしかできない作業が確かにあります。 ただし、それがどこで・どれだけ発生するかは、この記事のとおり事前に分かっています。分かっていれば、段取りできます。 要件そのものの全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。
「依頼したら、うちは何をすることになるのか」を無料相談でご説明します
「今の状態から依頼したら、どこから始まって、うちは何をすることになるのか」——この点だけでもご説明します。建設業に特化した行政書士が、御社の状況に合わせて工程をお示しします。「契約書が数年分しか残っていないが依頼できるか」「他の事務所で止まっている案件を引き継いでもらえるか」など、1問だけのご質問はLINEでどうぞ。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。
