

「建設業許可は、いつ動き出せばいいですか」——これは、要件の相談と同じくらい多く聞かれる問いです。
結論から言えば、逆算の起点になる数字は、岡山県の手引にすでに書かれています。申請が受け付けられてから許可までは、特に問題がないケースで概ね2か月程度(手引 PDF p.16)。申請受付後半月程度で所轄の県民局から営業所調査の連絡が来ます(手引 PDF p.17)。そして、添付する証明書類は受付日において発行から3か月以内のもの、残高証明書は受付日から1か月以内の時点の残高を証明したものに限られます(手引 PDF p.26・p.9)。
つまり、「いつ取るか」は、動かせる部分と動かせない部分に分けて考えられるということです。動かせないのは、受付から許可までの2か月と、書類の有効期間。動かせるのは、そこに至るまでの準備をいつ始めるかだけです。そして岡山県は事前審査を一切行いません(手引 PDF p.16)。書類を完全に整えてから出す運用なので、準備の遅れはそのまま許可日の遅れになります。
本記事では、この「動かせない時間」から申請日と着手日を逆算する型と、決算期・経審/入札を視野に入れる場合の順序を整理します。
なお、要件そのものを満たせるかは建設業許可の6つの要件(取れるか診断)、費用の全体像は建設業許可の費用はいくら?、残高証明の段取りは建設業許可の残高証明書、設立と許可の順序は新設法人が建設業許可を取るには、経審の進め方は経審申請を岡山で依頼するならをご覧ください。本記事は「時間の設計」に絞ります。
※ 実際にかかる期間は、要件の構成・書類の収集状況・補正の有無など個別の事情によって大きく変わります。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の案件について取得時期を保証するものではありません。金額・期間は時点や個別事情により変動します。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。
1. 逆算の起点|制度の側に「動かせない時間」が3つある
タイミングの相談は、たいてい「早く取りたい」という話から始まります。しかし実務では、先に「制度の側が決めている時間」を置いてしまうほうが、話が早く進みます。動かせないものを先に固定すれば、残りが自社で調整できる範囲だからです。
1-1. 動かせない時間①|受付から許可まで、概ね2か月
手引は、許可になるまでの流れについて、申請の受付後に各種の調査やデータ処理を経る必要があるため、特に問題がないケースでも許可まで概ね2か月程度を要すると説明しています(手引 PDF p.16)。
ここで押さえるべきは、起点が「申請が受け付けられてから」であるという一点です。書類を作り始めてから2か月ではありません。窓口に持ち込んで受付印が押されてから2か月です。しかも「特に問題がないケース」という条件が付いています。
そして、この2か月は縮められません。手引は、営業所調査が早く終わっても許可が早くなるわけではないことまで明記しています(手引 PDF p.16)。
「営業所調査が終わったからといって本庁における調査が終わっているとは限りませんので、仮に営業所調査が申請受付後から間もなく実施されたとしても、許可が早く取得できるということはありません。」
「調査が早く終われば早く出るのでは」という期待は、あらかじめ捨てておいたほうがスケジュールを誤りません。本庁の土木部監理課でも別途調査が行われ、すべての許可要件を充足していると認められて初めて許可されるという構造だからです(手引 PDF p.16)。
1-2. 動かせない時間②|受付後半月程度で、営業所調査の連絡が来る
もう一つの固定点が営業所調査です。手引は次のように定めています(手引 PDF p.17)。
「営業所調査については、許可申請受付後、半月程度で所轄の県民局から実施の連絡を行います。」
調査で確認されるのは、看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)などです。営業所は居住部分と共用することができず、賃貸借契約を締結している場合は契約書上で営業活動に利用することが認められている必要があります。手引は「いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません」と明記しています(手引 PDF p.17)。
タイミングの観点で重要なのは、この調査が「申請してから半月後」に来るという点です。看板の発注、電話・ファクシミリ回線の手配、賃貸借契約の用途変更の交渉——これらは申請してから始めても間に合わない可能性があります。営業所の実体を整える時間は、申請日の前に確保しておくべき時間だということです。営業所そのものの要件は建設業許可の営業所の要件にまとめています。
1-3. 動かせない時間③|事前審査は一切行われない
3つ目は、時間そのものではなく、時間の使い方を縛る運用です。手引は、申請書の提出について次のように書いています(手引 PDF p.16)。
「事前審査は一切行いません。正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。」
つまり、「途中まで作って窓口で相談しながら仕上げる」という進め方は想定されていません。準備段階での判断ミスは、窓口では拾ってもらえないまま持ち帰ることになります。
タイミングを設計するうえでの含意は明快です。「準備期間」と「審査期間」は、はっきり分かれている。審査期間(概ね2か月)は制度が決めた固定値ですが、準備期間は自社の状況次第でいくらでも伸びます。そして伸びた分がそのまま許可日の遅れになります。
この3点をまとめると:許可日を早めたいなら、手を入れられるのは「受付日をいつにするか」だけです。受付日を前に倒すには、書類を早く完成させるほかありません。ところが、次章で見るとおり、書類は早く取りすぎても使えなくなります。ここがタイミング設計の難所です。
2. 書類には有効期間がある|受付日から逆算して集める
「早めに準備しておこう」と考えて証明書類を先に取得し、いざ申請の段になって期限切れで取り直しになる——これはタイミングの相談で最もよく出てくる失敗です。岡山県の手引は、添付書類の有効期間を明確に定めています。
2-1. 原則は「受付日において発行から3か月以内」
手引は全般的注意事項として、添付する証明書類は、個別に指定がない場合であっても、受付日の時点で発行から3か月以内のものでなければならないと定めています(手引 PDF p.26。同旨が資料編の手引 PDF p.149 にも記載)。
ここでの基準日は受付日です。「作成した日」でも「郵便を出した日」でもありません。郵送で提出する場合は、県庁に到達して受け付けられた日が基準になると考えて余裕を持たせる必要があります。
対象となるのは、商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、身分証明書、登記されていないことの証明書又は医師の診断書、残高証明書、卒業証明書などです。これらは正本に原本を、副本にはコピーを添付します(手引 PDF p.15・p.149)。
2-2. 残高証明書だけは1か月以内——しかも「発行日」ではない
財産的基礎の要件を残高証明書で満たす場合、有効期間はさらに短くなります。手引によれば、添付する取引金融機関の預金残高証明等は、受付日から1か月以内の時点で500万円以上の残高があることを証明したものに限られ、複数の金融機関の証明書を組み合わせる場合は、いずれも同じ日付の証明であることが求められます(手引 PDF p.9)。
そして審査要領は、この「1か月」の読み方について念を押しています(審査要領 PDF p.28)。
「新規許可申請書等に添付する金融機関の残高証明書については、申請時点から1か月以内の時点における残高が許可要件を満たしているかどうかで判断することとする(証明書の発行日が1か月以内という意味ではないので注意すること。)。」
見るのは残高の「証明日(基準日)」であって、証明書の「発行日」ではありません。 ここを取り違えると、発行日は新しいのに基準日が古い書類を用意してしまい、受付できない状態になります。
さらに、補正が入った場合の取扱いも明記されています。新規申請で、申請書を持ち込んだ時点では証明日が1か月以内に収まっていたものの、補正をしている間に1か月を過ぎてしまったときは、残高の時点が申請時から2か月以内に収まるものに限って認められます(審査要領 PDF p.28)。
補正で時間を食っても、2か月までは持ちこたえるという設計です。裏を返せば、補正が長引いて2か月を超えると残高証明を取り直すことになり、そこから審査が仕切り直しになるということでもあります。残高証明の基準日の置き方や複数金融機関を合算する場合の段取りは建設業許可の残高証明書に整理しています。
2-3. 社会保険の確認資料には、さらに短い期限がある
適切な社会保険への加入を確認する資料についても、個別の有効期間が定められています(手引 PDF p.72)。
| 資料 | 有効期間 |
|---|---|
| 納入証明書 | 発行日が3か月以内のもの |
| 健康保険・厚生年金の保険料領収書 | 発行日が2か月以内のもの |
| それ以外のもの | 直近のもの |
| 建設国保の加入証明書(加入者全員が記載されたもの) | 発行から3か月以内のもの(手引 PDF p.72) |
保険料領収書の2か月が、実務上いちばん短い期限です。 準備が長引くと、この1点だけが先に切れます。
2-4. 「有効期間の短いものから逆算する」という順序
以上を、取得の順序に組み替えると次のようになります。
| 順序 | いつ動くか | 何をするか |
|---|---|---|
| 1 | いちばん早く | 要件の構成を決める(誰を常勤役員等にするか、誰を営業所技術者(旧:専任技術者)にするか、どの業種で申請するか) |
| 2 | 次に | 経験・資格の裏付け書類の現存確認(有効期間の定めがなく、収集に時間がかかるもの。契約書・注文書及び請書、資格者証、登記事項証明書の元となる登記の整備など) |
| 3 | 申請日の3か月前以降 | 発行から3か月以内という縛りのある各種証明書(身分証明書、登記されていないことの証明書、商業登記事項証明書、卒業証明書 など) |
| 4 | 申請日の2か月前以降 | 健康保険・厚生年金の保険料領収書など、2か月の期限があるもの |
| 5 | 申請日の1か月前以降 | 残高証明書(残高の証明日が受付日から1か月以内) |
| 6 | 申請直前 | 法定手数料の納付(岡山県手数料等(POS)納付連絡票 → 収納専用窓口で支払 → 納付済証を様式第1号 別紙三に貼付。手引 PDF p.14) |
「早く集める」ではなく「遅く集める」ものがある、というのがこの表の要点です。書類の準備は、有効期間の長いものから順に着手し、短いものは申請日を決めてから取りにいく——この順序を守るだけで、取り直しの多くは避けられます。
必要書類そのものの一覧は建設業許可の必要書類一覧をご覧ください。
3. 逆算のやり方|「この日までに許可がほしい」から遡る
ここまでの固定点を使うと、目標日から遡る形でスケジュールを組むことができます。
3-1. 逆算の基本形
| 逆算の段 | 手引・審査要領に根拠のある数値 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 許可の希望日 | — | 出発点(元請の要求、入札参加の予定、契約開始日 など) |
| 申請の受付日 | 希望日から概ね2か月前(手引 PDF p.16) | 制度側の固定値。特に問題がないケースの目安 |
| 営業所の実体を整え終える日 | 受付日から半月程度後に調査の連絡(手引 PDF p.17) | 調査に耐える状態を受付日の時点で作っておく |
| 残高証明の証明日 | 受付日から1か月以内(手引 PDF p.9) | 受付日が決まらないと取りにいけない |
| 各種証明書の発行 | 受付日において発行から3か月以内(手引 PDF p.26) | 早く取りすぎると切れる |
| 準備の着手日 | 手引に定めはない(事案により大きく変動) | ここだけが自社で動かせる範囲 |
注意していただきたいのは最下段です。 準備にどれだけかかるかについて、手引にも審査要領にも定めはありません。要件の構成が決まっていて書類も手元にある会社と、経験の証明から組み立てる会社とでは、必要な時間がまったく違います。本記事では、「準備に◯か月かかります」という一般化はあえて行いません。事案ごとに幅が大きすぎて、目安として役に立たないからです。
代わりに、準備期間の長さを左右する要因を挙げておきます。
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の経験を、どの書類で立証するかが決まっているか。前職や自営期間の契約書・注文書の収集が必要なら、相手方の協力を待つ時間が加わります。
- 営業所技術者を資格で満たすか、実務経験で満たすか。実務経験ルートでは証明書類の収集が伴います。
- 自己資本500万円の要件を、直近の財務諸表で満たせるか、残高証明で満たすか(手引 PDF p.10・p.149)。残高を用意する必要があるなら、資金の手当て自体が先行タスクになります(自己資本500万円が足りないとき)。
- 営業所の実体が既に整っているか。看板・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の内容(手引 PDF p.17)。
- 社会保険の適用手続が済んでいるか。手引は、適切な社会保険への加入を許可要件として掲げています。
3-2. 逆算が崩れる典型パターン——補正と取下げ
もう一つ、スケジュールに直結するのが受付後の補正です。手引によれば、提出済みの許可申請や変更届出に誤りがあって県から補正の指示を受けたとき、あるいは自社で誤りに気づいたときは、「補正書」を提出して補正します。ただし、その誤りが県ホームページで公開されている「補正不可一覧表」に当たる場合は、補正書では直せず、「取下げ願」を出して申請を取り下げることになります(手引 PDF p.20)。
そして審査要領は、補正書での補正を不可とする主な案件を列挙しています(審査要領 PDF p.31)。
- 役員等に欠格要件に該当する者があり、役員等の届出内容を変更する場合
- 申請又は届出のあった営業所が許可要件を満たさないため、別の場所を営業所とするよう申請又は届出の内容を変更する場合
- 一旦許可申請を行った業種を申請者の都合で審査中に変更する場合
- 補正を要する箇所が多岐にわたる場合で、県が補正不可と判断した場合
この4つに当たると、補正では済まず、取下げて出し直しになります。 出し直しということは、受付日がリセットされ、「概ね2か月」もそこから数え直しになるということです。§2-2 で見たとおり、残高証明の許容も申請時から2か月までですから、取下げ・再申請となれば書類を取り直す前提になります。
窓口での書面審査は限られた時間で行われるため、受付後にも書類の訂正等について追加で連絡することがあるとされています(手引 PDF p.16)。受付されたこと自体は、審査が終わったことを意味しません。
不許可・不受理に至る原因の整理は建設業許可が不許可・不受理になる主な理由にまとめました。時間を守るうえで最も効くのは、補正を発生させないことです。
3-3. 審査中に会社側で変更が起きたときも、時計は止まる
見落とされやすいのが、審査期間中に自社側で変更が生じた場合の取扱いです。審査要領によれば、申請の受付日から許可が出るまでの間に、役員等の交代や所在地の移転など申請内容に変わる点が生じたときは、速やかに県の担当者へ連絡したうえで変更届を出さなければなりません。そして許可申請そのものの審査は、その変更届の審査が終わるまで保留され、変更届の審査が済んだ後に県の担当者が職権で許可申請の記載にその変更を反映させてから、改めて審査が進められます(審査要領 PDF p.31-32)。
審査が保留になる——つまり、役員の交代や事務所の移転を審査期間中に予定していると、その分だけ許可が後ろにずれます。役員変更や移転の計画があるなら、申請前に済ませてしまうか、許可が出た後に回すかを先に決めておくのが合理的です。受領票の様式にも「申請の受付後、許可までの間に役員等の変更があった場合は速やかに監理課まで連絡してください」という注記が入っています(手引 PDF p.29)。
なお、県民局等の調査の結果、役員が欠格要件に該当するなど許可要件を満たさないことが判明した事項について、その内容を変更することは認められません(審査要領 PDF p.32)。「調査で指摘されたら差し替える」という進め方はできない、ということです。
4. 元請の要求で急ぐとき|許可が下りるまでの間をどう扱うか
タイミングの相談で最も多いのが、「元請から許可を求められた」「許可がないと次の契約を出せないと言われた」という切迫したケースです。ここでは、時間を短縮する話ではなく、待っている間をどう設計するかが論点になります。
4-1. 「審査中である」ことを示す紙がある——受領票
手引には、あまり知られていない様式があります。受領票です(手引 PDF p.15)。
「(7)受領票 新規、更新及び追加・般特新規許可申請を行った際に、申請が受付され審査中であることを証明する書類です。発行を希望する方は、指定の様式に必要事項を記載の上、窓口に提出又は送付してください(郵送の場合は返送用封筒を同封)。申請書の受付後に押印し、破線から下を返却します。」
つまり、「いま申請中である」ことを客観的に示す書面が用意されているということです。元請や取引先に対して、口頭の説明ではなく受付済みの事実を示せる場面があります。
ただし、扱いには注意点があります(手引 PDF p.15)。
- 受領票は申請書につづり込まず、1枚のみを別途提出する
- 提出は当日限り(郵送の場合は同封されていることが条件)
- 発行を希望する場合は、あらかじめ様式に必要事項を記載しておく
「あとで欲しい」と言っても受け取れません。 申請の当日に、その場で出す必要があります。元請への説明に使う可能性が少しでもあるなら、申請前の準備物リストに受領票を入れておく——これが、この記事でお伝えしたい実務のひとつです。
4-2. 受領票があっても、許可が下りるまでは無許可
念のため確認しておくと、受領票は許可ではありません。審査中であることの証明にすぎず、許可が下りるまでの間は、許可がなければ請け負えない規模の工事を受注することはできません。
許可がなくても請け負える範囲(軽微な建設工事)は、手引が次のように定めています(手引 PDF p.5)。
- 建築一式工事:1,500万円に満たない工事、又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
- その他の工事:500万円に満たない工事
- ※金額はいずれも消費税及び地方消費税を含む額。注文者や元請業者が材料を支給する場合は材料費も含めて判断する
この判定は1件の請負代金で決まるものであり、元請か下請かで変わるものではありません。制度としての500万円ラインの解説は建設業許可が必要になる500万円のライン、下請の立場からの要否判断は下請でも建設業許可は必要?に整理しています。
したがって、許可待ちの期間の設計は次の3点になります。
- いま動いている案件のうち、金額ラインを超えるものはどれかを洗い出す
- それを時期調整できるか、できないなら元請にどう説明するか(受領票が使えるのはこの場面です)
- 契約を分割して回避しようとしないこと。手引は、契約を分割したり他人の名義を用いたりしても、実態が一括下請負に該当するものは一切禁止であると明記しています(手引 PDF p.21)
すでに許可なしで受注してしまった場合の対処は無許可で500万円以上を受注してしまったらに整理しました。
4-3. 元請へ移るなら、許可の「種類」を先に決める
もう一段先の話として、下請の立場から元請へ移ろうとしている場合は、取る許可の種類そのものがタイミングに影響します。手引は、元請として受注する一件の工事について、下請に出す額の総額により必要な許可の種類が異なるとしています(手引 PDF p.6)。
- 一般建設業の許可:合計で5,000万円未満までしか下請に出すことができない(建築一式工事については8,000万円未満まで)。ただし自社の請負額に制限はない
- 特定建設業の許可:制限はない
ここで一般を取るか特定を狙うかは、要件の重さが変わるため、準備期間そのものが変わります。「とりあえず一般を取って、後から必要になったら特定へ」という進め方も、「最初から特定を狙う」という進め方も成り立ちますが、どちらを選ぶかは申請前に決めておくべき事項です。§3-2 のとおり、一旦申請した業種を申請者の都合で審査中に変更することは、補正では処理できません(審査要領 PDF p.31)。
元請に移るときに何が変わるかは下請から元請になるための建設業許可に整理しています。
5. 決算期との関係|決算をまたぐと、書類も義務も変わる
タイミングを考えるとき、決算期は最も見落とされやすい変数です。「いつ申請するか」で、用意する書類も、その後に発生する届出も変わります。
5-1. 財産的基礎の確認は「直近の事業年度終了報告」が原則
手引は、財産的基礎の要件をどの財務諸表で確認するかについて、既存の企業なら直近の事業年度終了報告の財務諸表、新規に設立した企業なら創業時の財務諸表によるのが原則だと注記しています(手引 PDF p.10)。
そして、残高証明書の要否については次のとおりです(手引 PDF p.149)。
「【必要ない場合】直近の財務諸表により、500万円以上の自己資本(略)を有することが確認できる場合には、改めて残高証明書を添付する必要はありません。」
つまり、決算をまたぐかどうかで「残高証明が要るか要らないか」が変わる可能性があります。
- 直近の財務諸表で自己資本500万円以上を示せる → 残高証明書は不要
- 示せない → 残高証明書が必要(受付日から1か月以内の証明日)
決算が近く、その決算で自己資本500万円以上になる見込みがあるなら、決算後に申請するほうが書類が1点減るという判断があり得ます。逆に、決算を待つと申請が数か月後ろにずれるなら、残高証明を用意して先に出すという判断もあり得ます。どちらが正解かは、急ぐ理由の強さによって変わります。 自己資本が足りない場合の打ち手は自己資本500万円が足りないときにまとめました。
5-2. ★申請後に決算を迎えると、許可取得後に事業年度終了報告が必要になる
これはほとんど知られていない論点ですが、審査要領に具体例つきで明記されています(審査要領 PDF p.32)。
「新規許可申請に当たって、許可申請後に新たな決算を行った場合には、許可取得後にその決算期に係る事業年度終了報告の提出が必要である。
例:10 月末決算の会社が令和3年 11 月に新規許可申請を行った場合、令和2年 11 月~令和3年 10 月の決算がまだできていないため、前年度の決算で申請を行うことになる。仮に令和4年1月に許可が出た場合、令和3年 10 月時点では許可を有していないが、申請時の届出内容(令和2年 10 月決算)に変更があることから、事業年度終了報告を行う必要がある。」
許可を持っていなかった期間の決算についても、事業年度終了報告が必要になる——これが結論です。「許可が出る前の決算なのだから関係ない」という理解は通りません。
タイミングの設計としては、次のように整理できます。
| 申請の時期 | 起きること |
|---|---|
| 決算日の直後に申請 | 直近の財務諸表がまだ作成中の場合、前期の決算で申請することになる。許可取得後、その決算期の事業年度終了報告が別途必要になる(審査要領 PDF p.32) |
| 決算の確定後に申請 | 直近の財務諸表で自己資本を示せれば残高証明書が不要になる可能性がある(手引 PDF p.149)。決算確定を待つ分、申請が後ろにずれる |
| 決算日をまたいで審査が進む | 審査中に決算日が到来した場合も、許可取得後にその決算期の事業年度終了報告が必要になる(審査要領 PDF p.32) |
5-3. 事業年度終了報告そのものの期限は「決算日から4か月以内」
許可取得後は、毎年の届出が発生します。手引は、事業年度終了報告を毎年提出しなければならないものとして掲げ、決算日から4か月以内に事業年度終了の変更届出書を出すよう定めています(手引 PDF p.22)。
そして、期限内の提出を怠っている場合には、許可の更新・追加申請等はできません(手引 PDF p.22)。ここがタイミングの話に戻ってきます。「更新の時期になってから慌てる」のではなく、毎年の決算後4か月という期限を運用に組み込んでおかないと、5年後の更新のときに手続きが止まります。
新設法人の場合の設立と許可申請の順序、資本金の考え方は新設法人が建設業許可を取るにはに整理しています。個人事業から法人化して許可を取る場合、手引は、法人の許可申請と個人の廃業届を同時提出する場合には、法人としての建設業許可を受けるまでの間は無許可となることに注意を促しています(手引 PDF p.23)。この空白期間をどう扱うかも、タイミング設計の一部です(法人成りで建設業許可は引き継げる?)。
6. 経審・入札を視野に入れるときの順序
公共工事への参入を視野に入れている場合、許可の取得時期はそこから逆算して決めることになります。手引は次のとおり定めています(手引 PDF p.24)。
「10 公共工事への入札参加を希望する場合 許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です。」
つまり、許可 → 経営事項審査(経審)→ 入札参加資格 という順序が制度上決まっています。段を飛ばすことはできません。
6-1. 順序が決まっているということは、上流が遅れると全部遅れるということ
この3段の関係で押さえるべきは、許可の取得が遅れると、経審も入札参加資格も同じだけ遅れるという単純な事実です。しかも、経審は許可を持っていることが前提なので、許可が下りていない段階で先行させることはできません。
さらに、手引は許可が失効した場合の影響についても注意を促しています。失効すると、その業種については許可を一切持たない状態に戻り、経営事項審査の結果も無効になるため、長い期間にわたって入札に参加できなくなるおそれがあるなど、影響は大きいとされています(手引 PDF p.12。特定建設業の取得後の留意事項として記載)。
許可が切れれば経審も無効になる——入札を狙う会社にとって、更新の期限管理が単なる事務ではない理由がここにあります。
6-2. 逆算の順番
入札参加を目標にする場合、逆算は次の順序になります。
- 参加したい入札参加資格審査の受付時期を確認する(発注する自治体ごとに時期が異なるため、参加を希望する自治体の案内で確認します)
- そこから経審の受審を逆算する
- 経審の前提として、事業年度終了報告が必要になる(決算日から4か月以内・手引 PDF p.22)
- さらにその前提として、許可が必要(受付から概ね2か月・手引 PDF p.16)
- 許可の前提として、準備期間(事案により変動)
本記事では、経審の受審時期・有効期間・申請の締切といった具体的な日数は扱いません。これらは「経営事項審査申請の手引」など別の資料に定められており、建設業許可の手引・審査要領には記載がないためです。経審そのものの進め方は経審申請を岡山で依頼するなら、サービスの内容は経営事項審査・入札参加資格をご覧ください。
6-3. 「入札のために許可を取る」なら、業種の選び方も時期に効く
もう一点、入札を視野に入れる場合に効くのが業種の選択です。経審は業種ごとに評価されるため、「どの業種で許可を取るか」がそのまま入札で狙える工事の範囲になります。
ここで急ぎたい気持ちから業種を絞りすぎると、後から業種追加の申請が必要になります。業種追加は別の申請であり、法定手数料も別途50,000円が必要です(手引 PDF p.14)。一方で、業種を増やせばそれだけ営業所技術者の要件を満たす必要が生じ、準備期間は伸びます。
「今すぐ要る業種」と「1年以内に要りそうな業種」を分けて、同時に申請するかどうかを決める——これは費用と時間の両方に効く判断です。なお、法定手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)。新規申請で業種をまとめて取るなら、手数料の面では有利になります。費用の全体像は建設業許可の費用はいくら?に整理しています。
異業種から建設業へ参入する場合の順序は異業種から建設業に参入して許可を取るにはにまとめました。
7. 岡山県での手続き|提出先・営業所調査・法定手数料と、時間に効く運用
タイミングの話は、最後は当日の段取りに落ちます。岡山県の運用で、時間に直接効くものを整理します。
7-1. 提出先は本庁一元|県民局は申請の窓口ではない
申請書・変更届の提出先は、岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)です。手引は、建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っていると明記しています(手引 PDF p.168)。県民局は、所在地に応じて建設業に関わる事務の一部を担当していますが、申請の受付窓口ではありません。
提出は窓口への持参または郵送によることができます。手引は「時間的な余裕がある申請等については郵送による提出も受け付けています」としています(手引 PDF p.16)。急ぐ案件で持参を選ぶ場合は、次項の窓口時間に注意が必要です。
7-2. 当日の時間切れがある——窓口閉鎖の時刻で審査は終了
意外に効くのが、窓口の時間運用です。手引によれば、窓口の受付時間は9:00~11:30と13:00~16:30(閉庁日を除く)で、11時30分から13時00分までと、16時30分から翌開庁日の9時00分までは窓口が閉まり、審査も止まります。新規・更新・追加・般特新規の申請では、これに加えてさらに十分な時間の余裕をみて来庁するよう求められており、審査が途中であっても、原則として窓口を閉じる時刻でその日の審査は終了します(手引 PDF p.16)。
審査の途中であっても、窓口閉鎖の時刻で打ち切られます。 新規申請は書類量が多く、窓口での書面審査にも相応の時間がかかります。「夕方に持ち込んで、その日のうちに受付印をもらう」という前提でスケジュールを組むと、受付日が翌開庁日に流れる可能性があります。受付日が1日ずれると、§2-1 で見た書類の有効期間もその分ずれます。
なお、提出部数は閲覧用3部(正1、副2)+非閲覧用3部(正1、副2)=計6部です(手引 PDF p.15)。この作成にかかる時間も、申請日の前日までに終わらせておく作業です。
7-3. 法定手数料は納付してから提出する
法定手数料は、岡山県手数料等(POS)納付連絡票をホームページから印刷し、収納専用窓口に持参して支払い、支払い後に受け取った納付済証を、許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に貼り付けたうえで提出します(手引 PDF p.14)。
| 許可申請の種類 | 岡山県知事許可の法定手数料 |
|---|---|
| 新規(許可換え含む)・般特新規 | 90,000円 |
| 更新・追加 | 50,000円 |
- 手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません
- 変更届出書を提出する場合、手数料は不要です
- 複数の申請を同時に行う場合は、それぞれの額の合計額になります。内訳は建設業許可の費用はいくら?をご覧ください
(いずれも手引 PDF p.14)
この納付が申請の前工程であるという点が、タイミングに効きます。「窓口で書類を出しながら支払う」のではなく、先に支払い、納付済証を貼ってから提出するという順序です。当日の動線に組み込んでおく必要があります。
7-4. 営業所調査は受付の半月後、許可通知は郵送
申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡が来ます(手引 PDF p.17)。調査では、営業所の所在確認(看板・机・電話及びファクシミリ・賃貸借契約書の原本等)のほか、常勤役員等の経営を管理した経験、営業所技術者の資格等、現在の常勤性、財務内容を確認するための書類の提出等を求められます(手引 PDF p.17-18)。
申請=本庁、営業所調査=所轄の県民局という役割分担です(手引 PDF p.168)。繰り返しになりますが、営業所調査が早く終わっても許可が早くなるわけではありません(手引 PDF p.16)。
許可されると、許可通知書及び申請書副本が郵送されます。手引は「再発行はできませんので、大切に保存してください」と明記しています(手引 PDF p.19)。許可日を起点に有効期間が5年間進むため、この通知書は次の更新の起点を示す書類でもあります。
なお、行政書士に申請手続きそのものを委託し、行政書士の責任において代理申請をすることができます(手引 PDF p.19)。当事務所では、要件の整理から書類の作成、代理申請、営業所調査の準備確認と同席までを承っています。
8. 取ったあとに効いてくる期限|更新・事業年度終了報告・休止
タイミングの設計は、許可が下りた時点で終わりません。取得日を起点に、次の期限が動き始めます。
本章は「いつ取るか」を決めるために必要な範囲で、取得後の期限を概観します。取得後に何を・いつまでに・どの様式で出すのかの全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)にまとめています。
8-1. 有効期間は許可日から5年間
手引によれば、許可の有効期間は許可日から5年間で、更新の許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておかなければなりません(建設業法施行規則第5条)。更新の申請をしないまま有効期間が満了してしまうと、改めて新規で許可を取り直すことになるため、期限切れには十分な注意が必要です。なお、更新の申請書を提出できるようになるのは、有効期間満了の日の3か月前からです(手引 PDF p.21)。
ここから、更新の逆算枠が決まります。
| 節目 | 日付 |
|---|---|
| 更新申請を提出できるようになる日 | 有効期間満了の日の3か月前から |
| 更新申請を受付済みにしておく期限 | 有効期間満了の日の30日前まで(書類上不備がなく、受付印が押印された状態)(手引 PDF p.13・p.21) |
| これを過ぎて満了した場合 | 改めて新規に許可を取得することになる(手引 PDF p.21) |
実質的に動ける期間は、3か月前から30日前までの約2か月間です。 §3-2 で見たとおり、補正が発生したり取下げになったりすると、この枠を使い切ってしまう可能性があります。更新は「期限の直前に出す」のではなく、3か月前の受付開始と同時に動かすほうが安全側です。
また、追加許可の申請時に合わせて更新許可申請を行う追加+更新許可申請は、許可の有効期間満了の日まで3か月以上残っている場合のみ申請可とされています(手引 PDF p.13)。「更新のついでに業種を増やす」という設計は、3か月前より手前で決めておかないと選べません。
更新申請そのものの進め方(提出できる期間と受付期限の別、必要書類、審査で改めて確認される要件)は建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点で扱っています。
8-2. 万一、更新を落としたときの1か月
期限を落とした場合、原則どおり新規申請になりますが、審査要領には次の取扱いが定められています(審査要領 PDF p.28-29)。
「許可の有効期限が切れた直後に新規申請を行う者については、許可の有効期間満了日から1か月以内に当該許可切れに係る新規申請が受理された場合は、『許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者』に該当するものとして、取引金融機関の融資証明書又は預金残高証明書等(略)の添付を不要とする。」
ただし、満了日から1か月を経過する日が閉庁日に当たる場合は、その直前の県庁業務日までに受理されないと残高証明書等の添付が必要になります。審査要領は具体例を挙げています(審査要領 PDF p.29)。
- 許可有効期限が11月21日(月)→ 12月21日(水)までに申請が受理された場合、残高証明書等の添付は不要
- 許可有効期限が11月24日(木)→ 12月23日(金)までに受理されなければ残高証明書等の添付が必要(12月24日(土)が閉庁日のため)
- 許可有効期限が11月29日(火)→ 12月28日(水)までに受理されなければ残高証明書等の添付が必要(12月29日が閉庁日のため)
この取扱いにより残高証明書等の添付を省略する場合は、営業の沿革(様式第20号)の「建設業の登録及び許可の状況」の欄に、従前有していた許可の取得日及び失効日を記載します(審査要領 PDF p.29)。
重要なのは、これが救済ではないという点です。 添付書類が1点省ける取扱いにすぎず、許可が切れていた事実そのものは変わりません。切れている間は、許可が必要な規模の工事を請け負うことができません。§6-1 のとおり、経営事項審査も無効になります(手引 PDF p.12)。落とさないことが唯一の対策です。
失効するとどこまで影響が及ぶか、切れている間に何ができて何ができないかは建設業許可が失効するとどうなる|更新を忘れたときの影響で詳しく扱っています。
8-3. 「早く取りすぎる」ことにもリスクがある
タイミングの相談では、逆方向の質問もあります。「まだ大きな工事の予定はないが、先に取っておいたほうがよいか」というものです。
ここで知っておくべきなのが、手引の次の記載です(手引 PDF p.23)。
「②許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合等 取消処分の対象となるので、注意してください。」
取ったまま動かさない状態が続くと、取消処分の対象になり得るということです。「とりあえず取って寝かせておく」という設計は、制度上想定されていません。
あわせて、許可を維持する側にも継続的な義務が生じます。
- 事業年度終了報告:決算日から4か月以内(毎年・手引 PDF p.22)。期限内の提出を怠っていると、許可の更新・追加申請等ができません(提出物と毎年の流れは決算変更届(事業年度終了報告)とは|毎年の提出義務と流れ)
- 常勤役員等・営業所技術者が欠けた場合:変更届は変更後2週間以内。「欠く」状態には、退職・死亡だけでなく毎日出勤することができなくなった場合も含まれ、長期入院は社会保険等の資格が継続していても「欠く」状態とみなされます(手引 PDF p.22)
- 標識の掲示義務:許可を受けたときは、店舗及び建設工事の現場(元請工事のみ)ごとに標識を掲示する(手引 PDF p.21)
したがって、「いつ取るか」の判断材料は、取得後に発生する義務を回せる体制がいつ整うかでもあります。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。期限の管理を仕組みにしておきたい場合は、変更届・事業年度終了報告・更新の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問の範囲、申請の代理実行はスポットの報酬という切り分けです。
8-4. 「今取る/後で取る」を分ける4つの問い
最後に、判断のための問いをまとめておきます。どれか1つでも「はい」なら、いま動く理由があります。
- 金額ラインを超える引き合いが、すでに具体的にあるか。 1件の請負代金が税込500万円(建築一式工事は1,500万円)以上になる話が動いているなら、許可がないと受けられません。建築一式工事は、1,500万円に満たない工事、又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事であれば許可がなくても請け負えます(手引 PDF p.5)。
- 元請から取得を求められているか。 要求には期限が伴うことが多く、受付から許可まで概ね2か月(手引 PDF p.16)と準備期間を足した時間が必要です。
- 公共工事の入札に参加する予定があるか。 許可 → 経審 → 入札参加資格という順序が決まっているため(手引 PDF p.24)、最も逆算距離が長くなります。
- 要件を満たしている人が、いま社内にいるか。 常勤役員等や営業所技術者の要件を1人に依存している場合、その人の退職・体調によって条件が変わります。要件は「満たせるうちに使う」ものです。
逆に、上記のいずれにも当てはまらず、営業も1年以上先の話という段階なら、§8-3 の休止のリスクも踏まえて、要件の準備(経験の記録を残す、社会保険を整える、営業所の実体を作る)を先行させ、申請そのものは引き合いの見通しが立ってから、という設計も合理的です。準備は先、申請は後ろ——これが、書類の有効期間という制約から導かれる結論でもあります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
「建設業許可をいつ取るか」は、感覚ではなく逆算で決められます。手引と審査要領には、動かせない時間がすでに書かれているからです。
- 受付から許可まで、特に問題がないケースで概ね2か月(手引 PDF p.16)。起点は「受付日」であって、準備開始日ではありません。営業所調査が早く終わっても許可は早くなりません。
- 受付後半月程度で、所轄の県民局から営業所調査の連絡(手引 PDF p.17)。看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本は、申請日の時点で整えておく必要があります。
- 証明書類は受付日において発行から3か月以内、残高証明書は受付日から1か月以内の時点の残高(手引 PDF p.26・p.9)。社会保険の保険料領収書は発行日から2か月以内(手引 PDF p.72)。早く集めすぎると切れます。
- 岡山県は事前審査を一切行いません(手引 PDF p.16)。書類を完全に整えてから提出する運用であり、補正不可の事項に当たると取下げ・再申請になって受付日がリセットされます(手引 PDF p.20/審査要領 PDF p.31)。
- 決算をまたぐと変わるものがあります。 直近の財務諸表で自己資本500万円以上を示せれば残高証明書は不要(手引 PDF p.149)。一方、申請後に新たな決算を迎えた場合は、許可取得後にその決算期の事業年度終了報告が必要です(審査要領 PDF p.32)。
- 入札を狙うなら、許可 → 経審 → 入札参加資格の順序(手引 PDF p.24)。上流が遅れれば全部が遅れます。許可が失効すれば経審も無効になります(手引 PDF p.12)。
- 取得後は、許可日から5年(手引 PDF p.21)。更新は満了の3か月前から提出でき、30日前までに受付を済ませる必要があります。決算日から4か月以内の事業年度終了報告を落とすと、更新・追加申請ができません(手引 PDF p.22)。
そして、動かせるのは「準備をいつ始めるか」だけです。準備にどれだけかかるかは、要件をどう構成するか、書類がどれだけ残っているかで大きく変わります。ここに一般的な日数の目安を当てはめても意味がありません。自社の場合に何が律速になるのかを、早い段階で一度棚卸ししておくこと——それが、タイミングを外さない唯一の方法です。
「いつから動けばいいか」のご相談は無料相談から
「決算前に出すべきか、決算後か」「元請の期限に間に合うか」「残高証明はいつ取ればいいか」——現状をうかがって、逆算の起点になる論点を建設業特化の行政書士が整理します。初回30〜60分で方向性の見立てまでをお伝えし、資料の精査・要件設計・工程表の作成は受任後に行います。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。
