

建設業許可の申請が止まるとき、止まり方は大きく2種類です。
ひとつは「受け付けられない」——窓口の書面審査で記載事項の不備が見つかり、そもそも審査に入らないまま書類が返ってくる状態(不受理)。もうひとつは「受け付けられたが、許可されない」——受付は済んだものの、県民局の営業所調査や本庁の調査で許可要件を充たしていないと判断される状態(不許可)です。 前者は書類の形式と中身の問題、後者は要件そのものの問題であり、打つべき手がまったく違います。
そして、岡山県にはこの2つの間に「相談しながら整える」余地がありません。手引は「事前審査は一切行いません」と明記しており、書類を完全に整えた状態で提出することが前提の運用だからです(手引 PDF p.16)。この一文が、本記事のすべての出発点です。出してから直せばよい、という進め方ができない以上、潰せる不備は出す前に潰しておくしかありません。
本記事では、岡山県で建設業に特化する行政書士が、①不受理と不許可はどこで分かれるのか ②窓口で止まる不備にはどんな類型があるのか ③受付後に直せるもの・直せないものはどう線引きされるのかを、岡山県の手引と審査要領の記載に沿って整理します。
なお、欠格要件そのものの列挙は建設業許可の欠格要件とは|破産・前科があっても取れる?、要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)、提出書類そのもののリストは建設業許可の必要書類一覧|新規・一般が担当です。本記事はそれらを繰り返さず、「どこで止まるか」に絞ります。
※ 許可の可否や書類の充足は、事業者ごとの経歴・組織・書類の残り方という個別の実態によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の申請について結論を保証するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。
1. 「不受理」と「不許可」はどこで分かれるか——岡山県の審査の流れ
最初に、岡山県知事許可の申請がどう進むかを押さえます。手引は、許可になるまでの流れを次のように説明しています(手引 PDF p.16)。
「許可申請書が提出されると、窓口で書面審査を行います。記載事項に不備がなければ申請は受け付けられます。窓口での書面審査は、限られた時間で行うことから、受付後にも書類の訂正等について追加で連絡することがあります。また、申請受付後、許可要件の確認のため県民局による営業所調査があります。それとは別に本庁の土木部監理課でも所要の調査を行い、全ての許可要件を充足していると認められると許可されます。」
この一段落に、止まりどころが3か所書かれています。
- 窓口の書面審査——記載事項に不備があれば、そこで受け付けられません
- 所轄の県民局による営業所調査——許可要件の確認が行われます
- 本庁(土木部監理課)の調査——ここも別途進みます
そして許可は、「全ての許可要件を充足していると認められる」ときに出ます。裏を返せば、1つでも充たしていないと認められれば許可されません。
1-1. 「不受理」と「不許可」の違いを表で整理する
一般に「不受理」「不許可」と呼ばれる状態を、岡山県の運用に当てはめると次のように整理できます。
| 観点 | 受け付けられない(いわゆる不受理) | 受け付けられたが許可されない(不許可) |
|---|---|---|
| 起きる場面 | 県庁の窓口での書面審査/郵送で届いた書類の書面審査 | 受付後の県民局の営業所調査・本庁の調査 |
| 主に見られるもの | 記載事項の不備(様式・部数・つづり方・日付・添付書類の有無と有効期間・記載内容の食い違い) | 許可要件の充足(経営業務の管理責任者等・営業所技術者(旧:専任技術者)・誠実性・財産的基礎・適切な社会保険・欠格要件)、および虚偽記載 |
| 主な根拠 | 手引 PDF p.16(窓口の書面審査)/手引 PDF p.153・p.155(変更届の提出漏れがある場合の受付) | 手引 PDF p.16(全ての要件を充足していると認められると許可)/手引 PDF p.10(欠格要件・虚偽記載) |
| その後にできること | 書類を整えて改めて提出する | 受付後の補正・取下げ、または要件そのものの組み直し(§7) |
| 失う時間 | 出し直しまでの日数(書類の再取得が要ると長引く) | 受付から経過した審査期間ごと失う(標準は概ね2か月・手引 PDF p.16) |
この表の「失う時間」の行が、実務ではもっとも重い違いです。 受け付けられなかった場合は「まだ何も始まっていない」状態に戻るだけですが、受け付けられた後に組み直しが必要になった場合は、すでに費やした審査期間が丸ごと失われます。
1-2. 用語についての注記——手引に「不受理」という言葉は出てこない
正確に言うと、岡山県の手引・審査要領は「不受理」という語を使っていません。実際に使われているのは、次のような言い回しです。
- 「記載事項に不備がなければ申請は受け付けられます」(手引 PDF p.16)
- 「追加、般特新規、更新申請の受付はできません」(手引 PDF p.153)
- (複数の申請等を同時に提出した場合の取扱いとしてですが)「いずれかの書類に不備があって返却する場合にはいずれの書類も返却し、後日同時に受け付けるものとする」(審査要領 PDF p.30)
つまり、実態は「受け付けられずに書類が返る」です。処分としての「不許可」とは段階が違い、審査に入る前の入口で止まっている状態だと理解してください。この違いは、後述する補正・取下げの可否(§7)にそのまま効いてきます。
1-3. 「受け付けられたか」を書面で確認する方法——受領票
「窓口で預けてきたが、あれは受け付けられたのだろうか」——郵送申請ではとくに気になるところです。岡山県には、これを書面で確認する仕組みがあります。
受領票は、「新規、更新及び追加・般特新規許可申請を行った際に、申請が受付され審査中であることを証明する書類」です(手引 PDF p.15)。指定の様式に必要事項を記載して窓口に提出または送付し(郵送の場合は返送用封筒を同封)、申請書の受付後に押印されて破線から下が返却されます。
注意点が2つあります。
- 受領票は申請書につづり込まず、1枚のみを別途提出します(手引 PDF p.15)。提出書類一覧表でも「つづらず1部のみ提出」「希望する方のみ」と整理されています(手引 PDF p.169)
- 提出は当日限りです(郵送の場合は同封されていることが条件)。後から「やっぱり受領票が欲しい」と申し出ることはできません(手引 PDF p.15)
つまり、受領票を取るかどうかは、申請書を出す瞬間に決めておく必要があるということです。元請から「許可申請中であることを示す書類はないか」と求められる場面を想定するなら、申請の前に判断しておいてください。
2. 岡山県は事前審査を一切行わない——書類を完全に整えて出すという前提
本記事でもっとも重要な運用がこれです。手引は、許可申請書の提出について次のように明記しています。
「事前審査は一切行いません。 正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。」(手引 PDF p.16)
2-1. 「持ち込んで見てもらいながら直す」という進め方はできない
他の許認可では、窓口に下書きを持ち込んで見てもらい、指摘を受けながら仕上げていく進め方が通用することがあります。岡山県の建設業許可では、それが前提とされていません。 窓口に持ち込む時点で、書類は完成しているものとして扱われます。
これが、本記事のような「不備の類型」を事前に把握しておく価値の源泉です。窓口が不備を教えてくれる前提で動くと、そのぶんだけ往復が発生し、時間だけが過ぎていきます。
2-2. 窓口には「審査が止まる時間帯」がある
もうひとつ、見落とされやすい運用があります。窓口の受付時間と審査の関係です(手引 PDF p.16)。
- 窓口受付時間は 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)
- 11時30分から13時00分まで、および16時30分から翌開庁日の9時00分までの間は、窓口を閉じるとともに審査を休止します
- 原則として、審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了します
- 手引は「特に、新規、更新、追加、般特新規申請の場合、更に十分な時間的余裕を持ってお越しください」と付け加えています
新規許可申請の書類は、閲覧用・非閲覧用あわせて相当な分量になります(§3-1)。16時過ぎに窓口へ持ち込むと、審査の途中で打ち切られる可能性があるということです。「今日中に受付印をもらう」ことを織り込んだ日程を組んでいる場合は、この点が致命傷になり得ます。
2-3. 提出方法|本記事は書面申請(持参・郵送)を前提に整理します
本記事は、書面(持参・郵送)による申請を前提に整理します。 手引は「時間的な余裕がある申請等については郵送による提出も受け付けています」としています(手引 PDF p.16)。送付先は窓口と同じです。
郵送の場合も、事前審査がないという前提は変わりません。むしろ、その場で軽微な誤りを指摘してもらう機会がないぶん、書類の完成度がそのまま結果になります。郵送を選ぶなら、日程には往復ぶんの余裕を見込んでください。
2-4. ただし「受け付けられた=完璧」ではない
もうひとつ、勘違いしやすい点があります。手引は、窓口での書面審査について「限られた時間で行うことから、受付後にも書類の訂正等について追加で連絡することがあります」と書いています(手引 PDF p.16)。
つまり、受付印が押されたからといって、書類に一切の誤りがないと確認されたわけではありません。 受付はあくまで「審査に入れる状態になった」というだけで、その後に訂正の連絡が来ることは想定されています。その場合の直し方が、§7 の補正・取下げです。
2-5. 申請の受付は本庁一元——県民局は受付をしない
提出先についても押さえておきます。手引は「建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています」と明記しています(手引 PDF p.168)。
一方で、岡山県は所在地に応じて3つの県民局建設部ごとに担当区域を設け、建設業に関わる事務の一部を行っています(手引 PDF p.168)。受付後の営業所調査を担当するのが、この所轄の県民局です(手引 PDF p.17)。
「申請=本庁」「営業所調査=所轄の県民局」という役割分担を取り違えると、そもそも書類が届きません。地域ごとの流れは岡山市で建設業許可を取るには、倉敷市で建設業許可を取るにはに整理しています。
3. 窓口で止まる形式不備の類型|様式・部数・訂正・日付
ここからが、申請前に潰せる不備の本体です。まずは、要件の中身とは無関係に、書類の作り方だけで止まる類型を整理します。
3-1. 部数とつづり方——「1部でも足りない」で止まる
岡山県の提出部数は、他県の運用を知っている方ほど間違えやすい部分です(手引 PDF p.15・p.25)。
- 提出書類を閲覧用と非閲覧用に分け、それぞれ3部(正1、副2)、合計6部を提出します
- 黒ひも等で、様式番号の順につづってから提出します(複数の届をまとめて提出する際は届出ごとに並べます)
- 表紙は岡山県指定のものを添付します。裏表紙は不要です
- 表紙は、閲覧/非閲覧の選択欄の該当部分を囲む等して区別します
- ひもを推奨しているのは、修正の手間等を考慮してのこととされています(手引 PDF p.15)
これに加えて、性格の違う書類が2種類あります(手引 PDF p.169)。
| 区分 | 部数 | 扱い |
|---|---|---|
| ①提出書類(閲覧用) | 3部(正1・副2) | 表紙に「閲覧用」を選択してつづる |
| ②提出書類(非閲覧用) | 3部(正1・副2) | 表紙に「非閲覧用」を選択してつづる |
| ③確認資料 | 1部 | つづらず提示(確認のみで提出不要) |
| ④その他書類(受領票) | 1部 | つづらず別途提出(希望者のみ・§1-3) |
③の確認資料をつづり込んでしまう、②の非閲覧用に入れるべき書類を閲覧用に入れてしまう——このあたりが、実際に起きる取り違えです。閲覧用の書類は「顧客・取引先・同業者・調査会社等、多数の目に留まることになります」と手引が明記している(手引 PDF p.24)とおり、区分を誤ると見せる必要のない情報が閲覧対象になるという別の問題も生じます。
3-2. 押印は不要だが、訂正の作法は厳格
令和3年1月から、従来押印が必要であった様式については押印が不要となりました(手引 PDF p.15・p.25)。ただし、押印がなくなったぶん、訂正の作法は厳格に運用されています。
- 訂正にホワイト(修正液・修正テープ等)は使えません。 誤りのある箇所は二重線を引いて訂正します(手引 PDF p.25)
- 申請の宛て名や根拠条文など、様式に記載されたものから選択する場合にも二重線で抹消します(手引 PDF p.25)
- ただし表紙に限り、修正液・修正テープ等で修正しても差し支えないとされています(審査要領 PDF p.3)。この取扱いは変更届でも同様です
- 副本は正本をコピーして作成しても構いませんが、手書きで作成する場合はペン又はボールペンを使います(鉛筆及び消せるボールペンは不可・手引 PDF p.15)
3-3. 「申請者本人以外が訂正できない欄」がある
ここは、代理申請の場面で必ず問題になる論点です。手引は「同業者による証明を受けた部分や法人の役員等の調書など、申請者が訂正できない部分があります」と注意しています(手引 PDF p.25)。
審査要領は、これをさらに具体的に定めています。行政書士が代理申請を行う場合、許可申請書等の修正について委任を受け、その旨の委任状の提出があった代理人については代理人による書類の訂正を認めるとしつつ、次の内容については本人以外による訂正を認めないとしています(審査要領 PDF p.3)。
| 様式 | 本人以外が訂正できない欄 |
|---|---|
| 様式第6号(誓約書) | 誓約日及び署名 |
| 様式第7号 別紙/様式第7号の2 別紙一・別紙二(略歴書) | 現住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名 |
| 様式第12号(許可申請者の住所、生年月日等に関する調書) | 住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名 |
| 様式第13号(令3条の使用人の調書) | 住所、氏名、生年月日、賞罰、誓約日及び署名 |
| 業務改善報告書 | 日付の誤記以外の修正 |
つまり、これらの欄に誤りがあると、その場では直せません。 本人の署名が必要な書類は、本人が近くにいない状況で誤りが見つかった瞬間に、その日の申請が成立しなくなるということです。申請日に向けた準備では、この5つの様式を最後にもう一度確認する価値があります。
なお、代理申請を行う場合は、委任状の原本を非閲覧用の正本に添付し、写しを副本に添付します(審査要領 PDF p.3)。また、行政書士が書類作成を代行した場合は、表紙の作成者氏名欄に行政書士氏名(事務所名がある場合は併記)を記載し、必要に応じて職印を押印することとされています(審査要領 PDF p.3)。
3-4. 様式そのものが違う——「内容が同じでも不可」の類型
中身は合っているのに、様式が違うために通らないというパターンがあります。これは事前に知らないと防げません。
- 様式の改変は原則として認められません。 とくに入力事項欄のカラム番号(記載枠上部の小さい数字)を省略すると電算処理ができません(手引 PDF p.25)。改変が認められるのは、表を見やすくするため罫線で横に区切る場合、工事経歴書等において記載要領表示を廃して行数を増やす場合、直前3年の工事施工金額において使用しない期を削除する場合など、限られた例だけです
- 財務諸表は、税務署に申告した直近の決算書を基に、個人/法人の別に指定された様式を用いて作成します。「内容が一緒でも独自様式では認められません」(手引 PDF p.130)
- 経営事項審査に用いる実務経験証明書とは、様式・記載要領のいずれも異なります。経営事項審査用のものが添付されていても受付できません(手引 PDF p.83)。経審を受けている会社ほど陥りやすい取り違えです
- 経営事項審査を受審する際に添付する工事経歴書についても記載要領が異なります(審査要領 PDF p.8)
3-5. 日付の記入漏れ——手引がわざわざ名指ししている不備
手引は、提出前に確認すべきものとして「日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないこと」を名指ししています(手引 PDF p.16)。日付についての一般ルールは次のとおりです。
「【日付の記載】日付を記載する様式については、申請日、届出日、誓約日、証明日又は作成日をそれぞれ記載してください。」(手引 PDF p.26)
審査要領も、様式ごとに日付を確認する旨を個別に書いています。使用人数(様式第4号)は「作成の日付を記載すること」、誓約書(様式第6号)は「作成した日付を記載すること」、常勤役員等の略歴書は「誓約の年月日(作成日)を記載する」といった具合です(審査要領 PDF p.10・p.19)。
日付は、書類の中でもっとも「書いたつもりで空欄のまま」になりやすい欄です。しかも誓約日は本人以外が訂正できない欄(§3-3)でもあります。提出前の最終確認では、日付欄だけを通しで見るという潰し方が有効です。
3-6. 形式不備チェック表(申請前の最終確認用)
ここまでを1枚にまとめます。いずれも、要件の話ではなく書類の作り方だけで止まる類型です。
| 確認項目 | 基準 | 出典 |
|---|---|---|
| 部数 | 閲覧用3部(正1副2)+非閲覧用3部(正1副2)=計6部 | 手引 PDF p.15・p.25 |
| つづり方 | 黒ひも等・様式番号順・表紙あり/裏表紙不要 | 手引 PDF p.15・p.25 |
| 確認資料 | つづらず1部のみ提示 | 手引 PDF p.169 |
| 受領票 | 希望者のみ、つづらず1部を別途提出(当日限り) | 手引 PDF p.15・p.169 |
| 訂正 | 二重線(ホワイト不可)。表紙のみ修正液等が可 | 手引 PDF p.25/審査要領 PDF p.3 |
| 本人しか直せない欄 | 誓約書・略歴書・様式第12号・様式第13号の署名等 | 手引 PDF p.25/審査要領 PDF p.3 |
| 様式 | 改変不可・カラム番号を省略しない | 手引 PDF p.25 |
| 財務諸表 | 指定様式のみ(独自様式は不可) | 手引 PDF p.130 |
| 実務経験証明書 | 建設業許可用の様式(経審用は不可) | 手引 PDF p.83 |
| 日付 | 申請日・届出日・誓約日・証明日・作成日を漏れなく | 手引 PDF p.26 |
| 法定手数料 | 納付済証を様式第1号 別紙三に貼付(別紙三は別葉) | 手引 PDF p.14/審査要領 PDF p.6 |
4. 添付書類で止まる|有効期限・原本と写し・記載内容
形式の次に多いのが、添付書類の「取り方」で止まる類型です。添付書類は取得に日数がかかるため、ここで止まると出し直しまでの時間がもっとも長くなります。
4-1. 有効期間——受付日から逆算する
もっとも見落とされるのが、証明書類の有効期間です。
「【証明書類の有効期間】添付の証明書類については特に指定がない場合でも、受付日において発行から3か月以内のものである必要があります。なお、残高証明書については、1か月以内の時点(複数の金融機関の残高証明書による場合は、証明日が同日付であること)の残高を証明したものに限ります。」(手引 PDF p.26。同旨=手引 PDF p.149)
ここで効いてくるのが、「受付日において」という書きぶりです。書類を作り始めた日でも、窓口に持ち込んだ日でもなく、受け付けられた日が基準です。§2 のとおり、岡山県は事前審査を行いません。不備で受け付けられないまま日が過ぎると、先に取った証明書のほうが先に期限切れになります。
残高証明書には、さらに固有のルールがあります(審査要領 PDF p.28)。
- 新規許可申請書等に添付する残高証明書は、申請時点から1か月以内の時点における残高が許可要件を満たしているかで判断します。「証明書の発行日が1か月以内という意味ではない」と、審査要領はわざわざ注意しています
- 複数の金融機関を合算する場合の証明日の揃え方など、残高証明の段取りは建設業許可の残高証明書はいつ・いくら必要?に譲ります
自己資本が足りないときの打ち手は自己資本500万円が足りないとき、財産的基礎という要件そのものは建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備に整理しています。
4-2. 原本と写しの振り分け
どれを原本で出し、どれを写しにするかも、書類ごとに決まっています(手引 PDF p.15・p.149)。
- 商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、身分証明書、登記されていないことの証明書又は医師の診断書、残高証明書、卒業証明書等については、正本に原本を、副本にコピーを添付します
- 納税証明書(事業税納付済額証明書)については原本を提出する必要はありません(正本にコピーを添付しても構いません)。令和3年9月から原本提出は不要とされています(審査要領 PDF p.29)
- 常勤性の確認資料は、確認のみのため、つづらず一部だけ提示します(手引 PDF p.151)
- 婚姻等による氏名変更の確認資料も、つづらず一部提示です(手引 PDF p.151)
写しの品質にも基準があります。
「【コピーは明瞭に】写しを添付する場合には明瞭にコピーしてください。写しをさらにコピーしたもの等、文字が不鮮明な場合は不可となります。」(手引 PDF p.26)
資格者証等についても同様で、「原本の存在を確認した上で、原本を直接コピーした書面を添付してください。写しを再度コピーしたものや不鮮明なもの等では認められません」と明記されています(手引 PDF p.79)。社会保険の確認資料についても「不鮮明なものの提出は認められません」とされています(手引 PDF p.72)。
「前回の申請の控えをコピーして使う」という節約が、そのまま不備になる類型です。
4-3. 証明書の「中身」が足りないケース
取得はしたが、書かれている内容が要件を満たしていないという止まり方もあります。
納税証明書(手引 PDF p.149/審査要領 PDF p.29)
- 岡山県知事許可の場合、法人事業税又は個人事業税の納税証明書が必要です
- 課税額及び納付済額が明記されている必要があります(「***」のみの表示は不可)。審査要領も「納付すべき額及び納付済額が記載されている証明書であるか」を確認事項に挙げています
- 審査要領は「県の入札参加資格申請書の添付書類とされている完納証明書とは異なるので注意すること」と明記しています。入札参加資格の手続を経験している会社ほど取り違えやすい部分です
- 最初の決算を終了していない場合でも省略はできません。 新設法人等の場合は「決算未到来につき課税なし」等と記載した証明書を、個人事業主の場合は「課税なし」等と記載した証明書を添付します(手引 PDF p.149)。審査要領は「納期限未到来」として証明書の提出が必要と整理しています(審査要領 PDF p.29)
商業登記事項証明書(手引 PDF p.150)
- 原則として履歴事項全部証明書の添付が必要で、法務局で発行され、登記官が認証したものに限られます
- 必要に応じて閉鎖事項証明書についても、窓口で提出する場合や営業所調査等で確認することがあります
定款(手引 PDF p.149/審査要領 PDF p.29)
- 設立後変更がない場合は原始定款の写し(公証人の認証部分を含む)を添付します
- 設立以降に変更があった場合は、原始定款と株主総会の議事録の写しを添付します。何度も変更があった場合には、現在定款を改めてまとめた上で代表者による原本証明(3部すべてに証明日と「当社の現行定款に相違ない」旨、所在地、名称、代表者役職及び代表者名を記載)を行ったものを提出します
- 審査要領は、この原本証明について「所在地の記入漏れが多い」とわざわざ注記しています(審査要領 PDF p.29)
4-4. 「該当なし」でも省略できない書類
該当者がいないから出さなくてよいと考えて落とすと、そのまま不備になる書類があります。
- 様式第11号(建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表)は、該当がない場合も「該当なし」等を記載して必ず添付します(手引 PDF p.152)。従たる営業所を置いていない会社でも例外ではありません。令3条の使用人という制度そのものは令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件で扱います
- 様式第2号(工事経歴書)・様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)は、新規設立法人等で工事実績がない場合でも、申請する業種ごとにその旨を記載した帳票の添付が必ず必要です(手引 PDF p.152)
- 財務諸表は、新規設立法人等で決算を迎えていない場合でも添付が必要です。創業時の状況(通常は資本金に関する記載のみ)を記載します(手引 PDF p.152)
- 営業所一覧表(様式第1号 別紙二(1))は、従たる営業所を有しない場合でも白紙の添付で可とされていますが、様式の添付自体は必須です(審査要領 PDF p.6)
- 様式第13号(令3条の使用人の調書)は、様式第11号に該当者の記載がない場合には添付を省略できます(審査要領 PDF p.26)。「一覧表は必須、調書は該当者がいれば」という対応関係です
4-5. 氏名の字体という、地味だが実害の大きい落とし穴
最後にひとつ、知らないと必ず一度は踏む論点を挙げます。
「役員の氏名の漢字の字体(新字体・旧字体)については、申請書・略歴書・別紙一など提出書類の中において、普段使いの字体(日常的に使用している字体)で統一すること。また、非閲覧用に添付する『登記されていないことの証明書』の氏名についても、普段使いの字体を用いて取得すること。」(審査要領 PDF p.6)
証明書は、取得の時点で字体を指定しなければなりません。 申請書を作ってから「字体が違う」と気づいても、証明書側は取り直しになります。法務局・市区町村での取得には日数がかかるため、この1点で申請日が1〜2週間ずれることがあります。
同様に、技術者の資格を証する書類(合格証明書等)と様式記載の氏名等に相違がある場合は、戸籍謄本等の提示により確認が行われます(審査要領 PDF p.22)。婚姻等で姓が変わっている技術者がいる会社は、ここも事前に確認しておく価値があります。
5. 書類どうしの食い違いで止まる|整合性と、過去の届出との矛盾
個々の書類は正しいのに、書類どうしを突き合わせると数字や記載が合わない——これが3つ目の類型です。窓口の書面審査でも、受付後の調査でも指摘され得ます。
5-1. 財務諸表と工事経歴書・工事施工金額の数字は突き合わされる
審査要領は、財務諸表のチェック箇所を明示しています(審査要領 PDF p.27)。
法人の場合
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額の施工金額合計と、損益計算書の完成工事高が等しいこと
- 完成工事原価報告書の原価合計と、損益計算書の完成工事原価が等しいこと
- 負債純資産合計と資産合計が等しいこと
- 株式会社の場合は、当該決算期の事業報告書を添付すること
- 千円未満を切り捨てるため、タテ計は合わなくても差し支えありません
個人の場合
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額の施工金額合計と、損益計算書の完成工事高が等しいこと
- 負債純資産合計と資産合計が等しいこと
- 損益計算書の事業主利益と純資産の部の事業主利益が等しいこと
さらに、工事経歴書についても「工事経歴書における各業種の完成工事高の合計が、直前3年の各事業年度における工事施工金額の表(様式第3号)の業種の合計金額の概ね7割以上になっているか、または等しいかを確認する」とされています(審査要領 PDF p.8)。
税込・税抜の扱いも統一が必要です。「財務諸表における消費税の取扱いと、工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額の表における消費税の取扱いは統一すること」(審査要領 PDF p.26)、様式第3号では「『税込』又は『税抜』のどちらかに○印を付すこと」(審査要領 PDF p.10)とされています。
5-2. 工事経歴書に「工事でないもの」を書かない
工事経歴書には、そもそも計上してはいけないものがあります。
「工事以外のもの(草刈、樹木・緑地・公園の管理、機械設備の保守点検、清掃、建材の販売、自動車・船舶等への作業など)は計上しないこと。」(審査要領 PDF p.7)
決算書の売上をそのまま書き写すと、兼業に当たるものまで完成工事高に混ざります。混ざったまま出せば、§5-1 の突き合わせで合わなくなります。
記載の順序と量にも決まりがあります。「工事経歴書には、報告対象年度内に完成した当該業種の工事請負額の概ね7割を超えるところまで、請負代金の大きい順に記載する。ただし、施行令第1条の2第1項に規定する軽微な工事については、10件を超えて記載することを要しない」(審査要領 PDF p.8)。土木一式工事・建築一式工事については、軽微な工事の有無に関わらず、当該業種に係る完成工事高の総額の少なくとも7割を超えるところまで記載することとされ、小口工事として記載することはできません。
また、着工年月日・完成(又は完成予定)年月については、契約書記載の工期ではなく、実際に工事に着手した月及び工事が終了して発注者に引き渡した月を記載します(審査要領 PDF p.9)。個人住宅の新築等で発注者や工事名等に個人の名称が記載されている場合は、個人名が特定されないように「個人1邸新築工事」等と記載します(審査要領 PDF p.9)。
なお、軽微な工事の金額ラインそのものは建設業許可が必要な500万円のラインで扱っています。
5-3. 実務経験証明書と工事経歴書は連動する
営業所技術者を実務経験ルートで立てる場合、書類は単独では完結しません。
「専技について実務経験証明書を添付している場合、証明書に記載された工事が、当該年度の工事経歴書に記載されている必要がある。」(審査要領 PDF p.8)
実務経験証明書に書いた工事が、工事経歴書に載っていない——この食い違いは、両方を別々に作ると簡単に発生します。証明書側だけを見て工事を選ぶと、7割ルール(§5-2)で工事経歴書に載らない小さな工事ばかりになる、ということが起こり得ます。
技術者の確保そのものは営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?、10年の実務経験証明の進め方は営業所技術者の実務経験10年証明、証明書類が揃わない場合の代替立証は実務経験の証明書類が揃わないとき、業種をまたぐ場合の期間の扱いは実務経験は業種をまたいで通算できる?に整理しています。
5-4. 過去に自社が出した届出が、今回の申請を縛る
もっとも直しようがないのがこの類型です。 手引は、実務経験証明書の記載について、ひとつの工事を過去の事業年度終了報告や、他の技術者の実務経験証明などで報告した業種とは別の業種として書くことを認めないと注意しています(手引 PDF p.81・p.84)。
つまり、毎年出している事業年度終了報告の工事経歴書に、その工事をどの業種で書いたかが、後の申請での書き方を縛ります。「今回はこの業種で証明したいから、あの工事を別業種として使いたい」という組み替えはできません。工事経歴書についても「事業年度終了報告において、その他工事以外の業種として報告した工事について、業種を変更して記載することはできません」とされています(手引 PDF p.153)。
同じ発想の確認は、他の様式にもあります。
- 営業の沿革(様式第20号)は「その記載内容が、登記簿等と矛盾がないこと」「更新申請の場合は前回申請時と突合し内容確認を行う」(審査要領 PDF p.27)
- 常勤役員等証明書(様式第7号)は「様式第12号(許可申請者の住所、生年月日等に関する調書)及び提示されている厚生年金標準報酬決定通知書等との整合性(住所、生年月日、異動年月日、常勤期間)の確認を行う」(審査要領 PDF p.10)
- 常勤役員等の略歴書は「常勤役員等証明書に記載された役員の期間と齟齬のない期間を記入する」「様式第7号の記載事項と齟齬がないように記載する」(審査要領 PDF p.19)
- 役職名は「単なる役員であった期間と代表取締役の期間がある場合、現在の役職のみ記載していないか」が確認されます(審査要領 PDF p.11)
過去の届出は、今の自社の主張を裏付ける材料にもなれば、否定する材料にもなります。 経営業務の管理責任者等の要件そのものは経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法、該当者がいない場合の打ち手は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?に整理しています。
5-5. 役員等の一覧表の「範囲」を間違えると、審査の対象範囲がずれる
誰を役員等として書くかは、欠格要件・誠実性の審査対象範囲に直結します。審査要領は次のように整理しています(審査要領 PDF p.5-6)。
役員等に含まれる
- 業務を執行する社員(持分会社)、取締役(株式会社)、執行役(委員会設置会社)、これらに準ずる者(法人格のある各種の組合等の理事等)
- 業務を執行する社員又は取締役若しくは執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員等
- 相談役、顧問、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主若しくは出資総額の100分の5以上に相当する出資をしているもの(個人に限る)等、会社に対し取締役と同等以上の支配力を有する者
役員等に含まれない(記載の必要がない)
- 監査役、執行役員、会計参与、監事、事務局長等(ただし上記の権限委譲を受けた執行役員等は含む)
「うちの顧問は登記されていないから関係ない」という判断が、そのまま記載漏れになる類型です。株主(出資者)調書(様式第14号)も、株式会社なら総株主の議決権の5%以上を有する株主を記載します(審査要領 PDF p.26)。
5-6. 変更届の提出漏れ——更新・追加が「受け付けられない」最大の原因
すでに許可を持っている会社にとって、もっとも現実的な不受理事由がこれです。手引は2か所で明記しています。
ひとつは更新申請の注意点で、事業年度終了報告などの変更届を法定期限内に出していない会社は、更新申請等を受け付けてもらえないとされています。あわせて、変更届を出さないまま変更前の情報のままで許可を受けてしまうと監督処分を受けることになるので注意するよう求めています(手引 PDF p.155)。
もうひとつは追加申請・般特新規申請の注意点で、変更届の提出漏れがあるときは追加・般特新規・更新のいずれの申請も受付できないと整理されています(手引 PDF p.153)。
さらに、許可取得後の注意事項としても「期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります」と書かれています(手引 PDF p.22)。
期限の代表例は次のとおりです(手引 PDF p.22)。
| 届出 | 期限 |
|---|---|
| 事業年度終了報告 | 決算日から4か月以内(毎年) |
| 経営業務の管理責任者等・営業所技術者等の変更 | 変更後2週間以内 |
| 廃業届 | 30日以内(一部業種のみの廃業は営業所技術者等の変更届が必要なため2週間以内) |
「更新のときにまとめて出せばよい」という運用は成立しません。 出していない変更届がある限り、更新申請そのものが受け付けられないからです。届出事項ごとの期限と提出書類は、手引の「変更届出事項及び提出書類等一覧表」(手引 PDF p.170)にまとまっています。
6. 受け付けられても許可されない|要件の不充足・虚偽記載・調査で確認できないもの
ここからが、受付を通過した後の話です。受付は書類の形式の話、許可は要件の話——この切り替わりを意識してください。
6-1. 許可は「全ての要件を充足していると認められる」ときに出る
再掲になりますが、手引は「本庁の土木部監理課でも所要の調査を行い、全ての許可要件を充足していると認められると許可されます」としています(手引 PDF p.16)。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)が担当ですので、本記事では「どの要件が、どの調査で確認されるのか」という切り口だけを示します。
| 要件 | 主に確認される場面 | 担当記事 |
|---|---|---|
| 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(経管) | 県民局の営業所調査(経験と現在の常勤性) | 経営業務の管理責任者とは |
| 営業所技術者 | 県民局の営業所調査(資格の原本・実務経験の契約書等) | 営業所技術者がいないとき |
| 適切な社会保険への加入 | 申請書の様式第7号の3と確認資料 | 建設業許可に社会保険の加入は必須? |
| 誠実性 | 申請書の記載と、必要に応じた個別確認 | 建設業許可の誠実性の要件 |
| 財産的基礎 | 財務諸表・残高証明書 | 財産的要件|500万円・残高証明 |
| 欠格要件に該当しないこと | 誓約書・調書・証明書、および調査 | 建設業許可の欠格要件とは |
| 営業所の実体 | 県民局の営業所調査 | 自宅を営業所にして建設業許可は取れる? |
6-2. 営業所調査は「確認できるものがなければ許可を受けることができない」
営業所調査については、手引が異例に強い書き方をしています。新規申請の場合の調査確認事項及び提出書類等を列挙したうえで、次の一文が置かれています。
「※いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません。」(手引 PDF p.17)
確認されるのは、看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)等です。営業所は居住部分と共用することはできません。 賃貸借契約を締結している場合には、契約書上で営業活動に利用することが認められていることが必要です(手引 PDF p.17)。
この調査は、申請受付後、半月程度で所轄の県民局から実施の連絡があります(手引 PDF p.17)。つまり、申請してから半月ほど経った時点で初めて、看板や契約書の問題が表面化するということです。書類上は整っていても、実体が伴っていなければここで止まります。営業所の要件は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?で詳しく扱います。
なお、営業所調査が早く終わったからといって、許可が早く取得できるわけではありません(本庁の調査が別途進行するため・手引 PDF p.16)。
6-3. 虚偽の記載だけでなく「記載が欠けている」ことも許可できない事由になる
欠格要件の説明に続けて、手引は次のように書いています。
「また、許可申請書及びその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けている場合も許可できません。」(手引 PDF p.10)
注目すべきは後半です。 「虚偽の記載」だけでなく、「重要な事実の記載が欠けている場合」も並列で挙げられています。積極的に嘘を書いたつもりがなくても、書くべきことを書いていなければ同じ扱いになり得るということです。
§5-5 で見た役員等の一覧表の範囲、§5-4 で見た過去の届出との整合性が効いてくるのはこの点です。「知らなかったから書かなかった」は、制度の側では区別されません。
欠格要件そのものの列挙・読み方は建設業許可の欠格要件とは、許可を取り消された後にいつから取り直せるかは許可取消のあと建設業許可を取り直せる?が担当です。なお、事案によっては監督処分とともに建設業法第47条等の罰則の対象となり得ます(手引 PDF p.23)。刑事に関わる見通しについては、弁護士にご相談ください。
6-4. 更新申請でも許可されないことがある——営業の実態が確認できない場合
「更新は形式的なもの」と思われがちですが、そうではありません。審査要領は、建設業に係る売上が確認できない場合における更新申請という項目を設けています(審査要領 PDF p.37)。
- 直前5年間まったく売上が計上されていない場合:建設業法第29条第1項第3号は「許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合」に許可を取り消さなければならないとしています。ここでいう「営業」には、建設工事の施工に限らず、入札参加、積極的な契約の誘因等の請負契約の準備的行為あるいは前提行為等も広く含まれるものと解されており、これらの行為がなされていたか否かを判断する必要があるとされています。この場合、営業の実態や売上が計上されなかった理由について口頭により確認(郵送申請の場合には電話により確認)し、営業の有無を判断することとされています
- 隔年で売上が計上されているような場合:口頭で営業の実態等を聴取し、営業を休止していなかったことが確認できる場合は更新申請を受理します。ただし、今後、建設業に係る売上が継続して計上されず、営業を行っていたと判断できない場合には、許可の取消し(更新申請不許可)を行う場合があるとされています
「許可だけ持っている」状態が続いている会社は、更新の局面でこの確認を受け得るということです。休眠に近い状態が続いているなら、更新の準備は早めに始める価値があります。
また、社会保険についても「更新申請においても、適切な社会保険に加入していない場合は許可することができないので注意すること」と明記されています(審査要領 PDF p.19)。
6-5. ★見落とされやすい運用——過去の違反が見えても、それだけで止まるとは限らない
ここは、直感に反する運用です。工事経歴書を正直に書いた結果、過去の配置技術者や受注の問題が見えてしまうことがあります。この場合の扱いを、審査要領は具体的に定めています。
審査要領によれば、提出された工事経歴書から配置技術者に関する次の3つの違反が見つかった場合、県は業務改善報告書を徴したうえで申請等を受け付ける扱いです(審査要領 PDF p.7)。
- 専任の技術者を置かなければならない工事(建設業法第26条第3項)に、営業所技術者等を配置していた
- 専任が必要な工事に配置した技術者を、その工事の工期と重なる期間に、別の工事の技術者としても配置していた
- 営業所技術者等を、隣接県より遠い工事現場の技術者として配置していた
さらに、次の2つも同じ扱いです。
- 配置技術者が、申請(届出)のあった建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係を有していない場合(在籍出向者や派遣社員、一つの工事のみの短期雇用者であった場合)——業務改善報告書を徴した上で申請等を受付する(審査要領 PDF p.8)
- 工事経歴書に記載されている工事について、その業種について許可を有していないのに、許可が必要な軽微でない工事を受注していた場合——業務改善報告書を徴した上で申請等を受け付ける(審査要領 PDF p.8)
つまり、過去の問題が見えたこと自体をもって、その場で申請が門前払いになるわけではありません。 岡山県は「業務改善報告書」という制度を用意し、それを徴したうえで受け付けるという処理を定めています(本記事は制度の紹介にとどめます)。
一方で、§6-3 のとおり、虚偽の記載や重要な事実の記載欠落は許可できない事由です。 この2つを並べると、実務的な含意ははっきりします。問題を隠して書類を作ることは、問題があること自体よりも重い結果につながり得る、ということです。過去に無許可で受注してしまった場合の考え方は無許可で500万円以上を受注してしまったらに整理しています。
なお、実際にどう扱われるかは事案ごとの個別判断です。過去の受注や配置に不安がある場合は、書類を作り始める前にご相談ください。
7. 受付後に直せるもの・直せないもの|補正書による補正と取下げ
受け付けられた後に誤りが見つかった場合、岡山県には2つの道が用意されています。どちらになるかで、失う時間がまったく違います。
7-1. 補正書による補正と、取下げ願による取下げ
手引は、この2つを次のように整理しています。
「既に提出した許可申請や変更届出の内容の誤り等により補正指示を受けた場合や、自社で申請内容の誤りを発見した場合は、『補正書による補正』を行ってください。なお、誤りの内容が県ホームページで公開している『補正不可一覧表』に該当する場合は、『補正書による補正』ができませんので、『取下げ願による取下げ』を行ってください。」(手引 PDF p.20)
審査要領は、これをさらに具体化しています(審査要領 PDF p.31)。
- 軽微な誤りの場合:補正書と、誤りの部分を補正した正しい書類を各3部提出して補正を行う
- 補正箇所が多岐にわたる場合や、審査の根幹に関わる事項の修正:申請又は届出を取下げし、再度申請又は届出を行う
7-2. 補正では直せない4類型
審査要領は、補正書による補正を不可とする主な案件を明示しています(審査要領 PDF p.31)。
| # | 補正不可とされる案件 |
|---|---|
| ① | 役員等に欠格要件に該当する者があり、役員等の届出内容を変更する場合 |
| ② | 申請又は届出のあった営業所が許可要件を満たさないため、別の場所を営業所とするよう申請又は届出の内容を変更する場合 |
| ③ | 一旦許可申請を行った業種を、申請者の都合で審査中に変更する場合 |
| ④ | 補正を要する箇所が多岐にわたる場合で、県が補正不可と判断した場合 |
この4つを眺めると、線引きの考え方が見えてきます。「書き間違いを直す」のが補正、「申請の中身そのものを差し替える」のは補正ではない、という区別です。①②は許可要件に直結する事項、③は申請の対象そのもの、④は分量の問題です。
①②に当たった場合、取下げて出し直すことになります。 手数料を含めて、申請は最初からやり直しです。だからこそ、役員等の範囲(§5-5)と営業所の実体(§6-2)は、申請前に潰しておく価値がもっとも高い2点だと言えます。
7-3. ★審査中に「要件を満たさない」と判明した事項は、内容を変更できない
本記事でもっとも重要な運用がこれです。審査要領は、許可申請審査中の変更の取扱いを次のように定めています(審査要領 PDF p.31-32)。
- 申請の受付日から許可を受けるまでの間に、役員等や所在地を変更するなど申請内容に変更があった場合は、速やかに県担当者に連絡のうえ、変更届を提出します。許可申請の審査については、変更届の審査が完了するまでの間は保留とし、変更届の審査完了後に県担当者が許可申請に当該変更を反映する職権訂正を行ったうえで審査します
- ただし、県民局等の調査の結果、役員が欠格要件に該当するなど、許可要件を満たさないことが判明した事項について、その内容を変更することは認めないとされています
後半が決定的です。 「調査で問題を指摘されたので、その役員を外して出し直す」「その営業所をやめて別の場所に変える」という後出しの差し替えは効きません。§7-2 の補正不可①②とあわせて読むと、岡山県の運用は一貫しています。要件は、申請の時点で充たしていなければならないということです。
さらに、時系列の扱いも定められています。
- 許可申請審査中に、申請書受付日より前の日付で事実が発生した変更があったことが判明した場合は、速やかに県担当者に連絡のうえ、変更届及び業務改善報告書を提出するとともに、許可申請書については補正書及び訂正書類の提出により修正します(審査要領 PDF p.32)
- 許可取得後に、許可日より前の日付で事実が発生した変更があったことが判明した場合は、変更届及び業務改善報告書を速やかに提出します。変更の事実発生日が申請書受付日以前の場合には、許可申請書の訂正書類と顛末書を併せて提出します(審査要領 PDF p.32)
7-4. 補正が長引くと、財産的基礎の証明が先に切れる
補正には、もうひとつ時限的な問題があります。残高証明書です。
「新規申請について、申請書を持参した際には、証明日が1か月以内の時点のものであったが、補正の間に1か月を経過した場合には、その残高の時点が、申請時から2か月以内のものに限り認める。」(審査要領 PDF p.28)
補正のやり取りが長引くと、提出済みの残高証明書が期限内に収まらなくなるということです。審査要領は「申請時から2か月以内」までは認めるとしていますが、逆に言えばそこを超えると取り直しになります。
同じ発想の運用は、資格の証明でも見られます。合格証明書等の原本を紛失し、再発行手続中に申請・届出を行う場合には、再発行手続中であることを証する書類の写しを添付し、再発行後に県民局調査で原本確認が行われます。このとき、申請時に添付されたコピーと日付の異なる合格証明書(再発行分)が提示された場合には、補正書による補正を行うこととされています(審査要領 PDF p.23-24)。
7-5. 補正・取下げの分かれ目まとめ
| 状況 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 軽微な記載の誤り | 補正書+補正した正しい書類を各3部提出 | 審査要領 PDF p.31 |
| 補正箇所が多岐にわたる/審査の根幹に関わる修正 | 取下げて再申請 | 審査要領 PDF p.31 |
| 役員等に欠格該当者があり届出内容を変更 | 補正不可(取下げ) | 審査要領 PDF p.31 |
| 営業所が要件を満たさず別の場所に変更 | 補正不可(取下げ) | 審査要領 PDF p.31 |
| 申請者都合で審査中に業種を変更 | 補正不可(取下げ) | 審査要領 PDF p.31 |
| 受付日〜許可までに役員等・所在地が変わった | 変更届を提出。審査は保留され、完了後に職権訂正 | 審査要領 PDF p.31-32 |
| 調査で許可要件を満たさないと判明した事項 | 内容の変更は認められない | 審査要領 PDF p.32 |
| 受付日より前の日付で発生した変更が判明 | 変更届+業務改善報告書+補正書及び訂正書類 | 審査要領 PDF p.32 |
なお、書類の種類によっては取下げそのものができないものもあります。廃業届(様式第22号の4)については、手引が「受付後の取下げはできませんので、この届を出すときには十分に注意してください」と明記しています(手引 PDF p.148)。「取下げれば元に戻る」は、すべての書類に当てはまるわけではありません。
8. 岡山県での手続きと、止まったときに失う時間の逆算
不受理・不許可を避けたい理由は、結局のところ時間です。ここでは、岡山県の手続きの実際と、止まった場合に何がどれだけ動くのかを整理します。
8-1. 標準的な時間の目安
| 段階 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 受付〜許可 | 特に問題がないケースで概ね2か月程度 | 手引 PDF p.16 |
| 受付〜営業所調査の連絡 | 半月程度(所轄の県民局から) | 手引 PDF p.17 |
| 営業所調査が早く終わった場合 | 許可が早くなるわけではない(本庁の調査が別途進行) | 手引 PDF p.16 |
| 許可通知 | 許可通知書及び申請書副本を郵送(再発行不可) | 手引 PDF p.19 |
| 申請書類の返却 | 6部とも預かり、許可になったら副本2部を返却 | 手引 PDF p.26 |
「概ね2か月」は、書類が完全に整った状態で受け付けられてからの話です。受け付けられるまでの往復は、この2か月には含まれません。取得のタイミングをどう決めるかは建設業許可を取るタイミング|取得を判断する目安で扱っています。
8-2. 法定手数料と納付の段取り
法定手数料は、申請の種類だけで決まり、申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)。
| 許可申請の種類 | 岡山県知事許可 |
|---|---|
| 新規(許可換え含む)・般特新規 | 90,000円 |
| 更新・追加 | 50,000円 |
| 変更届出書の提出 | 不要 |
複数の申請を同時に行う場合は、それぞれの額の合計額になります(例:一般許可更新5万円+一般許可追加5万円=10万円/一般許可追加5万円+特定許可新規9万円=14万円・手引 PDF p.14)。
納付の段取りも決まっています(手引 PDF p.14)。
- 岡山県手数料等(POS)納付連絡票をホームページから印刷する
- 収納専用窓口に持参して支払う
- 納付済証を受け取る
- 許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に納付済証を貼り付けて提出する
この別紙三(手数料貼付用紙)は、他の帳票の裏面とせず、別葉とすることとされています(審査要領 PDF p.6)。また、一般・特定の両方の申請がされている場合などは手数料が倍になります(審査要領 PDF p.6)。手引が提出前の確認事項に「納付済証の貼付等の遺漏がないこと」を挙げている(手引 PDF p.16)とおり、ここも不備になり得るポイントです。
費用の総額の考え方は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安に整理しています。当事務所にご依頼いただく場合、法定手数料は依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します(費用の見積りの考え方は§9-3)。
8-3. ★更新申請では、不受理がそのまま「失効」になる
新規申請なら、受け付けられなくても整えて出し直せば済みます。更新申請は違います。
- 更新許可申請は、有効期間満了の日の30日前までに受付(書類上不備がなく、受付印が押印された状態)を済ませておく必要があります(建設業法施行規則第5条・手引 PDF p.13・p.21)
- 既許可年月日から5年目の応当日の前日までに、更新申請に必要となる書類が全て整って受け付けられなければ、許可が失効します(手引 PDF p.155)
- 更新許可申請をすることなく許可の有効期間が満了した場合には、改めて新規に許可を取得することになります(手引 PDF p.21)
「30日前までに受付」の「受付」は、書類上不備がなく受付印が押印された状態を指します。 つまり、期限ぎりぎりに持ち込んで不備で返されると、そのまま期限切れになり得るということです。
一方で、更新申請は有効期間満了の日の3か月前から提出することができます(手引 PDF p.13・p.21)。30日前を締切と考えるのではなく、3か月前を目標に動く——これが、不受理を失効に直結させないための最も単純な打ち手です。
なお、許可が失効した直後に新規申請を行う場合について、審査要領は「許可の有効期間満了日から1か月以内に当該許可切れに係る新規申請が受理された場合は、『許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者』に該当するものとして、残高証明書等の添付を不要とする」という取扱いを定めています(審査要領 PDF p.28-29)。ここでも基準は「受理された」ことであり、提出したことではありません。この取扱いにより残高証明書等の添付を省略する場合は、営業の沿革(様式第20号)の「建設業の登録及び許可の状況」欄に、従前有していた許可の取得日及び失効日を記載します(審査要領 PDF p.29)。
8-4. 止まったときに実際に動く時間
| 止まり方 | 起きること | 時間への影響 |
|---|---|---|
| 窓口で受け付けられない | 書類が返る。整えて再提出 | 再提出までの日数。証明書の取り直しが要ると数日〜数週間 |
| 受付後の補正(軽微) | 補正書+補正した書類を各3部提出 | 補正が終わるまで審査が進まない。残高証明の期限にも影響(§7-4) |
| 受付後の取下げ | 取下げ願を提出し、再度申請 | 受付からの経過期間が失われる |
| 審査中の変更届 | 変更届の審査完了まで許可申請の審査は保留 | 変更届の審査期間だけ後ろにずれる |
| 調査で要件不充足が判明 | その事項の内容変更は認められない | 要件の組み直しからやり直し |
この表の最下段が、本記事でお伝えしたい結論です。 要件そのものの問題は、申請してから直せません。だからこそ、申請前に要件を確定させるという順序が要になります。
9. 申請前に潰すためのチェックと、取得後に「次で止まらない」ための維持管理
9-1. 申請前チェック——要件側の5点
書類を作り始める前に、要件が確定しているかを先に確認します。ここが揺れている状態で書類だけ進めると、§7-3 の「後から変更できない」に突き当たります。
- 経営業務の管理責任者等の経験を、書類で立証できるか。 経験の記憶ではなく、契約書・登記事項証明書・社会保険関係書類の現存で判断します(手引 PDF p.17)。詳しくは経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?
- 営業所技術者の資格または実務経験が、原本で示せるか。 資格は免状・合格証明書等の原本、実務経験は契約書原本又は注文書原本及び請書の写し等で確認されます(手引 PDF p.17-18)
- 営業所の実体があるか。 看板・机・電話・ファクシミリ・賃貸借契約書の原本。居住部分と共用していないか(手引 PDF p.17)
- 適切な社会保険の届出を行っているか(手引 PDF p.8)。未加入のままでは、新規でも更新でも許可されません(審査要領 PDF p.19)
- 役員等・支配人・従たる営業所の代表者に、欠格要件に該当する者がいないか(手引 PDF p.10)。ここは申請後に差し替えが認められない領域です(審査要領 PDF p.32)
9-2. 申請前チェック——書類側の7点
要件が固まったら、書類側です。いずれも本記事で挙げた「止まる理由」の裏返しです。
| # | 確認すること | 参照 |
|---|---|---|
| 1 | 提出部数(閲覧用3部+非閲覧用3部=計6部)とつづり方 | §3-1 |
| 2 | 本人しか訂正できない欄(誓約書・略歴書・様式第12号・第13号)の記載 | §3-3 |
| 3 | 日付欄(申請日・誓約日・証明日・作成日)の記入漏れ | §3-5 |
| 4 | 証明書類の有効期間(受付日において発行から3か月以内/残高証明は1か月以内の時点) | §4-1 |
| 5 | 氏名の字体の統一と、その字体での証明書取得 | §4-5 |
| 6 | 財務諸表・工事経歴書・様式第3号の数字の一致、税込/税抜の統一 | §5-1 |
| 7 | 未提出の変更届がないか(あると更新・追加・般特新規の受付ができない) | §5-6 |
7番目は、既存業者にとって最優先の確認項目です。事業年度終了報告を1年でも落としていれば、更新申請の日程を組む前にそこから片付ける必要があります。
9-3. ご依頼いただいた場合に変わること
当事務所は、書類作成の代行だけでなく、委任状に基づく代理申請までお引き受けします。あわせて、営業所調査の準備確認と、調査への同席も報酬に含めてご対応しています。他の事務所からの引き継ぎ受任にも応じています。
本記事で挙げた不備の類型は、いずれも「知っていれば潰せるが、知らなければ気づけない」ものばかりです。とくに、要件が確定しないまま書類だけ進んでしまうという順序の問題は、後から取り返しがききません(§7-3)。どの要件で立てるかを決めてから書類を作る——この順序をご一緒するのが、当事務所の役割だとお考えください。
なお、法定手数料は依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します。証明書等の実費は事務所で立て替え、後日精算します。金額は案件内容により変動しますので、事前にお見積りします。
9-4. 取得後に「次で止まらない」ための維持管理
許可は取って終わりではありません。次の申請で止まる原因は、たいてい取得後の期間に作られます(§5-6)。
- 事業年度終了報告は、決算日から4か月以内に毎年提出します(手引 PDF p.22)
- 経営業務の管理責任者等・営業所技術者等の変更は、変更後2週間以内です(手引 PDF p.22)。これらを欠く状態になり、代わりになる方がいなければ許可を失います。「欠く」状態には、退職・死亡だけでなく毎日出勤することができなくなった場合も含み、病気や事故等で長期入院されるような場合には、社会保険等の資格が継続されていても「欠く」状態とみなされます(手引 PDF p.22)
- 期限内の提出を怠っていると、許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります(手引 PDF p.22)
- 届出事項ごとの期限と提出書類は、手引の「変更届出事項及び提出書類等一覧表」(手引 PDF p.170)にまとまっています
当事務所では、変更届・事業年度終了報告・更新の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。いつ何を出すかのご案内は顧問契約の範囲、申請の代理実行はスポット報酬という切り分けです。
9-5. 許可のその先——公共工事に出るなら、書類の整合性はさらに重くなる
許可を受けた業者が公共工事の入札に参加するには、経営事項審査の受審と、公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です(手引 PDF p.24)。
ここで効いてくるのが、§5 で見た整合性です。経営事項審査は、毎年の事業年度終了報告で提出した数字を土台に進みます。工事経歴書の業種の振り分けや完成工事高の作り方は、そのまま経審の結果に反映されます。許可申請の段階で数字を雑に作ると、数年後の経審まで影響が及ぶということです。
経審の進め方は経審申請を岡山で依頼するならと経営事項審査サービス、入札参加資格は入札参加資格サービスにまとめています。
よくある質問(FAQ)
まとめ
建設業許可が止まる理由は、「受け付けられない(不受理)」と「受け付けられたが許可されない(不許可)」の2層に分かれます。
- 不受理は、書類の形式と中身の問題です。部数・つづり方・訂正の作法・日付(§3)、証明書の有効期間・原本と写し・記載内容(§4)、書類どうしの整合性と過去の届出との矛盾(§5)——いずれも、申請前に潰せる類型です。既存業者にとって最大の落とし穴は、未提出の変更届があると更新・追加・般特新規の受付ができないという点です(手引 PDF p.153・p.155)
- 不許可は、要件そのものの問題です。許可は「全ての許可要件を充足していると認められる」ときに出ます(手引 PDF p.16)。営業所調査では「いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません」と明記されています(手引 PDF p.17)。また、虚偽の記載だけでなく「重要な事実の記載が欠けている場合」も許可できない事由です(手引 PDF p.10)
- 受付後の直し方には、補正書による補正と、取下げ願による取下げの2つがあります(手引 PDF p.20)。ただし、役員等の欠格該当・営業所が要件を満たさない場合の差し替え・申請者都合の業種変更は補正できません(審査要領 PDF p.31)。さらに、調査の結果、許可要件を満たさないと判明した事項について、その内容を変更することは認められません(審査要領 PDF p.32)
そして、これらすべての前提にあるのが、岡山県は事前審査を一切行わないという運用です(手引 PDF p.16)。窓口で相談しながら整える進め方が用意されていない以上、「出す前にどこまで潰したか」がそのまま結果になります。
とくに更新申請では、不受理がそのまま失効につながります(手引 PDF p.155)。30日前を締切と考えるのではなく、提出可能になる3か月前を目標に動くことをおすすめします(手引 PDF p.13)。
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