

既に建設業の許可を受けている方が、同じ区分(一般・特定)の中で別の業種の許可を受けようとする手続きが「追加許可申請」——いわゆる業種追加です(岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.13)。新規で許可を取り直すのではなく、いま持っている許可に業種を足す申請なので、経営業務の管理責任者や財産的基礎といった要件の多くはすでに満たしている状態から出発できます。実際、岡山県の手引も、更新・追加・般特新規申請については、許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有する者は500万円以上の残高証明書が不要であると明記しています(手引 PDF p.149)。
一方で、業種追加が止まるポイントははっきりしています。①追加したい業種の営業所技術者(旧:専任技術者)を置けるか、②変更届の提出漏れがないか、③許可日の一本化(有効期間の調整)をどのタイミングで行うか——この3点です。特に②は見落とされやすく、岡山県の手引は「変更届の提出漏れがある場合、追加、般特新規、更新申請の受付はできません」と明記しています(手引 PDF p.153)。書類を揃えて県庁の窓口へ持ち込んでも、決算変更届が1期でも溜まっていれば、その場で受け付けてもらえないということです。
本記事は、岡山県で建設業に特化する行政書士事務所が、既に許可をお持ちの事業者に向けて業種追加の全体像を整理したものです。これから初めて許可を取る方は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)からご覧ください。
※ 業種の区分の判断、要件の充足、申請区分の選択は、事業の実態・過去の申請内容・変更届の提出状況によって結論が分かれます。本記事は一般的な整理であり、最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
1. 業種追加(追加許可申請)とは——制度上の位置づけ
岡山県の手引は、許可申請の種類を次のように整理しています(手引 PDF p.13)。
| 申請の種類 | どういう場合か |
|---|---|
| 新規許可申請 | 建設業の許可を受けていない者が、許可を初めて受けようとする場合 |
| 更新許可申請 | 許可の有効期間が満了した後も、引き続き同じ内容の許可を受けようとする場合 |
| 追加許可申請 | 既に建設業の許可を受けている者が、同じ区分(特定・一般)内で別の業種の許可を受けようとする場合 |
| 般特新規許可申請 | 一般建設業の許可しか受けていない者が新たに特定建設業の許可を受けようとする場合、またはその逆 |
| その他 | 追加+更新許可申請、許可換え新規許可申請 など |
(出典:岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.13)
ここで押さえるべきは、「同じ区分(特定・一般)内で」という限定です。いま一般建設業の許可を持っている会社が、別の業種について一般建設業の許可を足すなら追加許可申請です。しかし、同じ会社が「特定建設業」の許可を取ろうとするなら、それは追加ではなく般特新規許可申請になります(手引 PDF p.13)。区分をまたぐかどうかで手続きの名前が変わり、必要な書類も法定手数料の額も変わります。
もうひとつの前提が、建設業の許可は業種ごとに与えられるという原則です。岡山県の手引は冒頭で「建設業を営もうとする者は、その業種ごとに建設業の許可が必要です」と述べ、許可業種を29種類に区分しています(手引 PDF p.5)。
土木一式工事(土)/建築一式工事(建)/大工工事(大)/左官工事(左)/とび・土工・コンクリート工事(と)/石工事(石)/屋根工事(屋)/電気工事(電)/管工事(管)/タイル・れんが・ブロック工事(タ)/鋼構造物工事(鋼)/鉄筋工事(筋)/舗装工事(舗)/しゅんせつ工事(しゅ)/板金工事(板)/ガラス工事(ガ)/塗装工事(塗)/防水工事(防)/内装仕上工事(内)/機械器具設置工事(機)/熱絶縁工事(絶)/電気通信工事(通)/造園工事(園)/さく井工事(井)/建具工事(具)/水道施設工事(水)/消防施設工事(消)/清掃施設工事(清)/解体工事(解)
(手引 PDF p.5)
29業種それぞれの区分と、自社がどれを取るべきかの考え方は建設業許可29業種の一覧と選び方|自社はどの業種を取るべきか【岡山】で整理しています。
つまり、いま持っている許可の業種以外について、軽微な建設工事の範囲を超える工事を請け負うには、その業種の許可が別に必要になります。軽微な建設工事の範囲(建築一式工事は1件の請負代金が1,500万円に満たない工事または延べ面積150㎡に満たない木造住宅工事、それ以外は500万円に満たない工事/いずれも消費税及び地方消費税を含む額)は軽微な工事(500万円未満)とは?建設業許可が不要になる範囲【岡山】で詳しく整理しています。
1-1. 「許可を持っているから大丈夫」が通じない典型
業種追加の相談でもっとも多いのが、一式工事の許可を持っていることを万能の許可だと誤解しているケースです。岡山県の手引は、この点をはっきり否定しています。土木一式工事(土木工事業)の許可を持っていても、土木系の各専門工事を500万円以上で施工するには当該専門工事の許可が別に要り、建築一式工事(建築工事業)と建築系の各専門工事についてもまったく同じ扱いが定められています(手引 PDF p.162)。
一式の許可は上位互換ではありません。建築一式工事業の許可だけで内装仕上工事を単独で税込500万円以上請け負えば、それは無許可受注です。業種追加のニーズが発生する典型的な入口が、ここです。この誤解の構造そのものは一式工事と専門工事の違い|一式を取れば全部できる誤解【岡山】で詳しく整理しています。
すでにラインを超える受注をしてしまっている可能性がある場合は、過去の受注が申請書類(工事経歴書)の側から審査に見えてしまう点に注意が必要です(§7-3)。
2. 申請区分の選び違いが最初の分岐点——「追加」にならないケース
「業種を増やす」という同じ目的でも、状況によっては追加許可申請にならないことがあります。ここを取り違えると、申請区分そのものが誤りとなり、書類一式を作り直すことになります。
| 状況 | 該当する手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般建設業の許可を持ち、別の業種について一般建設業の許可を受けたい | 追加許可申請 | 手引 PDF p.13 |
| 一般建設業の許可しか持っておらず、特定建設業の許可を受けたい | 般特新規許可申請 | 手引 PDF p.13 |
| 特定建設業の許可しか持っておらず、一般建設業の許可を受けたい | 般特新規許可申請 | 手引 PDF p.13 |
| 特定建設業の要件を欠いたが、別の業種で一般許可を有している | 追加許可申請 | 手引 PDF p.12 |
| 特定建設業の要件を欠き、他に一般許可を持っていない | 新規許可申請 | 手引 PDF p.12 |
| 1級相当の営業所技術者の不在により特定建設業を全て廃業した | 新規許可申請(般特新規ではない) | 手引 PDF p.13 |
| 営業所技術者等の退職等により一部の業種について特定の要件を満たさなくなり、その業種を一般へ移したい | 般特新規許可申請+当該業種の廃業届(様式第22号の4)および営業所技術者等の削除届(様式第22号の3)を併せて提出 | 手引 PDF p.13 |
| 従たる営業所で扱う業種を増やしたい(会社としては既に許可あり) | 変更届(許可申請ではない) | 手引 PDF p.30、p.170 |
2-1. 特定の要件を欠いたときは「自動で一般に戻る」わけではない
見落とされやすいのが、特定建設業の許可を維持できなくなった場合の扱いです。手引は次のように書いています。
この時点で一般許可の要件を満たしていれば、それを取得することはできますが、特定の要件を欠いたときに当然に一般許可に移行するものではなく、改めて新規許可申請(別の業種で一般許可を有している場合には追加許可申請)を行う必要があります。
(手引 PDF p.12)
つまり、特定の要件を欠いた瞬間に一般許可へ格下げされて存続する、ということはありません。改めて申請が必要で、そのときに他の業種で一般許可を持っているかどうかで「追加」か「新規」かが分かれます。手引は続けて、許可が失効すれば経営事項審査も無効となり、長期間にわたり入札に参加できなくなる可能性があると警告しています(手引 PDF p.12)。公共工事を受注している事業者にとっては、業種構成の変更が入札参加資格に直結します(→経審申請を岡山で依頼するなら/公共工事に入りたい|建設業許可が入札参加への第一歩【岡山】)。
2-2. 「従たる営業所の業種追加」は許可申請ではなく変更届
もうひとつ、名前が似ていて紛らわしいのが従たる営業所の業種追加です。会社としては既にその業種の許可を持っているが、支店・営業所の単位で扱う業種を増やす——というケースは、追加許可申請ではなく変更届出書の提出事項として整理されています(手引 PDF p.30、変更届出事項及び提出書類等一覧表=手引 PDF p.170)。
この2つは、手数料の扱いも異なります。変更届出書の提出に手数料は必要ありませんが(手引 PDF p.22)、追加許可申請は許可申請ですから法定手数料が必要です。「業種を増やす」という同じ言葉でも、会社として新しい業種の許可を取るのか、既に持っている業種を扱う営業所を増やすのかで、手続きも費用構造もまったく別になります。
なお、従たる営業所で業種を増やす場合も、その営業所にその業種の営業所技術者を置く必要があります(手引 PDF p.8/§4)。営業所の業種を増やすという判断は、人の配置とセットで検討してください。
3. 業種追加で新たに問われる要件・すでに満たしている要件
業種追加は「ゼロからの新規取得」ではありません。何が改めて問われ、何が据え置かれるのかを整理すると、準備の重心が見えてきます。
| 許可要件 | 業種追加での扱い |
|---|---|
| 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(常勤役員等=経営業務の管理責任者等) | 既に許可を受けている以上、現に満たしている状態。ただし交代していれば先に変更届が必要(手引 PDF p.22) |
| 適切な社会保険への加入 | 引き続き必要。健康保険等の加入状況(様式第7号の3)は追加申請でも提出書類(手引 PDF p.169) |
| 営業所技術者(旧:専任技術者) | ★追加する業種について新たに必要。実質的な関門はここ(手引 PDF p.8) |
| 誠実性 | 引き続き必要(手引 PDF p.9) |
| 財産的基礎 | ★条件を満たせば残高証明書の添付が不要になり得る(手引 PDF p.149、審査要領 PDF p.28) |
| 欠格要件に該当しないこと | 引き続き必要。役員等の調書・身分証明書・登記されていないことの証明書は追加申請でも必要(手引 PDF p.169、審査要領 PDF p.30) |
3-1. 財産的基礎——業種追加で残高証明が不要になる条件
新規許可申請でつまずきやすい500万円の財産的基礎は、業種追加では扱いが緩やかになる場合があります。手引が定める財産的基礎の要件は次の3つのいずれかです(手引 PDF p.9〜10)。
- 500万円以上の資金調達能力があると認められること(取引金融機関の預金残高証明等を添付。受付日から1か月以内の時点の500万円以上の残高を証明したもの。複数の金融機関の証明書による場合は証明日が同日付であること)
- 自己資本の額が500万円以上あること(法人は貸借対照表の純資産合計の額)
- 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
業種追加の場面で効いてくるのが3番目です。岡山県の手引は、残高証明書が必要ない場合として次のように明記しています。
【必要ない場合】直近の財務諸表により、500 万円以上の自己資本を有することが確認できる場合には、改めて残高証明書を添付する必要はありません。また、更新、追加、般特新規申請の場合、許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有する者も不要です。
(手引 PDF p.149)
同じ趣旨は、必要書類一覧表の注記にも置かれています(手引 PDF p.169)。
審査要領も同じ趣旨を、より具体的に書いています。
(4)業種追加の申請においても、許可申請の直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績がなく、かつ、直前決算における自己資本(純資産)の額が 500 万円未満である場合は、残高証明書の添付が必要なので注意すること。
なお、(中略)業種追加の申請の審査に当たっては、「許可を受けて継続して営業した実績」は許可取得後の事業年度終了報告で確認を行う。
(審査要領 PDF p.28)
ここに、業種追加の実務でもっとも重要な連結点があります。「許可を受けて継続して営業した実績」の確認は、許可取得後の事業年度終了報告(決算変更届)で行うと明記されているのです。つまり、毎年の決算変更届をきちんと出してきた事業者ほど、業種追加のときに追加の立証負担が軽くなるという構造になっています。逆に、決算変更届が溜まっている事業者は、そもそも受付の段階で止まります(§7)。
なお、許可を受けてからまだ5年経っておらず、直前決算の自己資本も500万円に満たない場合は、残高証明書の準備が必要になります。残高証明は「証明書の発行日が1か月以内という意味ではない」「2以上の金融機関の残高証明書を合算する場合は証明日が同日付である場合のみ認める」など固有の注意点があり(審査要領 PDF p.28)、この点は建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備【岡山】で詳しく解説しています。
また、特定建設業に係る申請(更新および業種追加)では、申請書に財務諸表が含まれないため、申請者から提出済みの直近の事業年度終了報告書によって財産的要件を満たしているかどうかが判断されます(審査要領 PDF p.26)。ここでも、毎年の事業年度終了報告がそのまま審査資料として使われる構造です。
3-2. 経営業務の管理責任者等は「据え置き」だが、交代していれば先に変更届
経営業務の管理責任者等(常勤役員等)については、既に許可を受けている以上、要件を満たした状態が続いているはずです。審査要領も「更新、追加、般特新規申請で経管が交代しない場合には、様式第7号(常勤役員等証明書)」の扱いを別に定めています(審査要領 PDF p.15)。
問題は、交代しているのに変更届を出していない場合です。手引は、常勤役員等や営業所技術者を欠く状態になった場合の変更届は変更後2週間以内に提出しなければならないとしており(手引 PDF p.22)、提出漏れがあれば追加申請の受付はできません(手引 PDF p.153)。経営業務の管理責任者の要件そのものは経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法をご覧ください。
なお、追加申請では経管の経験年数を延長して申請できる場合があります。審査要領は「追加、般特新規及び更新申請において、既提出の事業年度終了報告から毎年工事実績が認められる場合は、申請者において経験年数を延長して申請を行っても差し支えない」としています(審査要領 PDF p.10)。ここでも、毎年の事業年度終了報告が実績の裏付けとして機能していることが分かります。
4. 実質的な関門は「追加する業種の営業所技術者」
業種追加が実現するかどうかは、ほぼこの一点で決まります。手引は次のように定めています。
建設業の請負契約に関する見積、入札、契約締結等の業務の中心は各営業所にあることから、建設業を営む全ての営業所の許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を持つ技術者を専任で配置することが必要です。
(手引 PDF p.8)
「許可を受けようとする建設業に関する」——つまり、追加したい業種について、その業種の営業所技術者を置けなければ追加はできません。現在の許可業種の営業所技術者がいるだけでは足りないということです。
4-1. 営業所技術者になれる人の5類型
手引が挙げる要件は次のとおりです(手引 PDF p.9)。
- 土木施工管理技士、建築士、技能士等一定の国家資格を有すること
- 許可を受けようとする業種について、高等学校・専修学校の専門課程を卒業後5年以上、または大学(短期大学を含む)・高等専門学校・専修学校の専門課程(専門士・高度専門士に限る)を卒業後3年以上の実務経験を有する者で、在学中に所定の学科を修了していること
- 1級の第1次検定または第2次検定に合格した者で、その合格後3年以上の建設工事(指定建設業および電気通信工事業を除く)の施工に従事した経験を有すること
- 2級の第1次検定または第2次検定に合格した者で、その合格後5年以上の建設工事(同上)の施工に従事した経験を有すること
- 許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があること
業種追加の現場でもっとも多いのは、1番(既存社員が持っている資格で追加業種の要件を満たせないか)と5番(10年の実務経験で証明できないか)の検討です。
4-2. 実務経験で証明する場合の岡山県固有の壁
②〜⑤の実務経験による証明については、手引が次のように明記しています。
※②~⑤は、県民局調査において、契約書の原本又は注文書の原本及び請書の写し等で請負工事実績があること及び現場での施工に従事した経験、又は発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験を立証する必要があります(様式第9号「実務経験証明書」の添付が必要)。
(手引 PDF p.9)
書類上そろっているだけでは終わらず、所轄の県民局の調査で原本を提示して立証するというのが岡山県の運用です。10年分の契約書・注文書の原本が手元にあるか——ここで詰まる事業者は少なくありません。
さらに、業種追加の局面では、審査要領の次の一文が決定的に効いてきます。
(10)専技について実務経験証明書を添付している場合、証明書に記載された工事が、当該年度の工事経歴書に記載されている必要がある。
(審査要領 PDF p.8)
(引用中の「専技」は営業所技術者を指します。)
つまり、実務経験証明書に書いた工事は、その年度の工事経歴書にも載っていなければならない。ここに、次の項の落とし穴が接続します。
4-3. ★過去の決算変更届の書き方が、業種追加の可否を縛る
手引は、追加申請・般特新規申請の注意点として次のように書いています。
④ 様式第2号(工事経歴書)
今回、追加又は般特新規申請する建設業については、施工実績がない場合でも「実績なし」等を記載して添付する必要があります(ただし、追加又は般特新規申請する業種以外は添付不要)。なお、事業年度終了報告において、その他工事以外の業種として報告した工事について、業種を変更して記載することはできませんので注意してください。
(手引 PDF p.153)
これは、業種追加を考えている事業者にとってもっとも重い制約です。具体的にはこうなります。
- 過去の事業年度終了報告(決算変更届)で、ある工事を「とび・土工工事」として報告していた。
- 今回、その工事を「解体工事」の実務経験として使いたい。
- しかし、既に「その他工事以外の業種」として報告済みの工事は、後から業種を変更して記載することができない。
毎年の決算変更届で工事をどの業種に振り分けてきたかが、数年後の業種追加の可否を先に決めてしまっているわけです。決算変更届を「毎年出すだけの作業」と捉えて業種の振り分けを吟味してこなかった場合、いざ業種追加をしようとした段階で実務経験の裏付けが取れない、という事態が起こります。
あわせて、そもそも建設工事に当たらない仕事(兼業事業)を完成工事高に含めていないかも確認が必要です。手引は、草刈り・樹木のせん定・保守点検・除雪・測量・産業廃棄物の運搬処分・現場の清掃・警備などは「建設工事」ではなく「兼業事業」に当たるとし、誤って完成工事高に計上した場合は事業年度終了報告書の訂正と経営分析のやり直しが必要になると注意しています(手引 PDF p.162)。
この節が示す実務上の結論:業種追加は「追加したいと思った時点」から始まるのではなく、その数年前の決算変更届の作り方から始まっています。将来的に追加したい業種があるなら、その方針を毎年の届出に反映しておく必要があります。これは、期限管理と書類作成を継続的に任せる顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)の価値がもっとも分かりやすく出る場面です。
4-4. 添付書類が省ける場合もある
実務経験や資格の立証について、審査要領は負担を減らす取扱いも定めています。
- 従前の技術者が担当業種を増やす場合、増やす業種に関係のない既に届出済みの他の資格に係る資格者証は添付不要(例:とび・土工を追加するケースで、営業所技術者が既に1級土木施工管理技士と1級建築士で登録されている場合、1級土木のみ資格者証を添付すればよい)(審査要領 PDF p.23)
- 実務経験により営業所技術者となる場合に、監理技術者資格者証に「実経(○)」とあるものについては、監理技術者資格者証の該当欄の記載をもって実務経験を確認し、実務経験証明書の提出は不要(有効期限が切れている監理技術者資格者証でも実務経験の認定には使用を認めるが、常勤性については別途県民局調査を行う)(審査要領 PDF p.23)
手元の資格者証の内容次第で、10年分の実務経験証明という重い作業を回避できる場合があるということです。追加を検討する段階で、社内の有資格者の証明書類を棚卸ししておく価値は大きいといえます。
実務経験10年での証明の進め方そのものは、営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年証明【岡山】で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
5. どの業種を追加すべきか——業種選定でつまずかないために
「追加すること」より前に、「何を追加するか」でつまずく相談が少なくありません。29業種の全体像から自社が取るべき業種を絞り込む手順は建設業許可29業種の一覧と選び方|自社はどの業種を取るべきか【岡山】に、一式と専門のどちらで押さえるべきかの判断は一式工事と専門工事の違い|一式を取れば全部できる誤解【岡山】にまとめています。本節では、業種追加の局面で特に問題になる点に絞ります。
5-1. 一式工事と専門工事の考え方
手引は、一式工事について次のように整理しています(手引 PDF p.162)。
- 一式工事は、他の「専門工事」とは異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事である
- 個別の専門工事として施工が可能な工事は、一式工事ではなく各専門工事に該当する
- 主たる工事に附帯工事が含まれたとしても、主たる工事の部分で判断されるので、一式工事とは認められない
- 一式工事は「大規模又は施工内容が複雑な工事」とも定義されており、あまりにも少額な工事については認められない
- 建築一式工事と判断されるのは、①建物の躯体(柱、梁などの建物本体の構造を支える部分)に変更を加える場合(耐震補強を含む)、または②軽微ではない専門工事(500万円以上)を2つ以上有機的に組み合わせた1つの建築工事(例:内訳が電気工事700万円+内装仕上工事800万円=1,500万円の1件のリフォーム工事など)
「幅広く受注できるように一式を追加しよう」という発想は、この定義と噛み合わないことがあります。実際に受注している工事の実態に対応する専門工事の業種を追加するほうが、要件面でも実務経験の立証面でも現実的なケースが多いのが実情です。
5-2. 岡山県には「業種の区分に疑義がある場合」の相談ルートがある
判断に迷う場合、岡山県は明確な相談ルートを用意しています。手引は、業種の区分が無許可営業・技術者配置義務違反・一括下請負といった法令違反に直結するため関係法令等に基づいて適切に整理すべきものだとしたうえで、工事ごとの内容が様々で関係者も多数に上ることから、区分に疑義があるときは工事台帳・現場写真・施工体制台帳・施工体系図等、工事内容や施工体制の詳細が分かる資料を示して監理課建設業班へ個別に相談するよう案内しています(手引 PDF p.162)。
注目すべきは、資料を示すことが前提に置かれている点です。口頭で尋ねて回答が得られる仕組みではなく、実態が分かる資料を整理して持ち込むことが求められており、この組み立て自体が実務としては相応の負担になります。当事務所では、必要に応じて、この資料整理と監理課建設業班への照会をお引き受けします。
5-3. 業種別の解説記事
追加候補になりやすい業種については、個別の解説記事を用意しています。業種区分の考え方・対応資格・誤認しやすいポイントは各記事をご覧ください。
- 建築一式工事の建設業許可|要件・一棟請けの範囲と実務経験【岡山】
- 土木一式工事の建設業許可|公共工事参入と要件【岡山】
- 大工工事業の建設業許可|要件と実務経験の証明【岡山】
- とび・土工工事業の建設業許可【岡山】
- 解体工事業の建設業許可|登録との違い【岡山】
- 電気工事業の建設業許可【岡山】
- 管工事業の建設業許可|要件・対応資格【岡山】
- 塗装工事業の建設業許可【岡山】
- 防水工事業の建設業許可|要件・対応資格と実務経験【岡山】
- 内装仕上工事業の建設業許可【岡山】
6. 【岡山の実務】許可日の一本化(有効期間の調整)とタイミング設計
ここが、業種追加でもっとも設計の余地がある論点です。いつ追加するかによって、その後5年間の申請回数が変わります。
6-1. 前提:許可の有効期間は5年、許可日は業種ごとに動く
許可の有効期間は、許可日から5年間です(手引 PDF p.21)。ここで押さえておきたいのが、5年以内に追加申請等を行うと、現在の許可年月日が2つ以上ある状態が生じるという点です。手引は、更新申請の注意点として「5年以内に追加申請等を行ったため、現在許可年月日が2つ以上あり、その全ての業種を一度に更新する場合」の記載方法を定めており(手引 PDF p.155)、この状態が実際に発生することを前提に運用が組まれています。
手引は、この状態を前提に「許可の有効期間の調整」という考え方を置いています。様式第1号(許可申請書)の記載要領は次のとおりです。
「申請の区分」の欄の「許可の有効期間の調整」の欄は、この申請書により許可を申請する時に、既に許可を受けている建設業の全部について許可の更新の申請を行い許可の有効期間の満了の日を同一とする場合は「1」を、しない場合は「2」をカラムに記入すること。
(手引 PDF p.34)
つまり、追加申請と同時に既存業種の更新も行い、全業種の満了日をそろえる——これが「一本化」です。
6-2. 一本化の可否は「満了日まで3か月」のラインで決まる
手引は、追加申請・般特新規申請を更新申請と一冊で行う場合の提出期限を明記しています。
【提出期限】
既存の許可が失効する日の3か月前までに受け付けられる必要があります。3か月を切っている場合には、更新とは別冊で申請書を作成してください(この場合、許可日は一本化できません。)。
(手引 PDF p.153)
同じ趣旨は申請の種類の説明にも出てきます。追加+更新許可申請は「許可の有効期間満了の日まで3か月以上残っている場合のみ申請可」(手引 PDF p.13)。
満了日まで3か月を切ってから動き始めると、その回では一本化の選択肢が消えます。これは、書類の巧拙ではなく、単純にタイミングだけで決まってしまう論点です。
ただし、ここで注意が必要なのは、「満了日まで3か月以上あれば、いつでも一冊にできる」わけではないという点です。手引は更新申請について「申請は有効期間満了の日の3か月前から可能です」(手引 PDF p.13)「更新申請は有効期間満了の日の3か月前から提出することができます」(手引 PDF p.21)としており、更新側はそれより早く提出することができません。一方で、一冊での申請は失効日の3か月前までに受け付けられる必要があります(手引 PDF p.153)。つまり、追加と更新を一冊にまとめられる時期は、満了日の3か月前近辺に限られるという読み方になります。満了まで1年ある段階では、追加だけを先に申請するか、一本化のタイミングまで待つかの判断が必要です。
| 業種追加を検討し始めた時期 | 取り得る選択肢 |
|---|---|
| 既存許可の満了日まで3か月以上ある | 追加のみは随時申請できます。一本化を狙う場合、更新申請そのものは有効期間満了の日の3か月前から提出可能(手引 PDF p.13、p.21)である一方、一冊での申請は失効日の3か月前までに受け付けられることが要件です(手引 PDF p.153)。両者を組み合わせられる時期は限られるため、満了の半年前には準備に着手し、時期は事前にご確認ください |
| 満了日まで3か月を切っている | 追加と更新を別冊で作成。この回では許可日を一本化できない(手引 PDF p.153) |
| すでに許可日が2つ以上ある | 次回、全業種を一度に更新するタイミングで一本化が可能(手引 PDF p.155〜156) |
※ 申請の組合せの可否・時期は個別の許可状況によります。実際の判断は岡山県土木部監理課建設業班または当事務所にご確認ください。
6-3. 後から一本化する場合の制約
一本化のチャンスは、追加のときだけではありません。手引は、更新申請の際に「複数ある許可日の一本化(有効期間の調整)をする場合」として、5年以内に追加申請等を行ったため現在許可年月日が2つ以上あり、その全ての業種を一度に更新する場合の記載方法を定めています(手引 PDF p.155)。
ただし、制約があります。
※一般、特定を含め、全ての許可日を一本化することとなります。許可日が3つ以上ある場合、一部の許可日のみを一本化することはできません。
(手引 PDF p.156)
業種追加を何度か繰り返し、そのたびに一本化を見送ってきた結果、許可日が3つ以上に増えると、部分的な整理ができなくなります。全部をまとめて更新するか、それぞれ別々に更新し続けるかの二択になり、更新のたびに申請が分かれる状態が固定化します。
6-4. なぜ一本化を検討すべきか
許可日が分かれたままだと、更新のタイミングが業種ごとに分かれます。更新申請は有効期間満了の日の30日前までに受付(書類上不備がなく、受付印が押印された状態)を済ませておく必要があり(手引 PDF p.21、建設業法施行規則第5条)、更新申請をすることなく有効期間が満了すれば、その業種については改めて新規に許可を取得することになります(手引 PDF p.21)。
管理すべき期限が増えるほど、失念のリスクは上がります。しかも、更新の手続きが分かれれば、そのたびに申請書類の作成と法定手数料が発生します(手引 PDF p.14/§10)。
一本化するかどうかは、目先の申請1回の費用ではなく、その後5年間の管理コストで判断すべき論点です。この設計こそ、業種追加を専門家に相談する意味がもっとも大きい部分だといえます。
7. 業種追加が「受け付けられない」典型——変更届の提出漏れ
要件を満たし、書類を完璧に作っても、その手前で止まることがあります。岡山県の手引は、追加申請・般特新規申請の共通の注意点の筆頭近くに、次の一文を置いています。
② 変更届の提出漏れがある場合
追加、般特新規、更新申請の受付はできません。変更届を提出しないまま変更前の情報で許可を受けた場合、監督処分を受けることになるため、注意してください。
(手引 PDF p.153)
同じ趣旨は変更届出書の説明にもあり、「期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません。また、監督処分や罰則の対象にもなります」とされています(手引 PDF p.22)。
7-1. まず確認すべきは事業年度終了報告(決算変更届)
もっとも溜まりやすいのが、毎年提出が必要な事業年度終了報告です。手引は「決算日から4か月以内に、事業年度終了の変更届出書の提出が必要です」と定めています(手引 PDF p.22)。
これは毎年発生する義務なので、1期分の未提出は放置されがちですが、溜まったまま業種追加をしようとしても受付されません。業種追加を決めた時点で、まず過去の提出状況を遡って確認する必要があります。
7-2. 期限の異なる変更届が並存している
変更届は事業年度終了報告だけではありません。手引の一覧表は、事由ごとに提出期限を定めています(手引 PDF p.170)。
| 主な変更事由 | 提出期限 |
|---|---|
| 商号、営業所の所在地、従たる営業所の名称、資本金の額、役員等の追加・交替・削除 など | 30日以内 |
| 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)、営業所技術者等、健康保険等の加入状況、建設業法施行令第3条の使用人、従たる営業所の新設・廃止/業種追加・業種廃止 など | 2週間以内 |
| 事業年度終了報告 | 決算日から4か月以内 |
(出典:手引 PDF p.170「変更届出事項及び提出書類等一覧表」、手引 PDF p.30「変更届出書 表紙の提出期限区分」、手引 PDF p.22)
⚠️ 同じ「従たる営業所」でも、名称の変更は30日以内、新設・廃止と業種追加・業種廃止は2週間以内です。変更届出書の表紙(手引 PDF p.30)では両者が同じ○印番号の枠に並んでいるため、番号単位で期限を覚えると誤ります。
特に、常勤役員等や営業所技術者を欠く状態になった場合の変更届は2週間以内です。手引は「欠く」状態について、退職・死亡した場合はもちろん、毎日出勤することができなくなった場合も含むとし、病気や事故等で長期入院されるような場合には社会保険等の資格が継続されていても「欠く」状態とみなされる、と注意しています(手引 PDF p.22)。
7-3. 過去の受注・雇用の実態も、書類の側から表に出る
審査要領は、申請の受付段階で確認される事項として、次のような取扱いを定めています。
- 直接的かつ恒常的な雇用関係にない者を配置していた場合は、業務改善報告書を徴した上で申請等を受付する(審査要領 PDF p.8)
- 工事経歴書に記載されている工事について、その業種について許可を有していないのに、許可が必要な軽微でない工事を受注していた場合には、業務改善報告書を徴した上で申請等を受け付ける(審査要領 PDF p.8)
2つ目は、業種追加を検討している事業者にとって特に重要です。「この業種の工事が増えてきたから許可を追加したい」という動機は、裏を返せば「許可のない業種で工事を請けてきた」可能性を含みます。そしてその実態は、追加申請に添付する工事経歴書から見える形になります。
すでにラインを超える受注をしてしまっている可能性がある場合は、申請の前段階で状況を整理しておくことが不可欠です。この点は「無許可で500万円以上を受注してしまったら|今すぐ取るべき対処【岡山】」(記事はこちら)で詳しく扱っています。
この節の実務的な結論:業種追加の準備は、追加業種の技術者探しからではなく、「変更届の棚卸し」から始めるのが正しい順序です。ここが片付いていなければ、他の準備がすべて無駄になります。
8. 岡山県での提出・審査の流れと、逆算すべき期間
8-1. 提出先は県庁の本庁一元・事前審査なし
岡山県の建設業許可の申請書・変更届の提出先は次のとおりです。
岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)
〒700-8570 岡山市北区内山下2-4-6/直通電話 086-226-7463
窓口受付時間 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)
(手引 PDF p.16)
重要な前提が2つあります。
- 建設業許可申請および変更届の受付は、出先機関ではなく本庁の土木部監理課建設業班で行われています(手引 PDF p.168)。県内どこの事業者でも、申請の窓口は岡山市北区内山下の県庁です。
- 事前審査は一切行いません。正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください(手引 PDF p.16)。
手引はさらに、窓口の閉鎖時刻をもって審査を終了するとしたうえで、「特に、新規、更新、追加、般特新規申請の場合、更に十分な時間的余裕を持ってお越しください」と明記しています(手引 PDF p.16)。追加申請は、窓口で時間がかかる申請だと県自身が想定しているということです。
なお、時間的な余裕がある申請等については郵送による提出も受け付けられています(手引 PDF p.16)。県北・県西部の事業者にとっては、この点は実務上の負担差に直結します。
8-2. 県民局の営業所調査
申請書が提出されると、窓口で書面審査が行われ、記載事項に不備がなければ受け付けられます。その後、許可要件の確認のため県民局による営業所調査があり、それとは別に本庁の土木部監理課でも所要の調査を行い、全ての許可要件を充足していると認められると許可されます(手引 PDF p.16)。営業所調査については、許可申請受付後、半月程度で所轄の県民局から実施の連絡が行われます(手引 PDF p.17)。
業種追加の場面で県民局調査が効いてくるのは、前述のとおり実務経験による営業所技術者の立証です(手引 PDF p.9)。契約書の原本や注文書の原本・請書の写しを提示できる状態にしておく必要があります。
なお、手引 PDF p.17 に列挙されている調査確認事項は「新規申請の場合」のものとして示されています。追加申請でどこまで確認されるかは案件によりますので、県民局からの指示に従ってください。
8-3. 逆算すべき期間
手引は、申請が受け付けられてから許可になるまでは、特に問題がないケースで概ね2か月程度かかるとしています(手引 PDF p.16)。あわせて、営業所調査が終わったからといって本庁における調査が終わっているとは限らず、営業所調査が早く実施されても許可が早く取得できるということはないとも明記されています(手引 PDF p.16)。
したがって、業種追加の逆算はおおむね次のようになります。
- 社内の棚卸し(変更届の提出状況/過去の工事経歴書の業種の振り分け/有資格者の証明書類)
- 要件の確認と申請区分の決定(追加か、般特新規か、変更届か)
- 書類作成と実務経験の裏付け収集(実務経験証明の場合は原本の確保)
- 県庁への提出(事前審査なし=完全に整えた状態で)
- 受付後半月程度で県民局の営業所調査
- 受付から概ね2か月程度で許可
「この業種の工事を受注したいから来月までに許可がほしい」という進め方は、制度上成り立ちません。受注予定から逆算し、余裕をもって着手する必要があります。
9. 追加申請特有の書類の考え方
追加申請の書類は、新規申請の一式とは範囲が異なります。ここでは、追加申請でとくに間違えやすい考え方に絞って整理します(提出部数や様式の記入方法といった細目は、案件ごとに異なるため個別にご案内します)。
9-1. 工事経歴書は「追加する業種のみ」でよい
審査要領は次のように定めています。
(9)新規、追加及び般特新規の場合、許可を受けようとする業種のみ工事経歴書を作成すればよい。例えば、「土、と、舗、水」の許可を有しており、「建」の許可を追加して申請する場合の工事経歴書は「建」のみでよい。ただし、「直前3年の各事業年度における工事施工金額」(様式第3号)については、許可を有している全ての業種及び今回受けようとする業種に区分して、金額を記載すること。
(審査要領 PDF p.8)
つまり、工事経歴書は追加業種だけ/様式第3号は既存業種も含めて全部という非対称な構造です。ここを取り違えると、書類の作り直しになります。
なお、追加業種について施工実績がない場合でも、「実績なし」等を記載して添付は必要であり(手引 PDF p.153)、様式第3号には当該追加業種の完成工事高も記載するとされています(審査要領 PDF p.10)。
9-2. 営業所技術者等一覧表は「全員」
手引は、追加申請・般特新規申請の共通の注意点として、様式第1号 別紙四(営業所技術者等一覧表)について次のように定めています。
今回申請する業種だけでなく、既に許可を受けている業種に係る営業所技術者等も含む全員を記入してください。
(手引 PDF p.153)
工事経歴書は追加業種のみ、営業所技術者等一覧表は全員——書類ごとに「追加分だけ」か「全部」かが変わるのが追加申請の特徴です。
9-3. 更新と同時に行う場合の重複の整理
追加申請と更新申請を同時に行う場合、書類の重複について岡山県は具体的な取扱いを定めています。
- 同日にそれぞれを受理する場合、登記されていないことの証明書・身分証明書は原本が1部提出されていれば足りる。ただし、いずれかの書類に不備があって返却する場合にはいずれの書類も返却し、後日同時に受け付ける(審査要領 PDF p.30)
- 更新申請における営業所技術者等と追加業種の営業所技術者等が同一である場合の様式第8号の記載方法が定められている(審査要領 PDF p.21)
- 追加申請と同時に更新申請を行う場合、追加に係る業種は更新側の様式に記入しない(審査要領 PDF p.6、手引 PDF p.153〜154)
「同日にそれぞれを受理する」「いずれかに不備があればいずれの書類も返却」という運用は、同時申請が一体として扱われていることを意味します。片方だけ先に通る、ということはありません。
9-4. 必要書類の全体像
新規申請を含めた必要書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般【岡山】で整理しています。追加申請では、新規申請で求められる書類の一部が外れる一方、追加業種の営業所技術者に関する書類——営業所技術者等証明書(様式第8号)と、資格証明書または実務経験証明書(様式第9号)——が新たに必要になります。審査要領は、業種の追加申請について様式第8号の項番61に「1」と記載することを定めており(審査要領 PDF p.21)、追加で担当業種を増やす技術者の資格者証の添付方法も個別に定めています(審査要領 PDF p.23)。
なお、特定建設業に係る更新および業種追加については、前述のとおり申請書に財務諸表が含まれず、直近の事業年度終了報告書によって財産的要件が判断されます(審査要領 PDF p.26)。実際にどの書類が必要になるかは申請区分・既存の許可の内容・変更届の提出状況・追加業種の技術者の証明方法によって変わりますので、個別にご確認ください。
10. 費用の考え方(金額の詳細は費用記事へ)
業種追加にかかる費用は、法定手数料と行政書士報酬に分かれます。金額の内訳・期間との関係は建設業許可の業種追加にかかる費用|追加申請の法定費用と期間【岡山】で詳しく扱っていますので、本記事では金額の増減を左右する構造のみを押さえます。
- 法定手数料の額は、申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)。1業種でも複数業種でも、追加許可申請としての法定手数料は変わりません。追加したい業種が複数あるなら、まとめて申請したほうが手数料の面では有利です。
- 複数の申請を同時に行う場合、法定手数料はそれぞれの額の合計額になります(手引 PDF p.14)。一本化のメリットは手数料の割引ではなく、その後の申請回数と期限管理を減らすことにあります。
- 変更届出書の提出に手数料は必要ありません(手引 PDF p.22)。従たる営業所の業種追加のように変更届で足りる手続きは、この点でも許可申請と異なります。
- 法定手数料は、岡山県手数料等(POS)納付連絡票による納付で、納付済証を許可申請書に貼付して提出する扱いです(手引 PDF p.14)。
業種追加の報酬額・法定手数料の実額は建設業許可の業種追加にかかる費用|追加申請の法定費用と期間【岡山】をご覧ください。当事務所の建設業許可サービスのご案内にも業種追加を含む料金表を掲載しています。建設業許可全体の費用の考え方は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安と法定費用の内訳【岡山】で整理しています。
11. 業種追加を検討すべきタイミング
最後に、実務上「そろそろ動いたほうがよい」サインを整理します。
- 元請や取引先から、いま持っていない業種の許可の有無を確認された(→元請から建設業許可を求められたら|下請が取る手順【岡山】/ゼネコンの協力会社になるには|取引口座開設と建設業許可【岡山】)
- 許可のない業種で、税込500万円に近い見積りを出す機会が増えてきた(→軽微な工事(500万円未満)とは?建設業許可が不要になる範囲【岡山】)
- 既存許可の有効期間満了が視野に入ってきた(→一本化を検討できる時期が近づいています/§6)
- 追加業種の実務経験を証明できる社員が在籍しているうちに動きたい(退職すれば立証手段が失われます)
- 公共工事への参加や経営事項審査を見据えており、業種構成を整理したい(→経審申請を岡山で依頼するなら【岡山】)
逆に、次のいずれかに当てはまる場合は、追加申請より先に整理すべきことがあります。決算変更届や変更届の未提出があれば受付そのものが止まり(§7)、過去の届出で工事の業種を振り分け違えていれば実務経験の立証が成り立ちません(§4-3)。
- 事業年度終了報告(決算変更届)が1期でも未提出
- 役員・営業所技術者・経営業務の管理責任者等の交代について変更届を出していない
- 許可のない業種で、軽微な建設工事の範囲を超える受注をした心当たりがある
- 過去の決算変更届で、追加したい業種の工事を別の業種として報告してきた
準備の順序を間違えると、時間と費用を先に使ったうえで振り出しに戻ることになります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 業種追加=追加許可申請は、既に建設業の許可を受けている者が、同じ区分(特定・一般)内で別の業種の許可を受けようとする手続きです(手引 PDF p.13)。区分をまたぐ場合は般特新規許可申請になります。
- 一式工事の許可は上位互換ではありません。土木一式・建築一式の許可を持っていても、各専門工事を500万円以上で施工するには各専門工事の許可が必要です(手引 PDF p.162)。業種追加のニーズの多くはここから発生します。
- 実質的な関門は、追加する業種の営業所技術者(旧:専任技術者)を置けるかです(手引 PDF p.8〜9)。実務経験で証明する場合は、県民局調査で契約書の原本等による立証が必要です(手引 PDF p.9)。
- ★過去の決算変更届の作り方が、業種追加の可否を先に決めています。事業年度終了報告で「その他工事以外の業種」として報告した工事は、後から業種を変更して記載できません(手引 PDF p.153)。また、実務経験証明書に記載した工事は当該年度の工事経歴書に記載されている必要があります(審査要領 PDF p.8)。
- 財産的基礎は緩和され得ます。追加申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があるか、直近の財務諸表で500万円以上の自己資本があれば、残高証明書は不要です(手引 PDF p.149、p.169、審査要領 PDF p.28)。この「継続して営業した実績」は許可取得後の事業年度終了報告で確認されます。
- ★タイミングで結果が変わります。追加申請と更新申請を一冊で行い許可日を一本化するには、既存の許可が失効する日の3か月前までに受け付けられる必要があり、3か月を切ると別冊=その回では一本化できません(手引 PDF p.153)。一方で更新申請自体は満了日の3か月前から提出可能とされているため(手引 PDF p.13、p.21)、一冊にできる時期は限られます。許可日が3つ以上になると、一部だけの一本化もできなくなります(手引 PDF p.156)。
- ★変更届の提出漏れがあると、追加・般特新規・更新申請の受付はできません(手引 PDF p.153、p.22)。事業年度終了報告は決算日から4か月以内です。準備は「変更届の棚卸し」から始めてください。
- 岡山県では、申請の受付は出先機関ではなく本庁の土木部監理課建設業班(県庁6階)で行われ(手引 PDF p.168)、事前審査は一切行われません(手引 PDF p.16)。受付後半月程度で県民局から営業所調査の連絡があり(手引 PDF p.17)、許可までは概ね2か月程度かかります(手引 PDF p.16)。
- 法定手数料の額は申請する業種の数とは無関係です(手引 PDF p.14)。追加したい業種が複数あるなら、まとめて申請することを検討してください。
業種追加は、受注が伸びている会社にだけ発生する手続きです。だからこそ、現場が忙しい時期と準備の時期が重なります。書類の作成そのものよりも、「いつ動くか」「何から片付けるか」の判断のほうが結果を左右します。
業種追加のご相談は無料相談から(30秒入力のフォーム)
「この工事を請けるにはどの業種の許可が要るか」「うちは追加と般特新規のどちらか」「決算変更届が溜まっているが追加できるか」——現在の許可通知書と直近の決算変更届の控えをお手元にご用意いただければ、具体的にご案内できます。岡山県の建設業に特化した行政書士が確認します。LINEは許可通知書の写真だけでも構いません。お電話は070-8567-3197。
期限管理ごと預けたい方へ:業種追加は、決算変更届・各種変更届・更新と一続きの管理業務です。顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)では、期限管理と届出をまとめてお引き受けしています。
※顧問契約の金額は税込の目安です。ご契約内容・業務範囲により変動しますので、正確な金額は事前にお見積りいたします。
