

建設業許可は29の業種に分かれており、許可は業種ごとに与えられます。そして、新規申請でどの業種を取るかを実質的に決めているのは、多くの場合「自社がやりたい工事」ではなく、「営業所技術者(旧:専任技術者)を確保できるかどうか」です。ここが業種選定の最大の関門になります。
理由は、岡山県の運用にはっきり書かれています。実務経験で営業所技術者になる場合、「この期間はひとつの業種について必要な年数であり、同一期間に複数の業種を並行して計上することはできません」(岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.165)。さらに岡山県「審査要領」(令和7年9月1日)は、「実務経験で2業種以上の営業所技術者等になる場合、それぞれの実務経験期間が重複することは認めていない」「一度ある業種について証明した実務経験の期間については、別の業種に振り替えることはできない」と定めています(審査要領 PDF p.24)。つまり、10年の実務経験しかない人が、その10年で2業種の営業所技術者になることは原則できないのです。
一方で、法定手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)。何業種を申請しても新規なら同額です。「たくさん取れば取るほど費用が上がる」わけではないのに、実際には業種を増やせない——このねじれを理解しているかどうかで、申請の設計はまったく変わります。
本記事は、岡山県で建設業に特化する行政書士事務所が、29業種の一覧と、新規申請でどの業種を取るべきかの決め方を整理したものです。
※ 個々の工事がどの業種に区分されるか、また自社が特定の業種の要件を満たすかは、工事の実態・技術者の経歴・証明資料の有無によって判断が分かれます。本記事は一般的な整理であり、最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
1. 建設業許可29業種の一覧(工事の内容・例示・解説記事)
建設業を営もうとする者は、その業種ごとに建設業の許可が必要です(手引 PDF p.5)。許可の対象は次の29業種で、それぞれに略号が割り当てられています。
| 業種名 | 略号 | 工事の内容(告示) | 主な例示 | 解説記事 |
|---|---|---|---|---|
| 土木一式工事 | 土 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む) | ― | 土木一式工事の建設業許可 |
| 建築一式工事 | 建 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 | ― | 建築一式工事の建設業許可 |
| 大工工事 | 大 | 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事 | 大工工事、型枠工事、造作工事 | 大工工事業の建設業許可 |
| 左官工事 | 左 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事 | 左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事 | 準備中 |
| とび・土工・コンクリート工事 | と | 足場の組立て、重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て/くい打ち・くい抜き/土砂等の掘削・盛上げ・締固め/コンクリートによる工作物の築造/その他基礎的ないしは準備的工事 | とび工事、足場等仮設工事、鉄骨組立て工事、くい工事、掘削工事、コンクリート打設工事、地盤改良工事、法面保護工事、外構工事、あと施工アンカー工事 ほか | とび・土工工事業の建設業許可 |
| 石工事 | 石 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事 | 石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事 | 本記事 §2-1 |
| 屋根工事 | 屋 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 | 屋根ふき工事 | 準備中 |
| 電気工事 | 電 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 | 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事 | 電気工事業の建設業許可 |
| 管工事 | 管 | 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事 | 冷暖房設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事 | 管工事業の建設業許可 |
| タイル・れんが・ブロック工事 | タ | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事 | コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事 | 準備中 |
| 鋼構造物工事 | 鋼 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 | 鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門・水門等の門扉設置工事 | 準備中 |
| 鉄筋工事 | 筋 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 | 鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事 | 準備中 |
| 舗装工事 | 舗 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事 | アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事 | 準備中 |
| しゅんせつ工事 | しゅ | 河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事 | しゆんせつ工事 | 準備中 |
| 板金工事 | 板 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事 | 板金加工取付け工事、建築板金工事 | 準備中 |
| ガラス工事 | ガ | 工作物にガラスを加工して取付ける工事 | ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事 | 準備中 |
| 塗装工事 | 塗 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 | 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事 | 塗装工事業の建設業許可 |
| 防水工事 | 防 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 | 防水工事業の建設業許可 |
| 内装仕上工事 | 内 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 | インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事 | 内装仕上工事業の建設業許可 |
| 機械器具設置工事 | 機 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事 | プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事 | 準備中 |
| 熱絶縁工事 | 絶 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 | 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事 | 本記事 §2-2 |
| 電気通信工事 | 通 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事 | 有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事 | 準備中 |
| 造園工事 | 園 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事 | 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事 | 準備中 |
| さく井工事 | 井 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事 | さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事 | 本記事 §2-3 |
| 建具工事 | 具 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 | 金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事 | 準備中 |
| 水道施設工事 | 水 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事 | 取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事 | 準備中 |
| 消防施設工事 | 消 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 | 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事 | 準備中 |
| 清掃施設工事 | 清 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 | ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 | 本記事 §2-4 |
| 解体工事 | 解 | 工作物の解体を行う工事 | 工作物解体工事 | 解体工事業の建設業許可|登録との違い |
(出典:業種名・略号は岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.5/工事の内容・例示は同 PDF p.158〜161「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」)
※ 業種名は手引 PDF p.5 の表記(「タイル・れんが・ブロック工事」「しゅんせつ工事」)に合わせています。告示の原文を引用する箇所(本記事 §2・§6)では、告示どおり「ブロツク」「しゆんせつ」と表記します。
※「解説記事:準備中」の業種は、当事務所で順次公開予定です。公開後にリンクを追加します。
1-1. 29業種は「2つの一式工事」と「27の専門工事」に分かれる
手引は、建設業の許可は2つの一式工事業と27の専門工事業に分けて行われると明記しています(手引 PDF p.5)。この分け方が、業種選定の出発点です。
- 一式工事(土木一式工事・建築一式工事):総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事。大規模又は施工内容が複雑な工事を、総合的にマネージメントする事業者向けの許可とされています(手引 PDF p.5)。
- 専門工事(残り27業種):それぞれの工事の内容が告示で定められた個別の工事。
業種選定の場面で押さえておくべき構造上のポイントは、一式工事の許可を持っていても、土木系・建築系の各専門工事(500万円以上)を施工するには、各専門工事の許可が別途必要になるという点です(手引 PDF p.162)。手引は一式工事の考え方について「誤りやすいので注意してください」とわざわざ断ったうえで、個別の専門工事として施工が可能な工事は一式工事ではなく各専門工事に該当すること、一式工事は「大規模又は施工内容が複雑な工事」とも定義されているため余りにも少額な工事は認められないことを挙げています(同)。
また、建築一式工事に当たるかどうかは、① 建物の躯体に変更を加える場合(耐震補強を含む)、② 軽微ではない専門工事(500万円以上)を2つ以上有機的に組み合わせた1つの建築工事——のいずれかに該当するかで判断するものとされています(手引 PDF p.162)。
したがって業種選定の基本動作は、自社が実際に施工している工事が §1 の表のどの専門工事に当たるかを特定することであり、一式工事は「専門工事をまとめて取れる枠」ではありません。一式工事と専門工事のどちらで許可を取るべきかという判断は論点が多いため、一式工事と専門工事の違い|一式を取れば全部できる誤解【岡山】で詳しく扱っています。本記事では、29業種が2+27に分かれるという構造の確認までに留めます。
なお、一式工事の2業種については、建築一式工事の建設業許可|要件・一棟請けの範囲と実務経験【岡山】と土木一式工事の建設業許可|公共工事参入と要件【岡山】で、それぞれ要件と一式として請けられる工事の範囲を解説しています。
2. 単独記事を設けていない4業種(石・熱絶縁・さく井・清掃施設)
29業種のうち、岡山県内で新規申請の相談が相対的に少ない次の4業種については、当事務所では単独の解説記事を設けず、本記事内で扱います。もちろん申請のご依頼・ご相談は他の業種と同様にお受けしています。
2-1. 石工事業(石)
石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事です。例示は石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事(手引 PDF p.158)。
区分でとくに注意が必要なのが、コンクリートブロックをめぐる3業種の使い分けです。手引 PDF p.158 は次のように整理しています。
- とび・土工・コンクリート工事の「コンクリートブロック据付け工事」:根固めブロック、消波ブロックの据付け等、土木工事において規模の大きいコンクリートブロックの据付けを行う工事、プレキャストコンクリートの柱・梁等の部材の設置工事
- 石工事の「コンクリートブロック積み(張り)工事」:建築物の内外装として擬石等をはり付ける工事や、法面処理、又は擁壁としてコンクリートブロックを積み、又ははり付ける工事
- タイル・れんが・ブロツク工事の「コンクリートブロック積み(張り)工事」:コンクリートブロックにより建築物を建設する工事等。エクステリア工事としてこれを行う場合を含む
同じ「ブロックを積む」でも、擁壁なら石工事、建築物本体なら タイル・れんが・ブロツク工事、土木の大型ブロック据付けならとび・土工・コンクリート工事、と行き先が分かれます。外構・エクステリアを手がける事業者が業種を誤りやすい典型です。
2-2. 熱絶縁工事業(絶)
工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事です。例示は冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事(手引 PDF p.160)。
岡山県内では、水島をはじめとする臨海部の化学・石油関連プラントや、食品・冷凍冷蔵倉庫の設備保温に関わる工事が発生しやすい地域です。
区分について、手引の業種区分表では熱絶縁工事の「建設工事の区分の考え方」欄に記載がありません(手引 PDF p.160)。告示上、熱絶縁工事は「工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事」と定義されているため(同)、設備の設置そのものと、その設備の保温・保冷のどちらが主たる工事なのかによって区分が分かれ得ます。判断がつかない場合は §6-2 の相談ルートをご利用ください。
一方、屋根断熱工事は「断熱処理を施した材料により屋根をふく工事」であり「屋根ふき工事」の一類型=屋根工事とされている点は、手引に明記があります(手引 PDF p.159)。「断熱」という言葉だけで熱絶縁工事に寄せると区分を誤ります。
2-3. さく井工事業(井)
さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事、又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事です。例示はさく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事(手引 PDF p.161)。
手引の業種区分表では、さく井工事の「建設工事の区分の考え方」欄に記載はありません(手引 PDF p.161)。ただし、隣接する上下水道関係の工事については、上水道等の取水・浄水・配水等の施設を築造する工事は水道施設工事、家屋その他の施設の敷地内の配管工事は管工事に該当すると整理されています(同)。地下水利用の設備一式を請け負う場合は、どこまでがさく井工事で、どこからが管工事・水道施設工事なのかを工事内容ベースで切り分ける必要があります。
2-4. 清掃施設工事業(清)
し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事です。例示はごみ処理施設工事、し尿処理施設工事(手引 PDF p.161)。
区分の考え方が明確に示されている業種で、手引 PDF p.161 は、し尿処理に関する施設の建設工事について次のように整理しています。
- 規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む)によりし尿を処理する施設の建設工事 → 管工事
- 公共団体が設置するもので下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事 → 水道施設工事
- 公共団体が設置するもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事 → 清掃施設工事
また、公害防止施設を単体で設置する工事は清掃施設工事ではなく、施設ごとに区分するものとされ、排水処理設備であれば管工事、集塵設備であれば機械器具設置工事に該当します(手引 PDF p.161)。清掃施設工事は、公共団体が設置する処理施設という限定された領域の業種だと理解しておくと、区分を誤りません。
3. 業種を選ぶ前に押さえる3つの原則
具体的な選び方に入る前に、業種選定の前提となる制度上の原則を3つ確認します。ここを誤解したまま業種を決めると、後から取り返しがつきません。
3-1. 原則①:許可は業種ごと。持っていない業種の工事は請けられない
繰り返しになりますが、建設業の許可は業種ごとに与えられます(手引 PDF p.5)。塗装工事業の許可を持っていても、防水工事を税込500万円以上で請け負うなら防水工事業の許可が別に必要です。
そして、許可を受けていない業種について許可を受けているように表示することは禁止されています。手引 PDF p.194 は、建設業法第40条の2の規定に基づき「一般又は特定建設業の許可を受けている者が、その許可建設業以外の業種の建設業について許可を受けているように表示すること」を挙げています。ホームページや看板に「建設業許可あり」とだけ書いて実際の業種と食い違っている状態は、この規制に触れ得ます。業種選定は、営業表示の適正性にも直結します。
なお、そもそも許可が必要になる金額のラインについては、軽微な工事(500万円未満)とは?建設業許可が不要になる範囲【岡山】で詳しく解説しています。税込判定・支給材料の加算・分割契約の合算といった判定の実務は、業種選定より前に確認しておくべき論点です。
3-2. 原則②:法定手数料は業種の数で変わらない
手引 PDF p.14 の手数料一覧表には、【申請する業種の数との関係】手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません。と明記されています。岡山県知事許可の法定手数料は次のとおりです。
| 許可申請の種類 | 岡山県知事許可の法定手数料 |
|---|---|
| 新規(許可換え含む)・般特新規 | 90,000円 |
| 更新・追加 | 50,000円 |
(出典:手引 PDF p.14)
つまり、新規申請で1業種を取るのも5業種を取るのも、法定手数料は同じ90,000円です。ここだけを見れば「取れるだけ取ったほうが得」に見えます。
ただし、手数料が変わらないことと、負担が変わらないことは別です。業種が増えれば、その業種ごとに営業所技術者の要件を満たす必要があり、実務経験で証明するなら業種ごとに実務経験証明書(様式第9号)と裏付け資料が必要になります。増えるのは費用ではなく、要件充足と立証の手間です。この点は §5 と §7 で詳しく扱います。
なお、申請全体の総額(行政書士報酬を含む)については建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安と法定費用の内訳【岡山】にまとめています。本記事では業種選定に関係する範囲でのみ金額に触れます。
3-3. 原則③:一般・特定は業種ごとに選べる
建設業の許可には一般建設業と特定建設業の区分があります。この区分は業種ごとに選択できます。手引 PDF p.14 は「1つの許可申請で、追加申請と更新申請を同時に申請したり、業種別に一般許可と特定許可の両方を申請することもできます」と明記しています(この場合、法定手数料はそれぞれの額の合計額になります)。
一般か特定かは、元請(発注者から直接請け負う)1件の工事について、下請に出す額の総額によって決まります。一般建設業の許可では合計で税込5,000万円未満(建築一式工事については8,000万円未満)までしか下請に出すことができません(手引 PDF p.6)。自社の請負額そのものに制限はありません(同)。
業種選定の実務では、主力業種だけ特定、その他は一般という組み合わせが検討されることがあります。ただし特定建設業には、1級相当の特定営業所技術者の設置、資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上といった、一般建設業より厳しい要件が課されます(手引 PDF p.10〜11)。新規申請の段階で特定を狙うかどうかは、技術者と財務の両面から慎重に判断すべき論点です。
4. 選び方ステップ①:直近の受注実績から「主たる工事」を洗い出す
ここから具体的な決め方に入ります。最初にやるべきは、「やりたい工事」ではなく「実際に受注している工事」を棚卸しすることです。
4-1. 契約書・注文書を工事内容で分類する
直近3〜5年分の工事請負契約書・注文書を並べ、工事名ではなく工事の中身で§1の表に当てはめていきます。工事名は業界慣行で付けられているため、業種区分とずれていることが珍しくありません。「○○邸改修工事」という工事名からは、それが大工工事なのか内装仕上工事なのか建築一式工事なのかは判別できません。
分類の際は、次の順で確認します。
- その工事は建設工事か(§4-3の兼業事業に当たらないか)
- 主たる工事はどの業種か(§4-2の附帯工事の考え方)
- 1件あたりの請負代金は税込でいくらか(軽微な建設工事の範囲に収まっているか)
この3つを通したうえで、税込500万円以上の工事が発生している業種が、許可を取るべき業種の第一候補になります。建築一式工事については、1,500万円に満たない工事、又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事が「軽微な建設工事」とされているため(手引 PDF p.5)、1,500万円以上、又は延べ面積150㎡以上の木造住宅工事が目安になります。判定の実務は軽微な工事(500万円未満)とは?建設業許可が不要になる範囲【岡山】をご覧ください。
4-2. 附帯工事が混ざっていても「主たる工事の部分」で判断する
ひとつの現場で複数の工種が動く場合の考え方は、手引 PDF p.162 に示されています。専門工事を主たる工事として施工し、そこに他の専門工事が附帯的に発生していたとしても、業種は主たる工事の部分をもって判断されるため、それだけで一式工事と認められることはない、という整理です(手引 PDF p.162)。
これは一式工事に当たるかどうかの説明ですが、「主たる工事の部分で判断される」という考え方そのものが、業種選定の基準になります。塗装工事に伴って足場を組んでいるからといって、とび・土工・コンクリート工事業の許可が当然に必要になるわけではありません。まず主たる工事を特定し、その業種から検討します。
なお、1つの許可で附帯工事をどこまで施工できるのかという範囲の問題は、業種選定とは別の論点として整理が必要です。本記事では「主たる工事で業種を判断する」という選定基準の提示までとし、附帯工事の範囲そのものは別記事「附帯工事とは|1つの許可でどこまで施工できるか」で扱う予定です。
4-3. 「建設工事ではない売上」を除外する
見落とされがちですが、そもそも建設工事に当たらない業務は、金額がいくらでも建設業許可の対象ではありません。手引 PDF p.162 は、次に例示するようなものは「建設工事」には該当せず「兼業事業」に当たるとしています。
○草刈り、雑木伐採 ○樹木のせん定、庭木管理 ○緑地・公園の管理
○機械・設備等の保守・点検、部品(電球、パッキン等の消耗品)の交換等
○溝掃除(水路の堆積物の除却等) ○除雪
○測量・コンサルタント業務 ○試掘
○土砂の撤去 ○土砂の仮置き(土のう製作・設置を含む)
○産業廃棄物の運搬処分 ○浄化槽清掃 ○工事現場の清掃 ○路面清掃
○不動産販売(土地・建売住宅の販売) ○委託管理業務 ○建設資材の販売・賃貸等
○船舶、自動車、建設機械等に係る作業 ○道路パトロール ○警備
業種選定の場面では、この線引きが二重に効きます。
- 業種の絞り込み:造園業を営む事業者が「樹木のせん定・庭木管理」で大きな売上を上げていても、それは兼業事業であり、造園工事業の許可の要否には直結しません。実際に植栽工事・公園設備工事といった建設工事をいくら受注しているかで判断します。
- 許可取得後の実績計上:手引は同じ箇所で、これらを「誤って完成工事高に含めて計上した場合は、事業年度終了報告書の訂正及び経営分析のやり直しが必要になります」と注意し、さらに経営事項審査の虚偽申請となる場合には監督処分の対象になるとも明記しています(手引 PDF p.162)。
将来的に経営事項審査(経審)や入札参加を視野に入れているなら、業種を決める段階から建設工事の売上と兼業事業の売上を区分して把握できるようにしておくと、後の手戻りを防げます(会計処理の方法そのものは顧問税理士にご確認ください)。→経審申請を岡山で依頼するなら
4-4. 現在の売上より「これから受ける工事」を優先する
棚卸しは過去を見る作業ですが、業種選定の判断は将来を向いて行います。とくに次のようなケースでは、今は軽微な建設工事の範囲でも、許可が必要になることが確定していると考えて業種を選びます。
- 元請から「この業種の許可を取ってほしい」と具体的に言われている → 元請から建設業許可を求められたら|下請が取る手順
- ゼネコンの協力会社登録・取引口座開設の条件になっている → ゼネコンの協力会社になるには|取引口座開設と建設業許可【岡山】
- 公共工事の入札に参加したい → 公共工事に入りたい|建設業許可が入札参加への第一歩【岡山】
元請から業種を指定されている場合は、その業種が最優先です。ただし、元請が言う業種名と建設業法上の業種区分が一致しているとは限りません。指定された業種名と、実際に発注される工事の中身が§1の表のどこに当たるかを、必ず突き合わせてください。
5. 選び方ステップ②:営業所技術者を確保できる業種に絞る(最大の制約)
ここが業種選定の本丸です。取りたい業種が5つあっても、営業所技術者を置けなければ、その業種の許可は取れません。
5-1. 営業所技術者になれる5つのルート
許可を受けようとする業種ごとに、営業所ごとに専任の技術者を置く必要があります。一般建設業の場合、営業所技術者等になれるのは次のいずれかに該当する者です(手引 PDF p.9)。
| # | ルート | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 国家資格 | 土木施工管理技士、建築士、技能士等一定の国家資格を有すること(資格一覧=手引 PDF p.163〜164) |
| ② | 指定学科+実務経験 | 許可を受けようとする業種について、高等学校若しくは専修学校の専門課程を卒業後5年以上、又は大学(短期大学を含む)・高等専門学校・専修学校の専門課程(専門士又は高度専門士を称するものに限る)を卒業後3年以上の実務経験。在学中に所定の学科を修了していること(指定学科一覧=手引 PDF p.166) |
| ③ | 1級検定+3年 | 1級の第1次検定又は第2次検定に合格した者で、その合格後3年以上の建設工事(指定建設業及び電気通信工事業を除く)の施工に従事した経験 |
| ④ | 2級検定+5年 | 2級の第1次検定又は第2次検定に合格した者で、その合格後5年以上の建設工事(指定建設業及び電気通信工事業を除く)の施工に従事した経験 |
| ⑤ | 実務経験10年 | 許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があること |
(出典:手引 PDF p.9)
②〜⑤については、県民局調査において、契約書の原本又は注文書の原本及び請書の写し等で請負工事実績があること、及び現場での施工に従事した経験を立証する必要があります(様式第9号「実務経験証明書」の添付が必要/手引 PDF p.9)。
実務経験10年による証明の具体的な進め方は営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年証明【岡山】で詳しく解説しています。
5-2. ★資格があっても「取得後の実務経験」が上乗せで必要な業種がある
資格ルート(①)を選ぶ場合、資格を持っているだけでは足りず、取得後の実務経験が別途必要になるケースがあります。手引 PDF p.164 の資格一覧の注記には、次のような条件が並んでいます。
| 資格 | 追加で必要な実務経験 |
|---|---|
| 第2種電気工事士 | 資格取得後3年間の実務経験(実務経験証明書の添付が必要) |
| 電気主任技術者(電気通信主任技術者も同様) | 資格取得後5年間の実務経験(同) |
| 給水装置工事主任技術者、地すべり防止工事士、建築設備士、1級計装士 | 資格取得後1年間の実務経験(同) |
| 職業能力開発促進法による技能検定のうち「2級」 | 資格取得後3年間(平成15年度以前の合格の場合には1年)の実務経験(同) |
| 工事担任者(令和3年4月1日以降に試験合格・養成課程修了・総務大臣認定を受けた者に限る) | 資格者証交付後3年間の実務経験 |
(出典:手引 PDF p.164 資格一覧の注記)
「第2種電気工事士がいるから電気工事業はすぐ取れる」とは限りません。資格取得の時期を確認せずに業種を決めてしまうと、申請直前になって要件を満たさないことが判明します。→電気工事業の建設業許可【岡山】
また、解体工事業については、資格一覧の注記に「平成27年度までの合格者については、解体工事について資格取得後1年以上の実務経験を有する、又は登録解体工事講習を受講していることが必要」「当面、解体工事について資格取得後1年以上の実務経験又は登録解体工事講習の受講が必要」という条件が置かれています(手引 PDF p.164)。→解体工事業の建設業許可|登録との違い【岡山】
5-3. ★★同一期間を複数業種に使い回すことはできない
業種選定において、もっとも多くの計画が崩れるのがこの制約です。手引 PDF p.165 は、実務経験期間の確認について次のように書いています。
なお、この期間はひとつの業種について必要な年数であり、同一期間に複数の業種を並行して計上することはできませんので注意してください。(手引 PDF p.165)
岡山県の審査要領も同趣旨をより明確に定めています。
(4)実務経験で2業種以上の営業所技術者等になる場合、それぞれの実務経験期間が重複することは認めていない(後略)
(審査要領 PDF p.24)
この2つが意味するのは、次のことです。
- 10年の実務経験しかない技術者は、原則としてその実務経験で1業種の営業所技術者にしかなれない。
- 2業種を実務経験で証明しようとすれば、原則として通算20年分の実務経験と、その期間分の契約書等の裏付けが必要になる。
- しかも、同じ審査要領は(5)として振替の禁止も定めています。ある業種の証明に一度使った期間を、あとから別の業種の実務経験へ付け替えることはできません(審査要領 PDF p.24)。業種の割り当てを間違えると、やり直しがきかないということです。
さらに、実務経験証明書の期間計算には岡山県固有の取扱いがあります。審査要領 PDF p.24 は、1件の工事期間が短い場合は四半期に1件程度(四半期に1件以上で工期の終期と始期の間が4月以上空かないこと)の実務経験を記載するとし、期間内に4月以上の空白期間が生じている場合は、当該期間を控除して計算すると定めています。「10年前から働いています」という主張ではなく、期間を埋められるだけの工事が実際に並ぶかが問われます。
この制約があるため、「取れるだけ全部取る」という方針は、実務経験ルートでは事実上成立しません。業種選定とは、限られた技術者の経歴を、どの業種に割り当てるかの設計作業です。
5-4. ★例外:技術的な共通性がある業種間の実務経験要件の緩和
ただし、岡山県の手引には、この原則に対する明確な緩和制度が用意されています(手引 PDF p.167)。
許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験を有していれば、許可要件の一つである営業所技術者等となる資格を有することができますが、その業種の経験だけに限らず、許可を受けようとする業種と技術的な共通性がある他の業種での実務経験であれば、一定の範囲内で、許可を受けようとする業種の実務経験としてカウントすることができます。(手引 PDF p.167)
適用条件は次のとおりです。
(1)対象
建設業法第7条第2号ロ該当(10年以上の実務経験)についてのみ緩和されます。同条第2号イ該当(学歴+実務経験)の場合では認められません(手引 PDF p.167)。つまり、指定学科+3年/5年のルートで要件を満たす人には、この緩和は使えません。
(2)振替えが認められる業種の範囲
| 振替えの型 | 認められる組み合わせ | 方向 |
|---|---|---|
| ① 一式工事から専門工事へ | 土木一式 → とび・土工、しゅんせつ、水道施設、解体 | 矢印の方向にのみ振替え可 |
| ① 一式工事から専門工事へ | 建築一式 → 大工、屋根、内装仕上、ガラス、防水、熱絶縁、解体 | 矢印の方向にのみ振替え可 |
| ② 専門工事間 | 大工 ←→ 内装仕上 | 両方向に振替え可 |
| ② 専門工事間 | とび・土工 ←→ 解体 | 両方向に振替え可 |
(出典:手引 PDF p.167)
※ ①について手引は「矢印の方向にのみ振り替え可となります。右側の業種間での振替えはできません。」と注記しています(手引 PDF p.167)。たとえば土木一式→とび・土工、土木一式→水道施設はそれぞれ可能ですが、とび・土工→水道施設のように右側の業種どうしで振り替えることはできません。
(3)緩和年数
営業所技術者等となろうとする業種での実務経験とその他の業種での実務経験を合わせて12年以上(それぞれの業種について、最低条件として8年を超える実務経験が必要)あれば、営業所技術者等となる資格を有することができます(手引 PDF p.167)。
(4)短縮効果
手引は具体例まで示しています。「許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験を有する者」として2業種の営業所技術者等になろうとする場合、通常は20年間の実務経験が必要ですが、最短16年(4年の期間短縮)の実務経験で2業種の営業所技術者になることが可能になります。一式工事から専門工事への振替えの場合は最大2年、専門工事間の振替えの場合は最大4年の期間短縮です(手引 PDF p.167)。
業種選定の実務では、この表に載っている組み合わせかどうかが分岐点になります。たとえば、大工工事業と内装仕上工事業は双方向の振替えが認められているため、両方を狙う設計が現実的です。一方、塗装工事業と防水工事業のように、この表に載っていない組み合わせは、それぞれ独立して年数を積む必要があります。
※ 緩和制度の適用可否は、技術者の経歴と証明資料の内容によって判断されます。該当しそうな組み合わせがある場合は、証明資料をお持ちのうえでご相談ください。
5-5. ★岡山県固有:とび・土工工事業と解体工事業の経過的な重複の取扱い
もうひとつ、岡山県の審査要領には期間の重複を例外的に認める運用が明記されています。
平成28年5月31日までに「解体工事」の実務経験(10年又は学歴+3年ないしは5年等)で「とび・土工工事業」の許可を取得している業者について、同じく実務経験で「解体工事業」の許可を取得する場合については、「とび・土工工事業」と同一期間の実務経験を「解体工事業」の実務経験として申請することができる。重複を認める期間については、平成28年6月1日の法施行前の経験期間についてのみとする。(審査要領 PDF p.24)
ただし、審査要領は続けて注意を促しています。あくまで実務経験期間の重複を認めるに過ぎないため、重複期間内に足場などの「とび・土工・コンクリート工事」の実務経験と「解体工事」の実務経験を有する者が新たに両業種の許可を取得する場合には、実務経験証明書は両方の工事について必要になります(審査要領 PDF p.24)。
解体工事業が独立した業種になったのは平成28年6月1日です。それ以前から解体を手がけてきた岡山県内の事業者にとっては、この経過的な取扱いが業種選定の選択肢を広げることがあります。→とび・土工工事業の建設業許可【岡山】
5-6. 経営業務の管理責任者は業種ごとではない
念のため整理しておくと、業種ごとに必要になるのは営業所技術者であって、経営業務の管理責任者等(常勤役員等)は業種ごとに置くものではありません。要件の詳細は経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法【岡山】を、社内に該当者がいない場合の打ち手は経営業務の管理責任者がいない場合の対処【岡山】をご覧ください。
業種を増やすことで直接的に難易度が上がるのは、営業所技術者の要件です。ここを起点に業種を絞り込むのが、最も手戻りの少ない進め方です。
6. 選び方ステップ③:区分を間違えやすい組み合わせを確認する
候補業種が固まったら、最後に区分の誤りがないかを確認します。手引 PDF p.158〜161 の「建設工事の区分の考え方」には、混同しやすい組み合わせの整理が具体的に示されています。実務で問い合わせの多いものを抜き出します。
| 迷いやすい工事 | 区分の考え方 | 出典 |
|---|---|---|
| 屋根 vs 板金 | 「瓦」「スレート」「金属薄板」は屋根をふく材料の別を示したものにすぎないため、板金屋根工事も板金工事ではなく屋根工事に該当する。板金工事の「建築板金工事」とは、建築物の外壁へのカラー鉄板張付け工事や厨房の天井へのステンレス板張付け工事等 | 手引 PDF p.159, p.160 |
| とび・土工 vs 鋼構造物(鉄骨) | 鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが鋼構造物工事の「鉄骨工事」、既に加工された鉄骨を現場で組立てることのみを請け負うのがとび・土工・コンクリート工事の「鉄骨組立工事」 | 手引 PDF p.158, p.160 |
| とび・土工 vs 鋼構造物(屋外広告) | 現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負うのが鋼構造物工事の「屋外広告工事」、それ以外がとび・土工・コンクリート工事の「屋外広告物設置工事」 | 手引 PDF p.158, p.160 |
| 左官 vs とび・土工(吹付け) | 左官工事の「吹付け工事」は建築物に対するモルタル等の吹付け。とび・土工・コンクリート工事の「吹付け工事」は「モルタル吹付け工事」「種子吹付け工事」の総称で、法面処理等のためのもの | 手引 PDF p.158 |
| 防水 vs とび・土工 | 防水工事に含まれるのはいわゆる建築系の防水工事のみ。トンネル防水工事等の土木系の防水工事はとび・土工・コンクリート工事に該当する | 手引 PDF p.158, p.160 |
| 左官 vs 防水(モルタル防水) | 防水モルタルを用いた防水工事は、左官工事業・防水工事業どちらの業種の許可でも施工可能 | 手引 PDF p.158, p.160 |
| 土木一式 vs 管 vs 水道施設 | 公道下等の下水道の配管工事・下水処理場自体の敷地造成工事=土木一式/家屋その他の施設の敷地内の配管工事・上水道等の配水小管の設置=管/上水道等の取水・浄水・配水等の施設及び下水処理場内の処理設備の築造・設置=水道施設。なお農業用水道、かんがい用配水施設等の建設工事は水道施設工事ではなく土木一式工事 | 手引 PDF p.158, p.159, p.161 |
| 管 vs 機械器具設置 | 建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は管工事、トンネル・地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事は機械器具設置工事 | 手引 PDF p.159, p.160 |
| 機械器具設置 vs 電気・管・電気通信・消防施設 | 機械器具設置工事には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため重複が生じるが、原則としてそれぞれの専門の工事の方に区分し、いずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が機械器具設置工事に該当する | 手引 PDF p.159, p.160, p.161 |
| 屋根 vs 電気(太陽光) | 屋根一体型の太陽光パネル設置工事は屋根工事。太陽光発電設備の設置工事は電気工事に該当し、太陽光発電パネルを屋根に設置する場合は屋根等の止水処理を行う工事が含まれる | 手引 PDF p.159 |
| 消防施設 vs 建築一式・鋼構造物 | 「金属製避難はしご」は火災時等にのみ使用する組立式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しない。固定された避難階段を設置する工事は消防施設工事ではなく、建築物の躯体の一部の工事として建築一式工事又は鋼構造物工事 | 手引 PDF p.158, p.160, p.161 |
| 舗装 vs とび・土工 | 舗装工事と併せて施工されることが多いガードレール設置工事はとび・土工・コンクリート工事(道路付属物設置工事)。人工芝張付け工事は、地盤面をコンクリート等で舗装した上にはり付けるものは舗装工事 | 手引 PDF p.158, p.160 |
| タイル・れんが・ブロック vs 屋根(スレート) | タイル・れんが・ブロツク工事の「スレート張り工事」はスレートを外壁等にはる工事。スレートにより屋根をふく工事は屋根工事 | 手引 PDF p.159 |
| 電気通信の「保守」 | 既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は電気通信工事に該当する。ただし保守(点検、整備及び修理)に関する役務の提供等の業務は電気通信工事に該当しない | 手引 PDF p.160 |
| 解体 vs 各専門工事 | それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は土木一式工事や建築一式工事に該当する | 手引 PDF p.161 |
6-1. 区分の誤りは「無許可営業」に直結する
手引は、業種区分について次のように強い言葉で注意しています。
業種の区分については、無許可営業、技術者配置義務違反、一括下請負等の法令違反に直結するため、関係法令等に基づき適切に整理する必要があります。(手引 PDF p.162)
区分を誤って許可を取得した場合、許可自体は存在するのに、実際に施工している工事については無許可という状態が生まれます。これは「書類のミス」ではなく、実体としての法令違反です。
なお、すでにラインを超えた受注をしてしまっている場合の対処は無許可で500万円以上を受注してしまったら|今すぐ取るべき対処【岡山】で扱っています。
6-2. 岡山県には「業種区分の疑義」の相談ルートが用意されている
区分の判断がつかない場合に備え、岡山県は個別相談のルートを明記しています。
工事ごとの内容は様々で関係者も多数に上るため、業種の区分に疑義がある場合は、工事台帳、現場写真、施工体制台帳、施工体系図等工事内容や施工体制の詳細が分かる資料をお示しいただき、個別に監理課建設業班へ相談してください。(手引 PDF p.162)
重要なのは、「資料を示して相談する」ことが前提になっている点です。工事名を口頭で伝えて済む話ではありません。当事務所にご相談いただく場合も、契約書・工事台帳・現場写真をお持ちいただければ、必要に応じて岡山県土木部監理課建設業班へ照会したうえでご回答します。
7. 業種は絞るべきか、広く取るべきか——判断軸の整理
「法定手数料は業種の数に関係ない(手引 PDF p.14)のなら、広く取ったほうが得ではないか」——これは新規申請の相談で必ず出る質問です。判断軸を整理します。
7-1. 広く取ることのメリット
- 受注機会が広がる。税込500万円以上の工事を、業種の壁で断らずに済みます。
- 法定手数料は増えない。新規申請なら業種の数にかかわらず90,000円です(手引 PDF p.14)。
- 後から業種追加をする手間・費用が発生しない。すでに許可を受けている者が、同じ区分(特定・一般)内で別の業種の許可を受ける場合は追加許可申請となり、法定手数料は50,000円です(手引 PDF p.13、p.14)。なお、区分をまたぐ場合(例:一般建設業の許可しか受けていない事業者が、新たな業種を特定建設業で取る場合)は般特新規許可申請となり、法定手数料は90,000円です(同)。「後から足せば5万円」が常に当てはまるわけではありません。追加申請にかかる費用と期間の内訳は建設業許可の業種追加にかかる費用|追加申請の法定費用と期間【岡山】にまとめています。
7-2. 広く取ることのデメリット・制約
- ★営業所技術者の要件を、業種ごとに満たさなければならない。§5-3のとおり、実務経験は同一期間を複数業種に使い回せません(手引 PDF p.165/審査要領 PDF p.24)。ここが実質的な上限になります。
- ★立証資料の量が業種の数だけ増える。実務経験ルートでは、業種ごとに実務経験証明書(様式第9号)と、県民局調査で提示する契約書の原本又は注文書の原本及び請書の写し等が必要です(手引 PDF p.9、p.17)。10年分の契約書を業種ごとに揃える負担は、業種が増えるほど比例して重くなります。
- 技術者が退職すると、その業種の許可が維持できなくなる。営業所技術者が不在になれば要件を欠きます。1人の技術者に複数業種を背負わせている構成ほど、退職時の影響が大きくなります。
- 維持コストは業種の数と無関係ではない。許可の有効期間は許可日から5年間で、更新許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておく必要があります(手引 PDF p.21)。毎年の事業年度終了報告では、業種ごとに工事経歴書を作成することになります。
7-3. 現実的な結論
当事務所が新規申請でお勧めしているのは、次の考え方です。
- 税込500万円以上の受注が現に発生している業種、または元請・発注者から求められている業種を最優先で取る。業種が決まったあと、実際に許可を取るまでに何をどの順で進めるかは500万円以上の工事を受注したい|建設業許可を取るまでのロードマップ【岡山】に整理しています。
- そのうえで、営業所技術者の要件を無理なく満たせる業種があれば、同時に申請する(法定手数料は増えないため)。
- 要件充足が微妙な業種を無理に押し込まない。1業種の証明が弱いために申請全体が滞るのは本末転倒です。
- 将来必要になる業種は、要件が整った時点で追加すればよい。
なお、複数の業種を1回の申請でまとめて申請することは可能です(この場合の設計や進め方は、別記事「建設業許可を複数業種同時に申請するには【岡山】」で改めて扱う予定です)。また、すでに許可を持っている事業者が後から業種を増やす手続き(追加許可申請)については、必要書類や進め方が新規申請と異なるため、建設業許可の業種追加とは|岡山で許可業種を増やす手続きと要件で解説しています。本記事はあくまで新規申請時の業種選定に絞っています。
8. 岡山県で申請するときに業種選定が効いてくる場面
業種選定は、申請書を書く前の準備段階の話に見えますが、岡山県の申請実務では最後まで影響し続けます。
8-1. 提出先は県庁本庁の一元。事前審査は一切ない
岡山県では、建設業許可申請及び変更届の受付は出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています(手引 PDF p.168)。提出先は次のとおりです。
岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)
〒700-8570 岡山市北区内山下2-4-6/直通電話 086-226-7463
窓口受付時間 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)
(手引 PDF p.16。郵送での提出も受け付けており、送付先は同じ)
そして、手引は「事前審査は一切行いません。正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください」と明記しています(手引 PDF p.16)。さらに、11時30分から13時00分まで及び16時30分から翌開庁日の9時00分までの間は窓口を閉じるとともに審査を休止し、原則として審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了します(同)。
つまり、「この工事はどの業種になりますか」を窓口で相談しながら申請書を仕上げていく、という進め方はできません。業種の確定は、書類を作る前に済ませておく必要があります。これが、業種選定を先送りできない岡山県固有の理由です。
8-2. 業種ごとの実務経験は、県民局の営業所調査で裏付けを問われる
申請が受け付けられると、許可要件の確認のため県民局による営業所調査があります。それとは別に本庁の土木部監理課でも所要の調査を行い、全ての許可要件を充足していると認められると許可されます(手引 PDF p.16)。
営業所調査については、許可申請受付後、半月程度で所轄の県民局から実施の連絡が行われます(手引 PDF p.17)。岡山県では、所在地に応じて備前県民局・備中県民局・美作県民局の3つの県民局建設部ごとに担当区域を設けており、建設業に関わる事務の一部を行っています(手引 PDF p.168)。
調査で確認される事項のうち、業種選定に直結するのが営業所技術者等の資格等を確認するために必要な書類です(手引 PDF p.17)。実務経験で証明した業種については、実務経験証明書に記載した工事について契約書(原本)又は注文書(原本)及び請書(写し)等を提示して工事内容の確認が行われ、これらが揃わないときは実務を経験したことの証明ができないことになります(手引 PDF p.165)。
業種を欲張って、裏付け資料が揃わない業種を混ぜてしまうと、この段階で止まります。§5で「取れる業種に絞る」ことを勧めているのは、この調査を通せるかどうかが最終的な合否を分けるからです。
8-3. 処理期間と、業種選定のやり直しコスト
申請が受け付けられてから許可になるまでは、特に問題がないケースで概ね2か月程度かかります(手引 PDF p.16)。営業所調査が終わったからといって本庁における調査が終わっているとは限らず、営業所調査が早く実施されても許可が早く取得できるということはありません(同)。
この2か月という期間は、業種選定を誤ったときの手戻りの大きさを示しています。取るべき業種が抜けていたことに後から気づけば、追加許可申請として改めて申請し、また審査期間を待つことになります。最初の設計で外さないことの価値は、時間で測ると大きいのです。
8-4. 岡山県内の地域と業種の関係
岡山県は、地域によって主力となる工種の傾向が異なります。業種選定の際は、自社の営業エリアで発生している工事の種類を踏まえて検討してください。
- 岡山市:県庁所在地で事業者数の母数が最も大きく、建築系・設備系の受注が中心。県庁への提出という点でも距離が近い → 建設業許可を岡山市で取得するには
- 倉敷市(水島地区):臨海部の石油化学・鉄鋼コンビナートを背景に、プラント設備・機械器具設置・熱絶縁・鋼構造物といった工種の需要が発生しやすい → 建設業許可を倉敷市で取得するには
- 県北・中山間地域:土木一式・とび・土工・舗装など、公共土木系の比重が相対的に高い
いずれの地域でも、申請書の提出先は本庁の土木部監理課建設業班である点は変わりません(手引 PDF p.168)。変わるのは営業所調査を担当する県民局です。
9. 業種が決まらないときの相談の使い方
ここまで読んで「自社はどの業種か、やはり判断がつかない」と感じた場合、それは珍しいことではありません。業種区分は、工事名ではなく工事の実態で決まるうえ、手引 PDF p.158〜161 の区分の考え方は、同じ材料・同じ作業でも文脈によって行き先が変わる構造になっているためです。
判断が難しくなる典型は次のパターンです。
- 複数の工種を継続的に手がけている(リフォーム、外構、設備一式など)→ リフォーム工事が大工・内装仕上・建築一式のどれに当たるかという切り分けはリフォーム工事に必要な建設業許可はどの業種か【岡山】で整理しています
- 元請から指定された業種名が、建設業法上の業種区分と一致しているか分からない
- 技術者が1人しかおらず、どの業種に経歴を割り当てるかで結論が変わる
- 10年分の契約書が揃うか分からない業種がある
- 資格は持っているが、取得後の実務経験が必要な資格かどうか分からない(§5-2)
このいずれかに当てはまる場合、業種を決めてから相談するのではなく、決める段階からご相談ください。§5-3のとおり、一度ある業種について証明した実務経験の期間は、別の業種に振り替えることができません(審査要領 PDF p.24)。割り当ての設計は、やり直しがきかない一発勝負です。
ご相談の際は、次の資料をお手元にご用意いただけると、その場で方向性をお示しできます。
- 直近3〜5年の工事請負契約書・注文書(金額と工事内容が分かるもの)
- 技術者の資格証・免状(取得年月日が分かるもの)
- 技術者の職歴(在籍期間・従事した工事の種類)
- 元請から指定されている業種名(書面があればその写し)
必要書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般【岡山】に、要件全体の確認は建設業許可の6つの要件|自社が取れるか診断【岡山】にまとめています。
なお、個人事業主か法人かによって、営業所技術者や経営業務の管理責任者の証明の進め方が変わります。該当する方は次もあわせてご覧ください。
また、財産的基礎(500万円)の要件は業種の数に関係なく事業者単位で判断されます。→建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備【岡山】
よくある質問(FAQ)
まとめ
- 建設業許可は29業種。許可は業種ごとに与えられ、2つの一式工事と27の専門工事に分かれます(手引 PDF p.5)。
- 一式工事の許可を持っていても、各専門工事(500万円以上)の施工には各専門工事の許可が必要です(手引 PDF p.162)。業種選定は、自社の工事が §1 の表のどの専門工事に当たるかを特定する作業から始まります。
- 法定手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(手引 PDF p.14)。新規なら何業種でも90,000円です。増えるのは費用ではなく、要件充足と立証の手間です。
- 業種選定の最大の制約は営業所技術者です。実務経験は同一期間に複数の業種を並行して計上できず(手引 PDF p.165)、一度ある業種について証明した期間は別の業種に振り替えられません(審査要領 PDF p.24)。10年の経験で2業種、は原則として成立しません。
- ただし、技術的な共通性がある業種間には緩和制度があります(手引 PDF p.167)。土木一式→とび・土工/しゅんせつ/水道施設/解体、建築一式→大工/屋根/内装仕上/ガラス/防水/熱絶縁/解体は一方向、大工←→内装仕上、とび・土工←→解体は双方向。合計12年以上(各8年超)で2業種が可能になり、通常20年のところ最短16年まで短縮されます。
- 資格があっても取得後の実務経験が別途必要な資格があります(第2種電気工事士=3年、電気主任技術者=5年、技能検定2級=3年 ほか/手引 PDF p.164)。資格証の取得年月日を必ず確認してください。
- 区分の誤りは無許可営業に直結します(手引 PDF p.162)。屋根と板金、とび・土工と鋼構造物、管と機械器具設置、防水ととび・土工など、混同しやすい組み合わせは §6 の表で確認してください。疑義がある場合は、工事台帳・現場写真・施工体制台帳等の資料を示して監理課建設業班へ個別相談するルートが用意されています(同)。
- 岡山県では申請書の提出は本庁の土木部監理課建設業班に一元され(手引 PDF p.168)、窓口では事前審査は一切行われません(手引 PDF p.16)。業種の確定は、書類を作る前に終えておく必要があります。
- 実務経験で証明した業種は、所轄の県民局による営業所調査で契約書の原本等の提示を求められます(手引 PDF p.17、p.165)。裏付けが揃わない業種を混ぜると、そこで止まります。
業種選定は、限られた技術者の経歴をどこに割り当てるかという、やり直しのきかない設計作業です。取りたい業種が複数あるなら、申請書を書き始める前にご相談ください。
業種の特定だけのご相談も歓迎です(無料相談・30秒入力のフォーム)
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