【Drone】ドローン飛行許可申請の完全ガイド【行政書士監修】
ドローンはどこで飛ばしても良いわけではありません。
念願のドローンを購入して、これからドローンを使っていろんな場所で空撮をしようと思われているかもしれませんが、ドローンはどこでも飛ばせるわけではないんです。(ただし許可を得れば飛行可能です)
そこで・・・
チェック
- ドローンってなに?
- ドローンは自由に飛ばせるの?
- ドローンを飛ばすために何すればいいの?
というお悩みはありませんか?
このようなお悩みをお持ちの方へドローン飛行許可申請を担う行政書士がドローンをとりまく手続きを徹底解説します。
この記事を読むと
「ドローン初心者でもできる!ドローン飛行許可申請の手続きの方法」
がよくわかります。
それでは具体的な中身を見ていきましょう。
最新の航空法(無人航空機)の改正情報
航空法の無人航空機に関する法制度は時代に応じて、随時、改定されていきます。
航空法自体の改正はそれほど頻繁に行われるものではありませんが、ドローン飛行に関する制度に関する指針などは、随時改正されていきます。
一番注意が必要な情報は「審査要領」の改正です。
「審査要領」などの情報が改正されると、国土交通省のホームページに掲載されますが、「審査要領」のどの箇所がどのように改正されたかは具体的には掲載されません。
たとえば「2021年12月20日」の審査要領改正の案内は次にように掲載されています。
「事前登録受付開始に伴う変更、屋内飛行の解釈変更など」と少し記載がありますが、審査要領のどの箇所が変更されたかはこれだけではわかりません。
そのため、これからドローン飛行許可を取得される方は、必ず、最新の「審査要領」を確認していく必要があります。
ドローン飛行規制に関係する基礎知識を徹底解説します!
航空法上の許可や承認を必要とする無人航空機とはどのようなものでしょうか。
(無人航空機)
航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器(※)であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。※現在、政令で定める機器はない。
かなり独断的な言い方で解説すると、以下の3点を満たせば、航空法上の無人航空機と扱っていいと思います。
- ラジコンのようにコントローラーで操作できる
- 人が乗れない構造で無人で飛行する
- 200g以上(2022年6月20日以降は100g以上に改正されます)
航空法上の無人航空機として扱われるドローンの場合、航空法の規制を受けます。
航空法の規制には「飛行許可」「飛行承認」の2つの区分があります。
飛行許可が必要なパターン
- (A)空港等の周辺の上空の空域
- (B)150m以上の高さの空域
- (C)人口集中地区の上空
飛行承認が必要なパターン
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 30m未満の飛行
- イベント上空飛行
- 危険物輸送(主に農薬散布等)
- 物件投下(主に農薬散布等)
航空法では概要しか定められていません。具体的な内容は「航空法施行規則」を確認する必要があります。
ドローンとは
そもそもドローンとはどのようなものなのでしょうか。
ドローンにはいろいろな用途があり、現在、様々な分野で活用されています。
- 空撮
- 測量
- 点検
- 農薬散布
- 災害救助
このなかで「災害救助」だけは、基本的には公的な依頼のもとでしか飛行させることができません。
その他の「空撮」「測量」「点検」「農薬散布」は民間でも活用されています。
今後は「物流」の分野でのドローンの活用が見込まれています。いわゆる「レベル4」飛行です。
現時点では「有人地帯における補助者なしの目視外飛行」は禁止されていますが、今後は、法整備がおこなわれ、「有人地帯における補助者なしの目視外飛行」ができるようになる模様です。
補助者を配置しない目視外飛行「レベル3」飛行は、DIPS2.0によるオンライン申請、もしくは書面による申請書を作成いただき、飛行させる空域を管轄する地方航空局等へ提出する形で申請可能です。
ドローンは自由に飛ばしてもいいの?
航空法によるドローン飛行許可・承認を取得すれば、自由にドローン飛行できるのでしょうか?
答えは、残念ながら「NO」です。
ドローンを飛行させると、航空法による規制だけではなく、様々な法律による規制を考慮していかなければいけません。
国の重要施設の上空飛行を禁止する法律「小型無人機飛行禁止法」
国会議事堂や総理官邸、皇居など国の重要施設の上空でのドローン飛行は禁止されています。
特定の周波数域を使用してドローン飛行をする場合には「電波法」
ドローンレースなどではリアルタイムの操作性が要求されるため、専用の周波数を使って操作することが多いのですが、その際には電波法が影響してきます。また、海外製のドローンを使用する場合も技適マークの有無など確認が必要です。
技適マークがあればどんな周波数を使っても問題ないわけではありませんので、技適マークの有無と使用可能な周波数は別々に考える必要があります。
民家や建物上空を飛行する場合には「個人情報保護法」
ドローンと個人情報保護法は一見関係ないように見えますが、2次的に影響を及ぼす恐れがあるため、ドローン飛行で撮影を行う場合はとくに注意が必要です。
ドローンに関係する個人情報保護法・肖像権・プライバシーをポイント解説!
法律の規制をクリアしても都道府県や市区町村の条例による規制
インターネットなどでドローン飛行に関連する法令を調べるとある程度の範囲は公開されていますのですぐに調べることができます。
ただし、実際に飛行させる地域の条例はインターネットだけで調べるのは難しいため、各地域の役所に確認する必要があります。
海上で飛行させる場合には「海上交通3法」
人のいない海上でドローン飛行を行う場合、ドローン飛行に関する直接的な規制ではありませんが、海上交通の安全を守るための法律である海上3法が関係する場合があります。
海岸でドローン飛行をする場合には「海岸法」
海岸でドローン飛行を行うことは比較的多いのですが、その場合でも海岸法に抵触しないように注意が必要です。
私有地上空を飛行させる場合には「民法」
人と人との関係で一番基本となる民法も忘れてはいけません。直接的な条文はありませんが、間接的に影響してきますので、注意点は確認しておきましょう。
ドローン飛行に関係する民法(他人の土地など)をポイント解説!
それぞれの飛行場所で法規制に注意して飛行させる必要があります。
法務省との調整結果が公表されています。
上記の資料を見ると、あまり明確になっていない部分が多く、わかりにくいですね。
特に、「第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要があるわけではないものと解される。」とし、結果として、「事案ごとに判断」ということになっています。
つまり、問題が起きないように土地所有者と調整してね。というわけです。
ドローンを飛ばすために必要な許可とは?
航空法で規制されている空域や飛行方法で飛行させるためには、航空法上の無人航空機飛行許可・承認を取得しなければいけません。
よくある質問の一つに
「空港周辺地区に該当するから空港周辺飛行の許可を取らなければならないのでしょうか」
というものがあります。
空港周辺の地域であっても制限高未満の飛行であれば空港周辺飛行の許可は不要です。
ただし、確実に大丈夫かどうか不安な場合は必ず専門家やヘルプデスクへ相談してください。
空港周辺で無許可で飛行してしまった場合に、航空機の運航を妨げてしまった場合、取り返しのつかない問題が生じてしまいます。
空港周辺の飛行と上空150m以上の飛行には航空機が関わってきますので、特に慎重な事前確認と準備が必要です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
ドローン飛行規制の進入表面の設定状況・空港周辺空域の管轄は?
ドローン飛行許可・承認の取得方法について徹底解説
ドローン飛行を行う場合に必要となる許可の中で一番わかりやすいのが航空法上の無人航空機飛行の飛行に関する許可・承認です。
ドローン飛行で航空法上の許可・承認が必要となる飛行を行う場合は、審査要領を確認し、ドローン飛行許可・承認申請を行いましょう。
【ドローン】無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領の解説
【ドローン】無人航空機に係る規制の運用における解釈についての解説
DIPSでドローン飛行許可・承認申請をする手順
DIPSは旧バージョンから進化してDIPS2.0(飛行許可承認申請機能)がリリースされています。
DIPS2.0とは
Drone/UAS Information Platform System 2.0「ドローン情報基盤システム2.0」のことで、ドローン飛行許可・承認申請を含めた申請をインターネット上から行うシステムのことです。
DIPS2.0でオンライン申請する手順
【DIPS2.0】ドローン情報基盤システムの申請方法を完全ガイド【行政書士監修】
ドローン飛行を実際に行う前の手続き
「飛行計画の通報」でドローン飛行計画の登録をする手順
飛行計画の通報とは
DIPS2.0の中にある「飛行計画の通報」のことで、以前はFISSと呼ばれていたものです。ドローン飛行許可・承認を受けて飛行を行う場合は、必ず事前に登録する必要があります。
飛行計画の通報をしないで特定飛行(飛行許可承認が必要な飛行)をした場合、罰則がありますので、十分注意してください。
「飛行計画の通報」で飛行計画を登録する手順
【飛行計画の通報】飛行計画の通報に関する完全ガイド【行政書士監修】
ドローン飛行が終ったあとの手続きについて徹底解説
飛行日誌の記録
ドローンの飛行が終わったら、飛行日誌への記録は必ず行わなければいけません。
こちらも罰則がある義務ですので、必ず決められた内容を網羅した飛行日誌を作成し、保管するようにしてください。
DIPSで飛行実績をオンラインで登録する手順
飛行実績とは
2021年4月1日より飛行実績の報告は原則不要となりました。
以前はDIPSなどから飛行実績の報告を定期的に行う必要がありましたが、2021年4月1日より報告は原則不要となりました。
その代わり、飛行日誌の作成が義務化されたため、より飛行実績の記録が厳しくなったという訳です。
飛行日誌には、実際に飛行した実績だけでなく、点検記録や修理記録も記録する必要があり、とても細かい管理が求められています。
【DIPS】ドローン飛行日誌の管理に関する完全ガイド【行政書士監修】
ドローン飛行許可申請の完全ガイドのまとめ
ドローン飛行は航空法上の飛行許可・承認を取得すれば、どこで飛行してもよいというわけではありません。
ただし、適切な手順に従って飛行準備を行えば、法令に沿ったクレームのない飛行が可能です。
最後に、飛行するパターン別に注意点を確認しておきましょう。
ドローンの庭や敷地内での飛行(庭や敷地内でのドローン飛行は可能?)
ドローン飛行はきちんと法令に従って飛行させる場合は事故さえ注意すれば大きな問題は生じません。
ただし、航空法上の飛行許可・承認だけを取得しておけばどこで飛行しても問題ないと思われている場合は非常に危険です。
必ず、飛行場所の管理者の許可はとる必要がありますし、よくわからない場合は、専門家に相談しておくことで、飛行時のリスクを軽減することができます。
ご不安な方は専門家への相談をお勧めします。