
「会社名を変えることにした」「屋号を変えて心機一転したい」——建設業許可をお持ちの事業者からのご相談で、意外に多いのがこれです。
結論から申し上げます。商号(法人の社名)や名称(個人事業の屋号)を変えた場合、建設業許可は取り直しになりません。変更届を出せば足ります。ただし、期限は30日以内です。
そして、岡山県ならではの押さえどころが3つあります。
- 提出期限は、変更届の「表紙」そのものに刷り込まれています。 岡山県は変更届に指定の表紙を付けさせており、その右肩に〈変更届出事項/提出期限〉の対応表が印刷されています。お客様がご自身で○を付ける、まさにその紙に答えが書いてあります(手引 PDF p.30・p.31)。
- 法人の商号変更と、個人の名称変更では、添付書類がまったく違います。 商号(法人)は商業登記事項証明書が無条件で必要ですが、名称(個人)は一覧表の「提出書類(非閲覧用)」欄に○が1つも付きません(手引 PDF p.170)。
- その商業登記事項証明書は「窓口で1部見せて返してもらう」書類ではありません。 つづって提出する側の書類で、原本を付けた正本は県に残ります。ここを取り違えると、証明書が手元に戻る前提で予定を組んで足をすくわれます。
一方で、変更届に法定手数料はかかりません(手引 PDF p.22・p.14)。費用の話ではなく、期限と書類の話だと理解してください。
※ どの届出事項に当たるか、どの書類が何部必要かは、登記の状況・営業所の実態・許可の内容といった個別の事情によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可の書面による届出を前提とした一般的な整理であり、個々の会社について結論をお約束するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。
なお、本店を移転した(=建設業の営業所の所在地が変わった)場合の実務は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?が、支店・営業所を新しく置いた/閉じた場合は令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件が、それぞれ本家として詳しく扱っています。本記事は商号・名称そのものが変わったときに絞ってお読みください。
1. 商号・屋号を変えたときに、建設業許可の側で起きること
1-1. 「許可の取り直し」ではなく「変更届」
まず、いちばん多いご不安から片づけます。社名を変えたら建設業許可を取り直さなければならないのか、という問いです。
岡山県の手引は、許可取得後に申請書の内容が変わった場合の扱いを、次のように整理しています。許可申請書及び添付書類等の内容に変更が生じた場合は、指定された期限内に変更届出書の提出が必要であり、その事由と期限は「変更届出事項及び提出書類等一覧表」にまとめられています(手引 PDF p.22・p.170)。
この一覧表の1行目が「商号(法人)」、2行目が「名称(個人)」です。つまり、商号・名称の変更は、新規の許可申請ではなく、変更届で処理される事項として制度上あらかじめ位置づけられています。ここが答えです。
一方で、「商号を変えたら許可番号がどうなるのか」「新しい許可通知書が交付されるのか」については、手引にも審査要領にも定めが置かれていません。 本記事では、資料に書かれていないことを推測で断定しません。番号の扱いを前提に何かを組み立てる必要がある場合(取引先への届出、入札参加資格の登録内容の変更など)は、事前に岡山県の担当窓口または当事務所にご確認ください。
1-2. 期限は30日以内。ただし「営業所まわり」は行が分かれている
商号(法人)・名称(個人)の変更届の提出期限は、いずれも30日以内です。
本記事に関係する行だけを、手引の一覧表(手引 PDF p.170)から抜き出すと次のようになります。19事由の全体表は作りません(全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像(更新・決算変更届・変更届カレンダー)が本家です)。
| No | 変更届出事項 | 提出期限 | 閲覧用として○が付く様式 |
|---|---|---|---|
| 1 | 商号(法人) | 30日以内 | 表紙/様式第22号の2(変更届出書) |
| 2 | 名称(個人) | 30日以内 | 表紙/様式第22号の2 |
| 3 | 営業所の所在地 | 30日以内 | 表紙/様式第22号の2 |
| 10 | 個人事業主の氏名変更 | 30日以内 | 表紙/様式第22号の2 |
この4行以外の事由(従たる営業所の新設・廃止、資本金の額、役員等、経管・営業所技術者(旧:専任技術者)等、廃業届など)は、本記事では扱いません。 どの事由に当たるかを出来事から引きたい方は、建設業許可の変更届|出来事から逆引き・届出漏れの点検からご覧ください。
なお、上表の No.3「営業所の所在地」を挙げているのは、商号変更と本店移転が同時に起きるケースが実務では非常に多いからです(登記の整理をまとめて行うため)。移転そのものの手続き——変更年月日をいつにするか、電話番号の切替をどう挟むか、登記事項証明書が要るのか——は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?が本家として書き切っていますので、そちらへお進みください。
1-3. ★岡山県の変更届は「表紙」に期限が書いてある
ここが、岡山県で手続きをする方にとって最も実用的な情報です。
岡山県は、建設業許可の申請書・変更届に県が別途指定する表紙を添付させる運用をとっています。そして、変更届の表紙の右肩には〈変更届出事項/提出期限〉の対応表が刷り込まれています。 手引の表紙の説明には、次の一文が置かれています。
「・【右肩の表】 今回提出する内容の番号に○を付けてください。」(手引 PDF p.31)
つまり、お客様がご自身で○を付ける、その表そのものに提出期限が並んでいるということです。表は7つのグループに分かれ、17の事項が期限別に整理されています(手引 PDF p.30)。本記事に関係するのは、そのグループ1です。
| 表紙のグループ | 並んでいる事項 | 提出期限 |
|---|---|---|
| グループ1 | 商号(法人)/名称(個人)/営業所の所在地等 | 30日以内 |
| グループ2 | 従たる営業所の名称 | 30日以内 |
| グループ2 | 従たる営業所の新設・廃止/業種追加・業種廃止 | 2週間以内 |
| グループ3 | 資本金の額/役員等の追加・交替・削除/個人事業主の氏名変更/支配人の変更 | 30日以内 |
| グループ3 | 建設業法施行令3条の使用人 | 2週間以内 |
注目していただきたいのは、グループ3です。 30日以内の4事項と、2週間以内の令3条の使用人が、同じ枠の中で行を割って並んでいます(手引 PDF p.30)。ここを流し読みすると、期限が倍違う事故になります。令3条の使用人まわりについては令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件をご覧ください。
他県の記事では書けない情報です。 「変更届の期限は30日以内」という一般論は誰でも書けますが、「岡山県の変更届の表紙の右肩にその表が刷ってあり、番号に○を付けて出す」というところまでは、岡山県の手引を実際に開かないと書けません。ご自身で表紙を印刷される場合も、まずこの右肩をご覧ください。
1-4. なぜ商号変更の届出漏れが起きるのか
商号変更は、登記さえ直せば終わったように見える手続きです。法務局での登記が完了し、新しい社名の登記事項証明書が手元に届くと、多くの方はそこで一段落だと感じます。
しかし建設業許可の側から見ると、登記が完了した時点で、すでに30日の時計が動き出しています。 しかも、この30日は「登記が完了した日」から数えるとも書かれていません(起算日の考え方は §3-3 と、その本家である建設業許可を取った後の手続き全体像をご覧ください)。
そして、届出を落としたときの効果は即座には現れません。手引は「期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできません」と書いています(手引 PDF p.22)。その場では何も起きず、次の更新や業種追加の場面で止まる——これが変更届の怖さです。未提出が溜まった状態からの復旧の順序は決算変更届を出していないとどうなる|未提出が溜まったときの対処に整理しています。
2. 法人の「商号」と個人の「名称」——期限は同じ30日、添付が違う
期限は同じ30日以内ですが、添付書類は法人と個人で大きく異なります。 ここが本記事のもうひとつの核心です。
2-1. 一覧表の3つの欄——①閲覧用/②非閲覧用/③確認資料
前提として、岡山県の一覧表は提出書類を3つの欄に分けています。
| 欄 | 意味 | 扱い |
|---|---|---|
| ①提出書類(閲覧用) | 一般の閲覧に供される書類 | つづって3部 |
| ②提出書類(非閲覧用) | 閲覧の対象にならない書類 | つづって3部 |
| ③確認資料 | 窓口で確認するだけの資料 | つづらず1部を提示(提出不要) |
①と②を分けてつづり、それぞれ3部(通常は合計6部)を提出する、③の確認資料はつづらず1部だけ提示する——これが一覧表の冒頭に置かれた注記の趣旨です(手引 PDF p.170)。手引の表紙の説明でも、閲覧用3部・非閲覧用3部の計6部(いずれか3部のみの場合もある)と説明されています(手引 PDF p.31)。
2-2. ★商業登記事項証明書は「②非閲覧用」=つづって3部の側
ここが最も間違えやすい箇所です。
一覧表の③確認資料の欄に並んでいるのは、「戸籍抄本(謄本)」と「社会保険の確認資料」の2列だけです(手引 PDF p.170)。
一方、商業登記事項証明書・登記されていないことの証明書・身分証明書・商業支配人登記事項証明書・事業税納付済額証明書は、すべて②提出書類(非閲覧用)の欄にあります。つまり、つづって3部提出する側です。
| 誤解 | 正しい扱い |
|---|---|
| 「登記事項証明書は窓口で見せるだけでよい」 | ⛔ 誤り。②非閲覧用=つづって3部の側 |
| 「戸籍抄本も提出するのだから3部要る」 | ⛔ 誤り。③確認資料=1部提示のみ(提出不要) |
★ここで、もうひとつ取り違えやすい点を先に潰しておきます。「つづって3部」だからといって、法務局で証明書を3通取る必要はありません。 手引は、商業登記事項証明書等について正本には原本を、副本にはコピーしたものを添付するよう定めています(手引 PDF p.149)。つまり原本は1通で足り、残りはその写しで構いません。
そのうえで押さえていただきたいのが、原本を添付した正本は県に提出したままになるという点です。手引は、変更届について受付後(営業所調査が必要な場合は調査完了後)に副本2部を返却するとしています(手引 PDF p.26)。手元に戻るのは副本=コピーを綴じた側です。同じ時期に金融機関や取引先へ原本を出す予定があるなら、その分は別に取得しておいてください。
2-3. 商号(法人)=登記事項証明書が無条件で必要
法人の商号変更(一覧表 No.1)で○が付くのは、次の4か所だけです(手引 PDF p.170)。
- ①閲覧用:表紙/様式第22号の2
- ②非閲覧用:表紙/商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書に限る)
- ③確認資料:なし
商業登記事項証明書は、△(条件付き)ではなく○(無条件)です。 商号は登記事項ですから、当然といえば当然ですが、後述する営業所の所在地(△=登記事項となっている場合のみ必要)とは扱いが違うという点を押さえてください。
証明書そのものについては、手引に次の定めがあります。
「・原則として履歴事項全部証明書の添付が必要です。当該証明書は、法務局で発行され、登記官が認証したものに限ります。また、必要に応じて閉鎖事項証明書についても、窓口で提出する場合や営業所調査等で確認することがあります。」(手引 PDF p.150)
「履歴事項全部証明書に限る」と一覧表の列見出しに書かれている(手引 PDF p.170)点も、あわせて押さえてください。現在事項証明書では足りません。
なお、変更の履歴が古く、履歴事項全部証明書では変更前後の対比が確認できないケースでは、閉鎖事項証明書が必要になることがあります。手引が閉鎖事項証明書を明示的に求めているのは資本金の額の変更届の場面ですが(この論点は自己資本500万円が足りないときが本家です)、上記のとおり商業登記事項証明書一般についても「必要に応じて閉鎖事項証明書を確認することがある」とされています。商号を過去に何度も変えている会社では、証明書を取得する前に窓口へご確認ください。
証明書の鮮度にも決まりがあります。特に指定がない場合でも、受付日において発行から3か月以内のものでなければならないとされています(手引 PDF p.149)。登記完了を待ってから取得すれば通常は問題になりませんが、「登記の前に、念のため先に取っておいた」証明書は、変更後の商号が反映されていないうえに鮮度も削れていることになります。順序を守ってください。
2-4. 名称(個人)=②非閲覧用の欄に○が1つも付かない
対して、個人事業の名称変更(一覧表 No.2)は、①閲覧用の表紙と様式第22号の2 だけに○が付き、②非閲覧用の欄には表紙にすら○が付きません(手引 PDF p.170)。③確認資料も空欄です。
⚠️ なぜ名称(個人)だけ②非閲覧用が空欄なのか——その理由を説明した記述は、手引にも審査要領にもありません。 個人事業の名称と商号登記との関係に触れた説明も、両資料には置かれていません。本記事は、一覧表の欄がそうなっているという事実だけをお伝えします。
事実として言えるのは、法人の商号変更では変更前後を商業登記事項証明書で確認する仕組みが組み込まれているのに対し、名称(個人)の行にはその欄が無い、ということです。
したがって、部数の考え方も変わります。手引は提出部数について「閲覧用3部、非閲覧用3部の計6部(いずれか3部のみの場合もある)」と書いており(手引 PDF p.31)、名称(個人)の変更届は、この「いずれか3部のみ」に当たり得る事由です。
⚠️ ただし、「名称(個人)の変更届は3部でよい」と一覧表が明言しているわけではありません。 一覧表からは「②非閲覧用に載る書類が無い」ことが読み取れるだけです。ほかの事由と同時に提出する場合は当然に変わりますので、部数は提出前に窓口でご確認ください。
2-5. 法人と個人の対比
ここまでを1枚にまとめます。
| 観点 | 商号(法人) | 名称(個人) |
|---|---|---|
| 一覧表の行 | No.1 | No.2 |
| 提出期限 | 30日以内 | 30日以内 |
| ①閲覧用 | 表紙/様式第22号の2 | 表紙/様式第22号の2 |
| ②非閲覧用 | 表紙/商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書に限る) | ○が1つも付かない |
| ③確認資料 | なし | なし |
| 一覧表が求める登記の証明 | 商業登記事項証明書が必要 | 一覧表に欄が無い |
| 実務上の律速 | 登記の完了と証明書の取得 | 届出書の作成 |
法人は「登記→証明書取得→届出」という順序に縛られ、個人は一覧表上そこに縛られない——この差が、そのままスケジュールの差になります。工程の組み方は §7-4 で扱います。
3. 様式第22号の2 の埋め方——商号変更で書く欄はどこか
変更届に使う様式は様式第22号の2(変更届出書)です。様式の左上には「様式第二十二号の二(第八条、第九条関係)」と印刷されています(手引 PDF p.136)。⚠️ なお、この括弧書きが何の法令の条番号を指すのかを説明した記述は、手引にも審査要領にもありません。 様式番号と条番号は別のものとして扱ってください。
3-1. まず、冒頭の (1)〜(8) に○を付ける
第一面の冒頭は「下記のとおり、(1)〜(8)について変更があつたので届出をします。」という書き出しになっており、該当する番号を○で囲む形式です。記載要領にも「(1)から(8)までの事項については、該当するものの番号を○で囲むこと。」と定められています(手引 PDF p.138)。
番号の割り当ては次のとおりです(手引 PDF p.136・p.138)。
| 番号 | 事項 | 商号・名称の変更で使うか |
|---|---|---|
| (1) | 商号又は名称 | ○を付ける |
| (2) | 営業所の名称、所在地又は業種 | 所在地・電話番号を同時に直すなら付ける |
| (3) | 資本金額 | 増資を同時に届け出るなら付ける |
| (4) | 役員等の氏名 | 本記事の範囲外 |
| (5) | 個人業者の氏名 | §5 参照 |
| (6) | 支配人の氏名 | 本記事の範囲外 |
| (7) | 建設業法施行令第3条に規定する使用人 | 本記事の範囲外 |
| (8) | 営業所技術者・特定営業所技術者 | 本記事の範囲外 |
★岡山県は、この番号の当てはめについて吹き出しで補足を置いています。 そのうち本記事に直結するのが「※電話番号の変更は(2)」という指定です(手引 PDF p.136)。電話番号のためだけの独立した番号は用意されておらず、(2) 営業所の名称、所在地又は業種に含めて処理する、ということです。
3-2. 「変更前」「変更後」は対比させて書く
届出事項の欄は、変更前と変更後を並べて書きます。記載要領は次のとおりです。
「 「変更前」及び「変更後」の欄は、届出事項について変更に係る部分を対比させて記載すること。」(手引 PDF p.138)
商号変更であれば、変更前に旧商号、変更後に新商号を書きます。変更に係る部分だけを対比させるのがポイントで、変わっていない部分まで書き写す必要はありません。
あわせて、法人の種類を表す文字には略号を使います。
「 「商号又は名称」の欄は、法人の種類を表す文字については次の表の略号を用いること。」(手引 PDF p.138)
略号表に載っているのは、株式会社=(株)、特例有限会社=(有)、合同会社=(合)、合資会社=(資)、合名会社=(名)、協同組合=(同)、協業組合=(業)、企業組合=(企)です(手引 PDF p.138)。さらに、フリガナの欄には法人の種類を表す文字のフリガナを記入しません(同)。「カブシキガイシャ〇〇」と書かない、ということです。
3-3. 変更年月日は「実際に変更の行われた年月日」
変更年月日の欄について、記載要領はこう定めています。
「 「変更年月日」の欄は、実際に変更の行われた年月日を記載すること。」(手引 PDF p.138)
そして岡山県は、変更届出書の記載例の吹き出しで「変更事由の発生日を記載します。(登記年月日ではありません。)」と念を押しています(手引 PDF p.136)。手引の注意事項でも同旨が繰り返されています(手引 PDF p.141)。
登記が完了した日を書くのではありません。 商号変更であれば、株主総会等で定款を変更し、商号の変更が効力を生じた日が「実際に変更の行われた年月日」に当たると考えるのが素直な読み方です。
⚠️ ただし、商号変更の変更年月日を「決議日」と「効力発生日」のどちらにするかを指定した記述は、手引にも審査要領にもありません。 日付の特定が明文化されているのは、①所在地=実際に営業所機能を移転した日(審査要領 PDF p.31)、②資本金の額=登記簿上の変更日(手引 PDF p.141)、③役員=実際に就退任した日(手引 PDF p.142)の3つだけです。商号については明文がありませんので、登記の内容と食い違いが出そうなときは、事前に窓口または当事務所へご確認ください。 期限の起算日そのものの考え方は建設業許可を取った後の手続き全体像が本家です。
3-4. 入力事項欄は「変更があった部分のみ」
第一面の下半分には、商号又は名称・代表者又は個人の氏名・主たる営業所の所在地・資本金額等を書き込むカラム形式の入力事項欄(項番37〜44)があります。岡山県は、この欄の埋め方について次のように指示しています。
「・【入力事項欄(項番 37~44、81~88)】変更があった部分のみ記入してください。」(手引 PDF p.141)
記載例の吹き出しでも、「変更があった事項のみ記載します。様式第1号(許可申請書)の記載方法に準じて記載します。」とされています(手引 PDF p.136)。変わっていない欄まで律儀に埋める必要はありません。
★ここで実務上の落とし穴が1つあります。所在地を変更する場合は、市町村が変わっていなくても項番41(主たる営業所の所在地市区町村コード)も記入するという指示が、記載例の吹き出しに置かれています(手引 PDF p.136)。「同じ岡山市内での移転だからコード欄は空欄でよい」とはならない、ということです。商号変更と移転を1通にまとめる場合は、この欄を落とさないでください。
3-5. 第二面が不要になる場合
様式第22号の2 には第一面と第二面がありますが、第二面は常に必要というわけではありません。
「10 届出の内容が、主たる営業所若しくは従たる営業所において営業しようとする建設業又は従たる営業所の名称若しくは所在地に係る変更、従たる営業所の新設若しくは廃止以外の場合には、第二面の提出を要しない。」(手引 PDF p.138)
岡山県の注意事項でも、従たる営業所がない場合、または第二面に記載すべき事項に変更がない場合は添付不要とされています(手引 PDF p.141)。商号の変更だけであれば、第二面は不要という整理になります。
3-6. そのほか、商号変更の届出で落としやすい欄
手引が挙げている注意点のうち、商号・名称の変更で効くものを拾います(手引 PDF p.141)。
「・【日付】届出日を必ず記載してください。
・【法人番号の確認方法】法人番号通知書の写し又は国税庁の法人番号公表サイトで確認してください。
・【備考欄】記載例を参考にして、変更内容が具体的かつ平易に分かるように記載してください。」(手引 PDF p.141)
備考欄は「変更」の2文字だけでも形式的には埋まりますが、県は「具体的かつ平易に分かるように」と求めています。 岡山県の記載例では、商号の行の備考に「変更」、所在地の行に「移転」、資本金の行に「増資」といった書き分けが示されています(手引 PDF p.136)。
もう1点、様式そのものが新しくなっています。 様式第22号の2 の注意事項には「令和7年2月1日以降の提出分から様式が変更されています。新様式で提出してください。」と書かれており(手引 PDF p.141)、変更届の表紙の側にも同旨の注意が置かれています(手引 PDF p.31)。手元に保存していた古い様式を使い回さないでください。
なお、届出者以外に作成した者がある場合には、届出者に加えてその者の氏名も記載し、作成に係る委任状の写しその他の権限を証する書面を添付することとされています(手引 PDF p.138)。行政書士が作成を代行した場合は、表紙の作成者氏名欄に行政書士氏名(事務所名があれば併記)を記載します(手引 PDF p.31)。
★参考までに——手引 PDF p.140 には変更届出書 第一面の記載例が19パターン掲載されていますが、その内訳は役員等・常勤役員等・営業所技術者等・営業所まわりの型であり、商号変更の型はここには載っていません。 商号の記載例は、第一面そのものの記載例(手引 PDF p.136)の側にあります。「記載例を探したが商号の書き方が見当たらない」というときは、探す場所が違っています。
4. 1通にまとめられる——商号・所在地・資本金・電話番号を同じ届出書で直す
4-1. 岡山県の記載例は「4事項を1通」
会社の登記まわりの整理は、まとめて行われることが多いものです。「本店を移転するついでに社名も変え、あわせて増資もした」というケースは珍しくありません。
このとき、変更届出書を事項ごとに何通も作る必要はありません。 岡山県の記載例(手引 PDF p.136)は、まさにその形を示しています。1通の変更届出書の届出事項欄に、次の4行が並んでいます。
| 届出事項 | 変更前 | 変更後 | 変更年月日 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 商号 | (株)弓之町建設 | (株)内山下コーポレーション | 令和2年4月1日 | 変更 |
| 所在地 | 岡山市北区弓之町6-1 | 岡山市北区内山下2-4-6 | 〃 | 移転 |
| 資本金 | 10,000千円 | 20,000千円 | 〃 | 増資 |
| 電話番号 | 086-222-3333 | 086-226-7463 | 〃 | 変更 |
(手引 PDF p.136 の記載例より。変更年月日は1行目に日付を書き、2行目以降は「〃」とされています。)
そして、この記載例で冒頭の(1)〜(8)に○が付いているのは (1)(2)(3) の3つです。商号=(1)、所在地と電話番号=(2)、資本金=(3) という当てはめで、電話番号のために新しい番号を増やしてはいません(手引 PDF p.136)。
第一面には、項番43「郵便番号」の右側に電話番号の記入欄があります(項番番号は振られていません/手引 PDF p.136)。だから商号・所在地・資本金と一緒に電話番号も1通で直せる、という構造です。
4-2. ただし「1通にできる」と「期限が1本になる」は別の話
★ここで必ず区別していただきたいことがあります。
1通の届出書にまとめられるのは、あくまで書式の話です。事由ごとの提出期限が1本にまとまるわけではありません。
上の記載例のように商号・所在地・資本金がすべて同じ日に変わったのであれば、期限も同じ30日で揃います。しかし、期限の異なる事由が同時に発生する場合——たとえば商号変更と同時に支店を新設した(従たる営業所の新設=2週間以内)、あるいは役員が交替してその方が経管を兼ねていた(常勤役員等=2週間以内)——というケースでは、短いほうの期限に合わせて動くことになります。
「1回の出来事から、期限の異なる複数の届出が芋づる式に発生する」という構造そのものは、建設業許可の変更届|出来事から逆引き・届出漏れの点検と令3条の使用人とは|複数営業所の建設業許可要件が本家として扱っていますので、そちらでご確認ください。
4-3. 登記を伴う変更は、商号のほかにもある
商号変更の相談をお受けすると、同じ登記のなかで別の変更も済ませていたことが後から判明する、ということがよくあります。建設業許可の届出事項になっているもののうち、登記を伴うことが多いのは次のあたりです。
| 同時に起きやすい変更 | 建設業許可側の届出 | 詳しくは |
|---|---|---|
| 本店移転(建設業の営業所も移った) | 営業所の所在地の変更届(30日以内) | 自宅を営業所にして建設業許可は取れる? |
| 増資・減資 | 資本金の額の変更届(30日以内) | 自己資本500万円が足りないとき |
| 役員の就退任・代表者の交替 | 役員等の変更届(30日以内) | 建設業許可の役員変更届の書き方|経管交代は届出2本 |
| 支店の設置・廃止 | 従たる営業所の新設・廃止の変更届(2週間以内) | 令3条の使用人とは |
| 組織変更(法人成りを含む) | 手続きの種類自体が変わる場合がある | 法人成りで建設業許可は引き継げる? |
「社名を変えただけ」と思っていても、登記簿を見ると他にも動いている——ということは十分あり得ます。商号変更の届出を作るときは、変更後の履歴事項全部証明書を1枚通して読み、直近で動いた登記事項をすべて洗い出すところから始めてください。
5. 個人事業主の「名称(屋号)」と「氏名」は別の事由
ここからは、個人事業主の方に向けた各論です。法人の商号よりも情報が乏しく、誤解が生じやすい領域なので、資料に書かれていることと書かれていないことを分けて示します。
5-1. まず用語——岡山県の資料に「屋号」という語は出てきません
検索では「屋号 変更 建設業許可」といった言葉が使われますが、岡山県の建設業許可の手引と審査要領には、「屋号」という語が1件も出てきません(両資料を通しで確認済み)。
岡山県の様式・一覧表が使っているのは「名称(個人)」という表記です(手引 PDF p.30・p.170)。様式第22号の2 の欄名も「商号又は名称」で、法人と個人が同じ欄を共用しています。
したがって、届出の場面では「屋号を変えた」ではなく「名称(個人)の変更」として整理するのが正確です。本記事も、以下は「名称」で統一します。
5-2. 「名称(No.2)」と「個人事業主の氏名(No.10)」は別の行
個人事業主の方に最も知っていただきたいのがこれです。
| No.2 名称(個人) | No.10 個人事業主の氏名変更 | |
|---|---|---|
| 何が変わったとき | 屋号を変えた | 本人の氏名が変わった(婚姻等) |
| 提出期限 | 30日以内 | 30日以内 |
| ①閲覧用 | 表紙/様式第22号の2 | 表紙/様式第22号の2 |
| ②非閲覧用 | ○なし | 本人が経管なら様式第7号別紙、支配人を置いていれば様式第12号(△*14) |
| ③確認資料 | なし | 戸籍抄本(謄本)=○(無条件) |
(いずれも手引 PDF p.170。△*14 は同ページの欄外注。)
★細かい点ですが、戸籍抄本(謄本)の扱いは行によって違います。 「役員等の氏名変更」「支配人の変更」「令3条の使用人」の行では △*5(=婚姻等により氏名変更された場合に必要)ですが、「個人事業主の氏名変更」の行だけは条件なしの○です(手引 PDF p.170)。個人事業主の氏名が変わったのであれば、理由を問わず戸籍抄本(謄本)を用意する、と読むほかありません。
期限は同じ30日でも、出すものが違います。 屋号を変えただけなら表紙と様式第22号の2 だけですが、ご本人の氏名が変わった場合は戸籍抄本(謄本)を1部提示し、さらにご本人が経営業務の管理責任者(常勤役員等)である場合には様式第7号別紙、支配人を置いている場合には様式第12号が加わります。
なお、戸籍抄本(謄本)は③確認資料なので、つづらず1部を提示するだけです(提出は不要/手引 PDF p.170)。§2-2 で見た商業登記事項証明書とは扱いが逆になります。
個人事業主の場合、常勤役員等(経営業務の管理責任者)は「その者又は支配人」とされています(手引 PDF p.7)。つまり、一人で許可を持っている個人事業主が改姓した場合、「本人が経管」に当たり、様式第7号別紙が付いてくることが多いという関係になります。ここは見落とされやすい部分です。
5-3. 旧姓での届出について——列挙に個人事業主は入っていません
岡山県の審査要領には、旧姓の使用についての運用が定められています。建設業法に基づく経管、営業所技術者等及び役員等の氏名の届出について、一定の条件で旧姓での申請・届出を受け付けるという内容です(審査要領 PDF p.32)。
⚠️ ただし、この項が列挙しているのは「経管・営業所技術者等・役員等」であって、個人事業主本人の氏名は挙がっていません。 「個人事業主も旧姓で届け出られる」と読めるかどうかは、資料の文面からは決められません。改姓後も旧姓で営業を続けたいという場合は、届出の前に窓口または当事務所へご相談ください。
5-4. 個人から法人へ——それは名称の変更ではありません
最後にひとつ、境界の話です。
「屋号を法人名にした」=法人成りの場合は、名称の変更届では処理できません。個人事業主と法人は別の主体であり、許可の扱いそのものが変わります。この論点は法人成りで建設業許可は引き継げる?が本家ですので、そちらをご覧ください。
参考までに、法人成りの場面では、個人事業主時代の営業所をそのまま使う場合でも、承継日以降に営業所調査が実施されるという運用が審査要領に定められています(審査要領 PDF p.35)。看板の変更や電話番号の法人名義への変更を確認する必要があるためです。「同じ場所だから何もしなくてよい」とはならない、という点だけ押さえておいてください。
6. 登記だけが動いたとき——「登記上の本店」と「建設業の営業所」は別物
6-1. 建設業許可が見ているのは「登記上の本店」ではない
商号変更の相談で、必ずといってよいほど出てくるのがこの論点です。
建設業許可の申請書・届出書に書く所在地は、登記上の本店ではありません。 手引は、各種様式で所在地を記入するものについては建設業許可上の主たる営業所の所在地を記入することとし、登記上の本店所在地であって建設業許可上の主たる営業所ではないものを記入する場合には、建設業許可上の主たる営業所の所在地も併記するよう求めています(手引 PDF p.26)。
審査要領も同じ方向です。本店が建設業について指導監督を行わない場合は、申請書に記載する主たる営業所については、登記上の本店等ではなく、建設工事の請負契約を常時締結する事務所のうち主たる事務所を記載するとされています(審査要領 PDF p.4)。申請者記入欄の住所についても、建設業に係る主たる営業所の所在地を記載するという定めがあります(審査要領 PDF p.3)。
つまり、登記簿の住所と建設業許可上の営業所は、制度上そもそも一致していなくてよいという前提で組まれています。
6-2. 「登記上の本店だけを移した」場合はどうなるか
ここから先は、慎重に書きます。
読者の実際の問いは、「登記上の本店だけを移転登記した。建設業の営業所はまったく動いていない。届出は要るのか」というものです。
一覧表を確認すると、No.3 の行は「営業所の所在地」であり、「登記上の本店の所在地」という行はありません(手引 PDF p.170)。表紙の期限表も「営業所の所在地等」の1行です(手引 PDF p.30)。
そして、この場面を場合分けした明文は、手引にも審査要領にもありません。
- 書けること:一覧表の届出事項は「営業所の所在地」であること/申請書に書くのは建設業許可上の主たる営業所であること(手引 PDF p.26・審査要領 PDF p.4)
- 書けないこと:「建設業の営業所が動いていなければ届出は不要」という断定
本記事は、書けないことを書きません。 登記上の本店だけが動いた場合の取扱いは、登記簿と申請書控えの記載がどうなっているかによって結論が変わり得ますので、必ず個別にご確認ください。当事務所にご相談いただければ、登記事項証明書と許可申請書の控えを突き合わせて、どちらの記載を直す必要があるのかを整理します。
6-3. 添付書類の分岐は「登記事項かどうか」
もうひとつ、登記まわりで押さえておくと迷わない軸があります。商業登記事項証明書が要るかどうかは、その事項が登記事項かどうかで決まります。
| 届出事項 | 商業登記事項証明書 |
|---|---|
| 商号(法人) | ○=無条件で必要 |
| 資本金の額 | ○=無条件で必要 |
| 営業所の所在地 | △=登記事項となっている場合のみ必要 |
| 従たる営業所の名称/新設・廃止 | △=登記事項となっている場合のみ必要 |
| 役員等・建設業法上の代表者変更 | △=登記事項となっている場合のみ必要 |
(手引 PDF p.170 の②提出書類(非閲覧用)欄と、同ページ欄外注「△*6:登記事項となっている場合のみ必要。」より。)
△の側は、手引・審査要領の両方に裏づけの記述があります。手引は「登記の対象となっていない場合(例えば、相談役就任や登記されていない支店の新設を届出する時など)には必要ありません」と説明し(手引 PDF p.150)、審査要領は所在地の変更について、営業所が登記上の事務所でない場合は登記事項証明書の添付を不要とする旨を定めています(審査要領 PDF p.32)。
商号は必ず登記事項なので、常に○。営業所の所在地は、その営業所が登記上の事務所かどうかで分かれる。 この軸で覚えておくと、添付書類の判断がぶれません。
6-4. 県外に主たる営業所を移す場合——境界の明示
最後に、しばしば同時に相談される論点の境界を示しておきます。
手引には、次の2つの事実が書かれています。
- 岡山県内のみに営業所を設ける場合には岡山県知事許可となり、岡山県内に主たる営業所を置き、他の都道府県にも営業所を置く場合には国土交通大臣許可となる(手引 PDF p.6)
- 許可の種類として、許可行政庁が変更になる「許可換え新規許可申請」(新しい許可行政庁へ申請)というものがある(手引 PDF p.13)
⚠️ この2つは、いずれも別々の箇所に書かれた別々の記述です。 「県外へ本店を移したら許可換え新規になる」と両者を結びつけて説明した記述は、手引にも審査要領にもありません(両資料に「県外」「他県」という語は1件も出てきません)。
したがって本記事は、県外に主たる営業所を移す場合は、届出では済まず、許可換え新規という別の手続きになる場合があります、という以上の断定をしません。該当しそうな場合は、移転を実行する前に岡山県の担当窓口または当事務所にご相談ください。 移転してから相談すると、選べる選択肢が減ります。
7. 岡山県での手続き——提出先・部数・手数料と、登記からの工程
7-1. 提出先は本庁一元。県民局の窓口では受け付けていません
岡山県では、建設業許可の申請書・変更届の受付は、出先機関ではなく本庁の土木部監理課建設業班で行われています(手引 PDF p.168)。県内3つの県民局建設部が建設業に関わる事務の一部を担っていますが、受付窓口ではありません。
- 岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)
- 窓口受付時間 9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)(手引 PDF p.16)
- 郵送での提出も受け付けられています(送付先は同じ/手引 PDF p.16)
本記事は書面(窓口へのご持参・郵送)による届出を前提に整理していますが、手引には「9 電子申請」という独立した節があり、許可申請や変更届出を電子申請で行うことができるとされています(手引 PDF p.20)。
また、岡山県は事前審査を一切行いません(手引 PDF p.16)。「とりあえず持って行って見てもらう」という進め方ができないため、書類を完全に整えてから提出することになります。手続き全体の流れは建設業許可を取った後の手続き全体像にまとめられています。
7-2. 部数と表紙
変更届出書の提出方法・提出部数・提出場所は、許可申請の場合と同じとされています(手引 PDF p.22)。原則は閲覧用3部・非閲覧用3部の計6部で、いずれか3部のみの場合もあります(手引 PDF p.31)。
表紙まわりで、商号変更の届出に効く注意点を挙げます(手引 PDF p.31)。
- 許可番号・許可年月日の欄は記載漏れがないように(許可年月日の欄に誤って作成日を書かないこと)
- 許可日が複数ある場合、書くのは現在有効なもののうち一番古いもの
- 表紙に限り、訂正に修正液・修正テープを使える(他の様式は二重線での訂正)
- 右肩の表は、今回提出する内容の番号に○(§1-3)
もうひとつ、更新のタイミングと重なったときの取扱いがあります。更新手続中でまだ更新許可の通知を受理していない業者が変更届等を提出する際は、表紙その他の帳票に記載する許可番号・許可年月日は更新前のものを書くこととされています(審査要領 PDF p.31)。更新申請の流れは建設業許可の更新手続き|流れ・必要書類・注意点をご覧ください。
7-3. 手数料は不要
変更届に法定手数料はかかりません(手引 PDF p.22・p.14)。90,000円・50,000円という金額は許可申請のもので、変更届とは無関係です。
かかるのは、登記事項証明書の取得実費(法人の場合)と、書類の作成にかかる手間、そして専門家に依頼する場合の報酬です。当事務所の報酬(税込・目安)は次のとおりです。
| 業務内容 | (A)行政書士報酬 | (B)法定手数料 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 変更届(役員・その他) | 22,000円 | ― | 22,000円 |
| 変更届(経営業務の管理責任者) | 33,000円 | ― | 33,000円 |
| 建設業変更届出(事業年度終了報告) | 44,000円 | ― | 44,000円 |
- 商号・名称の変更届は、上表の「変更届(役員・その他)」の区分でお受けしています。
- 証明書等の取得実費は当事務所が立て替え、精算します。
- 申請手続そのものを委託し、行政書士の責任において代理申請を行うこともできます(手引 PDF p.19)。当事務所は代理申請までお受けします。
- 金額は税込の目安です。同時に届け出る事由の数と内容によって変わりますので、事前にお見積りします。
維持にかかる費用を年額で把握したい方は建設業許可の維持にかかる年間費用を、報酬の考え方は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場をご覧ください。
7-4. ★登記からの工程——司法書士と行政書士のリレー
商号変更が他の変更届と決定的に違うのは、先に登記という別の手続きが走るという点です。工程は次のようになります。
| 工程 | 担い手 | 建設業許可側の時計 |
|---|---|---|
| ① 定款変更・商号変更の決議 | 会社(株主総会等) | 届出書に書くのは「実際に変更の行われた年月日」であって登記年月日ではない(手引 PDF p.138・p.136)。⚠️ ただし決議日と効力発生日のどちらを書くかの明文はない(§3-3) |
| ② 商号変更の登記申請 | 司法書士等 | 30日の期限は待ってくれない |
| ③ 登記の完了 | 法務局 | — |
| ④ 履歴事項全部証明書の取得 | 会社/代理人 | 原本は1通で足りる(正本に原本・副本にコピー/手引 PDF p.149) |
| ⑤ 変更届の作成・提出 | 会社/行政書士 | 30日以内(手引 PDF p.30・p.170) |
②〜④に何日かかるかは、建設業許可の資料の範囲外です。 登記の手続きそのもの(商号変更登記のやり方・登録免許税の額)についても、手引・審査要領には記載がありません。登記のリードタイムは司法書士にご確認ください。
そのうえで、当事務所からのお願いは1点だけです。登記を依頼する段階で、「建設業許可の変更届が30日以内に必要である」ことを工程に入れておいてください。 登記が終わってから「そういえば許可の届出もあったのでは」と気づく——というのが、実際にいちばん多い遅れ方です。
証明書の通数について:§2-2 のとおり、商業登記事項証明書はつづって提出する側の書類ですが、原本は1通で足ります(正本に原本、副本にはコピー/手引 PDF p.149)。ただしその1通は正本に付いたまま県に残り、返ってくるのは副本2部です(手引 PDF p.26)。同時期に金融機関や取引先へ原本を提出する予定があるなら、そのぶんを上乗せして取得しておくのが効率的です。
7-5. 出したあとに誤りが見つかったら
受付後に軽微な誤りが判明した場合は、補正書と誤りの部分を補正した正しい書類を各3部提出して補正を行います(審査要領 PDF p.31)。補正箇所が多岐にわたる場合や審査の根幹に関わる修正については、いったん取下げのうえ再提出という扱いになります(同)。
また、許可申請の審査中に商号や所在地が変わった場合は、速やかに県担当者に連絡のうえ変更届を提出することとされ、許可申請の審査は変更届の審査が完了するまで保留になります(審査要領 PDF p.31-32)。新規申請や更新申請と商号変更が重なりそうなときは、順序を先に整理してください。
⚠️ もうひとつ、押さえておきたい運用があります。許可取得後に、許可日より前の日付で発生していた変更があったことが判明した場合には、変更届に加えて業務改善報告書を速やかに提出することとされています(審査要領 PDF p.32)。「商号を変えたのは許可が下りる前だったが、届出をしていなかった」というケースがこれに当たり得ます。業務改善報告書という仕組みの全体像は建設業許可を取った後の手続き全体像と決算変更届を出していないとどうなるに整理されていますので、そちらをご確認ください。
7-6. 出した書類は閲覧されます
見落とされがちですが、届出書類のうち法令で閲覧対象となっているものは、受付後一定期間、県庁土木部監理課および所轄県民局で一般の方の閲覧に供されます(手引 PDF p.24)。閲覧用と非閲覧用を分けてつづる実務は、この閲覧制度があるからです。
商号変更は、まさに取引先・同業者が確認しに来る可能性のある情報です。書類は「見られる前提」で丁寧に作成してください。
8. 届け出たあとに残る後処理——許可票・沿革・経審と入札
変更届を出せば建設業許可の手続きは完了ですが、手元の表示物と、次の申請で使う書類には、まだ作業が残っています。ここまでやって「社名変更が終わった」といえます。
8-1. 許可通知書は再発行されません
まず前提として、許可通知書は再発行されません(手引 PDF p.19)。許可時に許可通知書と申請書副本が郵送され、それを保管しておく仕組みです。
商号変更をしたときに、新しい社名の許可通知書が改めて交付されるかどうかについては、手引にも審査要領にも記載がありません。 したがって本記事は、その点を断定しません。旧商号の許可通知書は、引き続き大切に保管してください。
8-2. 許可票(標識)の記載を直す
店舗に掲げている許可票(標識)についても作業が残ります。手引は、許可業者であっても、許可の有効期間が満了した後や廃業の届出を行った後には、従前から掲示していた許可票の掲示をやめたり、記載事項を速やかに修正しなければならないと注意を促しています(手引 PDF p.195)。
商号が変われば、許可票に印刷された商号も実態と食い違います。 掲示義務そのものの解説(「公衆の見やすい場所」の解釈など)は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?が本家ですので、ここでは「社名を変えたら許可票の記載も直す」という後処理があることだけお伝えします。
8-3. ★次の申請で効く——営業の沿革に書く
これは、5年後に効いてくる後処理です。
許可申請・更新申請の添付書類に、様式第20号「営業の沿革」があります。その記載要領は次のとおりです。
「1 「創業以後の沿革」の欄は、創業、商号又は名称の変更、組織の変更、合併又は分割、資本金額の変更、営業の休止、営業の再開等を記載すること。」(手引 PDF p.131)
そして岡山県の記載例には、実際に「本店所在地を変更(岡山市北区弓之町→岡山市北区内山下)」「商号変更(㈱弓之町建設→㈱内山下コーポレーション)」という2行が並んでいます(手引 PDF p.131)。商号変更も本店移転も、この欄に書く事項だということです。
変更届を出した時点でこの欄のメモを残しておかないと、5年後の更新申請のときに「いつ社名を変えたか」を思い出す作業から始めることになります。 変更届の副本と一緒に、変更年月日を記録しておいてください。なお、この欄に役員等の就退任は記載しません(手引 PDF p.132)。
8-4. 経審・入札参加資格への波及は、発注機関ごとに確認を
経営事項審査(経審)を受審している、あるいは公共工事の入札参加資格を持っている事業者にとっては、「商号が変わったら経審の結果通知書や入札参加資格はどうなるのか」が現実的な関心事になります。
⚠️ この点について、建設業許可の手引と審査要領には定めがありません。 建設業許可の変更届は、あくまで許可行政庁(岡山県)に対する届出であり、発注機関側の登録内容が自動的に書き換わるという記述はどこにもありません。
したがって本記事は、次の範囲でお伝えします。
- 建設業許可の側は、変更届で処理します(本記事の内容)
- 経審・入札参加資格の側の手続きは、受審先・発注機関ごとに定められています。個別にご確認ください
経審そのものの流れは経審申請を岡山で依頼するなら、入札参加資格は入札参加資格にまとめています。公共工事を受注している事業者ほど、商号変更の影響範囲が広くなりますので、変更を決める段階でご相談いただくのが安全です。
8-5. 期限を落とさない仕組みにする
商号変更のような「たまにしか起きない届出」は、社内に手順が蓄積されません。 前回いつ何をしたかを覚えている人がいない、というのが普通です。
だからこそ、期限管理を仕組みにしておく価値があります。当事務所では、変更届・事業年度終了報告・更新の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。
| プラン | 月額(税込) | 主な内容 |
|---|---|---|
| ライト | 5,500円 | 必要な業務の範囲に合わせてご案内します |
| スタンダード | 11,000円 | 必要な業務の範囲に合わせてご案内します |
| フル | 15,000円 | 事業年度終了報告+経審(経営状況分析・経営規模等評価/総合評定値請求)+入札参加資格更新(2年に1回)+月次相談・期限管理 |
期限管理(いつ何を出すかのご案内)は顧問の範囲、申請の代理実行はスポット報酬という切り分けです。「登記を変えることになった」という段階でひと言ご連絡いただければ、建設業許可側で何が必要になるかを先にお伝えできます。
要件の全体像から確認したい方は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
商号(法人)や名称(個人)を変えても、建設業許可は取り直しになりません。変更届で処理します。ただし期限は30日以内です。
本記事の要点を、実務の順に並べ直します。
- 期限は表紙に書いてある。 岡山県の変更届の表紙の右肩には〈変更届出事項/提出期限〉の対応表が刷り込まれており、今回提出する内容の番号に○を付けて出します(手引 PDF p.30・p.31)。商号(法人)/名称(個人)/営業所の所在地等はグループ1=30日以内です。同じ表のグループ3では、30日以内の4事項と2週間以内の令3条の使用人が同じ枠の中に並んでいますので、読み飛ばさないでください。
- 法人と個人で添付が違う。 商号(法人)は商業登記事項証明書(履歴事項全部証明書に限る)が無条件で必要。名称(個人)は非閲覧用の欄に○が1つも付きません(手引 PDF p.170)。
- ★登記事項証明書は「1部提示して返してもらう資料」ではなく「つづって提出する書類」。 1部提示でよいのは、戸籍抄本(謄本)と社会保険の確認資料の2つだけです(手引 PDF p.170)。ただし法務局で取る原本は1通で足ります——正本に原本、副本にはコピーを添付する扱いだからです(手引 PDF p.149)。返ってくるのは副本2部で、原本は県に残ります(手引 PDF p.26)。
- 様式第22号の2 は、(1)〜(8) の番号に○を付けるところから始まる。 商号は(1)、電話番号は(2)。変更年月日は実際に変更の行われた年月日で、登記年月日ではありません(手引 PDF p.136・p.138)。入力事項欄は変更があった部分のみ、ただし所在地変更なら市町村が変わらなくても項番41を記入します。
- 1通にまとめられる。 岡山県の記載例は、商号・所在地・資本金・電話番号の4行を1通に書いています(手引 PDF p.136)。ただしまとめられるのは書式の話であって、期限が1本になるわけではありません。
- 個人事業主は「名称(屋号)」と「氏名」が別事由。 氏名が変わった場合は戸籍抄本(謄本)を1部提示(この行だけは条件なしの○)し、本人が経管なら様式第7号別紙、支配人を置いていれば様式第12号が加わります(手引 PDF p.170)。
- 登記上の本店と建設業の営業所は別物。 申請書に書くのは建設業許可上の主たる営業所です(手引 PDF p.26・審査要領 PDF p.4)。「登記上の本店だけが動いた場合」を場合分けした明文は資料にありませんので、断定せずご確認ください。
- 変更届に法定手数料は不要(手引 PDF p.22・p.14)。それでも落とすと、次の更新・追加申請が止まります(手引 PDF p.22)。
- 後処理まで含めて完了。 許可票の記載修正(手引 PDF p.195)、営業の沿革への記載(手引 PDF p.131)、経審・入札参加資格側の手続き(発注機関ごとに確認)まで。
社名や屋号を変えるという決断は、事業の節目に行われるものです。その節目に、許可の側で30日の時計が動いている——このことだけ覚えておいてください。「登記を変えることになった」という段階でご相談いただければ、建設業許可側で必要になる手続きを先に組み込めます。
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