

「本業は別にある。これから建設の仕事を請けたいので、建設業許可を取りたい」——この局面で最初に確認すべきなのは、資金でも書類でもありません。人です。
結論から言います。異業種からの参入でつまずくのは、ほぼ例外なく次の2つに集約されます。
- 営業所技術者(旧:専任技術者)を誰にするか——実務経験ゼロの会社は、自社の中で「10年の実務経験」を作ることができません。残るのは資格を持つ人か、他社で経験を積んできた人です。
- 経営業務の管理責任者(経管)をどう組むか——異業種で20年経営してきた実績があっても、岡山県の手引が求めるのは「建設業に関し」の経営経験です(手引 PDF p.7)。他業種の経営経験は、そのままでは入りません。
逆に言えば、この2つに目処が立てば、社会保険と財産的基礎は、既存の会社を持っている参入者にとってはむしろ新設法人より有利に働くことが多い領域です。一方で、営業所の実体と、役員等全員分の証明書が要る誠実性・欠格要件は、既存の会社を持っているからこそ手数がかかる側に回ります(§6-2・§6-4)。順序を間違えなければ、参入は設計できます。
なお、営業所技術者を確保する3つの方法(有資格者の採用/既存社員の資格取得/実務経験ルートの再点検)そのものの比較は、営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法に整理しています。本記事はそれを繰り返さず、「異業種から参入する」という局面でだけ変わる順序——何を先に決め、何を後回しにでき、どこで時間を失うのか——に絞ります。
※ 許可要件を満たすかどうかは、会社の沿革・役員の経歴・書類の残り方という個別の実態によって判断が分かれます。本記事は岡山県知事許可・一般建設業を前提とした一般的な整理であり、特定の会社について結論を保証するものではありません。最終判断は有資格者(行政書士)または岡山県の担当窓口にご確認ください。
1. 最初に決めるのは「どの業種で取るか」——29業種と、軽微な建設工事のライン
1-1. 許可は業種ごと。まず自社が請けたい工事の業種を確定させる
建設業の許可は、会社に対して一つ与えられるものではありません。業種ごとに取得します。岡山県の手引は、許可業種を29種類(土木一式・建築一式の2つの一式工事と、27の専門工事)と定めています(手引 PDF p.5)。
異業種からの参入は、「取引先から工事を頼まれるようになった」「本業の周辺で工事の仕事が増えてきた」という形で始まることがあります。このとき、その工事が29業種のどれに当たるのかを先に確定させないと、以降の設計がすべて空振りになります。営業所技術者に必要な資格も、実務経験の年数も、すべて「業種ごと」に決まるからです。
なお、許可がなくても請け負える範囲(軽微な建設工事)は手引に明記されています(手引 PDF p.5)。
| 区分 | 許可がなくても請け負える範囲 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円に満たない工事、又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事 |
| その他の工事(建築一式以外) | 1件の請負代金が500万円に満たない工事 |
手引は、この金額について「いずれも消費税及び地方消費税を含む額。注文者や元請業者が材料を支給する場合は材料費も含めて判断する」と注記しています(手引 PDF p.5)。材料を支給してもらっているから工事代金は安い、という数え方は通りません。
金額ラインそのものの詳しい説明は建設業許可が必要な500万円のラインとは、業種の一覧と選び方は建設業許可の業種一覧|29業種の区分に整理しています。
1-2. ★参入者が最初に踏む落とし穴——その売上は「建設工事」なのか「兼業事業」なのか
ここが、異業種参入に固有の論点です。
「今までやってきた仕事」が、建設業法上の建設工事に当たらないことがあります。 岡山県の手引は、「建設工事」に該当せず「兼業事業」に当たるものを、次のように例示しています(手引 PDF p.162)。
- 草刈り、雑木伐採/樹木のせん定、庭木管理/緑地・公園の管理
- 機械・設備等の保守・点検、部品(電球、パッキン等の消耗品)の交換等
- 溝掃除(水路の堆積物の除却等)/除雪
- 測量・コンサルタント業務/試掘
- 土砂の撤去/土砂の仮置き(土のう製作・設置を含む)
- 産業廃棄物の運搬処分/浄化槽清掃/工事現場の清掃/路面清掃
- 不動産販売(土地・建売住宅の販売)/委託管理業務/建設資材の販売・賃貸等
- 船舶、自動車、建設機械等に係る作業/道路パトロール/警備
この一覧を見て、思い当たる方は少なくないはずです。造園業・産廃業・警備業・不動産業・建設資材商社・設備保守業から建設業に出ようとする会社は、「これまでの売上」がそのまま建設業の実績にはならないということです。手引は、これらを工事経歴書(様式第2号)や直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)には記載せず、損益計算書(様式第16号)の兼業事業売上高に計上するよう求めています(手引 PDF p.49)。
この区別が効いてくる場面は3つあります。
- 営業所技術者の実務経験——兼業事業に当たる作業の経験は、その業種の実務経験として立証しにくくなります。
- 経管の経験——手引は、経営を管理した経験について「実際に建設工事を施工し、完成させて初めて経験となります」としています(手引 PDF p.59)。
- 決算書——許可取得後は、完成工事高と兼業事業売上高を区分して決算を組むことになります(§9-2 で扱います)。
手引は、業種の区分について「無許可営業、技術者配置義務違反、一括下請負等の法令違反に直結するため、関係法令等に基づき適切に整理する必要があります」とし、疑義がある場合は工事台帳・現場写真・施工体制台帳・施工体系図等を示して個別に監理課建設業班へ相談するよう求めています(手引 PDF p.162)。参入時点でここを曖昧にしたまま進めると、後で全部やり直しになります。
1-3. 「一式工事を取れば何でもできる」ではない
もう一つ、参入者が誤解しやすいのが一式工事です。手引は次のように整理しています(手引 PDF p.162)。
- 一式工事は、他の専門工事とは異なり、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事である
- 個別の専門工事として施工が可能な工事は、一式工事ではなく各専門工事に該当する
- 主たる工事として施工する専門工事に附帯工事が含まれていても、主たる工事の部分で判断されるので一式工事とは認められない
- 一式工事は「大規模又は施工内容が複雑な工事」とも定義されているので、余りにも少額な工事については認められない
- 土木一式工事(土木工事業)の許可を有していても、土木系の各専門工事(500万円以上)の施工に当たっては、各専門工事の許可が必要(建築一式と建築系専門工事の関係も同じ)
つまり「とりあえず一式で取っておけば守備範囲が広い」という発想は成り立ちません。自社が実際に請ける工事の業種で取るのが原則です。一式工事と専門工事の切り分けは一式工事と専門工事の違いに詳しく整理しています。業種を増やすのは後からでも可能で、その手続きは建設業許可の業種追加にまとめました。
参入の1手目:「うちが請けたい工事は、29業種のどれで、いくらの規模か」を紙に書き出してください。ここが決まらないうちに人材の話を始めると、必要な資格も経験年数も定まりません。
2. 参入の順序——「人」から決まり、書類は後からついてくる
2-1. 6要件のうち、異業種参入で実際に詰まるのは2つ
建設業許可の要件は複数ありますが、要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)に譲ります。ここでは、異業種から参入する会社にとって、どの要件が重く、どの要件が軽いかという重みづけだけを示します。
| 要件 | 異業種参入での重さ | 理由 |
|---|---|---|
| 営業所技術者等(手引 PDF p.8-9) | 最重量 | 実務経験ゼロの会社は自社で10年を作れない。外から連れてくるか、資格を取るかの二択に絞られる |
| 経営業務の管理経験等を有する常勤役員等(手引 PDF p.7) | 重い | 「建設業に関し」の経営経験が要る。他業種の経営歴はそのままでは入らない |
| 適切な社会保険への加入(手引 PDF p.8) | 軽い〜中 | 既存の法人は通常すでに適用事業所。新たに人を雇う場合は要確認 |
| 営業所(手引 PDF p.6、審査要領 PDF p.5) | 中 | 既存の事務所をそのまま使えるかは別問題。看板・電話回線・住居兼用が論点 |
| 財産的基礎(手引 PDF p.9-10) | 軽い | 直近の財務諸表で自己資本500万円以上なら残高証明の添付が不要(手引 PDF p.169 注1)。既存法人の強み |
| 誠実性・欠格要件(手引 PDF p.9-10) | 中 | 役員が多い会社ほど、役員等全員分の証明書の取得に時間がかかる |
重い順に着手するのが鉄則です。財産的基礎や書類の話から入ると、人が見つからなかったときに全部が無駄になります。
2-2. 逆算の順序——動かせない時間から埋める
参入の設計は、次の順序で組みます。上から順に、後戻りしたときの損失が大きい順です。
- どの業種で取るかを確定する(§1)
- 営業所技術者の目処を立てる(§3)——採用なら求人期間、資格取得なら試験日程、招へいなら交渉期間が乗る
- 経管の目処を立てる(§4)——役員として迎えるなら役員変更登記のリードタイムが乗る。イ(2)(3)・ロ要件を使うなら事前相談が必要(手引 PDF p.7・p.65)
- 社会保険・営業所の実体を整える(§6)
- 財産的基礎の証明方法を決める(§6-3)——直近の財務諸表で足りるか、残高証明を取るか
- 役員等全員分の証明書類を集める(§6-4)
- 申請書を作り、本庁へ提出する(§7)——受付から許可まで、特に問題がないケースで概ね2か月程度(手引 PDF p.16)
⑦の「概ね2か月」だけが手引に明記された期間で、①〜⑥に要する期間は事案によって大きく変わります。取引先から「いつまでに許可を」と期限を切られている場合は、この①〜⑥に何か月見込めるかで着手時期が決まります。取得時期そのものの判断材料は建設業許可を取るタイミングに整理しました。
順序を間違えた例:残高証明の500万円を用意し、事務所の看板も作り、書類も揃えた——そこで初めて「営業所技術者になれる人が社内にいない」と分かる。順序を誤ると、準備した時間がそのまま無駄になります。人から決めてください。
3. 営業所技術者を誰にするか——実務経験ゼロの会社に残る入口
3-1. 手引が示す5つの入口
営業所技術者等は、営業所ごとに、許可を受けようとする業種について次のいずれかを満たす常勤の技術者を置くことが必要とされています(手引 PDF p.8-9)。
| 入口 | 内容(手引 PDF p.9) |
|---|---|
| ① | 土木施工管理技士、建築士、技能士等一定の国家資格を有すること |
| ② | 許可を受けようとする業種について、高等学校若しくは専修学校の専門課程を卒業後5年以上、又は大学(短期大学を含む)・高等専門学校・専修学校の専門課程(専門士又は高度専門士を称するものに限る)を卒業後3年以上の実務経験を有する者で、在学中に所定の学科を修了していること |
| ③ | 1級の第1次検定又は第2次検定に合格した者で、その合格後3年以上の建設工事(指定建設業及び電気通信工事業を除く)の施工に従事した経験を有すること |
| ④ | 2級の第1次検定又は第2次検定に合格した者で、その合格後5年以上の建設工事(指定建設業及び電気通信工事業を除く)の施工に従事した経験を有すること |
| ⑤ | 許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があること |
なお、②〜⑤は県民局調査において、契約書の原本又は注文書の原本及び請書の写し等で請負工事実績があること、及び現場での施工に従事した経験(又は発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験)を立証する必要があり、様式第9号「実務経験証明書」の添付が必要です(手引 PDF p.9)。
業種ごとにどの国家資格が使えるかの一覧は、手引の資格一覧表(PDF p.163以降)に業種×資格のマトリクスとして掲載されています。この対応は誤ると「その資格では技術者になれない」という実害に直結するため、営業所技術者になれる資格一覧で業種別に整理しています。本記事では個別の資格名は扱いません。
3-2. ★異業種参入では⑤が最初から消える——「自社では10年を作れない」
上の表を、異業種から参入する会社の目線で読み直します。
⑤の10年実務経験は、自社の中では作れません。 建設業を始めていないのですから、自社での実務経験は0年です。⑤を使うということは、「他社で10年積んできた人」を連れてくるという意味であり、経験の証明は前職の使用者に依存します(§3-4)。
②も同様に、「在学中に所定の学科を修了」した人を前提としています。③④は検定合格後の従事経験を求めるため、これも社外での経験がないと成立しません。
つまり、実務経験ゼロの会社が自力でコントロールできるのは①の国家資格ルートだけです。ここが、既に建設業をやっている会社との決定的な違いです。既存業者なら「うちの職人の10年を証明する」という選択肢がありますが、参入者にはありません。
3-3. 3つの確保ルートに、参入者だからこそ付く「順序」
営業所技術者を確保する方法は、①有資格者の採用 ②既存社員の資格取得 ③他社で経験を積んだ人の招へい の3つです。この3つの比較そのもの(それぞれの成立条件・常勤性で詰まる点・判断の分かれ目)は営業所技術者がいないと建設業許可は取れない?確保の方法にまとめてあります。
本記事が扱うのは、参入者だけに生じる時間の順序です。
②(既存社員の資格取得)には、試験日程と「合格後の年数」が乗る。 手引の③④は、1級・2級の第1次検定又は第2次検定に合格した者について、その合格後にそれぞれ3年以上・5年以上の建設工事(指定建設業及び電気通信工事業を除く)の施工に従事した経験を求めています(手引 PDF p.9)。試験には日程があり、入口によっては合格後にさらに年数が乗るということです。取引先から「今年中に許可を」と期限を切られている参入では、この時間がそのまま「参入の期限」に乗ります。
①③(採用・招へい)には、常勤性という別の関門が付く。 外から人を迎える場合、営業所技術者は「その営業所に常勤して専らその職務に従事すること」が求められます(手引 PDF p.8)。手引は、原則として専任と認められない例として、技術者の住所が営業所の所在地から著しく遠距離にあり常識上通勤不可能である場合、他の営業所において専任を要する職務を行っている場合、建築士事務所を管理する建築士や専任の宅地建物取引士など他の法令により特定の事務所等で専任を要することとされている場合を挙げています(手引 PDF p.8)。
最後の項目は、参入者に直撃することがあります。不動産業から建設業へ出る会社で、専任の宅地建物取引士を建設業の営業所技術者に充てようとするケースです。手引は「建設業許可を受けた営業所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合を除く」という例外も併記していますので、自社の事務所の使われ方によって結論が変わります。ここは個別にご確認ください。常勤性・兼務の境界事例は他社役員との兼務・遠隔地居住でも常勤と認められる?に整理しています。
したがって、参入者の現実的な組み方はこうなります。
①または③で「今回の申請」を成立させ、同時に②を走らせて「2人目」を育てる。
営業所技術者は、退職して後任がいなければ許可が取り消される対象です。手引は「許可を取得した後に、営業所技術者等が退職し、後任者がいない場合は、要件の欠如として当該許可は取り消されます(建設業法第29条第1項第1号)」と明記しています(手引 PDF p.8)。外から迎えた1人に全面依存する許可は、その人が抜けた瞬間に消えます。 参入時点から2人目を設計するのは、精神論ではなく制度上の必然です。
3-4. ★前職の経験を持ち込むときの証明——技術者は「同業他者2者」
外から人を迎えて実務経験ルートを使う場合、証明のハードルが経管とは違います。ここは参入者が最も足をすくわれる箇所です。
手引は、様式第9号(実務経験証明書)について次のように定めています(手引 PDF p.82)。
- 証明は実務経験を積んでいた時期の使用者(法人又は個人事業主)が行う
- 倒産・死亡等により当時の使用者からの証明を受けることができない場合には、その当時から営業を行っている同業他者の2者からの証明を取得する必要がある
- この場合においても工事請負契約書等の書類確認ができなければ許可を取得することはできない
- 同業他社は継続的に建設業を営んでいる必要はあるが、許可の有無、営業している業種に制限はない
- 個人事業主は自分自身を証明することはできず、法人成の場合も法人設立以前のことについては証明能力がないため、同業他者の2者による証明が必要
一方、経管の証明書(様式第7号)については、当時の使用者から証明が取れない場合の代替は同業他者1者とされています(審査要領 PDF p.12)。
| 誰の経験か | 当時の使用者から証明が取れないときの代替 |
|---|---|
| 常勤役員等(経管)の経営経験 | 同業他者1者の証明(審査要領 PDF p.12) |
| 営業所技術者の実務経験 | 同業他者2者の証明(手引 PDF p.82、審査要領 PDF p.24) |
この1者と2者の違いは、実務では大きな差です。 「前職の社長とは連絡が付くが、その会社はもう畳んでいる」という状況で、経管なら1者、技術者なら2者の協力者を探すことになります。招へいの交渉に入る前に、その人の経歴を証明できる相手が今も営業しているかを確認してください。
なお審査要領は、以前勤務していた法人が倒産している場合について「当該法人及び当時の代表者等で証明することは不可」とし、同業他者2者の証明を求めています。ただし「この場合、1枚の証明書に2者からの証明を社をまとめて記載しても差し支えない」ともしています(審査要領 PDF p.24)。証明書類が揃わないときの立て方は実務経験の証明書類が揃わないときにまとめています。
3-5. 実務経験の「始期」と「空白期間」——採用したばかりの人の扱い
もう一つ、参入者が知らずに損をする運用があります。
実務経験の始期は、原則として社会保険の資格取得年月日以降で記入するとされています(審査要領 PDF p.24)。資格取得年月日以前の年月が記載されている場合には、県民局調査において、当該法人等との雇用関係が分かる書類(賃金台帳及び源泉徴収票又は所得証明書)の提示が求められます。手引も「実務経験年数は、雇用されて工事に従事していることを確認するので、原則として社会保険加入期間の年月を記入してください」としています(手引 PDF p.82)。
さらに、期間の計算方法にも独特のルールがあります(手引 PDF p.81、審査要領 PDF p.24)。
- 記載された工期と次の工期の間の空白期間が3か月以内であれば、実務経験は継続しているとみなす
- 空白期間が4か月以上の場合、当該期間を控除して計算する
- 1件の工事期間が短い場合は、四半期に1件程度(四半期に1件以上で工期の終期と始期の間が4月以上空かないこと)の実務経験を記載する
- 原則として、経験年数として計上した全ての期間に係る経験の確認を行うので、県民局調査で契約書等を提示できる経験のみを記載する
つまり、10年分の在籍があっても、四半期ごとに工事が並んでいなければ10年としては通りません。招へい候補の職歴を聞くときは、「何年いたか」ではなく「その間、工事が途切れずに並んでいるか」を聞いてください。
なお、1人が複数の業種をいずれも実務経験で担当する場合、担当する期間の重複は認められません(手引 PDF p.82)。この通算の可否は実務経験は業種をまたいで通算できる?で扱っています。10年証明そのものの進め方は営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年を証明する方法をご覧ください。
4. 経管をどう組むか——異業種の経営経験は「そのままでは」入らない
4-1. イ(1)は「建設業に関し」5年——ここが参入者の壁
常勤役員等(経管)の要件として、手引が最初に掲げるのは次の入口です(手引 PDF p.7)。
「イ(1)建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者」
手引の※2は、これを「建設業を営業していた法人の常勤の役員(取締役・理事等)、個人事業主、令3条の使用人(支店長等従たる営業所の代表者、個人事業主の支配人等)の経験が必要です」と具体化し、県民局調査において、契約書原本又は注文書原本及び請書の写し又は建設業の許可通知書等で建設業の営業実績があることの立証が必要としています(手引 PDF p.7)。
「うちの社長は30年会社を経営してきた」は、それだけでは要件を満たしません。 建設業を営業していた事業体での経営経験でなければ、イ(1)には入らないからです。ここが、異業種参入と、建設業をすでにやっている会社との最も大きな違いです。
4-2. ★ロ(2)——異業種の経営者のためにあるルート、ただし「建設業に関し2年」の壁
では、他業種で長く経営してきた人は使えないのか。ここで効いてくるのが、手引が「イ」と並べて掲げるロ要件です(手引 PDF p.7)。
ロは、次の(1)又は(2)のいずれかに該当する常勤役員等を置き、かつ、その常勤役員等を直接に補佐する者を置く体制です。
- ロ(1):建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営を担当する者に限る)としての経験を有する者
- ロ(2):5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
ロ(2)は、まさに異業種から参入する経営者を想定した条文です。 業種を問わない役員経験が5年以上あり、そのうえで建設業での役員経験が2年以上あればよい、という組み立てだからです。イ(1)の「建設業に関し5年」に対し、建設業側の要求が2年まで下がります。
ただし、ゼロではありません。ここが冷静に見るべき点です。
- 参入初年度には使えない。建設業に関し2年以上の役員等としての経験が必要である以上、これから建設業を始める会社の代表者本人が、その日のうちにロ(2)を満たすことはできません。
- 使えるのは2つの場面です。ひとつは、すでに建設業を営む会社の役員を2年以上兼ねてきた(あるいは過去に務めていた)経営者がいる場合。もうひとつは、軽微な建設工事の範囲で建設業を2年以上営んできたうえで、今回許可を取りに行く場合(§5)。
- 補佐者がセットで必要。ロは常勤役員等だけでは成立しません(§4-3)。
したがって、参入初年度の会社にとって現実的なのは「イ(1)を満たす人を役員として迎える」であり、ロ(2)は2年後の自前化に向けた設計図という位置づけになります。この「今回は外の人、次回は自前」という二段構えが、参入設計の核心です。
なお、常勤役員等及び直接に補佐する者については常勤であることが必要とされています(手引 PDF p.7)。経管の打ち手を全体として比較したい場合は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?、要件そのものの解説は経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法をご覧ください。
4-3. ★補佐者の5年は「申請事業者における経験」に限られる——既存法人の強みと、その限界
ロ要件で置く直接に補佐する者の要件は、次のとおりです(手引 PDF p.7)。
- 申請者において、建設業の財務管理、労務管理、業務運営の業務経験をそれぞれ5年以上有すること
- 同一人でも3名別々でも可。ただし、常勤役員等とは別の者であること
3つの業務経験の中身も定義されています(手引 PDF p.8・※5)。財務管理=建設工事を施工するに当たって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどに関する業務経験。労務管理=社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きに関する業務経験。業務運営=会社の経営方針や運営方針の策定、実施に関する業務経験。
そして、様式第7号の2の説明には決定的な一文があります(手引 PDF p.65)。
「財務管理、労務管理又は業務運営のうち複数を担当する地位での経験については、それぞれの業務経験としてその期間を計算することができます。ただし、これらの経験は、申請事業者における経験に限られます。」
ここに、異業種参入の強みと限界が同時に現れます。
強み——設立したばかりの新設法人には、自社に5年以上の在籍者がいません。したがってロ要件は物理的に使えません。ところが、本業を何年も続けてきた既存法人には、経理をずっと見てきた人・総務をずっと担ってきた人がいます。「申請事業者における経験」という制約を、既存法人はクリアできる位置にいます。設立直後の会社の要件設計は設立したばかりの会社で建設業許可は取れる?をご覧ください。
限界——手引の文言は「建設業の財務管理、労務管理、業務運営の業務経験」です(手引 PDF p.7)。異業種で積んだ経理・総務・経営企画の経験が、そのまま「建設業の」業務経験として評価されるかどうかは、条文の文言だけからは読み切れません。ここを楽観して設計すると、書類を作り込んだ後で組み替えになります。
そして、手引はロ要件についてこう付け加えています(手引 PDF p.65)。
「【財務管理等の業務経験の確認方法】常勤役員等や常勤役員等を直接に補佐する者の財務管理等の業務経験については、別に経験を証明する書類が必要となります。本様式を用いた申請(届出)については、事前に建設業班にご相談ください。」
ロ要件は、事前相談が前提のルートです。 どんな書類で財務管理5年を示すのかは事案により異なるため、書類を集める前に方針をすり合わせるほうが結果として早くなります。イ(2)(準ずる地位で5年)・イ(3)(準ずる地位で6年、経管を補佐)についても同様に事前相談が求められています(手引 PDF p.7 注)。
4-4. 経管の証明——「営業していただけ」は経験にならない
経管の経験を証明する様式第7号について、手引は次のように定めています(手引 PDF p.59)。
- 証明は経営業務の管理経験等を積んでいた時期の使用者(法人の代表者又は個人事業主)が行う。倒産・死亡等により当時の使用者からの証明が取れない場合には、その当時から営業を行っている同業他者からの証明を取得する必要がある(法人も設立以前の内容は証明できません)
- 個人事業主は経営を補佐していた者に対してしか証明することができず、自分自身を証明することはできないので、自営していた経験は同業他者による証明が必要
- 「経験年数」欄には、被証明者が管理経験を積んだ期間のうち、証明できる期間を記載する。実際に建設工事を施工し、完成させて初めて経験となるので、営業所に看板を掲げていただけであるとか、営業は行っていたが受注実績がないという場合には、管理経験を積んだ期間には計上できない
- 中断期間がある場合には、経験年数を二段書き等にして記載する
- 記載した期間については、それを立証する書類(契約書原本又は注文書原本及び請書の写し又は建設業の許可通知書等)が存在する必要がある
太字の3つ目が、参入者に直結します。「建設の看板は前から出していた」「営業はしていた」は、経管の経験期間に入りません。 受注して施工して完成させた実績が、契約書等で確認できる期間だけが経験です。
さらに、審査要領は経験年数の確認密度を具体的に定めています(審査要領 PDF p.10)。
「経験年数欄に記載された年数について、県民局調査において、1年当たり4件程度(四半期に1件以上で工期の終期と始期の間が4月以上空かないこと)の経験を契約書等に基づいて確認を行う。」
5年分を主張するなら、おおむね20件前後の工事について契約書等を提示できる必要があり、しかもそれが四半期ごとに散らばっていることが求められます。5年を超えた経験年数の記載がある場合も、原則として計上した全期間について確認が行われ、経験年数の「始期」については必ず確認が行われます(審査要領 PDF p.10)。多めに書くほど確認対象が広がるということです。
4-5. 外から経管を迎えるときの、参入者向けの注意
イ(1)を満たす人を役員として迎える場合、次の2点を招へいの交渉に入る前に確認してください。
① 常勤性が二重にならないか。 審査要領は、同一事務所又は同一建物内に他の法人(事業所)がある場合で、建設業の許可を申請している法人以外の法人で健康保険に加入している場合には、基本的に当該業者において常勤していることが推定されるので、申請のあった建設業者で常勤しているものとは認められないとしています(審査要領 PDF p.11)。また、法人の役員が2社以上の代表者を兼務することはできるものの、1社で常勤の役員となっていれば、その他の法人では非常勤の役員でなければならないとされています(審査要領 PDF p.5)。グループ会社や取引先から役員を回す構成を考えている場合は、ここが最初の関門です。
② 報酬の負担が続く。 審査要領は、名義貸しによる虚偽申請を防ぐため、経管の報酬額について下限を定め、これを常勤性認定の条件としています(審査要領 PDF p.12。具体的な下限額は面談でご案内します)。原則として無報酬では申請・届出は認めないとされ、無報酬又は低報酬の場合は理由と今後の是正を誓約する顛末書を3部提出することになります。これは許可を維持する限り続く固定費であり、参入初年度の事業計画に載せておく必要があります。
なお、名前だけを借りる形は成立しません。 常勤性は社会保険・出勤簿・賃金台帳・面談等で確認され、顛末書の提出に応じない場合は立入検査等により確認が行われます(審査要領 PDF p.12)。虚偽の記載があれば許可を受けられず(手引 PDF p.10)、許可後に発覚すれば取消しにつながります。参入という前向きな場面で、最初にここを踏むのは割に合いません。
5. 助走期間の設計——軽微な工事で「経験」と「書類」を積む
5-1. 「今すぐ許可」でなくてよいなら、助走期間は最も安い打ち手
ここまでを踏まえると、参入者には2つの道があります。
| 道 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| A:今すぐ取る | イ(1)を満たす人を役員に迎え、有資格者又は経験者を営業所技術者に据えて、すぐに申請する | 取引先から期限を切られている/すでに500万円以上の話が動いている |
| B:助走してから取る | 軽微な建設工事の範囲で受注を始め、経験と書類を積み上げてから申請する | 期限がない/自前で要件を満たしたい/継続的な人件費を抑えたい |
Bを選べるかどうかは、目の前の案件の規模で決まります。許可がなくても請け負えるのは軽微な建設工事の範囲まで(§1-1)であり、それを超える工事を無許可で受けてしまうと、参入の設計とはまったく別の問題が上乗せされます。すでに受けてしまった場合の対処は無許可で500万円以上を受注してしまったら、金額ラインの線引きは軽微な工事(500万円未満)とはに整理しています。
なお、下請の立場で入る場合も、軽微な建設工事の判定は「1件の請負代金」で決まります。元請か下請かで判定が変わるものではありません。立場から見た要否の判断は下請でも建設業許可は必要?をご覧ください。
5-2. ★助走で積めるもの・積めないもの
助走期間に何が積み上がるのかを、要件ごとに整理します。
| 積み上がるもの | 根拠 | 助走で積めるか |
|---|---|---|
| 経管の「建設業に関し」の経営経験 | 手引 PDF p.7・p.59 | 積める(受注・施工・完成の実績と契約書等が要る) |
| ロ(2)の「建設業に関し2年以上の役員等としての経験」 | 手引 PDF p.7 | 積める(ただし2年という時間そのものは短縮できない) |
| 営業所技術者の実務経験 | 手引 PDF p.9・p.81-82 | 積める(社会保険加入期間・四半期1件の密度が要る) |
| 補佐者の「申請事業者における」財務管理等5年 | 手引 PDF p.7・p.65 | 既存法人なら在籍年数は積み上がっている。「建設業の」業務経験と言えるかは要確認 |
| 財産的基礎 | 手引 PDF p.9-10 | 決算のたびに更新される |
ここで注意したいのは、助走期間の実績は「後から作れない」という点です。経管の経験も技術者の実務経験も、その時点で契約書等の書類が残っていなければ、後から遡って立証できません。助走を選ぶなら、初日から書類の残し方を変える必要があります。
5-3. ★参入初日から変える3つの運用
助走期間を「使える期間」にするために、参入と同時に切り替えるべき運用は3つです。いずれも、県民局調査で実際に確認される書類から逆算したものです(手引 PDF p.17-18)。
① 契約の証跡を、原本で残す。 県民局調査で確認されるのは、工事請負契約書(原本)又は注文書(原本)及び請書(写し)、又は建設業の許可通知書等です(手引 PDF p.17)。口頭の受注やメールだけの受発注では、後から経験を立証できません。注文書をもらい、請書を出す——この往復を紙で残す運用に切り替えてください。事案によっては工事台帳でも確認されるとされています(手引 PDF p.17)。
② 四半期に1件以上のペースを意識する。 経管の経験は1年当たり4件程度(四半期に1件以上、工期の終期と始期の間が4月以上空かないこと)で確認され(審査要領 PDF p.10)、技術者の実務経験も同じ密度が求められます(審査要領 PDF p.24)。年度末にまとめて数件という受注の仕方だと、期間が連続していると認められない可能性があります。
③ 社会保険を先に整える。 実務経験の始期は原則として社会保険の資格取得年月日以降とされています(審査要領 PDF p.24、手引 PDF p.82)。社会保険への加入が遅れると、その分だけ実務経験の起算が遅れます。 適切な社会保険への加入は許可要件そのものでもあります(手引 PDF p.8)。
そして、兼業事業に当たる作業と建設工事を、最初から区別して記録すること(§1-2)。草刈り・除雪・保守点検・産廃運搬などを工事と混ぜて管理していると、後で工事経歴書を作るときに切り分けられなくなります。
助走期間の設計は、「いつ許可を取るか」ではなく「いつから書類の残し方を変えるか」の問題です。 2年後に許可を取ると決めた瞬間から、記録の運用は変わります。
6. 参入者が見落とす3点——社会保険・営業所の実体・財産的基礎
6-1. 社会保険——要件であること自体が知られていない
手引は、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力の一部として、「適切な社会保険に加入していること」を掲げています(手引 PDF p.8)。
「健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に関し、全ての適用事業所又は適用事業について、適用事業所又は適用事業であることの届出を行っていることが必要です(ただし、適用が除外される場合を除く。)。」
異業種の既存法人にとって、ここは通常すでにクリアしています。 本業で人を雇っている以上、適用事業所としての届出は済んでいるはずだからです。この点は、社会保険の設定から始めなければならない新設法人と比べたときの明確な優位です。
ただし、参入者に固有の確認点が2つあります。
- 建設国保への切り替えを検討する場合。建設業に出るタイミングで建設国保(全国建設工事業国民健康保険組合、岡山県建設国民健康保険組合等)への加入を検討する会社がありますが、この場合の常勤性の確認書類は健康保険証ではなく、組合員証(有効期限内のもの)と厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書又は厚生年金被保険者資格取得確認通知書になります(手引 PDF p.18、審査要領 PDF p.11)。手続きの順序を誤ると、申請時に提示する書類が揃いません。
- 申請時に提出する書類。健康保険等の加入状況(様式第7号の3)に加え、健康保険及び厚生年金保険分の「領収書又は納入証明書」の写し等、雇用保険分の「労働保険概算・確定保険料申告書」の控え+「領収書」の写し等が必要とされています(手引 PDF p.169)。
要件としての詳しい判断(法人/個人、従業員数による適用の違い、未加入のまま申請するとどうなるか)は建設業許可に社会保険の加入は必須?にまとめています。
6-2. ★営業所の実体——「今の本社をそのまま使えるか」は別問題
手引は、営業所を「本社、本店、支店等名称のいかんを問わず、建設業を営むための常設の事務所をいい、看板の表示等、外観上営業所としての形態を備えていることはもちろんのこと、見積り・契約等の実態的な業務を常時行っている場所を指します」と定義し、現場作業所や連絡事務所、通常は居住の用に供しているものなどは営業所とはみなされないとしています(手引 PDF p.6)。
そのうえで、岡山県の営業所調査では次のものが確認されます(手引 PDF p.17)。
- 看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)等
- 営業所は居住部分と共用することはできない
- 賃貸借契約を締結している場合には、契約書上で営業活動に利用することが認められていることが必要
- いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができない
異業種参入で問題になりやすいのは、次の3点です。
① 電話回線を他社と共有していないか。 審査要領は、ペーパーカンパニーを排除するため、一つの電話回線(ファクシミリを含む)について複数の業者で共有することは認めないとし、他者名義の電話回線を借用することも認めないとしています。転送電話は、テレワークによる業務に使用する場合を除き認めない、電話代行・秘書サービス等の利用も認めないとも明記されています(審査要領 PDF p.5)。なお、申請者(法人の場合は契約が法人名義であること)が契約者となっている携帯電話は連絡先として認めるとされています。グループ会社と同じフロアで代表電話を共有している構成は、ここで引っかかります。
② 住居と兼ねていないか。 審査要領は、住居と建設業の営業所を兼ねている場合について、居住用のスペースと建設業の営業に使用するスペースが明確に区分されていること(出入口についても別であることが望ましい。ただし、居住専用のスペースを通ることなく営業所に行ける場合は、出入口の区分が明確にされていなくても申請書を受理する)としています(審査要領 PDF p.5)。
③ 登記上の本店と、建設業許可上の主たる営業所が違わないか。 手引は、各種様式で所在地を記入するものについては建設業許可上の主たる営業所の所在地を記入するものとし、登記上の本店所在地であって建設業許可上の主たる営業所ではないものを記入する場合には、建設業許可上の主たる営業所の所在地も併記するよう求めています(手引 PDF p.26)。本社は登記上の住所、実際の営業は別拠点、という会社は要注意です。
このほか審査要領は、常時契約を締結する場所であること、建設業法第40条の3で定める帳簿(契約書を含む)を保存していること、営業所技術者等が常駐すること等を踏まえ、そのために必要な程度の什器、備品を備えていることを求めています(審査要領 PDF p.5)。営業所要件と写真の準備は自宅を営業所にして建設業許可は取れる?に詳しくまとめています。
6-3. ★財産的基礎——ここは参入者が最も有利なところ
財産的基礎の要件は、倒産することが明白である場合を除き、次のいずれかを満たすこととされています(手引 PDF p.9-10)。
| 満たし方 | 内容 |
|---|---|
| ① | 500万円以上の資金調達能力があると認められること(取引金融機関の預金残高証明等を添付。受付日から1か月以内の時点の500万円以上の残高を証明したもの。複数の金融機関の証明書による場合は証明日が同日付であること) |
| ② | 自己資本の額が500万円以上あること(法人は「貸借対照表における純資産合計の額」、個人は「期首資本金+事業主借勘定+事業主利益-事業主貸勘定+利益留保性の引当金・準備金」) |
| ③ | 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること |
手引は、この確認について「原則として既存の企業については直近の事業年度終了報告の、新規設立の企業については創業時の財務諸表により行います」としています(手引 PDF p.10)。
そして、必要書類一覧表には次の注記があります(手引 PDF p.169)。
500万円以上の残高証明書(申請時から1か月以内のもの)……注1)次の場合は不要(①直近の財務諸表で500万円以上の自己資本を有する場合、②追加(般特新規)申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績を有する者)
本業を続けてきた既存法人で、直近決算の純資産合計が500万円以上あるなら、残高証明書の添付そのものが不要になります。 参入者にとって、財産的基礎は「取りに行く要件」ではなく「すでに持っている要件」であることが多いのです。ここは、設立直後の会社が最も苦労する箇所と正反対です。
一方で、直近決算の自己資本が500万円に届かない場合は、残高証明で①を満たしに行くことになります。証明書類は受付日において発行から3か月以内のものである必要があり、残高証明書については1か月以内の時点の残高を証明したものに限られます(手引 PDF p.26)。残高証明の段取り実務は建設業許可の残高証明書はいつ・いくら必要?、自己資本が足りないときの打ち手は自己資本500万円が足りないときに整理しています。要件そのものの解説は建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備をご覧ください。
6-4. 誠実性・欠格要件は「会社全体」に及ぶ——役員が多いほど時間がかかる
申請直前に工程が詰まりやすいのが、この書類です。
誠実性の要件は、法人にあっては法人、役員等、支店長など従たる営業所の代表者及び支配人が、個人にあっては事業主及び支配人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと、と定められています(手引 PDF p.9)。「役員等」の範囲は建設業法第5条第3号により、役員(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者)又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者とされています(手引 PDF p.9)。
欠格要件も同様に、役員等、支配人、従たる営業所の代表者のうちに該当する者がいるものは許可されません(手引 PDF p.10)。
そして実務上効いてくるのが、提出書類の量です。手引の必要書類一覧表によれば、新規申請では役員等全員について許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)を添付し、さらに役員等全員分の「登記されていないことの証明書」(岡山地方法務局戸籍課の窓口、郵送の場合は東京法務局後見登録課で取得)と「身分証明書」(本籍地の市町村役場で取得)が必要とされています(手引 PDF p.169)。
本業の会社に役員が5人いれば、この2種類の証明書を5人分、それぞれ本籍地から取り寄せることになります。 本籍地が各地に分かれているほど、取り寄せに要する期間は読みにくくなります。しかも証明書類は受付日において発行から3か月以内のものである必要があるため(手引 PDF p.26)、早く取りすぎても失効します。集め始めるタイミングの設計が要る、ということです。
誠実性の要件そのものは建設業許可の誠実性の要件、欠格要件の列挙と読み方は建設業許可の欠格要件とはにまとめています。申請前に潰しておくべき不備の類型は建設業許可が不許可・不受理になる主な理由をご覧ください。
7. 岡山県での手続き——提出先・営業所調査・法定手数料と期間
7-1. 提出先は本庁一元。事前審査は行われない
岡山県知事許可の申請書・変更届の提出先は、岡山県土木部監理課建設業班(県庁6階)です(手引 PDF p.16)。窓口受付時間は9:00〜11:30、13:00〜16:30(閉庁日を除く)とされ、時間的な余裕がある申請等については郵送による提出も受け付けています(送付先は同じ)。
そして手引は、県民局との関係を次のように明記しています(手引 PDF p.168)。
「岡山県では、所在地に応じて3つの県民局建設部ごとに担当区域を設けており、建設業に関わる事務の一部を行っています。なお、建設業許可申請及び変更届の受付については出先機関ではなく、本庁の土木部監理課建設業班で行っています。」
最寄りの県民局へ持って行けばよい、という理解は誤りです。 受付は本庁一元です。
もう一つ、参入者が知らずに時間を失う運用があります。
「事前審査は一切行いません。 正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。」(手引 PDF p.16)
「とりあえず出してみて、足りなければ言ってもらう」という進め方はできません。 さらに、11時30分から13時00分まで及び16時30分から翌開庁日の9時00分までの間は窓口を閉じるとともに審査を休止し、原則として、審査の途中であっても窓口閉鎖の時刻をもって審査は終了するとされています(手引 PDF p.16)。新規申請は書類が多いため、十分な時間的余裕を持って臨む必要があります。
ただし例外があり、イ(2)(3)・ロ要件を使う場合には「事前に建設業班にご相談ください」と手引が求めています(手引 PDF p.7・p.65)。§4-2 のロ要件を使う参入設計では、この事前相談を工程に織り込んでください。
提出部数は、提出書類を閲覧用と非閲覧用に分け、閲覧用3部(正1、副2)+非閲覧用3部(正1、副2)=計6部です(手引 PDF p.15)。
なお、官公署に提出する書類の作成代行を業務として行うことは行政書士にのみ認められており(手引 PDF p.19)、行政書士には書類作成の委託だけでなく、行政書士の責任において代理申請を行わせることもできます(手引 PDF p.19)。当事務所は、書類作成にとどまらず代理申請までお受けしています(行政書士登録番号 第20300974号)。
7-2. 営業所調査は所轄の県民局が行う
申請が受け付けられると、許可申請受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査実施の連絡があります(手引 PDF p.17)。ここで、§6-2 の営業所の実体、経管の経験確認書類、営業所技術者の資格・実務経験の確認書類、常勤性の確認書類、財務内容の確認書類が確認されます(手引 PDF p.17-19)。
申請=本庁、営業所調査=所轄の県民局という役割分担です。手引は、営業所調査が終わったからといって本庁における調査が終わっているとは限らず、仮に営業所調査が申請受付後から間もなく実施されたとしても、許可が早く取得できるということはありませんとしています(手引 PDF p.16)。
異業種参入の会社にとって、この営業所調査は「初めて建設業者として見られる場」です。看板を掛け、机と電話・ファクシミリを備え、賃貸借契約書の原本を用意しておく——ここを当日に間に合わせようとすると危険です。当事務所では、営業所調査の準備確認と当日の同席まで報酬に含めてお受けしています。
7-3. 法定手数料と納付方法
岡山県知事許可の法定手数料は次のとおりです(手引 PDF p.14)。
| 許可申請の種類 | 岡山県知事許可 |
|---|---|
| 新規(許可換え含む)・般特新規 | 90,000円 |
| 更新・追加 | 50,000円 |
| 変更届出書の提出 | 不要 |
手数料の額は申請する業種の数とは関係ありません(何業種でも同額)。複数の申請を同時に行う場合は、それぞれの額の合計額となります(手引 PDF p.14)。
納付の方法にも岡山県固有の手順があります。岡山県手数料等(POS)納付連絡票を県のホームページから印刷し、収納専用窓口に持参して支払います。支払い後、納付済証を受け取り、許可申請書の正本非閲覧用の「(様式第1号の)別紙三」に納付済証を貼り付けたうえで提出します(手引 PDF p.14)。この手順を知らずに窓口へ行くと、その日の提出ができません。
なお、法定手数料は依頼者のご負担ですが、納付は当事務所が代行します。
7-4. 期間の逆算
手引に明記されている期間は次の3つです。
| 事象 | 期間 | 出典 |
|---|---|---|
| 申請受付〜許可 | 特に問題がないケースで概ね2か月程度 | 手引 PDF p.16 |
| 申請受付〜営業所調査の連絡 | 半月程度 | 手引 PDF p.17 |
| 残高証明書の基準日 | 受付日から1か月以内の時点の残高 | 手引 PDF p.9 |
逆算は、この3つの固定値と、§2-2 の①〜⑥に要する準備期間の合計で組みます。 準備期間は、人の確保・証明書類の収集・事前相談の要否によって幅が大きく、一般化して日数を申し上げることはできません。取引先から期限を切られている場合は、まず「営業所技術者と経管の候補がいるか」だけを先に判定してください。ここが決まれば、残りは書類の作業です。
8. 参入初年度の費用の見取り図
8-1. 申請そのものにかかる費用
(A)=行政書士報酬(税込目安)/(B)=法定手数料。
| 業務内容 | (A)報酬 | (B)法定手数料 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 建設業許可申請(法人・新規) | 132,000円 | 90,000円 | 222,000円 |
| 建設業許可申請(個人・新規) | 110,000円 | 90,000円 | 200,000円 |
| 建設業許可申請(業種追加) | 55,000円 | 50,000円 | 105,000円 |
ただし、実務経験で営業所技術者を立てる場合は、裏取りの工数が増えます。§3-4 のとおり証明は当時の使用者が行うのが原則で、倒産・死亡等でそれができないときは同業他者2者を探すことになります(手引 PDF p.82)。加えて、様式第9号に記載した経験は県民局調査で契約書の原本等により確認されます(手引 PDF p.9)。異業種参入で外から経験者を迎える場合は、この作業が乗ることを見込んでおいてください。正確な金額は、経歴と残っている書類をお伺いしたうえで事前にお見積りします。
費用の全体像は建設業許可の費用はいくら?岡山県知事許可の総額目安に整理しています。
8-2. 異業種参入に固有の上乗せ
| 上乗せされるもの | 内容 |
|---|---|
| 招へいした常勤役員等の報酬 | 審査要領が常勤性認定の条件として報酬額の下限を定めています(審査要領 PDF p.12。具体額は面談でご案内)。許可を維持する限り続く固定費 |
| 役員変更登記 | 常勤役員等は常勤の役員である必要があるため、取締役として登記するのが基本形(手引 PDF p.7・※1)。登記は司法書士の領域であり、許可申請とは別のリードタイムと費用が発生します |
| 役員等全員分の証明書の取得実費 | 「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」を役員等の人数分(手引 PDF p.169)。役員が多い会社ほど増えます |
| 営業所の整備 | 看板・机・電話及びファクシミリ(手引 PDF p.17)。電話回線を他社と共有している場合は回線の分離が必要(審査要領 PDF p.5) |
| 資格取得の費用と時間 | 既存社員に資格を取ってもらう場合。受験の費用・日程は建設業許可の資料の範囲外のため、本記事では金額を示しません |
金額・期間は時点や個別事情により変動します。正確な金額は事前にお見積りします。
8-3. 取得後、毎年かかるもの
許可は取って終わりではありません。事業年度終了報告(決算変更届)は、決算日から4か月以内に毎年提出が必要です(手引 PDF p.22)。当事務所の報酬は44,000円(税込)です。
許可の有効期間は許可日から5年間で、更新許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておく必要があります(手引 PDF p.13・p.21)。更新申請は有効期間満了の日の3か月前から提出できます。
参入直後の会社ほど、この年次のサイクルが後回しになりがちです。手引は、期限内の提出を怠っている場合には許可の更新・追加申請等はできず、監督処分や罰則の対象にもなると明記しています(手引 PDF p.22)。当事務所では、変更届・事業年度終了報告・更新の期限をまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています(ライト5,500円/スタンダード11,000円/フル15,000円・いずれも月額・税込)。期限管理=いつ何を出すかのご案内は顧問の範囲、申請の代理実行はスポット報酬という切り分けです。
9. 許可のその先——「建設業者になる」ということ
異業種からの参入で最後に押さえておきたいのは、許可を取ると会社の義務が増えるということです。ここを知らずに取ると、参入初年度に足をすくわれます。
9-1. 標識・技術者配置・一括下請負の禁止
- 標識の掲示義務:許可を受けたときは、店舗及び建設工事の現場(元請工事のみ)ごとに標識を作成し、公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません(手引 PDF p.21)。様式は手引に掲載されており、色及び材質に規定はありません。
- 技術者の配置義務:建設工事の施工に当たっては、技術上の管理を行う主任技術者又は監理技術者を工事現場に配置しなければなりません。主任技術者又は監理技術者は、その建設工事の業種について営業所技術者等になることができる資格及び経験を有する必要があります(手引 PDF p.21)。さらに、税込4,500万円(建築一式工事については9,000万円)以上の公共性のある工作物の工事(個人住宅を除くほとんどの工事)については、着工から竣工までの間、その工事現場ごとに専任でなければならず、他の工事との掛け持ち等はできません(手引 PDF p.21)。
- 一括下請負(丸投げ)の禁止:建設業者が受注した建設工事を一括して他人に請け負わせること等は禁止されています。契約を分割したり、他人の名義を用いたりしても、その実態が一括下請負に該当するものは一切禁止です(手引 PDF p.21)。
参入直後は現場を任せられる人が限られます。 営業所技術者に据えた1人を現場の主任技術者としても使いたくなりますが、営業所技術者は「その営業所に常勤して専らその職務に従事する」ことが求められる立場です(手引 PDF p.8)。受注が増えたときに誰を現場に置くのかまで含めて、参入時に人員計画を引いてください。
なお、元請として下請に出す総額が一定額以上になると特定建設業の許可が必要になります(手引 PDF p.6・p.10)。下請から元請へ立場を移すときに何が変わるかは下請から元請になるための建設業許可に整理しています。
9-2. ★決算が変わる——完成工事高と兼業事業売上高の区分
これが、異業種参入に固有の、そして事前に説明されないまま来る変化です。
許可業者は毎年の事業年度終了報告で建設業法上の様式による財務諸表を提出します。ここで、建設工事と兼業事業を区別して計上することになります(手引 PDF p.100)。手引の記載要領は、建設業以外の事業(兼業事業)を併せて営む場合において、兼業事業における売上高が総売上高の10分の1を超えるときは、兼業事業の売上高及び売上原価を建設業と区分して表示することとしています(手引 PDF p.129)。
本業のほうが売上規模の大きい参入者は、ほとんどの場合この区分表示に該当します。 つまり、参入した瞬間から、経理は「完成工事高/完成工事原価」と「兼業事業売上高/兼業事業売上原価」を分けて集計する体制に切り替える必要があります。
手引は、損益計算書の「Ⅲ 販売費及び一般管理費」欄について、建設工事及び兼業事業に係る原価以外に要した経費のみを計上し、建設工事及び兼業事業に従事した者に係る経費は「Ⅱ 売上原価」のそれぞれの欄に計上するものとしています。すなわち、役員報酬、従業員給料手当、法定福利費等のうち、建設工事及び兼業事業にかかる経費とそれ以外の経費は、それぞれ「売上原価」と「販売費及び一般管理費」とで別々に計上されることになり、同一人が販売や一般管理等にも従事した場合には適宜あん分して計上します(手引 PDF p.130)。損益計算書の記入例にも「あらかじめ工事に従事する職員とは区別して決算を行う必要があります」と注記されています(手引 PDF p.100)。
さらに手引は、建設工事ではなく兼業事業に該当するものを誤って完成工事高に含めて計上した場合は、事業年度終了報告書の訂正及び経営分析のやり直しが必要になるとし、経営事項審査の虚偽申請となる場合には監督処分の対象となると注意を促しています(手引 PDF p.162)。
参入と同時に、顧問税理士と「建設工事と兼業事業の区分」を共有しておいてください。 決算を組み終わってから区分できないと分かると、事業年度終了報告の段階で行き詰まります。
9-3. 経管・営業所技術者を欠くと許可を失う
手引は、常勤性が求められる経営業務の管理責任者等と営業所技術者等について、その人を「欠く」状態になったときに代わりの人がいなければ許可そのものを失うと警告し、あわせて変更届を変更後2週間以内に出すよう求めています(手引 PDF p.22)。注意したいのは「欠く」の範囲の広さです。退職や死亡はもちろん、毎日出勤できなくなった時点で「欠く」に当たり、病気や事故による長期入院も、社会保険等の資格がそのまま残っていたとしても「欠く」状態として扱われます(手引 PDF p.22)。許可が消える経路とその後の取り直しは許可取消のあと建設業許可を取り直せる?に整理しています。
外から迎えた経管と技術者に依存して取得した参入者は、この構造の上に乗っています。 §3-3・§4-2 で述べた「2人目の設計」「ロ(2)による自前化」は、ここから逆算した話です。
また、手引は許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合等は取消処分の対象となるとしています(手引 PDF p.23)。「取引先に見せるために取っておく」だけの許可は、制度上想定されていません。
なお、建設業法及び関連諸法令に違反した場合は監督処分の対象となり、事案によっては監督処分とともに建設業法第47条等の罰則の対象となり得ます(手引 PDF p.23)。監督処分の基準は手引の資料編に掲載されています。
9-4. 経審・入札という次の段階
参入の目的が公共工事であれば、許可の取得はスタート地点にすぎません。公共工事を直接受注するには経営事項審査(経審)と入札参加資格の登録が要ります。経審は経審申請を岡山で依頼するならと経営事項審査サービス、入札参加資格は入札参加資格サービスに整理しています。公共工事に出るまでの全体の流れは公共工事を受注するための建設業許可をご覧ください。
経審は、事業年度終了報告が毎年きちんと出ていることが前提になります。 §8-3 の年次サイクルを最初から仕組みにしておくことが、公共工事への最短の道です。
よくある質問(FAQ)
まとめ
異業種から建設業に参入して許可を取るとき、決まるのは人です。
- §1:まず「どの業種で取るか」を確定させる。そのとき、これまでの売上が「建設工事」ではなく「兼業事業」に当たらないかを確認する(草刈り・除雪・保守点検・産廃運搬・警備・建設資材の販売等は建設工事に当たりません/手引 PDF p.162)。
- §3:営業所技術者は、実務経験ゼロの会社では自社で10年を作れません。使えるのは資格ルートか、他社で経験を積んだ人です。前職の経験を持ち込むときは、証明の代替が同業他者2者(経管は1者)である点に注意してください。
- §4:経管はイ(1)が「建設業に関し5年」であるため、異業種の経営経験はそのままでは入りません。他業種の経営者に効くのはロ(2)(5年以上の役員経験+建設業に関し2年以上の役員経験)ですが、建設業側の2年は必要です。今回は外から、次回は自前でという二段構えが現実解です。
- §5:期限に追われていないなら、軽微な建設工事の範囲で助走する設計が最も安く済みます。ただし助走を「使える期間」にするには、初日から契約書原本・注文書と請書・社会保険・兼業との区分という記録の運用を変える必要があります。
- §6:社会保険と財産的基礎は、本業を続けてきた既存法人にとってはむしろ有利です(直近の財務諸表で自己資本500万円以上なら残高証明の添付が不要/手引 PDF p.169)。逆に、電話回線の共有・住居兼用・役員等全員分の証明書の取得は、参入者が時間を失いやすい箇所です。
- §7:岡山県では申請は本庁一元(県民局は受付をしません/手引 PDF p.168)、事前審査は一切行われません(手引 PDF p.16)。受付から許可までは特に問題がないケースで概ね2か月程度です。
- §9:許可を取ると、標識の掲示・技術者の配置・一括下請負の禁止という義務が乗り、決算も完成工事高と兼業事業売上高を区分して組むことになります(手引 PDF p.129)。
参入の設計は、「取れるか」ではなく「どの順序で、いつまでに、誰で取るか」の問題です。要件の全体像は建設業許可の6つの要件(取れるか診断)から確認できます。自社の現在地を棚卸ししたい方は、まず無料相談でご相談ください。
「本業は別だが、建設の仕事を請けたい」段階のご相談は無料相談から
①どの業種で取るか ②営業所技術者を誰にするか ③経管をどう組むか——この3点を、建設業に特化する行政書士が個別に整理します。初回30〜60分で方向性の見立てまでをお伝えします(資料の精査・要件設計・工程表の作成は受任後に承ります)。他の事務所で進めていた案件の引き継ぎにも対応し、申請書の作成だけでなく代理申請と営業所調査の準備確認・当日の同席までお受けします。無料相談は30秒入力のフォームから。お電話は070-8567-3197。
