

防水工事業で建設業許可を取るときに実務でつまずくのは、ほぼ次の2点です。①自社の工事が「防水工事」なのか、塗装・左官・とび土工の側なのか(区分)②営業所技術者(旧:専任技術者)を、資格で満たすのか実務経験10年で満たすのか——この2つです。
そして防水工事業には、他業種の感覚のままだと見落としやすい固有の事実が2つあります。
ひとつは、資格の選択肢が非常に狭いことです。岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)の資格一覧表で、追加の実務経験なしに防水工事業の営業所技術者になれる技術検定は、1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士(仕上げ)の2つだけです。1級土木施工管理技士でさえ、防水工事業では合格後3年の実務経験が必要とされています(PDF p.163〜164)。そして技能検定は「防水施工」の1種類しかありません(PDF p.164)。塗装工事業に塗装・木工塗装(工)/建築塗装(工)/金属塗装(工)/噴霧塗装/路面標示施工と5つの資格コードが並んでいるのとは対照的です。加えて、1級建築士も技術士も防水工事業では使えません(PDF p.163)。
もうひとつは、その裏返しの朗報です。防水工事業は、建築一式工事からの実務経験の振替が認められる数少ない業種のひとつです(手引 PDF p.167)。塗装工事業はこの振替リストに入っていません。ただし振替には「合わせて12年以上(それぞれ8年を超える)」という条件があり、効く場面と効かない場面がはっきり分かれますので、5章で正確に整理します。
本記事では、岡山で建設業に特化する行政書士が、防水工事業の対象範囲・区分の誤認ポイント・営業所技術者になれる資格の現物一覧・実務経験の証明と通算ルール・岡山県での手続きまでを、一次資料に沿って整理します。許可要件そのものの全体像は建設業許可の6つの要件(自社が取れるか診断)をご覧ください。
※ 業種区分の該当・要件の充足は、個別の工事内容や事業者ごとの実態によって判断が分かれます。最終判断は有資格者(行政書士)にご確認ください。
※ なお、本記事に出てくる金額・期間・年数は、いずれも記事作成時点での目安です。制度改正によって変わることがあります。
1. 防水工事業とは——「防」の対象になる工事の範囲
防水工事業は、建設業許可29業種のうちの1つで、許可業種の略号は「防」です(岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.5)。
1-1. 建設工事の内容(告示に定められた定義)
手引の業種区分表では、防水工事の内容がこう定義されています。
アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事
(岡山県「建設業許可の手引」令和7年9月1日改訂 PDF p.160)
押さえるべきは、定義が「材料」と「目的(防水を行う)」で書かれている点です。塗装工事の定義が「塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事」と材料と動作で書かれているのに対し(PDF p.160)、防水工事は何のために施工するかという目的が定義の中心に置かれています。
この違いが、2章で扱う塗装との境界を考えるときの出発点になります。同じ「塗る」という動作でも、目的が防水であれば防水工事の側に整理される——手引の定義の構造からは、そう読める書きぶりになっています。
1-2. 建設工事の例示(6つ)
手引が示す防水工事の例示は、次の6つです(PDF p.160)。
| 例示された工事 | 現場での呼び方・イメージ |
|---|---|
| アスファルト防水工事 | 屋上・陸屋根のアスファルトルーフィングによる防水 |
| モルタル防水工事 | 防水剤を混入したモルタルによる防水(2-2の注記に直結) |
| シーリング工事 | 外壁目地・サッシまわり等のシーリング(コーキング)打設・打ち替え |
| 塗膜防水工事 | ウレタン・FRP等、塗って膜を形成する防水 |
| シート防水工事 | 塩ビ・ゴム系のシートによる防水 |
| 注入防水工事 | 躯体等への注入による止水・防水 |
※ 右列は現場でのイメージを補足したもので、手引に例示語の解説は掲載されていません。該当性は個別にご確認ください。
ここで注目していただきたいのは、「シーリング工事」と「塗膜防水工事」が防水工事の例示に明記されていることです。この2つは、現場では塗装工事とセットで発注されることが多く、実務上もっとも区分の誤認が起きやすい工種です(2-1)。
1-3. 防水工事業に含まれない防水がある——「いわゆる建築系の防水工事のみ」
防水工事の行には「区分の考え方」の注記が2つ付されています。まず1つ目が、業種の外縁を決める重要な注記です。
『防水工事』に含まれるものは、いわゆる建築系の防水工事のみであり、トンネル防水工事等の土木系の防水工事は『防水工事』ではなく『とび・土工・コンクリート工事』に該当する。
(手引 PDF p.160)
つまり、「防水」と名の付く工事がすべて防水工事業に入るわけではありません。手引が明示しているのは、トンネル防水工事等の土木系の防水は、防水工事業ではなくとび・土工・コンクリート工事業に該当するということです。
これは岡山県で仕事をするうえで無視できない論点です。県北の山間部を通る道路や、中山間地の土木構造物を抱える地域では、トンネル・地下構造物に関わる止水・防水の工事が現実に発生します。「防水の会社だから防水工事業の許可を取れば全部カバーできる」という前提は成り立ちません。建築系の改修防水と土木系の防水の両方を手がけている事業者は、契約1件ごとにどちらの業種の工事なのかを確認する必要があります。
なお、手引は「土木系」「建築系」の線引き自体を定義していません。具体的な工事がどちらに当たるかは、工事の目的物と施工の実態で判断されます。判断に迷う工事は、契約前にご相談ください。
1-4. 防水工事業で「許可が必要になる」タイミング
建設業許可が必要になるのは、1件の請負代金が税込500万円以上の工事を請け負う場合です(建築一式工事は税込1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅なら許可不要という別ルール/手引 PDF p.5、p.51)。防水工事は建築一式工事ではないため、税込500万円のラインで判断します。
防水工事でこのラインに届くのは、次のような場面です。
- マンション・公営住宅・社宅の大規模修繕:屋上防水・バルコニー防水・外壁シーリングの打ち替えを一括で請けると、棟数によっては1件で容易に超えます。
- 工場・倉庫の屋根・屋上改修:面積が大きいため、単価が低くても総額が伸びます。県内には工場・倉庫が集積する地域があり、この形の案件が想定されます。
- 改修工事の一次下請:元請が防水一式を1本の契約で下請に出すケースでは、契約全体が1件として扱われます。
この500万円の判定には、税込か税抜か・注文者からの支給材料をどう扱うか・工区や工期を分けた場合に合算されるかといった論点があり、誤ると無許可営業のリスクに直結します。とくに防水工事は、元請が防水材(シート・ウレタン・シーリング材)を支給し、下請は施工の手間だけを請け負う形態が珍しくありません。この場合、契約書の請負代金だけを見て判断すると誤ります——手引は「注文者や元請業者が材料を支給する場合は材料費も含めて判断する」と明記しているためです(PDF p.5)。判定の実務は軽微な工事(500万円未満)とは?建設業許可が不要になる範囲に一本化しています。すでに500万円以上を無許可で受けてしまった場合の対処は無許可で500万円以上を受注してしまったらをご覧ください。
2. 区分の誤認ポイント——塗装・左官・とび土工・内装仕上との境界
防水工事業は、隣接する業種との境界が実務でもっとも問題になる業種のひとつです。理由は単純で、防水は単独で発注されるより、塗装や外壁改修と一緒に発注されることが多いからです。
先に前提を整理します。手引の業種区分表で、防水工事の行に付されている注記は2つだけです。①土木系防水は『とび・土工・コンクリート工事』に該当すること(1-3)、②防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業・防水工事業のどちらの許可でも施工できること(2-2)——この2点です。塗装工事との境界を直接論じた注記は、手引にありません。以下では、手引に何が書いてあり、何が書かれていないのかを切り分けて整理します。
2-1. ★防水 vs 塗装——「塗る」動作は同じでも、例示は分かれている
本記事でもっとも重要な論点です。防水業者・塗装業者の双方にとって、判断を誤ると影響が大きい部分です。
| 防水工事 | 塗装工事 | |
|---|---|---|
| 内容(告示) | アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事 |
| 例示 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 | 塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事 |
| 注記 | 土木系防水は『とび・土工・コンクリート工事』/防水モルタルは左官・防水どちらの許可でも可 | 下地調整工事及びブラスト工事は、通常、塗装工事を行う際の準備作業として当然に含まれる |
(いずれも手引 PDF p.160)
ここから読み取れる事実は、次の2点です。
- ウレタン塗膜防水・FRP防水は、施工の動作としては「塗る」ですが、例示上は防水工事の側です。「塗る仕事だから塗装工事業の許可でいける」という理解は、手引の例示とは合いません。
- シーリング工事(コーキング)も防水工事の例示です。外壁塗装に付随してシーリングを打ち替える工事は、現場感覚では塗装工事の一部ですが、手引の例示上はシーリングは防水工事の側に置かれています。
実務上の意味:外壁改修の見積は、足場・高圧洗浄・下地補修・シーリング打ち替え・外壁塗装・屋上防水が1枚に並ぶのが普通です。この1枚の中に、手引の整理では塗装工事に当たる部分と防水工事に当たる部分が同居していることになります。ここで効いてくるのが、許可の要否は「工事1件の請負代金」で判定されるという点です(1-4)。1本の契約でまとめて請ければ契約全体が1件として扱われますので、次の2点を意識してください。
- 契約を分けるかどうかを、金額調整のために決めない。工期・工区を分けても実態が1件の工事であれば合算して判断されます(判定の実務は軽微な工事(500万円未満)とは)。
- どの工種が主たる目的かを整理しておく。手引は、一式工事の考え方の説明の中で「主たる工事として施工する専門工事において、附帯工事(附帯的に発生する他の専門工事)が含まれたとしても、主たる工事の部分で判断されるので、一式工事とは認められません」としています(PDF p.162)。この記述はあくまで一式工事に当たるかどうかを論じたものですが、「主たる工事の部分で判断する」という考え方自体は、防水と塗装が混在する工事を整理するときの出発点になります。「主たる工事の許可さえあれば混在部分をすべて施工できる」という意味ではありませんので、混在案件は契約の単位ごとに確認してください。一式工事と専門工事の関係そのもの(一式を取れば全部できるという誤解)は一式工事と専門工事の違いで整理しています。
そして、塗装業者と防水業者の両方に共通する結論があります。500万円以上の外壁改修を継続的に受注するなら、塗装工事業と防水工事業の2業種を押さえるのが実務上もっとも安全です。ただし、2業種を1人の実務経験だけで取ろうとすると原則20年分の証明が必要になります(5-6)。塗装側の視点からの整理は塗装工事業の建設業許可|要件・実務経験の証明をご覧ください。本記事と塗装記事は、同じ境界を逆側から扱っています。
※ 繰り返しになりますが、塗装工事と防水工事の境界を直接論じた注記は手引にありません。上記は、両業種の「内容」と「例示」という手引の記載から導かれる整理です。個別の工事がどちらに当たるかは、契約書・見積書・施工の実態を見て判断することになります。
2-2. 防水 vs 左官——「防水モルタル」は、どちらの許可でも施工できる
防水工事の行に付された2つ目の注記が、これです。
防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業、防水工事業どちらの業種の許可でも施工可能である。
(手引 PDF p.160)
これは実務上きわめて有用な注記です。手引自身が「同じ工事を複数業種の許可で施工できる」と明示している、数少ない例だからです。業種区分の議論は「どちらか一方が正解」という形になりがちですが、防水モルタルによる防水工事については、手引がどちらでもよいと書いています。
参考までに、左官工事の内容と例示は次のとおりです(手引 PDF p.158)。
内容:工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事
例示:左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事
「モルタル防水工事」が左官工事の例示にも、防水工事の例示にも掲げられていることが分かります。上記の注記は、この重複を明示的に解消したものと読めます。
実務上の意味:左官業から防水へ、あるいは防水から左官へ業容を広げている事業者にとって、防水モルタルの工事については業種の取り違えを心配しなくてよいということです。ただし、これは防水モルタルを用いた防水工事に限った話です。アスファルト防水・シート防水・塗膜防水・シーリングについて同様の注記はありませんので、この注記を他の工法に広げて適用しないでください。
2-3. 防水 vs とび・土工——トンネル等の土木系防水は防水工事業ではない
1-3で扱った注記の再掲になりますが、区分の誤認としては最も結果が重いパターンです。
『防水工事』に含まれるものは、いわゆる建築系の防水工事のみであり、トンネル防水工事等の土木系の防水工事は『防水工事』ではなく『とび・土工・コンクリート工事』に該当する。
(手引 PDF p.160)
防水工事業の許可を持っていても、土木系の防水工事を500万円以上で請け負えば、とび・土工・コンクリート工事業の許可が別に必要になり得るということです。手引は、業種の区分について「無許可営業、技術者配置義務違反、一括下請負等の法令違反に直結する」と警告しています(PDF p.162)。
そのうえで手引は、業種の区分に疑義がある場合の相談ルートを用意しています。工事の内容は多様で関係者も多数に上るため、区分に迷うときは、工事台帳・現場写真・施工体制台帳・施工体系図など、工事内容や施工体制の詳細が分かる資料を示したうえで、監理課建設業班へ個別に相談できるという扱いです(手引 PDF p.162)。この相談ルートをどう使うかは、前掲の「建設業許可29業種の一覧と選び方」で整理しています。
そもそもどの業種の工事なのかが決まらなければ、許可の要否も決まりません。必要に応じて、当事務所から岡山県土木部監理課建設業班へ照会したうえでご回答します。
2-4. 防水 vs 内装仕上・その他——手引に境界の記載がない領域
防水工事と内装仕上工事の境界を論じた注記も、手引にはありません。内装仕上工事の内容は「木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事」で、例示に「床仕上工事」があります(PDF p.160)。
室内の床について、防水を目的とする塗膜(例:ウレタン塗膜による防水)と、仕上げを目的とする床材の施工は、目的が異なります。手引の定義からは、前者が防水工事、後者が内装仕上工事という整理が自然に導かれますが、両者の切り分けを説明した注記は手引にありませんので、断定はできません。厨房・バルコニー・共用廊下など、防水と仕上げの目的が重なる部位は、施工の主たる目的で判断することになります。
2-5. 区分の誤認ポイント・早見表
| 迷いやすい工事 | 手引に書かれている事実 | 手引に記載がない事項 |
|---|---|---|
| ウレタン塗膜防水・FRP防水 | 「塗膜防水工事」は防水工事の例示(PDF p.160) | 塗装工事との境界を論じた注記 |
| 外壁のシーリング打ち替え | 「シーリング工事」は防水工事の例示/「シーリング材」は防水工事の内容にも明記(PDF p.160) | 塗装工事に付随する場合の扱いを論じた注記 |
| 防水モルタルによる防水 | 左官工事業・防水工事業のどちらの許可でも施工可能(明示注記・PDF p.160) | 他の工法への準用の可否 |
| トンネル等の土木系防水 | 『防水工事』ではなく『とび・土工・コンクリート工事』に該当(明示注記・PDF p.160) | 「土木系」「建築系」の線引きの定義 |
| 室内床の防水と床仕上げ | 「床仕上工事」は内装仕上工事の例示(PDF p.160) | 防水との切り分けを論じた注記 |
| 屋上の防水と屋根のふき替え | 「屋根ふき工事」は屋根工事/屋根断熱工事は「屋根ふき工事」の一類型(PDF p.159) | 防水工事との境界を論じた注記 |
この表の右列(記載がない事項)が、まさに個別相談で判断すべき領域です。手引に答えが書いていない以上、契約書・見積書・工事の実態を見ずに決めることはできません。
3. 防水工事業の許可要件(全体像と、防水で詰まる2つの要件)
防水工事業だからといって、許可要件そのものが特別になるわけではありません。要件は全業種共通の次の6つです。
| 要件 | 概要 | 防水工事業での詰まりやすさ |
|---|---|---|
| 経営業務の管理責任者(経管) | 建設業の経営について5年以上の経験を持つ常勤役員等を置くこと | ★★★ 一人親方からの法人成り直後の事業者で問題になりやすい |
| 営業所技術者(旧:専任技術者) | 営業所ごとに、資格または実務経験を満たす技術者を専任で置くこと | ★★★ 防水は対応資格が極端に少なく、選択肢が限られる |
| 誠実性 | 請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと | ★ |
| 財産的基礎 | 500万円以上の資金調達能力、自己資本500万円以上、直前5年間の許可継続営業実績のいずれか | ★★ |
| 欠格要件に該当しないこと | 拘禁刑以上の刑・一定の法令違反による罰金刑等から5年を経過しない者等に該当しないこと | ★ |
| 社会保険への適切な加入 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入 | ★★ 職人の社会保険整備が後回しになっている場合に影響 |
(要件の根拠:手引 PDF p.7〜10)
要件の詳細は建設業許可の6つの要件(自社が取れるか診断)に集約していますので、本記事では防水工事業で相談が集中する2つの要件だけを取り上げます。
3-1. 経営業務の管理責任者——法人成り直後がいちばん危ない
経管は、建設業の経営について5年以上の経験を持つ常勤役員等を置く要件です(詳細は経営業務の管理責任者とは|要件・経験年数・証明方法)。
防水業で多いのは、「一人親方・個人事業主として長年やってきて、元請から許可を求められたのを機に法人化した」というケースです。個人事業主としての経営経験も期間に算入できますが、その証明として確定申告書の控え(税務署の収受印があるもの等)や所得証明、さらに経営を管理する立場での請負工事の実績を示す工事請負契約書(原本)または注文書(原本)及び請書(写し)等が営業所調査で確認されます(手引 PDF p.17)。
つまり、経管の証明でも実務経験の証明でも、結局は「工事の書類が残っているか」が問われます。防水工事は1件あたりの金額が小さい下請仕事が積み上がる形態になりやすく、書類のやりとりを省いてきた事業者ほどここで時間を取られます。書類の棚卸しは申請準備で最初にやるべき作業です。経管を確保できない場合の打開策は経営業務の管理責任者がいない場合はどうする?にまとめています。
3-2. 営業所技術者——防水工事業では選択肢が限られる
営業所技術者を満たすルートは、①資格ルート(防水工事業に対応する資格を持つ人を置く→4章)と②実務経験ルート(防水工事の実務経験を書類で証明する→5章)の2つだけです。そして冒頭でお伝えしたとおり、防水工事業は対応資格の幅が29業種の中でも狭い部類です。他業種向けの一般的な解説をそのまま当てはめると行き違いが起きやすい部分ですので、4章で現物の一覧を確認してください。
なお、営業所技術者を確保できないまま許可を取ることはできませんし、許可を取得した後に営業所技術者が退職して後任者がいない場合は、要件の欠如として許可が取り消されます(建設業法第29条第1項第1号/手引 PDF p.8)。「1人しか有資格者がいない」という状態は、取得後も継続するリスクである点は、防水工事業のように資格者の母数が限られる業種ほど強く意識してください。
必要書類の全体像は建設業許可の必要書類一覧|新規・一般、財産的基礎の500万円と残高証明の実務は建設業許可の財産的要件|500万円・残高証明の準備をご覧ください(財産的基礎の500万円は、1章で扱った請負金額500万円とはまったく別の話ですので混同しないでください)。
4. 営業所技術者になれる資格——防水工事業の対応資格一覧
ここが本記事の中核です。以下は岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)の資格一覧表(PDF p.163〜164)で、防水工事業の列に記号が付されている資格だけを抜き出したものです。
4-0. 表の読み方(手引の凡例)
この一覧表は、縦に資格、横に29業種を並べたマトリクスです。凡例では記号が3段階に分けられており、●は網掛け部分(指定建設業)でも特定許可を取得できる資格、◎は特定許可も取得できる資格、○は一般許可を取得できる資格を意味します。○については、指定建設業以外の業種であれば指導監督的実務経験があることを条件に特定許可も可能である旨が、括弧書きで添えられています(手引 PDF p.164)。凡例そのものの読み解きは土木一式工事の建設業許可で詳しく整理しています。
防水工事業の列は網掛けされていません。これは防水工事業が指定建設業ではないことを意味します。指定建設業は土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種で(手引 PDF p.11)、防水工事業はここに含まれません。凡例の括弧書きのとおり、○の資格でも、指導監督的実務経験があれば特定建設業の許可を取得できる(詳細は4-6)というのが、この事実の実務上の意味です。
4-1. 建設業法(技術検定)の資格
防水工事業の営業所技術者になれる、技術検定系の資格は次のとおりです。
| 資格コード | 資格名 | 防水欄の記号 | 追加で必要な実務経験 |
|---|---|---|---|
| 20 | 1級 建築施工管理技士 | ◎ | 不要(特定建設業の特定営業所技術者にもなれる) |
| 23 | 2級 建築施工管理技士(仕上げ) | ○ | 注記記号なし(追加の実務経験を求める注記は付されていない) |
| 13 | 1級 土木施工管理技士 | ○*12 | 合格後3年 |
| 1H/2C/3D | 1級 土木施工管理技士補/1級 建築施工管理技士補/1級 造園施工管理技士補 | ○*12 | 合格後3年 |
| 33 | 1級 造園施工管理技士 | ○*12 | 合格後3年 |
| 14/15/16 | 2級 土木施工管理技士(土木・鋼構造物塗装・薬液注入) | ○*13 | 合格後5年 |
| 21/22 | 2級 建築施工管理技士(建築・躯体) | ○*13 | 合格後5年 |
| 34 | 2級 造園施工管理技士 | ○*13 | 合格後5年 |
| 1J/1K/1L/2D/3E | 2級 土木施工管理技士補(土木・鋼構造物塗装・薬液注入)/2級 建築施工管理技士補/2級 造園施工管理技士補 | ○*13 | 合格後5年 |
出典:岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)PDF p.163。注記の原文は「*12 合格後3年間の実務経験が必要です(実務経験証明書の添付が必要)。」「*13 合格後5年間の実務経験が必要です(〃)。」です(PDF p.164)。
この表から読み取るべきポイントは3つです。
- 追加の実務経験なしで使える技術検定は、実質2つだけです。1級建築施工管理技士(◎)と2級建築施工管理技士(仕上げ)(○・注記記号なし)——この2つ以外は、すべて合格後3年または5年の実務経験が上乗せで必要になります。
- 1級土木施工管理技士でも、防水工事業では「合格後3年」が必要です。ここは塗装工事業と扱いが違う点です。手引 PDF p.163 の塗装工事業の列では1級土木施工管理技士に◎が付されていますが、防水工事業の列は○*12です。「1級土木を持っているから大丈夫」と考えて申請準備を進めると、合格後3年の実務経験証明書が必要だと分かって手戻りになります。
- 同じ2級建築施工管理技士でも、種別で扱いが変わります。防水工事業の列で注記記号が付されていないのは「仕上げ」種別(コード23)だけで、「建築」種別(21)・「躯体」種別(22)にはいずれも*13(合格後5年)が付されています。「2級建築施工管理技士を持っている」だけでは判断できず、合格証明書の種別まで確認する必要があります。
※ 要件を満たすかどうかは、合格証明書の種別・合格年度と申請内容を突き合わせて個別に判断されます。現物をお持ちのうえでご相談ください。
4-2. 職業能力開発促進法(技能検定)——防水工事業は「防水施工」の1種類だけ
現場叩き上げの事業者にとって現実的な選択肢が技能検定(技能士)ですが、防水工事業に対応する技能検定は1つしかありません。
| 資格コード | 資格名 | 防水欄 |
|---|---|---|
| 97 | 防水施工 | ○ |
出典:岡山県「建設業許可の手引」(令和7年9月1日改訂)PDF p.164
これは、業種による差がはっきり出るところです。参考までに、隣接する塗装工事業の列には塗装・木工塗装(工)/建築塗装(工)/金属塗装(工)/噴霧塗装/路面標示施工の5つの資格コードに○が付されています(同 PDF p.164)。防水工事業で技能検定ルートを使うなら、選択肢は「防水施工」ただ1つということです。
技能検定には注記*5が付されています(手引 PDF p.164)。注記*5・*11の原文の扱いは、前掲の塗装工事業の記事で整理しています。
注記*5の実務的な意味
- *5は職業能力開発促進法による技能検定のうち「2級」についてのみ、資格取得後3年間(平成15年度以前の合格の場合は1年)の実務経験(実務経験証明書の添付が必要)を求めています。1級について実務経験を求める記載は手引にありません(*5は等級「2級」に対して付された注記です)。
- ベテランの2級技能士であれば、平成15年度以前の合格として短縮規定(1年)に該当する可能性があります。合格証書の等級と合格年度を現物で確認したうえで、必要年数を個別にご確認ください。
- なお、塗装の技能検定には「昭和48年改正政令による改正後の塗装とするものにあっては、選択科目をどの作業としても『塗装』に該当します」という注記(*11)が付されていますが、防水施工についてはこのような選択科目に関する注記は手引にありません(PDF p.164)。合格証書の記載内容を現物で確認したうえで、個別にご確認ください。
実務上の意味:防水工事業では、社内に「防水施工技能士」がいるかどうかが要件充足の分岐点になりやすい、ということです。もし該当者がいれば、10年分の書類集め(5章)を回避できる可能性があります。まず社内の資格の棚卸しから始めてください。
4-3. その他(講習修了証)
| 資格コード | 資格名 | 防水欄 |
|---|---|---|
| 36 | 登録基幹技能者 | ○*8 |
この行には注記*8が付されています。どの登録基幹技能者講習を修了したかによって、要件を満たす者と認められる建設業の種類が変わるうえ、修了証の表面に、当該建設業の種類について建設業法第26条第1項の主任技術者の要件を満たす者と認められる旨が記載されていることまで求められます(手引 PDF p.164)。注記*8の原文は、前掲の塗装工事業の記事で整理しています。
つまり、登録基幹技能者であればどれでもよいわけではなく、修了証の表面に「防水工事業について主任技術者の要件を満たす」旨の記載があるかを確認する必要があります。修了証の現物を見ずに判断できない資格です。
4-4. ★防水工事業で「使えない資格」——建築士・技術士
ここが本記事で最も強調したい点のひとつです。手引の資格一覧表(PDF p.163)で、防水工事業の欄が空白=使えない資格は次のとおりです。
| 根拠法令 | 資格 | 防水工事業での可否 |
|---|---|---|
| 建築士法 | 1級建築士(コード37)/2級建築士(38)/木造建築士(39) | ✕ 使えない(防水欄は空白) |
| 技術士法 | 技術士の全区分(コード41〜54) | ✕ 使えない(防水欄は空白) |
| 建設業法 | 建設機械施工管理技士(11・12)/電気工事施工管理技士/管工事施工管理技士/電気通信工事施工管理技士 | ✕ 使えない(防水欄は空白) |
このほか、電気工事士法・電気事業法・電気通信事業法・水道法・消防法にもとづく資格(電気工事士、電気主任技術者、電気通信主任技術者、工事担任者、給水装置工事主任技術者、消防設備士等)も、いずれも防水工事業の欄は空白です。
とくに注意していただきたいのが1級建築士です。手引 PDF p.163 の1級建築士の行を見ると、建築一式・大工・屋根・タイル・れんが・ブロック・鋼構造物・内装仕上の各業種には記号が付されている一方、防水工事業の欄は空白です。「屋根や内装仕上では使えるのに、防水では使えない」——建築系の会社ほど誤解しやすい構造になっています。「設計事務所を兼ねていて1級建築士がいる」という会社でも、その資格で防水工事業の営業所技術者を満たすことはできません。
したがって防水工事業で営業所技術者を確保するルートは、実質的に次の4つになります。
- 1級建築施工管理技士または2級建築施工管理技士(仕上げ)(追加の実務経験なし)
- 施工管理技士・技士補(土木・建築・造園)+合格後3年または5年の実務経験
- 防水施工技能士(2級は取得後3年/平成15年度以前の合格は1年)
- 登録基幹技能者(修了証に防水工事業の記載があるもの)/または実務経験10年(→5章)
4-5. 学歴による実務経験の短縮——防水工事業の指定学科は2つ
学歴があると、実務経験の必要年数を短縮できます。防水工事業で認められる指定学科は「土木工学」と「建築学」の2つです(手引 PDF p.166)。
| 学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 高等学校・中等教育学校・専修学校の専門課程で指定学科を修了して卒業 | 卒業後5年以上 |
| 大学(短期大学を含む)・高等専門学校・専修学校の専門課程(専門士・高度専門士を称するものに限る)で指定学科を修了して卒業 | 卒業後3年以上 |
| 指定学科なし | 10年以上(→5章) |
(手引 PDF p.9・p.165・p.166)
指定学科について手引は、「土木工学」には農業土木・鉱山土木・森林土木・砂防・治山・緑地または造園に関する学科を含むこと、および同一名称でなくとも内容・実態が同程度であれば構わないことを補足しています(PDF p.166)。
実務上の意味:工業高校の建築科・土木科の卒業者は、5年で足りるということです。卒業証明書1通で必要年数が半分になる可能性があるわけですから、「10年は無理そうだ」と諦める前に、まず学歴を確認してください。なお、学歴+実務経験のルートを使う場合は、卒業証明書(原本)の添付が必要です(原則として卒業証書の写しは不可/手引 PDF p.83)。
4-6. 特定建設業を取る場合(防水工事業は指定建設業ではない)
元請として、発注者から直接請け負う建設工事につき下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)となる下請契約を締結して施工する場合は、特定建設業の許可が必要です(手引 PDF p.10・p.11/金額はいずれも税込で、元請負人が提供する材料等の価格は含めません)。防水工事業は指定建設業ではないため、特定営業所技術者は次のいずれかで満たせます(PDF p.11)。手引が「② 指定建設業以外の業種の場合」として挙げているのは、ア=1級の国家資格者または技術士と、イ=一般建設業の営業所技術者等となる資格要件を満たす人が、許可を受けようとする業種について、発注者から直接請け負う請負代金4,500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務の経験を持つ場合の2通りです(手引 PDF p.11)。この「イ」が使えない指定建設業の側の扱いは、前掲の土木一式工事の記事で整理しています。
ここは防水工事業の有利な点です。指定建設業(電気・管・鋼構造物など)では特定建設業の技術者が1級国家資格者・技術士・大臣認定者に限られ、実務経験では代替できません。しかし防水工事業では「イ」の指導監督的実務経験2年のルートが使えます。この経験は元請として発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の工事について証明するもので、下請工事の経験では要件を満たしません(手引 PDF p.11。なお、昭和59年10月1日前は1,500万円以上、平成6年12月28日前は3,000万円以上のものについての期間を算入できます)。
4-7. ★「社長=職長」の会社がいちばん詰まるところ——営業所技術者の専任性
防水業の相談で、資格の話が片付いた直後に必ず出てくるのが「その資格を持っているのは社長本人(または唯一の職長)だが、現場にも出たい」という問題です。防水は少人数の班で現場を回す形態が多く、営業所技術者になれる人が現場の主戦力を兼ねているのが普通だからです。
前提として、営業所技術者は専任——手引の定義では「その営業所に常勤して専らその職務に従事すること」——でなければなりません(PDF p.8)。手引は、次のような場合は原則として「専任」と認められないとしています(同)。
・技術者の住所が営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能である。
・他の営業所において専任を要する職務を行っている。
・建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等、他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている(建設業許可を受けた営業所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合を除く。)。
一方、工事現場には主任技術者を配置する義務があり、税込4,500万円(建築一式は9,000万円)以上の公共性のある工作物の工事では、主任技術者はその工事現場ごとに専任で、他の工事との掛け持ちができません(PDF p.21)。
そして岡山県の「審査要領」(令和7年9月1日)には、この2つがぶつかったときにどう扱われるかが明記されています。工事経歴書の提出時に、①法第26条第3項により技術者の専任が必要な工事へ営業所技術者等を配置していた、②専任が必要な工事に配置している技術者を、その工事の工期内に他の工事の技術者としても重ねて配置していた、③営業所技術者等を隣接県を超える遠方の工事に技術者として配置していた——このいずれかに当たる場合は、業務改善報告書を徴したうえで申請等を受け付けるという運用です(岡山県「審査要領」令和7年9月1日 PDF p.7)。営業所技術者と現場配置が正面からぶつかる構図は、後述する建築一式工事の記事でも詳しく扱っています。
つまり、営業所技術者を、専任が必要な工事の現場技術者として配置することは想定されていません。しかも③のとおり、隣接県を超える遠方の工事に営業所技術者を出すこと自体が指摘の対象になります。防水工事は、大規模修繕や工場改修に合わせて広域に出張することがある工種ですので、この③は現実的なリスクです。加えて審査要領は、配置技術者は申請(届出)のあった建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係を有していなければならない(在籍出向者や派遣社員、一つの工事のみの短期雇用者でないこと)とし、これに反する場合も業務改善報告書の対象としています(審査要領 PDF p.7〜8)。
実務上の意味:防水工事業で許可を取るときは、「誰を営業所技術者に据えるか」を資格の有無だけで決めないでください。社長1人に資格が集中している会社では、①資格者を増やす(防水施工技能士は現実的な選択肢です)②実務経験10年ルートで別の人を営業所技術者に立て、社長は現場に専念する——といった組み立てを申請の前段階で設計しておく必要があります。許可を取った後に「現場に出せない」と気づくと体制の組み直しになります。答えは会社の人員構成によって変わりますので、無料相談で実情をお聞かせください。
5. 実務経験ルートの証明と通算ルール
資格がない場合、防水工事業について10年以上の実務経験で営業所技術者の要件を満たします(手引 PDF p.9 ⑤)。防水工事業は対応資格が少ないため、この10年ルートを使う事業者の比率が高い業種です。
そしてこの章が、防水工事業の申請で最も時間がかかり、最も差がつくところです。証明の考え方そのものは業種共通ですので、より詳しい全体像は営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年を証明する方法をご覧ください。本章では、防水工事業の申請で実際に問題になるルールに絞って整理します。
5-1. 何で証明するのか——「経験があった」では通らない
実務経験は、様式第9号(実務経験証明書)を作成して証明します(監理技術者資格者証で実務経験が確認できる場合は、その写しで代えられます/手引 PDF p.82)。重要なのは、様式第9号を出して終わりではないという点です。証明書に記載した工事は、申請書または届出書の受付後に別途行われる調査の場で、契約書(原本)または注文書(原本)+請書(写し)等を提示して工事内容の確認を受けることになります。これらを揃えられなければ、実務を経験したことの証明ができない扱いになります(手引 PDF p.165)。この裏付け確認が業種によってどこまで重くなるかは、前掲の土木一式工事の記事で整理しています。
つまり、記載した工事の裏付け書類(原本)を、後日の営業所調査で現物提示できるかが勝負です。防水工事は、1件あたりの金額が小さい下請仕事が数多く積み上がる一方で、注文書・請書のやりとりを省いて口頭と請求書だけで回してきたというケースが珍しくありません。ここが最大の関門です。
5-2. 期間の通算ルール——空白が「3か月」か「4か月」かで結果が変わる
実務経験期間の通算について、手引は明確な基準を置いています。
【期間計算方法】 実務経験期間は、記載された工事の工期と次の工期の間の空白期間が3か月以内であれば、実務経験は継続しているとみなします。一方、空白期間が4か月以上の場合、当該期間を控除して指定年数を計算します(記載例参照)。
(手引 PDF p.83)
これは防水工事業に直結する重要なルールです。防水は天候の影響を強く受ける工種であり、施工面が乾いていなければ着手できない工法もあります。梅雨期・冬期に工事が途切れる時期があると、単純に「最初の工事から最後の工事まで10年」ではなく、4か月以上の空白を控除した実質の期間で10年を満たす必要が出てきます。手元の工事記録を時系列に並べたとき、4か月以上の空白がどこにいくつあるか——ここを最初に確認すると、必要な年数の見通しが立ちます。
5-3. 誰が証明するのか——自分で自分を証明することはできない
証明は原則として実務経験を積んでいた時期の使用者(法人又は個人事業主)が行いますが、手引は次の2点も明記しています(PDF p.82)。
倒産・死亡等により当時の使用者からの証明を受けることができない場合には、その当時から営業を行っている同業他者の2者からの証明を取得する必要があります。この場合においても工事請負契約書等の書類確認ができなければ許可を取得することはできません。なお、同業他社は継続的に建設業を営んでいる必要はありますが、許可の有無、営業している業種に制限はありません。
また、個人事業主は自分自身を証明することはできず、法人成の場合も法人設立以前のことについては証明能力がないため、同業他者の2者による証明が必要です。
防水業は一人親方からの独立・法人成りが多い業種です。そのため「個人事業として10年やってきて、法人化してから許可を取りたい」という最頻パターンが、そのまま同業他者2者証明が必要なケースに当たります。組み立て方は次のとおりです。
- 証明を頼む相手は「実態を知っている人」に限られる。手引は許可の有無・営業業種を問わないとしていますが、証明後も工事請負契約書等による裏付け確認が別途行われます。当時の取引や工事の実態を実際に把握している同業者でなければ成り立ちません(実務経験証明書は虚偽記載が許可の取消し・罰則につながり得る書類です)。
- 証明書だけでは足りない。2者の証明をもらっても、工事請負契約書等の書類確認ができなければ許可は取得できません。元請だった会社に注文書の控えが残っていないか、併せて確認します。
- 早い段階で相手を洗い出す。廃業・代替わりで連絡が付かなくなる前に、該当しそうな相手をリストアップしておくと進めやすくなります。
5-4. 実務経験に含まれる範囲と、年数の確認方法
実務経験の範囲と年数の確認方法についても、手引に定めがあります(いずれも PDF p.82)。全業種共通の内容ですので詳細は営業所技術者(旧:専任技術者)の実務経験10年を証明する方法に譲り、ここでは防水業で効いてくる2点だけを挙げます。
- 見習い期間も算入できる:手引は「これらの技術を習得するためにした見習中の技術的経験も含まれます」と明記しています(雑務のみの経験は含まれません)。半人前だった最初の数年も、切り捨てずに数えてください。
- 年数は原則として社会保険加入期間で確認される:手引は「原則として社会保険加入期間の年月を記入してください」とし、未加入期間については出勤簿・賃金台帳・源泉徴収票・所得証明書の写しの提示を求めています。古い期間ほどこれらの書類が揃えにくくなるため、10年ルートは思い立った時点で着手するのが最も安全です。
5-5. ★防水工事業は「建築一式からの実務経験の振替」が使える——ただし条件がある
ここが、防水工事業と塗装工事業の決定的な違いです。手引には、技術的な共通性がある業種間で実務経験を振り替えられる緩和規定があり、認められる範囲は次のとおりです(手引 PDF p.167)。
① 一式工事から専門工事への実務経験の振替えを認める場合
土木一式 → とび・土工、しゅんせつ、水道施設、解体
建築一式 → 大工、屋根、内装仕上、ガラス、防水、熱絶縁、解体
注) 矢印の方向にのみ振り替え可となります。右側の業種間での振替えはできません。
② 専門工事間での実務経験の振替えを認める場合
大工 ←→ 内装仕上/とび・土工 ←→ 解体
注) 両方向に向かって振替え可となります。
防水工事業は、建築一式工事から振り替えられる7業種の1つとして明記されています。塗装工事業はこのリストに登場しません。建築一式工事の実務経験を持っている人であれば、その経験の一部を防水工事業の実務経験としてカウントできる——これは、工務店・建築業から防水へ業容を広げる場合に効いてくる規定です。
ただし、誰でも一律に「10年が短くなる」という話ではありません。手引が「(3)実務経験要件の緩和年数」として定めているのは、営業所技術者等になろうとする業種の実務経験と、その他の業種の実務経験を合わせて12年以上持っていれば営業所技術者等となる資格を有する、というルールです。ただし最低条件として、営業所専任技術者となろうとする業種については、それぞれ8年を超える実務経験が必要とされています(手引 PDF p.167)。年数ルールを含む振替制度そのものの全体像は、前掲の建築一式工事の記事で整理しています。
注意点を正確に押さえてください。
- 防水工事業の許可だけを取る場合でも、この規定が効く場面があります。手引は冒頭で「その業種の経験だけに限らず、許可を受けようとする業種と技術的な共通性がある他の業種での実務経験であれば、一定の範囲内で、許可を受けようとする業種の実務経験としてカウントすることができます」としています(PDF p.167)。したがって、防水の実務経験が8年を超えているが10年に届かず、建築一式の実務経験と合わせれば通算12年以上あるという方は、防水が10年に達するのを待たずに要件を満たせる可能性があります。工務店・建築業から防水へ業容を広げてきた方に当てはまりやすい形です。
- 一方、防水工事だけで10年以上ある方には、この規定を使う利点はありません。通算年数の要求が10年から12年に上がるためです。「振替が使える=誰でも10年が短くなる」ではないという点は、正確に押さえてください。
- 建築一式工事と防水工事業の2業種を押さえたい場合は、短縮の効果がより明確になります。手引は短縮効果の例として、専門工事の経験8年+一式工事の経験10年=合計18年で2業種という形を示し、「一式工事から専門工事への実務経験の振替えの場合→最大2年の期間短縮」としています(PDF p.167)。1人が2業種を実務経験だけで取る場合は原則20年必要ですから(後述5-6)、そこから2年短縮できる、という位置づけです。
- なお、手引の本文は「合わせて12年以上(…最低条件としてそれぞれ8年を超える実務経験が必要です。)」と書いている一方、直後の図では「専門工事の経験(8年)」と表記されており、書きぶりに揺れがあります。8年ちょうどで足りるのかどうかで結論が変わる場面がありますので、8年前後のケースは県への確認を含めて個別に検討します。
- 緩和の対象は建設業法第7条第2号ロ該当(10年以上の実務経験)に限られ、同条第2号イ該当(学歴+実務経験)では認められません(手引 PDF p.167)。指定学科の卒業による短縮(4-5)と、この振替は併用できないということです。
- この緩和の対象となった者の営業所技術者等の有資格区分コードは「99」になります(手引 PDF p.167)。
実務上の意味:建築の現場経験が長い方が防水工事業の営業所技術者になる場合、どの期間をどちらの業種として計上するかで結論が変わります。しかも一度提出した実務経験証明書は、後から組み替えるのに手間がかかります。建築一式と防水の両方を視野に入れているなら、証明書を作り始める前に構成を設計してください。
5-6. 塗装と防水を両方取りたい場合——原則20年、振替は使えない
2-1で見たとおり、外壁改修の現場では塗装と防水が同時に動きます。そこで「塗装工事業と防水工事業を両方取っておきたい」という発想になりますが、ここに実務経験ルートの最大の制約があります。
・【作成枚数】申請業種ごとに分けて作成してください。一人が複数の業種をいずれも実務経験で担当する場合、担当する期間の重複は認められません。例えば、資格を有しない者が2業種を担当する場合、業種ごとに10年間、合計20年間の経験を証明する必要があります。
(手引 PDF p.82)
手引は資格一覧表の側でも、必要年数は1業種あたりの年数であって、同じ期間を複数業種に並行して当てることはできないと念を押しています(手引 PDF p.165)。
つまり、塗装工事業と防水工事業を1人の実務経験で取ろうとすると、原則として合計20年分の経験が必要になります。そして5-5の振替リストに塗装工事業は入っていないため、塗装↔防水の間で実務経験を振り替えることはできません(振替が認められるのは、一式工事から専門工事への一方向と、大工↔内装仕上・とび土工↔解体の2組だけです/手引 PDF p.167)。
現実的な組み立ては、次のいずれかになります。
| 状況 | 現実的な進め方 |
|---|---|
| 社内に1級建築施工管理技士または2級建築施工管理技士(仕上げ)がいる | 資格ルートで防水を押さえる。塗装工事業も同じ資格で対応できるため、2業種を1人でカバーできる可能性がある(両業種の欄に記号あり/手引 PDF p.163) |
| 社内に防水施工技能士がいる | 防水は資格ルート、塗装は別の人の実務経験または塗装系の技能検定で組み立てる |
| 資格者がいない | 1人で2業種=原則20年。別々の人をそれぞれの業種の営業所技術者に立てる設計を検討する |
| 建築一式の経験が長い人がいる | 5-5の振替(建築一式→防水)が使えるか検討する |
どの組み立てが最短かは、社内の資格・学歴・書類の残り方で変わります。この判断こそ、申請の前段階でご相談いただく価値がもっとも大きい部分です。
5-7. 実務経験の証明で、最初にやるべき3つの確認
10年ルートを検討する場合は、①資格(防水施工技能士の等級・合格年度、2級建築施工管理技士の種別が「仕上げ」かどうか/4-1・4-2)→②学歴(工業高校の建築科・土木科なら5年で足りる可能性/4-5)→③工事書類の棚卸し(注文書・請書・契約書の原本がどの年まで残っているか、4か月以上の空白がどこにあるか/5-2)の順で確認してください。この順番だと、「10年分の書類を集める」という最も重い作業を回避できる場合があります。
6. 岡山県での手続き——防水工事業の申請で効いてくる運用
手続きの流れそのものは全業種共通ですので、提出先・窓口・必要書類・地域別の進め方は次の各記事に集約しています。
- 手続きの全体像と申請先の詳細 → 岡山市で建設業許可を取るには・倉敷市で建設業許可を取るには
- 提出書類の一式 → 建設業許可の必要書類一覧|新規・一般
本章では、防水工事業の申請で特に効いてくる岡山県の運用を3点だけ取り上げます。
6-1. 「事前審査は一切行いません」——書類を完全に整えてから出す
岡山県の運用で防水工事業に最も影響するのが、この一文です。
事前審査は一切行いません。正本と副本を必要部数作成し、日付の記入、納付済証の貼付等の遺漏がないことを確認し、書類を完全に整えた上で提出(送付)してください。
(手引 PDF p.16)
窓口で相談しながら少しずつ整えていく、という進め方ができないということです。防水工事業は、業種区分の判断(2章)と実務経験の証明(5章)という2つの重い論点を同時に抱えやすい業種ですので、この運用の負担が他業種より大きく出ます。提出前に論点を潰しきっておく必要がある、というのが実務上の結論です。なお、申請の受付は出先機関ではなく本庁(岡山県土木部監理課建設業班)で行われており、郵送での提出も受け付けられています(手引 PDF p.168、p.16)。
6-2. 営業所調査——防水業で詰まりやすい2点
申請の受付後、半月程度で所轄の県民局から営業所調査の連絡があります(手引 PDF p.17)。確認項目は経管の経験・常勤性・財務内容まで多岐にわたりますが(PDF p.17〜19)、防水業で詰まりやすいのは次の2点です。
| 確認項目 | 確認されるもの | 防水業で詰まる理由 |
|---|---|---|
| 営業所の所在 | 看板(容易に確認できるもの)、机、電話及びファクシミリ、営業所の賃貸借契約書(原本)等 | 自宅の一室や資材置き場の一角を事務所にしている形態が多く、看板とFAXが未整備のことがある |
| 営業所技術者の実務経験 | 様式第9号に記入した工事の請負契約書(原本)又は注文書(原本)+請書(写し)等 | 小口の下請工事を口頭と請求書だけで回してきた場合、記載した工事の原本が出せない |
手引は「※いずれも確認できるものがなければ、許可を受けることができません。」と明記しています(PDF p.17)。あわせて、営業所は居住部分と共用できず、賃貸の場合は契約書上で営業活動に利用することが認められていることが必要とされています(同)。資材置き場の一角や自宅の一室を事務所にしている場合は、ここを調査当日までに整えてください。
6-3. 費用と期間
| 項目 | 金額・期間 |
|---|---|
| 岡山県知事許可・新規(許可換え新規・般特新規を含む)の法定手数料 | 90,000円 |
| 岡山県知事許可・更新/業種追加の法定手数料 | 50,000円 |
| 当事務所の報酬(法人・新規) | 132,000円(税込目安)/合計 222,000円 |
| 当事務所の報酬(業種追加=既存許可に防水工事業を足す) | 55,000円(税込目安)/合計 105,000円 |
| 申請受付から許可まで | 特に問題がないケースで概ね2か月程度 |
(法定手数料の出典:手引 PDF p.14/期間の出典:手引 PDF p.16)
※ 当事務所の報酬額はいずれも税込の目安です。業種数・営業所数・実務経験証明の分量など案件内容により変動します。正確な金額は事前にお見積りをお出ししたうえで着手しますので、まずは無料相談でご確認ください。証明書等の取得実費は別途必要です。
防水工事業で押さえておきたいのは、法定手数料が申請する業種の数と関係しないという点です。防水工事業1業種でも、防水+塗装+内装仕上の3業種でも、新規なら90,000円です(手引 PDF p.14)。裏を返せば、将来取る見込みのある業種は、新規申請時にまとめて申請しておくほうが手数料の面では有利ということになります。すでに他業種の許可を持っていて防水を足す場合は「業種追加」となり、法定手数料は50,000円です(同)——2章で見たとおり、防水工事業は塗装・左官・とび土工と隣接しており、すでに隣接業種の許可を持っている会社が防水を足す場合は「業種追加」に当たるため、新規と比べて法定手数料が40,000円低くなります。業種追加の手続きと要件は建設業許可の業種追加とは、追加申請にかかる費用と期間は建設業許可の業種追加にかかる費用をご覧ください。
納付方法を含む費用の詳しい内訳(証明書の取得実費・条件別の総額)は建設業許可の費用はいくら?に一本化しています。行政書士報酬の考え方(何にいくらかかるのか、見積書の読み方)は建設業許可を行政書士に依頼する費用相場をご覧ください。
なお、「標準処理期間◯日」と断定できる記載は手引にありません。手引にあるのは「特に問題がないケースで概ね2か月程度かかります」という記述です(PDF p.16)。そしてこの2か月は申請を受け付けてもらってからの期間ですので、実際にはここに書類収集の期間が加わります。とくに実務経験10年ルートでは、必要な期間は書類がどれだけ残っているかで大きく変わります(注文書・請書の原本が揃っていれば短く、同業他者2者証明から組み立てるなら長くなります)。「元請から◯月までに許可を」と期日が決まっている場合は、逆算のためにも早い段階でご相談ください。
7. 許可のその先——大規模修繕・公共工事・毎年の維持管理
7-1. 防水工事業と改修市場・公共工事
防水工事は、新築よりも改修・維持管理の比重が大きい工種です。建物は必ず経年で防水層が劣化するため、マンション・公営住宅・学校・庁舎・工場といった既存ストックがある限り、周期的に工事が発生します。岡山県内でも、住宅団地や公共施設の改修は継続的に行われています。なお、リフォーム・改修工事は防水だけで完結せず、内装・大工・塗装などが1件の中に混在します。改修の内容ごとにどの業種の許可が必要になるかはリフォーム工事に必要な建設業許可はどの業種かで整理しています。
ここで許可が意味を持つのは、次の2つの局面です。
- 1件500万円以上の元請・一次下請案件を受けられるようになる(1-4)。大規模修繕は棟単位で発注されるため、金額のラインを超えやすい分野です。
- 公共工事への入口が開く。ただし許可を取っただけでは入札には参加できません。手引は「許可を受けた業者が公共工事の入札に参加したい場合は、経営事項審査の受審及び公共事業を発注する自治体の入札参加資格が必要です」と明記しています(PDF p.24)。その順番と逆算は公共工事に入りたい|建設業許可が入札参加への第一歩をご覧ください。
7-2. 取引先要求がきっかけの場合
防水業で許可取得のきっかけとして最も多いのは、取引先からの要求です。1件500万円未満の工事しかしていなくても、「協力会社として登録するには建設業許可が必要」「取引口座の開設条件になっている」と言われるケースが増えています。大規模修繕を元請する会社の協力会社登録では、業種名まで指定して許可の提示を求められることがあり、「塗装は持っているが防水がない」という理由で登録に進めないというケースが想定されます。この文脈での進め方は元請から建設業許可を求められたら|下請が取る手順・ゼネコンの協力会社になるには|取引口座開設と建設業許可をご覧ください。
7-3. 防水業こそ「更新切れ」の代償が大きい
建設業許可は取って終わりではありません。有効期間は許可日から5年間で、毎年の事業年度終了報告(決算変更届)と5年ごとの更新が続きます。更新許可申請は有効期間満了の日の30日前までに受付を済ませておく必要があり(建設業法施行規則第5条)、更新許可申請をすることなく有効期間が満了した場合には、改めて新規に許可を取得することになります(手引 PDF p.21)。なお、更新申請は有効期間満了の日の3か月前から提出できます(同)。
防水工事業で特に強調しておきたいのは、実務経験10年ルートで取った許可ほど、更新切れの代償が大きいという点です。失効すれば法定手数料が50,000円から90,000円に上がるだけでなく、10年分の実務経験の証明を最初からやり直すことになります。5年前には残っていた注文書の原本が、5年後にも残っているとは限りません。5章で苦労して組み立てた証明を、ゼロから再現できるかという問題です。さらに、資格者が1人しかいない体制では、その人の退職が即座に許可の取消し事由になり得る点も忘れないでください(建設業法第29条第1項第1号/手引 PDF p.8)。
防水業は現場が天候に左右され、繁忙期に事務手続きが後回しになりやすい業種でもあります。当事務所では、毎年の決算変更届・5年ごとの更新・経審・入札参加資格の更新までをまとめて管理する顧問契約(月額5,500円(税込)〜の3プラン)をご用意しています。期限管理を含めて定額でお任せいただくほうが、結果的に負担が軽くなるケースが多くあります。
経審そのものについては経審申請を岡山で依頼するなら、他の業種の許可については塗装工事業・内装仕上工事業・とび・土工工事業・大工工事業・建築一式工事・管工事業・電気工事業・解体工事業の各記事をご覧ください。自社がどの業種を取るべきか迷う場合は、建設業許可29業種の一覧と選び方から確認できます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
防水工事業の建設業許可で、他業種と違う対応が必要になるポイントを改めて整理します。
- 防水工事業の例示は6つ。アスファルト防水・モルタル防水・シーリング・塗膜防水・シート防水・注入防水です(手引 PDF p.160)。ウレタン塗膜防水もシーリングも、手引の例示上は防水工事の側にあります。
- 「防水」でも防水工事業でないものがある。手引は「含まれるものは、いわゆる建築系の防水工事のみ」とし、トンネル防水工事等の土木系防水は『とび・土工・コンクリート工事』に該当するとしています(PDF p.160)。
- 防水モルタルは、左官・防水どちらの許可でも施工できる。手引が明示している数少ない「どちらでもよい」の例です(PDF p.160)。ただしこの注記を他の工法に広げないでください。
- ★対応資格が非常に狭い。追加の実務経験なしで使えるのは1級建築施工管理技士(◎)と2級建築施工管理技士(仕上げ)(○)の2つ、技能検定は「防水施工」の1種類だけです(手引 PDF p.163〜164)。1級土木施工管理技士でも合格後3年が必要です。
- ★1級建築士も技術士も使えません。1級建築士は建築一式・大工・屋根・タイル・鋼構造物・内装仕上には記号が付されていますが、防水工事業の欄は空白です(手引 PDF p.163)。
- 指定学科は土木工学と建築学の2つ。工業高校の建築科・土木科の卒業なら10年ではなく5年で足ります(手引 PDF p.166)。
- ★建築一式からの実務経験の振替が使える数少ない業種。建築一式 → 大工・屋根・内装仕上・ガラス・防水・熱絶縁・解体(PDF p.167)。条件は合わせて12年以上(それぞれ8年を超える)。防水が8年超10年未満で、建築一式と合わせて12年以上ある方は、防水単独の許可でも要件を満たせる可能性があります。防水だけで10年ある方には利点がなく、建築一式と2業種を押さえる場合は最大2年短縮。学歴+実務経験のルートとは併用できません。
- 塗装と防水を1人の実務経験で取るなら原則20年。期間の重複は認められず(PDF p.82)、塗装は振替リストに入っていません(PDF p.167)。資格ルートで組み立てられないかを先に検討してください。
- 営業所技術者は専任。岡山県の審査要領は、専任が必要な工事に営業所技術者を配置していた場合や隣接県を超える遠方の工事に配置していた場合等を業務改善報告書の対象としています(審査要領 PDF p.7)。広域に出張する防水業では現実的なリスクです。
そして最も申し上げたいのは、まず資格と学歴を確認してくださいということです。防水工事業は対応資格が少ない一方で、該当する資格が1つでもあれば10年分の書類集めを丸ごと回避できる可能性があります。合格証書の等級・種別・合格年度を現物で確認するところから始めてください。
「うちの工事は防水工事業なのか塗装工事業なのか」「2級建築施工管理技士の種別が仕上げかどうか分からない」「10年分の注文書は残っていないが証明できるのか」——こうしたご相談は、無料相談で個別に整理できます。
防水工事業の許可のご相談は無料相談から(30秒入力のフォーム)
自社の工事が防水工事業に該当するか、営業所技術者を資格で満たせるか実務経験が必要かを、建設業特化の行政書士が診断します。塗装との切り分け、業種追加すべきかどうかのご相談も歓迎です。LINEでは、合格証書や卒業証明書に記載された等級・種別・合格年度などをお知らせいただければ、要件を満たすかどうかの当たりを付けられます(お預かりした資格・学歴に関する情報はご相談対応の目的にのみ使用し、行政書士の守秘義務に基づいて管理します)。お電話は070-8567-3197。
※顧問契約・報酬額の金額は税込の目安です。ご契約内容・業務範囲により変動しますので、正確な金額は事前にお見積りいたします。
